JP2007237732A - 耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品 - Google Patents

耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】
薄肉軽量化しても割れにくく、熱成形するときに型再現性が良好で、かつ、高速で熱成形しても、型再現性不良やブリッジなどによる不良品が発生しにくい耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートおよびそのシートを原料とした成形品を提供する。
【解決手段】
第1発明では、ゴム成分の含有量が4.0〜12.0重量%の耐衝撃性ポリスチレンからなり、かつ、(1)延伸倍率が、縦方向および横方向ともに2.1〜2.7倍、および(2)縦方向の熱収縮応力が0.30〜0.60MPaであり、かつ、横方向の熱収縮応力が0.30〜0.55MPa、を同時に満たすことを特徴とする、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを提供し、第2発明では、上記1発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを原料とし、熱成形法によって製造されたものであることを特徴とする成形品を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品に関する。さらに詳しくは、熱成形(二次成形)における型再現性不良やブリッジの発生などによる不良成形品発生率を少なくし、高速成形性に優れた耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートおよび上記シートを熱成形法によって製造された箱型容器、コップ、盆、皿などの成形品に関する。
従来、一般用ポリスチレン(以下、GPPSと記載することがある)、およびグラフト型のゴム変性ポリスチレンからなる耐衝撃性ポリスチレン(以下、HIPSと記載することがある)の二軸延伸シートは、これらの樹脂組成物から製造でき、ASTM D1003に準拠して測定したヘイズの値で成形品としての用途が次のように異なる。これらHIPS製二軸延伸シートは、(イ)ゴム成分の含有量が少なく、二軸延伸シートのヘイズ値が3%以下の場合は、剛性、成形性に優れるほか、透明性にも優れており、収納した食品の種類・外観を容易に確認できるので、弁当などの蓋体、容器本体、蓋付容器などの製造用の原料シートとして利用され、(ロ)ゴム成分の含有量が多く、二軸延伸シートのヘイズ値が4%以上の場合は、剛性、成形性、耐油性に優れるほか、耐衝撃性にも優れているので、生鮮、乾物、菓子などの食品を収納する箱型容器本体、蓋付容器、コップ、蓋なし容器(盆、皿)、蓋など(以下、これらを総称して「容器等」と記載する)の製造用の原料シートとして利用されている。
食品業界では、近年の環境問題や容器包装リサイクル法による規制に対応する目的で、食品包装用の容器等を薄肉軽量化する傾向にあり、強度を保持したままシートの薄肉軽量化を図り、かつ、高速成形が可能で、容器等の不良発生率が低い原料シートの開発が望まれている。特に上記(ロ)の場合、薄肉化しても割れにくくすることが望まれているが、容器等のデザイン(意匠)の多様化、強度保持のために容器等の側壁面、底壁面などにリブや仕切り部を設けることが多くなり、型再現性不良やブリッジの発生が多くなり、高速成形を困難にしている。
また一方で、上記容器等に食品類を収納し、外側全体を柔軟性フィルムによって包装(軟包装)される場合には、(1)容器等の製造時に切断刃で打ち抜かれた端部部分(エッジ部分)が、軟包装フィルムを損傷させる場合があるので、容器等の端部部分の形状改良が望まれており、また、(2)外部からの衝撃などにより容器等が割れ、容器等自体の破片が収納食品に混入し、混入した破片を誤食してしまう場合があるので、原料シートに適度な強度を持たせて割れにくい容器等とすることが望まれている。
特開昭54−29381号公報(特許文献1)には、ゴム含有率が3重量%以上であり、メルトフローインデックス(MFI)が8g/10min以下のグラフト型HIPSを押出してシート化し、このシートを熱収縮応力が縦方向および横方向とも4kg/cm以上となるように二軸延伸し、得られた二軸延伸シートを実質的に配向戻りさせることなく成形する容器の製造方法が記載されている。この文献には、「熱収縮応力が4kg/cm以上になると耐油性が飛躍的に向上するが、20kg/cmを超えると成形が困難になる(2頁左上欄19行参照)」と記載されているが、本発明者らによる実験では、シートの熱収縮応力が好ましいとされる範囲{8〜15kg/cm(≒0.78〜1.47MPa)}にあっても、二軸延伸シートの成形性、特に型再現性に問題があることがわかった。
特開2004−51680号公報(特許文献2)には、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(HIPS)と、一般用ポリスチレン(GPPS)とを、前者/後者=30/70〜80/20(重量比)の割合で配合され、ゴム成分が3〜10重量%のブレンド型HIPS組成物を二軸延伸したHIPSシートが記載されており、さらに、前記グラフト共重合体中のゴム成分の膨潤度(SI)とグラフト率(g)との積(SI×g)が13〜80であり、前記シートをシート表面に対して垂直方向に切断したシート断面において、ゴム成分の長軸がシート面に対して実質的に平行であり、シート断面を占めるゴム成分の割合(面積占有率)が10〜25%であり、ゴム成分の長軸Lと短軸Sとの比で表されるゴム扁平度F(F=L/S)が5〜18の二軸延伸シートが記載されている。この文献には、また、「本発明の二軸延伸スチレン系樹脂シートは、ゴム成分が特定の形態で分散しているので、薄肉軽量化しても、高い剛性および優れた耐衝撃性だけでなく、高い二次成形性を備えている(段階0031部分参照)」と記載されている。
