JP2023061603A - 二軸延伸シート及び包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚みが薄い二軸延伸シートの耐折性を向上させると共に、当該二軸延伸シートから容器を形成したときの容器強度を向上させること。【解決手段】アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体と、ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレンと、を含有する二軸延伸シートであって、アクリロニトリルの含有量が、二軸延伸シート全量基準で11.6~36.0質量%であり、ジエン系ゴム成分の含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.005~0.300質量%であり、二軸延伸シートの厚みが0.20mm以下であり、二軸延伸シートのMDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力が、それぞれ0.6MPa以上である、二軸延伸シート。【選択図】なし
Description
本発明は、二軸延伸シート及び包装容器に関する。
従来、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、デパ-ト、弁当店等の店舗において、食料品や加工食品等を販売する際に使用される容器として、合成樹脂シ-トからなる蓋と容器本体とが嵌合して構成されている包装容器が用いられている。
二軸延伸シートは、食品包装容器分野で幅広く使用されている材料であり、様々な特性を備えた二軸延伸シートの開発が進められている。例えば、特許文献1には、樹脂組成物全量基準で、スチレン系樹脂97.0~99.9質量%、及びジエン系ゴム変性ポリスチレン0.1~3.0質量%を含有する樹脂組成物を二軸延伸してなるスチレン系二軸延伸シートが、透明性、滑性、防曇性のすべてにおいてバランスよく優れることが記載されている。
昨今、環境負荷低減のために、食品包装容器に用いられるプラスチックの使用量削減が求められている。本発明者らの検討によれば、プラスチックの使用量削減のために、二軸延伸シートの厚みを薄くする(例えば0.20mm以下にする)場合、特許文献1に記載のような二軸延伸シートを単に薄くするだけでは、二軸延伸シートの耐折性が不充分となることがあると共に、食品包装用などの容器にしたときに十分な容器強度が必ずしも得られない。
そこで、本発明は、厚みが薄い二軸延伸シートの耐折性を向上させると共に、当該二軸延伸シートから容器を形成したときの容器強度を向上させることを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、所定の組成を有する二軸延伸シートにおいて、配向緩和応力を大きくすることにより、二軸延伸シートの厚みが薄い場合でも、耐折性に優れた二軸延伸シートが得られ、かつ、当該二軸延伸シートから容器強度に優れた容器を形成可能になることを見出した。本発明は、いくつかの側面において、下記の[1]~[7]を提供する。
[1]アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体と、
ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレンと、
を含有する二軸延伸シートであって、
アクリロニトリルの含有量が、二軸延伸シート全量基準で11.6~36.0質量%であり、
ジエン系ゴム成分の含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.005~0.300質量%であり、
二軸延伸シートの厚みが0.20mm以下であり、
二軸延伸シートのMDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力が、それぞれ0.6MPa以上である、二軸延伸シート。
[2] 共重合体の含有量が、二軸延伸シート全量基準で97.0~99.9質量%である、[1]に記載の二軸延伸シート。
[3] アクリロニトリルの含有量が、共重合体に含まれるモノマー単位全量基準で12~36質量%である、[1]又は[2]に記載の二軸延伸シート。
[4] ジエン系ゴム変性ポリスチレンの含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.1~3.0質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[5] 厚みが0.10mm以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[6] ジエン系ゴム変性ポリスチレンに含まれるジエン系ゴム成分の粒子の平均粒子径が、1.5~9.0μmである、[1]~[5]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の二軸延伸シートで形成された包装容器。
[1]アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体と、
ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレンと、
を含有する二軸延伸シートであって、
アクリロニトリルの含有量が、二軸延伸シート全量基準で11.6~36.0質量%であり、
ジエン系ゴム成分の含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.005~0.300質量%であり、
二軸延伸シートの厚みが0.20mm以下であり、
二軸延伸シートのMDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力が、それぞれ0.6MPa以上である、二軸延伸シート。
[2] 共重合体の含有量が、二軸延伸シート全量基準で97.0~99.9質量%である、[1]に記載の二軸延伸シート。
[3] アクリロニトリルの含有量が、共重合体に含まれるモノマー単位全量基準で12~36質量%である、[1]又は[2]に記載の二軸延伸シート。
