JP2001105489A - スチレン系樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂シートおよびその製造方法

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JP2001105489A
JP2001105489A JP28530599A JP28530599A JP2001105489A JP 2001105489 A JP2001105489 A JP 2001105489A JP 28530599 A JP28530599 A JP 28530599A JP 28530599 A JP28530599 A JP 28530599A JP 2001105489 A JP2001105489 A JP 2001105489A
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styrene
resin sheet
styrene resin
stretching
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Masaru Kinoshita
勝 木下
Munenori Harada
宗紀 原田
Yasuo Okumura
泰男 奥村
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的強度、耐衝撃性、耐熱性、耐油性およ
び透明性の高いスチレン系樹脂シートを得る。 【解決手段】 シアン化ビニル含有量5〜35重量%のス
チレン系樹脂をシート成形し、延伸速度5〜40%/秒、
延伸倍率2〜20倍で縦方向及び横方向に延伸することに
より、ASTM D-1504に準拠して測定した125℃での配向
緩和応力が、縦方向及び横方向でそれぞれ0.5〜1.5MP
a、ASTM D-882に準じて測定した引っ張り弾性率が3000
MPa以上の二軸延伸シートを得る。スチレン系樹脂シー
トは、高分子素材センター規格「硬質プラスチックの計
装化多軸衝撃試験法」に準拠して測定した全吸収エネル
ギーが温度23℃において10J/cm以上、JIS K 7105に
準拠して測定したヘーズ値が、厚み180μmにおいて
0.3〜20%程度であってもよい。スチレン系樹脂シー
ト(厚み180μm)は、角度360°に折り曲げたとき、折
り曲げ部が白化しないという特色がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアン化ビニル単
量体を共重合成分として含むスチレン系樹脂の二軸延伸
シート(スチレン系樹脂シート)およびその製造方法、
ならびに前記シートを用いた容器に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂をベースとする二軸延伸
シートは、成形性および透明性が高いため、食品容器の
などの種々の用途に利用されている。しかし、スチレン
系樹脂は、耐熱性および耐油性が十分でない。また、ス
チレン系樹脂の二軸延伸シートを折り曲げ加工すると、
折り曲げ部が白化する。そのため、折り曲げ加工により
容器(例えば、箱など)を作製しても、外観および商品
価値を損なう。
【0003】特開平10−7817号公報には、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)60〜95
重量%とポリカプロラクトン40〜5重量%とからなる
樹脂組成物を押出成形し、二軸延伸することにより、透
明性、耐油性および熱成形性に優れる二軸延伸シートが
得られることが記載されている。この文献には、AS樹
脂を押出成形し、延伸速度50%/秒で縦方向および横
方向に二軸延伸したシートは、二軸延伸成形性が不十分
で容器成形性が十分でないことが記載されている。
【0004】特開平4−59833号公報には、AS樹
脂とスチレン−ブチルアクリレート共重合体とを含む樹
脂組成物を押出成形し、二軸延伸したシートが開示され
ている。この文献には、AS樹脂とスチレン−ブタジエ
ン共重合体とを含む樹脂組成物を押出成形し、二軸延伸
したシートも記載されている。
【0005】しかし、これらの二軸延伸シートは、機械
的強度(特にシートの弾性率)が小さく、耐熱性、耐油
性および透明性が低下し、折り曲げ加工により白化しや
すい。そのため、成形性や加工性を高めつつ、機械的特
性、耐熱性、耐油性および透明性に優れたAS樹脂の特
性を有効に発現させることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、機械的強度、耐衝撃性、耐熱性および耐油性の高い
スチレン系樹脂シートおよびその製造方法、ならびに前
記シートを用いた容器を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、透明性、成形加工性
及び折り曲げ加工性に優れ、折り曲げ部の白化を防止で
きるスチレン系樹脂シートおよびその製造方法、ならび
