JP4586323B2 - スプライン嵌合部の潤滑構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スプライン嵌合部の潤滑構造に構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
雄スプラインと雌スプラインとを嵌合させてなるスプライン嵌合部においては、雄スプライン及び雌スプラインの摩耗等を防止するために、潤滑油による潤滑を行うのが一般的である。
【0003】
例えば特開2001−90818号公報には、雄スプラインを設けた雄スプライン軸の中心に給油路を設け、この給油路から雄スプライン軸の外周側に開口した給油口を介してスプライン嵌合部に潤滑油を供給し、雌スプラインを設けたスプラインボスを貫通する廃油口を介して潤滑油をドレンするスプライン嵌合部の潤滑構造が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなスプライン嵌合部の潤滑構造においては、雄スプライン軸側に設けた給油路から供給された潤滑油が、スプラインボスを通過し、そのままスプラインボス側にドレンされているため、スプラインボスを支持する空間が大気と連通している空間となるような場合、その空間に潤滑油が排出されることになり、結果として外部に潤滑油が漏れてしまうという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に記載の発明は、第1空間内で支持された第1の軸に形成された雄スプラインと、隔壁によって上記第1空間と隔てられた第2空間内で支持された第2の軸に形成された雌スプラインと、を嵌合させてなるスプライン嵌合部の潤滑構造において、上記第1の軸に上記スプライン嵌合部へ潤滑油を供給する油路が設けられ、上記第2の軸は、略有底円筒形状を呈し、内周面に上記雌スプラインが形成されていると共に、上記隔壁を貫通して開口端が上記第1空間に開口しており、上記油路を介して上記スプライン嵌合部へ供給される潤滑油が上記開口端から上記第1空間内にドレンされ、上記スプライン嵌合部よりも上記第2の軸の開口端側となる位置に、上記第1の軸と上記第2の軸との間をシールする略環状のシール部材が配設され、上記雌スプラインの歯先位置における上記第2の軸の内径D1が、上記シール部材の内径D2よりも大きくなるよう形成されていることを特徴としている。第1空間あるいは第2空間のうちのいずれか一方が大気と連通している場合、大気と連通している空間に潤滑油をドレンすることは、結果として本構造から外部に潤滑油が漏れることになってしまう。そこで、油路が設けられていない軸が支持される空間を大気に連通する空間とすれば、スプライン嵌合部に供給された潤滑油は、外部に漏れることはない。
【0006】
そして、スプライン嵌合部に供給された潤滑油は、シール部材のよってせき止められ、スプライン嵌合部は潤滑油によって満たされる。
【0008】
また、スプライン嵌合部に供給された潤滑油は、第1の軸及び第2の軸が回転すると、遠心力により雌スプラインが形成された第2の軸の内周面側に張り付いた状態となると共に、シール部材によってせき止められる。これによって、スプライン嵌合部は潤滑油によって常に油浴した状態となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記シール部材は、上記第1の軸の外周面に形成された環状の溝部に配設されていると共に、上記溝部よりも深溝となるドレン溝が、上記第1の軸の軸方向に沿って上記溝部を跨ぐよう上記第1の軸に形成されていることを特徴としている。スプライン嵌合部に供給された潤滑油は、シール部材を乗り越え、ドレン溝を介してドレンされることになるので、スプライン嵌合部は潤滑油によって常に油浴した状態となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記シール部材は、上記第1の軸の外周面に形成された環状の溝部に配設されていると共に、上記溝部は、該溝部位置における第1の軸の内径D3が上記シール部材の内径D1よりも小さくなるよう形成され、かつ上記シール部材は、上記第2の軸の開口端部側の一端部に切欠が設けられていることを特徴としている。スプライン嵌合部に供給された潤滑油は、シール部材を乗り越え、切欠を介してドレンされることになるので、スプライン嵌合部は潤滑油によって常に油浴した状態となる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、第2の空間が大気と連通している場合であっても、大気と連通する空間に潤滑油を漏らすことなくスプライン嵌合部を潤滑することができる。