[4] ジエン系ゴム変性ポリスチレンの含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.1~3.0質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[5] 厚みが0.10mm以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[6] ジエン系ゴム変性ポリスチレンに含まれるジエン系ゴム成分の粒子の平均粒子径が、1.5~9.0μmである、[1]~[5]のいずれかに記載の二軸延伸シート。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の二軸延伸シートで形成された包装容器。
本発明によれば、厚みが薄い二軸延伸シートの耐折性を向上させると共に、当該二軸延伸シートから容器を形成したときの容器強度を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
本発明の一実施形態に係る二軸延伸シートは、アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体と、ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレンと、を含有する。
アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体(以下、「(A)成分」ともいう)におけるアクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量は、二軸延伸シート全量基準で11.6~36.0質量%である。アクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量の下限値は、耐油性に優れる観点から、二軸延伸シート全量基準で、15.5質量%以上、17.5質量%以上、又は19.5質量%以上であってもよい。アクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量の上限値は、成形性に優れる観点から、二軸延伸シート全量基準で、33.0質量%以下、又は30.0質量%以下であってもよい。
(A)成分におけるアクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量は、共重合体に含まれるモノマー単位全量(以下、単に「モノマー単位全量」ともいう)基準で、12~36質量%であってよい。アクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量の下限値は、耐油性に優れる観点から、モノマー単位全量基準で、16質量%以上、18質量%以上、又は20質量%以上であってもよい。アクリロニトリル(アクリロニトリル単位)の含有量の上限値は、成形性に優れる観点から、モノマー単位全量基準で、33質量%以下、又は30質量%以下であってもよい。
(A)成分におけるアクリロニトリルの含有量(二軸延伸シート全量基準)は、ケルダール法により測定される。具体的には、二軸延伸シートを硫酸に加熱溶解して窒素分を(NH4)2SO4化した後、液をアルカリ性として、発生するNH3を滴定により定量し、求められる窒素分の含有量からアクリロニトリルの含有量を算出する。なお、二軸延伸シートが(A)成分におけるアクリロニトリル単位以外のその他の窒素源を含む場合は、上記測定の前に、(A)成分とその他の窒素源とを分別して、その他の窒素源を除去する。(A)成分とその他の窒素源とは、例えば、(A)成分及びその他の窒素源のそれぞれに対して異なる溶解性を示す溶媒に(A)成分及びその他の窒素源を溶解させて分別することができる。また、アクリロニトリルの含有量(モノマー単位全量基準)は、(A)成分の含有量(二軸延伸シート全量基準)を求め、上記のアクリロニトリルの含有量(二軸延伸シート全量基準)を(A)成分の含有量(二軸延伸シート全量基準)で除することにより求めることができる。
(A)成分におけるスチレン(スチレン単位)の含有量は、二軸延伸シート全量基準で、成形性に優れる観点から、63.0質量%以上、66.0質量%以上、又は70.0質量%以上であってよく、耐油性に優れる観点から、88.0質量%以下、84.0質量%以下、又は80.0質量%以下であってよい。
(A)成分におけるスチレン(スチレン単位)の含有量は、モノマー単位全量基準で、成形性に優れる観点から、64質量%以上、67質量%以上、又は70質量%以上であってよく、耐油性に優れる観点から、88質量%以下、84質量%以下、又は80質量%以下であってよい。
(A)成分は、モノマー単位としてアクリロニトリル及びスチレンのみを含んでいてよく、アクリロニトリル及びスチレンと共重合可能なその他のビニル系モノマー単位を更に含んでいてもよい。その他のビニル系モノマーとしては、例えば、メタクロニトリル等のアクリロニトリル以外のアクリロニトリル系モノマー;α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等のスチレン以外のスチレン系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、2-メチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。その他のビニル系モノマー単位の含有量は、例えば、アクリロニトリル単位とスチレン単位の合計100質量部に対して10質量部未満であってよい。
(A)成分は、アクリロニトリルと、スチレンと、必要に応じてその他のビニル系モノマーとを重合させることにより得られる。重合方法は、特に限定されないが、臭気低減の観点から、好ましくは塊状連続重合法である。
塊状連続重合法としては、公知の方法が採用できるが、例えば、エチルベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン等の溶剤を、アクリロニトリル、スチレン、及び必要に応じて用いられるその他のビニル系モノマーの合計100質量部に対して、10~40質量部添加して重合させる方法が好ましくは用いられる。
重合時には、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-シクロヘキサン、2,2-ビス(4,4-ジ-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、エチル-3,3-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブチレート等の公知の有機過酸化物を添加してもよく、4-メチル-2,4-ジフェニルペンテン-1、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等の公知の分子量調整剤を添加してもよい。
