JP2004346766A - 内燃機関のオイル供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関のシリンダ内部材の冷却及び潤滑を、必要に応じて効率的に行うことのできるオイル供給装置を提供する。
【解決手段】内燃機関100のオイル供給装置1は、蓄圧通路10、メインオイル通路20、サブオイル通路30、チェック弁40等を主要構成要素として含む。メインオイル通路20を通じたオイルの噴出方向αと、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出方向βとが交わる。エンジン回転数が所定範囲にある場合、メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を実質的に塞ぐ(サブオイル通路30からのオイルの噴出を妨げる)ことにより、エンジン回転数の上昇に伴いメインオイル通路20から噴出するオイルの量は増大する一方、サブオイル通路30から噴出するオイルの量は減少する。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関100のオイル供給装置1は、蓄圧通路10、メインオイル通路20、サブオイル通路30、チェック弁40等を主要構成要素として含む。メインオイル通路20を通じたオイルの噴出方向αと、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出方向βとが交わる。エンジン回転数が所定範囲にある場合、メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を実質的に塞ぐ(サブオイル通路30からのオイルの噴出を妨げる)ことにより、エンジン回転数の上昇に伴いメインオイル通路20から噴出するオイルの量は増大する一方、サブオイル通路30から噴出するオイルの量は減少する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダ内にオイルを供給するオイル供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関(以下、単にエンジンという)のシリンダ内にオイルを供給し、シリンダ内の摺動部位の潤滑と加熱部位の冷却とを行うオイル供給装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭56−79606号公報
【特許文献2】
実開昭62−152017号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダ内の摺動部位を潤滑するためには、オイルをシリンダの内壁に浴びせる必要があり、加熱部位を冷却するためにはピストンの裏面にコンロッド側からオイルを浴びせる必要がある。つまり、オイルを供給する部位が目的に応じて異なる。
【0004】
また、シリンダ内の摺動部位を潤滑するために必要なオイルの量、及びシリンダ内の加熱部位を冷却するために必要なオイルの量は、エンジンの運転条件(例えばエンジンの回転数等)によって異なる。
【0005】
しかし、複雑な構造を有する装置を用いずにシリンダ内の各部位へのオイルの供給量を制御することは困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、内燃機関のシリンダ内部材の冷却及び潤滑を、必要に応じて効率的に行うことのできるオイル供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、(1)本発明は、内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送しシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、前記蓄圧通路及び前記メインオイル通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルが前記サブオイル通路を通じたオイルの噴出量を抑制することを要旨する。
【0008】
なお、「オイルの噴出量を抑制する」とは、「オイルの噴出量を減少させる」意味と「オイルの噴出を止める」意味との何れをも含む。
同構成によれば、蓄圧通路内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路の開口端を塞ぎ、サブオイル通路から噴出するオイルの量を抑制することができる。
【0009】
(2)他の発明は、内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送しシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、前記蓄圧通路及び前記主供給通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流とが交わることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、メインオイル通路及びサブオイル通路の双方から噴出するオイルの噴流が相互に影響し(例えば各々の一部が混じり合い)、オイルミストを生成する。このオイルミストがシリンダ内の広範囲に拡がり、各種部位に潤滑作用及び冷却作用を及ぼす。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について説明する。
【0012】
〔オイル供給装置の構造〕
図1は、本実施の形態の内燃機関のオイル供給装置について、その主要構造を示す概略図である。
【0013】
