JP2023077675A - 樹脂シートおよび包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートに関し、半透明性であって、かつ、引張弾性率を好適な範囲にすることができる新たな樹脂シートを提供する。【解決手段】ポリスチレン系樹脂と、密度が0.930g/cm3以上であるポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートであって、ヘーズが85%以上、かつ、全光線透過率が50%以上85%以下であり、前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K6922-2(2018)、測定温度190℃、測定荷重2.16kg)が4.0g/10分以下である、樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートおよびそれを用いた包装体に関する。
包装容器などの包装体に使用される合成樹脂製のシートは、衛生面、コスト面、生産性などの観点から、食品包装や医療品など様々な用途で普及してきた。
包装体において、中身の視認性が求められる用途では透明性が要求され、プライバシーの確保が必要な用途では不透明性が要求される。また、市場ニーズの多角化により、中身の視認性とプライバシーの確保の双方を要求される用途では半透明性が求められる。
合成樹脂製シートの透明性を調整する技術に関しては、例えば特許文献1や特許文献2などにおいて、熱可塑性樹脂に無機粒子やゴム粒子などを添加する層を有することにより、合成樹脂製シートの透明性を調整することが開示されている。
また、例えば特許文献3などにおいて、基材シートに、白色顔料が添加された白色樹脂層を設ける方法が開示されている。
特開平10-153710号公報 特開平8-187771号公報 特開2006-272823号公報
本発明は、視認性とプライバシー確保の双方を要求される用途などに鑑み、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物から、半透明な樹脂シートを開発せんとするものである。
しかしながら、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂は、互いに相溶し難いため、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からシートを作製すると、通常は不透明なシートとなり、また、引張弾性率が低下しやすくなるため、包装体などへ加工適正が低下しやすくなるという課題を抱えていた。
そこで本発明は、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートに関し、半透明性であって、かつ、包装体などへの加工適正が良好な新たな樹脂シートおよび包装体を提供せんとするものである。
[1]本発明は、ポリスチレン系樹脂と、密度が0.930g/cm以上であるポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートであって、ヘーズが85%以上、かつ、全光線透過率が50%以上85%以下であり、前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K 6922-2(2018)、測定温度190℃、測定荷重2.16kg)が4.0g/10分以下である、樹脂シートを提案する。
[2]本発明はまた、上記[1]記載の樹脂シートに関して、前記樹脂組成物が、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリエチレン系樹脂の合計含有量100質量%に対し、前記ポリスチレン系樹脂を50~95質量%、前記ポリエチレン系樹脂を5~50質量%含むことを、を提案する。
[3]本発明はまた、上記[1]又は[2]記載の樹脂シートに関して、前記ポリスチレン系樹脂が、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を含むことを提案する。
[4]本発明はまた、上記[1]~[3]のいずれか1に記載の樹脂シートに関して、前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレンを含むことを提案する。
[5]本発明はまた、上記[1]~[4]のいずれか1に記載の樹脂シートに関して、前記ポリエチレン系樹脂の全部又は一部が、植物由来ポリエチレン系樹脂であることを提案する。
[6]本発明はまた、上記[1]~[5]のいずれか1に記載の樹脂シートが二軸延伸シートであることを提案する。
[7]本発明はまた、上記[1]~[6]のいずれか1に記載の樹脂シートを用いてなる包装体を提案する。
本発明が提案する樹脂シートは、半透明性を有するとともに、引張弾性率を好適な範囲にすることができる。そのため、包装体などへ加工するのが容易であり、包装体にした場合には、例えば、中身の視認性とプライバシーの確保の双方の要求を満足させることができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本発明の樹脂シート>>
