JP6423665B2 - 二軸延伸スチレン系樹脂積層シート、成形品および食品包装容器 - Google Patents

二軸延伸スチレン系樹脂積層シート、成形品および食品包装容器 Download PDF

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Description

本発明は、電子レンジで使用可能な耐油性ポリスチレン系樹脂シートおよびそれから成形してなる容器に関する。さらに詳しくは、透明性、耐折強度、成形性、リサイクル性に優れ、かつ耐油性、耐熱性を有することにより、特に電子レンジで加熱する食品の包装容器の用途に好適に用いることができる二軸延伸スチレン系樹脂積層シート及び成形品に関する。
ポリスチレン系二軸延伸シートは、主として食品包装用の軽量容器に大量に使用されているが、これはポリスチレンが高い透明性、光沢、剛性を有することに加え、欠点である脆さを二軸延伸工程での分子配向によって改良でき、かつ、熱成形法による容器成形が容易であり、原料がリサイクル可能で、さらには原料価格が安価であるという特徴によるものである。
しかし近年、コンビ二エンスストア等において、電子レンジ加熱用容器の需要が増えているが、汎用のポリスチレン(GPPS)からなる容器では、耐熱性や耐油性は十分に有していない。
そこで、ポリスチレンの耐熱性、耐油性を高める手段として、スチレン−メタクリル酸共重合体やスチレン−無水マレイン酸共重合体等の耐熱性スチレン樹脂を使用した耐熱性ポリスチレン系樹脂シートが提案されている(特許文献1〜2)。しかし、特許文献1〜2に記載の延伸シートを熱成形して得た容器は、耐熱性においては市場の要求を満足できるものの、耐油性においては十分でなく、特に油の多い食品を電子レンジで加熱調理した際に、白化したり、亀裂が生じたりする問題があった。
そこで、耐油性の高い樹脂であるポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートを用いたシートの使用が検討されている。しかしながら、ポリスチレン系シートと比較して、ポリプロピレンシートは透明性が低く内容物の視認性が悪い。また、低剛性のため、店頭で段積み陳列が出来ない、レンジ加熱後に変形し蓋が外れてしまう、などの課題がある。また、ポリエチレンテレフタレートシートは樹脂の耐熱性低くかつ低剛性のため、60℃以上で使用すると著しい変形が見られる点などの課題がある。
これらのことから、耐熱性ポリスチレン系シートは透明性、剛性、耐熱性を兼ね備えた食品包装用容器に好適なシートであると言え、唯一の欠点である耐油性について改善が求められてきた。
この問題を解決するため、スチレン系樹脂の表層に耐油性の高い樹脂を積層することにより、耐油性を改善する方法が提案されている(特許文献3〜5)。しかし、特許文献3〜4に記載の方法では、耐油性は改善されるものの、基材層の耐熱性が十分でなく、電子レンジで食品を加熱した際に変形が生じ、また特許文献5に記載の方法では、耐熱性、耐油性ともに改善されているものの、表層の耐折強度が足りず、成型時や打ち抜き時の衝撃によってひび割れが生じることから、電子レンジ食品容器用としての透明性、強度、耐熱性、耐油性を両立するような性能は見出せていない。
また、上記のポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートを接着剤を介することによってスチレン系樹脂シートに積層し、耐油性を改善する方法が提案されている(特許文献6〜7)。特許文献6〜7に記載の方法では、上述の電子レンジ食品容器用としての性能は満たしているものの、後述するリサイクル性を有していないために、多量のシート片が廃棄物として発生し、それを処理することによる環境面での悪影響や、製造コストの増加を及ぼす懸念がある。
一般に、樹脂シートの製造においては、シート幅を必要サイズにカットした際に発生するフラフとよばれるシート片、容器成形時に、成形したシートから成型部を打ち抜いたスケルトンと呼ばれる残渣などが発生する。実際の生産工程では、これらのシート片を製造時に再び原料系と混合することによって、コストや環境への負荷を抑える工夫をしているが、このときの原料とリサイクルシート片との相溶性が悪い場合、製品性能の低下を招く恐れがある。
特許文献6〜7に記載の方法では、ポリスチレンに非相溶な異素材を使用するため、リサイクル時に不透明化、強度の低下を引き起こし、食品容器用としての使用は見込めない。これら食品包装用の積層シートには、このようにリサイクル性を踏まえた材料設計が必要である。
特開昭62−25031号公報 特開昭63−104817号公報 特許3909881号公報 特許4580078号公報 特許4053022号公報 特開平6−87191号公報 特開平4−145155号公報
