JP6570350B2 - 弾性ローラ及び定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真複写装置やプリンターといった画像形成装置に搭載する定着装置、及びこの定着装置に用いられる弾性ローラ及びこれを用いた定着装置に関する。
電子写真方式を用いるトナー画像形成装置に用いられている定着装置は、ヒータによって加熱され、記録材の画像担持面に当接して画像を加熱する加熱部材と、該加熱部材に対向して配置され、該加熱部材と共に定着ニップ(以下、「ニップ部」と称す)を形成する加圧部材とを有している。
近年、省エネルギー化を目的として、定着装置の加熱効率を高め、定着装置の立ち上がり時間(ウォームアップタイム)を短縮するための技術開発が行われている。そのうちの一つとして、加圧部材の弾性層に多数の空隙を有する多孔質のシリコーンゴムを用いることがある。かかる加圧部材は、熱伝導が抑制されているため、加熱部材からの熱が加圧部材を伝って他の部材へ逃げるのを妨げ、トナーが担持された記録材をニップ部で効率的に加熱することができる。
しかしながら、熱伝導が抑制された加圧部材では、記録材を通過させる際に記録材が接しないニップ部の領域(以下、「非通紙部」と称す)、より具体的には、加圧部材の幅方向両端部の昇温、所謂「非通紙部昇温」を加速するという課題がある。
非通紙部昇温は、ニップ部の、記録材が接しない領域において加熱部材からの熱が記録材や記録材上のトナーによって奪われず、該領域が昇温する現象であり、とくに記録材を連続してニップ部を通過させる際に顕著に生じる。非通紙部昇温が発生すると、定着装置を構成する加熱部材や加圧部材の変質や変形を招来することがある。また、小サイズの記録材を通紙して過昇温した状態にあるニップ部に、相対的に大きなサイズの記録材を通した場合、トナーの過度の溶融により、オフセットが生じることがある。
そこで、特許文献1には、加圧ローラの弾性層に空隙を分散することで立ち上がり性能を良化させつつ、加圧ローラの回転軸に沿う方向(以下「軸方向」と記す)に針状フィラーを配向させることにより加圧ローラの軸方向の伝熱性を良化させて非通紙部昇温を緩和することが記載されている。
特開2012−37874号公報
近年の電子写真画像形成装置に対する省エネルギー化の要請から、定着装置の立ち上がり性能の更なる向上、すなわち、ウォームアップタイムのより一層の短縮が求められるようになってきている。
そこで本発明者らは、特許文献1に記載の加圧ローラについて、弾性層中の空隙部の比率をさらに向上させることを検討した。特許文献1に記載の加圧ローラは、付加硬化型の液状シリコーンゴムの未架橋材料、針状フィラー、及びマイクロバルーンや樹脂バルーンのような中空体を含む液状組成物を成形型に注入することによって、針状フィラーが配向しつつ空隙が分散された弾性層を形成している。
しかしながら、このような中空体を多量に含む液状組成物を成形型に注入した場合、針状フィラーの軸方向への配向が中空体によって阻害されてしまう。そのため、針状フィラーの軸方向への配向と、空隙部の比率の更なる向上とを両立させることが困難であり、針状フィラーを軸方向に配向させることを前提とした場合、空隙率を10%超とすることは困難であった。
これに対し、中空体を含む液状組成物に変えて、水を針状フィラーとともに分散させたシリコーンゴムの乳化物を成形型内に注入し、水を含んだ状態でシリコーンゴムを硬化させた後、硬化シリコーンゴムから脱水することによって、高空隙率を有する弾性層であっても針状フィラーを回転軸に沿う方向に配向させることが可能であることが判明した。
この方法では、付加硬化型の液状シリコーンゴムの未架橋材料、水、増粘剤、針状フィラー及び乳化剤を含む乳化物を成形型に注入した後に、水分の蒸発が起きない温度においてシリコーンゴム成分を架橋し、さらにその後、硬化兼脱水工程を経て多孔質シリコーンゴムが形成される。この方法においては、液状シリコーンゴム内に分散された水が、針状フィラーの軸方向への配向を阻害し難いものと考えられる。
しかしながら、かかる方法により作製された加圧ローラは、長期間にわたり使用すると、用紙(記録材)の搬送性が不安定化したり、加圧ローラ上にしわが生じたりして、高品位な画像が得られない場合があった。これは、上記した方法で製造された硬化シリコーンゴム中の空隙は、ガラスバルーンのような中空体を用いた場合と異なり、空隙の周囲にはシェルが存在しない。そのため、定着装置の加圧ローラとして使用したときに受ける圧力の印加と圧力の解放によって、弾性層が変形し易いためであると考えられる。
そこで本発明の目的は、非通紙部昇温の抑制と高い立ち上がり性能を両立しつつ、長期間にわたり形状安定性が得られる弾性ローラを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、非通紙部昇温が生じ難く記録材を効率よく加熱することができ、かつ、安定して高品位な画像を形成しうる定着装置を提供することにある。
本発明によれば、軸芯体と、該軸芯体の周面に形成された弾性層と、を有する弾性ローラであって、該弾性層は、針状フィラーと、シェルを有さない空隙とを含み、
