JP5821768B2 - 電磁アクチュエータ - Google Patents
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Description
規制ピンを作動させるときは、コイルの電磁力によってロックピンを引き抜き方向に移動させることでロックを解除するとともに、スプリング力によって規制ピンを作動させる。
仮に、ロックピンをボールに押し付ける荷重を強くした場合、それに応じてロックピンを引き抜くための電磁力を大きくする必要があり、電磁アクチュエータの体格が大きくなる。また、ロックピンの押付力を大きくしたとしても、ロックピンと規制ピンとが同方向に振動するため、規制ピンのロックが外れる可能性は依然として存在する。
ラッチ部材は、規制ピンの軸と直交する方向に広がる板状に形成され、フリー状態のとき軸本体が挿通する挿通穴、及び、挿通穴においてラッチ部材の移動方向の少なくとも一方の内壁に陥没し、ロック状態のとき、軸本体の周方向に形成されたラッチ溝の溝底を外壁とするロック軸に嵌合するロック部を有する。
板状のラッチ部材は、フリー状態からロック状態へ移行するときラッチ溝に最初に嵌合する導入部から、ロック状態への移行が完了したときラッチ溝に嵌合する定常部まで、板厚が漸増するように形成されている。
導入部は、規制ピンの先端部とは反対側の面が、規制ピンの軸に近づくに従って規制ピンの先端部側に向かうように傾斜しており、規制ピンの先端部側の面が、規制ピンの軸と直交する平面に沿って形成されている。
また、電磁力によって規制ピンを直接保持する構成に比べ、ラッチ部材を規制ピンと直交方向に電磁駆動することで、電磁駆動力を低減することができる。よって、電磁アクチュエータの体格を小さくすることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電磁アクチュエータは、内燃機関の吸気バルブのリフト量を調整するバルブリフト調整装置に適用される。
図1〜図6に示すように、バルブリフト調整装置101は、カムシャフト11と共に回転するスライダ21に一体に設けられたカムによって、ローラ31、32およびスイングアーム33、34を介してリンクされた吸気バルブ91、92のリフト量を調整する。
図2等に示すように、カムシャフト11は、スライダ21が嵌合する部分の外面にスプライン外歯が形成されている。なお、図1等ではスプライン外歯の図示を省略している。
筒状のスライダ21は、内面に形成されたスプライン内歯がカムシャフト11のスプライン外歯と噛み合うことにより、カムシャフト11と共に回転しつつカムシャフト11に対し軸方向に相対移動可能に設けられている。すなわち、スライダ21は、カムシャフト11に鍔状に固定された2つのスライダリミッタ12、22の間を軸方向に往復移動可能に設けられている。
以下、図1の左側の切替部を第1切替部13といい、図1の右側の切替部を第2切替部23という。これら2組の構成は基本的に同じであるので、代表として第1切替部13、第1小リフト用カム18および第1大リフト用カム19について構成を説明する。
前段部15および後段部17は、軸方向の異なる位置で、それぞれ軸に直交する方向に延びている。また、図2に示すように、前段部15は回転方向前方に向かうにつれて溝の深さが浅くなり、図6に示すように、後段部17は回転方向後方に向かうにつれて溝の深さが浅くなる。
移行部16は、軸に直交する方向に対して、回転方向前方が前段部15に近づき、回転方向後方が後段部17に近づくように傾斜しつつ、前段部15と後段部17とを接続している。
第1切替部13に対応する電磁アクチュエータ401は、カムシャフト11の回転タイミングに同期して規制ピン601を前進させ、第1係合溝14に係合させる。その結果、スライダ21は、カムシャフト11の回転に伴ってスライダリミッタ12側へ移動する。一方、第2切替部23に対応する電磁アクチュエータ402は、カムシャフト11の回転タイミングに同期して規制ピン602を前進させ、第2係合溝24に係合させる。その結果、スライダ21は、カムシャフト11の回転に伴ってスライダリミッタ22側へ移動する。この詳しい動作に関しては後述する。
