JP2023124817A - ポリスチレン系樹脂シート及び包装体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂シート及び包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP2023124817A
JP2023124817A JP2023009373A JP2023009373A JP2023124817A JP 2023124817 A JP2023124817 A JP 2023124817A JP 2023009373 A JP2023009373 A JP 2023009373A JP 2023009373 A JP2023009373 A JP 2023009373A JP 2023124817 A JP2023124817 A JP 2023124817A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polystyrene
polystyrene resin
resin
resin sheet
sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023009373A
Other languages
English (en)
Inventor
亮佑 森
Ryosuke Mori
拓也 山根
Takuya Yamane
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Publication of JP2023124817A publication Critical patent/JP2023124817A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】マット層の形成やマット加工を実施することなく、適度な光沢度と表面粗さによる意匠性と透明性を有する樹脂シートを提供する。【解決手段】ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含み、ロジン系樹脂(B)を含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を有するポリスチレン系樹脂シートであって、光沢度(60度)が85%以下であり、算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上、凹凸の平均間隔(Rsm)が0.20mm以下であり、前記ポリスチレン系樹脂(A)のガラス転移温度(Tga)と前記ロジン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tgb)が、下記式1を満たすポリスチレン系樹脂シート。Tga-Tgb≦20(℃)・・式1【選択図】なし

Description

本発明は、ロジン系樹脂を含有するポリスチレン系樹脂シート、及び、該シートを用いてなる包装体に関する。
汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)等からなる透明なポリスチレン系樹脂シートは、剛性、軽量性、透明性、成形性、リサイクル性などに優れ、食品包装容器や蓋材などの成形品として使用されている。
包装容器や蓋材等への成形は、公知の熱板接触加熱成形法、圧空成形法、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法によって行われ、目的の形状に二次成形して好適に用いることができる。GPPS等からなる透明なポリスチレン系樹脂シートは、特に、弁当や総菜等の食品用の包装用透明蓋等に好適である。その他、工業部品等の小分けトレイや運搬容器などに用いることもできる。
近年、加工性向上や質感向上を目的に、透明性を有するマット調の包装容器が求められている。シートにマット調を付与する方法として例を挙げると、特許文献1では、微粒子を含む樹脂層のコーティングによりマット層を形成している。特許文献2では、シート表面をサンドブラストなどの物理的に粗面化する加工方法により、マット化している。
特開2014-237311号公報 特開2007-168408号公報
しかしながら、上記の特許文献1の記載の方法では、マット層付与のために、基材層の作製とは別にマット層を形成する工程が必要になり、コストの上昇になる。また、微粒子を使用する場合、塗工液中での沈降によるマットの外観むらや凝集による透明性の低下が生じやすく、シートの成形時に微粒子が脱落するなどの問題も発生しやすい。特許文献2の記載の方法においても、マット化のために、フィルムに物理的加工を実施する必要があり、コストの上昇になる。また、凹凸の形状コントロールが難しく、光沢度がばらつき易い問題がある。
上記実情を鑑み、本発明の課題は、マット層の形成やマット加工を実施することなく、適度な光沢度と表面粗さによる意匠性と透明性を有する樹脂シートを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリスチレン系樹脂とロジン系樹脂とを含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる層有するポリスチレン系樹脂シートであって、ポリスチレン系樹脂とロジン系樹脂のガラス転移温度の差を所定の範囲にすることにより、ポリスチレン系樹脂シートおいて、上記課題を解決可能であることを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
[1] ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含み、ロジン系樹脂(B)を含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を有するポリスチレン系樹脂シートであって、JIS Z8741(1997)に準じて測定した光沢度(60度)が85%以下であり、JIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上、凹凸の平均間隔(Rsm)が0.20mm以下であり、
