JP7187160B2 - 電子写真用加圧回転体およびその製造方法、定着装置 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して提供し得る定着装置の提供に向けたものである。
ここで、第1の工程において、密閉された成形用型内では、液状シリコーンゴム混合物は、本来であれば、流動することはない筈であるが、実際には、成形用型から液状シリコーンゴム混合物が漏出している場合があった。そして、液状シリコーンゴム混合物の成形用型からの漏出が認められた場合に、第2の工程を経て得られた弾性層中のゴム骨格の太さのバラつきが大きかった。このことから、密閉された成形用型内で、液状シリコーンゴム混合物が流動すると、当該液状シリコーンゴム混合物の乳化状態が破壊され、液状シリコーンゴム混合物中の含水ゲル同士が凝集することにより、得られる弾性層中のゴム骨格の太さにバラつきが生じるものと考察した。
(1)定着装置
図1は本発明の一実施形態に係る定着装置を示す断面図である。この定着装置は、いわゆるオンデマンド型の熱定着装置であり、加熱源としてセラミックヒータを用いたフィルム加熱方式の熱定着装置である。以下オンデマンド型の熱定着装置を例にその構成の概略を説明する。
なお本発明に係る定着装置は、この形態に限定されるものではなく、一般的に用いられる、ハロゲンヒータを熱源に用いたヒートロール型の定着装置や、コイルに通電することで部材自体を発熱させる誘導加熱(IH)方式の定着装置にも適用可能である。
ヒータ2は、セラミック基板上に発熱抵抗体を設けた構成を有する。図1に示すヒータ2は、アルミナ製の横長・薄板状のヒータ基板2aと、その表面側(フィルム摺動面側)にヒータ基板2aの長手方向に沿って形成具備させた線状あるいは細帯状の、Ag/Pd製の通電発熱体(発熱抵抗体)2cと、を有する。また、ヒータ2は、通電発熱体2cを覆って保護するガラス製の薄い表面保護層2dを有する。そしてヒータ基板2aの裏面側にサーミスタ(検温素子)2bが接触している。このヒータ2は、通電発熱体2cに対する電力供給により迅速に昇温した後、検温素子2bを含む電力制御手段(不図示)によって所定の定着温度を維持するように制御できる。定着温度は定着部材表面の目標温度であり、印刷速度、紙種、定着部材構成およびトナー種によって適宜設定される。一般的な定着温度としては、150℃以上200℃以下である。
表層の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)および、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)といったフッ素樹脂材料が用いられる。
なお、ベースフィルムと表層の間に、硬化シリコーンゴムを含む弾性層、接着層を設けても良い。
電子写真用加圧回転体4は、フィルム3を介してヒータ2の表面保護層2dに所定の加圧機構(不図示)により所定の加圧力で加圧されている。その加圧力に応じて電子写真用加圧回転体4の弾性層4bが弾性変形し、電子写真用加圧回転体4の表面とフィルム3の表面との間に未定着トナー画像Tの加熱定着に必要な所定幅のニップ部Nが形成される。加圧力は、製品の対象とする紙種・サイズ・トナー種類・定着装置の構成によって適宜設定される。一般的な加圧力は、10kgfから70kgf程度に設定される。
電子写真用加圧回転体4は、駆動源Mの駆動力が不図示のギア(動力伝達機構)を介して伝達されて、所定の周速度で矢印bの反時計方向に回転駆動される。
フィルム3は、画像形成実行時に電子写真用加圧回転体4が矢印bの反時計方向に回転駆動されることにより、電子写真用加圧回転体4の回転に従動して矢印aの方向に回転する。
図2は、本発明の一実施形態に係る電子写真用加圧回転体4を示す斜視図である。電子写真用加圧回転体4は、基体4a、硬化シリコーンゴムを含む弾性層4b、およびフッ素含有樹脂チューブからなる表層4cで構成されている。
電子写真用加圧回転体4を構成する弾性層4bは、硬化シリコーンゴムと、硬化シリコーンゴム中に分散されている針状フィラー4b1を含む。また、弾性層4bは、複数個の空隙4b2を有する。そして、弾性層4bを、電子写真用加圧回転体4の長手方向に基体4aの中心軸を含むb断面で切断したときの切断面において、電子写真用加圧回転体4の長手方向の切断面であるb断面の単位面積における空隙4b2の各々の断面積の総和(以下、「空隙面積」ともいう。)をA1、b断面の単位面積をA2としたときの面積比A1/A2の標準偏差が0.08以下である。