ローラ31、32は、小リフト用カム18、28および大リフト用カム19、29と、スイングアーム33、34の中央部との間に介在されている。
図1、図2に示すように、スライダ21がスライダリミッタ22側にあるとき、ローラ31は、小リフト用カム18の偏心部の外周面に当接し、スイングアーム33を押し下げる。これにより、シリンダヘッド90の吸気バルブ91は、相対的に小さなリフト量L1だけ開弁する。また、ローラ32は、ローラ31と約180°ずれた位相で小リフト用カム28の偏心部の外周面に当接し、スイングアーム34を押し下げる。これにより、吸気バルブ92は、リフト量L1だけ開弁する。
以下、バルブリフト調整装置101のこの状態を「小リフト状態」という。これに対し、ローラ31が大リフト用カム19の偏心部の外周面に当接する状態を「大リフト状態」という。
規制ピン601が第1係合溝14に嵌合した状態でスライダ21がカムシャフト11と共に回転すると、規制ピン601の嵌合する溝の位置が前段部15から移行部16を経て後段部17に移るとともに、スライダ21は、図1に矢印A1で示すようにスライダリミッタ12側へ移動する。
また、位置P3を過ぎた回転位置では、後段部17の溝の深さが浅くなり、後段部17の底壁が電磁アクチュエータ401の規制ピン601を押し戻す。
規制ピン602が第2係合溝24に嵌合した状態でスライダ21がカムシャフト11と共に回転すると、規制ピン602の嵌合する溝の位置が前段部25から移行部26を経て後段部27に移るとともに、スライダ21は、図5に矢印A2で示すようにスライダリミッタ22側へ移動する。
具体的には、内燃機関の回転数や負荷に応じてバルブリフト量を調整することで、運転条件を適切に改善することができる。
図7〜図10に示すように、電磁アクチュエータ401は、電磁駆動部501、ラッチプレート55、規制ピン601、スリーブ70、ピンスプリング74等を備えている。
コイル42は、コネクタ48を経由して通電されることにより、プランジャ51を吸引する電磁力を発生する。
第1ステータ43および第2ステータ44は、通電によりコイル42が発生した磁束Φの伝達経路を構成する。このとき、間隙部45が形成されることにより、磁束Φは、第1ステータ43からプランジャ51を経由して第2ステータ44に流れる。
ヨーク46のスリーブ70側の開口461には第1ステータ43が接合されており、スリーブ70と反対側の開口462には第2ステータ44が接合されている。
以下、プランジャ51と規制ピン601との位置関係を基準として、図9に示す位置から図7に示す位置へのプランジャ51の移動を「接近」といい、図7に示す位置から図9に示す位置へのプランジャ51の移動を「退避」という。 リターンスプリング53は、プランジャ51の反ラッチプレート55側の端面と第2ステータ44の穴底面441との間に挟持され、プランジャ51を接近方向に付勢する。
なお、図10に示す位置は、図9に示す位置に対し、プランジャ51が遊び分だけ接近方向に移動したものである。これについて詳しくは後述する。
軸本体61の軸方向の一部には、周方向に「受容部」としてのラッチ溝611が形成される。ロック軸62の外壁は、ラッチ溝611の溝底をなしている。
軸本体61は、ロック軸62よりも基端側でスリーブ70の軸受部713に支持され、ロック軸62よりも先端側でスリーブ70の軸受部714に支持される。
先端部64はブッシュ73に支持され、先端部64の外壁641がブッシュ73の内壁に摺動する。本実施形態では、先端面643の最後退位置は、スリーブ70の端面723よりも数ミリ程度突出している。また、先端面643は、前進時にはスリーブ70の端面723からさらに数十ミリ突出し、バルブリフト調整装置101の切替部13に形成された係合溝14に係合する。
接合部71は、ヨーク46の第1ステータ43側の開口461に接合されるフランジ部711、ラッチプレート55を収容する収容室712、規制ピン601の軸本体61を支持する1組の軸受部713、714等を有している。収容室712は、ラッチプレート55の形状に対応し、長方形状の断面を呈している。