に前記シートを用いた容器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、AS樹脂を特定の条
件で延伸処理すると、成形性や加工性を高めつつ、機械
的特性、耐熱性、耐油性および透明性に優れたAS樹脂
の特性を有効に発現できる二軸延伸シートが得られるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明のスチレン系樹脂シート
は、少なくともシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単
量体との共重合体で構成されたスチレン系樹脂の二軸延
伸シートであって、ASTM D−1504に準拠して
測定した125℃での配向緩和応力が、縦方向及び横方
向においてそれぞれ0.5〜1.5MPaであり、AS
TM D−882に準じて測定した引っ張り弾性率が3
000MPa以上である。前記共重合体において、シア
ン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との割合は、5
/95〜35/65(重量比)程度であってもよい。
【0010】本発明のスチレン系樹脂シートは、高分子
素材センター規格「硬質プラスチックの計装化多軸衝撃
試験法」に準拠して測定した全吸収エネルギーが温度2
3℃において10J/cm以上であってもよく、JIS
K 7105に準拠して測定したヘーズ値が、厚み1
80μmにおいて0.3〜20%程度であってもよい。
さらに、好ましいスチレン系樹脂シートは、厚み180
μmのシートについて、角度360°に折り曲げたと
き、通常、折り曲げ部が白化しないという特色がある。
【0011】本発明の方法では、シアン化ビニル単量体
と芳香族ビニル単量体との共重合体で構成されたスチレ
ン系樹脂をシート成形し、延伸速度5〜40%/秒、延
伸倍率1.5〜20倍で縦方向及び横方向に延伸し、前
記スチレン系樹脂シートを製造する。
【0012】本発明には、前記スチレン系樹脂シートで
形成された容器も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】前記スチレン系樹脂は、少なくと
もシアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体とを重合
成分とする共重合体であればよく、シアン化ビニル単量
体と芳香族ビニル単量体との共重合体(例えば、AS樹
脂)、シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体と共
重合性ビニル単量体との共重合体(例えば、A(アクリ
ロニトリル)及びS(スチレン)をベースとする共重合
体)などで構成できる。
【0014】前記シアン化ビニル単量体としては、(メ
タ)アクリロニトリル、特にアクリロニトリルが例示で
き、芳香族ビニル(スチレン系単量体)としては、スチ
レン、アルキルスチレン(例えば、o−,m−,p−メ
チルスチレンなどのビニルトルエン類、2,4−ジメチ
ルスチレンなどのビニルキシレン類などのC1-4アルキ
ル置換スチレン類)、α−アルキル置換スチレン(例え
ば、α−メチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン
(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなど)など
が例示できる。これらの芳香族ビニル単量体は単独で又
は二種以上組合せて使用できる。好ましい芳香族ビニル
単量体には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレンなどが含まれ、特にスチレンが好ましい。
【0015】共重合性ビニル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル[(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メ
タ)アクリル酸C1-20アルキルエステル]、ビニルエス
テル系単量体(酢酸ビニルなど)、ヒドロキシル基含有
単量体[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ
2-4 アルキル(メタ)アクリレートなど]、グリシ
ジル基含有単量体[グリシジル(メタ)アクリレートな
ど]、カルボキシル基含有単量体[(メタ)アクリル
酸、無水マレイン酸、フマル酸など]、イミド系単量体
(マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマ
レイミドなど)などが挙げられる。なお、(メタ)アク
リル酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基又は酸無
水物基含有単量体やイミド系単量体を用いると、スチレ
ン系樹脂の耐熱性を向上できる。これらのビニル単量体
は単独で又は二種以上組合せて使用できる。
