JP3909699B2 - 内燃機関の弁駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関の吸気および排気弁はカムの回転によって開閉するので、開閉の時期が固定である。任意の運転状況において、高い熱効率と清浄な排気を維持するために、機関の負荷変化や回転速度変化に応じて吸排気弁の開閉時期を可変することが要求される。このような可変弁開閉時期の機能を有する弁駆動システムを提供しようとして、電磁駆動弁や油圧駆動弁が考案されている。例えば、特許文献1あるいは特許文献2には電磁駆動吸排気弁が提示され、非特許文献1には油圧駆動吸排気弁のシステムが示されている。
【0003】
前述した特許文献1には、電磁アクチュエータにより吸排気ポートを開閉する弁(バルブ)を動かし、かつ弁を開閉する付勢力を与えるコイルバネを取りつけた内燃機関用弁開閉機構であって、電磁アクチュエータは、ステータとコイルから構成される一対の電磁石を隙間Sを設けて対向させ、この隙間Sにアーマチャを配設し、前記両電磁石によって前記アーマチャを、一方の電磁石と他方の電磁石の間で往復動自在とし、前記アーマチャの一方の電磁石への移動を外部に伝達するための第1ステムを前記アーマチャの移動側の面に設けたものであり、この電磁アクチュエータを内燃機関本体に固定のハウジングに収納して、上記アーマチャを一方の電磁石の方に移動させることにより、上記第1ステムが上記弁を動かして開弁操作を行うようにすると共に、その弁にリテイナーを設けて、このリテイナーと内燃機関本体との間に弁を開弁方向に付勢する第1戻しコイルバネを取りつけ、第2ステムを、上記第2ステムを設けた上記アーマチャの面と反対側の面に設けると共に、この第2ステムにリテイナーを設け、そのリテイナーと上記ハウジングとの間に、前記第2ステムが上記アーマチャを押す方向の付勢力を与える第2戻しコイルバネを取りつけた構成が記載されている。
【0004】
特許文献3には、作動油供給装置に供給される作動油によって吸気弁または排気弁を駆動することが記載されている。
特許文献4には、非対称双安定型液圧駆動器構成が記載されている。
【0005】
特許文献5には、内燃機関の吸気用または排気用のバルブと機械的に結合される可動子と、前記弁を開くために前記可動子を吸引する開電磁石と、前記弁を閉じるために前記可動子を吸引する閉電磁石と、前記可動子に弁を開閉する方向の力を作用させる第1バネおよび第2バネと、前記第1バネを支持する第1バネ支持部材と、前記第2バネを支持する第2バネ支持部材とを備えた弁駆動装置において、前記開電磁石と前記閉電磁石のいずれか一方または両方を前記弁の開閉方向に移動可能にした弁駆動装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−038912号公報
【特許文献2】
特開平6−299818号公報
【特許文献3】
特開2001−280109号公報
【特許文献4】
特開平6−002514号公報
【特許文献5】
特開平10−089029号公報
【非特許文献1】
SAE PAPER No.2002−01−0422
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
吸気もしくは排気弁、すなわち吸(排)気弁(弁)の駆動装置に要求される性能としては次のようなものがある。
(1)迅速な開閉
内燃機関の吸気または排気は非常に短い時間内に完了しなければならない。特に、機関が高速で運転するとき、吸気弁の開く速度が遅ければ、吸気効率が悪化し、機関の性能は低下する。従って、弁の開閉速度は速いほうが望ましい。
(2)開弁初期に必要とされる大きい駆動力
弁開閉時期にシリンダ内のガス圧力は機関の設計や運転条件によるが、0.2〜0.5MPaのガス圧力は弁の表面に作用している。排気弁を開こうとするとき、上記ガス圧力と弁表面積の乗積で計算される力に打勝つ駆動力が必要となる。この力と上記高速に弁を駆動する場合、弁本体と駆動装置の運動部分の質量を加速するための力を合せて、開弁初期にかなり大きな駆動力が必要となる。開弁後期になると、シリンダ内のガス圧力がガスの排出に伴って低下し、加速度も減るので、それほど大きな駆動力は必要としない。
(3)弁のソフトな着座
吸排気弁が着座するとき、弁およびバルブシート摩耗の低減のために、同時に、騒音発生の抑制のために、弁とバルブシートの衝突を緩和しなければならない。すなわち、ソフトな着座を必要とする。
(4)弁のリフト量の制御
アイドリング運転など吸気量の制御を必要とするときや、EGR(排気ガス再循環)を用いて燃焼や排気を制御する場合、弁リフト量を可変させる必要がある。
【0008】
上記のような弁駆動システムに対する性能的要求に、従来の技術は全て満足させることはできない。例えば、電磁駆動装置は、構造上開弁初期に、吸引力をもっとも必要とするにもかかわらず、固定子とアーマチャ間のすき間が大きいので大きな吸引力を発生することが困難である。逆に開弁後期に、上記すき間は小さくなり、吸引力は開弁終了直前に最大値となる。これは内燃機関の弁開閉に必要とする力の需給と逆となり、開弁初期に非常に大きな電流を供給することによって必要な吸引力が確保できるものの、合理的な構造とは言い難い。また、開弁後期の吸引力増大によって弁が着座する際の衝突力が増大する。
このような衝突を緩和するために、緩和材料を用いる例も見られるが、内燃機関の一般的なライフに耐えられる緩和材料は少ない。
【0009】
従来の弁駆動装置には、二つの磁石を直列させて配置し、開弁初期の固定子とアーマチャのすき間を小さくすることによって吸引力の増大を図っているものがある。しかし、このタイプの電磁石のアーマチャには永久磁石しか使用できず、排気弁を駆動する場合、運転中に高温になる排気弁のステムからの熱伝導によって高温になり、性能が低下するおそれがある。また上記の例の装置のいずれもリフト量の制御は困難である。
油圧弁駆動装置は、弁のリフト量と着座速度の制御は容易である。しかし、弁を高速に動作させるために、作動油を高速に駆動部に注入しなければならない。このため、流動損失が増大し、装置もかなり大きくなり、実用化が難しい。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑み、小さな駆動源を使用して、かつ小さな駆動源で充分であり、吸気弁または排気弁の開弁初期に大きい駆動力を発生させて開弁を急峻動作させ得る制御の容易な内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する駆動装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は、上述の従来技術における問題点の解決を狙い、小さな駆動源による駆動力と開閉弁に必要な力が調和した駆動力の供給、迅速なバルブ開閉、制御できる着座速度、制御できるリフト量、高温の排気弁にも有効に適用できる内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する駆動装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動するプランジャーを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、前記流体圧室の体積が増加するときに、プランジャーの摺動に伴ってエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを前記弁装置を介して開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによってプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に前記吸気弁または排気弁の開動作が行われる内燃機関の弁駆動装置を提供する。