該標準偏差の下限値としては、特に限定されないが、現実的には0.01以上である。該標準偏差は、後述する、針状フィラーを含み、かつ、含水ゲルを分散させてなるエマルジョン状態の液状シリコーンゴム混合物の成形用型内における硬化時の流動を高度に制御(抑制)することで、0.08以下とすることが可能である。
弾性層4bのベースポリマーは、付加硬化型の液状シリコーンゴムの硬化物を含む。付加硬化型の液状シリコーンゴムは、ビニル基の如き不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(A)と、Si-H基(ヒドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(B)とを有する未架橋シリコーンゴムである。加熱により不飽和脂肪族基の不飽和結合に対して、Si-H基が付加することで架橋反応が進行する。また、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(A)とSi-H基を有するオルガノポリシロキサン(B)の量を適宜調整することで、所望の硬度となるベースポリマーを得ることができる。
針状フィラー4b1の含有率としては、弾性層4bに対して2体積%以上15体積%以下とすることが好ましい。針状フィラー4b1の含有比率を2体積%以上とすることで、周方向シワの抑制効果を得ることができる。また、針状フィラー4b1の含有比率を15体積%以下とすることで、弾性層4bを容易に成形することができる。また、針状フィラー4b1の含有比率を15体積%以下とすることで、弾性層4bの弾性の過度の低下を避けることができ、定着装置の電子写真用加圧回転体4としてのニップ部Nの確保が容易となる。
このような針状フィラー4b1の具体例として、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、ガラスファイバー、その他無機ウィスカーが挙げられる。針状フィラー4b1としては、より具体的な形状として、図3において直径Dの平均が5μm以上11μm以下であり、かつ長さLの平均が50μm以上1000μm以下であって、アスペクト比が5以上120以下であるものが、工業的に容易に入手可能である。長さLが50μm以上であることにより、針状フィラー4b1を効果的に、電子写真用加圧回転体4の長手方向に配向させることができる。
アスペクト比=平均長さ/平均直径
電子写真用加圧回転体4の弾性層4bは、弾性層4bの熱伝導率を低下させるために、空隙4b2を含んでいる。すなわち、電子写真用加圧回転体4の熱伝導を抑えることによって、加熱部材からの熱が基体4aに逃げることを抑制し、加熱部材の温度上昇速度を向上させ、ウォームアップタイムを短縮することができる。本発明に係る弾性層4bの空隙4b2は、弾性層4bを基体4aの中心軸を含むb断面で切断したときの切断面における空隙面積をA1、単位面積をA2としたときの面積比A1/A2の標準偏差が0.08以下となるように分散されている。
そのため、空隙4b2の分散を面積比A1/A2の標準偏差により評価する際に、差が現われやすいと考えている。2値化は大津の判別法で行う。得られた2値化画像を、53μm四方のサイズに細分化し、得られた細分化画像に対して、空隙面積A1と単位面積A2を求めて、それぞれの面積比A1/A2を算出した。2値化画像を細分化する単位面積を、53μm四方とする理由は、本発明者らの検討過程において、53μm四方の単位面積に対する空隙面積の比(面積比)の標準偏差が、電子写真用加圧回転体の過酷耐久試験後の硬度変化の有無の結果とよく相関する結果となったためである。
空隙率(体積%)=[{Vall-(Мp/ρp+Va)}/Vall]×100
なお、実施例に記載の空隙率は、任意の部分を5か所切り出すことで評価サンプルとし、各評価サンプルより求めた空隙率の平均値を弾性層4bの空隙率とした。
電子写真用加圧回転体4に離型性を付与するために、フッ素含有樹脂チューブからなる表層4cを弾性層4b上に設けてもよい。
