JP4003042B2 - 半導電ロール用シリコーンゴム組成物及び半導電ロール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導電領域(103〜1010Ω)で安定した電気抵抗率を示す半導電ロール用シリコーンゴム組成物及びそれを用いた半導電ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気絶縁性を示すゴム状物質に導電性材料を配合した導電性ゴムは種々知られており、例えば導電性材料としてカーボンブラック等を配合し、電気抵抗率を10-1〜102Ω・cmの範囲にした導電性ゴムが、広い分野で応用されている。一方、電気絶縁性ゴム状物質の一つであるシリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性に優れ、電気絶縁性ゴムとして多く利用されているが、他のゴム状物質と同様に導電性材料を添加することで、導電性ゴムとしても実用化されている。また、抵抗値を安定化する方法としては、特開平3−195752号公報に記載されている通り、シリコーンパウダーの添加が知られている。
【0003】
この場合、導電性シリコーンゴムに添加する導電性材料としては、例えばカーボンブラックやグラファイト、銀,ニッケル,銅等の各種金属粉、各種非導電性粉体や短繊維表面を銀等の金属で処理したもの、炭素繊維,金属繊維などを混合したものが、シリコーンゴムがもつ特異な特性を損なうことなく、その導電性材料の種類及び充填量によりシリコーンゴムの電気抵抗率を1010〜10-3Ω・cm程度まで低下させ得ることから頻繁に使用されている。
【0004】
しかしながら、シリコーンゴムにケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラックを配合した場合、103〜1010Ωという半導電領域では電気抵抗率のバラツキが極めて大きくなり、電気抵抗率を安定化させることは困難であった。これは成形条件により導電性カーボンブラックの分散性が著しく変化することが原因であると考えられる。
【0005】
ところが、最近においては、OA機器の部品、特に乾式複写機における帯電ロール、現像ロール、紙送りロール、定着ロール、加圧ロール、除電ロール、クリーニングロール、オイル塗布ロール等のゴムロールとして、半導電ロールの必要性が高まり、このため半導電領域での電気抵抗率変動が少なく、安定した電気抵抗率を示す半導電ロールが求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、半導電領域での電気抵抗率の変動が極めて狭く、電気抵抗率が成形条件に左右されずに安定している半導電ロールを与える半導電ロール用シリコーンゴム組成物、及びそれを用いた半導電ロールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、熱硬化型オルガノポリシロキサン組成物に、導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタン等の導電性材料と、特定量の平均粒子径が200μm以下の中空フィラーとを配合した半導電性シリコーンゴム組成物を用い、これを成形、硬化して芯金上に半導電シリコーンゴム層を形成した場合、該ゴム層は103〜1010Ωの半導電領域において、電気抵抗のバラツキが2桁以下という安定した電気抵抗率を与え、このため特に現像装置に適した高安定性の半導電ロールが得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
従って、本発明は、熱硬化型シリコーンゴム組成物に、平均粒子径が2〜200μm、真比重が0.01〜0.3であり、それ自身弾性を有する熱可塑性樹脂製中空フィラーを上記組成物中のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して0.1〜10重量部含有すると共に、導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の導電性材料を、硬化後のシリコーンゴムの体積抵抗率を1×10 3 〜1×10 10 Ω・cmとする量で含有してなることを特徴とする半導電ロール用シリコーンゴム組成物、及び、このシリコーンゴム組成物の半導電性硬化層を芯金に形成してなることを特徴とする半導電ロールを提供する。
【0009】
以下、本発明につき更に詳述すると、本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物は、熱硬化型シリコーンゴム組成物のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して平均粒子径が200μm以下の中空フィラーを0.1〜10重量部配合するものであり、その硬化方式は特に限定されないが、付加反応硬化型組成物、有機過酸化物架橋型組成物とすることが好適である。
【0010】
このような半導電ロール用シリコーンゴム組成物としては、
を含有する半導電ロール用シリコーンゴム組成物であることが好ましい。
【0011】
これら各成分について、下記に詳しく説明する。
(A)成分の一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
R1 aSiO(4-a)/2 (1)
式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5の範囲の正数である。
【0012】
ここで上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90%以上がメチル基であることが好ましい。
【0013】
また、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは炭素数2〜6のものであり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。
【0014】
このアルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-6〜5.0×10-3mol/g、特に5.0×10-6〜1.0×10-3mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-6mol/gより少ないと架橋が不十分でゲル状になってしまうことがあり、また5.0×10-3mol/gより多いと架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。
【0015】
なお、このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
【0016】