該弾性層の空隙率は、20体積%以上60体積%以下であり、該弾性層の、該軸芯体から離れた側の表面から該軸芯体に向かって、該弾性層の厚さの30%の厚さの領域を領域Bとし、該弾性層の厚さ方向の中央の、該弾性層の厚さに対して40%の厚さの領域を領域Aとしたとき、該領域Aにおける該針状フィラーの該弾性ローラの軸方向への配向度(A)が50%以下であり、かつ、該領域Bにおける該針状フィラーの該弾性ローラの軸方向への配向度(B)が、該領域Aにおける該針状フィラーの配向度よりも高いことを特徴とする弾性ローラが提供される(但し、配向度(A)は、該弾性層の軸方向の断面から観察される該領域Aの部分の該針状フィラーの全本数を基準として、軸方向を角度0度とし、軸方向に対してなす角度θが、±5度以内である該針状フィラーの本数の割合(%)の平均値であり、配向度(B)は、該弾性層の軸方向の断面から観察される該領域Bの部分の該針状フィラーの全本数を基準として、軸方向を角度0度とし、軸方向に対してなす角度θが、±5度以内である該針状フィラーの本数の割合(%)の平均値である。)。
また、本発明によれば、加熱部材と、該加熱部材に対向して配置され、該加熱部材に圧接される加圧部材とを有し、該記録材と該加圧部材との間のニップ部に記録材を導入して挟持搬送することにより該記録材を加熱する定着装置であって、該加圧部材が、上記の弾性ローラである定着装置が提供される。
本発明によれば、非通紙部昇温の抑制と高い立ち上がり性能を両立しつつ、長期間にわたり形状安定性を保持可能な弾性ローラを得ることができる。
また、本発明によれば、非通紙部昇温が生じ難く記録材を効率よく加熱することができ、かつ、安定して高品位な画像を形成しうる定着装置を得ることができる。
本発明に係る定着装置の一例の断面図である。 本発明に係る弾性ローラの一例の模式図((a)斜視図(b)断面図)である。 本発明に係る弾性ローラの一例の、図2(b)におけるAB線切断部分の拡大図である。 配向度の定義の説明図である。 型成形法を説明する模式図である。 ノズルの一例の斜視図である。 円筒状の成形型の一例を示す模式図である。 軸芯体の一例を示す模式図である。 弾性ローラの非通紙部を説明する図である。
(1)定着装置
図1は本発明に係る定着装置の一例の断面図である。この定着装置は、フィルム加熱方式の定着装置であり、以下にその概略の構成について説明する。
図1において、フィルムガイド部材11は横断面略半円弧状・樋型で、基体の長手方向に平行な方向を幅方向とする横長のフィルムガイド部材である。ヒータ12はフィルムガイド部材11の下面の略中央に幅方向に沿って形成した溝内に収容保持させた横長のヒータ(加熱部材を構成する要素の一つである加熱手段)である。フィルム13はフィルム状のエンドレスベルトであり、ヒータ12を装着したフィルムガイド部材11にルーズに外嵌させた筒状のものである。
フィルムガイド部材11は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイト)や液晶ポリマーといった耐熱性樹脂からなる成形品である。
ヒータ12は、セラミック基板上に発熱抵抗体を設けた構成を有する。図1に示すヒータ12は、アルミナの横長・薄板状のヒータ基板12aと、その表面側(フィルム摺動面側)に基体の長手方向に沿って形成具備させた線状あるいは細帯状のAg/Pd製の通電発熱体(発熱抵抗体)12cと、を有する。また、ヒータ12は、通電発熱体12cを覆って保護するためにガラスで構成された、薄い表面保護層12dを有する。そしてヒータ基板12aの裏面側にサーミスタのような検温素子12bが接触している。このヒータ12は、通電発熱体12cに対する電力供給により迅速に昇温した後、検温素子12bを含む電力制御手段(不図示)によって所定の定着温度(目標温度)を維持するように制御できる。
フィルム13は、例えば、ベースフィルムの表面に表面層をコーティングした複合層フィルムである。このフィルムは、熱容量を小さくして定着装置のクイックスタート性を向上させるために、膜厚を好ましくは、総厚100μm以下、特に好ましくは20μm以上60μm以下とする。
ベースフィルムの材料としては、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、およびPES(ポリエーテルスルホン)といった樹脂材料や、SUS、Niといった金属材料が用いられる。
表面層の材料としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル)および、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)といったフッ素樹脂材料が用いられる。
なお、適宜、ベースフィルムと表面層の間に、シリコーンゴムからなる弾性層および/または接着層を設けても良い。
加圧ローラ20は、フィルム13を挟み、ヒータ12の下面に対向して配置され、ヒータ12に圧接させた加圧部材としての弾性ローラである。なお、ヒータ12とフィルム13は、加熱部材を構成する要素であり、ヒータ12は、フィルム13の加熱手段として機能するものである。
加圧ローラ20は、フィルム13を介してヒータ12の表面保護層12dに所定の加圧機構(不図示)により所定の加圧力で加圧されている。その加圧力に応じて加圧ローラ20の弾性層25が弾性変形し、加圧ローラ20の表面とフィルム13の表面との間に未定着トナー画像の加熱定着に必要な所定幅のニップ部Nが形成される。
ニップ部Nに記録材Pが導入され、記録材Pが挟持搬送されることにより、記録材Pが加熱される。ニップ部N内でのフィルム13と加圧ローラ20の接触時間は一般的には20〜80msec程度である。
加圧ローラ20は、駆動源Mの駆動力が不図示の動力伝達機構(ギア)を介して伝達されて、所定の周速度で矢印bの反時計方向に回転駆動される。
フィルム13は、画像形成実行時に加圧ローラ20が矢印bの反時計方向に回転駆動されることにより、加圧ローラ20の回転に従動して矢印aの方向に回転する。