JIS K7121(2012)に準じて測定した前記ポリスチレン系樹脂(A)のガラス転移温度(Tga)と前記ロジン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tgb)が、下記式1を満たすポリスチレン系樹脂シート。
Tga-Tgb≦20(℃) ・・・・式1
[2] 前記ロジン系樹脂(B)の酸価が30~350mgKOH/gである、[1]に記載のポリスチレン系樹脂シート。
[3] 前記ポリスチレン系樹脂(A)が、ポリスチレン系共重合体を含み、該ポリスチレン系共重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、[1]または[2]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
[4] 前記ポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を、少なくとも一方の表面層に有する[1]~[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
[5] 前記ポリスチレン系樹脂組成物を100質量%とした場合、ロジン系樹脂(B)を3~20質量%含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
[6] 前記ポリスチレン系樹脂組成物に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)を含む、[1]~[5]いずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
[7] 前記ポリスチレン系樹脂シートのJIS K7361―1(1997)に従って測定した全光線透過率が80%以上、K7136(2000)に従って測定したヘーズが25%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート。
[9] [1]~[7]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シートを用いてなる包装体。
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、ロジン系樹脂を含有させることで、所定の光沢度と表面粗さを有する意匠性のあるシートを得ようとするものである。微粒子を使用していないため、包装体への成形加工時に粒子の脱落などの懸念もなく、後加工などの表面処理などの工程も不要である。
次に、実施の形態に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明において、「主成分」とは、ポリスチレン系樹脂組成物やポリスチレン系樹脂シート全体を100質量%としたとき、50質量%以上含むことを意味し、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上、最も好ましくは90質量%以上含むことを意味する。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
<本発明のポリスチレン系樹脂シート>
本発明のポリスチレン系樹脂シート(以下、「本発明の樹脂シート」と略記することがある。)は、ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含み、ロジン系樹脂(B)を含むポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を有する樹脂シートである。
(ポリスチレン系樹脂(A))
本発明の樹脂シートに用いるポリスチレン系樹脂(A)は、スチレン系モノマーが重合してなる単独重合体、または、スチレン系モノマー単位とそれと共重合可能な他のモノマー単位とを含む共重合体を含み、好ましくは、スチレン系モノマーが重合してなる単独重合体、または、スチレン系モノマー単位とそれと共重合可能な他のモノマー単位とを含む共重合体を主成分として含む。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-エチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン等のアルキル置換スチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-4-メチルスチレン等のα-アルキル置換スチレン、2-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン化スチレン等を挙げることができる。これらスチレン系モノマーは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
前記スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリルや、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系炭化水素、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィン等を挙げることができる。これらは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
耐熱性向上の観点では、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリルを用いることが好ましく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルを用いることがより好ましく、(メタ)アクリル酸を用いることが特に好ましい。また、後述するロジン系樹脂(B)が含まれると本発明のシートのビカット軟化温度が低下する傾向があり、これらモノマーが共重合されたポリスチレン系樹脂を含むことで、ロジン系樹脂(B)の添加量を増やすことが容易となり、サーキュラーエコノミーの観点においては好ましい。