【0014】
また、請求項2または3の発明によれば、スプライン嵌合部を潤滑油で確実に油浴することになり、雄スプラインの歯面及び雌スプラインの歯面に潤滑油を確実に供給することができる。そのため、スプライン嵌合部に不必要な摩耗や、酸化が発生してしまうことを確実に防止することができ、スプライン嵌合部の耐久性を向上させることができると共に、スプライン嵌合部における歯打ち音の発生を防止することができる。
【0016】
また、請求項2の発明にように、第1の軸に溝部とドレン溝とを形成すれば、簡便な加工で、スプライン嵌合部に、常に新しい潤滑油が供給されるため、劣化した潤滑油がスプライン嵌合部に長時間滞留することもない。
【0017】
さらに、請求項3の発明のようにすれば、請求項3の発明よりも一層加工が容易となる。
【0018】
請求項6の発明によれば、スプライン嵌合部に供給された潤滑油が、雄スプラインの歯面及び雌スプラインの歯面よりもスプライン嵌合部の外周側を流れることがないので、スプライン嵌合部に供給された潤滑油によって雄スプラインの歯面及び雌スプラインの歯面を効率良く潤滑することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、雄スプラインの歯面及び雌スプラインの歯面よりもスプライン嵌合部の内周側にメイン流路が形成されているので、第1の軸及び第2の軸の回転に伴う遠心力によって、このメイン流路から雄スプラインの歯面及び雌スプラインの歯面に対してより一層確実に潤滑油を供給することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明が実際に適用されたハイブリッドシステム1の全体構成説明図である。
【0022】
このハイブリッドシステム1は、エンジン2が、直接、発電機3を駆動しているものであって、エンジン2のシリンダーブロック4にて支持されているクランクシャフト5と、クランクシャフト5と剛体接続されているフライホイール6と、エンジン2にて回転力を付与される発電機3と、発電機3を軸受け7及び8にて支持しているハイブリッドトランスミッションケース9(以後ケースと記す)と、発電機3によって発電された電気によって駆動するモータ10と、ギア11を介してモータ10の回転が伝達される出力軸12と、から大略構成されており、発電機3のロータ軸13と、フライホイール6とがスプライン結合されている。
【0023】
フライホイール6は、エンジン2の爆発力による回転トルク変動を低減するために配置されていると共に、その機能特性上、重さを押さえつつ回転慣性を大きくしようとすると、自ずと外周径の大きな円盤状部材となる。そのため本実施例におけるフライホイール6は、大気開放されたダンパーハウジング14の中に収容されている。
【0024】
一方、シリンダーブロック4内及び第1空間に相当するケース9内の空間には、潤滑や冷却のための潤滑油が供給されており、ロータ軸13内には、ロータ軸13自身の冷却や、軸受け7,8を潤滑するために、潤滑油が通流する油路22(詳細は後述)が設けられている。
【0025】
また、このハイブリッドシステム1においては、シリンダブロック4内及びケース9内が外部に対して密閉された構造となっている。
【0026】
図2は、図1のA部を拡大したものであって、本発明の第1参考例におけるスプライン嵌合部20の潤滑構造を示している。
【0027】
第1の軸に相当するロータ軸13は、円筒状を呈し、その一端の外周面に雄スプライン21が形成されていると共に、その中心に油路22が設けられている。
このロータ軸13は、ケース9内で支持されている。
【0028】
油路22には発電機3の後端側(軸受け8側)から潤滑油が供給され、軸受け7,8の潤滑のため多少は排出されるものの、ロータ軸13自身を冷却した後、スプライン嵌合部20へ潤滑油を供給している。尚、油路22は、ロータ軸13の一端面に開口しており、この開口からスプライン嵌合部20へ潤滑油が供給されている。
【0029】
