JPS6032379Y2 - 内燃機関の燃料噴射弁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ニードルバルブに対する押しつけ力を可変と
することにより、燃料噴射開始圧を可変圧とした内燃機
関の燃料噴射弁に関するものである。

従来、燃料噴射弁からの燃料噴射圧、即ちニードルバル
ブの開始圧を上げれば、その内燃機関の高速回転域にお
けるスモークを改良できるということは公知のことであ
る。

また、機関の低速回転域においては、高圧噴射をしても
スモークは必ずしも改良されず、むしろこの場合、開始
圧を幾分下げた方が良い結果が得られる。

以上のことを総合すると、機関の高速回転域では高い開
始圧が得られ、かつ低速または中速回転域では低い開始
圧となるような燃料噴射弁が要望されることになる。

そのため、第１図の実公昭５５−１０６０７による考案
のごとく、燃料噴射弁の弁本体１にシリンダ２を形威し
、そこにピストン３を砒挿し、このシリンダ２を上室２
ａと下室２ｂとに区画し、その上室２ａに機関の潤滑油
ポンプ４出側の油圧のように、内燃機関の回転速度に応
じた油圧を有する制御油圧を導入する管路５を連通させ
、一方、下室２ｂに、ピストン３により押圧されながら
ニードルバルブ部材６を押圧する初期設定圧用ばね７を
内設し、ニードルバルブ部材６を押圧する初期設定圧用
ばね７のセット力を機関回転速度に応じて変化させて、
ニードルバルブ部材６の燃料の噴射圧力を変えうるよう
にしたものがある。

上記の燃料噴射弁では、燃料噴射開始圧が可変圧になる
が、特に機関低速回転域において、その開始圧を微小に
変化させることは、ばね力の強い初期設定用ばね７のみ
では不可能なため、ピストン３の摺動を不安定にして、
その開始圧の不安定性を増大するという問題があった。

そこで本考案は、前記従来の問題に鑑み、特に機関低速
回転域においてその開始圧を安定した状態で下げ得る燃
料噴射弁を提供することを目的としたものである。

即ち、本考案は、燃料噴射弁の二一ドルバルブ部材６を
インタースピンドル８を介して押圧する１次調整圧ばね
９を内設している内燃機関の燃料噴射弁において、該１
次調整圧ばね９の該インタースピンドル８側のばね受け
１１の裏側に形成したシリンダ２内に、該内燃機関の制
御油圧にて移動可能なピストン３を嵌装して該シリンダ
２を上室と下室とに区画し、該上室内のピストン３上部
と該ばね受け１１の裏側との間に、該１次調整圧ばね９
を押圧可能とする２次調整圧ばね１５を配設すると共に
、該下室に機関の制御油圧の管路５を連通して、機関の
低速時に該制御油圧を導入するように構成したことを特
徴とするものである。

以下図面を参照して本考案の実施例を説明するが、第１
図の従来例と同じ部品は同じ部品番号で示している。

まず、第２図に示す本考案の実施例における内燃機関の
燃料噴射弁は、従来一般に使用されている燃料噴射弁と
同様に、弁本体１に内蔵されたニードルバルブ部材６を
インタースピンドル８を介して押圧する１次調整圧ばね
９が１次調整圧設定カラー１０に内設され、その１次調
整圧ばね９の下端部はインタースピンドル８の上部に固
定されたばね受け１１により支持されている。

また、図中１ａで示すのは弁本体１のカバ一部材であり
、弁本体１内からの燃料漏油は漏油パイプ１２から排出
されるようになっている。

次に、上記ばね受け１１の裏側にシリンダ２が形成され
ており、そのシリンダ２はピストン３により上室と下室
とに区画され、その下室には、この内燃機関の潤滑油ポ
ンプ４からの潤滑油の制御された油圧（減速逆転機の作
動油または燃料フィードポンプからの燃料油の制御され
た油圧でも良い）を導入する管路５に連通させ、その油
圧によりピストン３を移動可能にしている。