本発明の樹脂シート(以下、「本発明のシート」と略記することがある。)は、ポリスチレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と略記することがある。)からなる樹脂シートである。
上述のように、ポリスチレン系樹脂と、ポリエチレン系樹脂は、互いに相溶し難いため、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からシートを作製すると、通常は不透明なシートとなり、また、引張弾性率が低下してしまう。これに対し、本発明では、特定のポリエチレン系樹脂を選択して用いることにより、両者の相溶性を調整することができ、半透明でかつ引張弾性率を好適な範囲にすることができる。
<ポリスチレン系樹脂>
本発明の樹脂シートに用いるポリスチレン系樹脂としては、スチレン系モノマーが重合してなる単独重合体、スチレン系モノマーとそれと共重合可能な他のモノマーとが共重合してなる共重合体を挙げることができる。
前記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-エチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン等のアルキル置換スチレン、α-メチルスチレン、α-メチル-4-メチルスチレン等のα-アルキル置換スチレン、2-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン化スチレン等を挙げることができる。これらスチレン系モノマーは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
前記スチレン系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリルや、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系炭化水素、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等のα-オレフィン等を挙げることができる。これらは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
ポリスチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されるものではない。中でも100,000~1,000,000が好ましい。ポリスチレン系樹脂の質量平均分子量がかかる範囲であると、溶融粘度特性から押出成形性が良好となる。特に100,000以上であると、シートの機械的強度が十分となり、1,000,000以下であると、シートの弾性率が好適となり低温成形性が向上する。
よって、ポリスチレン系樹脂の質量平均分子量は、100,000~1,000,000であるのが好ましく、中でも150,000以上或いは500,000以下であるのがより好ましく、その中でも200,000以上或いは350,000以下であるのが特に好ましい。
ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1.5~5.0g/10分であることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)が1.5g/10分以上であれば、シートの機械的強度が十分となり好ましい。他方、5.0g/10分以下であれば、溶融粘度が適度となるためシートの成形性が良好となり好ましい。
よって、ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1.5~5.0g/10分であるのが好ましく、中でも2.0g/10分以上或いは4.0g/10分以下であるのがより好ましい。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に準じて、温度:200℃、測定荷重5.00kgで測定される値である。
ポリスチレン系樹脂は、耐熱性、成形性の点から、ガラス転移温度が80℃~140℃であるのが好ましく、上限は130℃以下であるのがより好ましい。
ガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に基づき、示差走査熱量測定により、10℃/分で再昇温した際の値から求められる値である。
本発明の樹脂シートに用いるポリスチレン系樹脂は、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を含んでいてもよい。本発明の樹脂組成物に耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を配合して、本発明の樹脂シートを作製することにより、本発明の樹脂シートの耐ブロッキング性及び耐衝撃性を向上させることができる。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、ゴム等の成分が含まれるポリスチレン系樹脂であればよい。例えば、スチレンの単独重合体中にゴム成分が含まれているもの等を好適に用いることができる。
当該ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン-イソプレン共重合体などを挙げることができる。