【0013】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして、例えば対向配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に向って配設され、前記吸気弁または排気弁の弁開閉動を行う他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、前記流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴ってエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを前記弁装置を介して開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャーが駆動されて、前記吸気弁または排気弁の開動作が行われる内燃機関の弁駆動装置を提供する。また、前記エネルギ蓄勢装置は、蓄勢弾性体とプランジャー保持装置とからなる構成とする。
【0014】
また、前記弁装置によって前記流体圧室の体積が減少させられて一方側のプランジャーが摺動し、前記流体駆動源及び弁駆動装置によって前記流体圧室の体積が増加されて前記プランジャー保持装置によって一方側のプランジャーが保持されると、前記弁装置によって前記流体圧室内の体積が減少し、他方側のプランジャーが該他方側のプランジャーに作用する他の蓄勢弾性体の蓄勢エネルギによって摺動され、以って前記吸気弁あるいは排気弁の閉動作が行われるようにすることができる構成とする。
【0015】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に連絡路によって連通される二つの流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、一方の流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴ってエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、流体の流出速度の制御による着座緩和機構を有する内燃機関の弁駆動装置を提供する。
【0016】
本発明は、内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に連絡路によって連通される二つの流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、一方の流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴ってエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを任意の指定されたタイミングに放出および放出を停止させる蓄勢保持装置を備え、流体の流入量または流出量を制御することによってリフト量を任意に制御する内燃機関の弁駆動装置を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例の一部断面を含む構成図である。図2は、図1の右半分の構成を拡大して示す。内燃機関は多気筒からなり、各気筒のヘッドにはそれぞれ弁駆動装置が設けられて吸気および排気の制御がなされる。本実施例の重要な特徴の1つは複数ある弁駆動装置100、100´に単一の流体圧駆動源、すなわち流体ポンプ16が設けられて、複数の弁駆動装置100、100´、……に対して駆動流体の供給がなされることである。
図1において、流体ポンプ16は油管14a、14bにも作動油を供給することができる。
図1に示す左半分の弁駆動装置100´は実質的に右半分に示す弁駆動装置100の構成と同一である。よって、弁駆動装置100の構成を図2に示し、説明を行う。
【0018】
図2において、内燃機関の弁駆動装置100は、弁本体1を備える。弁本体1は、中央のシリンダ8が構成される中央弁体構成部2と、その両端に設けられる端弁体構成部3、4からなり、端弁体構成部3、4と中央弁体構成部2との間に保持板22、23がそれぞれ配設されて、三者はボルト締めなどによって一体化されている。
【0019】
シリンダ8(以下、内部に円筒空間を構成する構成体を意味する。円筒空間の意味で使用するときはシリンダ内という)は、そのシリンダ内の体積(容積)は可変とされ得、可変体積は、弁装置からの作動油の供給、それに基づくシリンダ8内にその一部がそれぞれ配設されて摺動可能な一方側のプランジャー(以下、ピストンを含む概念で使用する)6と他方側のプランジャー7の摺動に伴って形成される。従って、一方側のプランジャー6と他方側のプランジャー7とはシリンダ8内において端面が対向配置とされ、同一直線方向に、すなわち吸気または排気弁31方向に摺動する。
中央弁体構成部2、すなわち弁本体1には、流体導入出路41、42が形成され、これらはシリンダ8内に向って開口している。
【0020】
本実施例にあっては、流体ポンプ(P)16で示す流体駆動源が設けられる。流体ポンプ16は、内燃機関の始動準備が指示されると直ちに作動し、流体を体内で循環を行っており、いつでも流体を流出可能である。
流体駆動源に使用される流体としては、油、水、空気などの流体のいずれを採用し得る。以下、典型的な油を作動流体、すなわち作動油として使用する場合について説明する。
【0021】
流体ポンプ16の出力端には高圧の油管15が接続され、油管15は流体導入路41に接続され、その途中に電磁弁14(磁歪制御も可能)などの弁装置が配設される。電磁弁14の弁開閉動作によって流体ポンプ16からの作動油はシリンダ8内に流入し、また流入が止められる。
電磁弁14および油管15に対向する形で電磁弁27および油管28が設けられる。油管28には流体導出路42に接続され、その導出側は流体ポンプ16の入力側に接続される。従って、シリンダ8内で作動した作動油は流体ポンプ16によって循環され、電磁弁14、27によって流れが制御されることが判るであろう。電磁弁14、27の制御のために図示しない内燃機関の制御に関連したコンピュータ制御装置(後述する)によって作られた指示が与えられる。
【0022】
一方側のプランジャー6は、中央弁体構成部2内の空間部43および端弁体構成部3内の空間部44内に、図において縦方向に、すなわち吸気弁または排気弁31方向に向って、配設されている。一方側のプランジャー6には受け部25が設けてあり、この受け部25と保持板22との間には弾性コイルバネ10が配設してある。この弾性コイルバネ10は、蓄勢弾性体となり、エネルギを蓄積することができる。以下、弾性コイルバネを作用の観点から開弁バネということがある。
【0023】
一方側のプランジャー6の上端付近において係合溝47が形成してある。そして、端弁体構成部3の空間部44内には、電磁石12が配設してあり、電磁石12が作動すると電磁石12内に設けたストッパー11を係合溝47方向に移動させる。ストッパー11が係合溝47に係合すると、その係合状態を維持する限り、一方側のプランジャー6はその停止状態がより一層に一定時間内において保持される。
【0024】
電磁石12の作動は、内燃機関の制御に使用されるコンピュータ制御装置によって作成された指示信号によってなされる。コンピュータ制御装置にはプログラムが組み込まれており、内燃機関についてコンピュータコントロールを行っている。
制御装置からの所定タイミングにおける蓄勢エネルギの放出指示が電磁石12、18に与えられると、一気に蓄勢エネルギが放出され、流体圧室9の作動油は排出不可能とされてプランジャー6、7は下方に動作して吸気または排気弁31を開放させる。
【0025】