耐熱性向上の観点からは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種が共重合されたポリスチレン系樹脂を含む場合は、該共重合ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系樹脂(A)を100質量%としたとき、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、45質量%以上が特に好ましく、主成分として含まれることが最も好ましい。
ポリスチレン系樹脂(A)の質量平均分子量は、特に限定されるものではない。中でも100,000~1,200,000が好ましい。ポリスチレン系樹脂(A)の質量平均分子量がかかる範囲であると、溶融粘度特性から押出成形性が良好となる。特に100,000以上であると、シートの機械的強度が十分となり、1,200,000以下であると、シートの弾性率が好適となり低温成形性が向上する。
よって、ポリスチレン系樹脂(A)の質量平均分子量は、100,000~1,200,000であるのが好ましく、150,000以上1,000,000以下であるのがより好ましく、200,000以上950,000以下であるのが特に好ましい。
ポリスチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、1.5~5.0g/10分であることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)が1.5g/10分以上であれば、シートの機械的強度が十分となり好ましい。他方、5.0g/10分以下であれば、溶融粘度が適度となるためシートの成形性が良好となり好ましい。
よって、ポリスチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、1.5~5.0g/10分であるのが好ましく、中でも2.0g/10分以上或いは4.0g/10分以下であるのがより好ましい。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に準じて、温度:200℃、測定荷重5.00kgで測定される値である。
ポリスチレン系樹脂(A)は、耐熱性、成形性の点から、ガラス転移温度が80℃~140℃であるのが好ましい。下限は85℃以上であるのがより好ましく、90℃以上であるのがさらに好ましく、上限は130℃以下であるのがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。
ガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に基づき、示差走査熱量測定により、10℃/分で再昇温した際の値から求められる値である。
(ロジン系樹脂(B))
ロジン系樹脂(B)としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを挙げることができる。
ロジン系樹脂(B)の市販品の例としては、荒川化学工業株式会社の「パインクリスタル」、「エステルガム」、ハリマ化成株式会社の「ハリエスター」、「ハリマック」、「ハリタック」等が挙げられる。これらは1種類を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ロジン系樹脂(B)の酸価は、ポリスチレン系樹脂(A)との適度な海島構造を形成するために、30~350mgKOH/gが好ましく、40~300mgKOH/gであるのが更に好ましく、50~250mgKOH/gであるのが特に好ましい。上記の範囲内であれば、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)を溶融混錬した際に、ロジン系樹脂が適度な大きさで島構造を形成して、シート状としたときシート表面に微細な凹凸を形成することが容易となる。
ロジン系樹脂(B)のガラス転移温度は、耐熱性および成形性の点から、60℃~140℃であるのが好ましく、70℃~135℃がより好ましく、80℃~130℃が更に好ましい。上記の範囲内であれば、シートに実用的な耐熱性を付加でき、押出性や成形性も良好となる。
また、シートに適度な光沢度と表面粗さを有する意匠性のあるシートを得るためには、ポリスチレン系樹脂(A)のガラス転移温度をTga、ロジン系樹脂(B)のガラス転移温度をTgbとしたとき、ガラス転移温度の差(Tga-Tgb)が20(℃)以下であることが必要である。
また、「Tga-Tgb」は、10℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがさらに好ましく、0℃以下であることが特に好ましい。また、「Tga-Tgb」の下限は特に限定されないが、通常-60℃以上である。
TgaとTgbとが上記の関係を満たすことで、樹脂シートを延伸した際に、マトリックスであるポリスチレン系樹脂(A)の変形に対して、ドメインであるロジン系樹脂(B)の熱軟化による変形を抑制することができ、シート状にしたとき、シートに適度な光沢度と表面粗さ(凹凸形状)を付与することができる。また、延伸シートとした場合も同様であるが、延伸シートとした場合、マトリクスであるポリスチレン系樹脂(A)の延伸による変形に対し、ドメインであるロジン系樹脂(B)の変形がより抑制されるので、シートに適度な表面粗さ(凹凸形状)を付与しやすい傾向となり好ましい。
ガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に基づき、示差走査熱量測定により、10℃/分で再昇温した際の値から求められる値である。
<ポリスチレン系樹脂組成物の組成>
ポリスチレン系樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含む。
一方、ロジン系樹脂(B)の含有量は、50質量%以下であり、50質量%未満であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。下限は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。
上述の範囲内であることにより、本発明の樹脂シートに適度な光沢度と表面粗さを付与することができ、押出性や延伸性も良好となる。
