JP6774284B2 - 内燃機関の動弁装置と内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関におけるバルブの開閉を油圧で制御する油圧駆動式の動弁装置とこの動弁装置を備えた内燃機関に関する。
従来、船舶などで使用される比較的遅い回転速度で運転する内燃機関の吸排気弁を開閉する動弁装置として、油圧式の動弁装置が用いられている。油圧式の動弁装置は、機械式の動弁装置と比較して運転時の騒音が低く、動作による油の飛散が少なく船内環境をクリーンに維持することができる利点がある。
例えば、図18に示す従来の油圧駆動動弁装置100では、カム101で押動される駆動油圧ピストン102を摺動可能に収納した駆動シリンダ103と吸排気弁104を開閉させる受動油圧ピストン105を収納した受動シリンダ106とが油圧回路107によって接続されている。油圧回路107の上流側には新たな作動油を機関本体から供給する逆止弁108が設置されている。
このような4サイクル型の内燃機関においては燃焼室内のガス交換を行う吸気弁及び排気弁を有している。この弁駆動装置は通常はカムの動作に連動しており、吸排気弁の動作タイミングは常に一定となる。一方、機関の負荷毎に対する最適な吸排気弁動作タイミングは異なるため、従来の動弁装置では低負荷側もしくは高負荷側のどちらか一方の吸排弁動作タイミングに合わせてバルブタイミングを決定すると、もう一方は機関性能を犠牲にせざるを得ない。
機械式の動弁装置では、カムギヤとカム軸の位相をずらすことでリフトタイミングの調整を行う機構が多く見られるが、燃料噴射ポンプの駆動を吸排気弁駆動用と共通のカム軸で行う場合には同時に燃料噴射タイミングが変わるため採用が難しい。
従来の可変バルブタイミングを備えた油圧駆動式動弁装置の一例として特許文献1〜3に記載されたものが提案されている。
特許文献1に記載された内燃機関の動弁装置は、第一油圧室の容積を変動させる第一油圧ピストンと、第二油圧室の容積を変動させる第二油圧ピストンとを備え、第一油圧室と第二油圧室を連通する流体通路内の潤滑油を選択的に外部に放出する可変バルブタイミング(VVT)制御弁を備えている。VVT制御弁はECUと電気的に接続されていて、例えば吸気弁を閉じる際に電気的にアクチュエータを作動させることで作動油を外部に放出するとしている。
また、特許文献2に記載された内燃機関の動弁装置は、それぞれピストンを往復動させる第一シリンダと第二シリンダを接続する油圧経路を有していて、第二シリンダ内を摺動するプランジャ内に連通孔を形成している。連通孔に接続された第二シリンダ側面の溝部に作動油を排出する作動油排出経路が接続され、作動油排出経路に電子制御による排出量調整弁が設けられて開度を調整している。
プランジャが作動油を加圧する際に連通路を介して作動油の一部が排出されるので作動油の圧力上昇が遅くなり、排気弁の開タイミングを遅らせる。プランジャが作動油を減圧する際には、加圧途中で作動油の一部が排出されており作動油圧が低下しているため排気弁の閉タイミングを早めることができる。
また、特許文献3に記載された内燃機関の可変動弁装置では、カム側プランジャが主油圧室の作動油を加圧することで吸排気弁を開弁する。吸排気弁のリフトの途中でソレノイドの働きでパイロット弁体をリフトさせて背圧室の圧力を解放すると、主弁体がリフトして作動油の油圧がアキュムレータに開放され吸排気弁はリフト途中で着座動作に転じる。各サイクル毎にソレノイドの通電停止時期を可変制御することにより、リフト量及びリフトタイミングを可変制御することができる。また、背圧室の作動油を副シリンダの圧力吸収室に導入させることで主弁体をリフトさせ、吸排気弁の開弁時期を遅らせることができる。
特開2014−29138号公報 特開2015−132192号公報 特開平07−189634号公報
ところで、図18に示すような吸排気弁を油圧で駆動する油圧駆動動弁装置においても、バルブタイミングを可変とする機構を備えた動弁装置として特許文献1〜3に示すものが提案されているが、バルブタイミング制御はクランク角度位置の検出と連動した電磁弁(電動アクチュエータ)等の電気的手段の操作による常時制御が主流であり、これらの制御装置ではコストが高くなり安価に動弁装置を提供できないという欠点があった。
本発明は、このような実情に鑑みて、サイクル毎の常時制御を伴うことなくバルブ開閉タイミングを可変とした製造コストの低廉な内燃機関の動弁装置と内燃機関を提供することを目的とする。
本発明による内燃機関の動弁装置は、カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、駆動するカムによって往復動する駆動ピストンと、駆動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる駆動シリンダと、往復動することでバルブを開閉する受動ピストンと、受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、駆動シリンダ及び受動シリンダを接続していて内部に充填された作動油の油圧を受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を排出する動作を行うバルブユニットと、バルブユニットに一端が接続され他端が受動シリンダの内壁に開口されていて受動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、バルブユニットを通して油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、バルブユニット内の油圧低下に応じて排出流路から作動油を排出することで油圧伝達路内の油圧を変動させて、バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする。