ゴム成分は、マトリックス樹脂となるポリスチレン中に、独立してゴム成分が粒子状になって分散していているもの、或いは、ポリスチレンにグラフト重合して粒子状に分散しているものであってもよい。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂におけるゴム成分の含有率は、耐衝撃性と延伸成形性とを両立する観点から、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を100質量%とする場合、1~15質量%が好ましく、中でも3質量%以上或いは15質量%以下がより好ましく、その中でも5質量%以上或いは15質量%以下が更に好ましい。
ゴム成分の含有率は、一塩化ヨウ素、ヨウ化カリウムおよびチオ硫酸ナトリウム標準液を用いた電位差滴定でジエン含有量を測定し、ジエン含有量をゴム状重合体の含有量として計算することができる。この際の測定方法は、例えば、日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、「新版 高分子分析ハンドブック」、紀伊國屋書店(1995年度版)、P.659(3)ゴム含量に記載されている。
耐衝撃性ポリスチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1.5~5.0g/10分が好ましく、中でも2.0g/10分以上或いは4.0g/10分以下がより好ましい。
このメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に基づき、試験温度200℃、測定荷重5.00kgで測定される値である。
耐衝撃性ポリスチレン樹脂の含有量は、本発明の樹脂シートを100質量%とした場合、0.5~20.0質量%が好ましく、中でも1.0質量%以上或いは15.0質量%以下であるのがより好ましく、その中でも2.0質量%以上或いは8.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
<ポリエチレン系樹脂>
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂の密度は、0.930g/cm以上であることが好ましい。0.935g/cm以上であることがより好ましく、0.940g/cm以上であることがさらに好ましく、0.944g/cm以上であることが特に好ましく、0.947g/cm以上であることが最も好ましい。密度の上限は、0.970g/cm以下であることがより好ましく、0.965g/cm以下であることがさらに好ましく、0.960g/cm以下であることが特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂の密度が上記範囲内であることにより、ポリエチレン系樹脂の結晶性が適度となり、ポリスチレン系樹脂との親和性のバランスが適度となり、適度な視認性を有する不透明なシートを得られやすくなる傾向があり、好ましい。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂が2種類以上である場合には、少なくとも1種類のポリエチレン系樹脂が上記密度を有することが好ましい。中でも、各ポリエチレン系樹脂が上記密度を有することがさらに好ましい。
密度が、0.930g/cm以上であるポリエチレン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)などを挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、好適な全光線透過率を有する半透明性シートが得られる点から、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンが好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのポリエチレン系樹脂の構造は直鎖状で、側鎖が短く数も少ないため、他のポリエチレン系樹脂に比べて、ポリスチレン系樹脂の主鎖に対して近づきやすいことで、分子同士に相互作用が作用して、外観が不透明ではなく半透明を有する相溶状態が得られやすいと推測される。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂は、これらのポリエチレン系樹脂、すなわち、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン及び超高分子量ポリエチレンのうちの1種又は2種以上、中でも、高密度ポリエチレン(HDPE)を主成分樹脂として含むのがさらに好ましい。