重合温度は、好ましくは80~170℃、より好ましくは100~160℃である。
(A)成分の、GPC法で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上であり、好ましくは25万以下、より好ましくは20万以下である。重量平均分子量が10万以上であると、樹脂の強度が維持され、シート強度及び耐折性に優れる。重量平均分子量が25万以下であると、粘度上昇を抑制でき、シート製膜性及び容器成形性に優れる。
なお、GPC測定は、以下のような条件で実施する。
装置:東ソー(株)製GPC「HLC-8320GPC」
カラム:shodex KF404×3
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.2ml/分
圧力:10MPa
検出:RI
サンプル調製方法:試料120mgをテトラヒドロフラン15mLに溶解させた後、シリンジフィルター(メルクミリポア社製マイレクス(登録商標) 0.45um)を通しろ過を行う。
注入量:10μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求める。
装置:東ソー(株)製GPC「HLC-8320GPC」
カラム:shodex KF404×3
温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.2ml/分
圧力:10MPa
検出:RI
サンプル調製方法:試料120mgをテトラヒドロフラン15mLに溶解させた後、シリンジフィルター(メルクミリポア社製マイレクス(登録商標) 0.45um)を通しろ過を行う。
注入量:10μl
検量線:標準ポリスチレン(Polymer Laboratories製)を用い、溶離時間と溶出量との関係を分子量と変換して各種平均分子量を求める。
二軸延伸シートにおける(A)成分の含有量は、二軸延伸シート全量基準で、97.0質量%以上、98.5質量%以上、99.0質量%以上、又は99.3質量%以上であってよく、99.9質量%以下、又は99.7質量%以下であってよい。含有量が上記の下限値以上であると、耐油性及び透明性の点で更に優れる。含有量が上記の上限値以下であると、耐折性及び滑性の点で更に優れる。
ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレン(以下、「(B)成分」ともいう)は、ゴム変性耐衝撃性スチレン系樹脂とも呼ばれ、例えば、スチレン系モノマーにゴム状のジエン系重合体を溶解し、重合(好ましくはグラフト重合)して得られる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン及び第三級ブチルスチレンなどのo-、m-、p-の各異性体)、α-アルキルスチレン(例えばα-メチルスチレン、α-エチルスチレンなど)、モノハロゲン化スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレン及びフルオロスチレンなどのo-、m-、及びp-の各異性体)、ジハロゲン化スチレン(例えば、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ジフルオロスチレン及びクロロブロモスチレンなどの各核置換異性体)、トリハロゲン化スチレン(例えば、トリクロロスチレン、トリブロモスチレン、トリフルオロスチレン、ジクロロブロモスチレン、ジブロモクロロスチレン及びジフルオロクロロスチレンなどの各核置換異性体)、テトラハロゲン化スチレン(例えば、テトラクロロスチレン、テトラブロモスチレン、テトラフルオロスチレン及びジクロロジブロモスチレンなどの各核置換異性体)、ペンタハロゲン化スチレン(例えば、ペンタクロロスチレン、ペンタブロモスチレン、トリクロロジブロモスチレン及びトリフルオロジクロロスチレンなどの各核置換異性体)、α-及びβ-ハロゲン置換スチレン(例えば、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、β-クロロスチレン及びβ-ブロモスチレンなど)などが挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
ゴム状のジエン系重合体としては、例えば1種又は2種以上の共役1,3-ジエン(例えばブタジエン、イソプレン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ピペリレンなど)、ブタジエン-スチレン共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ブタジエン-スチレン-アクリロニトリル共重合体、イソブチレン-アクリル酸エステル共重合体、ブチルゴム、及びエチレン-プロピレン-ターポリマー(EPDM)などが使用できる。
(B)成分の含有量は、二軸延伸シート全量基準で、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、又は0.4質量%以上であってよく、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.5質量%以下、又は1.2質量%以下であってよい。含有量が上記の下限値以上であると、耐折性及び滑性の点で更に優れる。含有量が上記の上限値以下であると、耐油性及び透明性の点で更に優れる。
(B)成分に含まれるジエン系ゴム成分(以下、単に「ゴム成分」ともいう)の含有量は、(B)成分全量基準で、5質量%以上、又は8質量%以上であってよく、12質量%以下、又は10質量%以下であってよい。含有量が上記の下限値以上であると、耐折性及び滑性の点で更に優れる。含有量が上記の上限値以下であると、耐油性及び透明性の点で更に優れる。
ゴム成分の含有量は、二軸延伸シート全量基準で0.005~0.300質量%である。ゴム成分の含有量の下限値は、耐折性及び滑性の点で更に優れる観点から、二軸延伸シート全量基準で、好ましくは0.008質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であってもよい。ゴム成分の含有量の上限値は、耐油性及び透明性の点で更に優れる観点から、二軸延伸シート全量基準で、好ましくは0.250質量%以下、より好ましくは0.200質量%以下、更に好ましくは0.150質量%以下であってもよい。
