JP6287361B2 - 内燃機関および内燃機関用油圧制御装置 - Google Patents

内燃機関および内燃機関用油圧制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関および内燃機関用油圧制御装置に関し、特に、ピストンにオイル(潤滑油)を供給するオイルジェットを備えた内燃機関および内燃機関用油圧制御装置に関する。
従来、ピストンにオイルを供給するオイルジェットを備えた内燃機関が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、オイル(潤滑油)が流通するメインオイルギャラリとサブオイルギャラリとがシリンダブロック内に形成された内燃機関が開示されている。この特許文献1に記載の内燃機関では、メインオイルギャラリとサブオイルギャラリとの間に電磁弁が設けられており、サブオイルギャラリにはオイルジェットが接続されている。オイルジェットは、コンロッドが接続されるピストンの裏側に冷却用のオイル(潤滑油)を噴射する機能を有している。そして、内燃機関運転中にECU(電子制御装置)の指令に基づいて電磁弁が開閉制御されることにより、電磁弁が開状態においては、メインオイルギャラリのオイルがサブオイルギャラリに引き込まれてオイルジェットから噴射されるように構成されている。これにより、シリンダ内で往復動されるピストンの温度制御が行われている。
特許第4599785号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された内燃機関では、シリンダブロック内に、カムシャフトやバルブ機構部などの動弁系タイミング部材およびクランクシャフトにオイルを常時供給するための油路となるメインオイルギャラリ(主油路)を設ける一方、電磁弁を介してメインオイルギャラリから分岐するサブオイルギャラリ(副油路)を別途設けている。そして、電磁弁の開閉とともにサブオイルギャラリを介してオイルジェットからピストン冷却用のオイルを噴射させる構成のため、専用のサブオイルギャラリ(副油路)を設ける分、シリンダブロック内の油路が複雑になるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、簡素な油路構成によりオイル(潤滑油)によるピストン裏側の冷却を適切に行うことが可能な内燃機関および内燃機関用油圧制御装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における内燃機関は、ピストンと、所定の作動圧で作動してピストンにオイルを供給するオイルジェットと、オイルジェットを含む油路の上流に設けられた油圧制御装置と、を備え、油圧制御装置は、所定の作動圧よりも低い圧力のオイルをオイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、第1通路と合わせて、所定の作動圧よりも高い圧力のオイルをオイルジェットに供給する第2通路と、オイルジェットを作動させる際には、第2通路を開状態に制御するとともに、オイルジェットの作動を停止する際には、第2通路を閉状態に制御する開閉制御部とを含む。
この発明の第1の局面による内燃機関では、上記のように、所定の作動圧よりも低い圧力のオイルをオイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、第1通路と合わせて、所定の作動圧よりも高い圧力のオイルをオイルジェットに供給する第2通路と、オイルジェットを作動させる際には、第2通路を開状態に制御するとともに、オイルジェットの作動を停止する際には、第2通路を閉状態に制御する開閉制御部とを含む油圧制御装置を、オイルジェットを含む油路の上流に設けることによって、第2通路が閉じられた期間中は常時開状態の第1通路のみを介して所定の作動圧よりも油圧が低下されたオイル(潤滑油)を、オイルジェットを含む油路の下流に常時供給し続けることができる。そして、第2通路が開かれた場合にのみ、第1通路と第2通路とを介してオイルジェットに確実にオイルを供給することができる。すなわち、内燃機関の運転中、常にオイルが必要な箇所(クランクシャフトなど)にオイルを供給する機能と、内燃機関が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合に第2通路を開いてピストン裏側にオイルを供給する機能とを、第1通路と第2通路とからなる1つの(共通の)油路と開閉制御部とを含む油圧制御装置を用いて適宜使い分けることができる。したがって、本発明では、たとえば、クランクシャフトおよびピストンにオイルを供給する既存の油路に本発明の油圧制御装置を追加するだけで、クランクシャフトなどにオイルを常時供給しながら、必要に応じてオイルジェットを作動させることができるので、シリンダブロック内の主油路からオイルジェットへオイルを供給する専用の副油路を別途形成して副油路に開閉制御弁などを設けて内燃機関の状態に応じたオイルの供給先を切り替える必要がない。この結果、専用の副油路を設ける必要がない分、簡素な油路構成によりオイル(潤滑油)によるピストン裏側の冷却を適切に行うことができる。
上記第1の局面による内燃機関において、好ましくは、第1通路は、第1油路径を有する常時開状態の固定絞りを含み、第2通路は、第1油路径よりも大きい第2油路径を有する開閉可能なバイパス通路を含む。このように構成すれば、第1通路と第2通路とからなる1つの(共通の)油路中の第1油路径を有する固定絞りによって、所定の抵抗(流路抵抗)が付与された第1通路を介して所定の作動圧よりも油圧が低下されたオイル(潤滑油)をオイルジェットを含む油路の下流側に常時供給することができる。また、第2通路の第1油路径よりも大きい第2油路径を有するバイパス通路を開くことによって、油路全体を第1通路の固定絞りよりも小さい抵抗(流路抵抗)に切り替えた状態で、油路の下流側に接続されたオイルジェットにもオイルを容易に供給することができる。
上記第1の局面による内燃機関において、好ましくは、開閉制御部は、第2通路に接続され、第2通路の開閉制御を行う第1電磁弁を含む。このように構成すれば、電磁石(ソレノイド部)の電磁力を用いた応答速度の速い駆動弁の開閉動作を有効に利用して、第1電磁弁の制御対象(駆動対象)となる第2通路の開閉動作を容易に行うことができる。また、開閉制御部として全開状態か全閉状態かのいずれかの状態のみを保持可能な第1電磁弁を用いることによって、油圧制御装置における第2通路の開閉動作(オイルジェットの作動と作動停止との切替制御)を確実に行うことができる。
上記第1の局面による内燃機関において、好ましくは、オイルジェットにオイルを供給するオイルポンプをさらに備え、油圧制御装置は、オイルポンプとオイルジェットとの間に配置されている。このように構成すれば、オイルポンプにより発生する油圧を油圧制御装置に付与しながら常時開状態の第1通路のみを介してオイルを下流側の必要箇所に供給しつつ、第2通路を開いた場合には第1通路と第2通路とを介してオイルをオイルジェットにも容易に供給することができる。
上記オイルポンプをさらに備える構成において、好ましくは、オイルポンプは、可変容量型オイルポンプを含み、可変容量型オイルポンプは、開閉制御部により第2通路が開状態に制御される際に、吐出量が増加されるように構成されている。このように構成すれば、可変容量型オイルポンプの吐出量を増加させることにより、十分な油圧を有した状態でオイルを第2通路を介してオイルジェットに供給することができる。すなわち、所定の作動圧よりも高い圧力のオイルをオイルジェットに容易に供給することができるので、オイルジェットからオイルを確実に噴射させてピストンを冷却することができる。
この場合、好ましくは、可変容量型オイルポンプに接続され、油圧制御装置の開閉制御部の開閉制御に応じて、可変容量型オイルポンプの吐出量を制御する第2電磁弁をさらに備える。このように構成すれば、電磁石(ソレノイド部)の電磁力を用いた応答速度の速い駆動弁の開閉動作を有効に利用して、第2電磁弁の制御対象(駆動対象)となる可変容量型オイルポンプの吐出量制御(吐出量を増減させる制御)を容易に行うことができる。