この際、前記主成分樹脂とは、本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂の中で最も含有質量割合の高いポリエチレン系樹脂の意味であり、例えば、本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂が2種類以上であれば、その30質量%以上、50質量%以上、80質量%以上(100質量%を含む)を占める場合が想定される。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K6922-2、測定温度190℃、測定荷重2.16kg)は、4.0g/10分以下であるのが好ましく、3.5g/10分以下であるのがより好ましく、3.0g/10分以下であることがさらに好ましい。下限は特に限定されないが、0.4g/10分以上であることが好ましく、0.6g/10分以上であることがより好ましい。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂のメルトフローレートが上記範囲であることで、ポリスチレン系樹脂との混合および分散が良好で、押出成形時および延伸時の厚さムラが少なく、好適な全光線透過率の範囲の半透明性を有する樹脂シートを得ることができる。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂が2種類以上である場合には、各樹脂の含有量を考慮した平均値が上記範囲にあるのがより好ましい。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂の質量平均分子量は、特に限定されるものではない。例えば、10,000~5,000,000であるものを使用することができる。ポリエチレン系樹脂の質量平均分子量がかかる範囲であると、溶融粘度特性から押出成形性が良好となる。特に10,000以上であると、シートの機械的強度が十分となり、5,000,000以下であると、シートの弾性率が好適となり低温成形性が向上する。
よって、ポリエチレン系樹脂の質量平均分子量は、10,000~5,000,000であることが好ましく、中でも30,000以上或いは3,000,000以下であるのがより好ましく、その中でも50,000以上或いは2,000,000以下であるのがさらに好ましい。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂が2種類以上である場合には、各樹脂の含有量を考慮した平均値が上記範囲にあるのが好ましい。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂は、汎用の石油由来のポリエチレン系樹脂であっても、植物由来のポリエチレン系樹脂であってもよい。
また、本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂の全部又は一部が、植物由来ポリエチレン系樹脂であってもよい。
(植物由来ポリエチレン系樹脂)
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
植物由来ポリエチレン系樹脂とは、植物原料から得られたバイオエタノールから誘導された植物由来エチレンの単独重合体、または、該植物由来エチレンと他の少量のコモノマーとの共重合体である。
植物由来ポリエチレン系樹脂としては、植物由来のエチレンを単量体成分として含むポリエチレンであればよく、共重合成分として石油由来の単量体成分を含んでいてもよい。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
環境負荷低減の点からは、植物由来のポリエチレン系樹脂を使用するのが好ましい。
植物由来エチレンの製造方法としては、慣用の方法に従って、サトウキビ、トウモロコシ、サツマイモなどの植物から得られる糖液やでんぷんを酵母等の微生物により発酵させてバイオエタノールを製造し、これを触媒存在下で加熱し、分子内脱水反応などにより植物由来エチレンを得ることができる。次いで、得られた植物由来エチレンを用いて、石油由来ポリエチレン系樹脂と同様にして、植物由来ポリエチレン系樹脂を製造することができる。
植物由来エチレン及び植物由来ポリエチレン系樹脂の製造方法については、例えば特表2011-506628号公報に詳細に記載されている。
本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム社製のグリーンポリエチレン(商品名)などを挙げることができる。
本発明の樹脂シートに用いる植物由来ポリエチレン系樹脂のバイオマス度は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。バイオマス度が上記の数値以上であれば、より環境負荷を低減することができる。
本発明の樹脂シートに用いるポリエチレン系樹脂が2種類以上である場合には、各樹脂の含有量を考慮した平均値が上記範囲にあるのが好ましい。
なお、バイオマス度は、植物由来の有機物質にしか含まれていない炭素(14C)の含有割合(%)を、加速器質量分析装置(AMS)で測定することなどにより求めることができる。
植物由来の有機物質と化石燃料由来の有機物質との区別については、1950年時点の放射性の14Cの存在比率を参照基準とする標準化方法が知られており、米国国立標準局(NIST)による、(Determining the Biobased Control of Solid, Liquid, and Gaseous Samples Using Radiocarbon Analysis)がある。