他方側のプランジャー7は、中央弁体構成部2内の空間部43a(空間部43の反対側に対向して形成されている)および端弁体構成部4内の空間部45内に、図において縦方向に、すなわち一方側のプランジャー6と同一線上に配設されている。
他方側のプランジャー7には、止め具26が形成してあり、プランジャー7の端付近には複数の係合溝51、52、53が形成してある。そして端弁体構成部4の空間部45内には電磁石18が配設してあり、電磁石18が作動すると電磁石18内に設けたストッパー19をいずれかの係合溝51、52、53方向に移動させる。ストッパー19がいずれかの係合溝51、52、53に係合すると、その係合状態を維持する限り、他方側のプランジャー7はその停止状態が保持される。
【0026】
従って、係合溝47とストッパー11を含む電磁石12、係合溝51、52、53とストッパー19を含む電磁石18はそれぞれプランジャー保持装置の一部を構成することになり、二つのプランジャー保持装置がそれぞれ一方側のプランジャー6、他方側のプランジャー7をある所定位置に係止、すなわち停止保持させることになる。
【0027】
プランジャー6の下降動作に伴うプランジャー7が停止位置に近づくと、電磁弁27が一段解放し、プランジャー6の下方への移動した分の作動油は電磁弁27から排出するため、プランジャー7は下方に移動させる動力が失われ、移動速度が低下し、そしてゼロとなることによって徐々に止められ、最終的に止め具26と保持板23の間、またはストッパー19と係合溝51、52、53のいずれか1つの間に大きな衝撃がなく静かに止まる(以下、緩慢動作停止という)。ここで電磁弁27が閉じられ、流体圧室9内の作動油の排出が停止するので、プランジャー6の下方への移動も停止する。流体圧室9内の作動油は緩衝材として作用し、プランジャー6が静かに止まるよう働く。プランジャー7はプランジャー6の動きを流体圧室9の作動油を介して間接的に受ける。機械的にあるいは構造的に直接的に受けるようにしてもよい。
ここで重要なことは、前述した蓄勢弾性体とプランジャー保持装置とがエネルギ蓄勢装置13を形成することである。
【0028】
従って、流体ポンプ16、電磁弁14、27、シリンダ8内に形成される流体圧室9は蓄勢されるエネルギを付与し、かつ開放する作用をなす。蓄勢されるエネルギの伝達は、一方側のプランジャー6を介してなされる。
他方側のプランジャー7にはこれに一体としてあるいは別体にして接続された弁ステム33が設けられており、弁ステム33の先端には吸気または排気弁31(以下、まとめて吸(排)気弁ということがある)が設けられる。
【0029】
内燃機関の一部に保持板24が設けてあり、また弁ステム33にも保持板25が設けてある。これらの保持板24、25の間に弁ステム33を囲む形で他の弾性コイルバネ21が配設してある。この弾性コイルバネ21は、蓄勢弾性体となり、エネルギを蓄勢することができる。以下、この弾性コイルバネを作用の観点から閉弁バネということがある。
閉弁動作は上記開弁動作と同様に、ストッパー19および電磁弁27の動作によって行い、また電磁弁27の開閉タイミングおよび閉じる速度を制御によって緩慢着座を実現する。閉弁動作の詳細について後述する。
【0030】
吸気弁または排気弁31は弁座32に着座している状態から、弁ステムすなわち本図の場合、上方側のプランジャー7の下方移動に伴って弁座(バルブシート)32との間が開放される。またプランジャー7の上方移動に伴って吸気弁または排気弁31は弁座32に着座するに至り、閉じられる。吸入した空気あるいは排気ガスは、吸気管あるいは排気管34内を流れる。その流れは吸気弁または排気弁31によって制御される。
ここで重要なことは、前述した蓄勢弾性体とプランジャー保持装置とがエネルギ蓄勢装置13を形成することであり、エネルギ蓄勢装置13は一時的にエネルギを蓄勢し、一気に放出することができるということである。
【0031】
次に検討したバネ諸元、油圧の設計について説明する。
1.開閉弁の所要時間
図3に実測のディーゼルエンジンNFD13(ヤンマー株式会社製ディーゼル機関、単気筒排気量638cc、圧縮比17.7、下の計算はこれをベースとする)の排気弁リフトとクランク角の関係を示す。排気弁は排気下死点前約25クランク度から開くことが判る。
開弁と閉弁はそれぞれ約70クランク度、110クランク度がかかる。回転速度を考慮してこれを開閉弁の所要時間に換算する。
Figure 0003909699
【0032】
2.排気弁の開弁時にバルブに働くガス圧力
図4に正味平均有効圧力0.6MPa(ほぼ全負荷)の場合のエンジンの気筒内圧力実測値を示す。排気弁の開弁は排気下死点前約25クランク度である。このときの気筒内圧力は0.306MPaである。過給の場合や早期開弁を考慮して約1.8の安全ファクターを設けると、バルブ表面の圧力は最大で0.551MPaとする。
排気弁直径は31mm、面積754mmから計算すると、排気弁表面に最大407Nのガス圧力が作用する。
【0033】
3.バネ諸元の計算
▲1▼閉弁バネ21(弾性コイルバネ、着座保持バネ)
実測によると、上記ディーゼルエンジンNDF13の排気バルブバネの諸元は線径3.00mm、有効巻数6、中心径21.0mm、自由長42mm、バネ定数14.3N/mm、プリテンション4.80mm、予圧68.6N、フルリフト(4.50mm)時の荷重133Nになっている。
(バネ係数はカトウスプリングコンプレーション荷重計算アプリケーション(インターネット版)より計算、以下同)
電磁駆動弁や油圧駆動弁の場合、ロックアームやプッシュロードがないので、着座保持力が確保できれば、閉弁力をある程度削減してもよいと考え、着座保持バネの諸元を次のように変更する。
線径3.00mm → 2.30mm
有効巻数6 → 変らず
中心径21.0mm → 変らず
自由長42.0mm → 50.0mm
バネ定数14.3N/mm → 4.94N/mm
プリテンション4.80mm → 12.8mm
着座保持力68.6N → 63.2N(ほぼ変らず)
フルリフト(4.50mm)荷重133N→ 85.4N
【0034】
▲2▼蓄勢弾性コイルバネ10(開弁バネ)
開弁バネおよび閉弁バネの弾性力はそれぞれFおよびF、弁に働くガス圧力はFとすれば、開弁条件をF>F+Fであるため、開弁初期F>470Nとなる。同様にフルシフト条件をF>F+Fとすると、開弁末期F>85.4Nとなる。
従って、開弁バネは次のように設計できる。
線径3.50mm
有効巻数5
中心径21.0mm
自由長40.0mm
バネ定数31.8N/mm
プリテンション10.0mm
予圧力461N(開弁初期)
フルリフト荷重318N(開弁末期)
よって、上記開弁条件がほぼ満足できる。
【0035】
4.弁の運動解析
図5において、開弁バネと閉弁バネのバネ係数はそれぞれkとk、バルブとバネの全質量はm、摩擦力はf=c(dx/dt)(cは定数)、バネ定数k=k−kとする。また、弁の背圧は弁が開いた瞬間、ガス圧力と同じとなると仮定して、弁の運動に影響しないとする。
以上より、弁の運動方程式は
【数1】
Figure 0003909699
【0036】
すなわち、
【数2】
Figure 0003909699
となる。
【0037】
これの一般解は
【数3】
Figure 0003909699
となる
開弁初期条件t=0のとき、x(t)=0.0145m(プリテンション10mm+フルリフト4.5mm)、dx/dt=0により、C=0.0145、C=0.0145u/ωが求められる。
【0038】
従って、開弁時のリフト(変位)と時間の関係は次の式より計算される。
【数4】
Figure 0003909699
【0039】
同様に、閉弁の初期条件t=0のとき、x(t)=0.0173m(プリテンション12.8mm+フルリフト4.5mm)、dx/dt=0により、C=0.0173、C=0.0173u/ωが求められるので、閉弁時のリフト(変位)と時間の関係は次の式より計算される。