【0016】前記シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル
単量体との使用割合は、耐熱性および耐油性を向上で
き、しかも折り曲げ部の白化を抑制できる範囲で選択で
き、通常、5/95〜35/65(重量比)、好ましく
は10/90〜35/65(重量比)、特に15/85
〜35/65(重量比)程度である。共重合性ビニル単
量体の使用量は、シアン化ビニル単量体および芳香族ビ
ニル単量体の総量100重量部に対して、0〜100重
量部、好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0
〜25重量部程度の範囲から選択できる。
【0017】なお、スチレン系樹脂は、少なくともシア
ン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体
(以下、単にAS樹脂という場合がある)をベースとす
る限り、AS樹脂単独に限らず、AS樹脂と、前記芳
香族ビニル単量体の単独又は共重合体、前記共重合性
ビニル単量体の単独又は共重合体、および前記芳香族
ビニル単量体と前記共重合性ビニル単量体との共重合体
から選択された少なくとも一種の共重合体との組成物で
あってもよい。AS樹脂と上記共重合体との割合は、例
えば、100/0〜50/50(重量比)、好ましくは
100/0〜60/40(重量比)、さらに好ましくは
100/0〜70/30(重量比)程度である。なお、
前記共重合体〜の重量平均分子量、分子量分布はA
S樹脂をベースとするスチレン系樹脂と同様の範囲から
選択できる。
【0018】また、AS樹脂で構成されたスチレン系樹
脂の特性(機械的強度、透明性、耐熱性および耐油性な
ど)を損なわない限り、AS樹脂をベースとするスチレ
ン系樹脂は、必要であれば、混練、グラフト又はブロッ
ク共重合などによりゴム成分を含有していてもよい。ゴ
ム成分としては、例えば、共役ジエン系ゴム(ポリブタ
ジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合
体など)、エチレン−プロピレンゴム(EPDMゴ
ム)、アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
塩素化ポリエチレンなどが例示できる。
【0019】スチレン系樹脂の重量平均分子量Mwは、
1×104〜10×105、好ましくは2×104〜5×
105、さらに好ましくは5×104〜3×105程度で
ある。スチレン系樹脂において、分子量分布Mw/Mn
(式中、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量を
示す)は、10以下(1〜10程度)、好ましくは1.
5〜5程度である。
【0020】スチレン系樹脂(特にAS樹脂)のガラス
転移温度は、例えば、102〜110℃、好ましくは1
05〜110℃程度である。スチレン系樹脂(特にAS
樹脂)のメルトフローレート(MFR,温度200℃、
荷重5kg)は、例えば、0.5〜10g/10分、好ま
しくは0.5〜8g/10分(特に0.6〜5g/10
分)程度である。
【0021】なお、スチレン系樹脂は、慣用の重合方
法、例えば、懸濁重合法、塊状重合法などにより得るこ
とができる。
【0022】前記スチレン系樹脂は、必要により、他の
熱可塑性樹脂、種々の添加剤、例えば、安定剤(紫外線
吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤など)、滑剤、離型剤、
可塑剤(ミネラルオイルなど)、補強剤、充填剤、スリ
ップ剤、アンチブロッキング剤(架橋ポリスチレンビー
ズなど)、核剤、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃
剤、酸化チタンなどの遮光剤、着色剤(顔料、染料な
ど)、相溶化剤などを添加してもよい。
【0023】本発明のスチレン系樹脂シートは、容器成
形性、折り曲げ加工性などの成形性に優れており、AS
TM D−1504に準拠して測定した125℃での配
向緩和応力が、縦方向及び横方向においてそれぞれ0.
5〜1.5MPa(好ましくは0.6〜1.5MPa)
程度である。また、スチレン系樹脂シートは、機械的特
性に優れており、ASTM D−882に準じて測定し
た引っ張り弾性率は、3000MPa以上(例えば、3
000〜5500MPa、好ましくは4000〜550
0MPa、特に4200〜5000MPa程度)であ
る。
【0024】さらに、スチレン系樹脂シートは、耐衝撃
性にも優れており、高分子素材センター規格「硬質プラ
スチックの計装化多軸衝撃試験法」に準拠して測定した
全吸収エネルギーは、温度23℃において、10J/c
m以上(10〜20J/cm、好ましくは10〜18J
/cm程度)である。
【0025】スチレン系樹脂シートは、AS樹脂をベー
スとしているため、透明性も高く、例えば、JIS K
7105に準拠して測定したヘーズ値は、厚み180
μmにおいて、20%以下(0〜20%、例えば、0.