具体的には、測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合(%)を算出することができる。この際、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸(HOxII)を標準試料とすることができる。
<ポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の含有割合>
本発明の樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の合計含有量100質量%に対し、前記ポリスチレン系樹脂の含有量が50質量%以上であることが好ましく、50~95質量%であることがより好ましく、中でも55質量%以上或いは94質量%以下であることがより好ましく、その中でも60質量%以上或いは92質量%以下であることがさらに好ましい。
一方、ポリエチレン系樹脂の含有量は、5~50質量%であることが好ましく、中でも6質量%以上或いは45質量%以下であることがより好ましく、その中でも8質量%以上或いは40質量%以下であることがさらに好ましい。
上述の範囲内であることにより、押出性および延伸性が良好で、優れた半透明性と機械強度を有するシートを得られやすくなる。
本発明の樹脂組成物は、該樹脂組成物100質量%に対し、ポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂を50質量%以上含有するのが好ましく、中でも60質量%以上、その中でも70質量%以上、その中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上、その中でも95質量%以上(100質量%を含む)含有するのがさらに好ましい。
<相溶化剤>
本発明の樹脂組成物乃至本発明の樹脂シートは、相溶化剤を含ませなくても、半透明になるように調製することができ、かつ、引張弾性率を好適な範囲にすることができる点が特徴の一つでもある。但し、相溶化剤を含んでいてもよい。
当該相溶化剤としては、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との相溶性を高める相溶効果が得られる成分であれば特に限定されない。例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、及び、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)等のスチレンブロック共重合体等を挙げることができる。
なお、これらのスチレンブロック共重合体は、上述した耐衝撃性ポリスチレン系樹脂に該当する場合もある。この場合、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂として、これらスチレンブロック共重合体を含有させた場合、相溶化剤として別のスチレンブロック共重合体を含有させることは可能である。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物乃至本発明の樹脂シートは、本発明の効果を損ねない範囲で、上記した樹脂以外の他の樹脂や添加剤等の他の成分を含有することができる。
他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
添加剤としては、例えば、加工助剤、溶融粘度改良剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、核剤、架橋剤、滑材、アンチブロッキング剤、鉱油、スリップ剤、防曇剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤および顔料などを挙げることができる。
アンチブロッキング剤としては、無機粒子、有機粒子を挙げることができる。無機粒子としては、例えばシリカ、ガラスビーズ等、及びそれらの表面に化学的処理を施したもの等を挙げることができる。有機粒子としては、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等、及びそれらに熱処理、化学処理を施したもの等を挙げることができる。
<シートの層構成>
本発明の樹脂シートは、単層、多層の何れの構成でもよい。
多層構成の場合は、例えば、(i)各層が、上記ポリスチレン系樹脂と上記ポリエチレン系樹脂を含有する構成、(ii)表層がポリスチレン系樹脂を含有し、中層が上記ポリスチレン系樹脂と上記ポリエチレン系樹脂を含有する構成などを挙げることができる。
なお、(i)、(ii)の構成において、本発明の樹脂シートのリサイクル材を含む層を更に設けてもよいし、また、上記ポリスチレン系樹脂と上記ポリエチレン系樹脂を含む層に、本発明の樹脂シートのリサイクル材を混入してもよい。その他の熱可塑性樹脂層との多層構成にしてもかまわない。
多層構成の場合、少なくとも1層が、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とを含有する樹脂組成物からなる層であるのが好ましい。
そしてこの際、当該層は、当該層に含まれるポリスチレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂の合計含有量100質量%に対し、ポリスチレン系樹脂を50~95質量%含み、ポリエチレン系樹脂を5~50質量%含む組成であるのが好ましい。