本発明者らの実験によれば、HIPS製二軸延伸シートに優れた二次成形性を発揮させるには、二軸延伸シート製造時での延伸倍率および熱収縮応力を、所定の範囲に制御することが必要であることがわかった。しかし、特許文献2で熱収縮応力については一切記載されていないので、特許文献2に係るHIPS製二軸延伸シートは、ゴム成分を特定の形態で分散させても、得られたシートは必ずしも優れた二次成形性を発揮しない。また、GPPSの割合が多いHIPS製二軸延伸シートは、割れやすい傾向になる。
特開2005−200572号公報(特許文献3)には、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体をグラフト重合させ、かつゴム成分の膨潤度(SI)とグラフト率(g)との積(SI×g)を20〜80としたグラフト型のHIPSにGPPSとを、前者/後者=20/80〜90/10(重量比)の割合で配合し、ゴム成分が1〜10重量%、ゴム成分の体積平均粒子径が0.1〜3μmであるブレンド型HIPS組成物を二軸延伸したHIPS製シートが記載されている。また、HIPSシートも断面において、ゴム成分の長軸Lと短軸Sとの比で表されるゴム扁平度F(F=L/S)が平均5〜18であること、厚さ0.2〜0.25mmのHIPS製二軸延伸シートのヘーズが15%以下であること、さらには、このシートが優れた二次成形性(容器成形性など)を発揮するためには、HIPS製二軸延伸シートの収縮応力が5〜15kg/cmの範囲が必須であると記載されている。
しかし、本発明者らの実験によれば、HIPS製二軸延伸シートの収縮応力がより好ましいとされる範囲{6〜8kg/cm(≒0.59〜0.78MPa)}であっても、二次成形性(特に、高速での容器成形性)が劣っていることがわかった。また、バッチ式の卓上延伸機と商業的規模の延伸機(例えば、ロールによる縦延伸およびテンターによる横延伸機能を有する逐次二軸延伸機)では、シート加熱時間、延伸速度(またはひずみ速度)、および二軸延伸後の冷却方法などが異なるため、延伸時の温度条件とシートの収縮応力の関係が一致しない。
特開昭54−29381号公報 特開2004−51680号公報 特開2005−200572号公報
本発明者らは、上記実情に鑑み、上記諸欠点を解消した耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品を提供すべく、鋭意検討した結果完成するに至ったものである。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。
1.耐衝撃性、耐引裂性、耐折性などに優れ、薄肉軽量化しても割れにくい耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品を提供すること。
2.熱成形するときに、型再現性が良好な耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを提供すること。
3.高速で熱成形しても、型再現性不良やブリッジなどによる不良品が発生しにくく、高速成形性に優れた耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを提供すること。
なお、本発明において、割れにくい、型再現性、ブリッジおよび高速成形性の用語は、以下の意味を有する。
(1)割れにくい:耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートおよびこのシート製成形品が、外部からの衝撃などにより破損しにくいことを意味し、耐衝撃性、耐引裂性、および耐折性のいずれにも優れている場合に、高い割れにくさを発揮する。
(2)型再現性:連続熱板加熱式圧空成形機によって得られる成形品が、金型のキャビティ面を忠実に再現する(型決まりする)性能であり、この型再現性に優れている耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートから得られた成形品は、外観が美麗である。
(3)ブリッジ:絞り比(開口部の最大深さ/開口部の幅)の大きい圧空成形金型の凸部と平面部の隅にシートが十分引き込まれず水かき状になって固化してしまい、成形品に充分に再現されない(型決まりが悪い)ことである。
(4)高速成形性:連続熱板加熱式圧空成形機によって、二軸延伸シートの加熱温度(熱板温度)を通常の加熱温度より高くしたり、加熱時間{(上圧空作動時間、下真空作動時間、遅れ時間(下真空作動終了後、上真空が作動するまでの時間)}や成形時間(下圧空作動時間、上真空作動時間)を短縮したり、上圧空圧力または下圧空圧力を高くしたりすることによって、1ショット当りのサイクル時間を短縮しても、型再現性不良やブリッジなどが生じず、外観の優れた成形品が得られる性質である。
本発明では、上記課題を解決するため、第1発明では、ゴム成分の含有量が4.0〜12.0重量%の耐衝撃性ポリスチレンからなり、かつ、下記(1)および(2)を同時に満たすことを特徴とする、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを提供する。
(1)延伸倍率が、縦方向および横方向ともに2.1〜2.7倍
(2)縦方向の熱収縮応力が0.30〜0.60MPaであり、かつ、横方向の熱収縮応力が0.30〜0.55MPa