二軸延伸シート全量基準のゴム成分の含有量は、二軸延伸シート1gを秤量し、トルエン200mlに溶解させ24時間常温で撹拌した後に遠心分離を行い、不溶分の質量を測定して、下記式により算出することができる。
ゴム成分の含有量(質量%)={不溶分の質量(g)/1(g)}×100
ゴム成分の含有量(質量%)={不溶分の質量(g)/1(g)}×100
(B)成分に含まれるゴム粒子(ジエン系ゴム成分の粒子)の平均粒子径(Ro)は、1.0μm以上、1.5μm以上、又は2.0μm以上であってよく、9.0μm以下、7.0μm以下、又は5.0μm以下であってよい。Roが上記の下限値以上であると、耐折性及び滑性の点で更に優れる。Roが上記の上限値以下であると、透過光が減少及び散乱光の増加を抑制し、透明性の点で更に優れる。
本明細書において、ゴム粒子の平均粒子径(Ro)は、超薄切片法にて観察面が二軸延伸シートの主面と並行方向となるよう切削し、四酸化オスミウム(OsO4)にてゴム成分を染色した後、透過型顕微鏡にて、100個の粒子について測定した粒子径の算術平均値を意味する。
二軸延伸シートは、紫外線吸収剤、光安定剤、及び酸化防止剤から選ばれる添加剤の1種又は2種以上を更に含有していてもよい。
紫外線吸収剤としては、2-(5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5’-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α、α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3’-t-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-ブチル-2’-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3’,5’-ジ-t-アミル-2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロ・フタルイミドメチル)-5’-メチル-2’-ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-エトキシ-2’-エチル蓚酸ビスアニリド、2-エトキシ-5-t-ブチル-2’-エチル蓚酸ビスアニリド及び2-エトキシ-4’-イソデシルフェニル蓚酸ビスアニリド等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、並びにアルミナ、シリカ、シランカップリング剤及びチタン系カップリング剤等の表面処理剤で処理された酸化チタン等の酸化チタン系紫外線安定剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6,(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]及び1-[2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)及び1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジテトラデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジオクチル-3,3’-チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリスノニルフェニルホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシル)ホスファイト、(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(オクタデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルオクチルホスフォナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)1,4-フェニレン-ジ-ホスフォナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレン-ジ-ホスフォナイト、10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン等の燐系酸化防止剤が挙げられる。
二軸延伸シートは、用途に応じて、二軸延伸シートの性能を損なわない範囲で、その他の添加剤を更に含有してもよい。その他の成分としては、滑剤、離型剤、可塑剤、着色剤(顔料及び染料)、発泡剤、発泡核剤、帯電防止剤、難燃剤、鉱油、補強繊維、充填剤(無機フィラー)などが挙げられる。補強繊維としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等が挙げられる。充填剤(無機フィラー)としては、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。添加剤の合計含有量は、二軸延伸シート全量基準で、例えば1.0質量%以下であってよい。
二軸延伸シートの厚みは、0.20mm以下であり、例えば、0.05mm以上、又は0.10mm以上であってよい。二軸延伸シートは、このように比較的薄いものであるが、後述するとおり大きな配向緩和応力を有しているため、耐折性に優れていると共に、容器強度に優れた容器を形成可能なものとなっている。
二軸延伸シートの、MD(Machine Direction;シート流れ方向)延伸倍率をm、TD(Transverse Direction;シート流れ方向に垂直な方向)延伸倍率をnとしたとき、m×nで示される面倍率は、好ましくは4倍以上であってよく、好ましくは11倍以下、より好ましくは9倍以下であってよい。MD延伸倍率m及びTD延伸倍率nは、それぞれ、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上であってよく、好ましくは3.5倍以下、より好ましくは3.0倍以下であってよい。MD延伸倍率m及びTD延伸倍率nは、互いに同じであってよく異なっていてもよい。m,n,m×nのいずれもが上記範囲内の場合、シートの厚さムラを抑制し、該シートを熱板成形して得られる容器において、容器強度を更に向上させることができる。
本明細書における延伸倍率とは、二軸延伸シートの試験片が加熱前後で変化する割合であり、具体的には、次式:
