JP6289274B2 - 電子写真用部材及び加熱定着装置 - Google Patents
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Description
(1)フィルム状の回転体の内部に配置されたセラミックヒータと、フィルム状の回転体を介してセラミックヒータと協働して加熱ニップ部を形成する加圧ローラとを有し、ニップ部でセラミックヒータの熱により記録材上の画像を加熱する加熱定着器。
(2)フィルム状の回転体、あるいは定着ローラ自体が発熱する電磁誘導加熱タイプの加熱定着器。
図1は本発明にかかる加熱定着装置1の概略構成模式図である。本発明に係る加熱定着装置は、特開平4−44075〜44083号公報、同4−204980〜204984号公報等に記載されている、いわゆる、テンションレスタイプのフィルム加熱方式・加圧回転体(加圧ローラ)駆動方式の加熱定着装置である。
本発明に係る電子写真用部材は、加熱定着装置における加圧ローラ、定着ローラ及び耐熱性フィルム等として用いることができる。代表例である加圧ローラについて、その構成材料、成型方法等を以下に詳細に説明する。
図1に示される加圧ローラ5は、基材5aの外周に少なくとも、弾性層5b及び離型層5cを積層した構成である。弾性層5bは、例えば、シリコーンゴムに代表されるような柔軟で耐熱性のある材料を含む、導電性を有し、帯電防止性能に優れた層である。離型層5cは、例えば、フッ素樹脂またはフッ素ゴムに代表されるような加圧ローラの表面に好適な材料からなる層である。
基材5aの材質としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属や合金が挙げられる。基材の形状としては、例えば、中空の円筒形状や中実の円柱形状等が挙げられる。基材が、中空の円筒形状の場合には内部に熱源を設けることも可能である。また、円柱形状や円筒形状の基材の外周面には、基材と弾性層との接着性向上等のための機能層(不図示)を更に設けることができる。
弾性層を構成する材料は、樹脂マイクロバルーン、イオン導電剤および該樹脂マイクロバルーン用の凝集化剤を含む弾性層形成用ゴム組成物の硬化物であることが好ましい。弾性層は、例えば、以下の手順で形成することができる。先ず、ベースゴム材料として未架橋状態の液状ゴムを用い、この中に樹脂マイクロバルーンと該樹脂マイクロバルーン用の凝集化剤及びイオン導電剤を加え、混合撹拌して弾性層形成用ゴム組成物を得る。次いで、一次架橋温度にて液状ゴムを架橋反応させることにより、図2に示すようにベースゴム材料6の中で樹脂マイクロバルーン7が、凝集化剤8を介して、所謂数珠つなぎ状に凝集化分散された状態のゴム成形物を得る。その後、このゴム成形物を樹脂マイクロバルーンの分解温度以上の温度で加熱し、樹脂マイクロバルーンを破泡させ、収縮させる。その結果、図3に示すような、互いに連結され、解放されている複数の空隙9を有し、且つイオン導電剤を含有する弾性層を得ることができる。図3において符号10は、樹脂マイクロバルーンが破泡して形成されたシェルの残渣であり、耐熱性ゴム16中には、この残渣の収縮物が、破泡後に形成された空隙9の壁面付近に存在する。図4に弾性層の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真の一例を示す。
樹脂マイクロバルーン用の凝集化剤としては樹脂マイクロバルーンとの親和性が良く、ベースゴム材料などの液状ゴムとの親和性が悪い物質であることが肝要である。これにより、凝集化剤が樹脂マイクロバルーンの表面に付着した状態で液状ゴム中に分散するため、樹脂マイクロバルーン同士を互いにつなぎ合わせる作用を発現する。その結果、図2のような数珠つなぎ状に樹脂マイクロバルーンがベースゴム材料中に分散配置される。液状ゴムを架橋反応させて得られた耐熱性ゴム中においても、樹脂マイクロバルーンは数珠つなぎ形態を保つので、弾性層中には、互いに連結され、開放されている、樹脂マイクロバルーン由来の複数の空隙が形成される。
樹脂マイクロバルーンとしては、アクリロニトリル樹脂マイクロバルーン、塩化ビニリデン樹脂マイクロバルーン、フェノール樹脂マイクロバルーン等が例示されるが、分散性の観点からアクリロニトリル樹脂マイクロバルーンが好ましい。樹脂マイクロバルーンはこれらの樹脂で形成されたシェルの内部に炭化水素等のガスが封入された構造を有しており、未膨張状態のものと既膨張状態のものが上市されている。ベースゴム材料中に分散させて使用する際においては既膨張状態のものを用いることが成形時の寸法安定性の観点から好ましい。
本発明で用いられるイオン導電剤としては、リチウム塩やイオン液体が好適に用いられる。中でも、液状ゴム中での分散性に優れ、効率的に弾性層を導電化できることからイオン液体が特に好ましく用いられる。また、ゴムの二次架橋後も安定に存在することが望ましいため、200℃以上の分解温度を有するイオン導電剤が好ましい。
下記式(10)で示されるアルキルスルフェートイオン(例えば、メチルスルフェートイオン、エチルスルフェートイオン等);