表層4cを構成する材料としては、画像印刷時の記録材Pの離型性の観点からフッ素含有樹脂が用いられる。フッ素含有樹脂の具体例としては、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が挙げられる。また、上記列挙した材料を2種類以上ブレンドして使用しても良く、添加物を加えても良い。
表層4cの厚さは、電子写真用加圧回転体4に充分な離型性を付与することができる範囲であれば特に限定されないが、20μm以上50μm以下であることが好ましい。
以下のような製造方法により、弾性層4bに針状フィラー4b1を含有し、かつ、水が分散したシリコーンゴムの水分を蒸発させて形成した空隙4b2が分散している電子写真用加圧回転体4を得ることができる。
本発明に係る、空隙4b2を有する弾性層4bの形成方法には、含水ゲル、付加硬化型の液状シリコーンゴム、および針状フィラー4b1を含むエマルジョン状の液状組成物を使用する。
また、必要に応じて乳化剤や粘度調整剤を添加してから混合、撹拌して液状組成物を調製してもよい。乳化用添加剤としては、ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル 商品名:イオネット HLB4.3、三洋化成工業(株))の界面活性剤が挙げられる。
本工程を、図6を用いて具体的に説明する。図6は、電子写真用加圧回転体4の製造時の型の概略説明図である。図6において、内面が円筒形状であるフッ素含有樹脂チューブからなる表層4cが、筒型7に固定されている。なお、表層4cは、弾性層4bとの接着のため、必要であれば、液状組成物を注型する前に、内面に適宜プライマー塗布処理を行っても良い。本発明に係る電子写真用加圧回転体4の基体4aは、表面に弾性層4bが形成される部位を接着処理した後に、筒型7内に配置され、軸受け5と軸受け6によって把持されている。基体4aの外周面と表層4cの内周面との間には、キャビティ9が形成されている。この時点でキャビティ9は、連通路10および連通路11によって、外部と通じている。
そして、基体4aが筒型7の両端に設置された軸受け5と軸受け6により把持された型において、基体4aの外周面と筒型7の内周面との間に形成されたキャビティ9に、上記工程(i)で調製した本発明に係る液状組成物を、連通路11から充填する。この時、連通路10の先にアスピレーター(不図示)などの減圧器を取り付け、キャビティ9内を減圧状態にすることで、液状組成物を注入する注型時の、泡噛みを低減することができる。泡噛みを低減することにより、後述する工程(iii)における液状組成物の熱膨張時の流動を低減することができるので、乳化破壊の進行を抑制し、空隙4b2の分布が均一となる。その結果、本発明に係る弾性層4bを基体4aの中心軸を含む断面で切断したときの切断面における空隙面積をA1、単位面積をA2としたときの面積比A1/A2の標準偏差が小さくなる。なお、キャビティ9内の減圧は、上述の表層4cと筒型7の密着のための減圧よりも低く設定し、液状組成物注入時においても、表層4cと筒型7が密着した状態を保つ必要がある。
次いで、注型用流路として開いていた連通路10と連通路11をネジやボールバルブなどで液状組成物が流出しないように閉じることで、液状組成物で充填されたキャビティ9を密閉する。この状態で、水の沸点未満の温度、例えば、60℃以上90℃以下で、5分~120分加熱し、弾性層4bのベースポリマーであるシリコーンゴム成分を硬化させる。
溝12の深さは、Oリング8の筒型7のテーパー面から出た量(突出し量)に対して、20%以上100%以下の値をとることが好ましい。溝12をこのような深さとすることによって、Oリング8と溝12が相対する箇所での接触面積が少なくなり過ぎることを防止できる。また、Oリング8と溝12との圧接がされず、高いレベルの密閉がされにくくなることを防止できる。また、溝12の曲率は、Oリング8の断面の曲率よりも小さく設定することが好ましい。溝12をこのような曲率とすることによって、筒型7と軸受け5および軸受け6とが嵌合する際のOリング8の潰れ方が、溝12に沿った形になり易い。そのため、高レベルの密閉をより確実に達成し得る。
工程(iii)において液状組成物中の付加硬化型の液状シリコーンゴムを架橋硬化した後、型を適宜、水冷や空冷により冷却し、硬化物を脱型する。また、工程(v)で弾性層4bを形成した後に、電子写真用加圧回転体4を脱型してもよい。