第2発明では、上記1発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを原料とし、熱成形法によって製造されたものであることを特徴とする成形品を提供する。
本発明は、以下に詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、優れた耐衝撃性、耐引裂性、耐折性を有するので、熱成形して得られる成形品の薄肉軽量化が可能で、単位重量あたりの原材料からより多くの成形品を製造することができる。
2.本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、高速成形性に優れているので、食品用容器等の成形品を能率的に製造することができる。
3.本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、熱成形したときの型再現性が良好で、かつ、ブリッジも発生しないので、得られた成形品(食品用容器)は、外観が美麗で商品価値が高くなる。
4.本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを熱成形して得られた成形品は、耐衝撃性、耐引裂性、耐折性などが優れて割れにくいので、容器等に収納した食品に割れた破片が混入せず誤食するおそれがなく、食品用容器として好適である。
5.本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、ゴム変性スチレン樹脂に適量のゴム成分を含有しているので、低温衝撃性に優れ、生鮮食料品・冷凍食品などを収納する冷蔵・冷凍保存用容器として好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこれを用いて得られた成形品は、耐衝撃性ポリスチレンにより構成される。耐衝撃性ポリスチレンの具体例としては、ゴム成分に少なくともスチレン系単量体がグラフト重合したグラフト型のHIPS単独、または、このグラフト型のHIPSと一般用ポリスチレン(GPPS)とをブレンドしたブレンド型HIPSが挙げられる。HIPSは、一般用ポリスチレンのマトリックス中にゴム成分が分散しているミクロ構造を呈する。
グラフト型のHIPSは、ゴム成分の存在下、少なくともスチレン系単量体を重合することにより得ることができる。ゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体、ブタジエンと他の共重合性単量体とのランダムまたはブロックポリマーなどを挙げることができる。ブタジエンと共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類およびこれらのエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン化合物を挙げることができる。
また、これらのゴム成分は、分子中の不飽和二重結合部分に水素添加されたものであってもよく、単独でもまたは二種類以上を組み合わせたものであってもよい。前記ゴム成分のうち好ましいのは、ジエン系ゴムであり、特に好ましいのは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダムまたはブロック共重合体)である。このスチレン−ブタジエンブロック共重合体におけるスチレン含有量は、10〜50重量%であり、好ましくは10〜30重量%である。ゴム成分は、HIPSとしたときの熱安定性、およびリサイクル性の点から、シス1,4構造が90モル%以上の高シスポリブタジエンが特に好ましい。
グラフト重合されるスチレン系単量体としては、スチレン、アルキルスチレン(例えば、o−、m−、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン)、α−アルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレン、エチルスチレン)などのビニル芳香族化合物が挙げられる。これらのスチレン系単量体は、単独または二種類以上を組み合わせることができる。上記スチレン系単量体のうち好ましいのは、スチレンである。
グラフト型のHIPSと混合できるGPPSとしては、スチレン、アルキルスチレン(例えば、o−、m−、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン)、α−アルキルスチレン(例えば、α−メチルスチレン、エチルスチレン)などの芳香族ビニル化合物の単独重合体、これら単量体を組み合わせた共重合体などが挙げられる。これらのGPPSは、単独または二種類以上を組み合わせることができる。最も好ましいGPPSは、重量平均分子量(以下、Mwと記載する)が18万〜35万のポリスチレンである。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレンは、ゴム成分の含有量が4.0〜12.0重量%の範囲とする。ゴム成分の含有量が4.0重量%未満であると、熱成形時の高速成形性が劣るとともに、製造された二軸延伸シートおよび成形品(容器等)は、耐衝撃性、耐引裂性、耐折性が劣り割れやすくなる。一方、ゴム成分の含有量が12.0重量%を超えると、製造された二軸延伸シートおよび成形品の剛性が低下する。好ましいゴム成分の含有量は6.0〜12.0重量%であり、より好ましいのは8.0〜12.0重量%である。