上記第1の局面による内燃機関において、好ましくは、油路は、動弁系にオイルを供給する第1循環油路と、クランクシャフトおよびピストンにオイルを供給するオイルジェットを含む第2循環油路とを含み、第2循環油路は、第1通路と、第1通路と並行して開閉可能に設けられた第2通路とを有する。このように構成すれば、クランクシャフトおよびピストン(の裏側)にオイルを供給する第2循環油路中に、第1通路と第2通路とからなる1つの(共通の)油路を含む油圧制御装置を設けることができる。これにより、第1循環油路を介しての動弁系へのオイル供給動作とは関係なく、油圧制御装置によるオイルジェットの作動と作動停止との切替制御を行うことができる。
上記第1の局面による内燃機関において、好ましくは、開閉制御部は、ピストンの温度が所定温度よりも大きくなったことかまたはクランクシャフトの回転数が所定回転数以上になったことの少なくとも一方に基づいて、第2通路を開状態に制御するように構成されている。このように構成すれば、ピストンの温度が所定温度に到達しない場合(内燃機関の始動直後など低油温時のオイル粘度に起因して油圧が一時的に上昇する状態)では第2通路は閉じられているので、低油温時にピストン裏側へオイルが供給(噴射)されるのを容易に防止することができる。その一方で、低油温状態が解消された場合や、内燃機関が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合には、クランクシャフトへの恒常的なオイル供給のみならず、オイルジェットを介してピストン裏側へもオイルを確実に供給(噴射)することができる。これにより、ピストンの焼き付きを容易に防止することができる。
この発明の第2の局面における内燃機関用油圧制御装置は、所定の作動圧で作動することによって内燃機関のピストンにオイルを供給するオイルジェットを含む油路の上流に設けられ、所定の作動圧よりも低い圧力のオイルをオイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、第1通路と合わせて、所定の作動圧よりも高い圧力のオイルをオイルジェットに供給する第2通路と、オイルジェットを作動させる際には、第2通路を開状態に制御するとともに、オイルジェットの作動を停止する際には、第2通路を閉状態に制御する開閉制御部と、を備える。
この発明の第2の局面による内燃機関用油圧制御装置では、上記のように、所定の作動圧よりも低い圧力のオイルをオイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、第1通路と合わせて、所定の作動圧よりも高い圧力のオイルをオイルジェットに供給する第2通路と、オイルジェットを作動させる際には、第2通路を開状態に制御するとともに、オイルジェットの作動を停止する際には、第2通路を閉状態に制御する開閉制御部とを備えることによって、第2通路が閉じられた期間中は常時開状態の第1通路のみを介して所定の作動圧よりも油圧が低下されたオイル(潤滑油)を、オイルジェットを含む油路の下流に常時供給し続けることができる。そして、第2通路が開かれた場合にのみ、第1通路と第2通路とを介してオイルジェットに確実にオイルを供給することができる。すなわち、内燃機関の運転中、常にオイルが必要な箇所(クランクシャフトなど)にオイルを供給する機能と、内燃機関が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合に第2通路を開いてピストン裏側にオイルを供給する機能とを、第1通路と第2通路とからなる1つの(共通の)油路と開閉制御部とを含む油圧制御装置を用いて適宜使い分けることができる。したがって、本発明では、たとえば、クランクシャフトおよびピストンにオイルを供給する既存の油路に本発明の油圧制御装置を追加するだけで、クランクシャフトなどにオイルを常時供給しながら、必要に応じてオイルジェットを作動させることができるので、シリンダブロック内の主油路からオイルジェットへオイルを供給する専用の副油路を別途形成し副油路に開閉制御弁などを設けて内燃機関の状態に応じたオイルの供給先を切り替える必要がない。この結果、専用の副油路を設ける必要がない分、簡素な油路構成によりオイル(潤滑油)によるピストン裏側の冷却を適切に行うことができる。
なお、本出願では、上記第1の局面による内燃機関において、以下のような構成も考えられる。
(付記項)
すなわち、上記第1の局面による内燃機関において、開閉制御部は、第2通路に接続され、第2通路の開閉制御を行う第1電磁弁を含み、第1電磁弁が非通電状態になった場合に、第2通路が開状態に制御されるように構成されている。このように構成すれば、第1電磁弁が故障して常に非通電状態となった場合に、油圧制御装置においては第2通路が開かれているので、内燃機関が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合にも第2通路を介して確実にピストン裏側にオイルを供給することができる。また、内燃機関が長時間運転されピストンの冷却が必要となる期間中にわたって、第1電磁弁への電力供給を停止することができるので、油圧制御装置(第1電磁弁)の制御に使用される消費電力を低減させることができる。
本発明によれば、上記のように、簡素な油路構成によりオイル(潤滑油)によるピストン裏側の冷却を適切に行うことが可能な内燃機関および内燃機関用油圧制御装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態によるエンジンおよびエンジンに設けられた潤滑系の全体構成を模式的に示した図である。 本発明の第1実施形態によるエンジンに搭載される油圧制御装置の構成を示した斜視図である。 本発明の第1実施形態によるエンジンに搭載される油圧制御装置の内部構造を模式的に示した図である。 本発明の第1実施形態によるエンジンに搭載される油圧制御装置の内部構造を模式的に示した図である。 本発明の第1実施形態によるエンジンにおける油圧特性を示した図である。 本発明の第1実施形態のエンジンにおける油圧制御に関する制御部(ECU)の制御フローを示した図である。 本発明の第2実施形態によるエンジンおよびエンジンに設けられた潤滑系の全体構成を模式的に示した図である。 本発明の第2実施形態のエンジンにおける油圧制御に関する制御部(ECU)の制御フローを示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の第1実施形態によるエンジン100の構成について説明する。
本発明の第1実施形態による車両(自動車)用のエンジン100は、図1に示すように、シリンダヘッド1、シリンダブロック2およびクランクケース3を含むアルミニウム合金製のエンジン本体10を備えている。また、ガソリン機関からなるエンジン100は、シリンダヘッド1の上側(Z1側)に組み付けられるヘッドカバー20を備えている。なお、エンジン100は、本発明の「内燃機関」の一例である。
シリンダヘッド1の内部には、カムシャフト1aおよびバルブ機構1bなどが配置されている。シリンダヘッド1の下方(Z2側)に接続されるシリンダブロック2の内部には、ピストン11がZ方向に往復動するシリンダ2aと、隔壁を隔ててシリンダ2aを取り囲むとともにシリンダ2aを冷却するための冷却水(冷却液(不凍液))が流通されるウォータジャケット2bとが形成されている。また、シリンダヘッド1の一方側(Y2側)には、シリンダブロック2に形成された複数(4気筒)のシリンダ2aのそれぞれに吸気を導入する吸気装置21(ここでは破線で示す)が接続されている。なお、カムシャフト1aおよびバルブ機構1bは、本発明の「動弁系」の一例である。
シリンダブロック2とシリンダブロック2の下方(Z2側)に接続されるクランクケース3とによって、エンジン本体10の内底部にクランク室3aが形成されている。クランク室3aには、X軸(紙面垂直方向)まわりに回転可能なクランクシャフト30が配置されている。また、クランクシャフト30は、各シリンダ2aの直下において回転軸が偏心されたクランクピン31(4箇所)と各々のクランクピン31を軸方向に挟み込むバランスウェイト32とが、クランクシャフト30自身を支えるクランクジャーナル33に接続されて一体化されている。また、クランクピン31にコンロッド12の大端部12aが回動可能に接続され、コンロッド12の小端部12bがピストン11の裏側のピストンボス11aに回動可能に接続されている。また、クランク室3aの下方部分(Z2側)には、オイル4(潤滑油(エンジンオイル))を溜めるオイル溜め部3bが設けられている。