フライホイール6は、複数のボルト23、…23によってクランクシャフト5に剛体接合された本体部6aと、第1の軸に相当するロータ軸13とスプライン結合した第2の軸に相当するフランジ部6bと、本体部6aとフランジ部6bとを連結するダンパー部6cと、からなり、フランジ部6bには、ロータ軸13の雄スプライン21と嵌合する雌スプライン24が形成されている。詳述すれば、フランジ部6bは、略有底円筒状を呈し、その内周面に雄スプライン21と嵌合する雌スプライン24が形成されている。
【0030】
このフランジ部6bは、ダンパーハウジング14内の空間で支持されている。そして、フランジ部6bは、第1空間に相当するケース9内の空間と第2空間に相当するダンパーハウジング14内の空間とに跨るように配設されている。すなわち、フランジ部6bは、ケース9内の空間とダンパーハウジング14内の空間とを隔てる隔壁15を貫通しており、フランジ部6bの外周面と隔壁15との間がシール25によってシールされている。
【0031】
そして、雄スプライン21と雌スプライン24とを嵌合させてなるスプライン嵌合部20には、図中に矢示するように、ロータ軸13の内部に形成された油路22を介して潤滑油が供給されていると共に、このスプライン嵌合部20に供給された潤滑油は、フランジ部6bの開口端26からケース9内にドレンされている。
【0032】
尚、ロータ軸13の回転軸とフランジ部6bの回転軸とは一致している。
【0033】
このような第1参考例においては、スプライン嵌合部20に供給された潤滑油が、大気開放されたダンパーハウジング14内にドレンされずに、ケース9内にドレンされるため、潤滑油が外部に漏れ出てしまうことを防止することができる。
【0034】
また、スプライン嵌合部20に潤滑油を供給することができるため、スプライン嵌合部20における摩耗を抑制することができ、スプライン嵌合部20の耐久性を向上させることができる。
【0035】
以下、本発明の異なる参考例及び実施例について説明する。尚、上述した第1参考例と同一構成の部位には、第1参考例と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0036】
図3は、本発明の第2参考例におけるスプライン嵌合部20の潤滑構造を示しており、図1に示したハイブリッドシステム1のA部に相当するものである。
【0037】
この第2参考例は、上述した第1参考例と略同一構成となっているが、ロータ軸13の外周面には、環状の溝部30が形成され、この溝部30が形成された位置に、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールする断面略矩形の環状のシール部材31が配設されている。この溝部30は、スプライン嵌合部20よりもフランジ部6bの開口端26側に位置している。
【0038】
ロータ軸13には、フランジ部6bの開口端26よりも外側の位置に、油路22に連通するドレン孔32,33が設けられており、ロータ軸13を冷却した潤滑油を必要に応じてケース9内に適宜排出する構造となっている。
【0039】
シール部材31は、フランジ部6bの開口端26側となる溝部30の側壁面34に当接すると共に、フランジ部6bの内周面に当接している。
【0040】
このように構成された第2参考例においては、油路22からスプライン嵌合部20に供給された潤滑油は、シール部材31によってせき止められ、スプライン嵌合部20内が潤滑油によって満たされるため、雄スプライン21の歯面及び雌スプライン24の歯面をより確実に油浴させることができる。
【0041】
尚、この第2参考例においては、断面略矩形のシール部材31を用いてロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールしているが、一般的なOリングを用いてロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールするようにしてもよい。また、フランジ部6bの開口端26はケース9内に位置しているため、ロータ軸13とフランジ部6bとの間を必ずしも完全にシールする必要はなく、スプライン嵌合部20内に流れ込んだ潤滑油によってスプライン嵌合部20が油浴する程度に潤滑油の流れを規制する部材をシール部材31の代わりに用いることも可能である。
【0042】
図4は、本発明の第3参考例におけるスプライン嵌合部20の潤滑構造を示しており、図1に示したハイブリッドシステムのA部に相当するものである。
【0043】