本発明による動弁装置では、内燃機関の運転において、バルブユニット内の作動油が内燃機関の運転行程に応じてバイパス流路を介して受動シリンダの内壁まで流れ、受動ピストンの往復動の際にバイパス流路が開放されて作動油が排出されることでバルブユニット内の油圧が低下すると排出流路から油圧伝達路内の作動油が排出される。これによって油圧伝達路内の油圧が変動するため、受動ピストンを作動させてバルブの開弁または閉弁のタイミングを変更できる。そのため、内燃機関の運転中に回転速度や負荷等の要因に応じてバルブを開閉するタイミングを変動することができる。
また、本発明による内燃機関の動弁装置は、カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、往復動することでバルブを開閉する受動ピストンと、受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、受動シリンダに接続されていて作動油の油圧を受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を内燃機関の運転行程に応じて排出する動作を行うバルブユニットと、バルブユニットに一端が接続され他端が受動シリンダの内壁に開口されていて受動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、バルブユニットを通して油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、バルブユニット内の油圧低下に応じて排出流路から作動油を排出することで油圧伝達路内の油圧を変動させて、バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする。
本発明による内燃機関の動弁装置は、カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、駆動するカムによって往復動する駆動ピストンと、駆動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる駆動シリンダと、往復動することでバルブを開閉する受動ピストンと、受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、駆動シリンダ及び受動シリンダを接続していて内部に充填された作動油の油圧を受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を排出するバルブユニットと、バルブユニットに一端が接続され他端が駆動シリンダの内壁に開口されていて駆動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、バルブユニットを通して油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、バルブユニット内の油圧低下に応じて排出流路から作動油を排出することで油圧伝達路内の油圧を変動させて、バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする。
本発明による動弁装置では、内燃機関の運転において、バルブユニット内の作動油がバイパス流路を介して駆動シリンダの内壁まで流れ、駆動ピストンの往復動の際にバイパス流路が開放されて作動油が排出されることでバルブユニット内の油圧が低下すると排出流路から油圧伝達路内の作動油が排出される。これによって油圧伝達路内の油圧が変動するため、受動ピストンを作動させてバルブの開弁または閉弁のタイミングを変更できる。そ
のため、内燃機関の運転中に回転速度や負荷等の要因に応じてバルブを開閉するタイミングを変動することができる。
しかも、本発明では、受動ピストンの往復動によってバイパス流路が開弁するとバルブユニットのパイロット室の油圧が低下するため開閉弁が開弁し、排出流路を通して油圧伝達路の油圧を排出することで油圧伝達路の油圧が変動し、受動ピストンを移動させてバルブの閉弁のタイミングを変更することができる。
また、受動ピストンの外周面に作動油排出部が設けられ、受動ピストンがリフトしてバルブが開状態とされたときにバイパス流路と作動油排出部が連通するようにしてもよい。
受動ピストンがリフトしてバルブが開状態になると、受動ピストンの作動油排出部がバイパス流路の開口と連通するため、バイパスユニット内の作動油が作動油排出部に排出されてバルブの閉弁のタイミングを変更する。例えば、バルブの開弁タイミングやリフト量に大きな変化を与えない一方で、バルブの閉弁タイミングをより大きい割合で変化させることができる。
或いは、前記駆動ピストンがリフト移動して前記バルブが開状態とされたときに前記バイパス流路の他端の開口が開放させられるようにしてもよい。
また、バイパス流路には作動油を貯留するアキュムレータが設けられていることが好ましい。
バイパス流路の作動油が排出される際、アキュムレータに貯留された作動油がバイパス流路に排出されるためにバイパスユニットの圧力低下を遅延させ、更に油圧伝達路の油圧変動と受動ピストンの閉弁動作開始を遅延させることができる。このアキュムレータの作動圧力、容量等を設定することで、バイパス流路から作動油の排出が開始してから開閉弁が開弁するまでのタイミングを設定できる。
また、バイパス流路には開閉を切り替える切替弁が設けられていてもよい。
電磁弁等からなる切替弁を閉弁することで可変バルブタイミングシステムをOFFにし、開弁することでONにすることができる。これにより内燃機関の運転中に回転速度や負荷等の要因に応じて可変バルブタイミングシステムのON、OFFを制御して、バルブを開閉するタイミングを変動することができる。また、電磁弁のサイクル毎の常時制御を必要としない。
また、排出流路には排出された作動油を貯留する回生アキュムレータが接続されており、回生アキュムレータには貯留された作動油を油圧伝達路に循環させる循環流路が接続されていてもよい。
排出流路を通して排出される作動油を回生アキュムレータに貯留させ、排出流路の閉弁後に回生アキュムレータの作動油を油圧伝達路に戻すことができる。
また、バルブユニットのパイロット室には、開閉弁を開弁させる圧力を設定するプリロードアジャスタが設置されていてもよい。