ポリスチレン系樹脂組成物は、該樹脂組成物100質量%としたとき、ポリスチレン系樹脂(A)及びロジン系樹脂(B)の合計の含有量が、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
(耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C))
ポリスチレン系樹脂組成物は、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)を含んでいてもよい。本発明の樹脂組成物に耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を配合して本発明の樹脂シートを作製することにより、本発明の樹脂シートの耐ブロッキング性及び耐衝撃性を向上させることができる。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)は、ゴム等の成分が含まれるポリスチレン系樹脂であればよい。例えば、スチレンの単独重合体中にゴム成分が含まれているもの等を好適に用いることができる。
当該ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン-イソプレン共重合体などを挙げることができる。
ゴム成分は、マトリックス樹脂となるポリスチレン中に、独立してゴム成分が粒子状になって分散していているもの、或いは、ポリスチレンにグラフト重合して粒子状に分散しているものであってもよい。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)におけるゴム成分の含有率は、耐衝撃性と延伸成形性とを両立する観点から、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)を100質量%とする場合、1.0質量%以上15質量%以下が好ましく、2.0質量%以上15質量%以下がより好ましく、3.0質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
ゴム成分の含有率は、一塩化ヨウ素、ヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウム標準液を用いた電位差滴定でジエン含有量を測定し、ジエン含有量をゴム状重合体の含有量として計算することができる。この際の測定方法は、例えば、日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、「新版 高分子分析ハンドブック」、紀伊國屋書店(1995年度版)、P.659(3)ゴム含量に記載されている。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)のメルトフローレート(MFR)は、1.0g/10分以上50g/10分以下が好ましく、1.5g/10分以上30g/10分以下がより好ましく、1.8g/10分以上20g/10分以下が特に好ましい。
このメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に基づき、試験温度200℃、荷重5.00kgfで測定される値である。
ポリスチレン系樹脂組成物中の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)の含有量は、ポリスチレン系樹脂組成物を100質量%として、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上6質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。0.1質量%以上とすることで、本発明の樹脂シートに適度な耐衝撃性を付与することができ、また、10質量%以下とすることで、本発明の樹脂シートの意匠性を阻害することがない。
(相溶化剤)
ポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)、または、本発明のポリスチレン系樹脂シートを構成する他の層は、相溶化剤を含んでいてもよい。当該相溶化剤としては、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)との相溶性を調整できる効果が得られる成分であれば特に限定されない。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、及び、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)等のスチレンブロック共重合体等を挙げることができる。
これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは、上述した耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)に該当する場合もある。この場合、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)として、これらスチレン系熱可塑性エラストマーを含有させた場合、相溶化剤として別のスチレン系熱可塑性エラストマーを含有させることは可能である。
相溶化剤の好ましい含有量は、ポリスチレン系樹脂組成物または該相溶化剤を含む他の層を100質量%として、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
(その他の成分)
ポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)、または、本発明のポリスチレン系樹脂シートを構成する他の層は、本発明の効果を損ねない範囲で、上記した樹脂以外の他の樹脂や添加剤等の他の成分を含有することができる。
他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
添加剤としては、例えば、加工助剤、溶融粘度改良剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、核剤、架橋剤、滑材、アンチブロッキング剤、鉱油、スリップ剤、防曇剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤および顔料などを挙げることができる。