本発明は、電子レンジで加熱する食品の包装容器として好適な耐熱性及び耐油性を有し、スチレン系樹脂シートとして本来有するべき透明性、耐折強度、成形性を損なうことなく、さらに原料へのリサイクルが可能な二軸延伸スチレン系樹脂積層シート及びそれから形成される包装容器を提供することを課題とする。
本発明者らは、二軸延伸スチレン系樹脂積層シートにおいて、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、積層構成が特定の成分からなることを特徴とする二軸延伸積層シート、及びその成型品を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)基材層とその少なくとも片面に表層を有し、表層の樹脂組成物(A)がスチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を含有する共重合体からなり、基材層の樹脂組成物(B)がスチレン系単量体単位及びメタクリル酸単量体単位を含有する共重合体からなることを特徴とする、二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
(2)表層の樹脂組成物(A)がメチルメタクリレート単量体単位を40〜100質量%含有する共重合体からなり、基材層の樹脂組成物(B)がメタクリル酸単量体単位を4〜14質量%含有する共重合体からなることを特徴とする、上記(1)に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
(3)基材層の樹脂組成物(B)の50Nにおけるビカット軟化点が108〜130℃であることを特徴とする、上記(2)に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
(4)積層シートの縦方向の配向緩和応力をσM[MPa]、横方向の配向緩和応力をσT[MPa]とした場合、下記の式1〜式3の全てを満たすことを特徴とする上記(3)に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
│σM−σT│≦0.2 ・・・式1
0.3≦σM≦1.2 ・・・式2
0.3≦σT≦1.2[MPa] ・・・式3
(5)食品接触面の表層(a)の厚みを(x)[μm]、基材層(b)の厚みを(y)[μm]とした場合、下記の式4を満たすことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
(x)/(y)=10〜100/100〜400 ・・・式4
(6)食品接触面の表層(a)の厚みを(x)[μm]、基材層(b)の厚みを(y)[μm]、他方の面の表層(c)の厚みを(z)[μm]とした場合、下記の式5を満たすことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
(x)/(y)/(z)=10〜100/100〜400/10〜100 ・・・式5
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シートを熱成形してなる成形品。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シートを熱成形してなる食品包装容器。
(9)電子レンジ加熱用途であることを特徴とする(7)に記載の成形品。
(10)電子レンジ加熱用途であることを特徴とする(8)に記載の食品包装容器。
本発明は特定の樹脂の組み合わせにより、耐熱性、耐油性に優れ、かつ透明性、耐折強度、成形性とバランスの取れ、さらにリサイクル性良好なシート及びそれから形成される容器を提供するものであり、得られた容器は電子レンジで加熱する食品の包装用途として好適に用いられるものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する基材層の樹脂組成物(A)、(B)を構成するスチレン系単量体単位とは、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェ二ルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等をあげることができるが、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、特に好ましくはスチレンである。これらスチレン系単量体は、単独でもよいが二種類以上を併用してもよい。