【数5】
Figure 0003909699
【0040】
数4および数5を時間に対して微分をすれば、開閉弁速度が得られる。また、弁に働くバネの力は次のようになる。
【数6】
Figure 0003909699
【0041】
静摩擦力cを20Nと仮定し、また、NFD13の排気バルブの質量は58.2gであるが、バネやプランジャーと合わせて、運動系の全質量を150gとする。また、エンジン回転速度は3000rpmとする。
【0042】
排気弁についての計算結果の一例を図6に示す。
破線は本実施例のクランク角と排気弁リフトの関係で、対応するために、すでに図3に示した従来のカム式の排気弁リフトも併せて実線で示す。同様の開弁期間において、従来のカム式に比べて、本発明のリフトの立ち上がりが早く、すなわち、開弁速度は高い。この速度は従来の電磁駆動式に匹敵のもので、エンジンの回転速度は3000rpm以上にも応用できると考える。これは油圧を利用しながら開弁の力が蓄勢した開弁バネによって供与する本実施例の駆動方式こそ実現できる早さで、従来の油圧を直接利用する駆動方式は同様の開弁速度を達成するために、後述のように、極端に大きな作動油供給速度が必要となる。
同図から本発明の実施例の場合、開弁または閉弁の終了時のリフトの不連続点が存在する。これは弁の開閉が終了するとき衝撃の発生を意味する。この衝撃は、後述の作動油の減速、またはシリンダ8の体積の変化速度の制御によって消去できる。
【0043】
5.油圧、油室体積および流速の検討
流体圧室の油圧を6MPa、プランジャー直径を14mmで仮定すると、プランジャー端面積は1.54cm、圧力は920Nである。これは開弁バネを圧縮するのに充分な値である。
【0044】
作動油の充填量はフルリフト4.5mmで計算すると0.693cmである。すなわち、吸(排)気弁を開弁するために、上記約0.7cmの作動油をシリンダ8の中に注入またはシリンダ8から排出させなければならない。従来の油圧を直接利用する駆動装置の場合、弁の開閉速度は作動油の注入または排出の速度によって決まる。このため、従来の油圧駆動装置は高い開弁速度を得られるために、非常に大きな流量で作動油を供給せざるを得ない。例えば、図6に示す電磁駆動弁と同等な開弁速度を達成させるために、表1に示す開弁速度と作動油供給流量の計算結果のように30000cm/minの流量が必要である。この流量を内径2.5mmのパイプを用いて供給する場合、作動油の流速は10.2m/secに達してしまう。この流量および流速は作動油供給ポンプ16にとって負担は大きく、パイプ内の流動損失も増加する。これに対して、本発明の実施例において、開弁は開弁バネに蓄勢した弾性力によるもので、開弁速度はシリンダ8への作動油充填速度と関係せず、上記と同様に0.7cmの体積を時間をかけて供給することができる。例えば、表1に示すように、弁が開いている期間に充填すれば作動油の供給流量は5000cm/minで、流速は1.7m/secである。これは従来の油圧駆動装置に比べて、1/6となる計算である。また、弁が閉じている期間は開いている期間より約3倍長いので、流量と流速は更に低減でき、充填流量および流速は従来技術の1/17で十分である。
【0045】
以上のことから本発明は、開弁力を作動油の圧力でバネに蓄えてから放出するという弁駆動方式は急峻な開弁を実現しながら、開弁速度と作動油の充填速度は直接関係しないので駆動の動力源となるポンプのエネルギ消費は少ない。
【0046】
【表1】
Figure 0003909699
(表1に開弁時間は1.4m/sec(3000rpm、25クランク度に相当する時間)とし、シリンダ8への充填量は0.7cm、シリンダ8に接続するパイプ15および電磁弁のオリフィスの内径は2.5mmとする場合、従来油圧駆動弁と本発明の実施例の作動油流量と流速の比較例を示す。)
【0047】
次に図7から図11を使用して開閉弁動作、特に急峻開動作および緩閉動作について順を追って説明する。
図7は開閉弁動作を説明するに当って、図2に示す構成を判りやすい平易な図としたものである。図2に示す構成の中で重要な構成については同一の番号が付してある。
【0048】
図8は開弁始動動作を示す。指令により電磁弁14が開放されて流体ポンプ16から作動油がシリンダ8内の流体圧室9に流れて(1)、流体圧室9内の体積を増加させる。この場合に、他方側のプランジャー保持装置は係合状態とされ、他方側のプランジャー7は移動しない。一方側のプランジャー保持装置は非係合状態とされていたので、一方側のプランジャー6は、図に示すように、上昇する(2)。これに伴って蓄勢弾性コイルバネ10は圧縮され、エネルギが蓄勢されていく。エネルギの蓄勢が完了した段階では指令によって電磁石12が閉電作用し、ストッパー11が左へ作動して(3)係合溝47に係合するに至る。ストッパー11は自己回復のバネが内蔵されて、ソレノイド12に通電すると右へ動き、閉電するとバネの力で左へ回復する。この状態になると電磁弁および係合装置によるプランジャー保持装置が作動している状態となってプランジャー6は静止が保持される。すなわちエネルギが保持された状態となる。
【0049】
図9において、電磁弁14が閉じ(4)、電磁石12、18の通電作用によってストッパー11、19が右方向に作動する(5)、(6)と、係合がはずれた状態となる。すなわちプランジャー保持装置が無拘束となる。すると、蓄勢弾性コイルバネ10に蓄勢されたエネルギによって、すなわち蓄勢弾性コイルバネ10が伸長することによって素早く一方側のプランジャー6が下方に動く(7)。これに伴って、流体圧室9の作動油は圧縮力が与えられて(8)、その力を他方側のプランジャー7に伝達する。この時に電磁弁27は閉じている。
【0050】
他方側のプランジャー7は下方に移動し(9)、吸気弁または排気弁31を弁座32から離間させる。すなわち吸気弁または排気弁31が蓄積されたエネルギによって開放される(10)。この場合に注目されるのは、エネルギの蓄積が最も大きなときが弁開放の動作に使用されるということである。この動作が従来の電磁力によって駆動する弁開放動作と異なる。蓄勢エネルギの大きさは蓄勢弾性コイルバネによって定められ、蓄勢エネルギの大きさによって弁開放の急峻さが定まる。開弁の終了直前に電磁弁27の開閉によって開弁の衝撃が緩和される(10a)。
【0051】
図10、図11は弁閉動作を示す。および、図12は開閉弁動作のタイムチャートを示す。図10において、電磁弁14は再び開き(2回目)(11)、作動油が流体圧室9内に導入される。この状態では他方側のプランジャー7は作動油の作用によって吸気弁または排気弁31を開放しており、流体圧室9内の作動油の増加、すなわち流体圧室の体積の増加に伴って無拘束であった一方のプランジャー6は上昇し(12)、蓄勢弾性コイルバネ10は圧縮されてエネルギを蓄勢する。ある一定位置まで来ると、係合溝47とストッパー11とは係合可能な位置関係となり、電磁石12の閉電作用によってストッパー11は左方向に動作して(13)両者の係合がなされる。この状態になると、プランジャー保持装置によってプランジャー6は停止位置が保持されるに至る。また、上記作動油の再充填(11)、(12)は閉弁動作(15)、(16)、(17)の後に行ってもよい。
【0052】
図11において、電磁弁27が開放され(14)、流体圧室9内の作動油が導出されると、電磁弁14は閉じられているので、蓄勢弾性コイルバネ21に蓄勢されたエネルギによって、すなわち蓄勢弾性コイルバネ21が伸長することによって他方側のプランジャー7は上昇に動作するに至る(15)。この上昇に伴って、吸気弁または排気弁31は上昇する。これによって吸気弁または排気弁31の閉動作が行われる。また、この上昇に伴って、もっとも下部の係合溝51とストッパー19とは係合可能位置状態、すなわち吸気弁または排気弁31は弁座32に着座する状態となり、この状態で電磁石18が閉電作用し、ストッパー19が左へ動作し(16)、ストッパー19を当該係合溝に係合させる。これによってプランジャー保持装置が作動状態となる。