基体4aに積層した液状組成物の硬化物から加熱処理により水を除去し、空隙4b2を形成する。加熱処理条件としては、温度が100℃以上250℃以下、加熱時間は1~5時間であることが望ましい。工程(v)は、工程(iv)の前後いずれで行ってもよい。
上述のように、予め注型成形用型内部にフッ素含有樹脂チューブを固定配置してから液状組成物を注型する方法によって、表層4cを積層できる。また、表層4cは弾性層4bの形成後に、フッ素含有樹脂チューブを被覆し、接着剤により接着固定する方法によっても表層4cを積層できる。
(基体4a)
基体4aとして、鉄製基体(直径24.5mm、弾性層4bの形成域の長さ330mm)を使用した。
(ベースポリマー)
弾性層4bのベースポリマーとして、25℃環境、せん断速度10(1/s)において粘度が10Pa・sである、付加硬化型液状シリコーンゴムを使用した。
(含水ゲル)
含水ゲルについては、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分として含み、かつ、スメクタイト系粘土鉱物を含む増粘剤(商品名:ベンゲルW-200U;株式会社ホージュン製)1質量部に対して、99質量部のイオン交換水を加えて十分に撹拌し、膨潤させることにより調製した含水ゲルを使用した。
針状フィラー4b1として、下記の4種類の繊維状物質を使用した。
1.ピッチ系炭素繊維 商品名:GRANOC Milled Fiber XN-100-05M(日本グラファイトファイバー株式会社製);繊維径9μm、繊維長50μm、アスペクト比6、密度2.2g/cm3、以下「100-05M」と記載。
2.ピッチ系炭素繊維 商品名:DIALEAD K223HM(三菱樹脂株式会社製);繊維径11μm、繊維長200μm、アスペクト比18、密度2.2g/cm3、以下「K223HM」と記載。
3.PAN系炭素繊維 商品名:トレカ ミルドファイバー MLD-300(東レ株式会社製);繊維径7μm、繊維長130μm、アスペクト比19、密度1.8g/cm3、以下「MLD-300」と記載。
4.ガラス繊維 商品名:EFH150-01(セントラルグラスファイバー株式会社製);繊維径11μm、繊維長150μm、アスペクト比14、密度2.6g/cm3、以下「150-01」と記載。
表層4cとしては、厚み40μm、外径29.0mmのPFAチューブを使用した。PFAチューブは以下に示す市販品を使用した。
<商品名:テフロン(登録商標) PFA 451HP-J(三井・デュポン フロロケミカル株式会社製)、以下「451HP-J」と記載>
[実験例A]
(実施例A-1)
ベースポリマーである未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと、針状フィラー4b1である「100-05M」と、含水ゲルとを、万能混合撹拌機(商品名:T.K.ハイビスミックス2P-1、プライミクス株式会社製)を用いて撹拌羽根の回転数を80rpmとして、30分間撹拌し、エマルジョン状態の液状組成物を調製した。この際、未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1は、表1にあるとおり、針状フィラー4b1の含有率が15体積%となるように配合した。
なお、Oリング8は断面の直径が3.5mmの太さのものを使用し、筒型7の溝に保持され、筒型7のテーパー面から出た状態であった。さらに、軸受け5および軸受け6に設けられた溝12の曲率は、Oリング8の形状に沿うように半径2mmの円弧を描くように丸く設定した。また、溝12の深さは、Oリング8の筒型7のテーパー面から出た量に対して、60%となるように設定した。
実施例A-1と同じ液状組成物を、連通路11を通じてキャビティ9内に注入充填する際に、連通路10の先に減圧器(商品名:VUH07-66A、株式会社日本ピスコ製)を用いてキャビティ9を減圧状態にした後に、キャビティ9内を液状組成物で満たしたという以外は、実施例A-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.A-02を得た。