アンチブロッキング剤としては、無機粒子、有機粒子を挙げることができる。無機粒子としては、例えばシリカ、ガラスビーズ等、及びそれらの表面に化学的処理を施したもの等を挙げることができる。有機粒子としては、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等、及びそれらに熱処理、化学処理を施したもの等を挙げることができ、添加量としては、通常0.01質量%以上5質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下である。
(ポリスチレン系樹脂シートの層構成)
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、層(I)からなる単層、層(I)を含む多層の何れの構成でもよい。
多層構成の場合は、例えば、(i)各層を層(I)からなる層とする構成(複数の層(I)を有する多層フィルム)としてもよいし、(ii)少なくとも一方の表面層に層(I)からなる層を配置し、他の層に上記ポリスチレン系樹脂(A)を含有する層を配置する構成などとしてもよい。
なお、(i)、(ii)の構成において、本発明の樹脂シートのリサイクル材を含む層を更に設けてもよいし、また、層(I)を構成するポリスチレン系樹脂組成物に、本発明の樹脂シートのリサイクル材を混入してもよい。また、その他の熱可塑性樹脂層との多層構成にしてもかまわない。
多層構成の場合、少なくとも一方の表面が、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)とを含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)であるのが好ましい。
そしてこの際、当該層は、当該層に含まれるポリスチレン系樹脂及びロジン系樹脂の合計含有量100質量%に対し、ポリスチレン系樹脂を80~99質量%含み、ロジン系樹脂を1~20質量%含む組成であるのが好ましい。
(各種機能層)
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、本発明の効果を損なわない範囲で各種機能を備えた機能層を備えることも可能である。例えば、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、抗菌剤、消臭剤、着色剤および顔料などを添加することにより各種機能を備えた機能層を備えてもよい。これらの複数を添加して機能層としてもよいし、複数の機能層を2層以上備えてもよい。
機能層の一例として、防曇剤を添加した防曇層や、アンチブロッキング剤やスリップ剤を添加した離型層を挙げることができる。
例えば、本発明の樹脂シートは、一方の表面側に防曇層を備え、他方の表面側に離型層を備えていると、蓋、容器などの包装体を成形、使用する際の離型性が良好となり、食品等の水分を含む内容物を収容した際の防曇性が良好となる。
なお、ここでいう、表面側とは、上述した、ポリスチレン系樹脂シートの表面層のさらなる表面側を意味する。
これら防曇層、離型層を形成するには、例えば、シート表面に、防曇剤又は離型剤を含む塗布液を塗布し、乾燥させて防曇層又は離型層を設けることができる。但し、このような形成方法に限定するものではない。
防曇剤としては、公知の界面活性剤が使用可能である。例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステルが好ましく、更に、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等の水溶性高分子および/またはメチルセルロース、シクロデキストリン等の多糖類混合物を加えると、シート表面における多価アルコール脂肪酸エステルの分散性や保持が良好になり防曇性向上の点で好ましい。
離型剤としては、シリコーンオイルが好ましく、安全性、離型性等の点から、アルキルポリシロキサンが好ましく、例えば、メチル水素ポリシロキサン、ポリジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(C2~C4)ジメチルポリシロキサン等から選択するのが好ましい。これらの中で、離型性、臭い、及び経済性等の点から、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
防曇層、離型層の厚みは、特に制限するものではない。それら性能を十分発現する点で、防曇層は20~100nm、離型層は1~50nmが好ましい。
(ポリスチレン系樹脂シートの厚み)
本発明のポリスチレン系樹脂シートの厚みは、0.05mm以上0.80mm以下が好ましい。かかる範囲において、包装体等の成形品を作製する二次加工工程における取り扱いが容易となり、成形品が十分な機械的強度を有する。
よって、本発明のポリスチレン系樹脂シートの厚みは、0.05mm以上0.80mm以下が好ましく、0.10mm以上0.60mm以下がより好ましく、0.15mm以上0.40mm以下が更に好ましい。
(ポリスチレン系樹脂シートの全光線透過率、ヘーズ)
本発明のポリスチレン系樹脂シートの全光線透過率は80%以上、ヘーズは25%以上であることが好ましい。
当該全光線透過率およびヘーズを上記範囲とすることで、本発明の樹脂シートを用いて包装体を作製した際、中身の視認性と適度な光拡散を備えた、意匠性を有するシート外観を達成することができる。
よって、本発明の樹脂シートの全光線透過率は、80%以上が好ましく、82%以上がより好ましく、84%以上がさらに好ましく、85%以上が特に好ましい。また、本発明の樹脂シートのヘーズは、25%以上が好ましく、27%以上がより好ましく、29%以上がさらに好ましく、30%以上が特に好ましい。
本発明の樹脂シートの全光線透過率は、JIS K7361―1(1997)に従って測定され、ヘーズは、JIS K7136(2000)に従って測定される。
(ポリスチレン系樹脂シートの光沢度)
本発明の樹脂シートの光沢度(60度)は、85%以下であることが好ましい。