シリンダブロック2の上端(Z1側)にシリンダヘッド1が接続されている。シリンダヘッド1には、燃焼室101に吸気を行う吸気バルブ102と、燃焼ガスを排出する排気バルブ103と、混合気に点火を行う点火プラグ104と、燃焼室101に燃料を供給するインジェクタ(図示せず)とを備えている。したがって、エンジン100では、ピストン11の吸気作動時に吸気バルブ102を開放して燃焼室101に吸気を行うとともに、燃焼室101にインジェクタから燃料を供給する。この後、圧縮作動に続いて点火プラグ104により燃焼室101の混合気に点火して燃焼を行わせ、この燃焼による膨張力をピストン11からクランクシャフト30に伝える。このようにして、エンジン100は、クランクシャフト30から駆動力を取り出す機能を有している。
また、図1に示すように、エンジン100は、ポンプ容積が定容量型のオイルポンプ40と、オイルポンプ40によりオイル4を内部循環させるための油路50とを備えている。油路50は、オイル溜め部3bとオイルポンプ40とを接続する油路51と、オイルポンプ40とオイルフィルタ41とを接続する油路52と、オイルフィルタ41とカムシャフト1aおよびバルブ機構1b(動弁系タイミング部材)とを接続する油路53と、オイルフィルタ41とクランクシャフト30とを接続する油路54とを含んでいる。
ここで、油路53から分岐した直後の油路54aと、油路54aの下流に接続される後述する油圧制御装置70内の油路54bと、油圧制御装置70よりも下流の油路54cとによって、上流側から下流側に延びるひと続きの油路54が構成されている。また、油路50のうち、油路53および油路54(油路54a〜油路54c)は、シリンダブロック2内に形成されたオイルギャラリ50aに含まれる部分である。なお、油路51、油路52および油路53は、本発明の「第1循環油路」の一例である。また、油路51、油路52および油路54(油路54a〜油路54c)は、本発明の「第2循環油路」の一例である。
これにより、オイル4の一部は、油路51、油路52および油路53を順次流通してカムシャフト1aおよびバルブ機構1bなどの動弁系タイミング部材やピストン11の外側面(シリンダ2aの内側面)などの摺動部に供給される。その後、オイル4はシリンダブロック2内において自重により落下してオイル溜め部3bに戻される。また、オイル4の一部は、油路51、油路52および油路54(油路54a〜油路54c)を順次流通してクランクシャフト30の摺動部にも供給される。具体的には、オイル4は、コンロッド12の大端部12aの内側面と接触するクランクピン31の外側面31aや、シリンダブロック2内に回転可能に支持されるクランクジャーナル33の外側面33aに供給される。その後、オイル4は、クランクシャフト30の摺動部から自重により落下してオイル溜め部3bに戻される。
なお、図1では、説明の都合上、エンジン本体10の概略的な断面図に対して、オイル4を循環させる油路50(油路51〜油路54)および後述する油圧制御装置70を、油圧回路図のように模式的に示している。実際には、油路50は、その多くの部分がシリンダブロック2内に形成されたオイルギャラリ50aにより構成されている。第1実施形態では、油路50の一部に組み込まれる油圧制御装置70の構成およびその動作内容を説明するために、オイルギャラリ50a全体の構造的な図示は省略している。そして、オイルポンプ40、オイルフィルタ41および油圧制御装置70を含む油路51〜54を、図中におけるエンジン本体10の左側領域に平面的に図示してエンジン100全体の構成を示している。なお、油圧制御装置70は、本発明の「内燃機関用油圧制御装置」の一例である。
なお、油路54は、油路54cの下流側(オイルギャラリ50a内)においてクランクシャフト30内に形成された複数の油路55と、オイルジェット60に接続される油路56とに分かれている。油路54(油路54c)から枝分かれした各々の油路55は、クランクピン31の外側面31aやクランクジャーナル33の外側面33aに開口している。
また、油路56の下流側の端部(開口部)には、オイルジェット60が取り付けられている。オイルジェット60は、作動圧Pj(図5参照)で作動する(開弁する)ことによりピストン11の裏側に冷却用のオイル4を供給(噴射)する機能を有している。すなわち、オイルジェット60は、油圧が作動圧Pj以上となった際に流路(油路56)を開状態(流通可能状態)に切り替える弁部61と、弁部61の出口側からシリンダ2aに向けて斜め上方向に延びるノズル部62とを備えている。弁部61は、通常はスプリング61aの付勢力(伸長力)により弁体61bが油路56を閉じている。そして、油圧の上昇とともにスプリング61aの伸長力に抗して弁体61bが押し下げられた場合に油路56は開かれる。これにより、ノズル部62の先端(Z1側)から作動圧Pj以上となったオイル4が上向きに連続的に吹き出される。また、オイルジェット60は、4つのシリンダ2a毎に設けられている。なお、作動圧Pjは、本発明の「所定の作動圧」の一例である。
ここで、第1実施形態では、油路55および油路56が共に接続される油路54の経路中に油圧制御装置70が組み込まれている。油圧制御装置70は、図3に示すように、シリンダブロック2のオイルギャラリ50a(油路54)の途中の部分が開口する側面部2cに取り付けられるように構成されている。すなわち、図1に示すように、油圧制御装置70は、オイルジェット60を含む油路54cの上流側に設けられている。以下に、油圧制御装置70の構造を詳細に説明する。
油圧制御装置70は、図2に示すように、アルミニウム合金製の本体部70aと、本体部70aの頂部(Z1側)に取り付けられた電磁弁80とを備えている。また、図2および図3に示すように、本体部70aの内部には、油路71と油路72とが形成されている。具体的には、本体部70aのシリンダブロック2(図1参照)への取付面70bには、入口側(上流側)となる開口71aおよび出口側(下流側)となる開口71bが形成されている。なお、図1および図3に示すように、油路54a(上流側)が開口71aに接続されるとともに、油路54c(下流側)が開口71bに接続される。そして、油路71は、開口71aと開口71bとを取付面70bに沿って直線的に繋ぐ溝状(樋状)の部分と、取付面70bがオイルシール用のガスケット5を介して取り付けられた際のシリンダブロック2の対向する側面部2cとによって管状に形成される。なお、油路71は、油路径D1を有する常時開状態の固定絞りとして構成されている。また、油路71は、オイルジェット60の弁部61(図1参照)の作動圧Pj(スプリング61aの付勢力)よりも低い油圧に抑制されたオイル4をオイルジェット60が接続される油路56の部分に供給する場合に使用される。この場合、油圧が作動圧Pjに達せず弁部61は開かないのでオイル4はオイルジェット60から噴射されない。その一方で、オイル4は、油路55のみを流通してクランクシャフト30にのみ供給される。なお、油路71および油路72は、それぞれ、本発明の「第1通路」および「第2通路」の一例である。また、油路72は、本発明の「バイパス通路」の一例である。また、電磁弁80は、本発明の「開閉制御部」および「第1電磁弁」の一例である。また、油路径D1は、本発明の「第1油路径」の一例である。
また、図2および図3に示すように、油路72は、開口71aおよび開口71bを介して油路71の奥側(本体部70aの内部側)に形成されている。なお、油路72は、開状態では油路径D1よりも大きい油路径D2を有するように構成されている。また、油路72は、オイルジェット60の弁部61(図1参照)の作動圧Pj(スプリング61aの付勢力)よりも高い油圧となったオイル4をオイルジェット60におけるノズル部62にまで供給する際に使用される。すなわち、油路72は、油路径D1よりも大きい油路径D2を有する開閉可能なバイパス通路の役割を有している。したがって、油圧制御装置70には、油路71と油路72とからなる1つの(共通の)油路54bが設けられている。また、開口71aと開口71bとの間をC字状に結ぶ油路72の途中には、油路72の内側面が筒状に窪んで上方(矢印Z1方向)に延びる弁体収容部73が形成されている。なお、油路径D2は、本発明の「第2油路径」の一例である。