下記式(11)で示されるパーフルオロアルキルスルホン酸イオン(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(EF11)、パーフルオロエタンスルホン酸イオン(EF21)、パーフルオロプロパンスルホン酸イオン(EF31)、パーフルオロブタンスルホン酸イオン(EF41)、パーフルオロヘキサンスルホン酸イオン(EF61)、パーフルオロオクタンスルホン酸イオン(EF81)、パーフルオロデカンスルホン酸イオン(EF101)等);
下記式(12)で示されるパーフルオロアルキルスルホンイミドイオン(例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン(N111)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミドイオン(N221)、ビス(パーフルオロプロパンスルホニル)イミドイオン(N331)、ビス(パーフルオロブタンスルホニル)イミドイオン(N441)、トリフルオロメタンスルホニル−パーフルオロプロパンスルホニル−イミドイオン(N131)、トリフルオロメタンスルホニル−パーフルオロブタンスルホニル−イミドイオン(N141)等)。
尚、式(10)においてRはアルキル基を示し、式(11)においてRfはパーフルオロアルキル基を示す。式(12)において、Rf1及びRf2はそれぞれ独立のパーフルオロアルキル基を示す。
弾性層5bは、対向部材と圧接することにより定着ニップを形成可能な弾性を定着部材に担持させる層として機能する。かかる機能を発現させる上で、ベースゴム材料としてシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムを用いることが好ましく、中でも付加硬化型のシリコーンゴムが好ましい。付加硬化型のシリコーンゴムは硬化前の段階では液体状態のものが多いため、ベースゴム材料中に樹脂マイクロバルーン、イオン導電剤、凝集化剤を分散させやすく、また、その架橋度を調整することで、弾性層の弾性を調整することができるからである。
(1)分子両末端がR1 2R2SiO1/2で表され、中間単位がR1 2SiOおよびR1R2SiOで表される直鎖状オルガノポリシロキサン、
(2)中間単位にR1SiO3/2乃至SiO4/2が含まれる分岐状ポリオルガノシロキサン。
(i)アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等);
(ii)アリール基(フェニル等);
(iii)置換炭化水素基(例えば、クロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3−シアノプロピル、3−メトキシプロピル等)。
離型層5cを構成する材料としては、トナーの離型性の観点から、フッ素ゴムやフッ素樹脂が挙げられ、中でもフッ素樹脂が好ましい。フッ素樹脂としては、例えば、以下に例示列挙する樹脂が用いられる。テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。
ローラの成形方法、製造方法は広く知られており、本発明の要件に反しない限り公知の方法で加圧ローラを形成可能である。
[1.加圧ローラの製造]
市販の付加硬化型液状シリコーンゴム原液(商品名:SE1740;東レ・ダウコーニング株式会社製)100質量部に対し、樹脂マイクロバルーンとして既膨張アクリロニトリル系コポリマー樹脂マイクロバルーン(商品名:マツモトマイクロスフェアー F−80DE;松本油脂製薬株式会社製)を2質量部、更にイオン導電剤兼凝集化剤としてイオン液体であるパーフルオロブタンスルホン酸−1−エチル−3メチルイミダゾリウム(EMI−EF41)をシリコーンゴム原液に対し0.2mol/Kgの割合になるように配合した。そして、十分に混合し撹拌することで弾性層形成用ゴム組成物を得た。
得られた加圧ローラは、下記の評価に供した。なお、加圧ローラNo.1の評価結果は表1に示す。
加圧ローラの弾性層の帯電防止性能は画像形成装置の通紙による静電オフセット画像の評価で確認できる。加圧ローラの弾性層の帯電防止性能が低い場合、加圧ローラの離型層と加圧ローラと対をなす定着フィルムとの摩擦、或いは紙との摩擦により加圧ローラ表面が帯電し、静電的に紙上のトナーを飛び散らせる静電オフセット画像が発生する。一方、加圧ローラの弾性層の帯電防止性能が高い場合、加圧ローラの弾性層の離型層近傍まで電位制御ができるために静電オフセット画像の発生を抑制できる。
A:静電オフセット画像は全く発生しない。
B:静電オフセット画像は極稀に部分的に発生するが使用上問題無い。
C:醜い静電オフセット画像が発生する。
加圧ローラの弾性層の連泡化は加圧ローラを真空中に放置したときの外径変動により測ることが出来る。弾性層の連泡化が悪い加圧ローラは真空中に放置した場合、膨張し、内部の気体の抜けが遅いために、その外径が増加した状態が長時間維持される。連泡化が良好な加圧ローラの場合は、外径が一旦増加するが、内部の気体の抜けが速いために外径の戻りも早い。連泡化が悪い加圧ローラは、内部の気体の熱膨張の影響が直接反映される為、温度変化による外形変動が大きいものとなる。
A:Δt(10)/Δt(max)が2/3以下である。
C:Δt(10)/Δt(max)が2/3より大きい。
加圧ローラの加熱耐久試験を行う際に、加圧ローラの弾性層に添加した各種材料の影響により、弾性層と離型層との接着が阻害されることが稀に生じる。この評価は、導電剤及び凝集化剤による加圧ローラの弾性層と離型層との接着性への影響を確認するための通紙耐久評価である。