(2)弾性ローラ
図2(a)は、本発明に係る弾性ローラの一例の斜視図であり、軸芯体21の周面に、弾性層25及び離型層26が積層された構成を有する。
続いて、弾性ローラの各構成について説明する。
(2−1)軸芯体
図2(b)は、図2(a)に示す弾性ローラの軸芯体21に沿う方向の断面図である。
軸芯体21は、図2(b)に示したように、弾性層25が形成されている部分の直径が、弾性層25の非形成部分よりも大きな直径を有している。
軸芯体21の構成を図8を用いてより詳細に説明すると、軸芯体21は、駆動用回転軸22、弾性層25が形成される弾性層形成部23、及び他端回転軸24からなる。軸芯体21としては、例えば、快削鋼を研磨した表面に無電解ニッケルメッキといった表面処理が施されたものが好適に用いられる。
(2−2)弾性層
本発明に係る弾性層について図3を用いて詳細に説明する。図3は、図2(b)におけるAB線で切断した領域の拡大図である。
図3において、軸芯体の弾性層形成部23の周面に弾性層25が形成され、さらに、弾性層25の周面に離型層26が形成されている。なお図3においては、弾性層25は接着層28を介して弾性層形成部23上に形成され、離型層26は接着層27を介して弾性層25上に形成されている。
弾性層25は、針状フィラー301を含み、また、多数の空隙302を有している。
そして、該弾性層の空隙率は、20体積%以上60体積%以下である。
また、弾性層の、軸芯体から離れた側の表面から軸芯体に向かって、弾性層の厚さの30%の厚さの領域25bを領域Bとし、弾性層の厚さ方向の中央の、弾性層の厚さに対して40%の厚さの領域25aを領域Aとしたとき、領域Aにおける針状フィラーの配向度が50%以下であり、かつ、領域Bにおける針状フィラーの配向度が、領域Aにおける針状フィラーの配向度よりも高い。
図3中、図番25aが領域Aを表しており、図番25bが、領域Bを表している。
本発明者らの検討によれば、弾性層の厚みが2〜5mmである場合、加熱されてなる定着部材と、該定着部材に対向配置されてなる加圧部材とで構成されるニップ部に連続して記録材を通したときに、加熱されている定着部材から弾性層に伝えられる熱の弾性層の厚み方向における到達距離、すなわち、熱浸透深さは、該弾性層の離型層側の表面から該軸芯体方向に向かって弾性層の厚みの約30%以内であるとの知見を得ている。
そして、本発明に係る弾性ローラにおいては、熱浸透深さに相当する領域Bにおける針状フィラーの配向度が、領域Aにおける針状フィラーの配向度よりも高い。
そのため、本発明に係る弾性ローラを、加圧部材として用いた場合、定着部材からの熱を効果的に弾性ローラの軸方向に拡散させることができる。そのため、弾性ローラの非通紙部の熱を効果的に拡散させることができ、連続通紙時に生じる非通紙部の過昇温を抑制することができる。
また、弾性層は、空隙率が20体積%以上60体積%以下であるため、弾性層の厚み方向には熱伝導が抑制されている。そのため、定着装置における加熱部材の熱の加圧部材への伝導が抑制される。また、空隙によって弾性層の見かけ密度が低下し、弾性層の容積比熱を低減させることができる。そのため、加熱部材の熱が、加圧部材の昇温に使用されることを抑制できる。その結果として、ニップ部の温度が、トナーが溶融する温度に到達するまでのウォームアップタイムが短縮される。すなわち、定着装置の立ち上がり性能を向上させることができる。
さらに、本発明に係る弾性層は、領域Aにおける針状フィラーの配向度を50%以下とすることによって、長期間に亘って使用された場合にも弾性層25の形状変化を抑制し得るものである。
定着装置における加圧部材の弾性層は、ニップ部においては、加圧圧縮され、ニップ通過後の、圧力解放による復元が繰り返される。
本発明者らの検討によれば、針状フィラーの配向度が高い弾性層では、針状フィラーの配向度が低い弾性層よりも、加圧による圧縮と圧力解放による復元とが繰り返し生じた場合における弾性層の経時的な厚みの変化量が大きいことを見出した。これは、針状フィラーの配向度の低い弾性層においては、針状フィラーの配向度が高い弾性層と比較して、弾性層の厚み方向の圧縮力に対する補強効果がより大きく発現しているためであると考えられる。
このような厚み方向における針状フィラーの配向度の分布は、弾性ローラの少なくとも通紙部において形成されていることが好ましい。すなわち、弾性ローラの通紙部において、領域Aにおける針状フィラーの配向度が50%以下であり、領域Bにおける針状フィラーの配向度が領域Aにおける針状フィラーの配向度よりも高いことが好ましい。
弾性ローラの通紙部とは、弾性ローラの長手方向において、記録材を通過させる際に記録材が接する領域である。図9は、弾性ローラの通紙部を説明する図である。図9(a)は、サイズの異なる用紙を、用紙の中央を弾性ローラの中央と揃えて通紙する場合の弾性ローラの通紙部、図9(b)は、サイズの異なる用紙を、用紙の端部を弾性ローラの端部と揃えて通紙する場合の弾性ローラの通紙部を、それぞれ示している。Wmaxはニップ部Nに導入可能な最大幅のサイズを有する用紙の幅であり、Wminはニップ部Nに導入可能な最小幅のサイズを有する用紙の幅である。本実施形態では、最大幅のサイズを有する用紙の幅Wmaxが、A3用紙(の短辺)の幅:297mm、最小幅のサイズを有する用紙の幅Wminが、A5用紙(の短辺)の幅:148mmである。弾性ローラの長手方向において上記の幅Wminに対応する部分は、いずれのサイズの用紙を通過させた場合においても弾性ローラにおいて用紙が通過する領域であり、この領域を通紙部Sとする。また、弾性ローラの長手方向において上記の幅Wminより外側であり上記の幅Wmaxより内側のローラ部分を通紙部W、上記の幅Wmaxより外側のローラ部分を非通紙部Eとする。本発明における通紙部とは通紙部W+通紙部Sのことをいう。