弁体収容部73には、上下方向にスライド移動可能な弁体74と、弁体74を油路72の閉位置側(Z2側)に常時付勢するコイル状のスプリング75とが配置されている。したがって、後述する電磁弁80の動作に応じて弁体74がスプリング75の付勢力(伸長力)に抗して押し上げられた場合、油路72が開かれてオイル4が油路72を流通することが可能に構成されている。このように、常時開状態の油路71と、電磁弁80のオン/オフ動作に応じて開閉可能な油路72とは、本体部70a内で互いに並行するように配置されている。
直接作動方式の電磁弁80は、ソレノイド部81と主弁部82とを有している。また、本体部70aと主弁部82とは、油路76および油路77によってそれぞれ接続されている。ここで、油路76は、油路72と主弁部82の流入側ポート(一次側)とを連通するとともに、油路77は、主弁部82の流出側ポート(二次側)と弁体収容部73の裏側部分73a(弁体収容部73における弁体74のスプリング75が嵌め込まれている側)とを連通している。また、構造的には、図2に示すように、電磁弁80は、ソレノイド部81の中心にプランジャ(鉄片)83が配置されており、このプランジャ83はスプリング84の付勢力(伸長力)によって主弁部82内の弁体85を押圧している。これにより、非励磁状態では、弁体85は、油路76と油路77との連通状態を遮断している。そして、ソレノイド部81が励磁されるとスプリング84の伸長力に抗してプランジャ83が引き上げられて(スプリング84自体は押し縮められて)、弁体85が油路76と油路77との遮断状態を解消する状態になる。すなわち、主弁部82は、ソレノイド部81が非励磁(非通電)の場合には油路76と油路77との接続を遮断する(ノーマルクローズ型である)一方、ソレノイド部81が励磁(通電)された場合には油路76と油路77とを連通させる機能を有している。また、ソレノイド部81が非励磁(非通電)の場合には、油路77が主弁部82を介して大気圧(クランク室3a(図1参照)の圧力)側に解放されている。なお、図1では、電磁弁80が非励磁の状態(ノーマルクローズの状態)を示している。
また、図1に示すように、電磁弁80は、ソレノイド部81に電気的に接続されるコネクタ部86を有している。コネクタ部86には制御回路部90から延びる配線(信号線:図1に2点鎖線で示す)が接続されている。そして、電磁弁80は、制御回路部90に設けられた制御部(ECU)91の指令に基づいてソレノイド部81に電力が供給されるように構成されている。これにより、第1実施形態では、エンジン100が運転されてオイルポンプ40が駆動された状態で、ソレノイド部81の励磁と非励磁との切替制御によって、油路54(厳密には油路54bの部分)を流通するオイル4に2通りの流れ方を生じさせることが可能に構成されている。なお、図1では、電磁弁80がオフ(非励磁)状態にされた場合を示している。
まず、図3に示すように、電磁弁80への電力供給が停止されてソレノイド部81が非励磁の状態では、スプリング84の伸長力によりプランジャ83(図2参照)が押し下げられて主弁部82内の弁体85(図2参照)が油路76と油路77との連通を遮断する位置に移動される。これにより、開口71aから流入したオイル4は、油路76から先へは供給されない。また、受圧面74aにも油圧が作用するオイル4によって、弁体74はスプリング75の押圧力に抗して上方(矢印Z1方向)に押し上げられる。これにより、油路72は、開かれる。なお、弁体74の上方への移動(スプリング75の圧縮)とともに裏側部分73aの空間容積は減少するが、それまでの制御において溜まり込んでいたオイル4は、油路77および主弁部82を介して排出されて最終的にオイル溜め部3bに戻される。これにより、開口71aから流入したオイル4は、常時開状態となった油路71の流通に加えて、油路72にも流通して開口71bからオイルギャラリ50a(油路54)へと戻される。すなわち、電磁弁80がオフ状態では、油路72(油路径D2)は開かれて、油路71と油路72とに共にオイル4が流通される。
また、図4に示すように、制御回路部90(図1参照)からの電力供給に基づきソレノイド部81が励磁された状態では、ソレノイド部81による主弁部82の動作により油路76と油路77とが接続される。すなわち、プランジャ83(図2参照)が引き上げられて弁体が油路76と油路77とを連通させる位置に移動される。これにより、オイルギャラリ50a(油路54a)に接続された開口71aから流入したオイル4は、油路76および油路77を介して弁体収容部73の裏側部分73aにも供給される。そして、裏側部分73aにオイル4が満たされて弁体74は下方(Z2方向)にスライド移動されて油路72を塞ぐ。なお、開口71aから流入したオイル4は、弁体74の受圧面74aにも作用するが、裏側部分73aのスプリング75の伸長力の分だけ弁体74を押し下げる力が大きいので弁体74は下方に移動されて油路72を塞ぐ。これにより、開口71aから流入したオイル4は、常時開状態の油路71(油路径D1)のみを流通して開口71bからオイルギャラリ50a(油路54)へと戻される。すなわち、電磁弁80がオン状態では、油路72は閉じられて、油路71のみにオイル4が流通される。
第1実施形態では、ソレノイド部81が励磁された図4の状態では、オイル4は油路径D1を有して固定絞りを生じさせる油路71のみを流通するので、その分、オイル4は油圧が低下された状態でオイルギャラリ50aの下流側(油路54c、油路55および油路56)へと供給される。したがって、オイルジェット60の弁部61(図1参照)の作動圧Pj(スプリング61aの付勢力)よりも低い圧力にまで油圧が低下された状態で、油路55を介してクランクシャフト30まわりの摺動部にのみオイル4が供給される。すなわち、電磁弁80のオン制御によって油路72が閉状態に制御される場合には、オイルジェット60の作動は停止される。
一方、ソレノイド部81が非励磁(オフ)となる図3の状態では、油圧により弁体74が押し上げられて油路72も開かれるので、オイル4がエンジン100(クランクシャフト30)の回転数に応じた油圧(油圧制御装置70の油路71のみを流通して減圧されない油圧)を維持したままオイルギャラリ50aの下流側(油路54c、油路55および油路56)へと供給される。この際、油圧がスプリング61aの付勢力以上(作動圧Pj以上)となった状態のオイル4は、油路56においてオイルジェット60の弁部61(図1参照)を押し下げる。すなわち、オイルジェット60においては弁部61が押し下げられてオイルジェット60内の油路が開かれる。したがって、オイル4は、相応の高い油圧(作動圧Pj以上)が維持された状態で、高回転数域で回転されるクランクシャフト30のみならずオイルジェット60にも供給される。オイルジェット60においては、ノズル部62の先端(Z1側)から作動圧Pj以上となったオイル4が上向きに吹き出される。すなわち、図1に示すように、電磁弁80のオフ制御によって油路72が開状態に制御される場合には、オイルジェット60は作動される。
このように、エンジン100では、電磁弁80のオン(通電)/オフ(非通電)制御により油圧制御装置70(主弁部82および弁体74)を作動させることにより、エンジン100の運転中に油路72を所定の条件下で開閉させることが可能に構成されている。また、油路72を開状態と閉状態とに互いに切り替えることよって、油圧制御装置70を含めたひと続きの油路54(厳密には油路54bの部分)の抵抗を変化させてオイルジェット60の作動に関する制御(オイルジェット60のオン/オフ制御)を実現することが可能に構成されている。
また、第1実施形態では、電磁弁80(図1参照)のオン/オフ制御は、以下の条件下で行われるように構成されている。