オイル供給装置1は、内燃機関(以下、単にエンジンという)100のシリンダ101内の摺動部位(ピストン50及びシリンダ内壁101a間)を潤滑すべく、シリンダ内壁101aにオイルを浴びせる機能と、加熱部位(主にピストン50)を冷却すべくコンロッド51側からピストン50にオイルを浴びせる機能とを併せ有する。
【0014】
オイル供給装置1は、蓄圧通路10、メインオイル通路20、サブオイル通路30、調整弁(チェック弁)40等を主要構成要素として含む。
【0015】
蓄圧通路10は、エンジン100の回転に連動するオイルポンプ(図示略)から圧送されるオイルの通路であり、シリンダブロック102の内部に形成される。蓄圧通路10には、周知のリリーフ弁(図示略)が設けられている。リリーフ弁は、蓄圧通路10内の油圧が予め設定される上限値(リリーフ圧)を上回ると開弁し同通路10内のオイルを外部に逃がす。リリーフ弁の機能により、同通路10内の油圧がリリーフ圧を大幅に上回ることはない。
【0016】
メインオイル通路20は、クランクケース103内に収容される管状の部材であり、コンロッド51側からピストン50に臨むオイルの噴出口(開口端)21を有する。メインオイル通路20は、蓄圧通路10に連通して同通路10内のオイルを移送しシリンダ101内に噴出する機能を有する。チェック弁40は、蓄圧通路10及びメインオイル通路20間の連通部位Cに設けられ、蓄圧通路10内の油圧が所定値を上回った場合にのみ開弁する。サブオイル通路30は、シリンダブロック102の内部に形成される。サブオイル通路30は、蓄圧通路10に連通するとともに、シリンダ内壁101aにオイルの噴出口(開口端)31を有する。サブオイル通路30の開口端31近傍には、オリフィス32が形成されている。サブオイル通路30は、蓄圧通路10内のオイルを移送し、シリンダ内壁101a(開口端31に対峙する面)に向けて噴出する機能を有する。
【0017】
〔オイル供給装置の機能〕
次に、このような構成を有するオイル供給装置1の機能について説明する。本実施の形態のオイル供給装置1では、エンジン100の回転速度(エンジン回転数)NEに応じてオイルポンプのポンプ機能の大きさ(蓄圧通路10内の油圧)が変化する。この蓄圧通路10内の油圧が変化することにより、メインオイル通路20の開口端21から噴出するオイルの量と、サブオイル通路30の開口端31から噴出するオイルの量とが変化する。
【0018】
また、メインオイル通路を通じて噴出されるオイルの噴出方向αとサブオイル通路を通じて噴出されるオイルの噴出方向βとが交わる。さらに、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲にある場合、メインオイル通路20の開口端21から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を塞ぎ、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出を止めるか、少なくとも噴出量を減少させる。
【0019】
図2には、本実施の形態におけるエンジン回転数NEとオイルの噴出量との関係を示す。なお、図中において、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出量は一点鎖線、メインオイル通路20を通じたオイルの噴出量は二点鎖線、両通路20,30を通じたオイルの噴出量の総計は実線で示される。横軸上に示す特定のエンジン回転数NE1は、蓄圧通路10内の油圧がチェック弁40の開弁圧になるときの数値である。同じく横軸上に示す特定のエンジン回転数NE2は、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧になるときの数値である。
【0020】
エンジン100が停止している状態(NE=0)では、蓄圧通路10内の油圧がほぼ「0」であるため、オイルの噴出量もほぼ「0」になる。
【0021】
エンジン回転数NEが「0」〜「NE1」の範囲にある場合、シリンダ101内の温度が低いことが多い。また、ピストン50及びシリンダ内壁101a間に十分な量のオイルが存在していないことが多い。このような条件下において、オイル供給装置1では、メインオイル通路20の開口端21からオイルは噴出せずに、サブオイル通路30の開口端31のみからオイルが噴出する。このとき、サブオイル通路30から噴出されるオイルは、開口端31から矢印方向βに進行し、シリンダ内壁101aに浴びせられる。この結果、シリンダ101及びピストン50間の潤滑が効率的に行われる。
【0022】
エンジン回転数NEが「NE1」〜「NE2」の範囲にある場合、シリンダ101内の温度は高いことが多い。また、ピストン50及びシリンダ内壁101a間には十分な量のオイルが存在していることが多い。このような条件下において、オイル供給装置1では、メインオイル通路20及びサブオイル通路30の双方からオイルが噴出する。このとき、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)が高くなるほど、メインオイル通路20から噴出するオイルの量は増大する。これに対し、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)が高くなるほど、サブオイル通路30から噴出するオイルの量は減少する。メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴出方向αとサブオイル通路30を通じて噴出されるオイルの噴出方向βとが交わり(本実施の形態では、方向α及び方向βがほぼ直交し)、メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴流が、壁のように作用し、サブオイル通路30の開口端31を実質的に塞ぐ(サブオイル通路30からのオイルの噴出を妨げる)ためである。なおこのとき、メインオイル通路20及びサブオイル通路30から噴出するオイルの量の総計は、エンジン回転数NEの増大に伴って増大する。