延伸倍率=Y/Z(単位[倍])
によって算出される値を意味する。この式において、Yは、加熱前に二軸延伸シートの試験片に対して、MD又はTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、JIS K7206に準拠して測定した二軸延伸シートのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。MDに直線を描けばMD延伸倍率が算出され、TDに直線を描けばTD延伸倍率が算出される。
延伸倍率=Y/Z(単位[倍])
によって算出される値を意味する。この式において、Yは、加熱前に二軸延伸シートの試験片に対して、MD又はTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、JIS K7206に準拠して測定した二軸延伸シートのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。MDに直線を描けばMD延伸倍率が算出され、TDに直線を描けばTD延伸倍率が算出される。
二軸延伸シートにおいては、MDの最大配向緩和応力(以下、「a」ともいう)及びTDの最大配向緩和応力(以下、「b」ともいう)は、それぞれ0.6MPa以上である。MDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力は、互いに同じであってよく異なっていてもよい。a,bは、それぞれ、0.65MPa以上、又は0.7MPa以上であってよく、2.0MPa以下、又は1.5MPa以下であってもよい。a,bがそれぞれ上記の下限値以上であると、容器強度及び耐折性に更に優れる。a,bがそれぞれ上記の上限値以下であると、成形性に更に優れる。また、|a-b|(a-bの絶対値)は、MD、TDの収縮力の違いによる成形性不良及び成形品の歪みを抑制できる観点から、好ましくは0.2MPa以下であり、より好ましくは0.1MPa以下である。
二軸延伸シートは、以下の製造方法により得られる。すなわち、まず、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて用いられる任意成分(上述した添加剤)を混合し、公知の条件で押出機によりダイ(特にTダイ)から押し出し、未延伸シートを得る。次いで、未延伸シートを二軸方向に逐次又は同時で延伸することにより、二軸延伸シートを得る。
上述したMDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力を有する二軸延伸シートを得るためには、例えば、延伸時のドロー比及びシートの温度を調整する。MD延伸に続いてTD延伸する逐次延伸により二軸延伸シートを製造する場合、MD延伸は、シートの温度を110℃~120℃とし、ドロー比(下流側ロールの回転速度/上流側ロールの回転速度)を170%~280%として行うことが好ましい。また、TD延伸は、延伸時の雰囲気温度を134℃~143℃として行うことが好ましい。
本実施形態に係る二軸延伸シートは、成形加工により包装容器等の成形品に利用可能である。成形品としては、食品包装容器(すなわち食品を内容物とする包装容器)や食品包装容器の蓋材が好適であり、特に当該食品が油脂を含む食品である場合に好適である。また、食品包装容器、食品包装容器の蓋材は、電子レンジ加熱用、冷蔵用とすることができる。二軸延伸シートが食品包装容器又は食品包装容器の蓋材に用いられる場合、二軸延伸シートに使用される原材料については、食品添加物公定書やポリオレフィン衛生協議会のポジティブリストに登録されているなどの公に衛生性、安定性が認められている材料を用いることが好ましい。
二軸延伸シートから成形品を得る方法としては、市販の一般的な熱板圧空成形機を使用する方法が挙げられる。使用する成形機は、熱板にシートが圧接している時間や圧空による成形する時間、シート圧接から圧空成形に切り替わるタイムラグ、成形サイクル等が設定できるタイプのものが望ましい。これらの方法は例えば、高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。
実施例1~19及び比較例1~5では、以下の実験例1~10のとおりに製造したアクリロニトリル-スチレン共重合体及びジエン系ゴム変性ポリスチレンを用いた。
{実験例1:アクリロニトリル-スチレン共重合体(A-1)の製造}
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、アクリロニトリル25質量%、スチレン75質量%を含有するモノマー溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t-ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に、予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存モノマーと溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-1)を得た。
容積約20Lの完全混合型攪拌槽である第一反応器と容積約40Lの攪拌機付塔式プラグフロー型反応器である第二反応器を直列に接続し、さらに予熱器を付した脱揮槽を2基直列に接続して構成した。表1に記載のとおり、アクリロニトリル25質量%、スチレン75質量%を含有するモノマー溶液85質量部に対し、エチルベンゼン15質量部、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.01質量部、t-ドデシルメルカプタン0.25質量部を混合し原料溶液とした。この原料溶液を毎時6.0kgで125℃に制御した第一反応器に導入した。第一反応器より連続的に反応液を抜き出し、この反応液を流れの方向に向かって125℃から160℃の勾配がつくように調整した第二反応器に導入した。次に、予熱器で160℃に加温した後67kPaに減圧した第一脱揮槽に導入し、さらに予熱器で230℃に加温した後1.3kPaに減圧した第二脱揮槽に導入し残存モノマーと溶剤を除去した。これをストランド状に押出し切断することによりペレット形状のアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-1)を得た。
{実験例2~7:アクリロニトリル-スチレン共重合体(A-2)~(A-7)の製造}