当該光沢度(60度)を上記範囲とすることで、光沢度(60度)が適度となり、本発明の樹脂シートを用いて包装体を作製した際、意匠性の高い、マット外観を有するシートを得ることができる。
よって、本発明の樹脂シートの光沢度(60度)は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。
なお、本発明の樹脂シートの光沢度(60度)は、JIS Z8741(1997)に準じて測定される。
(ポリスチレン系樹脂シートの算術平均粗さ、凹凸の平均間隔)
本発明のポリスチレン系樹脂シートのJIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さ(Ra)は、0.10μm以上、凹凸の平均間隔(Rsm)は0.20mm以下であることが好ましい。
当該算術平均粗さおよび凹凸の平均間隔を上記範囲とすることで、光の反射が拡散されて、本発明の樹脂シートを用いて包装体を作製した際、表面が平滑なシートとは異なる外観および質感を得ることができる。
よって、本発明の樹脂シートのRaは、0.10μm以上が好ましく、0.11μm以上がより好ましく、0.12μm以上がさらに好ましい。また、本発明の樹脂シートのRsmは、0.20mm以下が好ましく、0.18mm以下がより好ましく、0.16mm以下がさらに好ましい。
(ポリスチレン系樹脂シートのガラス転移温度)
本発明のシートは、ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含み、ロジン系樹脂(B)を含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる。ロジン系樹脂(B)の含有によりガラス転移温度が低くなる傾向がある。
ポリスチレン系樹脂シートのガラス転移温度の上限は、シートの低温成形性の点から、130℃以下が好ましく、125℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。下限は、実用的な耐熱性の点から、80℃以上が好ましく、85℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましいが、特に耐熱性を要求される場合100℃以上であることが好ましい。
ガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に基づき、示差走査熱量分析装置を用い、10℃/分で再昇温した際のガラス転移温度で求まる。
ガラス転移温度は、シートを構成するポリスチレン系樹脂組成物を測定することにより確認すればよいが、シートやそれを用いた包装体を測定して確認しても構わない。
<ポリスチレン系樹脂シートの製造方法>
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、公知の方法によって製造できる。
本発明のポリスチレン系樹脂シートは、未延伸シートであっても、少なくとも一方向に延伸した延伸シートであっても、縦横方向に延伸した二軸延伸シートであってもよい。
未延伸シートの製造方法の一例としては、先ず、シートを構成する原材料を混合した後、単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機などの押出機を使用して溶融し、組成物の均一な分散分配を促すようにするのが好ましい。
前記原材料の混合は、タンブラーミキサー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、リボンブレンダ―、スーパーミキサーなどの混合機で混合した後、押出機に投入してもよいし、または、他の混練機の先端にストランドダイを接続し、ストランドカット、ダイカットなどの方法により一旦ペレット化した後、得られたペレットを押出機に投入してもよい。
次に、押出機により溶融された樹脂組成物を、押出機の先端にTダイなどの口金を接続し、シート状に成形した後、冷却ロールで冷却固化して、未延伸シートを得ることができる。押出温度は、140~260℃程度が好ましく、160~230℃がより好ましい。
また、押出機により溶融された樹脂組成物を加熱プレス機に投入し、金属製の枠を使用してシート状に成形してもよい。押出温度は、160~230℃程度が好ましく、プレス温度は170~220℃程度が好ましい。
他方、延伸シートの製造方法の一例としては、上記のように作製した未延伸シートを延伸すればよい。
未延伸シートの延伸方法としては、シートの流れ方向(縦方向、MD)へのロール延伸や、シートの流れ方向に対して垂直方向(横方向、TD)へのテンター延伸等により、二軸延伸することが好ましい。
また、縦方向に延伸後、横方向に延伸してもよいし、横方向に延伸後、縦方向に延伸してもよい。
また、縦方向及び横方向に延伸処理されていれば、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。
また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。さらには、未延伸シートを裁断し、バッチ式の延伸機により二軸延伸してもよい。
二軸延伸シートの延伸倍率は、シートの縦方向、横方向共に1.1~5.0倍が好ましく、1.5~4.0倍がより好ましく、2.0~3.5倍が更に好ましい。延伸倍率を1.1倍以上とすることにより、シートを成形加工した成形品が十分な衝撃強度を有し、5.0倍以下とすることにより、シートを熱成形する際の賦形性、型再現性が良好となる。
縦延伸、横延伸における延伸温度は、樹脂シートを構成する樹脂組成物により異なるが、縦延伸、横延伸ともに、概ね110~170℃の温度で延伸されることが好ましい。
<包装体>
本発明の実施形態の一例としての包装体(以下、「本発明の包装体」と略記することがある。)は、本発明のポリスチレン系樹脂シートを用いてなる包装体である。
例えば、本発明のポリスチレン系樹脂シートを成形加工して、本発明の包装体を製造することができる。
本発明の包装体は、各種用途に応じた形状に成形すればよい。
本発明の包装体の用途としては、例えば、生鮮、総菜、乾物、菓子などの食品や工業部品を収容する包装体を挙げることができる。
本発明の包装体の形状は、例えば、箱型底容器、コップ、皿、トレイ、蓋つき容器、蓋などを挙げることができる。