本発明に係る弾性層はシリコーンゴム層であることが好ましい。また、このシリコーンゴム層は、弾性ローラにおける唯一のシリコーンゴム層であることが好ましい。
弾性層の厚さとしては、特に限定されないが、一般的には、2mm以上5mm以下の範囲である。
(2−2−1)針状フィラーの配向度
本発明に係る弾性層25において、領域Aにおける針状フィラーの配向度は、50%以下である。また、領域Bにおける針状フィラーの配向度は、領域Aにおける針状フィラーの配向度より高い。
領域Aにおける針状フィラーの配向度は、好ましくは、30%以上50%以下である。また、領域Bにおける針状フィラーの配向度は、好ましくは55%以上、さらに好ましくは55%以上70%以下である。
本発明における配向度の定義について、図4を用いて説明する。
まず、図4(a)に示したように、弾性ローラから、カミソリを用いて弾性層25のサンプル29を切り出す。なお、サンプル29は、x軸方向に、10.0mm、y軸方向に10.0mm、z軸方向に、弾性層25の全厚さのサイズを有するものとする。図4(c)は、切り出したサンプル29の拡大斜視図である。
図4(d)はサンプル29から針状フィラーの配向度を測定する際の手順の説明図である。
サンプル29を熱重量測定装置(商品名:TGA851e/SDTA;メトラー・トレド株式会社製)を用いて窒素ガス雰囲気下で1000℃、1時間加熱することでシリコーンゴムを分解・除去する。
このようにサンプルを焼成すると、表面に離型層を有する状態であっても、シリコーンゴムと共に離型層も除去される。そして、シリコーンゴムが除去されたサンプル29には、針状フィラーのみがシリコーンゴムが存在していたときの配向状態を維持したまま残存している。そこで、シリコーンゴムを除去したサンプル29の図4(c)における「β断面」の、弾性層25の領域Aおよび領域Bに相当する領域を含む部分を各々5箇所ずつ観察する。観察には、コンフォーカル顕微鏡(商品名:OPTELICS C130;レーザーテック(LASERTEC)株式会社製)を用いる。
「β断面」の各々の観察画像から、針状フィラーの角度を測定する。なお、領域Aおよび領域Bにまたがって存在している針状フィラーは観察対象に含めないものとする。
サンプル29の「β断面」の観察画像には、観察面より深さ方向におよそ50μmまでの領域に存在する針状フィラーが観察できる。すなわち、「β断面」からの観察画像には、「β断面」からx軸方向におよそ50μmまでの領域に存在する針状フィラーの状態が観察可能である。
このとき、弾性層25のローラ長手方向(図4(d)のy方向)を角度0度とし、各針状フィラーの角度θを算出した。針状フィラーの角度θが0度に近いほどローラ長手方向に配向しているということである。
「β断面」の観察画像から、角度θが、±5度以内のものの割合[(±5度以内の針状フィラーの本数/観察可能な全針状フィラーの本数)×100%]を求め、任意の5箇所の測定結果の平均値を配向度と定義した。
(2−2−2)空隙
弾性層25の空隙率は、20体積%以上60体積%以下である。空隙率が20体積%以上であることにより、本発明に係る、上述の立ち上がり時間の短縮効果を十分に得ることができる。また、空隙率を60体積%以下とすることで、針状フィラーの配向が制御された弾性層を容易に成形することができる。空隙率が高い方が立ち上がり時間を短縮できるため、空隙率はより好ましくは40体積%以上60体積%以下である。
弾性層25の空隙率は以下のようにして求めることができる。
まず、カミソリを用いて、弾性層25を任意の部分で切断する。25℃におけるその体積を、液浸比重測定装置(SGM−6、メトラー・トレド株式会社製)により測定する(この体積をVallとする)。次に、体積測定を行った評価サンプルを熱重量測定装置(商品名:TGA851e/SDTA、メトラー・トレド株式会社製)を用いて窒素ガス雰囲気下で700℃・1時間加熱することでシリコーンゴム成分を分解・除去する。この時の重量の減少量をМpとする。弾性層25中に針状フィラー以外に無機フィラーが入っていた場合、この分解・除去後の残留物は、針状フィラーと無機フィラーが混在している状態である。
この状態で25℃における体積を乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330−1、株式会社島津製作所製)により測定する(この体積をVaとする)。これらの値を基に、下記計算式(1)から空隙率を求めることができる。なお、シリコーンゴム成分の密度は0.97g/cmとして計算した(この密度をρpとする)。
計算式(1)
空隙率(体積%)=[{(Vall−(Мp/ρp+Va)}/Vall]×100
(2−3)離型層
本発明に係る離型層26は弾性層25の外表面に設置されている。
離型層としては、記録材を容易に離型可能なPFAのようなフッ素樹脂材料が好適に使用される。その厚みは製品仕様にもよるが、一般には30ミクロンから50ミクロンである。
(3)弾性ローラの製造方法
本発明に係る弾性ローラは、シリコーンゴムの未架橋材料、水、増粘剤、針状フィラー、及び乳化剤を含む材料を混合、撹拌して、エマルジョン状の乳化物を調製し、これを注型成形用型に注入、硬化させることで、水が均一且つ微細に分散したベースポリマーを形成し、その後、該ベースポリマーから水を蒸発させることにより、形成することができる。