ピン収容部72は、規制ピン601の鍔部63を収容する収容穴721を有している。収容穴721の端面723への開口部にはブッシュ73が嵌入されている。ブッシュ73の内壁は、収容穴721の中心軸O上に同軸に形成されており、規制ピン601の先端部64の外壁641が摺動する。
図7に示すように、コイル42の非通電時には、リターンスプリング53の付勢力によってプランジャ51が接近するため、ラッチプレート55がラッチ溝611に嵌合し規制ピン601を作動不能にロックする。この状態を「ロック状態」という。
フリー状態では、ピンスプリング74の付勢力によって規制ピン601が前進することにより、規制ピン601の先端部64がスリーブ70の端面723から突出し、バルブリフト調整装置101の係合溝14に係合する。そして、カムシャフト11の回転によってスライダ21を所定位置まで移動させ、バルブリフト量を切り替える。続いて、切替部13の回転によって規制ピン601の先端部64が押し戻され、係合溝14との係合が解除される。
したがって、図11に示す状態では、厳密には軸本体61は挿通穴560に対して偏心することになる。ただし、図11では、見やすくするため、軸本体61を挿通穴560に対して同心で示している。
本実施形態の電磁アクチュエータ401の効果について説明する。
(1)本実施形態の電磁アクチュエータ401は、ラッチプレート55と規制ピン601との移動可能方向が互いに直交しているため、内燃機関の振動等によって規制ピン601のロックが外れることを防止することができる。したがって、不適切なタイミングに規制ピン601が作動することによる規制ピン601の破損を防止することができる。よって、バルブリフト調整装置101の信頼性を向上することができる。
次に、本発明の第2実施形態の電磁アクチュエータについて、図14〜図17を参照して説明する。以下の実施形態の説明では、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図14、図15に示すように、第2実施形態の電磁アクチュエータ403が適用されるバルブリフト調整装置103は、第1実施形態で説明したバルブリフト調整装置101に対し、2つの切替部13、23に代えて1つの統合切替部20が設けられている。
(A)第1規制ピン603および第2規制ピン604を共に最後退位置で保持する中立モード。
(B)第1規制ピン603を前進させ、第2規制ピン604を最後退位置で保持する第1作動モード。
(C)第2規制ピン604を前進させ、第1規制ピン603を最後退位置で保持する第2作動モード。
図16に示すように、電磁アクチュエータ403は、電磁駆動部503、ラッチプレート57およびスリーブ75の構成が第1実施形態と異なる。一方、規制ピン603、604の個々の構成は、第1実施形態の規制ピン601の構成と実質的に同一である。
また図17に示すように、ラッチプレート57は、挿通穴580と2つのロック部581、582とからなる複合穴58が形成されている。挿通穴580は、規制ピン603、604の軸本体61が挿通可能である。第1ロック部581は、挿通穴580においてラッチプレート57の接近方向の内壁に陥没しており、第2ロック部582は、挿通穴580においてラッチプレート57の退避方向の内壁に陥没している。ロック部581、582は、規制ピン603、604のロック軸62に嵌合可能である。
なお、ラッチプレート57は、第1実施形態のラッチプレート55と同様に導入部551が形成されてもよい。
図16および図17(a)に示すように、非通電時には、永久磁石52がリターンスプリング541、542の荷重のバランスにより中立位置に維持される。この状態では、複合穴58の第1ロック部581および第2ロック部582が共に第1規制ピン603および第2規制ピン604のロック軸62に嵌合し、第1規制ピン603および第2規制ピン604を最後退位置に保持する。こうして、「中立モード」が実現する。
その後、通電が停止され、第1規制ピン603の先端部64が統合切替部20の回転によって押し戻されると、第1リターンスプリング541の付勢力によって永久磁石52およびラッチプレート57が中立位置に移動することで、「中立モード」に戻る。