ゴム成分の含有量は、一塩化ヨウ素、ヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウム標準液を用いた電位差滴定でジエン含有量を測定し、ジエン含有量をゴム成分の含有量として計算する。分析方法は、例えば、日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、「新版 高分子分析ハンドブック」、紀伊國屋書店(1995年度版)、P.659(3)ゴム含量に記載されており、この方法で測定することができる。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレンに含まれるゴム成分の平均粒子径は、制限がないが、好ましいのは0.5〜10.0μmである。平均粒子径を上記範囲にすると、本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品は、耐衝撃性、耐引裂性、および耐折性が向上する。より好ましい平均粒子径は1.0〜8.0μmであり、さらに好ましいのは2.0〜6.0μmである。
ゴム成分の平均粒子径は、超薄切片法により透過型電子顕微鏡を用いて10000倍の拡大写真を撮影し、撮影されたグラフトゴム粒子約1000個の粒子径を測定して、次式すなわち、ゴム平均粒子径[μm]=(ΣniDi)/(ΣniDi)、により算出される。なお、この式において、niは粒子径がDiであるゴム粒子の個数を示す。
上記グラフトゴム粒子は完全な円形ではないので、長径と短径を測定し、算術平均して粒子径を算出する。なお、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品について測定する場合には、JIS K7206に準拠して測定したビカット軟化点温度より40℃高い温度のシリコンオイルバスに、10分間浸漬させて収縮させた試験片を用いて測定する。
グラフト型のHIPSのメルトフローレート(MFR)は限定されないが、通常、温度200℃、荷重5kgにおいて、0.5〜20g/10分であり、好ましい範囲は2.0〜10g/10分である。グラフト型のHIPSと混合できるGPPSのメルトフローレートも限定されないが、通常、温度200℃、荷重5kgにおいて、0.5〜20g/10分であり、好ましい範囲は1.0〜10g/10分である。
原料の耐衝撃性ポリスチレンには、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、内部潤滑剤、充填剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、防曇剤、分散剤、顔料、染料、カーボンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、抗菌剤、補強材、流動性改良剤、増粘剤などの各種添加剤や、他の熱可塑性樹脂を配合することができる。
内部潤滑剤としては、ミネラルオイルなどが挙げられ、配合量は2.0重量%以下が好ましい。2.0重量%を超えて配合すると、押出溶融時に内部潤滑剤の一部が揮発し、押出し後に二軸延伸装置に揮発した内部潤滑剤が付着し、その後、凝集した内部潤滑剤がシートに転写し、最終的には、二軸延伸シートの外観を損ねる。より好ましいのは1.0重量%以下であり、さらに好ましいのは0.5重量%以下である。
可塑剤としては、フタル酸エステル、脂肪酸系可塑剤、リン酸系可塑剤などが挙げられ、他の熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、熱可塑性ポリイミド、エポキシ系樹脂などが挙げられる。なお、場合によっては、耐衝撃性ポリスチレンと熱可塑性樹脂の相互溶解性を向上させるために、相溶化剤を併せて用いることができる。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートの製造方法は、制限がなく、従来の延伸シートの製造において慣用されている方法で行えばよい。その一例は、グラフト型のHIPS単独、または、これとGPPSとの混合物、必要に応じて、前記の各種添加剤および他の熱可塑性樹脂を所定量秤量し、ブレンダーやタンブラーによってドライブレンド物とし、得られたドライブレンド物を押出機によって溶融混練した後、T−ダイ(多層の場合はフィードブロックダイやマルチマニホールドダイを使用)などで連続的にシート状に押出し、冷却ロールで急冷して未延伸シートを製造し、この未延伸シートをロール延伸法、テンター法などで、連続的に逐次二軸延伸する方法である。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、多種多層構成とすることもできる。例えば、前記シートを2種3層にする場合、両表層と芯層で、GPPSとHIPSの組成比を変えたり、ゴム含有量および/またはゴム平均粒子径の異なるHIPSを使用したりすることができる。さらに、両表層および/または芯層に、本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート粉砕物、および/または上記粉砕物を再度溶融混練した再生ペレットなどを混合することができる。上記いずれの場合でも、ゴム成分の総含有量が本発明に係る耐衝撃性ポリスチレンの総重量に対して、4.0〜12.0重量%であればよい。
本発明における耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートの延伸倍率は、縦方向(シートの押出し方向、以下MDと記載することがある)、横方向(シートの押出し方向と直角方向、以下TDと記載することがある)ともに2.1〜2.7倍にすることを必須とする。延伸倍率が2.1倍未満であると、耐衝撃性および耐引裂性が低下するので、二軸延伸シートおよび熱成形して得られた成形品は、割れやすくなる。一方、延伸倍率が2.7倍を超えると、熱成形時にシートの伸びが低下するので、型再現性が劣り、得られた成形品の外観が悪くなる。また、縦方向か横方向のどちらか一方のみが上記必須範囲から外れると、シートの異方性が強くなったり、成形品を製造する際にブリッジが発生しやすくなったり、シート自体およびこのシートを熱成形して得られた成形品が割れやすくなったりする。より好ましい延伸倍率は、2.3〜2.5倍である。
