JP2020034154A - 定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】弾性層の適度な柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制とを両立することのできる定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置を提供する。【解決手段】記録材Pに形成されたトナー画像を加熱して記録材Pに定着する定着装置6に用いられる加圧ローラ20は、第1の弾性層22と、第1の弾性層22の外側に設けられた第2の弾性層23と、を有し、第1の弾性層22の熱伝導率は第2の弾性層23の熱伝導率より高く、第1の弾性層22は、複数の空隙部22bと、複数の空隙部22b同士を連結する孔道部22cと、針状の高熱伝導フィラー22dと、を含有する構成とする。【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ(レーザプリンタ、LEDプリンタなど)、ファクシミリ装置などの画像形成装置に搭載される定着装置用の加圧ローラ、この加圧ローラを搭載する定着装置、及び画像形成装置に関するものである。
電子写真方式などを用いた画像形成装置では、トナー像を担持した記録材を加熱してトナー像を記録材に定着させる定着装置などの像加熱装置が用いられる。例えば、定着装置は、記録材上の未定着のトナーと接触する加熱部材(定着部材)と、加熱部材と圧接してニップ部(定着ニップ)を形成する加圧ローラと、を有する。そして、この定着装置は、加熱部材と加圧ローラとの間に形成される定着ニップにおいて、記録材及びトナーに対して熱エネルギーを供給する。これにより、記録材上のトナーは、定着ニップにおいて溶融し、定着ニップを通過した後に冷却されて固化して、記録材上に定着される。
定着装置としては、省エネルギー性に優れ、クイックスタートが可能な、フィルム加熱方式の定着装置が知られている。フィルム加熱式の定着装置は、可撓性を有する円筒状の定着フィルム及びセラミックヒータなどの発熱体を有して構成される加熱部材と、加熱部材に圧接(より詳細には、定着フィルムを介して発熱体に圧接)する加圧ローラと、を有する。そして、この定着装置は、加熱部材と加圧ローラが圧接する定着ニップにおいて、発熱体からの熱エネルギーを、定着フィルムを介して記録材及びトナーに供給する。
例えば、上述のようなフィルム加熱式の定着装置において、加熱部材からの熱エネルギーを効率よく記録材及びトナーに伝達する目的で、次のような加圧ローラを備えたものが知られている。つまり、分散された複数の空隙部を有することで低熱伝導化された弾性層を備えた加圧ローラである。しかし、このような低熱伝導化された加圧ローラを用いると、記録材として使用可能な最大幅より幅が狭い記録材が使用される場合に、非通紙部昇温が発生しやすい。ここで、「非通紙部昇温」とは、定着装置における、記録材の搬送方向と略直交する方向における記録材が通過しない領域(ここでは「非通紙部」ともいう。)の温度が過剰に上昇する現象である。非通紙部昇温は、放冷の時間的猶予がない連続通紙時に顕著となる。
このような課題に対し、クイックスタート性(電力投入開始後に短時間で定着可能状態になること)と、非通紙部昇温の抑制と、を両立するために、複数の弾性層を設けて各弾性層に機能分離した加圧ローラが提案されている(特許文献1)。つまり、この加圧ローラでは、熱源に相対的に近い外側の弾性層は発泡性ゴムなどで構成されて低熱伝導化される一方、熱源から相対的に遠い内側の弾性層は蓄熱層とされている。そして、外側の弾性層の厚さ方向の熱伝導率をλ1、内側の弾性層の厚さ方向の熱伝導率をλ2としたとき、λ1<λ2の関係を有する。これにより、プリント開始時には加圧ローラの表面が温まりやすいためクイックスタート性を有し、かつ、端部の余分な熱を内側の弾性層(蓄熱層)で均熱することで非通紙部昇温を抑制することができる。
一方、近年、定着装置の高速化・小型化の要求に伴い、記録材が定着ニップを通過するのにかかる時間である定着ニップ通過時間(デュエルタイム)が短縮される傾向にある。そして、それに伴い、加圧ローラを構成する弾性層には、高速運転時にも十分な柔軟性(圧縮・開放時の振動に対する応答性・追従性)を維持して十分な定着ニップを確保でき、かつ、上述した非通紙部昇温を抑制できることが求められるようになってきている。
特開2012−163812号公報
特許文献1に記載の加圧ローラでは、蓄熱層は、非多孔質であり、アルミナや酸化亜鉛などの熱伝導フィラーを含有する。熱伝導フィラーは、熱伝導率を向上させる効果を有するが、その含有割合が多いと弾性層の柔軟性が損なわれる。そこで、低硬度ゴムをベースゴムとしてこれに熱伝導フィラーを配合することが考えられるが、低硬度ゴムは強度が弱いため耐久性が不十分な場合がある。また、非多孔質の蓄熱層は、加圧と開放が高速で行われる高速運転時には必要な定着ニップが確保できない場合があることも判明した。これは、定着ニップでのゴムの変形速度がニップの形成に不十分なため、定着ニップを通過中にゴムが十分に潰れないことに起因する。
したがって、本発明の目的は、弾性層の適度な柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制とを両立することのできる定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、記録材に形成されたトナー画像を加熱して記録材に定着する定着装置に用いられる加圧ローラであって、第1の弾性層と、前記第1の弾性層の外側に設けられた第2の弾性層と、を有し、前記第1の弾性層の熱伝導率は前記第2の弾性層の熱伝導率より高く、前記第1の弾性層は、複数の空隙部と、前記複数の空隙部同士を連結する孔道部と、針状の高熱伝導フィラーと、を含有することを特徴とする加圧ローラである。
本発明の他の態様によると、定着ニップ部で記録材に形成されたトナー画像を挟持搬送しつつ加熱して記録材に定着する定着装置であって、加熱ユニットと、前記加熱ユニットと共に前記定着ニップ部を形成する加圧ローラと、を有し、前記加圧ローラが上記本発明の加圧ローラであることを特徴とする定着装置が提供される。
本発明の他の態様によると、記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、記録材にトナー画像を形成する画像形成手段と、記録材に形成されたトナー画像を記録材に定着する定着手段と、を有し、前記定着手段が上記本発明の定着装置であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によると、弾性層の適度な柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制とを両立することができる。
画像形成装置の概略断面図である。 定着装置の概略断面図及び加圧ローラの模式的な斜視図である。 (a)加圧ローラの内側弾性層の模式的な断面図、(b)加圧ローラの外側弾性層の模式的な断面図である。 加圧ローラの成形用型の概略斜視図である。 加圧ローラの成形用型の概略断面図である。
以下、本発明に係る像加熱装置用の加圧部材、像加熱装置、及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[第1の実施形態]
1.画像形成装置
図1は、本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式を用いたレーザプリンタである。ここでは、後述する記録材Pの搬送方向と略直交する方向を「長手方向」ともいう。この長手方向は、後述する感光ドラム1や後述する定着装置6の加圧ローラ20の回転軸線方向と略平行である。