【0053】
閉電動作の直前に電磁弁27はコンピュータより指示を受け、制御された速度で閉じる。すると、作動油の流出速度が制御され、緩慢な着座を行う(16a)。
最終的に電磁弁27が閉じられる(17)。
【0054】
次に、吸気弁または排気弁31を閉動作させるに当って図9に示される動作に移行し、順次図9〜図11に示される状態が繰り返されて弁の開閉動作が連続してなされることになる。
以上のように、吸(排)気弁の開弁動作および閉弁動作をまとめてみると次のようになる。エンジンが始動後最初の開閉弁はAからCまで動作する。それ以降の開閉弁はBからCまでの繰り返しである。
【0055】
開弁始動動作A(図8)
→電磁石12が閉電
→電磁弁14が開、高圧油充填(1)
→開弁バネ(蓄勢弾性コイルバネ)10が圧縮(2)
→ストッパー11がロック(3)
→電磁弁14が閉(4)
【0056】
開弁動作 B(図9、図10)
→電磁石18が通電
→ストッパー19が開放(5)
→電磁石12が通電
→ストッパー11が解放(6)
→開弁バネ10が伸び、一方側のプランジャー6と他方側のプランジャー7が同時に下方に移動(7)、(8)、(9)、吸(排)気弁31が開(10)
→閉弁バネ21が圧縮
→電磁弁27は一瞬だけ開閉(開弁衝撃の緩和のため)(10a)
→電磁石18が閉電
→ストッパー19がロック
→他方側のプランジャー7が運動停止
→電磁弁14開、高圧油充填(11)
→開弁バネ10が再び圧縮
→一方側のプランジャー6が上方に移動(12)
→電磁石12が閉電
→ストッパー11がロック(13)
→一方側のプランジャー6が運動停止、次回の開弁に備える
→電磁弁14が閉
【0057】
閉弁動作 C(図10、図11)
→電磁弁27が開、油圧が低下(14)
→電磁石18が通電
→ストッパー19が解放
→閉弁バネ21が伸びる
→他方側のプランジャー7が上方に移動(15)、(16)、油排出、吸(排)気31弁が閉
→電磁弁27は制御された速度で閉じる(着座衝撃緩和のため)(16a)
→電磁石18が閉電
→ストッパー19がロック(17)
→電磁弁27が閉(18)
→他方側のプランジャー7は運動停止、次回の開弁に備える
【0058】
内燃機関の吸(排)気弁の動作は間歇式なので、弁の動作しない期間を利用して、ゆっくり高圧油を充填して開弁バネ10を圧縮する。高圧油の充填速度が低いので、流動損失が少ない。その結果、大型作動油供給装置を必要としなく、高圧の流体ポンプ16と高圧の油管15と高圧の電磁弁14の軽量化ができる。例えば、流体ポンプ16の吐出量は一対の吸(排)気弁において、1800cm/minあれば充分とされる。これは高速タイプの直接式油圧駆動弁に使用されるポンプに比べて約1/17の流量で済むことを意味する(表1参照)。
【0059】
開弁バネ10がゆっくり圧縮された後、ストッパー11の解放によって、蓄積したエネルギを一気に放出するので、流体圧室9に充填された作動油を介して、一方側のプランジャー6と他方側のプランジャー7が同時に下方へ移動させる大きな加速度が得られる。その結果、弁開動作は非常に速い。また、開弁初期に開弁バネ10がもっとも圧縮された状態にあり、弾性力は最大である。これは開弁初期にもっとも力を必要とする内燃機関の開弁特性に一致しているので、本発明の動作原理および機構は合理的なものである。
【0060】
一方側のプランジャー6と他方側のプランジャー7が下方に移動し始めると、吸気または排気弁31が開き始め、次第に吸気または排気弁31と弁座32との間にすき間ができ、内燃機関の吸(排)気が開始する。このままにすると、吸気または排気弁31が所定のもっとも下方の位置まで進み、最大リフトに達する。吸気または排気弁31が下方に移動する途中の任意の時間に電磁石18を閉電させると、ストッパー19がロック位置に動作し、吸気または排気弁31が最大リフトに達する前に運動が停止する。これによって吸気または排気弁31のリフト量を制御する。
【0061】
吸気または排気弁31の閉弁が開始すると、流体圧室9の作動油が油管28を経て電磁弁27から排出される。電磁弁27は流量調整できるタイプの電磁弁である。閉弁初期に電磁弁27を全開させ、後期に所定の速度で徐々に絞る。これによって、吸気または排気弁31が閉弁初期に作動油の抵抗をほとんど受けず、迅速に閉弁する。後期になればなるほど、作動油の絞り損失による抵抗が大きくなり、吸気または排気弁31の閉弁速度が低下する。これによって、吸気または排気弁31が着座する際に弁座32との衝突が緩和される。
【0062】
図13は、本実施例の制御装置を示す。図において、コンピュータの処理装置80は各種の計算を行うことができる。処理装置80にはマップデータベース81からエンジンのマップデータが送られてくる。また、処理装置80には運転状況入力処理器82、クランク角入力処理器83が接続される。運転状況入力処理器82にはエンジン排ガス情報、エンジンの出力情報、エンジンの各部温度情報が入力され、クランク角入力処理器83にはクランク角信号、上死点信号が入力され、それぞれ処理装置80に送られる。
【0063】
処理装置80では、上記入力情報に基づき、エンジンの運転状況を瞬時に割り出し、マップデータベースから送られたマップデータと比べて、蓄圧開始時期、蓄圧終了時期、開弁開始時期(蓄勢エネルギ解放時期)、開弁速度制御、開弁終了時期、閉弁開始時期、閉弁速度制御、閉弁終了時期、リフト量について計算処理する。また、これらの計算が、マップデータベースから伝送されたマップデータ以外に、エンジンの運転者の指令データを直接取り込み計算することもできる。計算処理されて出力された制御信号は、パワアンプ84〜87に出力される。
【0064】
パワアンプ84は電磁石12に、パワアンプ85は電磁弁14に、パワアンプ86は電磁石18に、そしてパワアンプ87は電磁弁27にそれぞれ接続されており、これらの装置について前述した通りの動作を行うべく作用する。
【0065】
図14から図20は本発明の第2の実施例を示す。本実施例は実施例1と比較して、弁リフトが連続して制御できることと開弁または閉弁末期の緩慢運動が自動的に実現できる特徴がある。図14から図18は先の実施例の図7から図11にそれぞれ対応する。同一の構成には同一の番号を付し、説明は先の実施例の説明を準用し、変更した部分について重点的に説明する。
【0066】
図14において、先の実施例に比べると、流体圧室9は上方側にある流体圧室9Aと下方側にある流体圧室9Bとに分けられている。そして両者を連絡する連絡路72がシリンダ8の肉厚部に形成してある。流体圧室9Aの壁にある流体圧室9Bへの連絡通路72の位置はプランジャー6の通り道にあるので、プランジャー7が上下移動するとき、連絡路72の上側の連絡開口部73との間では徐々に開口が増減され、また全面開放、全面閉塞される関係が形成される。ただし、ポンプ16に接続する入口側の開口部75の開口は閉塞することはない。
【0067】
同様に、下側の流体圧室9Bの開口部74は閉塞することはない。流体圧室9Bの出口側の開口部76の位置はプランジャー7の上下移動の通り道にあるので、プランジャー7の移動に伴って開口面積が増減する。このような開口部73および開口部76の面積の変化によって、流体の流出の速度が変化する。これによって開弁または閉弁末期の弁の動作速度を制御する。
【0068】
一方側のプランジャー6の下方の端面は傾斜した端面を有する。プランジャー6はシリンダ8に沿って上下方向に摺動できると同時に円周方向に回旋運動を利用して、弁のリフトを制御する。