本発明のオルガノポリシロキサンの構造は、基本的に主鎖部分がR1 2SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がR1 3SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有することが好ましいが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。また、このオルガノポリシロキサンの分子量については、室温(25℃)における粘度が1Pa・s以上、好ましくは10Pa・s以上であれば、室温で液状であっても、生ゴム状のものであってもよい。
【0017】
本発明の(B)成分は、一分子中に珪素原子と結合する水素原子(Si−H基)を少なくとも3個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子中のSi−H基が前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
【0018】
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
R2 bHcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜10、好ましくは1〜8の置換又は非置換の一価炭化水素基である。またbは、0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。)
【0019】
ここで、R2の一価炭化水素基としては、R1で例示したものと同様のものを挙げることができるが、脂肪族不飽和基(アルケニル基)を有しないものが好ましく、特に、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましい。また、bは0.8〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cは1.0〜2.5を満たす正数であることが好ましい。
【0020】
本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも3個(通常、3〜300個)、好ましくは3〜100個、より好ましくは3〜50個の珪素原子結合水素原子(Si−H基)を有するものである。
【0021】
この珪素原子結合水素原子(Si−H基)の含有量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中0.001〜0.017mol/g、特に0.002〜0.015mol/gとすることが好ましい。珪素原子結合水素原子(Si−H基)の量が少なすぎると架橋が不十分でゲル状になってしまうことがあり、また多すぎると架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。
【0022】
なお、この珪素原子に結合する水素原子(Si−H基)は、分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
【0023】
本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜150個程度の室温(25℃)で液状(通常、25℃で1,000mPa・s以下、好ましくは0.1〜500mPa・s程度)のものが好適に用いられる。
【0024】
上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)SiO3/2単位とから成る共重合体などが挙げられる。
【0025】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜30重量部、特に0.3〜20重量部であることが好ましい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対する(B)成分中の珪素原子結合水素原子(Si−H基)の量がモル比で、通常0.3〜10.0、好ましくは0.5〜5.0となる量で配合することもできる。
【0026】
次に、本発明の特徴的成分である(C)成分の中空フィラーは、フィラー自身が弾性を持つことで、硬化時に成形圧力等の応力を緩和し、電気抵抗を安定させる役割を担うものである。このような材料としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものでもかまわないが、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらのモノマーのうち2種類以上の共重合物から選ばれるものが好ましい。また中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。
【0027】
本発明において、シリコーンゴム組成物内で電気抵抗を安定化させるためには、中空フィラーの真比重は0.3以下、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.01〜0.2であることが望ましく、比重が0.3を超えると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、弾性が不十分で電気抵抗の安定性に効果がない。また、比重が小さすぎると配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分となり、成型時に破壊してしまう場合がある。
【0028】
また、中空フィラーの平均粒子径は、200μm以下(通常、2〜200μm)、好ましくは5μm以上150μm以下であり、200μmより大きいと成型時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまったり、ローラ成形後の表面の粗さが大きくなってしまうなどの問題が生じる。なお、上記平均粒子径は、例えばレーザー光回折法等の分析手段を使用した粒度分布計により、重量平均値(メジアン径)等として求めることができる。
【0029】
中空フィラーの配合量は、上記オルガノポリシロキサン成分[(A),(B)成分]100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部である。0.1重量部未満では電気抵抗の安定性が不十分であり、また10重量部を超える配合量では成形、配合が難しいばかりでなく、電気抵抗が不安定になってしまう。
【0030】
(D)成分の導電性材料としては、導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華及び導電性酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上を併用することが好適である。
【0031】
ここで、導電性カーボンブラックとしては、通常導電性ゴム組成物に常用されているものを使用し得、例えばアセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1500℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック等を挙げることができる。