画像形成装置100は、トナー像(トナー画像)を担持する像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、OPC(有機光半導体)、アモルファスセレン、アモルファスシリコンなどの感光材料を、アルミニウム合金やニッケルなどで形成されたシリンダ状のドラム基体上に設けて構成したものである。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R1方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施形態では負極性)の所定の電位に均一に帯電処理される。帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に当接して配置されている。帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)3によって走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。レーザスキャナ3は、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームEを感光ドラム1の表面に照射し、露光部分の電荷を除去することで静電像を形成する。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。現像装置4は、トナーを担持して感光ドラム1との対向部(現像部)へと搬送する、現像剤担持体としての現像ローラ41を有する。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法などが用いられる。本実施形態では、一様に帯電処理された後に画像情報に応じて露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施形態では負極性)に帯電したトナーが付着する(反転現像)。
感光ドラム1と対向して、転写手段としてのローラ状の転写部材である転写ローラ5が配置されている。転写ローラ5は、感光ドラム1に向けて付勢されて、感光ドラム1と転写ローラ5とが当接する転写部(転写ニップ)Tを形成する。上述のように感光ドラム1上に形成されたトナー像は、転写部Tにおいて、感光ドラム1と転写ローラ5とに挟持されて搬送される記録材(転写材、シート)P上に転写される。転写時に、転写ローラ5には、トナーの正規の帯電極性(現像時の帯電極性)とは逆極性(本実施形態では正極性)の転写電圧(転写バイアス)が印加される。記録材Pは、記録材トレイ101に収納されており、給送ローラ102によって1枚ずつ給送され、搬送ローラ103などによって所定のタイミングで転写部Tに供給される。この際、記録材Pの先端は、トップセンサ104によって検知され、このトップセンサ104と転写部Tとの位置関係、及び記録材Pの搬送速度から、記録材Pの先端が転写部Tに到達するタイミングが検知される。
トナー像が転写された記録材Pは、像加熱装置としての定着手段である定着装置6へと搬送される。定着装置6は、未定着のトナー像(画像)を担持した記録材を加熱及び加圧して、記録材Pの表面にトナー像を定着(溶融、固着)させる。定着装置6については、後述して更に詳しく説明する。トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ106によって画像形成装置100の装置本体110の外部(上面)に形成された排出トレイ107上に排出(出力)される。なお、この間、排出センサ105により記録材Pの先端及び後端が通過するタイミングが検知され、ジャムなどの発生がないかがモニターされている。
一方、転写時に記録材Pに転写されずに感光ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置7によって感光ドラム1上から除去されて回収される。クリーニング装置7は、感光ドラム1の表面に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレード71によって、回転する感光ドラム1の表面から転写残トナーを掻き取って除去する。
本実施形態では、感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、転写ローラ5などによって、記録材Pに画像を形成する画像形成手段が構成される。
2.定着装置の全体的な構成
図2(a)は、本実施形態の像加熱装置としての定着装置6の概略断面図(後述する加圧ローラ20の回転軸線方向と略直交する断面)である。
本実施形態の定着装置6は、フィルム加熱方式の定着装置である。定着装置6は、加熱部材10と、この加熱部材10に圧接する加圧ローラ20と、を有する。加熱部材(加熱ユニット)10は、定着フィルム13と、ヒータ11と、ホルダ(断熱ステイホルダ)12と、を有して構成されている。定着フィルム13は、可撓性を有する円筒状の耐熱性フィルムで構成された、伝熱部材としての加熱用回転体の一例である。ヒータ11は、発熱体(熱源、加熱源、加熱体)の一例である。ホルダ12は、ヒータ11を保持する保持部材の一例である。ヒータ11は、ホルダ12に固定して配置される。ホルダ12は、定着フィルム13の回転軌跡を規制するガイドとしても機能する。加圧ローラ20は、定着フィルム13を介してヒータ11と対向して配置される。
本実施形態では、ヒータ11が固定されたホルダ12が加圧ローラ20に向けて付勢される。これにより、定着フィルム13を介してヒータ11及びホルダ12と加圧ローラ20とが圧接する定着ニップNが形成される。つまり、定着フィルム13を介してヒータ11と加圧ローラ20との間に圧力が掛かることで定着ニップ部Nが形成されている。また、本実施形態では、加圧ローラ20が駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R2方向に回転駆動される。これにより、本実施形態では、定着フィルム13は、ヒータ11及びホルダ12と加圧ローラ20とに挟持された状態で、加圧ローラ20によって図中矢印R3方向に回転(周回移動)させられる。定着装置6は、定着ニップNにおいて、定着フィルム13と一緒に、未定着のトナー像tを担持した記録材Pを挟持して搬送する。これにより、加熱部材10から記録材P及びトナー像tに熱エネルギーが供給され、トナー像tは記録材P上に定着(溶融、固着)される。つまり、定着装置6は、定着ニップ部Nで記録材Pに形成されたトナー画像を挟持搬送しつつ加熱して記録材Pに定着する。
ヒータ11の定着フィルム13と摺動する面とは反対側の面には、温度検知手段としての温度検知素子であるサーミスタ14が当接して配置されている。サーミスタ14の検知結果を示す信号は、エンジン制御部302に入力される。エンジン制御部302は、この信号に基づいて、ヒータ11の温度が所望の温度になるように、ヒータ11に供給する電流の制御を行う。
ヒータ11は、セラミック(アルミナ、窒化アルミなど)で形成された基板(絶縁基板)113上に、抵抗発熱層112を有する。また、抵抗発熱層112は、電気絶縁と耐摩耗性のために、オーバーコートガラス111で覆われている。そして、ヒータ11は、このオーバーコートガラス111が定着フィルム13の内周面(内面)に接触するように構成されている。
3.定着フィルム
本実施形態では、定着フィルム13は、SUS(ステンレス)などの薄い金属製素管や、ポリイミド、PEEKなどの耐熱樹脂フィルムで形成された基層と、この基層の上に形成された離型性層と、を有する、複合層フィルムである。離型性層は、基層の表面に、直接又はプライマ層を介してPFA、PTFE、FEPなどの材料をコーティングすることで形成したり、同様の材料で形成されたチューブを被覆したりして、構成することができる。本実施形態では、特に、ポリイミドで形成された基層の上にPFAをコーティングして離型性層を形成して構成した定着フィルム13を用いた。本実施形態では、定着フィルム13の全体の厚さ(総膜厚)は70μmであり、定着フィルム13の外周長は56.7mmである。
定着フィルム13は、その内周面側に配置されたヒータ11及びホルダ12と摺擦しながら回転するため、ヒータ11及びホルダ12と定着フィルム13との間の摩擦抵抗を小さく抑えることが望まれる。そのため、ヒータ11及びホルダ12の表面と定着フィルム13の内周面との間に、耐熱性グリースなどの潤滑剤が適当量介在させられている。これにより、定着フィルム13はスムーズに回転することが可能となる。
4.加圧ローラ
<加圧ローラの全体的な構成>
図2(b)は、本実施形態の加圧ローラ20の模式的な斜視図である。加圧ローラ20は、芯金(基材)21の上に、内側弾性層(第1の弾性層)22と、外側弾性層(第2の弾性層)23と、表面離型層24と、が順次積層された複数層構成を有する。
芯金21は、長手方向の中央部の剛直な本体部と、長手方向の両端部に設けられ本体部よりも小径の軸部と、を有して構成される。内側弾性層22と外側弾性層23とで弾性層25が構成される。内側弾性層22、外側弾性層23及び表面離型層24は、芯金21の本体部の外周に設けられている。内側弾性層22及び外側弾性層23は、耐熱性ゴムを用いて構成されている。表面離型層24は、フッ素樹脂を用いて構成されている。本実施形態では、加圧ローラ20の外径は20mm、弾性層25の厚さ(内側弾性層22及び外側弾性層23の合計の厚さ)は2.5mmである。また、本実施形態では、加圧ローラ20の長手方向の長さ(全長)は289mm(芯金21の本体部、内側弾性層22、外側弾性層23及び表面離型層24の長手方向の長さは約250mm)である。