プリロードアジャスタによって開閉弁を開弁させる圧力を設定することで、開閉弁の閉弁タイミングを設定できる。
本発明は上述したいずれかに記載された動弁装置を備えた内燃機関である。
動弁装置によって燃焼室の吸排気弁であるバルブを開閉するタイミングを可変調整することができ、しかも可変バルブタイミングシステムを備えた動弁装置を低廉に製造できる。
本発明に係る内燃機関の動弁装置及びこの動弁装置を備えた内燃機関によれば、内燃機関の運転中に、吸気行程または排気行程中の適切なタイミングで排出流路を開いて作動油の一部を排出することで油圧伝達路の圧力を変動させて、吸気バルブや排気バルブ等のバルブの開閉タイミングを可変にすることができる。
しかも、この排出流路の開閉は、バルブの開閉を行う受動ピストンの往復の動作によりシリンダ内壁に設けられたバイパス流路の開口を開閉することによりバルブユニットを介して行うことができる。そのため、サイクル毎の常時制御を必要としないでバルブの開閉タイミングを変更できるので低廉に動弁装置を製造できる。
本発明の第一実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 図1に示す動弁装置の可変バルブタイミングシステムの要部拡大図である。 (a)、(b)、(c)、(d)は実施形態による動弁装置のバルブタイミング可変動作原理を示す図である。 (e)、(f)、(g)、(h)はバルブタイミング可変動作原理を示す図である。 (i)はバルブタイミング可変動作原理を示す図である。 第二実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 第三実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 第四実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 第五実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 第六実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 第七実施形態による内燃機関の動弁装置の要部構成を示す図である。 実施形態と機械的リフトの動弁装置におけるバルブユニットのばね荷重を36.6Nに設定した場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 同じく、ばね荷重を152.4Nに設定した場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 同じく、ばね荷重を231.3Nに設定した場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 同じく、ばね荷重を335.3Nに設定した場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 同じく、ばね荷重を365.8Nに設定した場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 同じく、パイロットアキュムレータのない場合のグラフであって、(a)はバルブリフトとクランク角の関係を示す図、(b)は油圧流路内の油圧を示す図である。 従来の動弁装置の要部構成を示す図である。
以下、本発明の各実施形態による内燃機関の動弁装置を図1〜図17を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の第一実施形態による内燃機関の動弁装置1を示すものである。図1に示す動弁装置1は例えば船舶用ディーゼルエンジンの油圧駆動動弁装置である。この動弁装置1はバルブ閉じ時期を可変にする油圧駆動動弁装置用可変バルブタイミングシステムを備えている。動弁装置1は、吸気カムまたは排気カム(以下、単にカム2という)の回転を伝達する駆動油圧ピストン手段3とバルブとしての吸気弁または排気弁(以下、簡便のために吸気弁4という)を開閉作動する受動油圧ピストン手段5とが、作動油が充填された油圧伝達路としての油圧流路6によって連結されている。
駆動油圧ピストン手段3はローラガイドケース8内に駆動シリンダ9が形成され、駆動シリンダ9内には駆動ピストン10が摺動して往復動するように嵌合されている。駆動ピストン10のロッドの下端部にはローラガイド12が固定され、このローラガイド12にはカム2が当接していてリフト時即ちカム部が当接した時に駆動ピストン10を押し上げ可能とされている。駆動シリンダ9は駆動ピストン10の昇降によって作動油が充填された内部空間9aの容積を増減できる。
駆動シリンダ9は油圧流路6に接続されており、油圧流路6中の駆動シリンダ9との接続部近傍には作動油供給管14が接続されている。この作動油供給管14には逆止弁15が設置され、作動油供給管14と逆止弁15により作動油供給部が構成される。油圧流路6の油圧が低下した場合には逆止弁15を開弁して図示しない機関本体から作動油を供給することになる。
また、受動油圧ピストン手段5は動弁ケース17内に作動油が充填された受動シリンダ18が形成され、受動シリンダ18内には受動ピストン20が摺動して往復動するように嵌合されている。受動シリンダ18には油圧流路6が接続されている。受動ピストン20の下端部には吸気弁棒(または排気弁棒)21を介して吸気弁4(または排気弁)が連結されている。カム2のリフト時には駆動ピストン10が上昇し、受動ピストン20が降下して吸気弁4を開弁する。カム2のリフト終了時には駆動ピストン10が下降し、受動ピストン20が上昇して吸気弁4を閉弁する。吸気弁4には受動ピストン20を上方の閉弁方向に付勢する弁ばね23が圧縮状態で装着されている。受動シリンダ18は受動ピストン20の昇降によって作動油が充填された内部空間18aの容積を増減できる。
次に受動油圧ピストン手段5に設置された可変バルブタイミングシステム25について説明する。受動シリンダ18の内部空間18aにはバルブユニット26が接続されている。図2に示すように、バルブユニット26に形成されたパイロット室27は開閉弁としての主弁体28とアジャストプレート29によって両端が封止されて設置されている。