この第3参考例においては、フライホイール6のフランジ部6bは、ダンパーハウジング14内の空間に位置するよう配設され、ロータ軸13の一端側がケース9内の空間とダンパーハウジング14内の空間とに跨るように配設されている。すなわち、ロータ軸13は、ケース9内の空間とダンパーハウジング14内の空間とを隔てる隔壁15を貫通しており、ロータ軸13の外周面と隔壁15との間がシール25によってシールされている。
【0044】
また、スプライン嵌合部20よりもフランジ部6bの開口端26側となるフランジ部6bの内周面には、環状の溝部41が形成され、この溝部41内に配設されたシール部材42によって、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間が完全にシールされている。
【0045】
そして、ロータ軸13の一端側には、略円筒形状の管43が圧入されており、雄スプライン21が形成されたロータ軸13の一端側が略二重管形状となっている。詳述すると、管43は、管43の管内と油路22とが連続するようロータ軸13に圧入されている。そして、管43の外周面とロータ軸13との間にはドレン流路44が形成されている。
このドレン流路44は、連通路45,46によってロータ軸13の外周側と連通している。連通路45は、スプライン嵌合部20とシール部材42との間に形成され、連通路46は、シール40よりも図4において左側の位置に形成されている。
【0046】
従って、潤滑油は、図4中に矢示するように、油路22から管43の管内を経てスプライン嵌合部20へ供給され、スプライン嵌合部20に供給された潤滑油は、連通路45からドレン流路44内に流れ込み、連通路46からケース9内にドレンされている。
【0047】
ロータ軸13とフランジ部6bとは、クランクシャフト11と同一回転をするので、スプライン嵌合部20に供給された潤滑油は遠心力によって外側へ移動する。そのため、スプライン嵌合部20よりも内周側にドレン流路44が形成されたこの第3参考例においては、スプライン嵌合部20における雌スプライン24の歯先位置が、必然的にドレン流路44の外周側に位置することになり、スプライン嵌合部20に供給された潤滑油がドレン流路44に流れ込むためには、潤滑油によってスプライン嵌合部20が満たされ、潤滑油が連通路45を乗り越えなければならない。
【0048】
従って、このような第3参考例においては、雄スプライン21の歯面及び雌スプライン24の歯面を確実に潤滑油で油浴させることができる。
【0049】
さらに、この第3参考例においては、スプライン嵌合部20に常に新しい潤滑油が供給されるため、劣化した潤滑油がスプライン嵌合部20に長期間滞留することを防止することができる。
【0050】
図5は、本発明の第1実施例におけるスプライン嵌合部20の潤滑構造を示しており、図1に示したハイブリッドシステム1のA部に相当するものである。また、図6は、ロータ軸13の要部平面図を示している。
【0051】
この第1実施例においては、スプライン嵌合部20よりもフランジ部6bの開口端26側となるロータ軸13の外周面に、環状の溝部50が形成され、この溝部50が形成された位置に、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールする断面略矩形の略環状のシール部材51が配設されている。
【0052】
詳述すれば、シール部材51は、フランジ部6bの内周面と、溝部50のフランジ部6bの開口端26側の側壁とに当接して、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールしている。
【0053】
また、シール部材51は、このシール部材51の周方向の一箇所が切断されている。
【0054】
スプライン嵌合部20における雌スプライン24の歯先位置の内径D1は、シール部材51の内径D2よりも大径となるよう形成されている。
【0055】
そして、ロータ軸13には、この溝部50よりも深溝となるドレン溝52が、ロータ軸13に軸方向に沿って溝部50を跨ぐように形成されている。
【0056】
このような第1実施例において、油路22からスプライン嵌合部20に供給された潤滑油は、クランクシャフト5と同一回転するロータ軸13及びフランジ部6bの遠心力によって、フランジ部6bの内周側に張り付くと共に、シール部材51によってせき止められる。