以下で更に詳しく説明するように、本実施形態では、内側弾性層22は、耐熱性のシリコーンゴムを用いて構成され、空隙部と、空隙部と空隙部とを連結する孔道部と、針状フィラー(高熱伝導フィラー)と、を有している。また、本実施形態では、外側弾性層23は、耐熱性のシリコーンゴムを用いて構成され、空隙部を有している。
<芯金>
定着装置用の加圧ローラの芯金としては、中実の芯金や、中空パイプ状の芯金が知られており、中空パイプ状の芯金の場合はその内部に発熱体が配置される場合もある。
本実施形態では、芯金21としては、中実のもの、中空パイプ状のもののいずれも使用することができる。ただし、芯金21の内部に発熱体が配置されていないことが好ましい。これは、非通紙部昇温の抑制のために、内側弾性層22からの芯金21を通した放熱を促す構成とするためである。
芯金21は、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼鉄、ステンレス合金などの金属材料で構成することができる。また、芯金21は、定着ニップNの形成に必要な荷重を負荷して所望のニップ形状を形成可能な強度を有するように、形状などを選択することができる。
本実施形態では、芯金21は、中実の鋼鉄製であり、長手方向の中央部の本体部と、長手方向の両端部に設けられ本体部よりも小径の軸部と、を有して構成されている。本実施形態では、芯金21の本体部の外径は15mmである。また、本実施形態では、芯金21の長手方向の長さ(全長)は289mm(芯金21の本体部の長手方向の長さは約250mm)である。
<内側弾性層(第1の弾性層)>
図3(a)は、内側弾性層22の微細構造を示す模式的な断面図である。内側弾性層22の主成分は、耐熱性のシリコーンゴム22aである。内側弾性層22は、シリコーンゴム22a内に、分散された複数の空隙部22bと、空隙部22bと空隙部22bと(すなわち空隙部同士)を連結する孔道部22cと、分散された針状フィラー22dと、を有する。つまり、内側弾性層22の空隙部22bは、複数の空隙部22bのうち隣接する空隙部22b同士が孔道部22cによって互いに接続された構造(連通孔)とされている。なお、本実施形態では、内側弾性層22のシリコーンゴム22aには、シランカップリング剤、接着剤などが配合されており、内側弾性層22は接着剤等によって芯金21と一体化されている。内側弾性層22については、後述して更に詳しく説明する。
<外側弾性層(第2の弾性層)>
図3(b)は、外側弾性層23の微細構造を示す模式的な断面図である。外側弾性層23の主成分は、耐熱性のシリコーンゴム23aである。外側弾性層23のシリコーンゴム23aには、表面離型層24や、内側弾性層22のシリコーンゴム22aとの一体化のために、接着成分が配合されていることが好ましい。具体的には、表面離型層24との一体化のためには、シランカップリング剤が配合されていることが好ましい。また、内側弾性層22との一体化のためには、ヒドロシリル化反応に関与するシリコーンゴム原料成分(Si−ビニル基又はSi−水素基といった官能基を有する原料成分)が配合されていることが好ましい。このようにして、外側弾性層23と、表面離型層24や内側弾性層22と、を一体化することができる。
また、外側弾性層23は、シリコーンゴム23a内に、分散された複数の空隙部23bを有していることが好ましい。外側弾性層23は、記録材Pが定着ニップNに搬送されてくるまでの間、表面離型層24を介して加熱部材10と当接する。外側弾性層23内に空隙部23bを設けることで、外側弾性層23における表面離型層24側から内側弾性層22側への熱浸透を妨げて、加熱部材10からの熱エネルギーを無駄なく記録材Pに伝達することができる。ここで、外側弾性層23の空隙部23bは、内側弾性層22の空隙部22bと同様、空孔部23b同士が孔道部によって互いに接続された構造(連通孔)とされていてもよい。ただし、外側弾性層23の空隙部23bは、空隙部23b同士が孔道部によって接続されていない構造(独立孔)とされていてもよい。これは、外側弾性層23の厚さが相対的に薄いため、独立孔であっても、加熱時や冷却時の空隙部23bの内部に存在する空気の膨張・収縮による加圧ローラ20の外径の変化に与える影響が小さいからである。なお、外側弾性層23が連通孔と独立孔との両方を含んでいてもよい。なお、内側弾性層22の熱伝導率は外側弾性層23の熱伝導率より高くなっている。
外側弾性層23の厚さは、定着装置6のクイックスタート性と、非通紙部昇温特性と、を考慮して決定される。数秒程度の比較的短い時間スケール(加熱立ち上げ時)では加熱部材10からの熱浸透を妨げる一方、数分程度の比較的長い時間スケール(連続通紙時など)では内側弾性層22に伝熱可能であることが必要である。外側弾性層23の厚さは、150μm以上、500μm未満であることが好ましく、200μm以上、400μm未満であることがより好ましい。外側弾性層23の厚さが150μm未満であると、短い時間スケールでも伝熱して、十分なクイックスタート性を発揮することが困難となる。また、外側弾性層23の厚さが500μm以上であると、内側弾性層22への伝熱に時間がかかりすぎることによって蓄熱し、非通紙部昇温を十分に抑制することが困難となる。
外側弾性層23は、公知の多孔質材料で形成することができる。その多孔質材料としては、例えば、次に挙げる材料などを適用することができる。まず、加熱によるゴム成分の架橋と同時に熱分解性有機発泡剤を利用して多孔質化する材料が挙げられる。また、液状シリコーンゴムの未架橋材料と水とを、増粘剤、乳化剤その他と混合した乳化物を利用して多孔質化する材料が挙げられる。また、シリコーンゴム原料中に分散させた中空粒子(中空フィラー)を利用して多孔質化する材料が挙げられる。本実施形態では、外側弾性層23としては、詳しくは後述する内側弾性層22の空隙部22bの場合と同じ樹脂マイクロバルーン(中空粒子)を用いて空隙部23bを形成した多孔質材料を使用した。なお、外側弾性層23のシリコーンゴム23aとしては、詳しくは後述する内側弾性層22のシリコーンゴム22aと同様のものを用いることができる。
<表面離型層>
表面離型層24の主成分は、フッ素樹脂である。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などから選ばれるフッ素系樹脂、又はそれらの混合物、又はこれらのポリマーを耐熱性樹脂やゴムに分散させたものなどを適用することができる。本実施形態では、表面離型層24としては、これらの樹脂で形成された樹脂チューブ(フッ素樹脂チューブ)を使用した。
樹脂チューブで構成される表面離型層24の成形方法としては、例えば、次に挙げる方法などがある。弾性層25を成形した後に、弾性層25の外周に後から樹脂チューブを接着剤で固定する方法、円筒状の外型の内部に樹脂チューブを配置し、弾性層25の形成と同時に樹脂チューブを接着させる方法などである。本実施形態では、図4に示すように、円筒状の外型の内部に樹脂チューブを配置し、この樹脂チューブを外型の長手方向の両端の開口部で固定して、この樹脂チューブ(表面離型層24)と外側弾性層23とを一体化する方法を使用した。図4は、円筒状の外型の内部に設置した樹脂チューブが、開口両端部で折り返し固定されている状態を示している。なお、加圧ローラ20の製造方法については、後述して更に詳しく説明する。
表面離型層24の厚さは、100μm以下、好ましくは10μm以上、50μm以下程度とされる。表面離型層24の厚さが厚すぎると、加圧ローラ20の硬度が高くなり、定着ニップNの安定した形成が難しくなることがある。本実施形態では、表面離型層24の厚さは30μmである。つまり、加圧ローラ20は、フッ素樹脂層を有していてよく、このフッ素樹脂層の厚さは10μm以上、100μm以下であることが好ましい。なお、本実施形態(後述する実験例など)では、簡単のため、表面離型層24の厚さを無視して、内側弾性層22の厚さ、あるいは内側弾性層22及び外側弾性層23の合計の厚さを表示することがある。
5.内側弾性層の詳細