本発明において延伸倍率とは、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートの試験片に記入した直線の長さが収縮前後で変化した割合であり、具体的には、次式すなわち、延伸倍率=Y/Z、単位[倍]によって算出される値を意味する。この式において、Yは、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートの試験片に、定規および筆記用具を用いて、MDおよびTDに描いた直線の長さ[mm]を示し、Zは、JIS K7206に準拠して測定したシートのビカット軟化点温度より40℃高い温度のシリコンオイルバスに、上記試験片を10分間浸漬し収縮させた後の、上記直線の長さ[mm]を示す。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートの厚さは限定されないが、0.06〜0.45mmの範囲で選ぶのが好ましい。厚さを0.06mm未満にすると、シート自体および成形品の剛性が不足し、成形品(容器等)に収納した食品などの保持・保存が困難になる。一方、厚さが0.45mmを超えると、リサイクルおよびコストの観点から好ましくない。薄肉軽量化の観点から、より好ましいのは0.08〜0.25mmであり、さらに好ましいのは0.10〜0.18mmである。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、MDの熱収縮応力が0.30〜0.60MPaであり、かつ、TDの熱収縮応力が0.30〜0.55MPaであることを必須とする。MDまたはTDの熱収縮応力が0.30MPa未満では、シート自体およびこのシートを成形した成形品が割れやすくなる。一方、MDの熱収縮応力が0.60MPaより、TDの熱収縮応力が0.55MPaより高くなると、型再現性不良やブリッジの発生などにより不良率が上昇し、高速成形性が低下する。熱収縮応力がより好ましい範囲は、MDでは0.35〜0.55MPa、TDでは0.35〜0.50MPaである。なお、本発明において熱収縮応力とは、二軸延伸シートがASTM D−1504に準拠した、日理工業社製の「DN式ストレステスター」を使用して、熱収縮される際の最大荷重を測定し、その最大荷重の値から熱収縮前の二軸延伸シートの断面積で除した数値(単位[MPa])を意味する。
ここで、熱収縮応力の上限値がMDとTDで差があるのは、本発明者らが実験・検討した結果に基づくものである。通常、熱成形と連動して行なわれる成形品打ち抜き工程の速度の観点から、成形品の平面形状が長方形の場合には、長辺方向をMDとしている。その場合、成形品の短辺方向になるTDでは、絞り比(開口部の最大深さ/開口部の幅)が大きくなり、ブリッジが発生しやすくなることを考慮したものである。具体的には、平面形状が長方形で収納部が深い容器であって、収納部に取り分け用の中仕切りが設けられている構造のものや、容器収納部に凸型や山型の段差が設けられている構造のもので、成形品の短辺方向であるTDにブリッジが発生しやすくなる。
熱収縮応力は、延伸温度と密接に関係しており、延伸装置の仕様、延伸速度などに応じて、目的とする熱収縮応力になるように、ロール温度および/またはテンター温度を変更して調節することができる。例えば、延伸装置が逐次二軸延伸方式の場合には、縦延伸用のロール温度は100〜130℃、好ましくは110〜125℃であり、横延伸用のテンター温度は120〜150℃、好ましくは130〜145℃である。
二軸延伸後、得られたシートにはその少なくとも一方の表面に被覆層である離型剤層を形成することができる。この離型剤層の形成方法は、特に限定はなく、従来から知られている方法でよい。一例としては、25℃における粘度が100〜50,000mm2 /s(好ましく、1,000〜20,000mm2 /s)のジメチルシリコーンオイルと乳化剤を含むジメチルシリコーンエマルジョンを、固形分濃度を0.1〜5重量%程度とした水溶液とし、スプレーコーター、エアーナイフコーター、スクィーズロールコーター、グラビアロールコーター、ナイフコーターなどによって塗布し、熱風乾燥機などによって乾燥させる方法である。ここで乾燥後の離型剤層の膜厚(被覆量)が、固形分として10〜50mg/m
(好ましくは20〜40mg/m)となる量で塗布することにより、滑り性の良好なシートとなる。また滑り性のみならず、帯電防止性も良好なシートとするために、上記ジメチルシリコーンエマルジョンに帯電防止剤を混合することもできる。
優れた帯電防止性を発揮し、かつ、この性質を持続させる帯電防止剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ヘキサグリセリンモノラウレート)、脂肪酸アルカノールアミド{例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド(1:1型)}などが挙げられる。混合する割合はシリコーンオイル(固形分)との合計量に対して30〜80重量%程度である。