また、必要に応じて共重合可能なビ二ル系単量体単位、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンなどの不飽和炭化水素系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロ二トリルなどの不飽和二トリル系単量体、(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェ二ルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体等を含有した共重合体であってもよい。
本発明で使用する樹脂組成物(A)の(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、好ましくは、メチルメタクリレートである。これら(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位は、単独で用いてもよく二種類以上を併用してもよい。
樹脂組成物(A)には、必要に応じて共重合可能なビ二ル系単量体単位、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリロ二トリルなどの不飽和二トリル系単量体、(メタ)アクリル酸等の不飽和アミド酸単量体、(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェ二ルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物単量体等を含有した共重合体であってもよい。
表層の樹脂組成物(A)の(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位の質量分率は40〜100質量%が好ましく、より好ましい範囲は60〜100質量%、更に好ましい範囲は、75〜100質量%である。この値が低いと、耐油性が低下し、食品と電子レンジ加熱した際に、白化、亀裂が生じやすい。
樹脂組成物(B)を構成するメタクリル酸の質量分率は4〜14質量%であることが望ましく、より好ましい範囲は8〜12質量%である。この値が低いと、前記樹脂組成物(A)との相溶性が低下するため、積層シートのスクラップをリサイクルした際に透明性、強度が低下する。また、この値が高すぎると、製膜時の押出工程においてメタクリル酸が無水化物を形成し、製膜時にゲルとしてシート中に現れるため、シートの外観、透明性が悪化する。
基材層の樹脂組成物(B)のビカット軟化点は108〜130℃が好ましく、より好ましい範囲は112〜126℃であり、更に好ましい範囲は116〜124℃である。ここでビカット軟化点とはJIS−K7206に準拠して測定した樹脂の軟化点をいう。この値が低いと、耐熱性が低下し、食品温度が100℃以上となる電子レンジでの加熱時に変形を及ぼす。また、この値が高いと、熱成型における成形性と容器外観の両立が難しくなる。具体的には、低い成型温度では基材層は十分に軟化せず成形性が悪くなり、成形性が改善するような高い成型温度では、表層にレインドロップと呼ばれる表面凹凸が発生しやすく、容器の外観が悪化する。
樹脂組成物(B)には、必要に応じて公知の補強ゴム、例えばブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が含まれていても差し支えないが、補強ゴムは、透明性の観点から、樹脂組成物(B)100質量部に対し、10質量部未満であることが好ましい。
二軸延伸スチレン系樹脂積層シートにおいて、その縦方向の配向緩和応力をσM、横方向の配向緩和応力をσTとした場合、|σM−σT|≦0.2[MPa]が望ましく、好ましい範囲は、0≦|σM−σT|≦0.1[MPa]、より好ましい範囲は、0≦|σM−σT|≦0.02[MPa]である。ここでいう配向緩和応力とは、シート押出方向(縦方向)あるいはそれに垂直な方向(横方向)にそってシートより切り出した試験片を用いて測定するものであり、ASTMD1504に準じて測定できる。縦方向と横方向の配向緩和応力の差が大きいと、熱成形の際の伸び率の異方性が大きく、成形性が低下する。
また、配向緩和応力σM及びσTの範囲は0.3〜1.2[MPa]が望ましく、好ましい範囲は0.4〜1.0[MPa]であり、より好ましい範囲は0.5〜0.8[MPa]である。配向緩和応力が低いと耐折強度が低下し、成形時や巻取り時にひび割れが発生しやすい。また、高すぎると熱成形の際の伸びが低下し成形性を悪化させる。
本発明の二軸延伸スチレン系樹脂積層シートの層構成としては、容器成形に供する際に容器の食品接触面が表層となるようにすれば制限はないが、シートの製造、成形性、耐油性とのバランス等を考えると、表層/基材層の2層構造または表層/基材層/表層の3層構造のものが好ましく、表層/基材層/表層の3層構造のものがさらに好ましい。2層構造のものは容器の内面のみで耐油性を発揮するが、3層構造のものは容器の内面及び外面で耐油性を発揮するため、万一容器外部に食品が接触した際にも、油による白化、亀裂が生じにくい。