次に、内側弾性層22の構成についてより詳細に説明する。本実施形態によれば、内側弾性層22が以下に説明するような微細構造を有することで、加圧ローラ20に所望の動的粘弾性特性と熱伝導率特性とを付与することができる。つまり、高速運転時におけるクイックスタート性と非通紙部昇温の抑制とを両立するためには、次のような構成であることが望まれる。高速運転時も低速運転時と同程度の加圧ローラの柔軟性(圧縮・開放時の振動に対する応答性・追従性)を発揮して、低速運転時から高速運転時まで安定して定着ニップNを確保できる構成である。本実施形態によれば、高速運転時も低速運転時と同程度の柔軟性を発揮する加圧ローラ20を提供し、クイックスタート性と非通紙部昇温の抑制とを両立することができる。本実施形態では、内側弾性層22は、樹脂マイクロバルーンと凝集化剤と高熱伝導フィラーとを含有する液状シリコーンゴムを熱で硬化して成型したシリコーンゴム層である。
<シリコーンゴム>
シリコーンゴム22aは、熱により硬化してゴム状弾性を呈するシリコーンゴム原料から形成されるものが好ましいが、その種類などは特に限定されない。シリコーンゴム原料としては、例えば、(1)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、白金系触媒により硬化してシリコーンゴムとなる付加反応硬化型液状シリコーンゴム組成物、(2)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、有機過酸化物により硬化してシリコーンゴムとなる有機過酸化物硬化型シリコーンゴム組成物、(3)水酸基含有ジオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと補強性充填剤とからなり、有機錫化合物、有機チタン化合物、白金系触媒などの縮合反応促進触媒により硬化してシリコーンゴムとなる縮合反応硬化型液状シリコーンゴム組成物などが挙げられる。
これらの中でも、加工成形性の点で、付加反応硬化型液状シリコーンゴム組成物が好ましい。例えば、出発原料のジオルガノポリシロキサンを主成分とする液体材料の25℃における粘度が、0.1Pa・S以上であれば、公知の金型注型法などの加工方法を用いて容易にゴム状成形物を得ることができる。このような液状シリコーンゴムは市販されているものを採用することが可能であり、後述する配合材料のほかに、必要に応じて増粘剤、強化剤などを添加することができる。
<空隙部>
内側弾性層22内に空隙部22bを設けることで、高速運転時におけるクイックスタート性と非通紙部昇温の抑制とを両立することが可能となる。
定着ニップNで加圧ローラ20の圧縮・開放が繰り返される際には、弾性層25(内側弾性層22及び外側弾性層23)の圧縮・開放も繰り返される。本発明者らの検討によれば、内側弾性層22が、空隙部22bが設けられていない非多孔質のものである場合には、加圧と開放が高速で行われる高速運転に際して、必要な定着ニップNが確保できない場合があった(後述の実験例参照)。これは、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存特性を評価した結果、次のことが原因であると考えられる。つまり、非多孔質の内側弾性層22では、加圧と開放の繰り返し周期が速い(短い)場合に、内側弾性層22の柔軟性(圧縮・開放時の振動に対する応答性・追従性)が不足して変形が不十分となることである。なお、ここでは、高速運転時とは、プロセス速度(定着ニップNにおける記録材Pの搬送速度に対応)が250mm/sec以上、例えば270mm/sec程度の場合などを想定している。また、ここでは、低速運転時とは、プロセス速度(定着ニップNにおける記録材Pの搬送速度に対応)が200mm/sec未満、例えば180mm/sec程度の場合などを想定している。
具体的には、内側弾性層22の動的粘弾性特性として、詳しくは後述する方法によって、次のような複素弾性率の比E*(50Hz)/E*(1Hz)を評価した。つまり、応力の周波数が相対的に低周波数である1Hzの場合の複素弾性率E*(1Hz)と、応力の周波数が相対的に高周波数である50Hzの場合の複素弾性率E*(50Hz)と、の比、すなわち、E*(50Hz)/E*(1Hz)を評価した。その結果、非多孔質の弾性層の動的粘弾性特性は、E*(50Hz)/E*(1Hz)が1.5程度であり、周波数依存性が比較的大きいことが判明した。
一方、本実施形態に従う空隙部22bが設けられた多孔質の内側弾性層22の動的粘弾性特性は、E*(50Hz)/E*(1Hz)が1.3以内、典型的には1.1以内であり、周波数依存性がほとんど見られない。すなわち、低速で加圧と開放が繰り返されても、高速で加圧と開放が繰り返されても、定着ニップNを安定して確保することが可能であることが確認された。
詳しくは後述するように、内側弾性層22のサンプルに関して、温度100℃、振幅3μmで加圧ローラ20の厚さ方向に圧縮応力を掛けて動的粘弾性特性を測定した場合に、応力の周波数が1Hzのときの複素弾性率E*(1Hz)と、応力の周波数が50Hzのときの複素弾性率E*(50Hz)と、の比E*(50Hz)/E*(1Hz)が、次式、1.0≦E*(50Hz)/E*(1Hz)≦1.3を満たしていることが好ましい。
ここで、内側弾性層22の空隙部22bは、そのほとんどが、孔道部22cを通じて「外部」に連通している、所謂、連通孔である。なお、この「外部」とは、加圧ローラ20の周辺を意味する。本実施形態では、弾性層25(内側弾性層22及び外側弾性層23)の外周は表面離型層24で被覆されているが、加圧ローラ20の長手方向の両端部において内側弾性層22の側面(端面)が加圧ローラ20の周辺に露出しており「外部」と連通した状態である。連通孔構造を有する多孔性の弾性体は、連通孔構造を有しない(すなわち独立孔構造を有する)多孔性の弾性体と比較して、空隙部の内部に存在する空気の出入りが容易である。例えば、加圧ローラ20が加熱された場合、内側弾性層22の空隙部22bの内部で熱膨張した空気は、孔道部22cを経由して外部に排出され、加圧ローラ20の外径の変化が抑制される。
このような連通孔構造を有する空隙部22bを形成する方法としては、例えば、次に挙げる方法などがある。加熱によるゴム成分の架橋と同時に熱分解性有機発泡剤を利用する方法、液状シリコーンゴムの未架橋材料と水とを、増粘剤、乳化剤その他と混合した乳化物を利用する方法などである。本実施形態では、内側弾性層22の空隙部22bを形成する方法として、液状シリコーンゴム中に分散させた中空粒子である樹脂マイクロバルーンを使用することが好ましい。つまり、内側弾性層22の空隙部22bは、樹脂マイクロバルーンに由来する空隙部であることが好ましい。そして、この場合、樹脂マイクロバルーンとの親和性が高く、シリコーンゴム材料とは親和性の劣る樹脂マイクロバルーン凝集化剤を添加することで、加熱成形と同時に孔道部22cを形成することができる。
樹脂マイクロバルーンとしては、様々な種類のものが入手可能である。本実施形態では、液状シリコーンゴムへの分散性、成形時の寸法安定性、取扱いの容易さを考慮して、平均粒径10〜200μmのアクリロニトリル系のシェルを有する既膨張樹脂マイクロバルーン(商品名:F80−DE、松本油脂製薬(株)製)を使用した。液状シリコーンゴムに対する樹脂マイクロバルーンの配合量は、成形体の比重を考慮して適宜選択することができるが、液状シリコーンゴム100重量部に対して、通常0.5〜8重量部であり、2重量部〜5重量部であることが好ましい。樹脂マイクロバルーンの配合量が2重量部未満であると、成形体の比重が高くて硬くなる場合があるうえ、凝集化剤の添加に応じた孔道部22cの形成が不安定となる場合がある。また、樹脂マイクロバルーンの配合量が5重量部より大きいと、樹脂マイクロバルーンの嵩が大きくなり、液状シリコーンゴムへの配合に特別な配慮が必要となる場合がある。
凝集化剤としては、本実施形態では、テトラエチレングリコールを使用した。液状シリコーンゴムに対する凝集化剤の添加量は、液状シリコーンゴムに対する樹脂マイクロバルーンの配合量にもよるが、液状シリコーンゴム100重量部に対して、おおむね3〜15重量部である。凝集化剤の添加量が3重量部未満であると、連通していない孤立した空隙部22bが多く存在することになる場合がある。また、凝集化剤の添加量が15重量部より多い場合には、加熱成型性が劣る場合がある。
なお、連通化した空隙部22b(連通孔)は、内側弾性層22の全体の体積に対して、体積比で35vol%以上、65vol%以下であることが好ましい。空隙部22bの体積比が35vol%未満であると、ゴムの耐久性が劣る場合があり、65vol%以上であると、定着ニップNを形成するには硬すぎる場合がある。なお、内側弾性層22の空隙部22bは全てが連通孔であることに限定されるものではなく、内側弾性層22が独立孔を含んでいてもよい。
<針状フィラー>