【0057】
そのため、潤滑油をせき止めるシール部材51のダム効果によって、シール部材51の内周側を乗り越えた潤滑油のみがドレン溝52を通って、フランジ部6bの開口端26からケース9内にドレンされることになる。従って、雄スプライン21の歯面及び雌スプライン24の歯面は、常に潤滑油によって油浴された状態となる。
【0058】
つまり、上述した第3参考例よりも簡単な構成で、常に新しい潤滑油によってスプライン嵌合部20を油浴することができる。
【0059】
尚、シール部材51は遠心力や熱膨張等によってフランジ部6bの内周側に密着することになるため、潤滑油は確実にせき止められる。また、ドレン溝52は、ロータ軸13の周方向に、複数個設けるようにしてもよい。
【0060】
また、シール部材51は、必ずしも周方向の一箇所が切断されている必要はない。そして、この第1実施例は、シール部材51の代わりに、Oリングのような断面円形の部材を用いても実現することが可能である。
【0061】
図7は、本発明の第2実施例におけるスプライン嵌合部20の潤滑構造を示しており、図1に示したハイブリッドシステム1のA部に相当するものである。
【0062】
この第2実施例においては、スプライン嵌合部20よりもフランジ部6bの開口端26側となるロータ軸13の外周面に、環状の溝部60が形成され、この溝部60が形成された位置に、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールする断面略矩形の環状のシール部材61が配設されている。
【0063】
詳述すれば、シール部材61は、フランジ部6bの内周面と、溝部60のフランジ部6bの開口端26側の側壁とに当接して、ロータ軸13の外周面とフランジ部6bの内周面との間をシールしている。
【0064】
また、シール部材61は、このシール部材61の周方向の一箇所が切断されている。
【0065】
スプライン嵌合部20における雌スプライン24の歯先位置の内径D1は、シール部材61の内径D2よりも大径となるよう形成されている。また、溝部60は、その底面60aがシール部材61の内周面に当接しないように形成されている。換言すれば、溝部60は、溝部60位置におけるロータ軸13の内径D3がシール部材61の内径D1よりも小さくなるよう形成されている。
【0066】
そして、シール部材61は、フランジ部6bの開口端26側の端部に、切欠62が形成されている。この切欠62は、シール部材61の周方向に沿った複数箇所に形成されている。
【0067】
このような第2実施例においては、シール部材61のダム効果によって、シール部材61の内周側を乗り越えた潤滑油のみがシール部材61の内周面と溝部71との間の隙間から切欠62を介して、フランジ部6bの開口端26からケース9内にドレンされる。尚、シール部材61は遠心力や熱膨張等によってフランジ部6bの内周側に密着することになるため、潤滑油は確実にせき止められる。従って、スプライン嵌合部20は、常に潤滑油によって油浴された状態となる。
【0068】
つまり、上述した第1実施例よりも簡単な構成で、常に新しい潤滑油によって雄スプライン21の歯面及び雌スプライン24の歯面を油浴することができる。
【0069】
尚、この第2実施例は、シール部材61の代わりに0リングのような断面円形の部材を用いても実現することが可能であるが、断面矩形のシール部材61を用いるのが好適である。また、シール部材61は、必ずしも周方向の一箇所が切断されている必要はない。
【0070】
次に、本発明の第4参考例について説明する。
【0071】
この第4参考例は、上述した第1参考例のスプライン嵌合部20の潤滑構造において、図8に示すように、雄スプライン21と雌スプライン24との中心合わせを、いわゆる大径合わせによって行っていると共に、雄スプライン21の歯底面21bが丸底となるよう形成されている。
【0072】
そして、雄スプライン21の歯底面21bと雌スプライン24の歯先面24aとの間に潤滑油の主な流路となるメイン流路70が画成されている。
【0073】
この第4参考例のように、雄スプライン21と雌スプライン24との中心合わせを大径合わせにすることによって、雄スプライン21の歯先面21aと雌スプライン24の歯底面24bとが接触するので、一般的な歯面合わせに比べて、雄スプライン21の歯先面21aと雌スプライン24の歯底面24bとの間に隙間が殆ど生じることがない。