3〜20%)、好ましくは0.3〜10%、さらに好ま
しくは0.3〜5%、特に0.3〜1.5%程度であ
る。さらに、AS樹脂をベースとしているため、本発明
のスチレン系樹脂シートは、厚み180μmのシートに
ついて、角度360°に折り曲げたとき、折り曲げ部が
白化しないという特色を備えている。
【0026】なお、スチレン系樹脂シートの厚みは、特
に制限されず、例えば、0.03〜0.5mm(例え
ば、0.05〜0.45mm)、好ましくは0.1〜
0.4mm、さらに好ましくは0.13〜0.35mm
程度である。
【0027】前記スチレン系樹脂シートは、慣用の成形
方法、例えば、スチレン系樹脂(AS樹脂又はAS樹脂
をベースとする樹脂組成物)を、押出機により、溶融混
練(例えば180〜240℃程度の温度で混練)してダ
イ(Tダイ、サーキュラダイなど)からフラット状また
はチューブ状に押出してシート化する押出成形法などに
よりシート成形し、慣用の延伸方法、例えば、テンター
方式、チューブ方式などの延伸法により、得られたシー
トを縦方向及び横方向に延伸(二軸延伸)し、通常、冷
却することにより得られる。縦方向及び横方向へのシー
トの延伸は、例えば、100〜135℃程度の温度で、
それぞれ、延伸倍率(機械的延伸倍率)1.5〜20倍
程度の範囲から選択でき、通常、1.5〜10倍、好ま
しくは1.5〜5倍、さらに好ましくは2〜5倍、特に
2〜3倍程度である。二軸延伸は、逐次または同時二軸
延伸することによって成形できる。延伸倍率が1.5倍
未満であるとシートの強靱性が低下し、20倍を超える
と真空成形/圧空成形などによる容器成形性が低下した
り、延伸成形性が低下する。そのため、シート全体に亘
りほぼ均一に延伸されたシートが好ましい。延伸として
は、例えば、Tダイ又はカレンダーを用いて調製された
原反シートを、加熱(100〜135℃)状態で一軸方
向に1.5〜5倍程度の倍率で延伸し、次いで、加熱
(100〜135℃)状態で上記延伸方向に対して直交
する方向に1.5〜5倍程度の倍率で延伸する方法など
が挙げられる。同時二軸延伸としては、例えばテンダー
延伸において縦・横方向の延伸を同時に行う方法、及び
インフレーション法などが挙げられる。
【0028】このような方法において、延伸速度は前記
配向緩和応力および延伸加工の安定性に大きな影響を及
ぼす。そこで、本発明では、5〜40%/秒(例えば、
7〜38%/秒)程度の延伸速度で縦方向および横方向
にシートを延伸する。
【0029】なお、スチレン系樹脂シートの実質延伸倍
率が、縦方向及び横方向共に1.5〜5倍(例えば、
1.5〜3倍)、好ましくは2〜3倍程度である。実質
延伸倍率は、下記式で表され、機械的延伸倍率と前記実
質延伸倍率との相関は、ロール又はテンターなどの延伸
設備や延伸温度などの延伸条件、あるいは他軸方向の機
械的延伸倍率などの種々の要因に関連して変化する。
【0030】 実質延伸倍率=100/(100−L) (式中、Lは、ASTM D1524に準じて測定した
スチレン系樹脂のビカット軟化点温度より30℃高い温
度で前記樹脂を20分間処理した後の収縮率を示す)前
記スチレン系樹脂シートは、単層シートとして用いても
よく、前記シートの少なくとも一方の面に表面層が形成
された積層シートとして用いてもよい。この表面層は、
接着剤層を介して又は介することなく積層された被覆層
(例えば、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂,ポ
リエステル,ポリアミドなどの延伸又は非延伸フィルム
又はシートのラミネート層など)であってもよい。
【0031】なお、前記スチレン系樹脂シートには、押
し出しラミネート、又は接着剤(酢酸ビニル系接着剤,
エチレン−酢酸ビニル系共重合体接着剤,ウレタン系接
着剤など)を用いるドライラミネートなどによりフィル
ム(ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレンな
ど)を積層してもよい。さらに、スチレン系樹脂シート
の表面には、表面改質剤、防曇剤、帯電防止剤、離型剤
(エマルジョンなどの形態のポリシロキサンなど)など
を塗布してもよい。
【0032】このようにして得られたスチレン系樹脂シ
ートは、通常、巻取ロールなどにより巻き取られる。ス
チレン系樹脂シートは、そのままシートの形態で利用し