針状フィラー22dは、シリコーンゴム22aの中でほぼランダムな状態で分散されている。詳しくは後述するように、内側弾性層22は、針状フィラーを含む液状の材料を金型中に注入し、流動させることで形成される。この際、アスペクト比の高い針状フィラー22dは、一般に、流れに順じて配向することが多い。空隙部22bを形成するための材料として中空粒子(中空フィラー)を使用する場合、針状フィラー22dの流動方向への配向を抑制することができる。これは、中空粒子が、所謂、乱し粒子として作用するためであると考えられる。そのため、空隙部22bを形成するための中空粒子が存在する場合には、存在しない場合と比較して、針状フィラー固有の特性を発揮することを可能とする針状フィラー同士の接触に基づく連結パスは、内側弾性層22の厚さ方向に相対的に多く形成される。
針状フィラー22dとしては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、ガラスファイバー、その他無機ウィスカーが挙げられる。針状フィラー22dは、これら例示のもののうち少なくとも一つであってよい。例えば、熱伝導率の高い炭素繊維を針状フィラーとして使用する場合、上述した連結パスが熱伝導パスとして機能し、中空粒子が併存しない場合と比較して、内側弾性層22の厚さ方向の伝熱性が向上する。そして、内側弾性層22は、上述のように金属製の芯金21上に積層されているので、加圧ローラ20の非通紙部に蓄積した熱を、上記熱伝導パスを経由して効果的に芯金21に逃すことができる。ここで、針状フィラー(あるいは繊維状フィラー)は、一方向に長い針状(あるいは繊維状)の形状を有するフィラーのことを言う。より詳細には、これに限定するものではないが、アスペクト比(長さ/直径)が10以上、好ましくは20以上フィラーを針状フィラー(あるいは繊維状フィラー)として好適に用いることができる。
加圧ローラ20の熱伝導率λは、後述する方法で測定することが可能である。加圧ローラ20の熱伝導率λは、弾性層25の主成分であるシリコーンゴムに配合する樹脂マイクロバルーンや針状フィラーの配合量に依存するが、0.5[W/m・K]より大きく、3.0[W/m・K]以下であることが好ましい。加圧ローラ20の熱伝導率λが0.5[W/m・K]以下であると、非通紙部昇温を抑制することが困難となる場合がある。また、加圧ローラ20の熱伝導率λが3.0[W/m・K]より高いと、多量の針状フィラーを必要とし、成形が困難となる場合がある。
また、前述したように、内側弾性層22の熱伝導率λ2は外側弾性層23の熱伝導率λ1より高くなっている。内側弾性層22の熱伝導率λ2は、0.2[W/m・K]以上、1.0[W/m・K]以下が好ましく、外側弾性層23の熱伝導率λ1は、0.05[W/m・K]以上、0.2[W/m・K]以下が好ましい。熱伝導率λ1、λ2の測定方法も後述する。
つまり、加圧ローラ20の熱伝導率λが、次式、0.5[W/m・K]<λ≦3.0[W/m・K]を満たすことが好ましい。また、第1の弾性層22の熱伝導率は、0.2[W/m・K]以上、1.0[W/m・K]以下であり、第2の弾性層23の熱伝導率は、0.05[W/m・K]以上、0.2[W/m・K]以下であることが好ましい。
本実施形態では、針状フィラー22dとして、高い熱伝導性を示すピッチ系炭素繊維(商品名:GRANOC Milled Fiber XN−100−25M(日本グラファイトファイバー株式会社製)、繊維径9μm、平均繊維長250μm、アスペクト比28、密度2.2g/cm)を使用した。
6.加圧ローラの製造方法
次に、本実施形態における加圧ローラ20の製造方法について説明する。ここでは、後述する実験例A1の場合を例として加圧ローラ20の製造方法の概略について説明する。各実験例における材料、配合量、各部の寸法などの設定の詳細は後述する。図4、図5は、それぞれ本実施形態における加圧ローラ20の製造に用いる注型成形用型の概略外観斜視図、長手方向に沿った概略断面図である。
なお、本発明は、加圧ローラ20の製造方法を下記の製造方法に限定するものではない。また、後述する各実験例の加圧ローラ20は、それぞれを複数作成して評価に供した。
<外側弾性層用の液状組成物の調製工程(第1工程)>
液状シリコーンゴムに対して、シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を添加したものに、更に樹脂マイクロバルーンを配合し、十分に撹拌して、外側弾性層用の液状(液体)組成物を調製した。
<外側弾性層の成形工程(第2工程)>
図4に示すように、長手方向の長さ250mm、外径28mm、内径20mmの円筒状の金属製の外型71の内部に、公知の方法でフッ素樹脂チューブ75を密着固定した。なお、上記寸法は、加圧ローラ20における芯金21の本体部、内側弾性層22、外側弾性層23、表面離型層24に対応する部分の寸法である。次いで、フッ素樹脂チューブ75の内側に、上記第1工程で調製した外側弾性層用の液状組成物を、リングコート法を使用して、外側弾性層79(図5)の厚さが所定の厚さ(実験例A1では約300μm)となるよう塗布した。なお、外側弾性層79(図5)の厚さを200μm以下に設定する場合には、外型71とリングコート用のノズル(図示せず)との位置を同心となるように精密に合わせた。フッ素樹脂チューブ75が固定された外型71の全体を130℃に加熱し、外型71に固定された状態のフッ素樹脂チューブ75と外側弾性層79とが一体化された成形体(図5)を得た。なお、上記フッ素樹脂チューブ75は加圧ローラ20における表面離型層24になるものであり、上記外側弾性層79は加圧ローラ20における外側弾性層23になるものである。
<内側弾性層用の液状組成物の調製工程(第3工程)>
未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴムに対して、針状フィラーと、樹脂マイクロバルーンと、をそれぞれ秤量して配合した。そして、遊星式の万能混合撹拌機など、公知の混合撹拌手段を用いて混合した。続いて、樹脂マイクロバルーンの凝集化剤としてテトラエチレングリコールを添加し、一定時間混合を継続して、内側弾性層用の液状組成物を調製した。
<内側弾性層の層形成工程(第4工程)>
図5に示すように、上記第2工程で外型71に固定された状態で得た成形体と、表面にプライマ処理を施した直径15mmの芯金74とで、注型成形用型のキャビティ72を形成した。芯金74は、軸受け76−1、76−2によって外型71に支持されている。キャビティ72は、芯金74の外周面と上記第2工程で成形した外側弾性層79の内周面との間に形成されている。キャビティ72は、連通路73−1、73−2において外型71の外部と連通している。そして、上記第3工程で調製した内側弾性層用の液状組成物を、流路である連通路73−1から注入し、キャビティ72内を液状組成物で充填した。次いで、内側弾性層用の液状組成物で充填されたキャビティ72を、図示しない密閉手段で密閉した。なお、上記芯金74は、加圧ローラ20における芯金21になるものである。
<シリコーンゴム成分の架橋硬化工程(第5工程)>
キャビティ72を密閉した注型成形用型を130℃にて60分加熱し、内側弾性層のシリコーンゴム成分を硬化した。
<脱型工程(第6工程)>
注型成形用型を、適宜、水冷や空冷により冷却した後に、芯金21、内側弾性層22、外側弾性層23及び表面離型層24が一体化された加圧ローラ20を注型成形用型から取り出した。
<二次架橋工程(第7工程)>
注型成形用型から取り出した加圧ローラ20を熱風循環オーブンに入れ、温度230℃にて4時間保持して二次架橋した。
7.評価方法
次に、加圧ローラ20の評価方法について説明する。
<内側弾性層の動的粘弾性特性の評価方法>
成形した加圧ローラ20の内側弾性層22の材料特性を評価するために破壊試験を実施した。内側弾性層22を切り出し、動的粘弾性測定装置(Rheogel−E4000:UBM株式会社)を用いて、圧縮時の動的粘弾性の周波数依存性を測定した。
内側弾性層22の切り出したサンプルのサイズは、縦5mm、横5mm、厚さ2mmとした。また、加圧ローラ20の厚さ方向(本実施形態では略半径方向)に対応する上記サンプルの厚さ方向に圧縮応力を掛ける静荷重一定モードで50gの荷重を与えた。また、試験は、温度100℃、歪みの振幅3μm(正弦波)で行い、応力の周波数1Hzでの複素弾性率E*(1Hz)を低速動作時の指標として用い、応力の周波数50Hzの複素弾性率E*(50Hz)を高速動作時の指標として用いた。なお、複素弾性率E*(1Hz)、複素弾性率E*(50Hz)は、動的粘弾性測定装置によるそれぞれの周波数での応力と歪みの振幅比(σ*/ε*)と位相差(δ)との検出結果から得られる、E*=E’+iE’’(ただし、E’は貯蔵弾性率、E’’は損失弾性率)における、E’’(損失弾性率)の値(単位は[Pa])で代表している。