【0074】
そのため、潤滑油が、雄スプライン21の歯面21c及び雌スプライン24の歯面24cよりもスプライン嵌合部20の外周側を流れることがなく、潤滑油をスプライン嵌合部20よりもフランジ部6bの開口端26側でせき止めなくとも、雄スプライン21の歯面21c及び雌スプライン24の歯面24cに確実に潤滑油を供給することができる。また、シール部材等により潤滑油をスプライン嵌合部よりもフランジ部6bの開口端26側でせき止める必要がないので、より安価な構造で雄スプライン21cの歯面21c及び雌スプライン24の歯面24cを潤滑油により確実に油浴することができる。
【0075】
そして、雄スプライン21の歯底面21bを丸底となるよう形成することによって、雄スプライン21の歯底面21bと雌スプライン24の歯先面24aとの間にメイン流路70が画成され、ロータ軸13及びフランジ部6bが回転するとその遠心力によって、このメイン流路70から雄スプライン21の歯面21c及び雌スプライン24の歯面24cに潤滑油が流れ込むため、潤滑油によって、雄スプライン21cの歯面21c及び雌スプライン24の歯面24cをより確実に油浴することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスプライン嵌合部の潤滑構造が適用されたハイブリッドシステムの全体構成説明図。
【図2】 図1のA部を拡大したものであって、本発明の第1参考例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【図3】 本発明の第2参考例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【図4】 本発明の第3参考例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【図5】 本発明の第1実施例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【図6】図5に示すロータ軸の要部平面図。
【図7】 本発明の第2実施例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【図8】 本発明の第4参考例におけるスプライン嵌合部の潤滑構造を示す説明図。
【符号の説明】
6…フライホイール
6b…フランジ部
13…ロータ軸
15…隔壁
20…スプライン嵌合部
21…雄スプライン
22…油路
24…雌スプライン
Claims (3)
- 第1空間内で支持された第1の軸に形成された雄スプラインと、隔壁によって上記第1空間と隔てられた第2空間内で支持された第2の軸に形成された雌スプラインと、を嵌合させてなるスプライン嵌合部の潤滑構造において、
上記第1の軸に上記スプライン嵌合部へ潤滑油を供給する油路が設けられ、
上記第2の軸は、略有底円筒形状を呈し、内周面に上記雌スプラインが形成されていると共に、上記隔壁を貫通して開口端が上記第1空間に開口しており、
上記油路を介して上記スプライン嵌合部へ供給される潤滑油が上記開口端から上記第1空間内にドレンされ、
上記スプライン嵌合部よりも上記第2の軸の開口端側となる位置に、上記第1の軸と上記第2の軸との間をシールする略環状のシール部材が配設され、
上記雌スプラインの歯先位置における上記第2の軸の内径D1が、上記シール部材の内径D2よりも大きくなるよう形成されていることを特徴とするスプライン嵌合部の潤滑構造。 - 上記シール部材は、上記第1の軸の外周面に形成された環状の溝部に配設されていると共に、上記溝部よりも深溝となるドレン溝が、上記第1の軸の軸方向に沿って上記溝部を跨ぐよう上記第1の軸に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプライン嵌合部の潤滑構造。
- 上記シール部材は、上記第1の軸の外周面に形成された環状の溝部に配設されていると共に、上記溝部は、該溝部位置における第1の軸の内径D3が上記シール部材の内径D1よりも小さくなるよう形成され、かつ上記シール部材は、上記第2の軸の開口端部側の一端部に切欠が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスプライン嵌合部の潤滑構造。
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