JP6277274B2 - 食品用ラップフィルム、食品用ラップフィルム巻体及び食品用ラップフィルム巻体の製造方法 - Google Patents

食品用ラップフィルム、食品用ラップフィルム巻体及び食品用ラップフィルム巻体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラップフィルム、ラップフィルム巻体及びラップフィルム巻体の製造方法に関し、特に必要な熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形を抑制したラップフィルム、ラップフィルム巻体及びラップフィルム巻体の製造方法に関する。
食材や料理あるいは皿などの食器を料理ごと包む食品用ラップフィルムが広く用いられている。食品用ラップフィルムは、長尺のラップフィルムが円筒状に巻かれ、直方体状の収容箱に収容されて流通に置かれるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
特開2013−233978号公報
ラップフィルムは、電子レンジなどで加熱する場合を考慮すると、容器などにフィットさせて水蒸気漏れを最小限にするために、高温下での熱収縮性を持たせることが好ましい。しかしながら、高温下で熱収縮性を持たせた場合、加熱後の急激な温度変化によってラップフィルムが大きく変形する場合がある。
本発明は上述の課題に鑑み、必要な熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形を抑制したラップフィルム、このラップフィルムが巻かれたラップフィルム巻体及びラップフィルム巻体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るラップフィルムは、例えば図1を参照して示すと、ASTM D−2732に準拠して測定した100℃における熱水収縮率が、縦方向MDが0.3%を超え38%未満、かつ横方向TDが0.3%以上29%未満である。
このように構成すると、100℃における熱水収縮率が適切となり、所定の熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形が抑制されるラップフィルムとなる。
上記目的を達成するために、本発明の第2の態様に係るラップフィルムは、例えば図1を参照して示すと、ASTM D−2732に準拠して測定した100℃における熱水収縮率の縦方向MDと横方向TDとの相加平均値が3%以上29%未満である。
このように構成すると、100℃における熱水収縮率が適切となり、所定の熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形が抑制されるラップフィルムとなる。
また、本発明の第3の態様に係るラップフィルムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係るラップフィルム1fにおいて、厚さが5μm〜20μmである。
このように構成すると、強度とカット性とのバランスが適切なラップフィルムとなる。
また、本発明の第4の態様に係るラップフィルムは、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係るラップフィルム1fにおいて、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂で形成されている。
このように構成すると、好適な熱収縮特性を有するラップフィルムとなる。
また、本発明の第5の態様に係るラップフィルム巻体は、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係るラップフィルム1fが円筒状に巻かれて形成されたラップフィルム巻体1であって;ラップフィルム1fは、ASTM D−2732に準拠して測定した60℃における熱水収縮率の縦方向MDと横方向TDとの相加平均値が5%未満、又は、ASTM D−2732に準拠して測定した60℃における熱水収縮率が、縦方向MDが12%未満かつ横方向TDが5%未満である。より好ましくは、ASTM D−2732に準拠して測定した60℃における熱水収縮率が、縦方向MDが8.5%未満かつ横方向TDが2.8%未満である。
このように構成すると、輸送あるいは保管時に到達し得る温度における変形を抑制することができ、巻芯を設けなくても高温下における適切な熱収縮特性を有しつつ保管時の変形に耐え得るラップフィルム巻体を得ることができる。
また、本発明の第6の態様に係るラップフィルム巻体は、例えば図1を参照して示すと、上記本発明の第5の態様に係るラップフィルム巻体1において、ラップフィルム1fの長さが5m〜80mである。
このように構成すると、重量の増加を抑制しつつ変形を抑制することができる。
また、本発明の第7の態様に係るラップフィルム巻体は、上記本発明の第5の態様又は第6の態様に係るラップフィルム巻体において、ラップフィルム巻体の内面の面積の70%以上に接して設けられた、厚さが1mm以下の内接シートを備える。
このように構成すると、ラップフィルム巻体の変形の抑制に寄与することができる。
上記目的を達成するために、本発明の第8の態様に係るラップフィルム巻体の製造方法は、例えば図4に示すように、ラップフィルムの原料となる樹脂を溶融した溶融樹脂を生成する溶融工程(S1)と;溶融樹脂を冷却して冷却樹脂とする冷却工程(S2)と;冷却樹脂を延伸してラップフィルムとする延伸工程(S4)と;ラップフィルムを一時的に加熱する加熱工程(S5)と;ラップフィルムを所定の長さで円筒状に巻き取ってラップフィルム巻体とする巻取工程(S8)とを備える。