<加圧ローラの熱伝導率の評価方法>
加圧ローラ20の熱伝導率λは、表面熱伝導率計(商品名:QTM−500、京都電子株式会社製)を用いて、加圧ローラ20の表面に、加圧ローラ20の長手方向と略平行に表面熱伝導率計のセンサプローブ(型式:PD−11、京都電子株式会社製)を接触させて測定した。測定に際しては、センサプローブを、加圧ローラ20と同じ径を有する石英製の円柱体で校正して使用した。
また、内側弾性層22の熱伝導率λ2及び外側弾性層23の熱伝導率λ1の測定も、加圧ローラ20の熱伝導率λの測定と同じく、表面熱伝導率計(商品名:QTM−500、京都電子株式会社製)を用いて行った。なお、内側弾性層22、外側弾性層23は、それぞれ、表面熱伝導率計で測定できる厚みとなるように重ねて測定サンプルを作成した。
<加圧ローラの非通紙部昇温の評価方法>
各例の加圧ローラ20を図2(a)に示す本実施形態の定着装置6に組み込み、その定着装置6を図1に示す本実施形態の画像形成装置100に搭載した。そして、次のような所定の条件で所定の画像パターンが形成された記録材(用紙)Pを定着ニップNに50枚連続して搬送(通紙)し、加圧ローラ20の非通紙部の温度(より詳細には加圧ローラ20の表面温度)を測定した。上記所定の条件は、プロセス速度(定着ニップNにおける記録材Pの搬送速度に対応)270mm/sec、気温25℃、湿度50%の環境、定着装置6のヒータ11の温度制御の目標温度(温調温度)200℃とした。用紙としては、CANON Red Label 80g/cmをB5サイズにカットして使用した。
なお、用紙50枚の連続通紙で加圧ローラ20がただちに破壊することはほとんどない。ここでは、加圧ローラ20の非通紙部の温度が、シリコーンゴムの酸化劣化に伴う加圧ローラ20の破壊が起こりやすくなる温度である230℃に到達するか否かを指標として、非通紙部昇温を評価した。
8.実験例の構成
次に、実験例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
<実験例A1>
実験例A1の加圧ローラ20を以下のようにして製造した。
・外側弾性層用の液状組成物の調製工程(第1工程)
液状シリコーンゴム100重量部に対して、シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)1重量部を添加したものに、更に平均粒径100μmの樹脂マイクロバルーン(商品名:F80−DE、松本油脂製薬(株)製)を5重量部配合し、十分に撹拌して、外側弾性層用の液状組成物を調製した。
・外側弾性層の成形工程(第2工程)
図4及び図5を参照して前述したようにして、外型71に固定された状態のフッ素樹脂チューブ75と外側弾性層79とが一体化された成形体を得た。この際、上記第1工程で調製した外側弾性層用の液状組成物をフッ素樹脂チューブ75の内側に塗布し、外型71の全体を130℃に加熱した。また、リングコートにより形成する外側弾性層23の厚さは、約300μmとした。
・内側弾性層用の液状組成物の調製工程(第3工程)
未架橋の付加硬化型液状シリコーンゴム100重量部に対して、針状フィラー(商品名:GRANOC Milled Fiber XN−100−25M、日本グラファイトファイバー株式会社製)15重量部と、樹脂マイクロバルーン(商品名:F80−DE、松本油脂製薬(株)製)5重量部と、をそれぞれ秤量して配合した。そして、万能混合撹拌機(商品名:T.K.ハイビスミックス2P−1、プライミクス株式会社製)を用いて、撹拌羽根の回転数を80rpmとして撹拌した。続いて、樹脂マイクロバルーンの凝集化剤としてテトラエチレングリコールを5重量部加え、更に撹拌して、内側弾性層用の液状組成物を調製した。
・内側弾性層の層形成工程(第4工程)
表面にプライマ(商品名:DY39−051、東レ・ダウコーニング株式会社製)処理を施した、本体部の外径が15mmの芯金74を準備した。また、図5を参照して前述したようにして、この芯金74と、上記第2工程で得た成形体が固定された外型71と、軸受け76−1、76−2とを組み合わせて、キャビティ72を備えた注型成形用型を形成した。そして、上記第3工程で調製した内側弾性層用の液状組成物を、50cm/分の速度で注入し、キャビティ72内を液状組成物で満たして、フローアウトを確認した。次いで、図示しない密閉手段でキャビティ72を密閉した。
・シリコーンゴム成分の架橋硬化工程(第5工程)、脱型工程(第6工程)、及び二次架橋工程(第7工程)
キャビティ72を密閉した注型成形用型を、熱風オーブンで130℃にて1時間加熱し、シリコーンゴムを硬化した(第5工程)。注型成形用の型を冷却後、注型成形用の型から加圧ローラを取り出した(第6工程)。次いで、熱風オーブンで230℃にて4時間加熱した(第7工程)。最後に、余分な端部をカットする二次加工を施し、実験例A1の加圧ローラ20を得た。
<実験例A2>
第3工程で、液状シリコーンゴムに配合する樹脂マイクロバルーンを2重量部とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例A2の加圧ローラ20を得た。
<実験例A3>
第3工程で、樹脂マイクロバルーンを配合せずに、針状フィラー及び凝集化剤の配合量を実験例A1と同量とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例A3の加圧ローラ20を得た。
<実験例A4>
第3工程で、樹脂マイクロバルーン及び凝集化剤を配合せず、針状フィラーの配合量を実験例A1と同量とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例A4の加圧ローラ20を得た。
<実験例B2>
第3工程で、液状シリコーンゴムに配合する針状フィラーを25重量部とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例B2の加圧ローラ20を得た。
<実験例B3>
第3工程で、液状シリコーンゴムに配合する針状フィラーを10重量部とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例B3の加圧ローラ20を得た。
<実験例B4>
第3工程で、液状シリコーンゴムに配合する針状フィラーを5重量部とした以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例B4の加圧ローラ20を得た。
<実験例C2>
第2工程で、リングコートにより形成する外側弾性層23の厚さを150μmとし、第4工程で、内側弾性層22の厚さが2350μmとされること以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例C2の加圧ローラ20を得た。
<実験例C3>
第2工程で、リングコートにより形成する外側弾性層23の厚さを500μmとし、第4工程で、内側弾性層22の厚さが2000μmとされること以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例C3の加圧ローラ20を得た。
<実験例C4>
第2工程でリングコートにより形成する外側弾性層23の厚さを300μmとし、第4工程で本体部の外径が13mmの芯金74を用い内側弾性層22の厚さが3200μmとされること以外は、実験例A1と同様の製造方法で実験例C4の加圧ローラ20を得た。
9.評価実験
表1は、上述の各実験例における弾性層の厚さ、付加硬化型液状シリコーンゴム、針状フィラー、樹脂マイクロバルーン、凝集化剤の配合割合をまとめたものである。なお、上述のように、ここでは簡単のために表面離型層24の厚さは無視して、内側弾性層22の厚さ、内側弾性層22及び外側弾性層23の合計の厚さを表示している。これら内側弾性層22の厚さ、内側弾性層22及び外側弾性層23の合計の厚さは、より詳細には、表示した値から表面離型層24の厚さを差し引いた厚さである。
上述の各実験例について、内側弾性層22の動的粘弾性特性、加圧ローラ20の熱伝導率、加圧ローラ20の非通紙部昇温について評価実験を行った。表2に評価結果を示す。なお、内側弾性層22の動的粘弾性特性、加圧ローラ20の熱伝導率、加圧ローラ20の非通紙部昇温の評価方法は前述したとおりである。
(1)実験例A1〜A4