アクリロニトリル及びスチレンの仕込み量を表1のとおりに変更した以外は、実験例1と同様にしてアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-2)~(A-7)を得た。
アクリロニトリル及びスチレンの仕込み量を表1のとおりに変更した以外は、実験例1と同様にしてアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-2)~(A-7)を得た。
{実験例8:ジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-1)の製造}
ゴム状重合体として6.7質量%のローシスポリブタジエンゴム(ジエン55AS(旭化成(株)製))と、88.3質量%のスチレンとを、5.0質量%のエチルベンゼンに溶解させた。また、ゴムの酸化防止剤(イルガノックス1076(BASF(株)製))0.1質量部を添加した。この重合原料を翼径d=0.285[m]の錨型撹拌翼を備えた14リットルのジャケット付き反応器(R-01)に12.5[kg/hr]で供給した。反応温度は140℃、回転数をN[s-1]としたときのN3d2は0.83[m2/s3]で、樹脂率は25%であった。得られた樹脂液を直列に配置した2基の内容積21リットルのジャケット付きプラグフロー型反応器に導入した。1基目のプラグフロー型反応器(R-02)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に120℃~140℃、2基目のプラグフロー型反応器(R-03)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に130℃~160℃の勾配を持つようにジャケット温度を調整した。R-02出口での樹脂率は50%、R-03出口での樹脂率は70%であった。得られた樹脂液は230℃に加熱後、真空度5[torr]の脱揮槽に送られ、未反応モノマー、溶剤を分離・回収した後、脱揮槽からギヤポンプで抜き出し、ダイプレートを通してストランドとした後、水槽を通してペレット化し製品として回収した。得られた樹脂全量を基準とするジエン系ゴム成分の含有量は10質量%であった。
ゴム状重合体として6.7質量%のローシスポリブタジエンゴム(ジエン55AS(旭化成(株)製))と、88.3質量%のスチレンとを、5.0質量%のエチルベンゼンに溶解させた。また、ゴムの酸化防止剤(イルガノックス1076(BASF(株)製))0.1質量部を添加した。この重合原料を翼径d=0.285[m]の錨型撹拌翼を備えた14リットルのジャケット付き反応器(R-01)に12.5[kg/hr]で供給した。反応温度は140℃、回転数をN[s-1]としたときのN3d2は0.83[m2/s3]で、樹脂率は25%であった。得られた樹脂液を直列に配置した2基の内容積21リットルのジャケット付きプラグフロー型反応器に導入した。1基目のプラグフロー型反応器(R-02)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に120℃~140℃、2基目のプラグフロー型反応器(R-03)では、反応温度が樹脂液の流れ方向に130℃~160℃の勾配を持つようにジャケット温度を調整した。R-02出口での樹脂率は50%、R-03出口での樹脂率は70%であった。得られた樹脂液は230℃に加熱後、真空度5[torr]の脱揮槽に送られ、未反応モノマー、溶剤を分離・回収した後、脱揮槽からギヤポンプで抜き出し、ダイプレートを通してストランドとした後、水槽を通してペレット化し製品として回収した。得られた樹脂全量を基準とするジエン系ゴム成分の含有量は10質量%であった。
{実験例9~10:ジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-2)~(B-3)の製造}
実験例8の各種原料仕込み量を調整し、表2に記載のジエン系ゴム成分を含有するジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-2)~(B-3)を得た。
実験例8の各種原料仕込み量を調整し、表2に記載のジエン系ゴム成分を含有するジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-2)~(B-3)を得た。
<実施例1>
実験例1のアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-1)99.0質量%と実験例8のジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-1)1.0質量%をハンドブレンドし、ペレット押出機(真空ベント付き二軸同方向押出機 HyperKTX140MX((株)神戸製鋼所製))を用いて、押出温度230℃、吐出量2600kg/h、回転数110rpm、真空ベントのベント圧力(真空に対する絶対圧力)1.8kPaAにて幅1200mmのTダイを通して未延伸シートを得た。この未延伸シートを冷却ロールにて冷却した後、MDに2.4倍、TDに2.4倍に逐次延伸した。MDの延伸は、上流側2本、下流側2本のロールを用いてシートをニップし、ドロー比(下流側ロールの回転速度/上流側ロールの回転速度)を200%に設定して行った。なお、MD延伸時のシートの温度は、実施例1~19では約115℃、比較例1では約125℃であった。また、TDの延伸は、シートの端部をチャックで掴み、槽内の雰囲気温度(TD延伸温度)を139℃に設定したテンター内で、テンター出口部分でのチャック幅が入口部分でのチャック幅の2.4倍となるよう設定して行った。テンター出口におけるシートの流れ方向の速度は68m/minであり、これを巻き取り張力300Nでロール状に巻き取り、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートの厚みは0.15mmであった。