次に、上記上室内のピストン３上部と上記ばね受け１１
の裏側に設けたばね受け１４との間には、２次調整圧ば
ね１５を設け、１次調整圧ばね９を押圧可能にしている
。

上記実施例の燃料噴射弁において、図示されていない燃
料ポンプで加圧された燃料は、燃料噴射管１３から高圧
管接手１６を介して弁本体１の燃料通路２１に送られ、
燃料弁１７内のニードルバルブ部材６を前記１次調整圧
ばね９に抗して押し上げ、噴孔１８から噴射される。

このような構成からなる本考案の燃料噴射弁では、その
内燃機関の潤滑油圧を制御した油圧にてピストン３を移
動させ、それに応じて２次調整圧ばね１５のばね力を可
変とし、１次調整圧ばね９を押圧するので、１次調整圧
ばね９のばね力から２次調整圧ばね１５のばね力の差に
よりニードルバルブ部材６に対する押しっけ力を可変と
して、燃料の噴射開始圧を可変圧としている。

即ち、シリンダ２下室への制御油圧の導入によるピスト
ン３の上方への移動で、２次調整圧ばね１５を介して１
次調整圧ばね９を押圧することにより、ニードルバルブ
部材６に対する押しっけ力を小さくすることができ、１
次調整圧ばね９により１次調整圧に設定されていたニー
ドルバルブの燃料噴射開始圧を低くすることができる。

この場合、何かの理由で外部からの制御油圧に異常が発
生し、ビス１フ３作動のための制御油圧が得られなくな
った時でも、１次調整圧ばね９によりその使用範囲の大
部分に適した高圧噴射圧が得られる。

ここで、第２図のピストン外径を鳴、ピストン内径をｄ
□とすれば、ピストン３には（’：ａ婁−−ｉ−ｄテ）
の面積に制御油圧がかかり、２次調整圧ばね１５を押し
つけることになる。

また、シリンダ２の下室内の移動可能な距離ΔＴ□＝０
を噴射開始圧初期値とし、上室内に設けたストッパ用カ
ラー２２とピストン３の上部に設けた２次調整圧ばね用
シム２３との間の移動可能な距離ΔＴ２＝０を最少噴射
開始圧時に設定して、該噴射開始圧初期値から最少噴射
開始圧に至る区間のピストン３の移動を、２次調整圧ば
ね１５による１次調整圧ばね９の押圧に利用しており、
これらストッパ用カラー２２の高さ及び２次調整圧ばね
用シム２３の厚さを適宜な寸法に設定している。

また、１次調整圧ばね９のばね力の調整は、１次調整圧
設定カラー１０のねじ込みにより実施し、２次調整圧ば
ね１５のばね力調整は、上記移動可能な距離ΔＴ１＝０
の時に、２次調整圧ばね用シム２３により実施する。

即ち、第３図の縦軸に燃料噴射開始圧珂をとり、横軸に
開始圧制御油圧Ｐｃをとった線図に示すように、開始圧
制御油圧Ｐｃ＝Ｑにおいて、上記ΔＴ１＝０で、ΔＴ２
は最大になり、開始圧制御油ＥＥＰＣ＝ａにおいて、Δ
Ｔ２＝０でΔＴ１は最大になる。

上述したように、本考案の内燃機関の燃料噴射弁は、燃
料噴射弁のニードルバルブ部材６をインタースピンドル
８を介して押圧する１次調整圧ばね９を内設している内
燃機関の燃料噴射弁において、該１次調整圧ばね９の該
インタースピンドル８側のばね受け１１の裏側に形成し
たシリンダ２内に、該内燃機関の制御油圧にて移動可能
なピストン３を嵌装して該シリンダ２を上室と下室とに
区画し、該上室内のピストン３上部と該ばね受け１１の
裏側との間に、該１次調整圧ばね９を押圧可能とする２
次調整圧ばね１５を配設すると共に、該下室に機関の制
御油圧の管路５を連通して、機関の低速時に該制御油圧
を導入するように構成したことを特徴とするもので、本
考案によれば、シリンダ２下室への制御油圧の導入によ
るピストン３の上方への移動で、２次調整圧ばね１５を
介して１次調整圧ばね９を押圧することにより、ニード
ルバルブ部材６に対する押しつけ力を小さくすることが
でき、１次調整圧ばね９により１次調整圧に設定されて
いたニードルバルブの燃料噴射開始圧を低くすることが
できる。