実験例A1では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.05であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。また、実験例A1では、加圧ローラ20の熱伝導率は1.36[W/m・K]であった。また、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は212℃であった。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例A1はOKである。
実験例A2では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.17であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は実験例A1よりも大きかったが、依然として十分に小さかった。また、実験例A2では、加圧ローラ20の熱伝導率は1.02[W/m・K]であり、実験例A1よりも小さかった。これは、内側弾性層22に配合した樹脂マイクロバルーンの配合量が実験例A1よりも少ないために、注型成形時に針状フィラーが長手方向に配向したことによるものと考えられる。また、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は222℃であった。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例A2はOKである。
実験例A3では、内側弾性層用の液状組成物の調製時に、液状シリコーンゴムと、凝集化剤と、が相溶しなかった。そのまま成形したところ、成型後の加圧ローラ20の表面に複数のくぼみが散見され、相溶していない凝集化剤がくぼみの原因であると考えられた。このため、この加圧ローラ20を定着装置6に組み込んでの熱伝導率、非通紙部昇温の評価は実施しなかった。なお、実験例A3では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.41であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は大きかった。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例A3はNGである。
実験例A4では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.52であり、内側弾性層22の導電粘弾性の周波数依存性は大きかった。また、実験例A4では、加圧ローラ20の熱伝導率は0.88[W/m・K]であったが、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、実験例A1と同等の画像品質を得るために温調温度を実験例A1よりも高くする必要があった。つまり、実験例A4では、実験例A1と比較して定着ニップNが狭いことが考えられ、加圧ローラ20の変形が不十分であることが示唆された。なお、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は225℃であった。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例A4はNGである。
なお、上記画像品質としては、一例として、記録材Pに形成された試験画像の定着品質を評価した。定着品質は、記録材Pに所定の試験画像を形成し、その試験画像を所定の条件で擦る前後の反射濃度を測定し、擦った後の反射濃度/擦る前の反射濃度の比(定着率)で評価することができる。
(2)実験例B2〜B4
実験例B2では、内側弾性層用の液状組成物の調製に際して、針状フィラーを複数回に分けて投入する必要があった。また、実験例B2では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.11であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。また、実験例B2では、加圧ローラ20の熱伝導率は3.00[W/m・K]であった。また、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は195℃であった。本実験例より針状フィラーの配合量を多くすると、液状組成物の調製が煩雑になったり、成形が困難となったりすることがある。つまり、加圧ローラ20の熱伝導率は3.0[W/m・K]以下で十分であることがわかる。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例B2はOKである。
実験例B3では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.30であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は実験例A1よりも大きかったが、依然として十分に小さかった。また、実験例B3では、加圧ローラ20の熱伝導率は0.82[W/m・K]であった。また、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は226℃であった。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例B3はOKである。
実験例B4では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.09であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。しかし、実験例B4では、加圧ローラ20の熱伝導率は0.45[W/m・K]であった。そして、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は250℃であり、非通紙部昇温の指標とした230℃を超えた。つまり、非通紙部昇温を十分に抑制するためには、本実験例よりも針状フィラーの配合量を多くして、加圧ローラ20の熱伝導率を0.5[W/m・K]より大きくすることが好ましいことがわかる。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例B4はNGである。
(3)実験例C2〜C4
実験例C2では、外側弾性層23の成形に際して、外型とリングコート用のノズルとの位置が同心となるように精密に位置合わせを実施した。また、実験例C2では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.01であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。また、実験例C2では、加圧ローラ20の熱伝導率は1.85[W/m・K]であった。これは、外側弾性層23の厚さが実験例A1よりも薄いため、加圧ローラ20の熱伝導率が実験例A1と比較して高くなったものと考えられる。この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は209℃であった。つまり、十分なクイックスタート性を発揮するためには、外側弾性層23の厚さを本実験例の150μm以上とすることが好ましいことがわかる。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例C2はOKである。
実験例C3では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.08であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。しかし、実験例C4では、加圧ローラ20の熱伝導率は0.50[W/m・K]であった。これは、外側弾性層23の厚さが実験例A1よりも厚いため、加圧ローラ20の熱伝導率が実験例A1と比較して低くなったものと考えられる。そして、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は230℃であり、非通紙部昇温の指標とした230℃に到達した。つまり、非通紙部昇温を十分に抑制するためには、外側弾性層23の厚さを本実験例の500μmより小さくして、加圧ローラ20の熱伝導率を0.5[W/m・K]より大きくすることが好ましいことがわかる。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例C3はNGである。