【0023】
エンジン回転数NEが「NE2」を上回る条件下では、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧を上回る。このためエンジン回転数NEが変化しても、メインオイル通路20及びサブオイル通路30を通じて噴出するオイルの量は、ほとんど変化しない。
【0024】
このように、本実施の形態のオイル供給装置1は、エンジン回転数NEが比較的低い場合には、ピストン50及びシリンダ内壁101a間を効率的に潤滑する一方で、ピストン50をほとんど冷却しない(ピストン50にオイルを浴びせない)。一方、エンジン回転数NEが比較的高い場合には、ピストン50に対し優先的にオイルを浴びせピストンの冷却を効率的に行う一方、シリンダ内壁101aに向かって噴出するオイルの量を抑制しオイルポンプの仕事量を低減する。
【0025】
従って、特にエンジン100を長時間停止した後のようにシリンダ101内の摺動部位からオイルが抜け落ちている場合であれ、低温始動時のようにエンジン回転数NEが低い状態でピストン50が過冷却されることが好ましくない場合であれ、シリンダ内の各種部材に対し、エンジン回転数NEに応じて必要十分な潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【0026】
また、いわゆるアイドルストップを実施する内燃機関や、モータ及び内燃機関の協働によって駆動力を得るハイブリッドエンジンのように、内燃機関の始動及び停止を頻繁に繰り返すエンジンでは、内燃機関の始動時において(エンジン回転数NEが低い条件下において)、ピストンを過冷却せずに、シリンダ内の摺動部位に十分な量のオイル層を確保する必要性が高い。この点においても本実施の形態のオイル供給装置1によれば、シリンダ101内の各種部位に対し、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)に応じて過不足のない潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【0027】
なお、エンジン回転数NEと、オイル通路20,30から噴出されるオイルの量との関係は、図2に例示したものに限らず、メインオイル通路20及びサブオイル通路30の断面積、開口端21,31の大きさ、オリフィス32の形状、チェック弁40の開弁圧、リリーフ弁のリリーフ圧等、各種部材の特性を変更することによって調整することができる。要は、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路20から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を塞ぎ、サブオイル通路30から噴出するオイルの量を抑制することにより、本実施の形態と同等又はこれに準ずる効果を奏することができる。
【0028】
また、メインオイル通路20から噴出するオイルの噴流により、サブオイル通路30から噴出するオイルの噴流を抑制するためには、方向α及び方向βのなす角を略90°に設定するのが有利であると考えられる。しかし、他のパラメータ(通路20,30の形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でサブオイル通路30から噴出するオイルの噴流を抑制することができる。
【0029】
また、例えば油圧が作用するオイル通路を切り替えるための複雑な機構等を用いることなく、簡易な装置構成によってこのような効果を得ることができる。このため、装置の複雑化や製造コストの高騰を伴うこともない。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第2の実施の形態の構成部材のうち、第1の実施の形態のものと同等の構造及び機能を有するものは、同一の符号を用い、ここでの重複する説明は省略する。
【0031】
第2の実施の形態のオイル供給装置は、第1の実施の形態と同様、内燃機関に設けられ、シリンダ内の摺動部位を潤滑すべく、シリンダ内壁にオイルを浴びせる機能と、加熱部位を冷却すべくコンロッド側からピストンにオイルを浴びせる機能とを併せ有する。
【0032】
図3は、本実施の形態の内燃機関のオイル供給装置について、その主要構造を示す概略図である。
【0033】
オイル供給装置1Bは、蓄圧通路10、メインオイル通路20B、サブオイル通路30B、チェック弁40等を主要構成要素として含む。ここで、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異なり、メインオイル通路20Bの一部が、シリンダブロック102の内部に形成されている。また、シリンダ内壁101aに切欠き101bが形成され、その切欠き101bにメインオイル通路20の開口端21Bと、サブオイル通路30Bの開口端31Bとが形成される。また、メインオイル通路20Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とが交わる。方向α′と方向βとがなす角θは、第1の実施の形態においてメインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とがなす角(略90°)よりも小さく設定されている。
【0034】