主弁体28は小径の貫通孔をなすパイロットポート28aを通して油圧流路6とパイロット室27(背圧室)とを連通しており、油圧流路6内の作動油がパイロット室27内に流入可能とされている。主弁体28とアジャストプレート29との間には主弁ばね30が圧縮状態で装着されていて、主弁体28に後述する閉弁方向の負荷を与えている。アジャストプレート29はその外側に取り付けたプリロードアジャスタ31によって主弁ばね30の圧縮荷重(プリロード)の大きさを調整可能とされている。
即ち、プリロードアジャスタ31による主弁ばね30の圧縮荷重を大きく設定すると主弁体28の閉弁荷重が上昇し、主弁体28が開弁してから閉弁するまでの時間が短縮されて吸気弁4の閉弁進角量は小さくなる。他方、プリロードアジャスタ31による主弁ばね30の圧縮荷重を小さく設定すると主弁体28の閉弁荷重が低下し、主弁体28が開弁してから閉弁するまでの時間が長くなって吸気弁4の閉弁進角量は大きくなる。
また、拡張機能として機関本体の負荷、回転数や給気圧等の信号に応じてプリロードアジャスタ31をサーボモータやリニアアクチュエータ等のアクチュエータで制御することで、シームレスにバルブタイミングを可変にすることができる。
パイロット室27には閉弁状態の主弁体28で閉塞される排出流路32が接続されており、排出流路32の他端は動弁ケース17の外部(のドレン配管)に開口されている。主弁体28は常態において、主弁ばね30とパイロット室27内の油圧による閉弁方向の付勢力が油圧流路6内の油圧による開弁方向の付勢力より大きく、油圧流路6とパイロット室27との間を閉鎖する閉弁状態に保持されている。パイロット室27内の油圧が低下して油圧流路6内の油圧が相対的に高くなった場合には、主弁体28が主弁ばね30の付勢力とパイロット室27内の油圧に抗してアジャストプレート29側に移動して開弁可能とされている。主弁体28の開弁によって油圧流路6内の作動油がバルブユニット26を通して排出流路32に排出される。
また、パイロット室27に一端が接続され他端が受動シリンダ18の内壁に開口して接続されたバイパス流路33が形成されている。バイパス流路33において、バルブユニット26の下流側にパイロットアキュムレータ34が接続されている。パイロットアキュムレータ34は蓄圧室37に設置したアキュムレータピストン38がアキュムレータばね39によって付勢されている。
そして、パイロット室27内の油圧がアキュムレータばね39の付勢力より高い場合にはアキュムレータピストン38がアキュムレータばね39を圧縮することで作動油を蓄圧室37内に貯留する。パイロット室27内の油圧がアキュムレータばね39の付勢力より低下した場合には、蓄圧室37に蓄圧した作動油を放出することでバイパス流路33及びパイロット室27内の油圧の低下を抑制し遅延させる。パイロットアキュムレータ34を設置することで後述するように吸気弁4のフルリフト量の低下を抑制することができる。
また、バイパス流路33にはパイロットアキュムレータ34の下流側にパイロット切替弁41が設置されている。パイロット切替弁41は例えば電磁弁等からなるものであり、動弁装置1において、可変バルブタイミングシステム25の使用時にはバイパス流路33を開弁し、不使用時にはバイパス流路33を閉弁するように切り換える。
パイロット切替弁41の下流側には受動シリンダ18の内壁の開口付近にオリフィス42が設置されている。オリフィス42は動弁ケース17の受動シリンダ18の壁面に連通している。また、受動シリンダ18と受動ピストン20により形成される排出溝部43aはバイパス流路33のオリフィス42から排出される作動油を受け入れる構造を有しており、排出溝部43aの下方にも排出された作動油を貯留する貯留溝部43bが形成されている。排出溝部43aと貯留溝部43bは内部の貫通孔を介して連通しており、オリフィス42から吐出された作動油は排出溝部43aを通って貯留溝部43bに降下する。
そのため、吸気弁4の非リフト時にはオリフィス42の出口が受動ピストン20の外周面によって閉塞され、吸気弁4のリフト時には受動ピストン20の排出溝部43aに連通してパイロット室27内の作動油を排出可能となる。
なお、動弁ケース17に形成された排出流路32の下方には径方向に延びていて受動シリンダ18と外部のドレン配管に連通する排出補助口44が形成されている。排出流路32や排出溝部43aに排出された作動油が排出補助口44を経由してドレン配管によって、機関本体で回収される。
また、パイロットアキュムレータ34が蓄圧室37から蓄圧した作動油を放出する作動圧力はオリフィス42の出口が受動ピストン20の排出溝部43aと連通した際の油圧流路6の油圧において、主弁体28が開弁し始めるパイロット室27内の油圧以上の大きさとすることが望ましい。また、パイロットアキュムレータ34の作動圧力を吸気弁4のバルブクラッキング圧以上に設定することで、吸気弁4のリフト開始時期の遅延を防ぐことが可能となる。
ここで、オリフィス42と受動ピストン20の排出溝部43aの位置関係について説明する。
吸気弁4のフルリフト位置に近い所リフト(降下)した受動ピストン20の排出溝部43aとオリフィス42とが連通するように設置すると、主弁体28の開弁が吸気弁4のフルリフト位置に近い所で生じるため、吸気弁4の最大リフト量の低下を最低限に抑えることができる。しかし、一方で、吸気弁4のフルリフト位置近傍で排出溝部43aがオリフィス42に連通するように設定した場合、主弁体28が開弁して受動ピストン20のリフト量が減少した際に、すぐにオリフィス42が排出溝部43aからずれて受動ピストン20により閉塞される。すると、主弁体28が閉弁することから吸気弁4の閉弁の進角量は減少する。
これを回避する方法として主弁体28のパイロットポート28aの内径を縮小することが考えられるが、パイロットポート28aの内径を縮小すると主弁体28の入口側油圧である油圧流路6内の油圧に対するパイロット室27内の油圧の追従性が悪化する。そのため、油圧流路6内の脈動などの外乱により意図せぬタイミングで主弁体28が開弁する懸念がある。