実験例1のアクリロニトリル-スチレン共重合体(A-1)99.0質量%と実験例8のジエン系ゴム変性ポリスチレン(B-1)1.0質量%をハンドブレンドし、ペレット押出機(真空ベント付き二軸同方向押出機 HyperKTX140MX((株)神戸製鋼所製))を用いて、押出温度230℃、吐出量2600kg/h、回転数110rpm、真空ベントのベント圧力(真空に対する絶対圧力)1.8kPaAにて幅1200mmのTダイを通して未延伸シートを得た。この未延伸シートを冷却ロールにて冷却した後、MDに2.4倍、TDに2.4倍に逐次延伸した。MDの延伸は、上流側2本、下流側2本のロールを用いてシートをニップし、ドロー比(下流側ロールの回転速度/上流側ロールの回転速度)を200%に設定して行った。なお、MD延伸時のシートの温度は、実施例1~19では約115℃、比較例1では約125℃であった。また、TDの延伸は、シートの端部をチャックで掴み、槽内の雰囲気温度(TD延伸温度)を139℃に設定したテンター内で、テンター出口部分でのチャック幅が入口部分でのチャック幅の2.4倍となるよう設定して行った。テンター出口におけるシートの流れ方向の速度は68m/minであり、これを巻き取り張力300Nでロール状に巻き取り、二軸延伸シートを得た。得られた二軸延伸シートの厚みは0.15mmであった。
<実施例2~19及び比較例1>
アクリロニトリル-スチレン共重合体とジエン系ゴム変性ポリスチレンの組成(以下「樹脂組成」ともいう)及びシート作製条件を表3、表4に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、二軸延伸シート(実施例2~19、比較例1)を得た。
アクリロニトリル-スチレン共重合体とジエン系ゴム変性ポリスチレンの組成(以下「樹脂組成」ともいう)及びシート作製条件を表3、表4に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして、二軸延伸シート(実施例2~19、比較例1)を得た。
得られたシートについて、以下の方法にて物性測定、性能評価を行った。結果を表3、表4に示す。
[延伸倍率]
二軸延伸シートの試験片に対して、MD及びTDに100mmの直線Yを引き、JIS K7206に準拠して測定したシートのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させ、23℃で1時間静置した後に常温で上記直線の長さZ[mm]を測定し、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によってMD延伸倍率、TD延伸倍率、面倍率を算出した。
二軸延伸シートの試験片に対して、MD及びTDに100mmの直線Yを引き、JIS K7206に準拠して測定したシートのビカット軟化点温度より30℃高い温度のオーブンに、上記試験片を60分間静置し収縮させ、23℃で1時間静置した後に常温で上記直線の長さZ[mm]を測定し、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によってMD延伸倍率、TD延伸倍率、面倍率を算出した。
[最大配向緩和応力、配向緩和応力の差]
二軸延伸シートから幅20mm×長さ200mmの試験片を得た。その試験片の両端を固定し、130℃のオイルバスに浸漬した後、荷重が最大となった時の応力値を算出した。その時のMDの応力値を最大配向緩和応力(a)とし、TDの応力値を最大緩和応力(b)とし、配向緩和応力の差として|(a)-(b)|を求めた。
二軸延伸シートから幅20mm×長さ200mmの試験片を得た。その試験片の両端を固定し、130℃のオイルバスに浸漬した後、荷重が最大となった時の応力値を算出した。その時のMDの応力値を最大配向緩和応力(a)とし、TDの応力値を最大緩和応力(b)とし、配向緩和応力の差として|(a)-(b)|を求めた。
[引張弾性率]
JIS K7127に準じ、二軸延伸シートから同JISに記載のタイプ5の試験片をMD、TDで各10枚ずつ得た。卓上形精密万能試験機(AGS-100NX((株)島津製作所製))を用いて各試験片についてそれぞれ試験を行い、20枚の平均値から引張弾性率を測定した。
なお引張速度は5mm/secで試験片が破断するまで試験を行い、ひずみ0.2%と0.4%における応力からSecant法に基づき引張弾性率を算出した。
JIS K7127に準じ、二軸延伸シートから同JISに記載のタイプ5の試験片をMD、TDで各10枚ずつ得た。卓上形精密万能試験機(AGS-100NX((株)島津製作所製))を用いて各試験片についてそれぞれ試験を行い、20枚の平均値から引張弾性率を測定した。
なお引張速度は5mm/secで試験片が破断するまで試験を行い、ひずみ0.2%と0.4%における応力からSecant法に基づき引張弾性率を算出した。
[耐折性]
二軸延伸シートから幅15mm×長さ100mmの試験片を得た。JIS P8115に準じ、試験片をMIT 耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製)にセットした。試験速度175rpm、折り曲げ角度90°、荷重1kgの条件で屈曲試験を行い、破断に至るまでの屈曲回数をカウントした。試験片10枚(MD、TDを長さ方向としたもの各5枚)についてそれぞれ試験を行い、10枚の平均値(平均屈曲回数)を算出した。
二軸延伸シートから幅15mm×長さ100mmの試験片を得た。JIS P8115に準じ、試験片をMIT 耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製)にセットした。試験速度175rpm、折り曲げ角度90°、荷重1kgの条件で屈曲試験を行い、破断に至るまでの屈曲回数をカウントした。試験片10枚(MD、TDを長さ方向としたもの各5枚)についてそれぞれ試験を行い、10枚の平均値(平均屈曲回数)を算出した。
[容器強度]
熱板成形機(HPT-400A((株)脇坂エンジ二アリング製))にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で、フードパック(寸法 蓋:縦150mm×横130mm×高さ30mm、本体:縦150mm×横130mm×高さ20mm)を成形した。得られたフードパックの上にアクリル板(寸法:縦150mm×横130mm×高さ2mm)を乗せ、卓上形精密万能試験機(AGS-100NX((株)島津製作所製))を用いて、アクリル板上部中央を圧縮治具(φ50mm固定式圧盤)により速度5mm/minで押し込み、容器が座屈した時のストロークを測定した(雰囲気温度23℃)。この際、アクリル板と治具が接した位置を0mmとした。