【0032】
具体的に、アセチレンブラックとしては、電化アセチレンブラック(電気化学社製),シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等が、コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製),バルカンC(キャボット社製)等が、スーパーコンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製),バルカンSC(キャボット社製)等が、エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては、旭HS−500(旭カーボン社製),バルカンXC−72(キャボット社製)等が、コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製)等が例示され、また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC及びケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)を用いることもできる。
【0033】
なお、これらのうちでは、アセチレンブラックが不純物含有率が少ない上、発達した二次ストラクチャー構造を有することから導電性に優れており、本発明において特に好適に用いられる。また、その卓越した比表面積から低充填量でも優れた導電性を示すケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用できる。
【0034】
上記(D)成分の導電性材料の配合量は、本シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム)の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cm、特に1×104〜1×109Ω・cmとする量である。
【0035】
具体的に、上記導電性カーボンブラックの添加量は、上述した(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.5〜50重量部、特に1〜20重量部とすることが好ましい。添加量が0.5重量部未満では所望の導電性を得ることができない場合があり、50重量部を超えると得られる硬化物の電気抵抗率が1×103Ω・cm未満となる可能性があり、目的とする半導電領域とはならない場合がある。
【0036】
また、導電性亜鉛華として、具体的には、本荘ケミカル(株)製の導電性亜鉛華等が好適に使用される。この配合量は、上記(A)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対し、好ましくは30〜300重量部、より好ましくは50〜250重量部添加することにより、その硬化物の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cmとすることができる。添加量が30重量部より少ないと導電性を得ることができないおそれがあり、一方300重量部を超えると著しく力学特性を悪化させる場合があり、このため添加量を100〜250重量部とすることが更に好ましい。
【0037】
更に、導電性酸化チタンとしては、例えば白色導電性酸化チタンET−500W(石原産業(株)製)等を挙げることができる。この場合、基本組成はTiO2・SnO2にSbをドープしたものとすることが好ましい。なお、添加量は上述した導電性亜鉛華の添加量と同様とすることができる。
【0038】
(E)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、金属分として(A)及び(B)成分の合計に対して0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
【0039】
(F)成分の有機過酸化物としては、有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物において、(A)成分の架橋反応を促進するための触媒として使用されるものであればよく、従来公知のものとすればよいが、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルイパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0040】
なお、有機過酸化物の添加量は触媒量であり、硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常は(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜2重量部の範囲とすればよい。
【0041】
本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物には、必要に応じてシリカヒドロゲル(含水けい酸)、シリカエアロゲル(無水けい酸−煙霧質シリカ)等の補強性シリカ充填剤、クレイ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、二酸化チタン等の充填剤、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えばジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物などを本発明の目的を損なわない範囲で添加混合してもよい。
【0042】
本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物は、上記(A)〜(E)、又は(A),(C),(D)及び(F)の各成分を常法に準じて混合することにより、得ることができる。
【0043】
本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物は、これを硬化させてなるシリコーンゴムの体積抵抗率が1×103〜1×1010Ω・cm、好ましくは1×104〜1×109Ω・cmとなるものである。
【0044】
本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物は、室温で液状のものから、流動性のない、いわゆるミラブル型のものまで使用することができる。
【0045】
本発明の半導電ロールは、芯金に上記シリコーンゴム組成物の半導電性硬化物層を形成するものであるが、この場合、芯金の材質、寸法等はロールの種類に応じて適宜選定し得る。また、シリコーンゴム組成物の成形、硬化法も適宜選定し得、例えば圧縮成形、注入成形、移送成形、射出成形、コーティング等の方法によって成形でき、加熱により硬化される。この際の硬化条件としては、特に限定されるものではないが、一般的には、80〜250℃で10秒〜30分加熱硬化させ、更に100〜250℃で30分〜24時間ポストキュアすることが好ましい。