図4には、第2の実施の形態におけるエンジン回転数NEとオイルの噴出量との関係を示す。なお、図中において、サブオイル通路30Bを通じたオイルの噴出量は一点鎖線、メインオイル通路20Bを通じたオイルの噴出量は二点鎖線、両通路20,30を通じたオイルの噴出量の総計は実線で示される。横軸上に示す特定のエンジン回転数NE1は、蓄圧通路10内の油圧がチェック弁40の開弁圧になるときの数値である。同じく横軸上に示す特定のエンジン回転数NE2は、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧になるときの数値である。
【0035】
第2の実施の形態においても、エンジン回転数NEが「NE1」〜「NE2」の範囲にあり、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの双方からオイルが噴出する場合、メインオイル通路20Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とが交わる。しかし、方向α′と方向β′とがなす角θが比較的小さな値に設定されているため、第1の実施の形態とは異なる効果が得られる。
【0036】
すなわち、また特定の条件下では、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの双方から噴出するオイルの噴流が交わることにより、オイルミストを生成する。このオイルミストは、ピストン50又は切欠き101bに対峙するシリンダ内壁101aに向かって拡がり、シリンダ内の広範囲に潤滑作用及び冷却作用を及ぼす。また他の条件下では、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流がサブオイル通路30Bからのオイルの噴出を妨げるように作用する。何れの効果がより顕著に現れるかは、オイル通路20,30の形状、断面積、配置、エンジン回転数NE等によって異なる。
【0037】
例えば図4に示すように、本実施の形態では、エンジン回転数NEが「NE1」〜「NEx」の範囲にある場合、オイルミストが生成される効果が比較的顕著に現れる。一方、エンジン回転数NEが「NEx」〜「NE2」の範囲にある場合、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流がサブオイル通路30Bからのオイルの噴出を妨げる効果が、比較顕著に現れる(サブオイル通路30Bからのオイルの噴出量が極めて低い)。
【0038】
このように、本実施の形態のオイル供給装置1Bによれば、上記第1の実施の形態の効果に加え、特定の条件下において(エンジン回転数NEが「NEx」〜「NE2」の範囲にある場合)、シリンダ内の広範囲に亘ってミスト状のオイルを散布し、冷却作用や潤滑作用を及ぼすことができる。
【0039】
なお、エンジン回転数NEと、オイル通路20B,30Bから噴出されるオイルの量との関係は、図4に例示したものに限らず、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの断面積、開口端21B,31Bの大きさ、切欠き101bの形状、オリフィス32の形状、チェック弁40の開弁圧、リリーフ弁のリリーフ圧等、各種部材の特性を変更することによって調整することができる。要は、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30Bの開口端31Bを塞ぎ、サブオイル通路30Bから噴出するオイルの量を抑制すること、またメインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bから噴出するオイルの噴流が相互に影響し(例えば各々の一部が混じり合い)オイルミストを生成することにより、本実施の形態と同等又はこれに準ずる効果を奏することができる。
【0040】
また、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴出方向α′と、サブオイル通路30Bから噴出するオイルの噴出方向β′とを交わらせることによってオイルミストを生成するためには、方向α′及び方向β′のなす角θを鋭角に設定する方が有利であると考えられる。しかし、角θを90°又は鈍角に設定しても、他のパラメータ(オイル通路20B,30Bの形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でオイルミストを生成することができる。
【0041】
また、上記第1の実施の形態のオイル供給装置1(図1参照)と同等の構成を採用しても、各種パラメータ(オイル通路20,30の形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でオイルミストを形成することは可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリンダ内の各種部位に対し、内燃機関の運転状態に応じて過不足のない潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオイル供給装置の主要構造を示す概略構成図。
【図2】同実施の形態のオイル供給装置を採用した場合にみられるエンジン回転数及びオイル噴出量の関係を示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態であるオイル供給装置の主要構造を示す概略構成図。
【図4】同実施の形態のオイル供給装置を採用した場合にみられるエンジン回転数及びオイル噴出量の関係を示す図。
【符号の説明】
1,1B オイル供給装置
10 蓄圧通路
20,20B メインオイル通路
30,30B サブオイル通路
21,31,21B,31B 開口端
32 オリフィス
40 チェック弁
50 ピストン
51 コンロッド
100,100B エンジン
101 シリンダ
101a シリンダ内壁
101b 切欠き
102 シリンダブロック
103 クランクケース