熱板成形機(HPT-400A((株)脇坂エンジ二アリング製))にて、熱板温度135℃、加熱時間2.0秒の条件で、フードパック(寸法 蓋:縦150mm×横130mm×高さ30mm、本体:縦150mm×横130mm×高さ20mm)を成形した。得られたフードパックの上にアクリル板(寸法:縦150mm×横130mm×高さ2mm)を乗せ、卓上形精密万能試験機(AGS-100NX((株)島津製作所製))を用いて、アクリル板上部中央を圧縮治具(φ50mm固定式圧盤)により速度5mm/minで押し込み、容器が座屈した時のストロークを測定した(雰囲気温度23℃)。この際、アクリル板と治具が接した位置を0mmとした。
表3及び表4から分かるとおり、所定の組成を有する二軸延伸シートにおいて、厚みを薄くした(例えば0.20mm以下にした)場合であっても、MDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力をそれぞれ0.6MPa以上とすることにより、耐折性に優れた二軸延伸シートが得られ、かつ、当該二軸延伸シートから容器強度に優れた容器を形成することができる(実施例1~19)。一方、実施例と同じ組成及び厚みを有する二軸延伸シートであっても、MDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力がそれぞれ0.6MPa未満である場合は(比較例1)、耐折性に優れた二軸延伸シートが得られず、かつ、当該二軸延伸シートから容器強度に優れた容器を形成することもできない。
さらに、他の性能についても以下のとおり評価を行った。これに際し、比較例2~5として、樹脂組成及びシート作製条件を表5に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にして二軸延伸シートを得た。実施例1~19、比較例1~5の各シートについての結果を表6~表8に示す。
[耐油性]
上記[容器強度]試験と同様に成形したフードパックの中央にサラダ油(日清オイリオグループ(株)製)、マヨネーズ(味の素(株)製)、ココナードML(花王(株)製)の試験液をしみ込ませたガーゼ縦10mm×横10mmを貼り付け、60℃のオーブンにて24時間静置し、付着部の表面を観察して、下記の基準で評価した。なお、耐油性評価がAまたはBであれば耐油性に優れているといえ、Aであれば耐油性に特に優れているといえる。
A:変化無し
B:わずかに白化あり
C:著しい白化、割れあり
上記[容器強度]試験と同様に成形したフードパックの中央にサラダ油(日清オイリオグループ(株)製)、マヨネーズ(味の素(株)製)、ココナードML(花王(株)製)の試験液をしみ込ませたガーゼ縦10mm×横10mmを貼り付け、60℃のオーブンにて24時間静置し、付着部の表面を観察して、下記の基準で評価した。なお、耐油性評価がAまたはBであれば耐油性に優れているといえ、Aであれば耐油性に特に優れているといえる。
A:変化無し
B:わずかに白化あり
C:著しい白化、割れあり
[成形性]
上記[容器強度]試験と同様にして、フードパックを100枚成形し、成形不良品(寸法と異なる形状またはコーナー部に形状不良を有するもの)の枚数を調べた。なお、枚数が5枚以下であれば成形性良好といえ、枚数は少ないほど好ましい。
上記[容器強度]試験と同様にして、フードパックを100枚成形し、成形不良品(寸法と異なる形状またはコーナー部に形状不良を有するもの)の枚数を調べた。なお、枚数が5枚以下であれば成形性良好といえ、枚数は少ないほど好ましい。
[透明性]
JIS K7361-1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色工業(株))により、二軸延伸シートのヘーズを測定した。なお、ヘーズが2.0%未満であれば透明性に優れているといえ、ヘーズの値は小さいほど好ましい。
JIS K7361-1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色工業(株))により、二軸延伸シートのヘーズを測定した。なお、ヘーズが2.0%未満であれば透明性に優れているといえ、ヘーズの値は小さいほど好ましい。
[滑性]
上記[容器強度]試験と同様に成形したフードパックの平滑な天面から切り出した二軸延伸シートの食品接触面と食品非接触面を重ねた状態にて、JIS P8147紙及び板紙-静及び動摩擦係数の測定方法に準じた方法にて摩擦角(滑り始める角度)を測定した。なお、摩擦角が30°未満であれば滑性に優れているといえ、摩擦角は小さいほど好ましい。
上記[容器強度]試験と同様に成形したフードパックの平滑な天面から切り出した二軸延伸シートの食品接触面と食品非接触面を重ねた状態にて、JIS P8147紙及び板紙-静及び動摩擦係数の測定方法に準じた方法にて摩擦角(滑り始める角度)を測定した。なお、摩擦角が30°未満であれば滑性に優れているといえ、摩擦角は小さいほど好ましい。
Claims (7)
- アクリロニトリル及びスチレンをモノマー単位として含む共重合体と、
ジエン系ゴム成分を含むジエン系ゴム変性ポリスチレンと、
を含有する二軸延伸シートであって、
前記アクリロニトリルの含有量が、二軸延伸シート全量基準で11.6~36.0質量%であり、
前記ジエン系ゴム成分の含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.005~0.300質量%であり、
前記二軸延伸シートの厚みが0.20mm以下であり、
前記二軸延伸シートのMDの最大配向緩和応力及びTDの最大配向緩和応力が、それぞれ0.6MPa以上である、二軸延伸シート。 - 前記共重合体の含有量が、二軸延伸シート全量基準で97.0~99.9質量%である、請求項1に記載の二軸延伸シート。
- 前記アクリロニトリルの含有量が、前記共重合体に含まれるモノマー単位全量基準で12~36質量%である、請求項1又は2に記載の二軸延伸シート。
- 前記ジエン系ゴム変性ポリスチレンの含有量が、二軸延伸シート全量基準で0.1~3.0質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の二軸延伸シート。
- 前記厚みが0.10mm以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の二軸延伸シート。
- 前記ジエン系ゴム変性ポリスチレンに含まれる前記ジエン系ゴム成分の粒子の平均粒子径が、1.5~9.0μmである、請求項1~5のいずれか一項に記載の二軸延伸シート。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の二軸延伸シートで形成された包装容器。
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