JP2730593B2 - 内燃機関のための電磁弁を有する弁制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はカム軸の弁制御カムにより軸方向に移動可能
な弁タペツトを介して作動可能な内燃機関の弁の閉鎖時
間と開放時間を制御するため弁制御装置であつて、弁制
御カムと弁タペツトとの間に配置された、液体で充たさ
れた行程伝達室を有し、該行程伝達室が弁制御カムと弁
タペツトとの間で有効な軸方向の寸法を変えるために、
電磁弁により制御可能な、液体を排出しかつ供給する通
路を有し、該通路が他端で液体タンクに開口している形
式のものに関する。

従来技術 前記形式の公知の弁制御装置（特開昭62−63107号公
報）にいては電磁式の制御弁が行程伝達室と戻りタンク
との間の圧力媒体の供給と排出を制御する。制御弁は行
程伝達室を戻りタンクと接続する圧力媒体導管に配置さ
れている。電磁弁が開くことにより圧力媒体導管が開放
され、圧力媒体は一方では行程伝達室に作用する弁制御
カムと他方では弁タペツトとの作用により行程伝達室か
ら戻しタンクに流れ、これにより行程伝達室の軸方向の
寸法が縮小させられる。弁制御カムが弁開放方向に引続
いて動いても、弁タペツトは弁閉鎖ばねの作用により弁
制御カムに向かつて動くことができ、これによつて弁は
閉鎖されるようになる。閉鎖時点の決定に応じて、シリ
ンダ内に吸込まれる混合気量は種々異なる運転状態での
種々の要求に適合させられるようになる。弁制御カムの
押圧作用が消滅すると、圧力媒体は戻りタンクから電磁
石をバイパスするバイパス導管を介して行程伝達室に流
入し、次の弁開放期のための出発状態が再び形成され
る。この場合に重要なことはこれが高い機関及びカム軸
回転数の場合にもできるだけ遅れなしで行なわれること
である。何故ならば弁開放時間は混合気の調量を決定
し、この量は有害成分の発生を減少させてできるだけ完
全な燃焼を達成するためには、そのつどの要求に正確に
適合させられなければならないからである。遅れはタン
クと行程伝達室との間の距離が短ければ短いほど小さく
なる。公知の弁制御装置においては戻しタンクは行程伝
達室から比較的に大きな距離をおいてシリンダヘツドに
おける圧力媒体導管の端部における電磁制御弁に接続さ
れている。圧力媒体が行程伝達室とタンクとの間で進ま
なければならない比較的に長い距離の他に、機関のシリ
ンダヘツドにおける戻しタンクの所要スペースと製作費
用が大きいという欠点がある。

発明の利点 これに対して請求項１の特徴部分の構成を有する本発
明の電磁弁は、行程伝達室と戻りタンクとの間で制御液
が進む距離は明らかに短くなり、これによつて出発状態
の回復がより迅速に行なわれるようになる。同時に本発
明の電磁弁を使用することによりシリンダヘツドのため
の製作費用と弁制御装置全体の所要スペースは、戻しタ
ンクが電磁弁に統合されかつ個有の構成部分が不要にな
ることにより減少させられる。

本発明の有利な１実施例によれば弁部材の絞り孔によ
りタンク室と可動子室との間で圧力平衡が行なれる。こ
の結果、弁部材の両側では圧力は等しくなり、これによ
つて閉鎖運動に抗して作用する力が減少させられる。絞
り孔を用いて行なわれるタンク室と可動子室との間の圧
力平衡は電磁弁を閉じるので必要な力を減少させる。こ
れは電磁石の設計に良い結果をもたらす。

本発明の別の有利な実施例によれば弁部材は中空シリ
ンダとして構成され、弁部材内に半径方向に緊密に案内
され、軸方向に移動可能なタンクピストンを有し、この
タンクピストンが行程伝達室からタンク室に流入する液
体で負荷されている。これによつて制御弁の構造が特に
簡単にかつ有利になる。可動子と弁部材はきわめてわず
から運動遊び室しか必要とせず、しかも電磁石の可動子
は案内が容易になり、制御弁の外寸は小さくすることが
できる。

次に図面について本発明を説明する。

内燃機関の吸又は排気弁10のための、第１図に示され
た弁制御装置は、弁部材11を保持する弁タペツト12と、
カム軸13と一緒に回転する弁制御カム14との間に配置さ
れている。弁タペツト12は弁ケーシング15内に軸方向に
移動可能に案内され、弁部材11で２つの弁閉鎖ばね16、
17の作用を受けて弁ケーシング15の弁座18の上に当接さ
せられる。弁座18には弁流入口もしくは流出口19が設け
られている。