これに対してバルブユニット26の下流側にパイロットアキュムレータ34を設置すると、オリフィス42が受動ピストン20の排出溝部43aに連通してから主弁体28が開弁するまでの間、パイロットアキュムレータ34内の作動油を放出する時間だけ主弁体28の開弁タイミングが遅角するから、オリフィス42が受動ピストン20の排出溝部43aに連通する位置を吸気弁4のフルリフト位置より低い位置に設定可能となる。
これによって、吸気弁4の最大到達リフト量を稼ぐことが可能となり、同時にオリフィス42が受動ピストン20の排出溝部43aに連通する位置の低下に伴い、オリフィス42が再び受動ピストン20により閉塞されるときの吸気弁4のリフト量を低くすることが可能であるため、吸気弁4の閉弁タイミングの進角量を大きく設定することができる。
本実施形態による動弁装置1は上述した構成を備えており、次に図3乃至図5に基づいて可変バルブタイミングシステム25の動作を説明する。
動弁装置1において可変バルブタイミングシステム25を適用しない場合、パイロット切替弁41を閉弁しておく。この場合、油圧流路6からバイパス流路33を通したオリフィス42からの作動油の排出は起こらない。そのため、バルブユニット26の主弁体28は開弁せず、油圧流路6内の作動油が吸気弁4のリフト中にバルブユニット26の排出流路32から排出されないため、カム2のプロフィールに沿ったバルブタイミングで吸気弁4がリフトする。
次に可変バルブタイミングシステム25を適用する場合、パイロット切替弁41を開弁しておく。
図1において、吸気弁4の閉弁状態で、受動ピストン20はバイパス流路33の出口開口に設けたオリフィス42の上側に排出溝部43aが位置して静止している。図3(a)に示すように、カム2が回転してリフトを開始すると、駆動ピストン10が押動されて上昇(リフト)を始める。駆動ピストン10が上昇することによって油圧流路6では駆動シリンダ9側から受動シリンダ18側に作動油が流れ、油圧流路6及び受動シリンダ18の内部空間18a内の油圧が上昇する。
そして、作動油の圧力による受動ピストン20を押す力が弁ばね23の付勢力(荷重)と吸気弁4を押す力を超えると、受動ピストン20及び吸気弁4がリフト(下降)を開始し、燃焼室22内に吸気弁4が開弁し始める。
この時、油圧流路6内の作動油の一部は、バルブユニット26の主弁体28のパイロットポート28aを介してパイロット室27内に流入し、パイロット室27からバイパス流路33のオリフィス42までの作動油(以下、識別のため、この作動油をパイロット油と呼称する)の圧力を上昇させる。
次に、図3(b)に示すように、パイロット室27及びバイパス流路33内のパイロット油の昇圧に伴い、パイロットアキュムレータ34ではアキュムレータばね39の付勢力に抗してアキュムレータピストン38が押されて蓄圧室37内にパイロット油が貯留される。この状態で、バイパス流路33のオリフィス42の出口は下方にリフトする受動ピストン20の外周面に当接して封止されており、パイロット油はバイパス流路33内に保持される。
図3(c)において、油圧流路6内の昇圧によって更に受動ピストン20のリフトが進むと、オリフィス42が受動ピストン20の排出溝部43aに連通し始め、バイパス流路33内のパイロット油がオリフィス42を通って排出され始める。排出溝部43aに排出されたパイロット油は受動ピストン20の内部の貫通孔を通って下方の貯留溝部43b内に降下する。
図3(d)において、バイパス流路33から排出溝部43aへのパイロット油の排出が進むと、バルブユニット26のパイロット室27及びバイパス流路33内の油圧が低下する。すると、パイロットアキュムレータ34に貯留されていたパイロット油がバイパス流路33内に放出され、パイロット室27内の油圧の低下を抑えて保持する。
そして、図4(e)に示すようにパイロットアキュムレータ34からの作動油の放出が終了すると、パイロット室27内の油圧が低下する。図4(f)に示すように、バルブユニット26におけるパイロット室27の油圧低下が進むと、油圧流路6内の油圧による主弁体28の開弁荷重が主弁ばね30の付勢力とパイロット室27内の油圧による主弁体28の閉弁荷重との和以上となって、主弁体28が主弁ばね30方向に開弁する。主弁体28の開弁に伴って油圧流路6内の作動油が排出流路32から排出される。
すると、図4(g)に示すように、油圧流路6からの作動油の排出が進んで油圧流路6内の油圧が低下するため、受動ピストン20が上昇して吸気弁4のバルブリフトが低下し、吸気弁4が早期の閉弁作動(早閉じ)を開始する。受動ピストン20の上昇によりオリフィス42が受動ピストン20の外周面によって閉塞されると、パイロット室27内の油圧が再び上昇を開始する。
そして、図4(h)に示すように、主弁体28のパイロットポート28aを通して作動油がパイロット室27内に流入することでパイロット室27内の油圧上昇が進み、主弁体28が閉弁する。すると、排出流路32からの作動油の排出が停止する。図5(i)において、カム2が更に回転して駆動ピストン10のリフト量が低下することで油圧流路6内の油圧が低下して吸気弁4が閉弁する。このように、バルブリフトの途中工程である図4(f)〜(h)の間で排出流路32から油圧流路6内の作動油を排出して油圧を低下させ、吸気弁4のリフト量を低減させているため、カム2のリフト期間よりも早く吸気弁4が閉弁する。即ち、カム2のプロフィールにおけるバルブリフト終了位置よりも早めにバルブを閉弁させるため、早閉じが行われる。
上述のように本実施形態による動弁装置1によれば、電磁弁等のパイロット切替弁41の開閉操作だけで可変バルブタイミングシステム25のON、OFFを切り換えて、油圧によって吸気弁4の閉弁タイミングを変更することができる。そのため、クランク角度やカム角度と同期したリアルタイムな電磁弁等の制御が不要となるため、高価な制御装置を必要としない低廉な可変バルブタイミングシステム25を得られる。
上記効果により低負荷から高負荷にかけてバルブタイミングを変更可能となり、エミッションと熱効率のトレードオフ改善が期待される。