(3−1)乳化物
(3−1−1)シリコーンゴムの未架橋材料
本発明に係る乳化物のシリコーンゴムの未架橋材料としては、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン(以下「ゴム原料A」する)、1分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン(以下「ゴム原料B」とする)、及びヒドロシリル化触媒を含有することが好ましい。ゴム原料A及びゴム原料Bは、通常、別箇の原料として準備され、例えばゴム原料Aを含むA液、及びゴム原料Bを含むB液として、それぞれ調製される。
ここで、ゴム原料Aとは、次のゴム原料A1とA2の混合物からなるアルケニル基含有ポリジオルガノシロキサンである。
「ゴム原料A1」:分子鎖両末端がアルケニル基で封鎖され、分子鎖側鎖にアルケニル基を有さないポリジオルガノシロキサン
「ゴム原料A2」:分子鎖側鎖にアルケニル基を2個以上有するポリジオルガノシロキサン
また、ゴム原料Bとは、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンである。
(3−1−2)水、増粘剤
水は清浄であればよいが、一般的には脱イオン水が使用される。ここで、水は、A液及びB液に比較して粘度が低いため、増粘剤を使用して混合分散を容易にすることが好ましく、増粘剤を含むC液として使用することができる。増粘剤としては、無機系、有機系の様々な種類のものが挙げられるが、本発明においては無機系増粘剤が好適に用いられる。中でも、スメクタイト族粘土鉱物を含む有機ポリマー複合親水性精製ベントナイトからなる無機系増粘剤(「ベンゲルW−200U」、(株)ホージュン製)を使用すれば、C液の粘度調整が容易となり好ましい。
本発明に係る、弾性層の形成に用いる乳化物中には、空隙形成手段として従来から用いられているシェルを有する中空粒子が存在しない。このため、乳化物の流動方向に沿う方向への針状フィラーの配向が阻害され難い。
(3−1−3)針状フィラー
針状フィラーは、その直径Dに対する長さLの比(以下「アスペクト比」と称する)が大きい繊維形状のものが使用できる。針状フィラーの底面の形状は円状でも角状でも構わず、型成型法により弾性ローラの回転軸に沿う方向に配向する材料であれば使用可能である。針状フィラーとして、その熱伝導率が500W/(m・K)以上900W/(m・K)以下であるものは、非通紙部昇温をより有効に抑制することができるため好ましい。
このような材料の具体例として、石油ピッチや石炭ピッチを原料とし、高温で焼成することで製造されたピッチ系炭素繊維が挙げられる。針状のピッチ系炭素繊維は、より具体的な形状として、直径D(平均直径)が5μm以上11μm以下であり、かつ長さL(平均長さ)が50μm以上1000μm以下のものが例示でき、工業的に容易に入手可能である。
針状フィラーの弾性層中における含有量は、5%〜40体積%であることが好ましい。
なお、本発明者らの検討によれば、乳化物の粘度は針状フィラーと水の配合量に依存する。特記すれば、針状フィラー配合量に応じて乳化物の粘度を変化させることが可能である。
(3−1−4)乳化剤
本発明に係る乳化物は、上述した、A液、B液、およびC液の3液を所望の比率で混合した混合液に対して乳化剤Dを配合することによって調製することができる。乳化剤Dとしては様々な種類のものを使用することができ、アニオン系、カチオン系、両性イオン系及びノニオン系の界面活性剤の一種以上を使用することができる。中でも、ヒドロシリル化反応触媒に影響が少ないことからノニオン系界面活性剤を使用することが特に好ましい。乳化剤のHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値は、1.5以上6未満であることが好ましい。また乳化剤の配合量は、C液100質量部に対し、0.2〜3質量部であることが好ましい。乳化剤Dは、A液、B液、およびC液の3液を混合した後に添加することもできる。また、A液、B液またはC液のいずれか一つまたは複数の液体に乳化剤Dを添加した後に、A液、B液、およびC液の3液を混合することもできる。
(3−1―5)乳化物の粘度
本発明に係る乳化物は、シリコーンゴム成分に水および針状フィラーが乳化され分散した高粘度液体である。その粘度は、ベースゴムの粘度よりも、配合する水の乳化状態や針状フィラーの配合量に依存する。また、該乳化物は、せん断速度に応じて粘度が異なる非ニュートン流体の性質を示す。本発明に係る乳化物の粘度は、一例をあげれば、温度25℃、せん断速度10[1/s]で30〜150[Pa・s]、20[1/s]で20〜100[Pa・s]の値を示す。
(3−2)型成形法
次に、型成形法について、図5〜図7を用いて説明する。まずキャビティを構成する金型について記す。
(3−2−1)円筒状の成形型
図7は、円筒状の成形型の模式図である。円筒状の成形型40は、製品の外径精度、型使用時の変形、加温による変形を加味し、ステンレスからなる肉厚の金属材料が使用される。たとえば、外径30mmの弾性ローラを製造する場合、成形型40には、外径が40mm、内径が、使用する材料の工程中の伸縮度合いによって適宜設定されるが、30mm前後、長さが370mmのパイプ形状のものを採用するとよい。
この円筒状の成形型に、先記した軸芯体を内包させたときに、成形型内に形成される空間(キャビティ)の幅が、ほぼ弾性ローラの弾性層厚みとなる。
(3−2−2)ノズル