弁制御装置は弁ケーシング15に載設されたケーシング
20を有し、このケーシング20内にはケーシング室21が、
弁閉鎖ばね16、17を取囲む、弁ケーシング15内の同軸の
ばね室22とほぼ整合するように設けられている。ケーシ
ング室21内には下方からケーシングブロツク23が押込ま
れ、該ケーシングブロツク23は中央に軸方向に貫通する
ケーシング孔24を有している。ケーシング孔24内には弁
タペツト12と結合された弁ピストン25とこの上に配置さ
れたカムピストン27のピストン部分26が軸方向に移動可
能である。カムピストン27はケーシングブロツク23に支
えられた戻しばね28で弁制御カム14に圧着させられてい
る。ピストン部分26は鉢形のカムピストン27と固定的に
結合されているか又はこの場合のように同じ戻しばね28
でカムピストン27に形状接続で保持されている。

弁ピストン25とピストン部分26は圧力媒体、この場合
にはオイルで充たされた行程伝達室29を制御しており、
この行程室29のカムピストン27と弁ピストン25との間で
有効な軸方向の長さはピストン相互間の相対運動により
変化させられる。行程伝達室29は導管30を介して一方で
は電磁弁31と他方では貯蔵タンク32と接続されている。
この場合、導管30と貯蔵タンク32との間には逆止弁33と
フイードポンプ34とが接続されている。導管30を介して
行程伝達室29内にあるオイル量は電磁制御弁31のばね蓄
圧器へ又はこのばね蓄圧器から行程伝達室へ圧送され
る。オイル量の漏れ損失はフイードポンプ34と逆止弁33
とを介して貯蔵タンク32から補充される。電磁弁31はオ
イル量、ひいては行程伝達室29の軸方向の寸法を制御す
る。

第２図に縦断面図で示した電磁弁は導管30の、弁入口
35で行程伝達室29と接続された区分と接続されている。
弁入口35はタンク室36と流過開口37を介して接続されて
いる。この流過開口37の流過は弁部材38により制御され
る。弁部材38は電磁石40の可動子39と結合されかつ制御
弁ケーシング42内の軸方向の孔41に移動可能に案内され
ている。圧力媒体のためのタンク室36は弁部材38と弁ケ
ーシング42により制限されている。流過開口37の側では
弁部材38と弁ケーシング42との間に第１のばね43が在
り、このばね43は一方では弁ケーシング42に支えられ他
方ではケーシングに固定されたストツパピン45を介して
固定されたストツパ円板44に支えられている。電磁石40
が励磁されていない状態で弁部材38は第１のばね43によ
り第２のストツパ円板46に押圧される。このストツパ円
板46の第２のばね47により、ケーシングに対して固定さ
れたストツパピン48に固定されている。第１のばね43に
よつて弁部材38は電磁石40が励磁されていない状態で弁
開放位置に保持される。可動子室49は制御弁ケーシング
42における孔50を介して図示されていないクランクケー
シングと接続されている。タンク室36は絞り孔51とクラ
ンクケーシングに向かつて開放する圧力維持弁52を介し
て同様にクランクケーシングと接続されている。

統合されたタンクを備えた電磁制御弁を有する記述さ
れた弁制御装置は次のように働く。

電磁石40が励磁されると、まず弁部材38が弁座53に圧
着され、これによつて流過開口37が閉じられる。これに
よつて行程伝達室29が遮断され、カムピストン27の行程
運動は完全に弁ピストン25に、ひいては吸気弁10に伝達
され、カムピストン27が進んだのと同じ行程距離を吸気
弁10が移動する。その結果、内燃機関の図示されていな
いシリンダ内には混合気が流入する。吸気弁の閉鎖過程
は所望の混合気量に応じて電磁石を遮断することにより
導入される。励磁電流の遮断で電磁制御弁31が開放され
る。何故ならば弁部材38は戻しばね43でストツパ円板46
に向かつて開放位置に押されるからである。吸気弁10の
両方の弁ばね16、17により、弁ピストン25は行程伝達室
29から電磁制御弁31における流過開口37を介してタンク
室36へオイルを押し出して上方へ移動させられる。機関
弁の弁部材11は弁座に当接しかつ吸気弁10が閉じられ
る。行程伝達室29から押し出されたオイル量はタンク室
36に流れ弁部材38がばね47を圧縮して上方へ移動させら
れる。この結果、流過開口37の流過横断面積が拡大さ
れ、これにより行程伝達室29からのオイルの迅速な流
出、ひいては吸気弁10の迅速な閉鎖が行なわれる。ばね
16、17の力はばね47の力よりも大きく、ばね47の力はば
ね43の力よりも大きい。