【0069】
例えば、図22(a)に示すように、プランジャー6の端の傾斜を右に向ける場合、下方に破線で示す位置まで移動できるので、移動距離はSである。図22(b)は実際Sだけの距離を移動した様子を示す。プランジャー6がこの位置に達すると開口部73は完全に閉塞されるので、それ以上下方へ移動できない。プランジャー6を回旋させ、端面の傾斜を右から左に向かせると、図22(c)、(d)に示すように、Sしか下へ移動できない。Sに比べて、Sは傾斜角に比例して短いので、流体圧室9Aから送り出す流体の体積は、右に傾いて傾斜の場合に比べて左に傾いて傾斜のほうが少ない。すなわち、リフト量は少ない。プランジャー6を任意角度(0〜180度)に回旋させればリフトは任意に設定できることになる。一方側のプランジャー6の最上端にはリフト制御用の歯車71が設けてあり、コンピュータ80(図21)の指令によって任意の角度を回旋させればリフトを任意に調整できる。
連絡路72には開閉可能な弁62が設けられた電磁弁61が設けられて、一方側のプランジャー6の動きを保持できるプランジャー保持装置60が構成される。
【0070】
図15は、エンジン始動状態を示す。この状態にあっては、電磁弁14は開放され、電磁弁62が閉じられて、流体圧室9A、9Bの連絡が遮断される別々の流体圧室を形成するようになっている。このようにプランジャー保持装置60の動作に伴って、前述したと同じように作動油充填動作(1)、(2)が形成される。
【0071】
図16の開弁動動作に移行すると、電磁弁14は閉じられ(4)、プランジャー保持装置60の弁62は開放され(5)、蓄勢された開弁バネ10の弾性力によって流体圧室9A内の流体が開口部73から連絡通路72を経由して、流体圧室9Bに流動する。これに伴ってプランジャー6は下降動作を開始する。一方、他方側のプランジャー7は、図9と同様に下降動作がなされる。これによって前述したと同じように開弁動作(7)、(8)、(9)が形成される。プランジャー6の下降の初期に流体圧室9Aと開口部73との開口度合は全開状態で、流体の流出速度は早く、吸(排)気弁31の開弁速度も速い。開弁の末期に、プランジャー6が徐々に開口部73を塞ぎ、開口度が狭まり、ついには図16に示すように完全に閉塞されるに至る。この状態になる経過において、下降を継続していた一方のプランジャー6は流体圧室内の作動油の流出速度を徐々に落とし、プランジャーの下降は緩慢に停止に至る。従って、衝撃音は発せられないか、極めて小さいものとなる。
【0072】
図17の閉弁動作に移行すると、電磁弁27は開放され(17)、プランジャー保持装置60の弁62は閉じられて(18)、流体圧室9Bの作動油は排出されて体積を減少させ、プランジャー7は上方に動作する。前記開弁過程と同様に閉弁初期に流体圧室9Bの開口部76は全開の状態であり、流体が早く排出でき閉弁の速度は速い。末期には開口部76が徐々に閉塞され、吸気または排気弁31の閉度速度は低下していく。すなわち、プランジャー7は、制御された速度となって吸気または排気弁の緩慢閉塞が完了されることになる。
【0073】
このように、プランジャー保持装置60の作用でプランジャー7は停止を継続する。そして、更に図18に移行すると、電磁弁27は閉じられ、電磁弁14から作動油が流体圧室9Aに供給されて、プランジャー6が上昇し、開弁バネ10にエネルギが蓄勢される。このようにして、先の実施例である図11、図13と同様にして動作(15)、(16)が形成される。
プランジャー6は運動停止し、次回の開弁に備える。保持装置60は本実施例においてシリンダ8の肉厚部に組込んだ電磁弁である。
【0074】
図19に示す動作ブロックチャートおよび図20に示す弁動作タイムチャートによって開弁バネ10および閉弁バネ21による蓄勢状況、吸(排)気弁31の開閉動作状況を工程毎に、そして時間の経過と共に説明する。
【0075】
図16について:
→プランジャー保持装置60の電磁弁61が解除(電磁弁60が開)
→開弁バネ10が伸び
→プランジャー6が下方移動
→流体圧室9Aの作動油が流体圧室9Bに流れる
→プランジャー7が下方移動
→閉弁バネ21が圧縮
→吸(排)気弁31が開弁開始
→開口部73の入口面積が減少
→作動油の排出速度が低下
→吸(排)気弁の開弁速度が低下
→開口部73の入口面積がゼロとなる
→吸(排)気弁31が制御された速度で開弁完了
【0076】
図17について:
→電磁弁27が開
→作動油が排出
→閉弁バネ21が伸び
→プランジャー7が上方移動
→吸(排)気弁31が閉弁開始
→開口部76の面積が減少
→作動油の排出速度が低下
→吸(排)気弁31の開弁速度が低下
→開口部76の面積がゼロになる
→吸(排)気弁が制御された速度で閉弁完了
→プランジャー保持装置60の電磁弁61が閉(電磁弁60は閉)
【0077】
図18について:
→電磁弁14が開
→作動油が充填
→プランジャー6が上方移動
→開弁バネ10が圧縮(蓄勢)
→歯車71が回転
→開口部73までのストロークが変化
→リフト量が制御
電磁弁60の開閉を制御することによって流体圧室9Aから9Bへ送る作動油の量を制御し、リフト量を制御することもできる。
【0078】
図21に示す制御装置は第1の実施例の制御装置と実質的に同一である。従って、説明は先の説明を準用する。
図23は、本実施例と従来技術との開弁力および緩慢動作の効果の比較を示す。
【0079】
従来の電磁駆動弁にあっても電磁力を強烈にすることによって開弁力を増すことが可能と考えられる。これによって図に示すように高速な開弁動作を行うことはできると推定されるが、開弁力の大きさは従来の電磁駆動弁にあっては開弁当初の開弁力を更に増加させる作用となる。これに伴った吸気または排気弁31を静かに止めることに困難さを引き起こす原因を発生させる。
【0080】
これに対して、本実施例によれば、流体圧室の増加によってエネルギを一時的に蓄え、指令によって一気に放出する方式であるので、放出時のエネルギを開弁バネの設計によって任意に大きくすることができ、放出後は蓄勢エネルギは小さくなって行くので、前記緩慢動作の働き効果と併せて、吸気または排気弁31を止めるときの動作を緩慢として静かに止めることができるようになる。
【0081】
吸気または排気弁31の閉弁動作についても同様に、従来の電磁駆動弁にあっては閉弁当初の閉弁力を更に増加させる作用となる。これに伴って吸気または排気弁31を静かに止めることに困難さを引き起こす原因を発生させる。
【0082】
これに対して、本実施例によれば、閉弁バネによる閉弁動作開始後は蓄勢エネルギは小さくなって行くので、前記緩慢動作の働き効果と併せて、吸気または排気弁31を止めるときの動作を緩慢として静かに止めることができるようになる。
【0083】
本実施例は、開弁に必要充分な力を作動油の充填によって開弁バネに弾性エネルギとして蓄積させる機構と、前記開弁バネに蓄積した弾性エネルギを任意のタイミングに放出させることによる開弁機構と、前記開弁バネに蓄積した弾性エネルギの放出を任意のタイミングに停止させることによるリフト制御機構と、前記開弁バネの弾性エネルギの放出による閉弁用の力を弾性エネルギとして蓄積できる閉弁機構と、前記開弁機構を兼用する前記閉弁バネに蓄積した弾性エネルギを任意のタイミングに放出させることによる閉弁機構と、前記作動油を充填や排出するためのポンプおよび流量の制御による閉弁速度の制御機能を有する作動油機構と、上記装置を制御する電子制御機構より構成している。
【0084】