A:25万枚まで全く問題ない。
B:20万枚まで全く問題ない。25万枚で一部剥がれがあるが、実使用上問題ない。
表1に示すようにイオン導電剤の種類を変更した以外には実施例1と同様の手順で、加圧ローラNo.2〜8を得た。実施例1と同様にして加圧ローラの評価を行った。評価結果を表2に示す。尚、表1中のアニオン種、カチオン種の各記号が表すアニオン名およびカチオン名を表3に示す。
表1に示すようにイオン導電剤の種類を変更し、さらに凝集化剤としてトリエチレングリコール(TEG)を5質量部配合したこと以外は、実施例1と同様にして弾性層形成用ゴム組成物を得た。そのあとの工程は実施例1と同様の手順で、加圧ローラNo.9〜15を得た。実施例1と同様にして加圧ローラの評価を行った。評価結果を表2に示す。尚、表1中のアニオン種、カチオン種の組み合わせは、表4に示すイオン液体を意味する。
表1に示すように、イオン導電剤を配合せずに、トリエチレングリコール(TEG)を5質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして弾性層形成用ゴム組成物を得た。そのあとの工程は実施例1と同様の手順で、加圧ローラC1を得た。評価結果を表2に示す。
表1に示すように、イオン導電剤としてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド−リチウム(Li−N111)をシリコーンゴム原液に対し0.2mol/Kgの割合になるように配合した以外は実施例1と同様の手順で、加圧ローラC2を得た。評価結果を表2に示す。
表1に示すように、イオン導電剤の代わりにカーボンブラック(商品名:デンカブラック粒状品;電気化学工業株式会社製)をシリコーンゴム原液に対し10質量部配合した以外は実施例9と同様の手順で、加圧ローラC3を得た。評価結果を表2に示す。
2・・フィルムガイド部材
3・・加熱体
4・・耐熱性フィルム
5・・加圧ローラ
6・・ベースゴム材料
7・・樹脂マイクロバルーン
8・・凝集化剤
9・・空隙
10・・樹脂マイクロバルーンが破泡して形成されたシェルの残渣
11・・真空チャンバー
12・・加圧ローラ支持台
13・・変位量測定センサプローブ
14・・PC
16・・耐熱性ゴム
P・・記録材
N・・定着ニップ部
V・・電圧印加回路
Claims (13)
- 弾性層を有する電子写真用部材であって、該弾性層は、互いに連結され、開放されている、樹脂マイクロバルーン由来の複数の空隙を有し、かつ、イオン導電剤を含有していることを特徴とする電子写真用部材。
- 前記イオン導電剤が、イオン液体である請求項1に記載の電子写真用部材。
- 前記イオン液体のアニオンが、炭素数4以上10以下のパーフルオロアルキルスルホン酸イオン、及び、炭素数1以上4以下のパーフルオロアルキルスルホンイミドイオンの少なくとも一方である請求項2に記載の電子写真用部材。
- 前記弾性層が、基材上に設けられてなる請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記弾性層が、シリコーンゴムを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記弾性層の上に離型層が設けられてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記離型層が、フッ素ゴムまたはフッ素樹脂を含む請求項6に記載の電子写真用部材。
- 前記弾性層が、樹脂マイクロバルーン、イオン導電剤および該樹脂マイクロバルーン用の凝集化剤を含む弾性層形成用ゴム組成物の硬化物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記弾性層形成用ゴム組成物が、付加硬化型の液状シリコーンゴムを更に含む請求項8に記載の電子写真用部材。
- 前記樹脂マイクロバルーンが、100℃に加熱されたときには破泡せず、200℃に加熱されたときには破泡するものである請求項8または9に記載の電子写真用部材。
- 前記樹脂マイクロバルーンが、アクリロニトリル樹脂で形成されたシェルの内部にガスが封入されたアクリロニトリル樹脂マイクロバルーン、塩化ビニリデン樹脂で形成されたシェルの内部にガスが封入された塩化ビニリデン樹脂マイクロバルーン、及び、フェノール樹脂で形成されたシェルの内部にガスが封入されたフェノール樹脂マイクロバルーンから選択される少なくとも1つである請求項8〜10のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 前記凝集化剤がポリオールである請求項8〜11のいずれか一項に記載の電子写真用部材。
- 加熱手段と該加熱手段に対向して配置されている加圧部材とを具備し、該加熱手段と該加圧部材との間に、未定着のトナー像を表面に担持した記録材を導入することにより該トナー像を該記録材に定着させる加熱定着装置であって、該加圧部材が、請求項1〜12のいずれか一項に記載の電子写真用部材であることを特徴とする加熱定着装置。
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