液状材料を噴出して型に注入する機能を持つ部品を一般にノズルと称する。図5は金型と材料注型機を説明する模式図であり、ノズル30の機能を模式的に示している。ノズル30は材料を噴出する材料流出口(ゲート)32と、軸芯体21の回転軸を保持する軸芯体固定部33を有する。また、ノズル30は、後述するキャップ35とともに円筒状の成形型40と嵌合することで、軸芯体21と円筒状の成形型40とを同軸上に配置する機能も有する。
ゲートや軸芯体固定部の形状は、それぞれ円筒状の成形型や軸芯体の形状に合わせて適宜設計される。中でもゲート32は、軸芯体21と成形型40からなるキャビティ42へ障害なく乳化物を流し込む構造が好ましく、配管と接続可能なアダプタを一体化した上で、計量機を備えた材料注入機から乳化物を注入する。このとき、キャビティ42の幅に対し、軸芯体の回転軸方向に広い開口幅を有するゲート形状を用いることで、開口より注入された乳化物が軸芯体21の弾性層形成部23の底面に衝突して、乳化物の流れが乱されるため、厚み方向に針状フィラーの配向分布を有する弾性層をより効率よく得ることができる。
図6にノズル30の一例を示す。図6において、ゲート32は、軸芯体と円筒状の成形型とから成るキャビティ42の周方向に対し分割した複数の開口からなる。ゲート32が複数の開口からなるのは、軸芯体を保持する軸芯体固定部33と一体化した構造とするためである。ゲート32の1つの開口の幅はキャビティ42の幅に応じて適宜選択が可能であり、たとえば、キャビティの幅が3ミリの場合、開口幅は2ミリから6ミリである。また、ゲート32の1つの開口の周方向長さは、たとえば20ミリから27ミリである。
(3−2−3)キャップ
ノズル30を嵌合しない円筒状成形型40の他端にはキャップ35が嵌合接続される。キャップ35は材料注入時にキャビティ内部の空気を排出するための流出口を有する。また、軸芯体21の回転軸を保持する軸芯体固定部36を備えており、ノズル30とともに軸芯体21と成形型40とを同軸上に配置する機能も有する。
(3−2−4)型成形法
軸芯体21、円筒状の成形型40、ノズル30、キャップ35を組み合わせることでキャビティ42が形成される。成形過程における軸ずれを防止する目的で、円筒状の成形型40に嵌合したノズル30やキャップ35は、不図示のアダプタ部品や固定用の部品と組み合わせて一体化した金型44としておくことが好ましい。
図5に示すように、乳化物の供給路となる配管63の一端は、不図示のアダプタ部品を介してノズル30に接続されており、他端はバルブ62を介して計量器60と連結している。計量器60に導入された乳化物50は、計量器60に付属した押し子61を押し下げることで配管63を経由してノズル30からキャビティ42に移送される。キャビティ42が乳化物50で満たされた後、金型44を配管63から切り離して封止する。
次いで、乳化物で充填された金型44を、加熱炉、熱盤といった加熱手段を用いて、水分の蒸発が起きない温度において加熱し、乳化物中のシリコーンゴム成分の架橋反応を進める。これにより、金型44中の乳化物が軸芯体と一体化され、針状フィラーと水を含んだシリコーンゴム成形体を得ることができる。最後に、シリコーンゴム成形体を型から取り出して、該シリコーンゴム成形体を高温で加熱して脱水し、針状フィラーと空隙を含む弾性層を有する弾性ローラを得る。
なお、離型層は、得られた弾性ローラの上に被覆して形成しても良く、また、円筒状の成形型の内壁面に公知の方法で離型層を予め設置してから形成しても良い。
(3−3)針状フィラーの配向
一般に、配管の内部を流れる流体は、配管の内壁近傍の領域と中央の領域とでは流速が異なる。具体的には、内壁近傍領域の流体は内壁との摩擦を受けるため、配管の中央の領域の流体と比較して相対的に流速が低下する。
これを本発明について見ると、乳化物の注入時にキャビティの厚み方向において流速差が生じる。すなわち、軸芯体の表面近傍および成形型の内壁近傍では、乳化物と軸芯体表面または成形型内壁との間の摩擦によって、流速が中央領域と比較して相対的に低下する。その結果、流速の低下した軸芯体近傍および成形型の内壁近傍の領域では、針状フィラーが乳化物の流れ方向にせん断応力を受けて流れ方向に配向し易いと考えられる。
そして、針状フィラーが配向し易い成形型の内壁近傍の領域の、キャビティの厚み方向の範囲は、乳化物の単位時間当たりの注入量(体積)と、キャビティの軸芯体に直交する方向の断面積とで定まるキャビティ中を進む乳化物の平均流速に影響される。
平均流速が遅い場合、キャビティの厚み方向における乳化物の中の流速差が相対的に小さくなり、針状フィラーを軸方向に配向させるせん断応力は、主に成形型の内壁のごく近傍の領域に存在する針状フィラーに作用する。そのため、領域Bにおける針状フィラーの配向度が低くなる傾向にある。一方、平均流速が速い場合は、キャビティの幅方向における乳化物中の流速差が相対的に大きくなり、針状フィラーを軸方向に配向させるせん断応力が、成形型の内壁から離れた流体中に存在する針状フィラーに対しても作用し易くなる。その結果、領域Aの配向度が高くなる傾向にある。
このため、領域Aにおける針状フィラーの配向度を50%以下に調整し、領域Aにおける針状フィラーの配向度を領域Bより低くするためには、平均流速を適切に制御することが好ましい。例えば、アスペクト比が28程度の針状フィラーと水とを含有するシリコーンゴム乳化物を、厚みが2〜5mmの範囲内にあるキャビティに注型して弾性層を形成する場合、キャビティ内の平均流速が、4.0〜8.1[mm/sec]の範囲内となるように当該乳化物の注入速度を調整することが好ましい。上記した平均流速となるようにキャビティ内に乳化物を充填した場合、得られる弾性層の領域Bにおける針状フィラーの配向度を、59〜65%の範囲内とすることができる。また、領域Aにおける針状フィラーの配向度を、41〜50%の範囲内とすることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。