具体的には、ソレノイド部81が励磁された状態(油路72は閉状態)の電磁弁80(図4参照)は、エンジン100の運転中にクランクシャフト30(エンジン100)の回転数が規定値Rj(回転/分)以上になったことか、または、ピストン11(図1参照)の温度(推定温度)が規定値Tj(℃)よりも大きくなったことの少なくとも一方の条件を満たした場合に、制御部91の指令に基づいてソレノイド部81が非励磁(非通電)にされて油路72が開状態(図3参照)に制御されるように構成されている。なお、規定値Tjおよび規定値Rjは、それぞれ、本発明の「所定温度」および「所定回転数」の一例である。
すなわち、エンジン100の回転数が規定値Rj未満であったり、回転数に基づいて推算されるピストン11の温度(推定温度)が規定値Tj未満であったりした場合には、電磁弁80の励磁状態が維持されて油路72は閉状態(図4参照)が維持される。したがって、この場合には、油路71のみによって絞られたオイル4が油路55のみを介してクランクシャフト30まわりの摺動部にのみ供給される(オイルジェット60の作動は停止される)。また、エンジン100の回転数が規定値Rj以上になったりピストン11の温度(推定温度)が規定値Tj以上になったりした場合には、電磁弁80がオフにされて油路72は開状態(図3参照)に切り替えられる。したがって、この場合には、バイパス通路となる油路72を経て主に流通されるオイル4が、油路55のみならず油路56を介してオイルジェット60のノズル部62にも供給される。これにより、ノズル部62からオイル4が吹き出されてピストン11が冷却される。
なお、エンジン100では、電磁弁80がオフ(非励磁)状態になった場合に、油路72が開状態に制御されるように構成されている。これにより、電磁弁80が故障して常にオフ(非励磁)状態となった場合に、油圧制御装置70においては油路72が開かれているので、エンジン100が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合にも油路72を介して確実にピストン11の裏側にオイル4が供給される。また、エンジン100が長時間運転されピストン11の冷却が必要となる期間中にわたって、電磁弁80への電力供給が停止されるので、その分、油圧制御装置70(電磁弁80)の制御に使用される消費電力が低減される。
エンジン100における油圧制御特性の一例として、エンジン100の回転数(横軸)に対する油路54の油圧(縦軸)の特性を図5に示す。
図5に示すように、エンジン100(図1参照)が低回転数域で運転されている場合においては、回転数の増加とともにオイルポンプ40(図1参照)の回転数も増加されるためオイル4の吐出圧力も増加する。この際、油圧制御装置70においては電磁弁80が励磁(ソレノイド部81に通電)されている状態になる。すなわち、油圧制御装置70は図4に示される状態であり、油路72は弁体74により閉じられている。これにより、オイル4は、油路71のみを流通して油路71により減圧された状態でクランクシャフト30側にのみ供給される。したがって、電磁弁80が励磁されている状態では、エンジン回転数に対する油圧特性は、特性G1として示される。
その後、エンジン100(図1参照)に負荷が掛かりエンジン100が所定の回転数(規定値Rj)に達したとする。この際、油圧制御装置70においては電磁弁80が非励磁(ソレノイド部81に非通電)の状態に切り替わる。すなわち、油圧制御装置70は図3に示される状態に移行され、油路72は弁体74が上方に後退して開かれる。これにより、オイル4は、油路71のみならずその多くが油路72を流れてクランクシャフト30およびオイルジェット60に供給される。また、油圧制御装置70ではオイル4が絞られなくなるので、オイルポンプ40の回転数の増加と相まって、オイル4の油圧が顕著に増加される。したがって、エンジン回転数が規定値Rj以上となり電磁弁80が非励磁となった状態では、エンジン回転数に対する油圧特性は、特性G2として示される。なお、電磁弁80が非励磁となった直後の油圧は、オイルジェット60が作動可能な油圧(作動圧Pj)よりも大きい。したがって、オイル4は、オイルジェット60から勢いよく噴射される。
なお、電磁弁80の励磁状態から非励磁状態への切替制御には、エンジン回転数が規定値Rjに達した場合に加えて、上述したように、エンジン回転数から推算されるピストン11(図1参照)の温度が規定値Tj(℃)よりも大きくなった場合にも実行される。反対に、エンジン回転数が規定値Rj未満であったり、エンジン回転数から推算されるピストン11の温度が規定値Tj(℃)以下であったりした場合には、電磁弁80は励磁されたままであり、オイルジェット60は作動されない。これは、エンジン100の始動直後などエンジン回転数が低回転数域に留まる場合や、エンジン100の始動直後(冷間始動時)など低油温時のオイル粘度に起因して油圧が一時的に上昇した場合において、油路72を閉じてピストン11の裏側へのオイル供給を停止するためである。特に、低油温時にオイル4がピストン11の裏側に供給(噴射)されなくなるので、シリンダ2aの内壁とピストンリング11bとの隙間からオイル4が燃焼室101側に漏れ出て燃焼するのが抑制される。第1実施形態におけるエンジン100は、上記のように構成されている。
次に、図1〜図6を参照して、第1実施形態によるエンジン100において、油圧制御に関する制御部(ECU)91の処理フローについて説明する。
図6に示すように、まず、ステップS1では、制御部91(図1参照)により、エンジン100(図1参照)の運転状態が把握される。すなわち、クランクシャフト30(図1参照)の回転数(以下、エンジン回転数という)が検出される。そして、ステップS2では、エンジン回転数が規定値Rj(回転/分)以上であるか否かが制御部91により判断される。
ここで、ステップS2においてエンジン回転数が規定値Rj未満であると判断された場合、ステップS3に進む一方、エンジン回転数が規定値Rj以上であると判断された場合、後述するステップS6に進む。
まず、エンジン回転数が規定値Rj未満であると判断された場合、ステップS3では、エンジン回転数に基づいてピストン11(図1参照)の温度が推定(推算)される。そして、ステップS4において、ピストン11の温度(推定温度)が規定値Tjよりも大きいか否かが制御部91によって判断される。ここで、ステップS4においてピストン11の温度(推定温度)が規定値Tj以下であると判断された場合、ステップS5に進む一方、ピストン11の温度(推算値)が規定値Tjよりも大きいと判断された場合、後述するステップS6に進む。
ステップS4においてピストン11の温度(推算値)が規定値Tj以下であると判断された場合、ステップS5では、制御部91の指令に基づき油圧制御装置70の電磁弁80が通電(オン)の状態にされて本制御フローが終了される。この場合、図4に示すように、制御回路部90(図1参照)からの電力供給に基づきソレノイド部81が励磁された状態では、ソレノイド部81による主弁部82の動作により油路76と油路77とが連通される。すなわち、スプリング84(図2参照)に抗してプランジャ83(図2参照)が引き上げられて弁体85(図2参照)が油路76と油路77とを連通させる位置に移動される。これにより、オイルギャラリ50a(油路54)に接続された開口71aから流入したオイル4は、油路76および油路77を介して弁体収容部73の裏側部分73aにも供給される。そして、裏側部分73aにオイル4が満たされて弁体74は下方(Z2方向)にスライド移動して油路72を塞ぐ。なお、開口71aから流入したオイル4は、弁体74の受圧面74aにも作用するが、裏側部分73aのスプリング75の伸長力の分だけ弁体74を押し下げる力が大きいので弁体74は下方に移動されて油路72を塞ぐ。これにより、開口71aから流入したオイル4は、常時開状態の油路71(油路径D1)のみを流通してオイルギャラリ50a(油路54)へと戻される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図6に示した本制御フローが実行される。また、ステップS1〜S5が繰り返されている状態では、回転数の増加とともに変化する油圧特性は、図5における特性G1として示される。