なお、離型剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記以外の帯電防止剤、ブロッキング防止剤、粘度調節剤、消泡剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、抗菌剤、顔料、染料などの各種添加剤を配合することができる。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、熱成形法によって容器等の成形品に成形することができる。熱成形法には限定はなく、真空成形法、圧空成形法、真空成形法と圧空成形法とを組み合わせた差圧成形法など、従来から知られている方法が挙げられる。本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、熱成形性(特に高速成形性)に優れるので、例えば、金型からの圧空圧と熱板側からの真空圧とにより、シートを熱板に近接または密着させて加熱し、その直後に熱板側からの圧空圧と金型側からの真空圧により、加熱、軟化したシートを金型に押し付けて成形する熱板加熱式圧空成形法により、高速で成形品を得ることができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。原料樹脂としては、以下の特性を有する市販されている樹脂を使用し、耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、および、このシートから得られた成形品の測定項目および評価項目は、以下のとおりである。
<原料樹脂>
[スチレン系樹脂]
1.GPPS:一般用ポリスチレン{PSジャパン社製、商品名:HH102、Mw26万、MFR(200℃、5kg)3.5g/10分}である。
[グラフト型ハイインパクトスチレン系樹脂]
2.HIPS−1:耐衝撃性ポリスチレン{PSジャパン社製、商品名:HT478、MFR(200℃、5kg)3.0g/10分}である。
3.HIPS−2:耐衝撃性ポリスチレン{PSジャパン社製、商品名:HT516、MFR(200℃、5kg)2.5g/10分}である。
4.HIPS−3:耐衝撃性ポリスチレン{PSジャパン社製、商品名:EXG11、MFR(200℃、5kg)4.0g/10分}である。
5.HIPS−4:耐衝撃性ポリスチレン{東洋スチレン社製、商品名:H450、MFR(200℃、5kg)5.5g/10分}である。
<測定項目>
(1)延伸倍率
実施例、比較例で得られたロール状に巻き取った二軸延伸シートから、大きさが150mm×150mmの試験片を、シート幅方向でほぼ均等になるよう切断刃で打ち抜き、各シートにつき5個作成した。切断した各々の試験片に、定規および油性のフェルトペンを用いて、MDおよびTDに直交する100mmの直線を描き、その長さ[mm]をノギスで測定した(これをYとする)。次に、この試験片を、JIS K7206に準拠して測定した二軸延伸シートのビカット軟化点温度より40℃高い温度のシリコンオイルバスに、10分間浸漬し収縮させた後、MDおよびTDに描いた上記直線の長さ[mm]をノギスで測定した(これをZとする)。YとZから、MDおよびTDの延伸倍率(Y/Z:単位[倍])を計算し、その5個の試験片の平均値を算出した。
(2)熱収縮応力
実施例、比較例で得られたロール状に巻き取った二軸延伸シートから、大きさが10mm×100mmの試験片を、各シートにつきMDを長辺としたもの5個と、TDを長辺としたもの5個をシート幅方向でほぼ均等になるように切断刃で打ち抜き作成した。これらの試験片につき、ASTM D−1504に準拠した日理工業社製の「DN式ストレステスター」を使用して、設定温度180℃の条件で熱収縮により生じる最大荷重を測定し、初期試験片の断面積で除した値を熱収縮応力(単位[MPa])とした。MDおよびTDについてその5個の試験片の平均値を算出した。
<評価項目>
(3)耐衝撃性
実施例、比較例で得られた二軸延伸シートの任意の個所から所定の大きさの試験片を、切断刃で打ち抜き各シートにつき5個の試験片(より詳細には、ロール状に巻き取った二軸延伸シートから、所定の大きさの試験片をシート幅方向でほぼ均等になるよう切断刃で打ち抜き、各シートにつき5個作成したもの)につき、JIS
P8134に準拠した東洋精機社製「パンクチャーテスタ(先端は12.7mm丸球面ヘッドを使用)」を使用して、試験片の破壊に要したエネルギーの量(衝撃強度[kg・cm])を目盛板より読み取った。このエネルギーの量からシート厚さ[cm]で除した値を耐衝撃性(パンクチャー衝撃強度、単位[kg・cm/cm])とし、測定した5個の試験片の平均値を算出した。この値が1000kg・cm/cm以上であると、耐衝撃性に優れていると判定でき、2000kg・cm/cm以上であると、特に優れていると判定できる。
(4)耐引裂性
実施例、比較例で得られた二軸延伸シート(ロール状に巻き取った二軸延伸シート)の任意の個所から、大きさが50mm×64mmの試験片を、各シートのMDを長辺として5個、TDを長辺として5個を、シート幅方向でほぼ均等になるように切断刃で打ち抜き、作成した。これら試験片の長辺(64mm)方向の端から長さが13mmの切れ込みを入れ、東洋精機社製「軽荷重引裂試験機」を使用して、引裂いた時の指示値を読み取り、この指示値から初期試験片の厚さ[mm]で除した値を耐引裂性(単位[N/mm])とした。MDおよびTDについて、各々長辺とした5個の試験片での平均値を算出した。この値が5.0N/mm以上であると、耐引裂性に優れていると判定でき、7.0N/mm以上であると、特に優れていると判定できる。
(5)耐折性