なお、空隙面積割合の標準偏差の測定においては、電子写真用加圧回転体No.A-02と同じ作成方法により得た電子写真用加圧回転体を用いて、実施例A-1と同様に測定した。標準偏差のうち、最大の値を電子写真用加圧回転体No.A-02の標準偏差として、表1に示した。
軸受け5と軸受け6に溝12を設けない軸受けを使用した以外は、実施例A-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.A-03を得た。
なお、面積比A1/A2の標準偏差の測定においては、電子写真用加圧回転体No.A-03と同じ作成方法により得た電子写真用加圧回転体を用いて、実施例A-1と同様に測定した。標準偏差のうち、最大の値を電子写真用加圧回転体No.A-03の標準偏差として、表1に示した。
ベースポリマーである未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと、針状フィラー4b1である「K223HM」と、含水ゲルを混合し、万能混合撹拌機(商品名:T.K.ハイビスミックス2P-1、プライミクス株式会社製)を用いて撹拌羽根の回転数を80rpmとして、30分間撹拌し、エマルジョン状態の液状組成物を調製した。この際、未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1は、表1にあるとおり、針状フィラー4b1の含有率が7体積%となるように配合した。
これ以外は、実施例A-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.B-01を得た。得られた、電子写真用加圧回転体No.B-01の弾性層4bの空隙率は40体積%であった。
実施例B-1と同じ液状組成物を、連通路11を通じてキャビティ9内に注入充填する際に、連通路10の先に減圧器(商品名:VUH07-66A、株式会社日本ピスコ製)を用いてキャビティ9を減圧状態にした状態でキャビティ9内を液状組成物で満たしたという以外は、実施例B-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.B-02を得た。
軸受け5と軸受け6に溝12を設けない軸受けを使用した以外は、実施例B-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.B-03を得た。
ベースポリマーである未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと、針状フィラー4b1である「MLD-300」と、含水ゲルを混合し、万能混合撹拌機(商品名:T.K.ハイビスミックス2P-1、プライミクス株式会社製)を用いて撹拌羽根の回転数を80rpmとして、30分間撹拌し、エマルジョン状態の液状組成物を調製した。この際、未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1は、表1にあるとおり、針状フィラー4b1の含有率が2体積%となるように配合した。
これ以外は、実施例A-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.C-01を得た。得られた、電子写真用加圧回転体No.C-01の弾性層4bの空隙率は20体積%であった。
実施例C-1と同じ液状組成物を、連通路11を通じてキャビティ9内に注入充填する際に、連通路10の先に減圧器(商品名:VUH07-66A、株式会社日本ピスコ製)を用いてキャビティ9を減圧状態にした状態でキャビティ9内を液状組成物で満たしたという以外は、実施例C-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.C-02を得た。
軸受け5と軸受け6に溝12を設けない軸受けを使用した以外は、実施例C-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.C-03を得た。
なお、面積比A1/A2の標準偏差の測定においては、電子写真用加圧回転体No.C-03と同じ作成方法により得た電子写真用加圧回転体を用いて、実施例A-1と同様に測定した。標準偏差のうち、最大の値を電子写真用加圧回転体No.C-03の標準偏差として、表1に示した。