また、図6に示すように、ステップS2においてエンジン回転数が規定値Rj以上であると判断された場合、および、ステップS4においてピストン11の温度(推算値)が規定値Tjよりも大きいと判断された場合には、ステップS6において、電磁弁80が非通電(オフ)の状態にされて本制御フローが終了される。すなわち、図3に示すように、電力供給が停止されてソレノイド部81が非励磁となった状態では、スプリング84(図2参照)の伸長力によりプランジャ83(図2参照)が押し下げられて主弁部82内の弁体85(図2参照)が油路76と油路77との連通を遮断する位置に移動される。これにより、開口71aから流入したオイル4は、油路76から先へは供給されない。また、受圧面74aにも油圧が作用するオイル4によって、弁体74はスプリング75の押圧力に抗して上方(矢印Z1方向)に押し上げられる。これにより、油路72は、開かれる。なお、弁体74の上方への移動(スプリング75の圧縮)とともに裏側部分73aの空間容積は減少するが、それまで溜まり込んでいたオイル4は、油路77および主弁部82を介して排出されてオイル溜め部3b(図1参照)に戻される。これにより、開口71aから流入したオイル4は、常時開状態となった油路71の流通に加えて、油路72にも流通してオイルギャラリ50a(油路54)へと戻される。
なお、ステップS2でエンジン回転数が規定値Rj以上であると判断された場合には直ちにステップS6において電磁弁80が非通電(オフ)の状態にされる。これは、エンジン回転数が規定値Rj以上となった状態では、エンジン100に相応の負荷が掛かっている状態であり、したがって、ピストン11の温度を推算しなくても規定値Tjを超えている。したがって、ステップS2でエンジン回転数が規定値Rj以上であると判断された場合には一義的に電磁弁80が非通電(非励磁)にされて油路72が開かれる。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図6に示した本制御フローが実行される。また、ステップS1およびS6のフローおよびステップS1〜S4およびS6のフローが繰り返されている状態では、回転数の増加とともに変化する油圧特性は、図5における特性G2として示される。このようにして、エンジン100の運転中における、制御部91による油圧制御装置70の制御が行われる。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、第1実施形態では、上記のように、作動圧Pjよりも低い圧力のオイル4をオイルジェット60に供給する常時開状態の油路71と、油路71と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、油路71と合わせて、作動圧Pjよりも高い圧力のオイル4をオイルジェット60に供給する油路72と、オイルジェット60を作動させる際には、油路72を開状態に制御するとともに、オイルジェット60の作動を停止する際には、油路72を閉状態に制御する電磁弁80とを含む油圧制御装置70を、オイルジェット60を含む油路54の上流に設けることによって、油路72が閉じられた期間中は常時開状態の油路71のみを介して作動圧Pjよりも油圧が低下されたオイル4(潤滑油)を、オイルジェット60を含む油路54の下流側(油路55および油路56)に常時供給し続けることができる。そして、油路72が開かれた場合にのみ、油路71と油路72とを介してオイルジェット60に確実にオイル4を供給することができる。すなわち、エンジン100の運転中、常にオイル4が必要なクランクシャフト30などにのみオイル4を供給する機能と、エンジン100が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合に油路72を開いてピストン11の裏側にオイル4を供給する機能とを、油路71と油路72とからなる1つの(共通の)油路54bと電磁弁80とを含む油圧制御装置70を用いて適宜使い分けることができる。したがって、たとえば、クランクシャフト30およびピストン11にオイル4を供給する既存のオイルギャラリ50aに油圧制御装置70を追加するだけで、クランクシャフト30にオイル4を常時供給しながら、必要に応じてオイルジェット60を作動させることができるので、シリンダブロック2内の主油路(メインオイルギャラリ)からオイルジェット60へオイル4を供給する専用の副油路(サブオイルギャラリ)を別途形成して副油路(サブオイルギャラリ)に開閉制御用の電磁弁などを設けてエンジンの状態に応じたオイル4の供給先を切り替える必要がない。この結果、専用の副油路(サブオイルギャラリ)を設ける必要がない分、共通化された油路54bによる簡素な油路構成により、オイル4(潤滑油)によるピストン11の裏側の冷却を適切に行うことができる。
また、第1実施形態では、オイルジェット60の作動を停止する際には、電磁弁80により油路72を閉状態に制御することによって、エンジン100の始動直後(冷間始動時)など低油温時のオイル粘度に起因して油圧が一時的に上昇した場合であっても、油路72を閉じてピストン11の裏側へのオイル供給を停止することができる。したがって、低油温時にオイル4がピストン11の裏側に供給(噴射)されてシリンダ2aの内壁とピストンリング11bとの隙間からオイル4が燃焼室101側に漏れ出て燃焼するのを抑制することができる。これにより、ピストン11の裏側の冷却のみならず、共通化された油路54による簡素な油路構成によりピストン11の裏側へのオイル供給を停止して、オイル4の燃焼に起因した排気ガスの悪化を適切に抑制することができる。
また、第1実施形態では、油路径D1を有する常時開状態の固定絞りとして油路71を構成し、油路径D1よりも大きい油路径D2を有する開閉可能なバイパス通路として油路72を構成する。これにより、油路71と油路72とからなる1つの(共通の)油路54b中の油路径D1を有する固定絞りによって、所定の抵抗(流路抵抗)が付与された油路71を介して作動圧Pjよりも油圧が低下されたオイル4(潤滑油)をオイルジェット60を含む油路54cの下流側(油路55および油路56)に常時供給することができる。また、油路72の油路径D1よりも大きい油路径D2を有するバイパス通路を開くことによって、油路54bを油路71の固定絞りよりも小さい抵抗(流路抵抗)に切り替えた状態で、油路54cの下流側(油路55および油路56)に接続されたオイルジェット60にもオイル4を容易に供給することができる。
また、第1実施形態では、油路72の開閉制御のために油路72に接続された電磁弁80を用いる。これにより、電磁石(ソレノイド部81)の電磁力を用いた応答速度の速い駆動弁の開閉動作を有効に利用して、電磁弁80の制御対象(駆動対象)となる油路72の開閉動作を容易に行うことができる。また、電磁弁80として全開状態か全閉状態かのいずれかの状態のみを保持可能な電磁弁80を用いることによって、油圧制御装置70における油路72の開閉動作(オイルジェット60の作動と作動停止との切替制御)を確実に行うことができる。
また、第1実施形態では、オイルジェット60にオイル4を供給するオイルポンプ40をさらに備え、オイルポンプ40とオイルジェット60との間に油圧制御装置70を配置する。これにより、オイルポンプ40により発生する油圧を油圧制御装置70(油路54)に付与しながら常時開状態の油路71のみを介してオイル4を下流側の必要箇所(クランクシャフト30)に供給しつつ、油路72を開いた場合には油路71と油路72とを介してオイル4をオイルジェット60にも容易に供給することができる。すなわち、オイルポンプ40により発生する油圧を適切に利用しかつ制御しながら、油圧の大きさに応じてオイル4の供給先を切り替える制御を容易に行うことができる。
また、第1実施形態では、シリンダブロック2内に、カムシャフト1aおよびバルブ機構1bにオイル4を供給する油路53と、クランクシャフト30およびピストン11にオイル4を供給するオイルジェット60を含む油路54とを設ける。そして、油路71と、油路71と並行して開閉可能に設けられた油路72とを有するように油路54を構成する。これにより、クランクシャフト30およびピストン11の裏側にオイル4を供給する油路54中に、油路71と油路72とからなる1つの(共通の)油路54bを含む油圧制御装置70を設けることができる。これにより、油路53を介してのカムシャフト1aおよびバルブ機構1b(動弁系)へのオイル供給動作とは関係なく、油圧制御装置70によるオイルジェット60の作動と作動停止との切替制御を行うことができる。