実施例、比較例で得られた二軸延伸シート(ロール状に巻き取った二軸延伸シート)の任意の個所から所定の試験片を切断刃で打ち抜き、各シートにつき10個(より詳細には、各シートにつきMDを長辺としたもの5個と、TDを長辺としたもの5個)をシート幅方向でほぼ均等になるように切断刃で打ち抜き、作成した。これらの試験片につき、JIS P−8115に準拠した東洋精機社製「MIT耐揉疲労試験機」を使用し、折り曲げ角±90°、折り曲げ速度175rpm、荷重1kgの条件で、破断するまでの折り曲げ回数を計測し、この回数を耐折性(単位[回])とした。MDおよびTDについて各5回行い、その平均値を算出した。この値が1000回以上であると、耐折性に優れていると判定でき、1500回以上であると、特に優れていると判定できる。
(6)低温衝撃性
実施例、比較例で得られたロール状に巻き取った二軸延伸シートから、所定の大きさの試験片をシート幅方向でほぼ均等になるよう切断刃で打ち抜き、各シートにつき5個作成した。これらの5個の試験片につき、JIS K 7124−2に準拠した、東洋精機社製「グラフィックインパクトテスタ」を使用し−20℃、ストライカー直径12.7mm、質量6.5kg、落下高さ80cm、衝撃速度約4.0m/secの条件で測定した。試験片の破壊に要したエネルギーの量[J]をパソコン画面より読み取り、この値から初期試験片の厚さ[mm]で除した値を全吸収エネルギー(低温衝撃性、単位[J/mm])とし、測定した5個の試験片の平均値を算出した。この値が7.0J/mm以上であると、低温衝撃性に優れていると判定でき、10.0J/mm以上であると、特に優れていると判定できる。
(7)型再現性
実施例、比較例で得られたロール状に巻き取った二軸延伸シートのシート幅方向での両端部および中央部から、所定の大きさの試験片を作成した。これら試験片を、熱板加熱式圧空成形機(関西自動成形機社製「PK−450型」)に下記評価型Iを取り付け、熱板温度130℃(通常条件は120℃)、加熱時間0.4秒(通常条件は2.0秒)、加熱圧力1.0kg/cm(≒0.10MPa)、成形時間0.7秒(通常条件は1.0秒)、成形圧力4.0kg/cm(≒0.39MPa)の条件で成形を行い、シート溝部および成形品外観を目視で観察し、型再現性が良好な最大絞り比(単位[なし])を決定した。MDおよびTD各々について上記3ヶ所の平均値を算出した。この値が1.0以上であると、型再現性に優れていると判定でき、1.0未満では劣ると判定できる。
[評価型I] 形状が長方形で、長辺(二軸延伸シートのMDと平行)200mm、短辺(二軸延伸シートのTDと平行)150mmの絞り比評価用型である。この長方形面内に、絞り比(開口部の最大深さ/開口部の幅)が0.1刻みで0.3〜1.2まで深さの異なる多数の溝が設けられている金型。溝の開口部幅はいずれも10mm、溝長さは50〜70mmであり、MDおよびTDの各方向に10個設けられている。
(8)高速成形性
実施例、比較例で得られたロール状に巻き取った二軸延伸シートをそのまま用い、連続熱板加熱圧空成形機(関西自動成形機社製「CK−1200型」)に、下記評価型IIを取り付け、熱板温度135℃(通常条件は125℃)、加熱時間0.6秒(通常条件は2.0秒)、加熱圧力1.5kg/cm(≒0.15MPa)、成形時間1.0秒(通常条件は1.5秒)、成形圧力4.0kg/cm(≒0.39MPa)の条件で5ショット成形し、5ショットで成形される全成形品135個に対する不良品の割合(不良率、単位[%])を算出した。不良率が4.0%未満であると、高速成形性に優れていると判定でき、4.0%以上では劣ると判定できる。
[評価型II]ドーナツ用容器(長辺265mm×短辺85mm×深さ45mm、底面に段差がある凹凸形状)の3×9個取り金型である。
[製造方法]
<実施例1>
GPPSとHIPS−2を表1に記載した割合で秤量し、リボンブレンダーによって均一に混合してドライブレンド物を得た。得られたドライブレンド物を、タンデム115mmφベント式押出機(池貝鉄工社製)に供給し、シリンダー温度220℃の条件で溶融し、上記押出機に装着された面長850mmコートハンガータイプのT−ダイ(プラ技研社製)からシート状に押出して、80℃に設定した冷却ロールで急冷し、厚さ約0.8mmの未延伸単層シートを得た。ついで、得られた未延伸単層シートをロール方式縦延伸機、引き続いてテンター横延伸機によって、縦方向に約2.5倍、横方向に約2.5倍延伸し、厚さ0.13mm、幅980mmの二軸延伸シートをロール状に巻き取った。二軸延伸シートを製造しては、得られた二軸延伸シートの熱収縮応力を測定する操作を繰り返して、二軸延伸シートの熱収縮応力が所望の範囲に入る二軸延伸シートを得た。所望の熱収縮応力が得られた時の延伸温度を、表1に記載した。得られた二軸延伸シートから試験方法に合致した大きさの試験片を切断刃によって打ち抜き、またはロール状に巻き取ったまま用い、前記(1)〜(8)の測定および評価を行った。得られた結果を表1に記載した。
<実施例2〜実施例5>
実施例1に記載の例において、原料樹脂を表1に記載したように変更したほかは、実施例1と同様の手順で二軸延伸シートを製造した。ただし、実施例4は、未延伸単層シートの厚さを約1.5mmに変更し、また、前記(7)型再現性の評価を行う際は、熱板温度を135℃に変更し、前記(8)高速成形性の評価を行う際は、熱板温度を140℃に変更した。得られた二軸延伸シートから試験方法に合致した大きさの試験片を切断刃によって打ち抜き、またはロール状に巻き取ったまま用い、前記(1)〜(8)の測定および評価を行った。得られた結果を表1に記載した。
<実施例6>