てもよく、成形工程に供してもよい。前記スチレン系樹
脂シートを、熱成形工程や折り曲げ加工工程に供するこ
とにより、容器を形成できる。熱成形工程において、前
記シートは、熱板接触加熱式成形機などにより直接的
に、または輻射式(加熱ヒーター、赤外線ヒーターな
ど)により間接的に加熱(ベース樹脂の軟化点以上の温
度に加熱)し、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、熱
板成形などの成型法により、容器成形などの成型加工に
供してもよい。また、本発明のスチレン系樹脂シート
は、折り曲げ加工しても折り曲げ部の白化を抑制でき
る。従って、折り曲げ加工により容器(例えば、箱やケ
ース、ボックスなど)を形成してもよい。なお、容器
は、収容凹部を有する容器本体だけで構成してもよく、
容器本体と、この容器本体の開口部を開閉(又は密閉)
可能な蓋体とで構成してもよい。この蓋体は容器本体に
対してヒンジ式に結合していてもよい。また、容器本体
は側壁上端から側方へ延びるフランジ部を備えていても
よい。さらに、折り曲げ加工などによるボックス状容器
においては、開口部を開閉するための閉塞片を開口部の
側壁から延出させてもよく、この閉塞片は開口部に挿入
可能な舌片を有していてもよい。
【0033】本発明のスチレン系樹脂シートは、種々の
用途、例えば、種々の成形品、例えば、容器(トレー
類、箱やボックスなど)の製造に利用できる。
【0034】
【発明の効果】本発明のスチレン系樹脂シートは、AS
樹脂をベースとし、かつ二軸延伸されているので、機械
的強度、耐衝撃性、耐熱性および耐油性が高い。また、
透明性、成形加工性及び折り曲げ加工性に優れ、折り曲
げ部の白化を防止できる。
【0035】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0036】実施例1 スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工
業(株)製、品名;セビアンN 050、アクリロニト
リル(AN)24重量%)を押出し機により、Tダイを
用いてシート状に押出し、二軸延伸機で延伸温度125
℃、延伸速度10%/秒で縦方向及び横方向にそれぞれ
2倍に延伸して、厚さ180μmの二軸延伸シートを得
た。
【0037】実施例2 スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工
業(株)製、品名;セビアンN 020SF、AN26
重量%)を押出し機により、Tダイを用いてシート状に
押出し、二軸延伸機で延伸温度125℃、延伸速度10
%/秒にて縦方向及び横方向にそれぞれ2.5倍に延伸
して、厚さ180μmの二軸延伸シートを得た。
【0038】実施例3 スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工
業(株)製、品名;セビアンN 080SF、AN30
重量%)を押出し機により、Tダイを用いてシート状に
押出し、二軸延伸機で延伸温度125℃、延伸速度35
%/秒にて縦方向及び横方向にそれぞれ3倍に延伸し
て、厚さ180μmの二軸延伸シートを得た。
【0039】比較例1 樹脂にポリスチレン樹脂(住友化学工業(株)製、商品
名;E183)を用いる以外、実施例2と同様にして、
厚さ180μmの二軸延伸シートを得た。
【0040】比較例2 スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工
業(株)製、品名;セビアンN 050SF、AN24
重量%)を押出し機により、Tダイを用いてシート状に
押出し、二軸延伸機で延伸温度125℃、延伸速度50
%/秒にて縦方向及び横方向にそれぞれ2.5倍に延伸
して、厚さ180μmの二軸延伸シートを得た。
【0041】比較例3 スチレン−アクリロニトリル共重合体(ダイセル化学工
業(株)製、品名;セビアンN 050SF、AN24
重量%)90重量部とスチレン−ブタジエンブロック共
重合体(フィリップス社製、KK38、ゴム含量30重
量%)10重量部とを混合し、押出し機により、Tダイ
を用いてシート状に押出し、二軸延伸機で延伸温度12
5℃、延伸速度10%/秒にて縦方向及び横方向にそれ
ぞれ2.5倍に延伸して、厚さ180μmの二軸延伸シ
ートを得た。