また、第1実施形態では、ピストン11の温度が規定値Tjよりも大きくなったことかまたはクランクシャフト30の回転数が規定値Rj以上になったことの少なくとも一方に基づいて、油路72を開状態に制御するように電磁弁80の制御シーケンスを構成する。これにより、ピストン11の温度が規定値Tjに到達しない場合(エンジン100の始動直後など低油温時のオイル粘度に起因して油圧が一時的に上昇する状態)では油路72は閉じられているので、低油温時にピストン11の裏側へオイル4が供給(噴射)されるのを容易に防止することができる。その一方で、低油温状態が解消されかつエンジン100が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合には、クランクシャフト30への恒常的なオイル供給のみならず、オイルジェット60を介してピストン11の裏側へもオイル4を確実に供給(噴射)することができる。これにより、ピストン11の焼き付きを容易に防止することができる。
また、第1実施形態では、電磁弁80が非通電(非励磁)状態になった場合に、油路72が開状態に制御されるように構成する。これにより、電磁弁80が故障して常に非通電(非励磁)状態となった場合に、油圧制御装置70においては油路72が開かれているので、エンジン100が高負荷(高回転数域)に移行して油圧が上昇した場合にも油路72を介して確実にピストン11の裏側にオイル4を供給することができる。また、エンジン100が長時間運転されピストン11の冷却が必要となる期間中にわたって、電磁弁80への電力供給を停止することができるので、油圧制御装置70(電磁弁80)の制御に使用される消費電力を低減させることができる。
(第2実施形態)
次に、図7および図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、可変容量型のオイルポンプ45を用いてエンジン200を構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。なお、オイルポンプ45は、本発明の「可変容量型オイルポンプ」の一例である。また、エンジン200は、本発明の「内燃機関」の一例である。
本発明の第2実施形態によるエンジン200は、図7に示すように、油路50に、可変容量型のオイルポンプ45が組み込まれている。オイルポンプ45は、ポンプ室容積を機械的に増減させる機構部(図示せず)を備えている。また、オイルポンプ45には、油路46aおよび46bを介して容量制御弁47が接続されている。ここで、容量制御弁47には電磁弁の一種が用いられている。すなわち、容量制御弁47に内蔵されたソレノイド部の通電と非通電とが制御部(ECU)291の指令に基づき所定のパルス間隔で繰り返し切り替えられることにより、オイルポンプ45の油圧(吐出圧)の一部が油路46aおよび油路46bを介してオイルポンプ45内に所定のタイミングで引き込まれる。そして、この油圧を利用してポンプ室容積を機械的に増減させる機構部の駆動制御が行われる。これにより、同一回転数におけるオイルポンプ45の吐出量が増減可能に構成されている。なお、容量制御弁47は、本発明の「第2電磁弁」の一例である。
これにより、第2実施形態では、可変容量型のオイルポンプ45を用いるとともに、電磁弁80により油路72が開状態に切り替えられた際に、容量制御弁47も制御されてオイルポンプ45の吐出量が増加されるように構成されている。したがって、オイルポンプ45の吐出量を増加させることにより、作動圧Pjを上回る十分な油圧を有した状態でオイル4が油路72を介してオイルジェット60にも供給されるように構成されている。なお、図7では、容量制御弁47が制御されてオイルポンプ45の吐出量が増加され、かつ、電磁弁80がオフ(非励磁)状態にされた場合を示している。
次に、図7および図8を参照して、第2実施形態によるエンジン200において、油圧制御に関する制御部(ECU)291の処理フローについて説明する。
図8に示すように、まず、ステップS21では、制御部291(図7参照)により、エンジン200(図7参照)の運転状態が把握される。ステップS22では、エンジン回転数が規定値Rj(回転/分)以上であるか否かが制御部291により判断される。ステップS22においてエンジン回転数が規定値Rj未満であると判断された場合、ステップS23に進む一方、エンジン回転数が規定値Rj以上であると判断された場合、ステップS26に進む。
エンジン回転数が規定値Rj未満の場合、ステップS23では、エンジン回転数に基づいてピストン11(図1参照)の温度が推定される。ステップS24において、ピストン11の温度(推定温度)が規定値Tjよりも大きいか否かが制御部291によって判断される。ステップS24においてピストン11の温度(推算値)が規定値Tj以下であると判断された場合、ステップS25に進む一方、ピストン11の温度(推算値)が規定値Tjよりも大きいと判断された場合、ステップS26に進む。
ピストン11の温度が規定値Tj以下の場合、ステップS25では、電磁弁80が励磁(オン)の状態にされて本制御フローが終了される。すなわち、電磁弁80が通電(オン)の状態では、油路72は閉じられ、油路71にのみオイル4が流通する。
また、図8に示すように、ステップS22においてエンジン回転数が規定値Rj以上である場合、および、ステップS24においてピストン11の温度(推算値)が規定値Tjよりも大きい場合、ステップS26において、オイルポンプ45の容量制御が行われる。具体的には、容量制御弁47のオン/オフ制御が所定のパルス間隔で繰り返される。この場合、第2実施形態では、ポンプ室容積を機械的に増減させる機構部(図示せず)が駆動されるとともに、吐出量が増加される方向にオイルポンプ45の容量が制御される。
そして、ステップS27において、電磁弁80が非通電(オフ)の状態にされて本制御フローが終了される。すなわち、電磁弁80が非通電(非励磁)の状態では、油路72は開かれて油路71と油路72とにオイル4が流通する。この際、オイルポンプ45の吐出量が増加されているので、作動圧Pjを上回る十分な油圧を有した状態でオイル4が油路72を介してオイルジェット60に供給される。なお、本制御フロー終了後は、所定の制御周期が経過した後に、再び、図8に示した本制御フローが実行される。このようにして、エンジン200の運転中における、制御部291による油圧制御装置70の制御が行われる。
なお、第2実施形態によるエンジン200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
また、第2実施形態では、オイルポンプ45を用いるとともに、電磁弁80により油路72が開状態に制御される際に、オイルポンプ45の吐出量が増加されるように構成する。これにより、オイルポンプ45の吐出量を増加させることにより、十分な油圧を有した状態でオイル4を油路72を介してオイルジェット60に供給することができる。すなわち、作動圧Pjよりも高い圧力のオイル4をオイルジェット60に容易に供給することができるので、オイルジェット60からオイル4を確実に噴射させてピストン11を冷却することができる。