本発明の包装体は、本発明のポリスチレン系樹脂シートを用いて、公知の成形方法により製造することができる。
当該公知の成形方法としては、例えば、熱板接触加熱成形法、圧空成形法、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法等を挙げることができる。中でも、成形品の厚みの均等性、成形生産効率の観点から、熱板接触加熱成形法が好ましい。
シートの成形加工は、シートロールを用いて連続的に行ってもよいし、カット版シートを用い1ショット毎に成形してもよい。
上述の各種成形法の加熱時間条件は、0.5~10.0秒が好ましく、0.5秒~5.0秒がより好ましい。
なお、加熱時間とは、シートを真空及び/又は圧空で熱板に接触させている時間と、次いでシートを金型へ延展するために所望の真空及び/又は圧空状態になるまでの遅れ時間の合計を云う。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、ポリスチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に準じて、測定温度200℃、測定荷重5.00kgの条件での測定値である。
また、各樹脂のガラス転移温度、および、得られたポリスチレン系樹脂シートのガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に準じて測定した。
<使用原材料>
(ポリスチレン系樹脂(A))
A-1:スチレン単独重合体(MFR3.5g/10分、質量平均分子量250,000、ガラス転移温度100℃)
A-2:スチレン-メタクリル酸共重合体(MFR2.5g/10分、質量平均分子量890,000、ガラス転移温度109℃)
(ロジン系樹脂(B))
B-1:パインクリスタルKR-50M(荒川化学工業株式会社製 Tg:108℃、酸価:96mgKOH/g
B-2:ハリマックAS-5(ハリマ化成株式会社製 Tg:111℃、酸価:210mgKOH/g)
B-3:ハリタック28JA(ハリマ化成株式会社製 Tg:74℃、酸価:32mgKOH/g
B-4:ハリエスターMSR-4(ハリマ化成株式会社製 Tg:70℃、酸価:132mgKOH/g)
(耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C))
C-1; スチレン-ポリブタジエンゴムグラフト共重合体、ポリブタジエンゴム含有率6.2質量%、MFR2.0g/10分
C-2; スチレン-ポリブタジエンゴムグラフト共重合体、ポリブタジエンゴム含有率2.2質量%、MFR18g/10分
<ポリスチレン系樹脂シートの作製(実施例1~3、比較例1~3)>
表1に示すシート組成の原材料を単軸押出機に投入し、設定温度160~230℃で溶融混練した後、単軸押出機の先端に接続したTダイにてシート状に押出し、設定温度90~100℃のキャスティングロールに引き取り、冷却固化させて未延伸シートを得た。その後、同時二軸延伸機を用い、得られた未延伸シートを125℃、縦方向2倍、横方向2倍の条件で延伸処理を行い、0.2mm厚のポリスチレン系樹脂シートを得た。
得られたポリスチレン系樹脂シートについて、以下の評価を行った。
<シートの評価>
(全光線透過率、ヘーズ)
ヘーズメーター(日本電色工業社製 NDH7000II)を用いて、各実施例及び比較例で作製した樹脂シートのJIS K7361―1(1997)に従って測定した全光線透過率、K7136(2000)に従って測定したヘーズをそれぞれ3回測定し、それぞれの平均値を算出した。
(光沢度)
多角度光沢計(スガ試験機株式会社製 GS-4K)を用いて、JIS Z8741(1997)に準じて各実施例及び比較例で作製した樹脂シートの光沢度(60度)を3回測定し、それぞれの平均値を算出した。また、以下の基準により評価した。
〇:85%以下
×:85%超
(表面粗さ(算術平均粗さ、凹凸の平均間隔))
微細形状測定機(小坂研究所製 サーフコーダーET-4000A)を用いて、JIS B 0633(2001)に準じて、各実施例及び比較例で作製した樹脂シートの算術平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Rsm)を測定した。測定長8mm、測定速度0.1mm/sの条件で実施して、3回の測定値の平均を算出し、次の基準で評価した。
・Ra
〇:0.10μm以上
×:0.10μm未満
・Rsm
〇:0.20mm以下
×:0.20mm超
Figure 2023124817000001
実施例1~3はいずれも、ポリスチレン系樹脂(A)を主成分とすると共に、ロジン系樹脂(B)を用いており、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)のガラス転移温度の差が、(Tga-Tgb)≦20(℃)であるため、光沢度および表面粗さが適度な範囲となり、意匠性が良好でマット調の外観であった。
他方、比較例1は、ロジン系樹脂(B)を含まないため、光沢度が高く、表面粗さも範囲外のため、マット調の外観にならず意匠性が良くなかった。
比較例2,3は、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)のガラス転移温度の差が、(Tga-Tgb)>20(℃)であり、光沢度が高く、表面粗さも範囲外となり意匠性がよくなかった。
上記実施例・比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果などから、ポリスチレン系樹脂(A)と、ロジン系樹脂(B)を用い、且つ、ポリスチレン系樹脂(A)とロジン系樹脂(B)のガラス転移温度の差が、(Tga-Tgb)≦20(℃)を満たす、ポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を有することで、シートに適度な光沢度と表面粗さを付与させることができ、意匠性が良くマット調の外観のシートを得ることができることが分かる。

Claims (9)