弁制御カム14が適当に回動させられたあとでカムピス
トン27は再び上方へ向かつて、第１図に示された状態に
戻り始めると、オイルはばね47の作用を受けてタンク室
36から開放された流過開口37を介して、再び増大する行
程伝達室29に戻される。弁部材38の運動の間に可動子室
49において圧力平衡を得るためには可動子室49が電磁弁
ケーシング50における孔を介してクランクケーシングに
向かつて有利な形式で接続されている。タンク室36は絞
り孔51と圧力維持弁52とを介して同様にクランクケーシ
ングと接続され、タンク室36内の静的な圧力が高くなり
すぎないようにかつ電磁弁の確実な閉鎖が行なわれるよ
うにコントロールされている。動的な運転においては絞
り51が一次的に有効であるのでタンク損失は僅かに保た
れる。

第３図に示された電磁制御弁の変化実施例においては
絞り孔51の代りに絞り孔51aが設けられ、該絞り孔51aは
タンク室36を可動子室49と接続し、これによつて弁部材
38の両側でその動的な圧力平衡を行なう。迅速な給排気
のためには可動子室49は一方ではクランクケーシングに
向かつて開く圧力維持弁54を介して、他方では可動子室
49に向かつて開く逆止弁55を介してクランクケーシング
と接続されている。タンク室36と可動子室49との間の圧
力平衡は電磁制御弁を閉じる場合に作用する対抗力を減
少させる。

第４図においては電磁制御弁31の別の変化実施例が示
されている。この場合には弁部材38自体がタンクピスト
ンとして役立つのではなく、別個のタンクピストン56が
弁部材38′の内部に軸方向に移動可能に嵌合させられて
いる。弁部材38′は電磁コイル40が励磁されていない場
合に、弁部材38′に作用しかつ弁部材を制御弁ケーシン
グ42に押圧する逆しばね47により開放位置に保持され
る。タンクピストン56は弁部材38′の上側に支えられる
第２のばね58により、弁部材38′の下端におけるストツ
パ59に対して押し付けられる。弁部材38′は流過開口37
に向かつて位置する端面に切欠き60を有し、この切欠き
60を通して行程伝達室29から流入するオイルのオイル圧
がタンクピストン56に作用することができる。このタン
クピストン56はばね58を圧縮して上方へ後退させられ
る。弁制御カム14を適当に回動させると、ばね58はタン
クピストン56を再び下方へ押し、オイルを流過開口37と
導管30とを介して行程伝達室29に帰流させる。この実施
例においてもタンク室36と可動子室49もしくはばね室61
との間に前述の圧力平衡手段を設けておくことができ
る。弁部材38′と制御弁ケーシング42は有利にはそれぞ
れ上端に切欠き62もしくは63を有し、これらの切欠き62
もしくは63はばね室61とクランクケーシングとの間の接
続を行なう。これにようてタンクピストン運動に抗して
作用する力は減少させられ、制御過程は加速される。別
の実施例はばね58は弁部材38′にではなく、制御ケーシ
ング42に支えられていることにより達成される。このた
めには、電磁石が励磁されていない場合に弁部材38′が
開放位置に保持され、タンクピストン56が同時にストツ
パ59に押し付けられるようにばね力が設定されていれば
よい。

明細書及び請求の範囲及び図面に示された特徴は個別
的にも任意の組合わせでも実施することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の１実施例を示すものであつて、第１図は
本発明の電磁制御弁を有する弁制御装置の縦断面図、第
２図は電磁制御弁の縦断面図、第３図は電磁制御弁の変
化実施例を示した図、第４図は電磁弁の別の変化実施例
を示した図である。 10……吸又は排気弁、11……弁部材、12……弁タペツ
ト、13……カム軸、14……弁制御カム、15……弁ケーシ
ング、16、17……弁閉鎖ばね、18……弁座、20……ケー
シング、21……ケーシング室、22……ばね室、23……ケ
ーシングブロツク、24……ケーシング孔、25……弁ピス
トン、26……ピストン部分、27……カムピストン、28…
…戻しばね、29……行程伝達室、30……導管、31……電
磁制御弁、32……貯蔵タンク、33……逆止弁、34……フ
イードポンプ、35……弁入口、36……タンク室、37……
流過開口、38……弁部材、39……可動子、40……電磁
石、41……軸方向の孔、42……弁ケーシング、43……ば
ね、44……ストツパ円板、45……ストツパピン、46……
ストツパ円板、47……ばね、48……ストツパピン、49…
…可動子室、50……孔、51……絞り孔、52……圧力維持
弁。