また、第2実施形態では、オイルポンプ45に接続され、油圧制御装置70の電磁弁80の開閉制御に応じて、オイルポンプ45の吐出量を制御する容量制御弁47をさらに備える。これにより、電磁石(ソレノイド部)の電磁力を用いた応答速度の速い駆動弁の開閉動作を有効に利用して、容量制御弁47の制御対象(駆動対象)となるオイルポンプ45の吐出量制御(吐出量を増減させる制御)を容易に行うことができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、エンジン回転数を検出することによりピストン11の温度を推定した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ウォータジャケット2bを流通する冷却水の温度を検出することによりピストン11の温度を推定してもよいし、吸気系(吸気装置21)に接続されるスロットルバルブの開度を検出することによりエンジン100(200)の負荷を検出(把握)してピストン11の温度を推定してもよい。また、ピストン11の温度を直接的に検出可能な箇所に温度センサを取り付けてピストン11の温度を把握してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、オイルポンプ40(45)が有する油圧を利用するとともに直接作動方式の電磁弁80を用いて主弁部82内の流路を切り替えて弁体74を正逆移動させることにより油路72を開閉するように油圧制御装置70を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、オイルポンプ40(45)が有する油圧を利用することなく、ソレノイド部81の通電(オン)/非通電(オフ)による弁体85の移動によって直接的に油路72を開閉させるように油圧制御装置70を構成してもよい。また、ソレノイド部81を有する電磁弁80を用いて本発明の「開閉制御部」を構成することのみならず、正逆回転が制御可能な電動モータの動力を用いて弁体を移動させて油路72を開閉させるように油圧制御装置70を構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、電磁弁からなる容量制御弁47を制御してポンプ室容積を機械的に増減させる機構部の駆動制御を行うことによってオイルポンプ45の吐出量を増減させるように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電磁弁を用いる代わりに、オイルポンプ45の油圧(吐出圧)の一部が作用するスプール部材にカム機構を設けておき、移動するスプール部材のカム機構によってポンプ室容積を増減させるようなオイルポンプを用いてもよい。この場合、油圧(吐出圧)の上昇に伴ってスプール部材が移動されてポンプ室容積が増加されるようにオイルポンプを構成するのが好ましい。
また、上記第1および第2実施形態では、電磁弁80が非通電(非励磁:オフ)の状態になった場合に、油路72が開状態に制御されるように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、電磁弁80が通電(励磁:オン)の状態になった場合に、油路72が開状態に制御されるように構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、油路72の油路径D2を油路71の油路径D1よりも大きく構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、油路72の油路径D2と油路71の油路径D1とが互いに同じかまたはその近傍の油路径を有していてもよい。この場合でも、油路72が開かれることによって油路71単独の場合よりも油路径が拡大される分、抵抗(流路抵抗)が減少されて、より高い油圧(作動圧Pj)以上の油圧を流通させることが可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、制御部91(291)の油圧制御装置70に関する制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部91(291)の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、自動車などの車両に搭載されるエンジン100(200)に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、車両以外の設備機器などに搭載された内燃機関(エンジン)に対して本発明を適用してもよい。また、内燃機関としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどが適用可能である。
1 シリンダヘッド
1a カムシャフト(動弁系)
1b バルブ機構(動弁系)
2 シリンダブロック
2a シリンダ
3 クランクケース
4 オイル
10 エンジン本体
11 ピストン
30 クランクシャフト
31 クランクピン
33 クランクジャーナル
40 オイルポンプ
45 オイルポンプ(可変容量型オイルポンプ)
47 容量制御弁(第2電磁弁)
53 油路(第1循環油路)
54、54a、54b、54c 油路(第2循環油路)
55 油路
56 油路
60 オイルジェット
61 弁部
62 ノズル部
70 油圧制御装置(内燃機関用油圧制御装置)
71 油路(第1通路)
72 油路(第2通路)
80 電磁弁(開閉制御部、第1電磁弁)
81 ソレノイド部
82 主弁部
91、291 制御部(ECU)
100、200 エンジン(内燃機関)

Claims (9)

  1. ピストンと、
    所定の作動圧で作動して前記ピストンにオイルを供給するオイルジェットと、
    前記オイルジェットを含む油路の上流に設けられた油圧制御装置と、を備え、
    前記油圧制御装置は、
    前記所定の作動圧よりも低い圧力のオイルを前記オイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、
    前記第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、前記第1通路と合わせて、前記所定の作動圧よりも高い圧力のオイルを前記オイルジェットに供給する第2通路と、
    前記オイルジェットを作動させる際には、前記第2通路を開状態に制御するとともに、前記オイルジェットの作動を停止する際には、前記第2通路を閉状態に制御する開閉制御部とを含む、内燃機関。
  2. 前記第1通路は、第1油路径を有する常時開状態の固定絞りを含み、
    前記第2通路は、前記第1油路径よりも大きい第2油路径を有する開閉可能なバイパス通路を含む、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記開閉制御部は、前記第2通路に接続され、前記第2通路の開閉制御を行う第1電磁弁を含む、請求項1または2に記載の内燃機関。
  4. 前記オイルジェットにオイルを供給するオイルポンプをさらに備え、
    前記油圧制御装置は、前記オイルポンプと前記オイルジェットとの間に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
  5. 前記オイルポンプは、可変容量型オイルポンプを含み、
    前記可変容量型オイルポンプは、前記開閉制御部により前記第2通路が開状態に制御される際に、吐出量が増加されるように構成されている、請求項4に記載の内燃機関。
  6. 前記可変容量型オイルポンプに接続され、前記油圧制御装置の前記開閉制御部の開閉制御に応じて、前記可変容量型オイルポンプの吐出量を制御する第2電磁弁をさらに備える、請求項5に記載の内燃機関。
  7. 前記油路は、動弁系にオイルを供給する第1循環油路と、クランクシャフトおよび前記ピストンにオイルを供給する前記オイルジェットを含む第2循環油路とを含み、
    前記第2循環油路は、前記第1通路と、前記第1通路と並行して開閉可能に設けられた前記第2通路とを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関。
  8. 前記開閉制御部は、前記ピストンの温度が所定温度よりも大きくなったことかまたはクランクシャフトの回転数が所定回転数以上になったことの少なくとも一方に基づいて、前記第2通路を開状態に制御するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の内燃機関。
  9. 所定の作動圧で作動することによって内燃機関のピストンにオイルを供給するオイルジェットを含む油路の上流に設けられ、前記所定の作動圧よりも低い圧力のオイルを前記オイルジェットに供給する常時開状態の第1通路と、
    前記第1通路と並行して開閉可能に設けられ、開状態において、前記第1通路と合わせて、前記所定の作動圧よりも高い圧力のオイルを前記オイルジェットに供給する第2通路と、
    前記オイルジェットを作動させる際には、前記第2通路を開状態に制御するとともに、前記オイルジェットの作動を停止する際には、前記第2通路を閉状態に制御する開閉制御部と、を備える、内燃機関用油圧制御装置。
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