更に、吸気弁4の早閉じによるミラーサイクルでは有効圧縮比が減じるため、低負荷時は圧縮端温度・圧力が低くなること、吸気弁閉じ位置における燃焼室容積が小さいことによるトラップ空気量の減少により燃料の着火性および燃焼が悪化して排煙濃度が上昇する懸念があった。これに対して本実施形態では、低負荷時に吸気弁4の閉じ開始を下死点近傍に変更することで上述した課題を解消して排煙濃度の改善を期待できる。
また、可変バルブタイミングシステム25のバイパス流路33にパイロットアキュムレータ34を備えたため、パイロットアキュムレータ34内の作動油を放出する時間だけ主弁体28の開弁タイミングが遅れてオリフィス42が排出溝部43aに連通する位置を吸気弁4のフルリフト位置より低い位置に設定できる。これによって最大到達リフト量を稼ぐと共にオリフィス42が排出溝部43aに連通する位置の低下に伴いオリフィス42が再び受動ピストン20によって閉塞されるときの吸気弁4のリフト量を低くすることができるため、閉弁タイミングの進角量を大きく設定することができる。
また、バルブユニット26にプリロードアジャスタ31を設けて主弁ばね30のプリロード値を調整することで主弁体28の開閉タイミングを変化させて、吸気弁4のバルブリフトタイミングを短くまたは長く調整することができる。
なお、本発明は上述の第一実施形態による動弁装置1に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。次に本発明の他の実施形態や変形例について説明するが、上述した実施形態と同一または同様な部分、部材には同一の符号を用いて説明する。
次に本発明の第二実施形態による動弁装置1Aを図6により説明する。
図6に示す動弁装置1Aの可変バルブタイミングシステム25では、パイロット切替弁41をバルブユニット26の上流側でバイパス流路33に設置した。本実施形態によれば、パイロット切替弁41の開閉切り替えによって、油圧流路6からバルブユニット26への作動油の流入を制御することができる。しかも、本実施形態では、上述した第一実施形態による動弁装置1と同様の動作を得られる。
図7は本発明の第三実施形態による動弁装置1Bを示すものである。
本実施形態による動弁装置1Bは、バイパス流路33の出口にオリフィス42を設置しないで省略した。これにより、受動ピストン20のリフト時にバイパス流路33からパイロット油が比較的短時間で排出溝部43aに排出され、パイロットアキュムレータ34からのパイロット油の放出も比較的短時間で行われるため、吸気弁4の早閉じが比較的早期に行われる。
本実施形態による動弁装置1Bでは、バルブタイミング可変時の最大リフト量の減少を容認可能な場合や、パイロットアキュムレータ34の容量を大きく設定可能な場合など、排出流路32の出口からパイロット油の排出速度を減ずる必要が無い場合に有効な構造である。
図8は本発明の第四実施形態による動弁装置1Cを示すものである。
本実施形態による動弁装置1Cは、バイパス流路33にオリフィス42に加えてパイロットアキュムレータ34を設置しないで省略した。
本実施形態による動弁装置1Cでは、バイパス流路33の出口がリフト(降下)する受動ピストン20の排出溝部43aに連通した場合に、バルブユニット26のパイロット室27からパイロット油が排出されて油圧が低下する際にパイロットアキュムレータ34によるパイロット室27の油圧低下遅延を生じさせることなく主弁体28を開弁させて排出流路32から油圧流路6内の作動油を排出する。本実施形態では、最大リフト量の減少を容認可能な場合に有効な最も簡素な構造である。
図9は本発明の第五実施形態による動弁装置1Dを示すものである。
本実施形態による動弁装置1Dは、例えば第一実施形態に示す可変バルブタイミングシステム25において、排出流路32の下流側端部に回生アキュムレータ45を設置した。この回生アキュムレータ45は、蓄圧室46にアキュムレータピストン47が設置され、アキュムレータピストン47をアキュムレータばね48の付勢する構成を備えている。また、排出流路32は回生アキュムレータ45の近傍で分岐されて油圧流路6に接続された循環流路49が設置され、循環流路49には逆止弁50が設置されている。
回生アキュムレータ45の作動圧力は機関本体の供給油圧以上の油圧に設定し、且つアキュムレータばね48の取付荷重に対するバルブクラッキング油圧以下で動作するように設定することが好ましい。このような構成を採用することで、吸気弁4のバルブリフトの着座を阻害することなくスムーズに油圧流路6内に作動油を循環させることが出来る。なお、吸気弁4がリフト動作を行う際には、逆止弁50により油圧流路6から回生アキュムレータ45への作動油流入は遮断される
本実施形態による動弁装置1Dによれば、バルブリフト時にバルブユニット26のパイロット室27に設けた主弁体28が開弁した際に排出流路32を通って排出される作動油を、回生アキュムレータ45のアキュムレータピストン47を排出流路32の油圧によってリフトさせることで蓄圧室46に一時的に貯留する。そして、主弁体28が閉弁して油圧流路6の圧力が低下すると、アキュムレータばね48の付勢力によって蓄圧室46内の作動油は循環流路49の逆止弁50を介して油圧流路6に循環する。
本第五実施形態によれば、排出流路32を介して排出される作動油をバルブリフト終了時に回生アキュムレータ45を介して油圧流路6内に循環させることができるため、作動油のドレン量が最小限となり、可変バルブタイミングシステム25の消費エネルギーを低減することができる。
また、油圧流路6において、作動油の昇圧に使用したエネルギーの一部を回生アキュムレータ45を介して循環することができるため、可変バルブタイミング動作時の消費エネルギーを低減できる。
図10は本発明の第六実施形態による動弁装置1Eを示すものである。
本実施形態では可変バルブタイミングシステム52を受動シリンダ18に代えて駆動シリンダ9を備えたローラガイドケース8に設置した。可変バルブタイミングシステム52は第一実施形態による可変バルブタイミングシステム25と同一構成を備えており、同一の機能を有する。そのため、可変バルブタイミングシステム52の各部材に可変バルブタイミングシステム25の各部材と同一の符号を用いて説明する。