<円筒状の成形型>
ステンレス鋼を図7の形状に加工し、内径が30mmの円筒状の成形型とした。
<軸芯体>
快削鋼(SUM)を図8の形状に加工し、例えば、実施例1においては、キャビティ厚みを4mmとするために、弾性層形成部の外径が22mmの軸芯体を用意した。
下記実施例および比較例の弾性層の厚さに応じて、弾性層形成部の外径を変えた軸芯体を用意した。その外面上に無電解ニッケルメッキ(厚さ3〜6μm)を施したうえで、いずれの軸芯体にも公知の適切な方法で表面処理を実施し、弾性層が好適に接着可能な構成とした。
<針状フィラー>
針状フィラーとして次のピッチ系炭素繊維を使用した。
(商品名:XN−100−25M(日本グラファイトファイバー(株)製)
平均繊維直径:9μm
平均繊維長L:250μm
熱伝導率900W/(m・K)
この針状フィラーを以下、「100−25M」と記す。
<未架橋状態のシリコーンゴム乳化物の調製>
C液として、無機系増粘剤(「ベンゲルW−200U」、(株)ホージュン製)1質量部に対し、脱イオン水99質量部を投入し、十分に攪拌してゲル状液体材料をあらかじめ調製した。
また乳化剤としてノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル 商品名:イオネット HLB4.3;三洋化成工業(株))を準備した。
一方、A液およびB液として、液状シリコーンゴム(商品名:DY35−561;東レ・ダウコーニング(株))のA液およびB液をそれぞれ使用し、針状フィラー100−25Mとあわせて表1に示す配合量(質量部)で、遊星式ミキサーに投入し、該混合物全体を混練した。ある程度混練したのち、C液および乳化剤を表1に示す配合でミキサーに投入し、十分に攪拌して針状フィラーを含有する乳化物(1)〜(2)を得た。
得られた乳化物の粘度は、回転式粘度計装置(商品名:Roto Visco 1、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式社製)を用い、温度25℃でせん断速度0〜20S−1までの流動曲線を求めた。得られた流動曲線の上昇曲線及び下降曲線において、それぞれせん断速度10s−1における粘度の値を求め、その平均値を算出した。測定は3回行い、該平均値の算術平均を、乳化物の粘度とした。測定した結果を表1に示す。
Figure 0006570350
<離型層>
厚さ50μmのPFAチューブ(グンゼ株式会社)を準備した。
<実施例1>
(1−1)
公知の方法により、張架した状態のPFAチューブを円筒状の成形型の内部に固定した。PFAチューブと円筒状の成形型とは密着していることを目視で確認した。
(1−2)
(1−1)のPFAチューブの内面に、公知の方法でプライマー(商品名:DY39−067、東レ・ダウコーニング(株))を塗布し、そのまま室温で所定時間乾燥した。
(1−3)
軸芯体に公知の方法でプライマー(商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング(株)を塗布し、200℃で所定時間焼成したのち放冷した。
(1−4)
図4の装置の配管にアダプタを介してノズルを設置し、ノズルの軸芯体固定部に(1−3)の軸芯体を垂直に固定した。この軸芯体を内包するように(1−2)のPFAチューブを固定した円筒状の成形型を設置し、成形型の他端にキャップとアダプタを嵌合した。両端のアダプタ間を固定部材で固定し、以上の工程で同軸に精度出しされた厚み4.0ミリのキャビティを形成した。
(1−5)
(1−4)で固定した円筒状の成形型の下端から、配管を介して材料注入機から表1の乳化物(1)を毎分100グラムで注入した。注入後、配管からノズルを切り離して両端のアダプタを封止し、キャビティに乳化物が密閉封入されている金型が完成した。
(1−6)
温度90℃に設定した加熱炉に、上記(1−5)で作製した金型を投入し60分間加熱した。
(1−7)
加熱炉から金型を取り出し常温まで冷却した。次いで、軸芯体と一体化したシリコーンゴム成形体を金型から脱型した。
(1−8)
軸芯体と一体したシリコーンゴム成形体を温度130℃に設定した加熱炉にて4時間加熱し、硬化した成形体から水分を除去した。続いて、温度200℃に設定した加熱炉で4時間加熱し、成形体を完全に硬化させた。放冷後、成型体の外寸を必要に応じて刃物により修正し、弾性ローラを完成した。
<実施例2>〜<実施例8>
軸芯体、乳化物種、乳化物の注入速度を適宜採用し、キャビティ厚み、乳化物の平均流速、乳化物の粘度を表2に記載の条件に変えて乳化物を注入した以外は、実施例1と同様に弾性ローラを得た。
なお、平均流速(mm/s)は、下記計算式(2)で求めた。
計算式(2)
平均流速(mm/s)=液状化合物物のキャビティへの1分当りの注入体積(mm/s)/キャビティの断面積(mm
成形型、軸芯体、乳化物、乳化物の注入速度を適宜採用し、キャビティ厚み、注入速度、乳化物の粘度を表2に記載の条件に変えて乳化物を注入した以外は、実施例1と同様に弾性ローラを得た。
Figure 0006570350
<比較例1>
注入速度を200g/minとした以外は実施例1と同様にして弾性ローラを得た。