従って、本考案の燃料噴射弁では、その内燃機関の潤滑
油圧等の制御油圧を燃料噴射弁の弁本体の中央部附近か
ら導入し、１次調整圧に設定されたニードルバルブの燃
料噴射開始圧を、特に低速時においては低くし、噴射系
の安定化をはかることにより、機関回転数の安定化を得
ることができ、−刃高出力時には設定された高い開始圧
で燃料を噴射するので、弁座部へ燃焼室内からのガスの
流入を防止し、正常噴霧を得ることができる。

特に本考案の燃料噴射弁では、１次調整圧ばねのばね受
けの反対側に制御油圧により可変圧を発する２次調整圧
ばねを作動させるため、その内燃機関の使用範囲の大部
分においては可変力発生のためのピストンの作動油圧を
零として使用し、必要な低力または低速運転時のみに作
動油圧を導入させることにより、作動油圧の変化による
変動を殆んど受けることがなく、特に低力または低速運
転時に安定した燃料噴射開始圧が得られるという利点が
ある。

なお、一般に内燃機関起動時の直後には、低力または低
速運転は要求されず、機関が少し暖機し安定してから低
力または低速運転に切に替えられるので、その時期にお
ける作動油圧としては非常に安定したものが得られるの
である。

また、機関の作動油圧の上昇に比例してピストンを移動
させて、２次調整圧ばねのばね力を上昇させ、噴射開始
を上昇させるように構成した燃料噴射弁に比較して、本
考案の燃料噴射弁では、低速を除く機関運転中の大部分
においてその作動油圧を常に安定した状態で加圧供給す
るための困難さがなく、その作動油圧の調圧が容易であ
り、常にその内燃機関の燃焼を安定した状態にすること
ができる。

なお、本考案はガソリン及びディーゼル式の内燃機関の
燃料噴射弁に対して有効に適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の内燃機関の燃料噴射弁要部の縦断面図、
第２図は本考案の実施例における内燃機関の燃料噴射弁
要部の縦断面図、第３図は第２図における燃料噴射開始
圧と開始圧制御油圧との関係を示す線図である。 １・・・・・・弁本体、２・・・・・・シリンダ、３・
・・・・ピストン、４・・・・・・潤滑油ポンプ、５・
・・・・・管路、６・・・・・・ニードルバルブ部材、
８・・・・・・インタースピンドル、９・・・・・・１
次調整圧ばね、１０・・・・・・１次調整圧設定カラー
、１１・・・・・・ばね受け、１５・・・・・・２次調
整圧ばね、２２・・・・・・ストッパ用カラー、２３・
・・・・・２次調整圧ばね用シム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料噴射弁のニードルバルブ部材６をインタースピンド
   ル８を介して押圧する１次調整圧ばね９を内設している
   内燃機関の燃料噴射弁において、該１次調整圧ばね９の
   該インタースピンドル８側のばね受け１１の裏側に形威
   したシリンダ２内に、該内燃機関の制御油圧にて移動可
   能なピストン３を嵌装して該シリンダ２を上室と下室と
   に区画し、該上室内のピストン３上部と該ばね受け１１
   の裏側との間に、該１次調整圧ばね９を押圧可能とする
   ２次調整圧ばね１５を配設すると共に、該下室に機関の
   制御油圧の管路５を連通して、機関の低速時にのみ該制
   御油圧を導入するように構成したことを特徴とする内燃
   機関の燃料噴射弁。