駆動シリンダ9の内部空間9aにバルブユニット26が接続され、そのパイロット室27と駆動シリンダ9の内壁との間にバイパス流路33が設置されている。バイパス流路33には上流側から下流側に向けてパイロットアキュムレータ34とパイロット切替弁41が順次接続され、更に駆動シリンダ9の開口付近にオリフィス42が設置されている。
また、パイロット室27には閉弁状態の主弁体28で閉塞される排出流路32が接続されている。排出流路32の他端は、駆動シリンダ9と外部のドレン配管を連通する排出補助口44に接続され、排出補助口44はローラガイドケース8の外部のドレン配管に開口されている。そのため、排出流路32や駆動ピストン10の排出溝部43aに排出された作動油は排出補助口44を経由してドレン配管によって機関本体で回収される。
本実施形態による動弁装置1Eにおいても、第一実施形態と同様に、電磁弁等のパイロット切替弁41の開弁操作で可変バルブタイミングシステム52をONに切り換える。パイロット切替弁41を開くことで、バルブユニット26内の作動油が内燃機関の運転行程に応じてバイパス流路33のオリフィス42を介して駆動シリンダ9の内壁へ流れる。駆動ピストン10の往復動の際にバイパス流路33の出口が開放されて作動油が排出溝部43aに排出される。バイパス流路33の油圧はパイロットアキュムレータ34からのパイロット油の放出による圧力低下の遅延を介してバルブユニット26内の油圧が低下すると、排出流路32から油圧流路6内の作動油が排出される。これによって油圧流路6内の油圧が低下するため、受動ピストン20を作動させて吸気弁4の閉弁のタイミングを変更できる。
そのため、内燃機関の運転中に回転速度や負荷等の要因に応じてパイロット切替弁41の開閉を操作することでバルブタイミングを変更することができる。
なお、本実施形態では、バイパス流路33の出口の開閉操作は駆動ピストン10によって行われるため、駆動ピストン10がカム2で押し上げられている間は吸気弁4のバルブリフトが低下してもバルブユニット26の主弁体28は閉弁することを抑えられる。
図11は本発明の第七実施形態による動弁装置1Fを示すものである。
本実施形態による動弁装置1Fは、第六実施形態と同様に可変バルブタイミングシステム52を駆動シリンダ9に設置したものであり、排出流路32の排出口をローラガイドケース8内に接続したものである。本実施形態によれば、油圧流路6内の作動油を排出流路32を通してローラガイドケース8内に排出し、カムケースからシリンダブロックで回収するようにしたものである。
本実施形態においても第六実施形態による動弁装置1と同様の動作を得られる。
次に上述した実施形態による動弁装置1〜1Fにおいて、油圧流路6内の油圧変化に応じたクランクアングルと吸気弁4(排気弁)のバルブリフト量との関係について求めた計算結果について図12〜図17により説明する。各図において、比較例として機械式の動弁装置によるクランクアングルと吸気弁のバルブリフト量との関係を演算し、メカニカルリフト(Mechanical Lift)として示した。各実施例において、図12〜図16は第一実施形態による動弁装置1を用いたものであり、パイロット切替弁41をONとし、パイロットアキュムレータ34を設置した。そして、バルブユニット26のプリロードアジャスタ31の位置調整による主弁ばね30のプリロード値を順次変化させた。
図12に示す実施例1はプリロード値を36.6Nとした場合である。実施例1は、吸気弁4のバルブリフトのピークで主弁体28を開弁して作動油を排出流路32から排出することで、油圧流路6内の油圧の変化に対応してバルブリフト量が低下し、主弁体28の閉弁時まで比較例(メカニカルリフト)に対してバルブリフト量が低下した。主弁体28の閉弁時以降はほぼ同一の軌跡でリフト量が変化した。ピーク時における実施例とメカニカルリフトとのバルブリフト量の差により吸気弁4の早閉じを確認できた。実施例1において主弁体28の開弁時を符号A、閉弁時を符号Bで示す。
同様に、図13では実施例2のプリロード値を152.4N、実施例3ではプリロード値を231.3N、実施例4ではプリロード値を335.3N、実施例5ではプリロード値を365.8Nとした。主弁ばね30のプリロード値が大きくなるに従って、油圧流路6の油圧変化が小さくなり、バルブリフト量はメカニカルリフトに近づいていった。そのため、リフト量の早閉じの効果が小さくなった。
また、図17は、第一実施形態からパイロットアキュムレータを省略した実施例6であり、動弁装置1Cにおいてパイロットアキュムレータを固定して計算した。この実施例6では、パイロットアキュムレータ34を固定したため、吸気弁4のリフト量はフルリフト位置近傍まで遅延できず、フルリフト位置に到達する前の段階で閉じ始めた。
そのため、パイロットアキュムレータ34を設置した方が、吸気弁4のリフト低下開始をフルリフト位置近傍まで遅延させることができる。
1、1A、1B、1C、1D 動弁装置
2 カム
4 吸気弁(排気弁)
6 油圧流路
9 駆動シリンダ
10 駆動ピストン
18 受動シリンダ
20 受動ピストン
25 可変バルブタイミングシステム
26 バルブユニット
27 パイロット室
28 主弁体
28a パイロットポート
30 主弁ばね
31 プリロードアジャスタ
32 排出流路
33 バイパス流路
34 パイロットアキュムレータ
37、46 蓄圧室
38、47 アキュムレータピストン
39 アキュムレータばね
41 パイロット切替弁
42 オリフィス
43a 排出溝部
45 回生アキュムレータ
49 循環流路

Claims (10)

  1. カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、
    駆動する前記カムによって往復動する駆動ピストンと、
    前記駆動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる駆動シリンダと、
    往復動することで前記バルブを開閉する受動ピストンと、