また、必要によっては、本発明の特性が損なわれない範囲内で、接着層、帯電防止層、印刷層その他の樹脂よりなる付加層を加えても良い。
食品接触面の表層(a)の厚みを(x)[μm]、基材層(b)の厚みを(y)[μm]、他方の面の表層(c)の厚みを(z)[μm]とした場合、各層の厚み比は、2層構造の場合(x)/(y) = 10〜100/100〜400、3層構造の場合(x)/(y)/(z) = 10〜100/100〜400/10〜100の範囲であることが望ましく、さらに2層構造の場合(x)/(y) = 20〜50/200〜300、3層構造の場合(x)/(y)/(z) = 20〜50/200〜300/20〜50の範囲であることが好ましい。厚み(x)および(z)が10μmより小さいと、油の接触により基材が侵されやすく、耐油性が十分でない。厚み(x)および(z)が100μmより大きいと、熱成形の際に基材層が十分に加熱される前に表層が軟化し、熱板や金型への融着が起こりやすく、成形時の外観低下を招く。また、厚み(y)が100μmより小さいと、食品の加熱により基材が変形しやすく、耐熱性が十分でない。また、厚み(y)が400μmを超えると、成形工程において成形品をトリミング刃で抜く際、抜きの不良やシートの割れが発生しやすい。なお表層(a)、他方の面の表層(c)は同一の樹脂組成物でも異種の樹脂組成物でも良く、それぞれの厚みは同一でも異なっていても良い。
層の厚み(x)〜(z)の確認方法としては、例えば表層のみを着色し、製膜後の積層シートをミクロトーム等の鋭利な刃物で切削後、その断面を光学式顕微鏡で観察し測定する方法がある。簡易的には製膜時の樹脂吐出量の比をもって層比に置き換えても良い。
二軸延伸スチレン系樹脂積層シートの製造方法については、特に制限はなく、従来の積層シートの製造及びポリスチレン系シートの二軸延伸において慣用されている方法を選択することができる。具体的には、(1)2台の押出機を用い、それぞれより樹脂組成物(A)及び樹脂組成物(B)を溶融押出し、マルチマ二ホールドダイやフィードブロックを用いた多層共押出法により一括して積層シートを得、次いで従来より公知の方法で二軸方向に延伸する方法、(2)樹脂組成物(A)及び樹脂組成物(B)のうち一方の樹脂からなるシートを予め用意し、その上に他方の樹脂を押出ラミネート法等により積層し、次いでこの積層シートを二軸方向に延伸する方法、(3)あらかじめ樹脂組成物(A)及び樹脂組成物(B)の延伸単層シートを別々に得た後、それぞれのシートを熱ラミネート法、ドライラミネート法等により積層する方法等が挙げられる。
二軸延伸スチレン系樹脂積層シートは、シート化の為に溶融混練時あるいは原料製造時に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、発泡剤、発泡核剤、無機フィラー、帯電防止剤等公知の添加剤を含有することができる。
二軸延伸スチレン系樹脂積層シートから成形品を得る方法としては、特に制限はなく、従来の二軸延伸積層シートの成形方法において慣用されている方法を用いることができ、例えば、真空成形法や圧空成形法等の熱成形により得ることができる。これらの方法は例えば高分子学会編「プラスチック加工技術ハンドブック」日刊工業新聞社(1995)に記載されている。
以下に実施例と比較例を用いて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例において使用した樹脂組成物(A−1)〜(A−5)、樹脂組成物(B−1)〜(B−5)の製造方法を示す。
樹脂組成物(A−1)
内容積200リットルの重合缶に、純水70.4kg、第三リン酸カルシウム300g
を加え、攪拌した後、メチルメタクリレート80.0kg、ベンゾイルパーオキサイド267.2gを加え、密封して100℃で6時間反応させた。これを冷却した後、中和、脱水、乾燥した。
樹脂組成物(A−2)
メチルメタクリレート60.0kg、スチレン20.0kgとした以外は、上記樹脂組成物(A−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、メチルメタクリレート/スチレン質量組成比は75/25であった。
樹脂組成物(A−3)
メチルメタクリレート40.0kg、スチレン40.0kgとした以外は、上記樹脂組成物(A−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート/スチレン質量組成比は50/50であった。
樹脂組成物(A−4)
メチルメタクリレート20.0kg、スチレン60.0kgとした以外は、上記樹脂組成物(A−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、メチルメタクリレート/スチレン質量組成比は25/75であった。