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のシリンダ内にオイルを供給するオイル供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関(以下、単にエンジンという)のシリンダ内にオイルを供給し、シリンダ内の摺動部位の潤滑と加熱部位の冷却とを行うオイル供給装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
実開昭56−79606号公報
【特許文献2】
実開昭62−152017号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダ内の摺動部位を潤滑するためには、オイルをシリンダの内壁に浴びせる必要があり、加熱部位を冷却するためにはピストンの裏面にコンロッド側からオイルを浴びせる必要がある。つまり、オイルを供給する部位が目的に応じて異なる。
【0004】
また、シリンダ内の摺動部位を潤滑するために必要なオイルの量、及びシリンダ内の加熱部位を冷却するために必要なオイルの量は、エンジンの運転条件(例えばエンジンの回転数等)によって異なる。
【0005】
しかし、複雑な構造を有する装置を用いずにシリンダ内の各部位へのオイルの供給量を制御することは困難であった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、内燃機関のシリンダ内部材の冷却及び潤滑を、必要に応じて効率的に行うことのできるオイル供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、(1)本発明は、内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送しシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、前記蓄圧通路及び前記メインオイル通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルが前記サブオイル通路を通じたオイルの噴出量を抑制することを要旨する。
【0008】
なお、「オイルの噴出量を抑制する」とは、「オイルの噴出量を減少させる」意味と「オイルの噴出を止める」意味との何れをも含む。
同構成によれば、蓄圧通路内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路の開口端を塞ぎ、サブオイル通路から噴出するオイルの量を抑制することができる。
【0009】
(2)他の発明は、内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送しシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、前記蓄圧通路及び前記主供給通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流とが交わることを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、メインオイル通路及びサブオイル通路の双方から噴出するオイルの噴流が相互に影響し(例えば各々の一部が混じり合い)、オイルミストを生成する。このオイルミストがシリンダ内の広範囲に拡がり、各種部位に潤滑作用及び冷却作用を及ぼす。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について説明する。
【0012】
〔オイル供給装置の構造〕
図1は、本実施の形態の内燃機関のオイル供給装置について、その主要構造を示す概略図である。
【0013】
オイル供給装置1は、内燃機関(以下、単にエンジンという)100のシリンダ101内の摺動部位(ピストン50及びシリンダ内壁101a間)を潤滑すべく、シリンダ内壁101aにオイルを浴びせる機能と、加熱部位(主にピストン50)を冷却すべくコンロッド51側からピストン50にオイルを浴びせる機能とを併せ有する。
【0014】
オイル供給装置1は、蓄圧通路10、メインオイル通路20、サブオイル通路30、調整弁(チェック弁)40等を主要構成要素として含む。
【0015】
蓄圧通路10は、エンジン100の回転に連動するオイルポンプ(図示略)から圧送されるオイルの通路であり、シリンダブロック102の内部に形成される。蓄圧通路10には、周知のリリーフ弁(図示略)が設けられている。リリーフ弁は、蓄圧通路10内の油圧が予め設定される上限値(リリーフ圧)を上回ると開弁し同通路10内のオイルを外部に逃がす。リリーフ弁の機能により、同通路10内の油圧がリリーフ圧を大幅に上回ることはない。
【0016】
メインオイル通路20は、クランクケース103内に収容される管状の部材であり、コンロッド51側からピストン50に臨むオイルの噴出口(開口端)21を有する。メインオイル通路20は、蓄圧通路10に連通して同通路10内のオイルを移送しシリンダ101内に噴出する機能を有する。チェック弁40は、蓄圧通路10及びメインオイル通路20間の連通部位Cに設けられ、蓄圧通路10内の油圧が所定値を上回った場合にのみ開弁する。サブオイル通路30は、シリンダブロック102の内部に形成される。サブオイル通路30は、蓄圧通路10に連通するとともに、シリンダ内壁101aにオイルの噴出口(開口端)31を有する。サブオイル通路30の開口端31近傍には、オリフィス32が形成されている。サブオイル通路30は、蓄圧通路10内のオイルを移送し、シリンダ内壁101a(開口端31に対峙する面)に向けて噴出する機能を有する。
【0017】
〔オイル供給装置の機能〕