さらに、多層構成の樹脂シート全体の樹脂組成を、樹脂シート全体に含まれるポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の合計量を100質量%とした場合に、ポリスチレン系樹脂50~95質量%、ポリエチレン系樹脂5~50質量%含まれる組成であることがより好ましい。
<各種機能層>
本発明の樹脂シートは、各種機能を備えた機能層を備えることも可能である。
機能層の一例として、防曇層および離型層を挙げることができる。
例えば、本発明の樹脂シートは、一方の表面側に防曇層を備え、他方の表面側に離型層を備えていると、蓋、容器などの包装体を成形、使用する際の離型性が良好となり、食品等の水分を含む内容物を収容した際の防曇性が良好となる。
これら防曇層、離型層を形成するには、例えば、シート表面に、防曇剤又は離型剤を含む塗布液を塗布し、乾燥させて防曇層又は離型層を設けることができる。但し、このような形成方法に限定するものではない。
防曇剤としては、公知の界面活性剤が使用可能である。例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステルが好ましく、更に、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体等の水溶性高分子および/またはメチルセルロース、シクロデキストリン等の多糖類混合物を加えると、シート表面における多価アルコール脂肪酸エステルの分散性や保持が良好になり防曇性向上の点で好ましい。
離型剤としては、シリコーンオイルが好ましく、安全性、離型性等の点から、アルキルポリシロキサンが好ましい。例えば、メチル水素ポリシロキサン、ポリジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン(C2~C4)ジメチルポリシロキサン等から選択するのが好ましく、その中でも、安全性、離型性と経済性のバランスなどの点から、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
防曇層、離型層の厚さは、特に制限するものではない。それら性能を十分発現する点で、防曇層は20~100nm、離型層は1~50nmが好ましい。
<シートの厚さ>
本発明の樹脂シートの厚さは、0.05~0.80mmが好ましい。かかる範囲において、包装体等の成形品を作製する二次加工工程における取り扱いが容易となり、成形品が十分な機械的強度を有する。
よって、本発明の樹脂シートの厚さは、0.05~0.80mmが好ましく、中でも0.10mm以上或いは0.60mm以下がより好ましく、その中でも0.15mm以上或いは0.40mm以下が更に好ましい。
<樹脂シートの全光線透過率>
本発明の樹脂シートの全光線透過率は、50~85%であることが好ましい。
当該全光線透過率を上記範囲とすることで、本発明の樹脂シートを用いて包装体を作製した際、中身の視認性とプライバシーの確保の双方を達成することができる。
よって、本発明の樹脂シートの全光線透過率は、50~85%であることが好ましく、中でも55%以上であることがさらに好ましく、その中でも60%以上であるのが特に好ましい。
<樹脂シートのヘーズ>
本発明の樹脂シートのヘーズは、85%以上であることが好ましい。
当該ヘーズを上記範囲とすることで、拡散透過率が高くなるから、本発明の樹脂シートを用いて包装体を作製した際、中身の視認性が適度に低下して、プライバシーの保護性を向上させることができる。
よって、本発明の樹脂シートのヘーズは、85%以上であることが好ましく、90%以上がさらに好ましい。
<樹脂シートのバイオマス度>
本発明の樹脂シートとしてのバイオマス度は、10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。
樹脂シートのバイオマス度は、「植物由来資源を原料とする樹脂のバイオマス度」(%)×「植物由来資源を原料とする樹脂の質量割合」で算出することができる。
<樹脂シートの製造方法>
本発明の樹脂シートは、公知の方法によって製造できる。
本発明の樹脂シートは、未延伸シートであっても、少なくとも一方向に延伸した延伸シートであっても、縦横方向に延伸した二軸延伸シートであってもよい。
未延伸シートの製造方法の一例としては、先ず、シートを構成する原材料を混合した後、単軸押出機、異方向二軸押出機、同方向二軸押出機などの押出機を使用して溶融し、組成物の均一な分散分配を促すようにするのが好ましい。
前記原材料の混合は、タンブラーミキサー、ミキシングロール、バンバリーミキサー、リボンブレンダ―、スーパーミキサーなどの混合機で混合した後、押出機に投入してもよいし、または、他の混練機の先端にストランドダイを接続し、ストランドカット、ダイカットなどの方法により一旦ペレット化した後、得られたペレットを押出機に投入してもよい。
次に、押出機により溶融された樹脂組成物を、押出機の先端にTダイなどの口金を接続し、シート状に成形した後、冷却ロールで冷却固化して、未延伸シートを得ることができる。