【0042】そして、得られた二軸延伸シートの特性を
次のようにして評価した。
【0043】(1)透明性 日本電色(株)製のヘーズ測定装置(300A)を用
い、JIS K 7105に準じてヘーズを測定し(n
=5の平均値)、以下の基準で透明性を評価した。 ○:1%未満 △:1%以上、2%未満 ×:2%以上
【0044】(2)折り曲げ白化の有無 厚み0.25mmシートを360°に折り曲げた後、シ
ート折り曲げ部分を目視で観察し、下記の基準で評価し
た。 ○:白化なし △:若干の白化あり ×:白化あり
【0045】(3)延伸時の安定性 二軸延伸試験機((株)岩本製作所製)を用いて、厚み
1.2mm、縦10cm、横10cmに裁断した押出し
シートを、縦横方向に二軸延伸を行い、各シートの延伸
時の安定性を下記の基準で評価した。 ○:10枚延伸して8枚以上が良品 △:10枚延伸して5枚以上、8枚未満が良品×:10
枚延伸して5枚以下が良品
【0046】(4)容器の剛性 縦5cm×横10cm×高さ5cmの折り曲げ加工容器
に、重り(直径2cm,100g)を載せ、容器が変形
しないシート厚みを測定し、下記の基準で評価した。 ○:シート厚み0.2mmでも変形しない ×:厚みが0.2mmを越えるシートを用いないと変形
する
【0047】なお、表中、ORSは配向緩和応力(MP
a)を示し、下記式に従って算出できる。 ORS=(加熱収縮時の最大収縮応力)/(試料の幅)
×(試料の厚さ)
【0048】
【表1】 表1より明らかなごとく、実施例は延伸時の安定性及び
特性値のすべてにおいてバランスが優れている。これに
対して、比較例は延伸時の安定性及び特性値のすべてを
満足するものは得られていない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 22:00 C08L 25:12 C08L 25:12 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA20 BA22 BB04 BB05 CA03 CA07 FA10 4F071 AA22 AF13Y AF20Y AF23Y AF30 AF30Y AF45 AH04 AH05 BB06 BB08 BC01 BC17 4F210 AA13 AG01 AH55 AH56 QC05 QD13 QG01 QG15 QG18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともシアン化ビニル単量体と芳香
    族ビニル単量体との共重合体で構成されたスチレン系樹
    脂の二軸延伸シートであって、ASTM D−1504
    に準拠して測定した125℃での配向緩和応力が、縦方
    向及び横方向においてそれぞれ0.5〜1.5MPaで
    あり、ASTM D−882に準じて測定した引っ張り
    弾性率が3000MPa以上であるスチレン系樹脂シー
    ト。
  2. 【請求項2】 共重合体におけるシアン化ビニル単量体
    の含有量が5〜35重量%である請求項1記載のスチレ
    ン系樹脂シート。
  3. 【請求項3】 高分子素材センター規格「硬質プラスチ
    ックの計装化多軸衝撃試験法」に準拠して測定した全吸
    収エネルギーが温度23℃において10J/cm以上で
    ある請求項1記載のスチレン系樹脂シート。
  4. 【請求項4】 JIS K 7105に準拠して測定し
    たヘーズ値が、厚み180μmにおいて0.3〜20%
    である請求項1記載のスチレン系樹脂シート。
  5. 【請求項5】 厚み180μmのシートについて、角度
    360°に折り曲げたとき、折り曲げ部が白化しない請
    求項1記載のスチレン系樹脂シート。
  6. 【請求項6】 少なくともシアン化ビニル単量体と芳香
    族ビニル単量体との共重合体で構成されたスチレン系樹
    脂をシート成形し、延伸速度5〜40%/秒、延伸倍率
    1.5〜20倍で縦方向及び横方向に延伸し、請求項1
    記載のスチレン系樹脂シートを製造する方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のスチレン系樹脂シートで
    形成された容器。
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