ベースポリマーである未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと、針状フィラー4b1である「150-01」と、含水ゲルを混合し、万能混合撹拌機(商品名:T.K.ハイビスミックス2P-1、プライミクス株式会社製)を用いて撹拌羽根の回転数を80rpmとして、30分間撹拌し、エマルジョン状態の液状組成物を調製した。この際、未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1は、表1にあるとおり、針状フィラー4b1の含有率が4体積%となるように配合した。
軸受け5と軸受け6に溝12を設けない軸受けを使用した以外は、実施例D-1と同様の条件で、電子写真用加圧回転体No.D-02を得た。
得られた電子写真用加圧回転体の硬度を、面積比A1/A2の標準偏差の測定のためのサンプルを切り出した6箇所と同じ位置で、硬度計(商品名:デュロメーター タイプE;高分子計器株式会社製、1kgf)を用いて測定した。
その後、作製した電子写真用加圧回転体を、図1で示す定着装置に、定着部材と電子写真用加圧回転体の間にかかる加圧力を70kgfに設定して、搭載した。
次いで、連続通紙による過酷耐久試験を行い、通紙枚数10万枚後に、定着装置から電子写真用加圧回転体を取り出し、過酷耐久試験前に測定した6箇所について同様に硬度測定した。各6箇所の位置の過酷耐久試験前の硬度をそれぞれ100%とした時の、過酷耐久試験後の硬度変化率のうち、最大の硬度変化率を、過酷耐久試験による硬度変化率として表1に示した。
硬度変化率={(過酷耐久試験後硬度-過酷耐久試験前硬度)/過酷耐久試験前硬度}×100
2 ヒータ
2a ヒータ基板
2b サーミスタ
2c 通電発熱体
2d 表面保護層
3 フィルム(加熱部材)
4 電子写真用加圧回転体
a フィルムの回転方向
b 電子写真用加圧回転体の回転方向
M 駆動源
N ニップ部
P 記録材
T 未定着トナー画像
4a 基体
4b 弾性層
4c 表層
D 針状フィラーの直径
L 針状フィラーの長さ
4bs サンプル
4b1 針状フィラー
4b2 空隙
5 軸受け
6 軸受け
7 筒型
8 Oリング
9 キャビティ
10 連通路
11 連通路
12 溝
13 横穴
Claims (5)
- 基体と、
該基体の上に形成された弾性層を有し、
該弾性層はシリコーンゴムと、該シリコーンゴム中に分散されている針状フィラーとを含み、かつ、複数個の空隙を有している電子写真用加圧回転体の製造方法であって、該製造方法が
液状シリコーンゴムに針状フィラーおよび含水ゲルを分散させエマルジョン状の液状組成物を得る工程と、
該基体が筒型の両端に設置された軸受けにより把持された型において、該基体の外周面と該筒型の内周面との間に形成されたキャビティに、該液状組成物を充填する工程と、
該キャビティ内の該液状組成物を流動させることなく、該液状シリコーンゴムを加熱により架橋硬化し、硬化物を得る工程と、
該硬化物から水を除去する工程と、
を有し、
該筒型が、該軸受けとの嵌め合い部分を構成するテーパー面を両端に有し
該テーパー面の各々に該軸受けが嵌合しており、
該筒型は、該テーパー面に、Oリングを、該Oリングが該テーパー面から突き出た状態で保持しており、 該軸受けは、該テーパー面との嵌め合い部分に該Oリングの該テーパー面からの突出し量に対して20%以上100%以下の深さの溝を有する、ことを特徴とする電子写真用加圧回転体の製造方法。 - 前記液状組成物を充填する工程が、減圧状態とした前記キャビティに、該液状組成物を充填する工程を含む、請求項1に記載の電子写真用加圧回転体の製造方法。
- 前記液状組成物を充填する工程が、表層が前記筒型の内壁に密着させた状態で行われる、請求項1または2に記載の電子写真用加圧回転体の製造方法。
- 前記液状組成物中の前記含水ゲルの含有率が、20体積%以上60体積%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真用加圧回転体の製造方法。
- 前記含水ゲルの径が、1μm以上30μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真用加圧回転体の製造方法。
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