    前記受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、
    前記駆動シリンダ及び受動シリンダを接続していて内部に充填された作動油の油圧を前記受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、
    前記油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を排出するバルブユニットと、
    前記バルブユニットに一端が接続され他端が前記受動シリンダの内壁に開口されていて前記受動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、
    前記バルブユニットを通して前記油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、
    前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、
    前記バルブユニット内の油圧低下に応じて前記排出流路から作動油を排出することで前記油圧伝達路内の油圧を変動させて、前記バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  2. カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、
    往復動することで前記バルブを開閉する受動ピストンと、
    前記受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、
    前記受動シリンダに接続されていて作動油の油圧を前記受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、
    前記油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を排出するバルブユニットと、
    前記バルブユニットに一端が接続され他端が前記受動シリンダの内壁に開口されていて前記受動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、
    前記バルブユニットを通して前記油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、
    前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、
    前記バルブユニット内の油圧低下に応じて前記排出流路から作動油を排出することで前記油圧伝達路内の油圧を変動させて、前記バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  3. カムによって加圧される作動油の油圧でバルブを開閉する内燃機関の動弁装置であって、
    駆動する前記カムによって往復動する駆動ピストンと、
    前記駆動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる駆動シリンダと、
    往復動することで前記バルブを開閉する受動ピストンと、
    前記受動ピストンを往復動させて作動油の容積を変化させる受動シリンダと、
    前記駆動シリンダ及び受動シリンダを接続していて内部に充填された作動油の油圧を前記受動ピストンに伝達する油圧伝達路と、
    前記油圧伝達路に接続されていて開閉動作によって作動油を排出するバルブユニットと、
    前記バルブユニットに一端が接続され他端が前記駆動シリンダの内壁に開口されていて前記駆動ピストンの往復動により開閉が切り換えられるバイパス流路と、
    前記バルブユニットを通して前記油圧伝達路の作動油を排出させる排出流路とを備え、
    前記バルブユニットは、前記バイパス流路を通した作動油の排出による油圧の変化を受けて開弁可能で開弁時に作動油を前記排出流路に排出する開閉弁と、前記開閉弁に設けたパイロットポートを介して前記油圧伝達路の作動油が導入され、この導入された作動油の圧力によって前記開閉弁で前記排出流路を閉弁させるパイロット室とを有し、前記パイロット室に前記バイパス流路が接続されており、
    前記バルブユニット内の油圧低下に応じて前記排出流路から作動油を排出することで前記油圧伝達路内の油圧を変動させて、前記バルブの開弁または閉弁のタイミングを変更するようにしたことを特徴とする内燃機関の動弁装置。
  4. 前記受動ピストンの外周面に作動油排出部が設けられ、前記受動ピストンがリフト移動して前記バルブが開状態とされたときに前記バイパス流路と前記作動油排出部が連通するようにした請求項1または2に記載された内燃機関の動弁装置。
  5. 前記駆動ピストンがリフト移動して前記バルブが開状態とされたときに前記バイパス流路の他端の開口が開放させられるようにした請求項3に記載された内燃機関の動弁装置。
  6. 前記バイパス流路に作動油を貯留するアキュムレータが設けられている請求項1から5のいずれか1項に記載された内燃機関の動弁装置。
  7. 前記バイパス流路には開閉を切り替える切替弁が設けられている請求項1から6のいずれか1に記載された内燃機関の動弁装置。
  8. 前記排出流路には排出された作動油を貯留する回生アキュムレータが接続されており、前記回生アキュムレータには貯留された作動油を前記油圧伝達路に循環させる循環流路が接続されている請求項1から7のいずれか1項に記載された内燃機関の動弁装置。
  9. 前記バルブユニットのパイロット室には、前記開閉弁を開弁させる圧力を設定するプリロードアジャスタが設置されている請求項1から8のいずれか1項に記載された内燃機関の動弁装置。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載された内燃機関の動弁装置を備えた内燃機関。
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