【0046】
また、本発明の半導電ロールは、シリコーンゴム層の外周に更にフッ素系樹脂層を設けてもよい。この場合、フッ素系樹脂層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブなどにより形成され、上記シリコーンゴム層を被覆する。
【0047】
ここでフッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂などが挙げられるが、これらのうちで特にPFAが好ましい。
【0048】
なお、この半導電ロールの半導電性硬化物層(シリコーンゴム層)は、通常0.2〜50mm、特に0.5〜30mmの厚さに成形され、その硬化物層表面と芯金との間の電気抵抗が1×103〜1×1010Ω、特に1×104〜1×109Ωであることが好ましく、本発明のシリコーンゴム層は、上記抵抗値の範囲において、電気抵抗のバラツキが2桁以内であるため、特に現像装置における帯電ロール、現像ロール、紙送りロール等の半導電層として好適である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の半導電ロール用シリコーンゴム組成物は、成形加工性及び加硫特性に優れたものであり、半導電領域での電気抵抗率が成形条件によって左右されず、かつバラツキが極めて少なく安定していると共に、ゴム弾性に優れた半導電ロールが得られるものである。
【0050】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において部はいずれも重量部を示す。
【0051】
[実施例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が10Pa・sであるジメチルポリシロキサン(重合度500)100部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)と、比重0.04,平均粒子径40μmの熱可塑性樹脂製中空フィラー(Expancel DE、エクスパンセル社製)と、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)を下記表1に示す量プラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)1.7部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。
【0052】
直径10mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に、付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業社製)を塗付した。このアルミニウムシャフトを金型内に固定し、上記シリコーンゴム組成物を金型内に10kg/cm2で充填して150℃で30分間加熱硬化し、更に180℃で2時間ポストキュアして外径30mm×長さ250mmのシリコーンゴムロールを得た。
得られたロールの硬さ及び電気特性を測定した結果を表1に示す。
【0053】
なお、電気特性は、図1に示すような幅7mmの電極3にロール1を接触させ、電極3とロール芯金2との間の抵抗を測定した。測定個所は軸方向に対し、20点についてそのバラツキを評価した。測定電圧は100V、測定機器4は(株)アドバンテストデジタル製の超高抵抗計R8340を用いた。
【0054】
[実施例2]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が10Pa・sであるジメチルポリシロキサン(重合度500)100部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)と、比重0.13,平均粒子径100μmである表面が炭酸カルシウムでコートされた熱可塑性樹脂製中空フィラー(MFL−100CA、松本油脂製薬製)と、白色導電性酸化チタンET−500W(石原産業(株)製)を下記表1に示す量プラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)1.7部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。
【0055】
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に、付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業社製)を塗付した。内面を同様にプライマー処理した50μmのフッ素PFAチューブとアルミニウムシャフトとの間に、上記シリコーンゴム組成物を5kg/cm2で充填して150℃で30分間加熱硬化し、更に180℃で2時間ポストキュアして外径30mm×長さ250mmのPFA樹脂被覆シリコーンゴムロールを作製した。
得られたロールの硬さ及び電気特性を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0056】
[実施例3]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%とメチルビニルシロキサン単位0.15モル%とからなる平均重合度が約8,000の生ゴム状のメチルビニルポリシロキサン100部、処理シリカR−972(日本アエロジル社製)及び比重0.02,平均粒子径90μmの熱可塑性樹脂製中空フィラー(マイクロスフィアーF80ED、松本油脂製薬製)を下記表1に示す量で配合し、更にアセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)を下記表1に示す量添加し、混練した。次いで、有機過酸化物の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン1.0部を添加して混練し、シリコーンゴム組成物を得た。
【0057】
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に、過酸化物硬化型シリコーンゴム用プライマーNo.18B(信越化学工業社製)を塗付した。このアルミニウムシャフトを金型内に固定し、上記シリコーンゴム組成物を金型内に80kg/cm2で充填して180℃で30分間加熱硬化し、更に180℃で2時間ポストキュアして外径30mm×長さ250mmのシリコーンゴムロールを得た。
得られたロールの硬さ及び電気特性を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0058】
