JPH043131Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、自動車の油圧クラツチに関するもの
である。

＜従来の技術＞ クラツチフエーシングをクラツチ接続方向に押
圧するピストンと、このピストンを進退移動可能
に保持するシリンダとを備え、前記ピストンに前
記シリンダに供給された圧油の一部をクラツチフ
エーシングに噴出して冷却するためのオイル噴射
孔を開設した油圧クラツチは、例えば実開昭53−
120030号によつて公知である。

＜考案が解決しようとする課題＞ 上記従来構造では、クラツチの冷却のための圧
油は、クラツチを接続させるためにシリンダに供
給した圧油の一部をピストンに開設したオイル噴
射孔より噴出するようにした構成であるため、ピ
ストンを押動する油圧力に損失が生じ、ピストン
の押動力が低下し、引いてはクラツチの接続力が
低下する不具合がある。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は、エンジンのクランクシヤフト端に固
設したフライホイールに、インプツトシヤフト上
に支持されているクラツチフエーシングをクラツ
チ接続方向に押圧するピストンと、このピストン
を進退移動可能に保持する油圧シリンダと、この
油圧シリンダに圧油を給、排する圧油給排通路と
を設けた油圧クラツチにおいて、前記インプツト
シヤフトの軸内に内外２重の第１圧油通路と第２
圧油通路とを軸線方向に設け、内方の第１圧油通
路と前記圧油給排通路とを連通し、外方の第２圧
油通路はインプツトシヤフトにクラツチフエーシ
ング方向に向けて開設したオイル噴射孔と連通さ
せ、オイルポンプと前記第１、２圧油通路とを接
続する油圧回路のオイルポンプの吐出流路にフロ
ーコントロールバルブとリリーフバルブと前記第
１、２圧油通路を切換える電磁制御弁とを配置し
たものである。

＜作用＞ 上記の構成により、電磁制御弁の切換えによつ
て、クラツチフエーシングをクラツチ接続方向に
作動する圧油を第１圧油通路に流し、また、クラ
ツチフエーシングを冷却するオイルを第２圧油通
路に流し、クラツチの接続と冷却に用いる圧油を
それぞれ別個としたものである。

＜実施例＞ 以下本考案の実施例を第１図に基づいて説明す
る。１はエンジンのクランクシヤフト、２は前記
クランクシヤフト１端にボルト５によつて固設し
たフライホイール、３はフライホイール２に設け
られている油圧シリンダ、４は前記油圧シリンダ
３に進退移動可能に保持されたピストン、８は前
記油圧シリンダ２に対し圧油を給、排する圧油給
排通路である。

９はクラツチフエーシングであり、インプツト
シヤフト６上に支持され、前記ピストン４の前進
動によつてクラツチ接続方向に押圧される。

前記インプツトシヤフト６の軸内には内外２重
の第１圧油通路７と第２圧油通路３１とが軸線方
向に設けられている。これは、インプツトシヤフ
ト６の軸心に軸線方向の穴を設け、この穴にパイ
プ３０を挿通して、パイプ３０内を内方の第１圧
油通路７とし、パイプ３０の外周面と穴との間隙
を外方の第２圧油通路３１とすることによつて構
成される。

前記第１圧油通路７は前記圧油給排通路８と連
通している。また、第２圧油通路３１は、インプ
ツトシヤフト６にクラツチフエーシング９の方向
に向けて開設したオイル噴射孔１１に連通してい
る。

２１はタンク２０からオイルを吸い揚げるオイ
ルポンプである。このオイルポンプ２１の吐出流
路２２上にはフローコントロールバルブ２３と、
オイルポンプ２１と前記フローコントロールバル
ブ２３との間の吐出流路に接続したリリーフバル
ブ２５とを備えている。

前記フローコントロールバルブ２３のオーバフ
ロー流路２４並びにリリーフバルブ２５の逃し通
路２６はオイルポンプ２１の吸入路２７に接続さ
れている。

２８は電磁制御弁であり、図示しないマイクロ
コンピユータで制御され、オイルポンプ２１から
の圧油を前記第１、２圧油通路７，３１に給排制
御するものである。

本考案は上記の通りの構造であるから、オイル
ポンプ２１の回転数が高くなり吐出流量が増加す
ると、フローコントロールバルブ２３からの余剰
流並びにリリーフバルブ２５からの逃し流はオイ
ルポンプ２１の吸入路２７に導入し、タンク２０
から吸い揚げられる流量を減少し、吸い込み負圧
の上昇を抑制してオイルポンプ２１のキヤビテー
シヨンやエロージヨンの発生を防止する。

このようにして吐出された圧油は電磁制御弁２
８によりインプツトシヤフト６の軸内の第１圧油
通路７及び第２圧油通路３１に切換制御され、第
１圧油通路７に供給された圧油は圧油給排通路８
を通つて油圧シリンダ３に導かれ、ピストン４を
押圧前進してクラツチを接続状態とする。

また、第２圧油通路３１に切換えられると、圧
油は噴射孔１１よりクラツチフエーシング９に吹
き付けて冷却するものである。

＜考案の効果＞ このように本考案によると、オイルポンプは高
回転しても吸入側の負圧を抑制し、キヤビテーシ
ヨンやエロージヨンの発生を防止することは勿
論、オイルポンプより吐出した圧油は、電磁制御
弁の切換制御により、クラツチフエーシングが支
持されているインプツトシヤフトの軸内に設けた
第１、２圧油通路を介して、クラツチの接続用
に、またクラツチの冷却用のそれぞれに切換えて
導かれるため、クラツチを接続するためのピスト
ンの押動に用いられる油圧力の損失がなく、確実
にクラツチの接続が得られ、かつクラツチが切れ
ているクラツチの滑り状態の時にクラツチフエー
シングに向けて圧油が噴射されクラツチフエーシ
ングの冷却潤滑を効率よく行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の断面図である。 １……クランクシヤフト、２……フライホイー
ル、３……油圧シリンダ、４……ピストン、６…
…インプツトシヤフト、７……第１圧油通路、８
……圧油給排通路、９……クラツチフエーシン
グ、１１……噴射孔、２１……オイルポンプ、２
３……フローコントロールバルブ、２５……リリ
ーフバルブ、２８……電磁制御弁、３１……第２
圧油通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンのクランクシヤフト端に固設したフラ
   イホイールに、インプツトシヤフト上に支持され
   ているクラツチフエーシングをクラツチ接続方向
   に押圧するピストンと、このピストンを進退移動
   可能に保持する油圧シリンダと、この油圧シリン
   ダに圧油を給、排する圧油給排通路とを設けた油
   圧クラツチにおいて、前記インプツトシヤフトの
   軸内に内外２重の第１圧油通路と第２圧油通路と
   を軸線方向に設け、内方の第１圧油通路と前記圧
   油給排通路とを連通し、外方の第２圧油通路は前
   記インプツツシヤフトにクラツチフエーシング方
   向に向けて開設したオイル噴射孔と連通させ、オ
   イルポンプと前記第１、第２圧油通路とを接続す
   る油圧回路のオイルポンプの吐出流路にフローコ
   ントロールバルブとリリーフバルブと前記第１、
   ２圧油通路を切換える電磁制御弁とを配置したこ
   とを特徴とする油圧クラツチ。