<比較例2>
注入速度を25g/minとした以外は実施例8と同様にして弾性ローラを得た。
<弾性ローラの評価>
作製した各弾性ローラについて下記に示す評価を行った。評価結果を表3にまとめて示す。
(配向度)
各弾性ローラの弾性層における針状フィラーの配向度は、前述の配向度の定義にしたがって求めた。
(非通紙部昇温)
各弾性ローラをそれぞれ加圧ローラとして図1に記載のフィルム加熱方式の定着装置が搭載されたプリンター(商品名:LBP−5910、キヤノン株式会社製)に装着し、加圧ローラの非通紙部の温度について評価した。
定着装置に搭載された加圧ローラの周速度を234mm/secとなるように調整し、ヒータ温度を220℃に設定した。定着装置のニップ部NにトナーTを担持した記録材Pとして通紙した紙はレター(LTR)サイズ紙(75g/m)である。この紙を、紙の長手方向が、加圧ローラの長手方向と平行になるように、連続して500枚通紙したときの通紙部W(LTRサイズ紙が接しない領域)のフィルム13の表面の温度を測定した。本発明に係る非通紙部の昇温抑制効果とは、一般的な弾性層を具備する加圧ローラを用いた定着装置を使用したときの、加熱部材の非通紙部温度(270℃程度)より低いことである。
(立ち上がり性能)
上記の定着装置を用いて、通紙を行わない空回転状態において、ヒータスイッチが入ってから、フィルム13の表面温度が180℃になるまでの時間を測定した。
(弾性層の厚み変化量)
上記の定着装置を用いて、累計300時間の空回転の耐久試験を行った。耐久試験前後それぞれにおいて弾性層の厚みを測定した。なお、弾性層の厚みは、各実施例及び比較例に係る、耐久試験前後の弾性ローラについて、図4(a)に示したのと同様に、サンプルを切り出し、β断面の任意の5点の厚みを、光学顕微鏡(商品名:VHX−200;株式会社キーエンス製)を用いて倍率50倍で観察することにより求め、その平均値を弾性層の厚みとした。
Figure 0006570350
11 フィルムガイド部材
12 ヒータ
13 フィルム
20 加圧ローラ(弾性ローラ)
21 軸芯体
25 弾性層
25a 領域A
25b 領域B
26 離型層
301 針状フィラー
302 空隙

Claims (10)

  1. 軸芯体と、
    該軸芯体の周面に形成された弾性層と、
    を有する弾性ローラであって、
    該弾性層は、針状フィラーと、シェルを有さない空隙とを含み、
    該弾性層の空隙率は、20体積%以上60体積%以下であり、
    該弾性層の、該軸芯体から離れた側の表面から該軸芯体に向かって、該弾性層の厚さの30%の厚さの領域を領域Bとし、
    該弾性層の厚さ方向の中央の、該弾性層の厚さに対して40%の厚さの領域を領域Aとしたとき、
    該領域Aにおける該針状フィラーの該弾性ローラの軸方向への配向度(A)が50%以下であり、かつ、
    該領域Bにおける該針状フィラーの該弾性ローラの軸方向への配向度(B)が、該領域Aにおける該針状フィラーの配向度よりも高いことを特徴とする弾性ローラ;
    但し、配向度(A)は、該弾性層の軸方向の断面から観察される該領域Aの部分の該針状フィラーの全本数を基準として、軸方向を角度0度とし、軸方向に対してなす角度θが、±5度以内である該針状フィラーの本数の割合(%)の平均値であり、
    配向度(B)は、該弾性層の軸方向の断面から観察される該領域Bの部分の該針状フィラーの全本数を基準として、軸方向を角度0度とし、軸方向に対してなす角度θが、±5度以内である該針状フィラーの本数の割合(%)の平均値である。
  2. 前記弾性層がシリコーンゴム層である請求項1に記載の弾性ローラ。
  3. 前記シリコーンゴム層が、弾性ローラにおける唯一のシリコーンゴム層である請求項2に記載の弾性ローラ。
  4. 前記弾性ローラの通紙部において、前記配向度(A)が50%以下であり、
    前記弾性ローラの通紙部において、前記配向度(B)が前記配向度(A)よりも高い請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  5. 記配向度(B)が55%以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  6. 前記弾性層の空隙率が40体積%以上60体積%以下である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  7. 前記針状フィラーがピッチ系炭素繊維である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  8. 前記針状フィラーは、直径が5μm以上11μm以下であり、長さが50μm以上1000μm以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  9. 前記弾性層の厚さが2mm以上5mm以下である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の弾性ローラ。
  10. 加熱部材と、該加熱部材に対向して配置され、該加熱部材に圧接される加圧部材とを有し、該加熱部材と該加圧部材との間のニップ部に記録材を導入して挟持搬送することにより該記録材を加熱する定着装置であって、該加圧部材が、請求項1乃至のいずれか一項に記載の弾性ローラであることを特徴とする定着装置。
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