以上のように、内燃機関の吸気弁または排気弁31を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダ8を構成した弁本体1を備え、シリンダ8内に流体圧室9が形成されて流体圧室9を挟んで流体圧室9を中として対向配置された、シリンダ8内を摺動する一方側のプランジャー6と、シリンダ8内を摺動し、吸気弁または排気弁31に接続された他方側のプランジャー7とを有し、流体圧室9の体積を増減させる流体駆動源、例えば流体ポンプ16及び弁装置、例えば電磁弁14、27を備え、個別の二つの蓄勢弾性体、例えば開弁バネ10、閉弁バネ21と、双方のプランジャー6、7をそれぞれ所定の位置に停止させ、それぞれのプランジャーの停止を解除させる個別の二つのプランジャー保持装置60とを有し、プランジャー保持装置60がそれぞれ蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギ蓄勢装置13を備え、エネルギ蓄勢装置13は、流体圧室9の体積が増加するときに、一方側のプランジャー6の摺動に伴ってエネルギを一方の蓄勢弾性体に蓄勢すると共に、一時エネルギを保持し、一方のプランジャー保持装置によるプランジャーの停止解除がなされたときに、一方の蓄勢弾性体に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャー6が摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャー7が駆動されて、吸気弁または排気弁31の開動作が行われ、かつ他方の蓄勢弾性体にエネルギが蓄勢される内燃機関の弁駆動装置100が構成される。
【0085】
そして、他方側のプランジャー7に組み合わされたプランジャー保持装置は、複数の保持位置を設置し、その内の1つに一方側のプランジャー6もしくは他方側のプランジャー7を保持する内燃機関の弁駆動装置100が構成される。
そして、流体駆動源は流体ポンプ16であり、複数の弁駆動装置100、100´、……についての単一の流体駆動源である内燃機関の弁駆動装置100が構成される。
【0086】
内燃機関の吸気弁または排気弁31を駆動する弁駆動装置において、内部にシリンダ8を構成した弁本体を備え、シリンダ8内に連絡路によって連通される二つの流体圧室9A、9Bが形成されて流体圧室9A、9Bを挟んで対向配置された、シリンダ8内を摺動する一方側のプランジャー6と、シリンダ8内を摺動し、吸気弁または排気弁31に接続された(直接間、接的接続を意味する)他方側のプランジャー7とを有し、流体圧室9A、9Bの体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、一方の流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャー6の摺動に伴ってエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置13を備え、蓄勢されたエネルギを開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置13に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャー6が摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャー7が駆動されて、吸気弁または排気弁31の開動作が行われ、一方の流体圧室と開口部73と開口度合が徐々に閉じられるようにされた内燃機関の弁駆動装置100が構成される。また、この場合に、連絡路72に開閉可能な弁を設けてプランジャー保持装置を構成することができる。
【0087】
本実施例の吸気または排気弁を駆動する力は電磁力ではないため、大きな電流を必要としない。しかし、一部に電磁力を採用することは差しつかえがない。
本実施例の吸気または排気弁駆動装置に高温となる弁ステム33に永久磁石を固定していないので、高温の影響はほとんど受けない。
【0088】
実施例1および2において、対向配置されたプランジャー6およびプランジャー7は任意の角度で配置できる。
実施例1および2において、すべての電磁弁と呼ばれる装置は磁歪によって動作してもよい。
実施例1および2において、すべてのバネと呼ばれる蓄勢体は、気体、液体、固体のいずれまたはその組み合わせを使用してもよい。
【0089】
以上のように、本実施例の吸気または排気弁の弁駆動装置は、吸気または排気弁の開弁初期に充分な開弁力を容易に発生でき、吸気または排気弁が迅速に開閉でき、吸気または排気弁の着座衝突が緩和でき、吸気または排気弁のリフト量を制御できる。高温の排気弁にも適用でき、吸気または排気弁の駆動時に大電流を必要としない特徴を有する。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、小さな駆動源を使用して吸気弁または排気弁の開弁初期に大きい駆動力を発生させて開弁を急峻動作させ得る制御の容易な内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する駆動装置を提供することができる。
また、本発明によれば、小さな駆動源による駆動力と開閉弁に必要な力が調和した駆動力の供給、迅速なバルブ開閉、制御できる着座速度、制御できるリフト量、高温の排気弁にも有効に適用できる内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の構成を示す構成図。
【図2】図1の右半分の構成を拡大して示す構成図。
【図3】従来のカムプロフィルを示す図。
【図4】ディーゼルエンジンの気筒内圧力の一例を示す図。
【図5】弁の運動解析用のモデルを示す図。
【図6】弁の運動解析結果を示す図。
【図7】図2に示す構成図を説明のため平易にした図。
【図8】第1の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図で吸気または排気弁の開弁始動図。
【図9】第1の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図。
【図10】第1の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図。
【図11】第1の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図。
【図12】第1の実施例の弁動作タイムチャート図。
【図13】第1の実施例の制御装置示す図。
【図14】第2の実施例の構成を示す図(図7に対応)。
【図15】第2の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図で吸気または排気弁の開弁始動図(図8に対応)。
【図16】第2の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図(図9に対応)。
【図17】第2の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図(図10に対応)。
【図18】第2の実施例の吸気または排気弁の駆動動作図(図11に対応)。
【図19】第2の実施例の動作ブロックチャート図。
【図20】第2の実施例の弁動作タイムチャート図。
【図21】第2の実施例の制御装置を示すブロック図。
【図22】プランジャーの旋回によるリフト制御の動作説明図。
【図23】本実施例と従来技術との開弁、閉弁力比較図。
【符号の説明】
1…弁本体、2…中央弁構成部、3、4…端弁体構成部、6、7…プランジャー、8…シリンダ、9(9A、9B)…流体圧室、10…蓄勢弾性コイルバネ(開弁バネ)、11、19…ストッパー、12、18…電磁石、14、27…電磁弁、15…油管、16…流体ポンプ、21…蓄勢弾性コイルバネ(閉弁バネ)、31…吸気または排気弁(吸(排)気弁)、32…弁座、33…弁ステム、60…プランジャー保持装置、100、100´…弁駆動装置。

Claims (10)