次に、このような構成を有するオイル供給装置1の機能について説明する。本実施の形態のオイル供給装置1では、エンジン100の回転速度(エンジン回転数)NEに応じてオイルポンプのポンプ機能の大きさ(蓄圧通路10内の油圧)が変化する。この蓄圧通路10内の油圧が変化することにより、メインオイル通路20の開口端21から噴出するオイルの量と、サブオイル通路30の開口端31から噴出するオイルの量とが変化する。
【0018】
また、メインオイル通路を通じて噴出されるオイルの噴出方向αとサブオイル通路を通じて噴出されるオイルの噴出方向βとが交わる。さらに、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲にある場合、メインオイル通路20の開口端21から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を塞ぎ、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出を止めるか、少なくとも噴出量を減少させる。
【0019】
図2には、本実施の形態におけるエンジン回転数NEとオイルの噴出量との関係を示す。なお、図中において、サブオイル通路30を通じたオイルの噴出量は一点鎖線、メインオイル通路20を通じたオイルの噴出量は二点鎖線、両通路20,30を通じたオイルの噴出量の総計は実線で示される。横軸上に示す特定のエンジン回転数NE1は、蓄圧通路10内の油圧がチェック弁40の開弁圧になるときの数値である。同じく横軸上に示す特定のエンジン回転数NE2は、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧になるときの数値である。
【0020】
エンジン100が停止している状態(NE=0)では、蓄圧通路10内の油圧がほぼ「0」であるため、オイルの噴出量もほぼ「0」になる。
【0021】
エンジン回転数NEが「0」〜「NE1」の範囲にある場合、シリンダ101内の温度が低いことが多い。また、ピストン50及びシリンダ内壁101a間に十分な量のオイルが存在していないことが多い。このような条件下において、オイル供給装置1では、メインオイル通路20の開口端21からオイルは噴出せずに、サブオイル通路30の開口端31のみからオイルが噴出する。このとき、サブオイル通路30から噴出されるオイルは、開口端31から矢印方向βに進行し、シリンダ内壁101aに浴びせられる。この結果、シリンダ101及びピストン50間の潤滑が効率的に行われる。
【0022】
エンジン回転数NEが「NE1」〜「NE2」の範囲にある場合、シリンダ101内の温度は高いことが多い。また、ピストン50及びシリンダ内壁101a間には十分な量のオイルが存在していることが多い。このような条件下において、オイル供給装置1では、メインオイル通路20及びサブオイル通路30の双方からオイルが噴出する。このとき、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)が高くなるほど、メインオイル通路20から噴出するオイルの量は増大する。これに対し、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)が高くなるほど、サブオイル通路30から噴出するオイルの量は減少する。メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴出方向αとサブオイル通路30を通じて噴出されるオイルの噴出方向βとが交わり(本実施の形態では、方向α及び方向βがほぼ直交し)、メインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴流が、壁のように作用し、サブオイル通路30の開口端31を実質的に塞ぐ(サブオイル通路30からのオイルの噴出を妨げる)ためである。なおこのとき、メインオイル通路20及びサブオイル通路30から噴出するオイルの量の総計は、エンジン回転数NEの増大に伴って増大する。
【0023】
エンジン回転数NEが「NE2」を上回る条件下では、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧を上回る。このためエンジン回転数NEが変化しても、メインオイル通路20及びサブオイル通路30を通じて噴出するオイルの量は、ほとんど変化しない。
【0024】
このように、本実施の形態のオイル供給装置1は、エンジン回転数NEが比較的低い場合には、ピストン50及びシリンダ内壁101a間を効率的に潤滑する一方で、ピストン50をほとんど冷却しない(ピストン50にオイルを浴びせない)。一方、エンジン回転数NEが比較的高い場合には、ピストン50に対し優先的にオイルを浴びせピストンの冷却を効率的に行う一方、シリンダ内壁101aに向かって噴出するオイルの量を抑制しオイルポンプの仕事量を低減する。
【0025】
従って、特にエンジン100を長時間停止した後のようにシリンダ101内の摺動部位からオイルが抜け落ちている場合であれ、低温始動時のようにエンジン回転数NEが低い状態でピストン50が過冷却されることが好ましくない場合であれ、シリンダ内の各種部材に対し、エンジン回転数NEに応じて必要十分な潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【0026】
また、いわゆるアイドルストップを実施する内燃機関や、モータ及び内燃機関の協働によって駆動力を得るハイブリッドエンジンのように、内燃機関の始動及び停止を頻繁に繰り返すエンジンでは、内燃機関の始動時において(エンジン回転数NEが低い条件下において)、ピストンを過冷却せずに、シリンダ内の摺動部位に十分な量のオイル層を確保する必要性が高い。この点においても本実施の形態のオイル供給装置1によれば、シリンダ101内の各種部位に対し、エンジン回転数NE(蓄圧通路10内の油圧)に応じて過不足のない潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【0027】