押出温度は、180~260℃程度が好ましく、190~250℃がより好ましい。また、押出機により溶融された樹脂組成物を加熱プレス機に投入し、金属製の枠を使用してシート状に成形してもよい。押出温度は、180~260℃程度が好ましく、プレス温度は180~220℃程度が好ましい。
他方、延伸シートの製造方法の一例としては、上記のように作製した未延伸シートを延伸すればよい。
未延伸シートの延伸方法としては、シートの流れ方向(縦方向、MD)へのロール延伸や、シートの流れ方向に対して垂直方向(横方向、TD)へのテンター延伸等により、二軸延伸することが好ましい。
また、縦方向に延伸後、横方向に延伸してもよいし、横方向に延伸後、縦方向に延伸してもよい。
また、縦方向及び横方向に延伸処理されていれば、同じ方向に2回以上延伸してもよい。さらには、縦方向に延伸後、横方向に延伸し、さらに縦方向に延伸してもよい。
また、同時二軸延伸機により縦方向、横方向に同時に延伸されてもよい。さらには、未延伸シートを裁断し、バッチ式の延伸機により二軸延伸してもよい。
二軸延伸シートの延伸倍率は、シートの縦方向、横方向共に1.1~5.0倍が好ましく、1.5~4.0倍がより好ましく、2.0~3.5倍が更に好ましい。延伸倍率を1.1倍以上とすることにより、シートを成形加工した成形品が十分な衝撃強度を有し、5.0倍以下とすることにより、シートを熱成形する際の賦形性、型再現性が良好となる。
縦延伸、横延伸における延伸温度は、樹脂シートを構成する樹脂組成物により異なるが、縦延伸、横延伸ともに、概ね110~170℃の温度で延伸されることが好ましい。
<<包装体>>
本発明の実施形態の一例としての包装体(以下、「本発明の包装体」と略記することがある。)は、本発明の樹脂シートを用いてなる包装体である。
例えば、本発明の樹脂シートを成形加工して、本発明の包装体を製造することができる。
本発明の包装体は、各種用途に応じた形状に成形すればよい。
本発明の包装体の用途としては、例えば、生鮮、総菜、乾物、菓子などの食品や工業部品を収容する包装体を挙げることができる。
本発明の包装体の形状は、例えば、箱型底容器、コップ、皿、トレイ、蓋つき容器、蓋などを挙げることができる。
本発明の包装体は、本発明の樹脂シートを用いて、公知の成形方法により製造することができる。
当該公知の成形方法としては、例えば、熱板接触加熱成形法、圧空成形法、真空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト成形法等を挙げることができる。中でも、成形品の厚さの均等性、成形生産効率の観点から、熱板接触加熱成形法が好ましい。
シートの成形加工は、シートロールを用いて連続的に行ってもよいし、カット版シートを用い1ショット毎に成形してもよい。
上述の各種成形法の加熱時間条件は、0.5~10.0秒が好ましく、0.5秒~5.0秒がより好ましい。
なお、加熱時間とは、シートを真空及び/又は圧空で熱板に接触させている時間と、次いでシートを金型へ延展するために所望の真空及び/又は圧空状態になるまでの遅れ時間の合計を云う。
<語句の説明>
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、ポリスチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210-1(2014)に準じて、測定温度200℃、測定荷重5.00kgの条件での測定値であり、ポリエチレン系樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、JIS K6922-2(2018)に準じて、測定温度190℃、測定荷重2.16kgの条件での測定値である。
<使用原材料>
(ポリスチレン系樹脂(A))
A-1:スチレン単独重合体(MFR3.5g/10分、質量平均分子量250,000、ガラス転移温度100℃)
(ポリエチレン系樹脂(B))
B-1:植物由来高密度ポリエチレン(Braskem社製 SHE150、密度:0.948g/cm、バイオマス度94%、MFR1.0g/10分)
B-2:植物由来高密度ポリエチレン(Braskem社製 SGE7252、密度:0.952g/cm、バイオマス度96%、MFR2.0g/10分)
B-3:植物由来高密度ポリエチレン(Braskem社製 SHD7255LSL、密度:0.954g/cm、バイオマス度94%、MFR4.5g/10分)
B-4:植物由来高密度ポリエチレン(Braskem社製 SHC7260、密度:0.959g/cm、バイオマス度94%、MFR7.2g/10分)
B-5:植物由来直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製 SLL118、密度:0.916g/cm、バイオマス度87%、MFR1.0g/10分)
B-6:植物由来直鎖状低密度ポリエチレン(Braskem社製 SLH218、密度:0.916g/cm、バイオマス度84%、MFR2.3g/10分
B-7:植物由来低密度ポリエチレン(Braskem社製 SEB853、密度:0.923g/cm、バイオマス度95%、MFR2.7g/10分)
(相溶化剤(C))
C-1:スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶ブロック共重合体(JSR株式会社製 DYNARON 4600P)