原料樹脂として、HIPS−1単独ペレットと、実施例2の二軸延伸シートを粉砕し、220℃に設定した単軸押出機およびストランドダイによって再生ペレットを作製し、この再生ペレット40重量%とHIPS−1単独ペレット60重量%とを、リボンブレンダーによって均一に混合してドライブレンドして得られたドライブレンド物との二種類を準備した。両表層用押出機として115mmφベント式タンデム押出機(池貝鉄工社製)と、芯層用押出機として65mmφベント式押出機(プラ技研社製)を準備し、両押出機の先端を2種3層フィードブロック(プラ技研社製)に装着し、このフィードブロックに、面長850mmコートハンガータイプのT−ダイ(プラ技研社製)を装着した。次に、上記HIPS−1単独ペレットを両表層用押出機にシリンダー温度230℃の条件で、上記ドライブレンド物を芯層用押出機にシリンダー温度220℃の条件で、それぞれ供給し溶融させ、各層の厚さの比率が10/80/10になるように各押出機の押出量を調節し、溶融押出し以降の工程は実施例1と同様の手順で、二軸延伸シートを製造した。得られた二軸延伸シートから試験方法に合致した大きさの試験片を切断刃によって打ち抜き、またはロール状に巻き取ったまま用い、前記(1)〜(8)の測定および評価を行った。得られた結果を表1に記載した。
<比較例1〜比較例6>
実施例1に記載の例において、原料樹脂を表2に記載したように変更したほかは、実施例1と同様の手順で二軸延伸シートを製造した。ただし、比較例3は、未延伸単層シートの厚さを約1.3mmに変更し、縦方向に約3.3倍、横方向に約3.0倍延伸した。得られた二軸延伸シートから試験方法に合致した大きさの試験片を切断刃によって打ち抜き、またはロール状に巻き取ったまま用い、前記(1)〜(8)の測定および評価を行った。得られた結果を、表2に記載した。
Figure 2007237732
Figure 2007237732
上記表1および表2より、次のことが明らかとなる。
(1)ゴム成分の含有量、延伸倍率および熱収縮応力が、いずれも請求項1で規定する要件を満たす耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、耐衝撃性、耐引裂性、耐折性、および低温衝撃性などが優れており、常温でも低温でも割れにくい(実施例1〜実施例6参照)。
(2)また、請求項1で規定する要件を満たす上記耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、型再現性が良好で、不良品の発生率が低く、高速成形性に優れている(実施例1〜実施例6参照)。
(3)これに対して、延伸倍率および熱収縮応力が請求項1の範囲内であっても、ゴム成分の含有量が4重量%未満の耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、耐衝撃性、耐引裂性、耐折性、および低温衝撃性が劣っているので割れやすく、高速成形性も劣っている(比較例1〜比較例2参照)。
(4)ゴム成分の含有量および熱収縮応力が請求項1の範囲内であっても、延伸倍率が2.7倍を超えた耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、型再現性(最大絞り比)が0.8未満、高速成形性(不良率)が43.7%と、実施例1〜実施例6に比べると大幅に劣っている(比較例3参照)。
(5)ゴム成分の含有量および延伸倍率が請求項1の範囲内であっても、MDおよびTDの熱収縮応力が0.60MPa、0.55MPaを超えた耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、割れにくさ(耐衝撃性、耐引裂性、耐折性)の性能が一部低下し、型再現性および高速成形性については、最大絞り比が0.67〜0.83、不良率が90%以上と、実施例1〜実施例6に比べると著しく劣っている(実施例1〜実施例6、比較例4〜比較例5参照)。
(6)請求項1の範囲を超えたのがTDの熱収縮応力のみであっても、そのような条件で製造された耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートは、型再現性(最大絞り比)が0.93、高速成形性(不良率)が22.2%と、実施例1〜実施例6に比べると劣っている(実施例1〜実施例6、比較例6参照)。
本発明に係る耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートおよびこのシート製成形品は、適度な剛性を保持しながら、優れた耐衝撃性、耐引裂性、耐折性を具備するので割れにくく、菓子・パン・米菓などの加工食品用容器等の常温保存用食品包装用途として好適である。また、低温衝撃性にも優れるので、肉類・野菜類・魚介類などの冷蔵保存用容器等、(非)フライ類、氷菓などの冷凍保存用容器等の低温使用食品包装用途にも好適である。

Claims (3)

  1. ゴム成分の含有量が4.0〜12.0重量%の耐衝撃性ポリスチレンからなり、かつ、下記(1)および(2)を同時に満たすことを特徴とする、耐衝撃性ポリスチレン二軸延伸シート。
    (1)延伸倍率が、縦方向および横方向ともに2.1〜2.7倍
    (2)縦方向の熱収縮応力が0.30〜0.60MPaであり、かつ、横方向の熱収縮応力が0.30〜0.55MPa
  2. 耐衝撃性ポリスチレンが、グラフト型のゴム変性ポリスチレン単独、またはグラフト型のゴム変性ポリスチレンと一般用ポリスチレンとの混合物である、請求項1に記載の耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート。
  3. 請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シートを原料とし、熱成形法によって製造されたものであることを特徴とする成形品。
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