なお、エンジン回転数NEと、オイル通路20,30から噴出されるオイルの量との関係は、図2に例示したものに限らず、メインオイル通路20及びサブオイル通路30の断面積、開口端21,31の大きさ、オリフィス32の形状、チェック弁40の開弁圧、リリーフ弁のリリーフ圧等、各種部材の特性を変更することによって調整することができる。要は、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路20から噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30の開口端31を塞ぎ、サブオイル通路30から噴出するオイルの量を抑制することにより、本実施の形態と同等又はこれに準ずる効果を奏することができる。
【0028】
また、メインオイル通路20から噴出するオイルの噴流により、サブオイル通路30から噴出するオイルの噴流を抑制するためには、方向α及び方向βのなす角を略90°に設定するのが有利であると考えられる。しかし、他のパラメータ(通路20,30の形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でサブオイル通路30から噴出するオイルの噴流を抑制することができる。
【0029】
また、例えば油圧が作用するオイル通路を切り替えるための複雑な機構等を用いることなく、簡易な装置構成によってこのような効果を得ることができる。このため、装置の複雑化や製造コストの高騰を伴うこともない。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。なお、第2の実施の形態の構成部材のうち、第1の実施の形態のものと同等の構造及び機能を有するものは、同一の符号を用い、ここでの重複する説明は省略する。
【0031】
第2の実施の形態のオイル供給装置は、第1の実施の形態と同様、内燃機関に設けられ、シリンダ内の摺動部位を潤滑すべく、シリンダ内壁にオイルを浴びせる機能と、加熱部位を冷却すべくコンロッド側からピストンにオイルを浴びせる機能とを併せ有する。
【0032】
図3は、本実施の形態の内燃機関のオイル供給装置について、その主要構造を示す概略図である。
【0033】
オイル供給装置1Bは、蓄圧通路10、メインオイル通路20B、サブオイル通路30B、チェック弁40等を主要構成要素として含む。ここで、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と異なり、メインオイル通路20Bの一部が、シリンダブロック102の内部に形成されている。また、シリンダ内壁101aに切欠き101bが形成され、その切欠き101bにメインオイル通路20の開口端21Bと、サブオイル通路30Bの開口端31Bとが形成される。また、メインオイル通路20Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とが交わる。方向α′と方向βとがなす角θは、第1の実施の形態においてメインオイル通路20を通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とがなす角(略90°)よりも小さく設定されている。
【0034】
図4には、第2の実施の形態におけるエンジン回転数NEとオイルの噴出量との関係を示す。なお、図中において、サブオイル通路30Bを通じたオイルの噴出量は一点鎖線、メインオイル通路20Bを通じたオイルの噴出量は二点鎖線、両通路20,30を通じたオイルの噴出量の総計は実線で示される。横軸上に示す特定のエンジン回転数NE1は、蓄圧通路10内の油圧がチェック弁40の開弁圧になるときの数値である。同じく横軸上に示す特定のエンジン回転数NE2は、蓄圧通路10内の油圧がリリーフ圧になるときの数値である。
【0035】
第2の実施の形態においても、エンジン回転数NEが「NE1」〜「NE2」の範囲にあり、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの双方からオイルが噴出する場合、メインオイル通路20Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向α′とサブオイル通路30Bを通じて噴出されるオイルの噴出方向β′とが交わる。しかし、方向α′と方向β′とがなす角θが比較的小さな値に設定されているため、第1の実施の形態とは異なる効果が得られる。
【0036】
すなわち、また特定の条件下では、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの双方から噴出するオイルの噴流が交わることにより、オイルミストを生成する。このオイルミストは、ピストン50又は切欠き101bに対峙するシリンダ内壁101aに向かって拡がり、シリンダ内の広範囲に潤滑作用及び冷却作用を及ぼす。また他の条件下では、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流がサブオイル通路30Bからのオイルの噴出を妨げるように作用する。何れの効果がより顕著に現れるかは、オイル通路20,30の形状、断面積、配置、エンジン回転数NE等によって異なる。
【0037】
例えば図4に示すように、本実施の形態では、エンジン回転数NEが「NE1」〜「NEx」の範囲にある場合、オイルミストが生成される効果が比較的顕著に現れる。一方、エンジン回転数NEが「NEx」〜「NE2」の範囲にある場合、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流がサブオイル通路30Bからのオイルの噴出を妨げる効果が、比較顕著に現れる(サブオイル通路30Bからのオイルの噴出量が極めて低い)。