[比較例1]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃での粘度が10Pa・sであるジメチルポリシロキサン(重合度500)100部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)及びアセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)を下記表1に示す量をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)1.7部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。
【0059】
直径10mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に、付加反応型液状シリコーンゴム用プライマーNo.101A/B(信越化学工業社製)を塗付した。このアルミニウムシャフトを金型内に固定し、上記シリコーンゴム組成物を金型内に10kg/cm2で充填して150℃で30分間加熱硬化し、更に180℃で2時間ポストキュアして外径30mm×長さ250mmのシリコーンゴムロールを得た。
得られたロールの硬さ及び電気特性を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0060】
[比較例2]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%とメチルビニルシロキサン単位0.15モル%とからなる平均重合度が約8,000の生ゴム状のメチルビニルポリシロキサン100部、処理シリカR−972(日本アエロジル社製)を下記表1に示す量で配合し、更にアセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)を下記表1に示す量添加し、混練した。次いで、有機過酸化物の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン1.0部を添加して混練し、シリコーンゴム組成物を得た。
【0061】
直径20mm×長さ300mmのアルミニウムシャフトの表面に、過酸化物硬化型シリコーンゴム用プライマーNo.18B(信越化学工業社製)を塗付した。このアルミニウムシャフトを金型内に固定し、上記シリコーンゴム組成物を金型内に80kg/cm2で充填して180℃で30分間加熱硬化し、更に180℃で2時間ポストキュアして外径30mm×長さ250mmのシリコーンゴムロールを得た。
得られたロールの硬さ及び電気特性を実施例1と同様に測定した結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】半導電ロールの電気特性を測定するために用いられた装置の概略図である。
【符号の説明】
1 ロール
2 芯金
3 電極
4 測定機器
Claims (9)
- 熱硬化型シリコーンゴム組成物に、平均粒子径が2〜200μm、真比重が0.01〜0.3であり、それ自身弾性を有する熱可塑性樹脂製中空フィラーを上記組成物中のオルガノポリシロキサン成分100重量部に対して0.1〜10重量部含有すると共に、導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の導電性材料を、硬化後のシリコーンゴムの体積抵抗率を1×10 3 〜1×10 10 Ω・cmとする量で含有してなることを特徴とする半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 中空フィラーを含有する熱硬化型シリコーンゴム組成物が、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100重量部
(B)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30重量部
(C)平均粒子径が2〜200μm、真比重が0.01〜0.3であり、それ自身弾性を有する熱可塑性樹脂製中空フィラー
(A),(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜10重量部
(D)導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の導電性材料 硬化後のシリコーンゴム
の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cmとする量
(E)付加反応触媒 触媒量
を含有してなることを特徴とする請求項1記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。 - 中空フィラーを含有する熱硬化型シリコーンゴム組成物が、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100重量部
(C)平均粒子径が2〜200μm、真比重が0.01〜0.3であり、それ自身弾性を有する熱可塑性樹脂製中空フィラー 0.1〜10重量部
(D)導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタンから選ばれる1種又は2種以上の導電性材料 硬化後のシリコーンゴム
の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cmとする量
(F)有機過酸化物 触媒量
を含有してなることを特徴とする請求項1記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。 - 熱可塑性樹脂製中空フィラーの平均粒子径が5〜200μmである請求項1,2又は3記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 熱可塑性樹脂製中空フィラーの真比重が0.01〜0.2である請求項1〜4のいずれか1項記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 中空フィラーが、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれるモノマーの重合物並びにこれらのうち2種類以上のモノマーの共重合物からなるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 導電性材料の配合量が、硬化後のシリコーンゴムの体積抵抗率を1×104〜1×109Ω・cmとする量である請求項1〜6のいずれか1項記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 現像装置における帯電ロール、現像ロール、紙送りロール、除電ロール、クリーニングロール又はオイル塗布ロールに適用されるものである請求項1〜7のいずれか1項記載の半導電ロール用シリコーンゴム組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載のシリコーンゴム組成物の半導電性硬化層を芯金に形成してなることを特徴とする半導電ロール。
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