樹脂組成物(A−5)
スチレン80.0kgとした以外は、上記樹脂組成物(A−1)と同様の操作をして重合体を得た。
樹脂組成物(B−1)
内容量200Lのジャケット、攪拌機付きオートクレーブに純水100kg、ポリビ二ルアルコール100gを加え、130rpmで攪拌した。続いてスチレン72.0kg、メタクリル酸4.0kg及びt−ブチルパーオキサイド20gを仕込み、オートクレーブを密閉して、110℃に昇温して5時間重合を行った(ステップ1)。また、4.0kgのメタクリル酸を、重合温度が110℃に達した時点から2時間かけて、均等に追加添加した(ステップ2)。さらに140℃で3時間保持し、重合を完結させた(ステップ3)。得られたビーズを洗浄、脱水、乾燥した後、押出してペレット形状の樹脂を得た。これを熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、スチレン/メタクリル酸質量組成比は90/10であった。
樹脂組成物(B−2)
ステップ1にてスチレンを76.8kg、メタクリル酸を1.6kg仕込み、ステップ2にて1.6kgのメタクリル酸を追加添加したほかは、上記樹脂組成物(B−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、スチレン/メタクリル酸質量組成比は96/4であった。
樹脂組成物(B−3)
ステップ1にてスチレンを69.8kg、メタクリル酸を5.6kg仕込み、ステップ2にて5.6kgのメタクリル酸を追加添加したほかは、上記樹脂組成物(B−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、スチレン/メタクリル酸質量組成比は86/14であった。
樹脂組成物(B−4)
ステップ1にてスチレンを64.0kg、メタクリル酸を8.0kg仕込み、ステップ2にて8.0kgのメタクリル酸を追加添加したほかは、上記樹脂組成物(B−1)と同様の操作をして共重合体を得た。これを上記同様の分析を実施した結果、スチレン/メタクリル酸質量組成比は80/20であった。
樹脂組成物(B−5)
上記樹脂組成物(A−5)と同様の操作をして重合体を得た。
上記製造方法にて得られた樹脂(A−1)〜(A−5)、樹脂(B−1)〜(B−5)のビカット軟化点を測定した。これらの樹脂組成と得られたビカット軟化点の結果を表1に示す。
次に、本発明における測定法、評価法を以下に説明する。
(1)ビカット軟化点
JIS−K7206に準拠して、樹脂(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−5)を各々用いて、試験片として厚み3.2mmの射出成型品を成形後、23℃×50%の恒温恒温室にて24時間放置し、状態調整を行い、50Nのウェイトを使用し、50℃/hr.の昇温速度で温度上昇させ、試験片に圧子が1mm進入したときの温度を記録した。これを3回繰り返しその平均値を採用した。
(2)配向緩和応力
ASTM D1504に準じて、実施例にて得られたシートの押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)での配向緩和応力の最大値を測定した。
(3)透明性
JIS K−7361−1に準じ、実施例にて得られたシートのヘーズメーターNDH5000(日本電色社)により測定した。測定には実施例にて得られたシートを用いた。
○:ヘーズ1.5%未満
△:ヘーズ1.5〜3.0%
×:ヘーズ3.0%以上
(4)耐折性
ASTM D2176に準じて、シート押出方向(縦方向)とそれに垂直な方向(横方向)の耐折曲げ強さを測定した。縦横の平均値を求め評価した。
○:5回以上
△:2回以上、5回未満
×:2回未満
(5)成形性
熱板成型機HPT−400A(脇坂エンジ二アリング製)にて、熱板温度145℃、加熱時間2.0秒の条件で、弁当蓋(寸法 縦241×横193×高さ28mm)を成形し、外観を評価した。
○:良好
△:表面の荒れによる軽微な白化、レインドロップ、形状不良
×:表面の荒れによる著しい白化、レインドロップ、形状不良(製品化できない)
(6)耐熱性
上記成形条件で得られた弁当蓋を110℃に設定した熱風乾燥機に60分間入れた後、容器の変形を目視で観察した。
○:変形なし
△:軽微な変形、外寸変化5%未満
×:大変形、外寸変化5%以上
(7)耐油性
弁当蓋の中央にサラダ油(日清製油社製)、マヨネーズ(キユーピー社製)を試験液としてしみ込ませたガーゼ10×10mmを貼り付け、60℃オーブンにて24時間静置し、付着部の表面観察を行った。
○:変化無し
△:わずかに白化あり
×:著しい白化、穴あき
(8)電子レンジ加熱耐性