<樹脂シートの作製(実施例1~7及び比較例1~6)>
表1の原材料配合を、ラボプラストミル(東洋精機製作所社製
4C150)に投入し、220℃、60rpm、5分の条件にて溶融混錬を実施した後、溶融混錬物を回収した。回収した混錬物を熱プレス機(井元製作所社製18DA )に投入して、180℃、20MPaの条件にて加熱プレスを3分間実施して、厚さ0.30mmの樹脂シートを作製した。
<全光線透過率、ヘーズ>
ヘーズメーター(日本電色工業社製
NDH7000II)を用いて、JIS K7136(2000)に準拠し、各実施例及び比較例で作製した樹脂シートの全光線透過率及びヘーズを3回測定し、それぞれの平均値を算出した。
(全光線透過率)
○:60%以上85%以下
△:50%以上60%未満
×:50%未満または85%を超える
(ヘーズ)
○:90%以上
×:90%未満
<引張弾性率>
各実施例及び比較例で作製した樹脂シートを縦方向に幅10mm、長さ100mmの形状の試験片を3本切り出し、JIS K7161-1(2014)を参考にして、引張試験機を用い、雰囲気温度23℃、引張速度5mm/分の条件で測定し、3本の測定値の平均を算出し、次の基準で評価した。
〇:1.8GPa以上
△:1.4GPa以上1.8GPa未満
×:1.4GPa未満
<バイオマス度>
各実施例及び比較例で作製した樹脂シートのバイオマス度は、原料として用いた植物由来ポリエチレン系樹脂のバイオマス度(%)に、各実施例及び比較例で作製した樹脂シート中の当該植物由来ポリエチレン系樹脂の質量割合を乗じることで算出し、次の基準で評価した。
〇:25%以上
△:5%以上25%未満
×:5%未満
Figure 2023077675000001
実施例1-7はいずれも、密度が0.930g/cm以上であり、且つ、MFRが4.0g/10分以下であるポリエチレン系樹脂を樹脂原料として用いており、全光線透過率、ヘーズ、引張弾性率のいずれの値も良好であった。
他方、比較例1は、ポリエチレン系樹脂を含まず、ポリスチレン系樹脂のみを樹脂原料として用いており、全光線透過率及びヘーズが好ましいものではなかった。
比較例2,3は、密度が0.930g/cm以上であるが、MFRが4.0g/10分より高いポリエチレン系樹脂を原料として用いており、全光線透過率が高く、半透明でなかった。
比較例4、5、6、7は、MFRが4.0g/10分以下であるが、密度が0.930g/cm未満であるポリエチレン系樹脂を原料として用いており、全光線透過率が高く、半透明でなかった。
上記実施例・比較例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果などから、ポリスチレン系樹脂と、密度が0.930g/cm以上であり、且つ、MFRが4.0g/10分以下であるポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートであれば、ヘーズが85%以上、かつ、全光線透過率が50%以上85%以下である半透明性を有し、かつ、引張弾性率を好適な範囲とすることができる、と考えることができる。
また、上記実施例の樹脂シートを、公知の熱成形法にて熱成形加工を行い半透明性の包装体を得ることができる。さらに、上記実施例の樹脂シートを公知の延伸法にて二軸延伸処理を行い半透明の二軸延伸シートを得て、熱成形加工して半透明の包装体を得ることもできる。

Claims (7)

  1. ポリスチレン系樹脂と、密度が0.930g/cm以上であるポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなる樹脂シートであって、ヘーズが85%以上、かつ、全光線透過率が50%以上85%以下であり、前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(JIS K6922-2(2018)、測定温度190℃、測定荷重2.16kg)が4.0g/10分以下である、樹脂シート。
  2. 前記樹脂組成物は、前記ポリスチレン系樹脂及び前記ポリエチレン系樹脂の合計含有量100質量%に対し、前記ポリスチレン系樹脂を50~95質量%、前記ポリエチレン系樹脂を5~50質量%含む、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂は、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂を含む、請求項1または2に記載の樹脂シート。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂は、高密度ポリエチレンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂の全部又は一部が、植物由来ポリエチレン系樹脂である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  6. 二軸延伸シートである、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂シートを用いてなる包装体。
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