その後、通電が停止され、第2規制ピン604の先端部64が統合切替部20の回転によって押し戻されると、第2リターンスプリング542の付勢力によって永久磁石52およびラッチプレート57が中立位置に移動することで、「中立モード」に戻る。
(ア)(削除)
このようないずれの形態でも、「導入部から定常部まで板厚が漸増するように形成されている」構成を実現することができる。
(オ)上記第1実施形態では、ロック状態からフリー状態への移行時、ラッチプレート55とラッチ溝611との嵌合を解除したらすぐコイル42への通電を停止する。これに対し、ラッチプレート55とラッチ溝611との嵌合を解除した後も通電を継続し、先端面643が切替部13の外周面によって押し戻された後、通電を解除するようにしてもよい。これにより、図11に示す状態で、軸本体61が挿通穴560に対して同心を維持するため、軸本体61の外壁の摩耗を防止することができる。
(キ)バルブリフト調整装置のカム部、スライダ等の構成は、上記実施形態に例示したものに限らず、電磁アクチュエータの規制ピンの前進後退によって切替可能なものであればどのような構成であってもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
11 ・・・カムシャフト、 14、24・・・係合溝、
21 ・・・スライダ、
401、402、403・・・電磁アクチュエータ
501、503・・・電磁駆動部、 53 ・・・リターンスプリング、
55、57・・・ラッチプレート(ラッチ部材)、
601、602、603、604・・・規制ピン、
61 ・・・軸本体、 611・・・ラッチ溝(受容部)、
64 ・・・先端部、
74 ・・・ピンスプリング、
91、92・・・吸気バルブ。
Claims (1)
- 内燃機関の吸気バルブ(91、92)又は排気バルブのリフト量を調整するバルブリフト調整装置(101、103)に適用され、前記バルブリフト調整装置のカムシャフト(11)と共に回転しつつ前記カムシャフトに対し軸方向に相対移動可能なスライダ(21)に形成された係合溝(14、24)に規制ピン(601、602、603、604)の先端部(64)を係合させるとき前記規制ピンを前進させ、前記規制ピンの先端部を前記係合溝から離間させるとき前記カムシャフトのトルクによって前記規制ピンが押し戻される電磁アクチュエータ(401、402、403)であって、
前記係合溝に対し前進可能に設けられる前記規制ピンと、
前記規制ピンの軸と直交する方向に往復移動可能に設けられ、前記規制ピンに接近したとき前記規制ピンの軸本体(61)に形成される受容部(611)に嵌合し前記規制ピンを作動不能にロックするラッチ部材(55、57)と、
通電により発生する電磁力とリターンスプリング(53、541、542)の付勢力とによって前記ラッチ部材を駆動し、前記ラッチ部材が前記受容部に係合するロック状態、及び前記ラッチ部材と前記受容部との嵌合を解除するフリー状態を切替可能な電磁駆動部(501、502)と、
前記規制ピンを前進方向に付勢するピンスプリング(74)と、
を備え、
前記規制ピンの前記受容部は、前記軸本体の周方向に形成されたラッチ溝(611)であり、
前記ラッチ部材は、前記規制ピンの軸と直交する方向に広がる板状に形成され、前記フリー状態のとき前記軸本体が挿通する挿通穴(560、580)、及び、前記挿通穴において前記ラッチ部材の移動方向の少なくとも一方の内壁に陥没し、前記ロック状態のとき、前記ラッチ溝の溝底を外壁とするロック軸(62)に嵌合するロック部(561、581、582)を有し、
板状の前記ラッチ部材は、前記フリー状態から前記ロック状態へ移行するとき前記ラッチ溝に最初に嵌合する導入部(551)から、前記ロック状態への移行が完了したとき前記ラッチ溝に嵌合する定常部(552)まで、板厚が漸増するように形成されており、
前記導入部は、前記規制ピンの先端部とは反対側の面が、前記規制ピンの軸に近づくに従って前記規制ピンの先端部側に向かうように傾斜しており、前記規制ピンの先端部側の面が、前記規制ピンの軸と直交する平面に沿って形成されていることを特徴とする電磁アクチュエータ。
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