  1. ポリスチレン系樹脂(A)を主成分として含み、ロジン系樹脂(B)を含有するポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を有するポリスチレン系樹脂シートであって、JIS Z8741(1997)に準じて測定した光沢度(60度)が85%以下であり、JIS B0633(2001)に準じて測定した算術平均粗さ(Ra)が0.10μm以上、凹凸の平均間隔(Rsm)が0.20mm以下であり、
    JIS K7121(2012)に準じて測定した前記ポリスチレン系樹脂(A)のガラス転移温度(Tga)と前記ロジン系樹脂(B)のガラス転移温度(Tgb)が、下記式1を満たすポリスチレン系樹脂シート。
    Tga-Tgb≦20(℃) ・・・・式1
  2. 前記ロジン系樹脂(B)の酸価が30~350mgKOH/gである、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂(A)が、ポリスチレン系共重合体を含み、該ポリスチレン系共重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、アクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種のモノマー単位を含む、請求項1または2のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
  4. 前記ポリスチレン系樹脂組成物からなる層(I)を、少なくとも一方の表面層に有する請求項1または2のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
  5. 前記ポリスチレン系樹脂組成物を100質量%とした場合、ロジン系樹脂(B)を3~20質量%含む、請求項1または2のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
  6. 前記ポリスチレン系樹脂組成物に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂(C)を含む、請求項1または2いずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
  7. 前記ポリスチレン系樹脂シートのJIS K7361―1(1997)に従って測定した全光線透過率が80%以上、K7136(2000)に従って測定したヘーズが25%以上である、請求項1または2のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シート。
  8. 請求項1または2のいずれかに記載の二軸延伸ポリスチレン系樹脂シート。
  9. 請求項1または2のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂シートを用いてなる包装体。
JP2023009373A 2022-02-25 2023-01-25 ポリスチレン系樹脂シート及び包装体 Pending JP2023124817A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022028482 2022-02-25
JP2022028482 2022-02-25

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023124817A true JP2023124817A (ja) 2023-09-06

Family

ID=87886182

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023009373A Pending JP2023124817A (ja) 2022-02-25 2023-01-25 ポリスチレン系樹脂シート及び包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023124817A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6298767B2 (ja) 撥水性を備えた熱可塑性樹脂シート及び成形品
JP6389574B2 (ja) 二軸延伸シートおよびその成形品
TWI697507B (zh) 雙軸延伸薄片及其成形品
JP6702068B2 (ja) 半透明性延伸フィルム
JP6540325B2 (ja) 半透明性延伸フィルム
TW201819195A (zh) 雙軸延伸薄片及其成形品
JP2023124817A (ja) ポリスチレン系樹脂シート及び包装体
JP4769205B2 (ja) 耐衝撃性ポリスチレン製二軸延伸シート、およびこのシート製成形品
JP2001105489A (ja) スチレン系樹脂シートおよびその製造方法
JP7367571B2 (ja) ポリスチレン系二軸延伸シート、非発泡シート、及びこれらを用いた成形品
JP2008031236A (ja) 熱可塑性樹脂製発泡シート、およびこの発泡シート製容器
JP2881699B2 (ja) 延伸多層シート
JP7294110B2 (ja) 包装材料
JP7200613B2 (ja) 耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シート、及びその成形品
JP2023077675A (ja) 樹脂シートおよび包装体
JP3029615B2 (ja) 熱可塑性樹脂シ―ト
JP2022129115A (ja) ポリスチレン系二軸延伸シート及び包装体
JPH09123322A (ja) スチレン系積層シ−ト及びその成形体
JP2023107224A (ja) ポリスチレン系樹脂シート及び包装体
JPH09216271A (ja) スチレン系樹脂シート
JPH02185438A (ja) スチレン系樹脂二軸延伸多層シート
JP2824787B2 (ja) スチレン系樹脂二軸延伸積層シート
JP2023038514A (ja) ポリスチレン系樹脂シート、包装体
JP2022162776A (ja) 耐油性スチレン系樹脂シート、包装体
TWI633009B (zh) Thermoplastic multilayer resin sheet and food packaging container containing the same