  1. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動するプランジャーを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、前記流体圧室の体積が増加するときに、プランジャーの摺動に伴って蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを前記弁装置を介して開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによってプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に前記吸気弁または排気弁の開動作が行われること を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  2. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして対向配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に向って配設され、前記吸気弁または排気弁の弁開閉動作を行う他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、前記流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴って蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを前記弁装置を介して開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャーが駆動されて、前記吸気弁または排気弁の開動作が行われること を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  3. 請求項2において、前記エネルギ蓄勢装置は、蓄勢弾性体とプランジャー保持装置とからなることを特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  4. 請求項3において、前記弁装置によって前記流体圧室の体積が減少させられて一方側のプランジャーが摺動し、前記流体駆動源及び弁駆動装置によって前記流体圧室の体積が増加されて前記プランジャー保持装置によって一方側のプランジャーが保持されると、前記弁装置によって前記流体圧室内の体積が減少し、他方側のプランジャーが該他方側のプランジャーに作用する他の蓄勢弾性体の蓄勢エネルギによって摺動され、以って前記吸気弁あるいは排気弁の閉動作が行われることを特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  5. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、個別の二つの蓄勢弾性体と、双方のプランジャーをそれぞれ所定の位置に停止させ、それぞれのプランジャーの停止を解除させる個別の二つのプランジャー保持装置とを有し、プランジャー保持装置がそれぞれ蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギ蓄勢装置を備え、該エネルギ蓄勢装置は、前記流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴ってエネルギを一方の蓄勢弾性体に蓄勢すると共に、一時エネルギを保持し、一方のプランジャー保持装置によるプランジャーの停止解除がなされたときに、一方の蓄勢弾性体に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャーが駆動されて、前記吸気弁または排気弁の開動作が行われ、かつ他方の蓄勢弾性体にエネルギが蓄勢されること
    を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  6. 請求項5において、他方側のプランジャーに組み合わされたプランジャー保持装置は、複数の保持位置を設置し、その内の1つに一方側のプランジャーもしくは他方側のプランジャーを保持することを特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  7. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源および弁装置とを備え、前記流体圧室の体積が増加したときに、一方側のプランジャーの摺動に伴って蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、前記流体駆動原及び弁装置並びにエネルギ蓄勢装置によって蓄勢されたエネルギを間接もしくは直接的に他方側のプランジャーに作用させて前期に吸気もしくは排気弁を急峻開動作させ、かつ後期に前記弁装置による前記流体圧室または体積減少の速度の制御を行うことによって緩慢開動作させること を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  8. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に連絡路によって連通される二つの流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、一方の流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴って蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを開放させる指示を付与する制御装置を備え、当該指示がなされたときに、エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャーが摺動され、これに伴って間接もしくは直接に他方側のプランジャーが駆動されて、前記吸気弁または排気弁の開動作が行われ、前記一方の流体圧室と前記連絡路と開口度合が徐々に閉じられるようにされたこと を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  9. 内燃機関の吸気弁または排気弁を駆動する弁駆動装置において、
    内部にシリンダを構成した弁本体を備え、該シリンダ内に連絡路によって連通される二つの流体圧室が形成されて該流体圧室を挟んで該流体圧室を中にして配置された、シリンダ内を摺動する一方側のプランジャーと、シリンダ内を摺動し、前記吸気弁または排気弁に接続された他方側のプランジャーとを有し、前記流体圧室の体積を増減させる流体駆動源及び弁装置を備え、一方の流体圧室の体積が増加するときに、一方側のプランジャーの摺動に伴って蓄勢弾性体に組み合わされたエネルギが蓄勢させるエネルギ蓄勢装置を備え、蓄勢されたエネルギを任意の指定されたタイミングに放出および放出を停止させる蓄勢保持装置を備え、前記流体圧室への流体の流入量または流出量を制御することによって前記吸気弁または排気弁のリフト量を任意に制御する制御手段を有し、前記エネルギ蓄勢装置に蓄勢されたエネルギによって一方側のプランジャーが摺動され、これに伴なって間接もしくは直接に他方側のプランジャーが駆動されて、前記吸気弁または排気弁の開動作が行われること を特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
  10. 請求項1から9のいずれかにおいて、流体駆動源は流体ポンプであり、複数の弁駆動装置についての単一の流体駆動源であることを特徴とする内燃機関の弁駆動装置。
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