Claims (12)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カム軸の弁制御カムにより軸方向に移動可
   能な弁タペットを介して作動可能な内燃機関の弁の閉鎖
   時間と開放時間を制御するための弁制御装置であって、
   弁制御カムと弁タペットとの間に配置された、液体で充
   たされた行程伝達室を有し、該行程伝達室が弁制御カム
   と弁タペットとの間で有効な軸方向の寸法を変えるため
   に、電磁弁により制御可能な、液体を排出しかつ供給す
   る通路を有し、該通路が他端で液体タンクに開口してい
   る形式のものにおいて、液体タンク（36）が、電磁弁
   （31）の閉鎖時に、タンクピストンとしての弁部材（3
   8）の弁座（35）への圧着部の内側に形成されるととも
   に絞り孔（51）を介してクランクケーシングと接続され
   ており、電磁弁（31）の開放時に弁部材（38）が、液体
   タンク（36）内の圧力によって押し上げられて、１つの
   流過開口（37）が開放する位置を越えて後退するように
   なっていることを特徴とする、内燃機関のための電磁弁
   を有する弁制御装置。
2. 【請求項２】電磁弁（31）が液体導管（30）としての短
   い孔で行程伝達室（29）に接続されている、請求項１記
   載の弁制御装置。
3. 【請求項３】電磁石（40）の可動子（39）に結合された
   弁部材（36）に開放方向に作用する第１のばね（43）が
   係合しており、該ばね（43）が電磁石（40）の励磁され
   ていない状態で弁部材（38）を流過開口（37）を開放す
   る位置でストッパ（46）に対して押圧する、請求項１又
   は２記載の弁制御装置。
4. 【請求項４】ストッパ（46）が可撓性に構成されかつ閉
   鎖方向に作用する、制御弁ケーシング（42）に支えられ
   た第２のばね（47）で負荷されており、該ばね（47）の
   力の作用が第１のばねの力の作用よりも大きく、弁部材
   （38）が第２のばね（47）を圧縮してタンクピストンと
   して開放方向に後退し、これによってタンク室（36）が
   形成されている、請求項３記載の弁制御装置。
5. 【請求項５】圧力平衡のために弁部材の運動に際して電
   磁石の可動子室（49）が制御弁ケーシング（42）の壁孔
   （50）を介してクランクケーシングと接続されており、
   タンク室（36）が制御弁ケーシング（42）における絞り
   孔（51）とクランクケーシングに向って開く圧力維持弁
   （52）とを介して同様にクランクケーシングと接続さ
   れ、タンク室（36）の圧力が最大値を越えないようにな
   っている、請求項１から５までのいずれか１項記載の弁
   制御装置。
6. 【請求項６】弁部材（38）における絞り孔（51a）を介
   してタンク室（36）と可動子室（49）との間に圧力平衡
   が達成され、可動子室（49）がクランク室に向って開く
   圧力維持弁（54）と可動子室（49）に向って開く逆止弁
   （55）とを介して適当な導管を経てクランクケーシング
   と接続されている、請求項１から４までのいずれか１項
   記載の弁制御装置。
7. 【請求項７】弁部材（38′）が中空シリンダとして構成
   され、弁部材（38′）に半径方向で緊密に案内された、
   軸方向に移動可能なタンクピストン（56）を有し、該タ
   ンクピストン（56）が行程伝達室（29）からタンク室
   （36）内へ流入する液体で負荷されている、請求項１か
   ら３までのいずれか１項記載の弁制御装置。
8. 【請求項８】制御弁ケーシング（42）の上方部分がスト
   ッパ（46′）を形成している、請求項７記載の弁制御装
   置。
9. 【請求項９】タンクピストン（56）が弁部材（38′）に
   支えられたばね（58）で負荷されており、該ばね（58）
   がタンクピストン（56）を弁部材（38′）に取付けられ
   たストッパ（50）に押圧している、請求項７又は８記載
   の弁制御装置。
10. 【請求項１０】弁部材（38′）が可動子（39）側で切欠
    き（62）を有し、この切欠き（62）によりピストンばね
    室（61）が電磁弁ケーシング（42）における切欠き（6
    3）を介してクランクケーシングと接続されている、請
    求項７から９までのいずれか１項記載の弁制御装置。
11. 【請求項１１】タンク室（36）が絞り孔（51）とクラン
    クケーシングに向って開く圧力維持弁（52）とを介して
    クランクケーシングと接続されている、請求項７から10
    までのいずれか１項記載の弁制御装置。
12. 【請求項１２】タンクピストン（56）に絞り孔が設けら
    れており、絞り孔がタンク室（36）とピストンばね室
    （61）との間の圧力平衡を行い、ピストンばね室（61）
    がクランク室に向って開く圧力維持弁とピストンばね室
    （61）に向って開く逆止弁を介して適当な導管を経てク
    ランクケーシングと接続されている、請求項７から10ま
    でのいずれか１項記載の弁制御装置。