弁当蓋中央に5mm×5mmの範囲でマヨネーズを9点付着させ、容器本体に水300gを入れ、蓋容器をかぶせて1500Wの電子レンジで90秒間加熱した後、マヨネーズ付着部分の様子を目視で評価した。
○:変化なし
△:容器がわずかに変形
×:白化あり、穴あきあり、容器が著しく変形(製品化できない)
(9)リサイクル性
実施例より得られたシートを粉砕したものを射出成型機(日精 Injection Molding Machine FS−55)、樹脂温度230℃、金型温度70℃にて2mm厚みプレートを成形した後、このプレートをJIS K−7361−1に準じ、ヘーズメーターNDH5000(日本電色社)により測定した。
○:ヘーズ3.0%未満
△:ヘーズ3.0〜5.0%
×:ヘーズ5.0%以上
(実施例1)
樹脂(A−1)を押出機A(田辺プラスチックス機械 VS40−36ベント式単軸横型)にて、樹脂(B−1)を押出機B(王牌机機 SJ−40/30単螺螺杆擠出机)にて押出し、フィードブロック、コートハンガー式Tダイを介して共押出し、表層/基材層の層比が1/9である2種2層シートを得た。このシートをバッチ式二軸延伸機(東洋精機)にて、縦及び横方向に2.4倍に延伸し、二軸延伸シートを得た。この積層シートをミクロトームで切削後、その断面を光学式顕微鏡で観察し厚みを計測したところ、表層厚み(a)/基材層厚み(b)はそれぞれ25/225(μm)であった。また、積層シートの押出方向(MD)とそれに垂直な方向(TD)での配向緩和応力の最大値を測定したところ、MD/TDで0.6/0.6(MPa)であった。以上の結果を表2にまとめた。
(実施例2〜13)及び(比較例1〜11)
表層及び基材層に使用した樹脂、層の厚み比率、配向緩和応力のうち一部を変えた他は、実施例1と同様の方法で2種2層二軸延伸シートを得て、評価を行った。以上の結果を表2、表3にまとめた。
(実施例14〜15)及び(比較例12)
実施例1に用いたものと同じ樹脂、押出機を用いて共押出し、層の構成および厚み比率を変え、表層/基材層/表層の2種3層シートを得た。これを同様の手法で延伸し、所定の層比の二軸延伸シートを得て、評価を行った。以上の結果を表2、表3にまとめた。
表2、表3に示すように、実施例に示すシートは各性能ともに良好であり、バランスのとれたシートであるが、比較例に示すシートは透明性、耐折性、成形性、耐熱性、耐油性、レンジ耐性、リサイクル性の一部が不十分であり、実用性の低いシートである。


Claims (7)

  1. 表層(a)/基材層(b)の2層構造、又は、表層(a)/基材層(b)/表層(c)の3層構造を有する二軸延伸スチレン系樹脂積層シートであって、
    前記表層(a)及び前記表層(c)は、それぞれ、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を40〜100質量%含有する重合体のみからなり、
    前記基材層(b)は、スチレン系単量体単位及びメタクリル酸単量体単位を含有し、前記メタクリル酸単量体の含有量が4〜14質量%である共重合体からなり、
    前記積層シートの縦方向の配向緩和応力をσM[MPa]、横方向の配向緩和応力をσT[MPa]とした場合、下記の式1〜式3の全てを満たし、
    │σM−σT│≦0.2 ・・・式1
    0.3≦σM≦1.2 ・・・式2
    0.3≦σT≦1.2 ・・・式3
    前記積層シートが前記2層構造を有する場合、前記表層(a)の厚みが10〜100μmであり、かつ前記基材層(b)の厚みが100〜400μmであり、
    前記積層シートが前記3層構造を有する場合、前記表層(a)の厚みが10〜100μmであり、前記基材層(b)の厚みが100〜400μmであり、かつ前記表層(c)の厚みが10〜100μmであることを特徴とする、二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位がメチルメタクリレート単量体単位である、請求項1に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
  3. 前記基材層(b)の50Nにおけるビカット軟化点が108〜130℃であることを特徴とする、請求項1または2に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シートからなる成形品。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸スチレン系樹脂積層シートからなる食品包装容器。
  6. 電子レンジ加熱用途であることを特徴とする請求項4に記載の成形品。
  7. 電子レンジ加熱用途であることを特徴とする請求項5に記載の食品包装容器。
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