実験例C4では、E*(50Hz)/E*(1Hz)は1.05であり、内側弾性層22の動的粘弾性の周波数依存性は小さかった。しかし、実験例C4では、加圧ローラ20の熱伝導率は0.25[W/m・K]であった。これは、内側弾性層22の厚さが実験例A1よりも厚く、芯金21への放熱性が劣るため、加圧ローラ20の熱伝導率が実験例A1と比較して低くなったものと考えられる。そして、この加圧ローラ20を搭載した定着装置6では、温調温度を200℃に設定した場合における連続通紙50枚目の加圧ローラ20の非通紙部の温度は265℃であり、非通紙部昇温の指標とした230℃を超えた。内側弾性層22の厚みは2mm以上、3mm以下(2000μm以上、3000μm以下)が好ましい。弾性層の柔軟性の確保と非通紙部昇温の抑制性能という観点から実験例C4はNGである。
なお、内側弾性層22が、連通孔を有しておらず、実質的に独立孔のみを有する場合には、加熱時や冷却時の空隙部22bの内部に存在する空気の膨張・収縮による加圧ローラ20の外径の変化により、定着ニップNの形成が不安定になることがある。また、内側弾性層22に空隙部22b、孔道部22cを設けた構成において、熱伝導フィラーが針状(あるいは繊維状)でない場合には、内側弾性層22の厚さ方向への熱伝導パスの形成が不十分となり、非通紙部昇温を十分に抑制できなくなることがある。
以上説明したように、本実施形態の加圧ローラ20は、高速運転時も低速運転時と同程度の柔軟性を発揮することができる。これにより、本実施形態の定着装置6は、低速運転時から高速運転時まで、安定して定着ニップNを確保して、クイックスタート性と非通紙部昇温の抑制とを両立することができる。また、これにより、本実施形態の画像形成装置100は、低速運転時から高速運転時まで、安定した品質の画像を提供することができる。つまり、本実施形態によれば、安定してニップ部を形成できると共に、クイックスタート性と非通紙部昇温の抑制とを両立することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態では、加熱部材は、加熱用回転体として無端状のフィルム(あるいはベルト)を有していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱部材は、加熱用回転体としてローラ状の部材(定着ローラ)を有していてよい。また、上述の実施形態では、加熱部材の加熱用回転体は、その内側(内周面側)に設けられたヒータによって加熱されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、無端状のベルトなどとされる加熱用回転体が通電により自己発熱するものであってもよい。また、無端状のベルトなどとされる加熱用回転体が、その外側(外周面側)に設けられる励磁コイルによって電磁的に発熱させられるものであってもよい。
6 定着装置
10 加熱部材
11 ヒータ
12 ホルダ
13 定着フィルム
14 サーミスタ
20 加圧ローラ
21 芯金
22 内側弾性層
22a シリコーンゴム
22b 空隙部
22c 孔道部
22d 針状フィラー
23 外側弾性層
24 表面離型層
25 弾性層

Claims (19)

  1. 記録材に形成されたトナー画像を加熱して記録材に定着する定着装置に用いられる加圧ローラであって、
    第1の弾性層と、
    前記第1の弾性層の外側に設けられた第2の弾性層と、
    を有し、
    前記第1の弾性層の熱伝導率は前記第2の弾性層の熱伝導率より高く、
    前記第1の弾性層は、複数の空隙部と、前記複数の空隙部同士を連結する孔道部と、針状の高熱伝導フィラーと、を含有することを特徴とする加圧ローラ。
  2. 前記第1の弾性層のサンプルに関して、温度100℃、振幅3μmで前記加圧ローラの厚さ方向に圧縮応力を掛けて動的粘弾性特性を測定した場合に、応力の周波数が1Hzのときの複素弾性率E*(1Hz)と、応力の周波数が50Hzのときの複素弾性率E*(50Hz)と、の比E*(50Hz)/E*(1Hz)が、次式、
    1.0≦E*(50Hz)/E*(1Hz)≦1.3
    を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の加圧ローラ。
  3. 前記加圧ローラの熱伝導率λが、次式、
    0.5[W/m・K]<λ≦3.0[W/m・K]
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧ローラ。
  4. 前記第1の弾性層の熱伝導率は、0.2[W/m・K]以上、1.0[W/m・K]以下であり、前記第2の弾性層の熱伝導率は、0.05[W/m・K]以上、0.2[W/m・K]以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  5. 前記第1の弾性層の空隙部は、樹脂マイクロバルーンに由来する空隙部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  6. 前記第1の弾性層は、前記樹脂マイクロバルーンと凝集化剤と前記高熱伝導フィラーとを含有する液状シリコーンゴムを熱で硬化して成型したシリコーンゴム層であることを特徴とする請求項5に記載の加圧ローラ。
  7. 前記樹脂マイクロバルーンの配合量は、前記液状シリコーンゴム100重量部に対して0.5〜8重量部であることを特徴とする請求項6に記載の加圧ローラ。
  8. 前記凝集化剤はテトラエチレングリコールであり、
    前記テトラエチレングリコールの配合量は、前記液状シリコーンゴム100重量部に対して3〜15重量部であることを特徴とする請求項6又は7に記載の加圧ローラ。
  9. 前記空隙部と前記孔道部とを含む連通化した空隙部は、前記第1の弾性層に35vol%以上、65vol%以下の体積比で設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  10. 前記高熱伝導フィラーは、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、ガラスファイバー、無機ウィスカーの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  11. 前記第2の弾性層の厚さは、150μm以上、500μm未満であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  12. 前記第2の弾性層は、複数の空隙部を含んでいることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  13. 前記第2の弾性層の空隙部は、樹脂マイクロバルーンに由来する空隙部である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  14. 前記第1の弾性層の厚みは2mm以上、3mm以下であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  15. 前記加圧ローラは更に、フッ素樹脂層を有し、前記フッ素樹脂層の厚さは10μm以上、100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の加圧ローラ。
  16. 定着ニップ部で記録材に形成されたトナー画像を挟持搬送しつつ加熱して記録材に定着する定着装置であって、
    加熱ユニットと、
    前記加熱ユニットと共に前記定着ニップ部を形成する加圧ローラと、
    を有し、
    前記加圧ローラが請求項1乃至15のいずれか一項に記載の加圧ローラであることを特徴とする定着装置。
  17. 前記加熱ユニットは、筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムの内面に接触するヒータと、を有することを特徴とする請求項16に記載の定着装置。
  18. 前記定着フィルムを介して前記ヒータと前記加圧ローラとの間に圧力が掛ることで前記定着ニップ部が形成されていることを特徴とする請求項17に記載の定着装置。
  19. 記録材にトナー画像を形成する画像形成装置であって、
    記録材にトナー画像を形成する画像形成手段と、
    記録材に形成されたトナー画像を記録材に定着する定着手段と、
    を有し、
    前記定着手段が請求項16乃至18のいずれか一項に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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