【0038】
このように、本実施の形態のオイル供給装置1Bによれば、上記第1の実施の形態の効果に加え、特定の条件下において(エンジン回転数NEが「NEx」〜「NE2」の範囲にある場合)、シリンダ内の広範囲に亘ってミスト状のオイルを散布し、冷却作用や潤滑作用を及ぼすことができる。
【0039】
なお、エンジン回転数NEと、オイル通路20B,30Bから噴出されるオイルの量との関係は、図4に例示したものに限らず、メインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bの断面積、開口端21B,31Bの大きさ、切欠き101bの形状、オリフィス32の形状、チェック弁40の開弁圧、リリーフ弁のリリーフ圧等、各種部材の特性を変更することによって調整することができる。要は、蓄圧通路10内の油圧が所定範囲内にある場合、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴流が、サブオイル通路30Bの開口端31Bを塞ぎ、サブオイル通路30Bから噴出するオイルの量を抑制すること、またメインオイル通路20B及びサブオイル通路30Bから噴出するオイルの噴流が相互に影響し(例えば各々の一部が混じり合い)オイルミストを生成することにより、本実施の形態と同等又はこれに準ずる効果を奏することができる。
【0040】
また、メインオイル通路20Bから噴出するオイルの噴出方向α′と、サブオイル通路30Bから噴出するオイルの噴出方向β′とを交わらせることによってオイルミストを生成するためには、方向α′及び方向β′のなす角θを鋭角に設定する方が有利であると考えられる。しかし、角θを90°又は鈍角に設定しても、他のパラメータ(オイル通路20B,30Bの形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でオイルミストを生成することができる。
【0041】
また、上記第1の実施の形態のオイル供給装置1(図1参照)と同等の構成を採用しても、各種パラメータ(オイル通路20,30の形状、断面積、配置等)の特性を調整することにより、所望の条件下でオイルミストを形成することは可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、シリンダ内の各種部位に対し、内燃機関の運転状態に応じて過不足のない潤滑作用及び冷却作用を及ぼすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオイル供給装置の主要構造を示す概略構成図。
【図2】同実施の形態のオイル供給装置を採用した場合にみられるエンジン回転数及びオイル噴出量の関係を示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態であるオイル供給装置の主要構造を示す概略構成図。
【図4】同実施の形態のオイル供給装置を採用した場合にみられるエンジン回転数及びオイル噴出量の関係を示す図。
【符号の説明】
1,1B オイル供給装置
10 蓄圧通路
20,20B メインオイル通路
30,30B サブオイル通路
21,31,21B,31B 開口端
32 オリフィス
40 チェック弁
50 ピストン
51 コンロッド
100,100B エンジン
101 シリンダ
101a シリンダ内壁
101b 切欠き
102 シリンダブロック
103 クランクケース
Claims (2)
- 内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、
前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、
前記蓄圧通路及び前記メインオイル通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、
前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、
を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、
前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルが前記サブオイル通路を通じたオイルの噴出量を抑制する
ことを特徴とする内燃機関のオイル供給装置。 - 内燃機関の回転に連動するオイルポンプから圧送供給されるオイルを保持する蓄圧通路と、
前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送しシリンダ内に噴出するメインオイル通路と、
前記蓄圧通路及び前記主供給通路間の連通部位に設けられ前記蓄圧通路内の油圧と前記メインオイル通路内の油圧との差が所定値を上回ると開弁する調整弁と、
前記蓄圧通路に連通し前記蓄圧通路内のオイルを移送し当該機関のシリンダ内に噴出するサブオイル通路と、
を備えた内燃機関のオイル供給装置であって、
前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴出方向とが交わり、且つ、前記蓄圧通路内の油圧が所定範囲にある場合、前記メインオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流と前記サブオイル通路を通じて噴出するオイルの噴流とがオイルミストを生成する
ことを特徴とする内燃機関のオイル供給装置。
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