このように構成すると、所定の熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形が抑制されるラップフィルムを有するラップフィルム巻体を得ることができる。
上記目的を達成するために、本発明の第9の態様に係るラップフィルム巻体の製造方法は、例えば図6に示すように、ラップフィルムの原料となる樹脂を溶融した溶融樹脂を生成する溶融工程(S1)と;溶融樹脂を冷却して冷却樹脂とする冷却工程(S2)と;冷却樹脂を延伸してラップフィルムとする延伸工程(S4)と;ラップフィルムを巻き取る1次巻取工程(S7)と;1次巻取工程(S7)で巻き取られたラップフィルムを、40℃〜80℃の環境下で24時間以上保管する加熱保管工程(S7A)と;加熱保管工程(S7A)の後、ラップフィルムを所定の長さで円筒状に巻き返してラップフィルム巻体とする巻返し工程(S8A)とを備える。
このように構成すると、所定の熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形が抑制されるラップフィルムを有するラップフィルム巻体を得ることができる。
本発明によれば、所定の熱収縮特性を有しつつ加熱後の変形が抑制されるラップフィルムを得ることができる。
この出願は、日本国で2014年7月7日に出願された特願2014−139667号及び日本国で2015年2月23日に出願された特願2015−033011号に基づいており、その内容は本出願の内容として、その一部を形成する。
また、本発明は以下の詳細な説明によりさらに完全に理解できるであろう。本発明のさらなる応用範囲は、以下の詳細な説明により明らかとなろう。しかしながら、詳細な説明及び特定の実例は、本発明の望ましい実施の形態であり、説明の目的のためにのみ記載されているものである。この詳細な説明から、種々の変更、改変が、本発明の精神と範囲内で、当業者にとって明らかであるからである。
出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
本発明の実施の形態に係るラップフィルム巻体の斜視図である。 熱水収縮率測定システムの概略構成図である。 本発明の実施の形態に係るラップフィルムを製造するフィルム製造装置の概略構成図である。 ラップフィルム巻体の製造過程の一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係るラップフィルムを製造するフィルム製造装置の変形例の部分概略構成図である。 ラップフィルム巻体の製造過程の別の例を示すフローチャートである。 (A)はロール加熱装置の概略構成図、(B)は熱風加熱装置の概略構成図である。 ロール加熱装置の別の形態の概略構成図である。 実施例及び比較例に係るラップフィルム巻体の特性の一覧を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係るラップフィルム1f及びラップフィルム巻体1を説明する。図1は、ラップフィルム巻体1の斜視図である。ラップフィルム巻体1は、帯状のラップフィルム1fが、円筒状に巻かれて形成されたものである。ラップフィルム巻体1は、円筒状の軸線まわりに巻芯(典型的には、厚さ1mmを超える厚紙で円筒状に形成された紙管)が設けられておらず、円筒状の最内部にラップフィルム1fが表れている。
ラップフィルム1fは、本実施の形態では、塩化ビニリデン系樹脂で形成されている。本実施の形態における塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン60〜98質量%、及び、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体(共単量体)の少なくとも1種から形成される塩化ビニリデン共重合体が挙げられる。
塩化ビニリデンと共重合可能な単量体(共単量体)を例示すると、塩化ビニル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル又はアクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル又はメタクリル酸ステアリル等のメタクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;スチレン等の芳香族ビニル;酢酸ビニル等の炭素数1〜18の脂肪族カルボン酸のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル(アルキル基の炭素数1〜18);アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル重合性不飽和カルボン酸のアルキルエステル(部分エステルであってもよい。アルキル基の炭素数1〜18);などのほかに、ジエン系単量体、官能基含有単量体、多官能性単量体などを挙げることができる。これらの共単量体は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。共単量体の中でも、塩化ビニル、アクリル酸メチル、又はアクリル酸ブチルが好ましい。特に好ましい共単量体は、塩化ビニルであり、したがって、特に好ましい塩化ビニリデン系樹脂は、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体(塩化ビニリデン60〜98質量%と、塩化ビニルとの合計質量が100質量%)となる。
塩化ビニリデン系樹脂を形成する塩化ビニリデンの含有割合は、塩化ビニリデンと共単量体(好適には塩化ビニル)との合計質量を100質量%として、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。塩化ビニリデンの含有割合の上限は、98質量%とするとよく、押出加工性等の観点から、通常97質量%、多くの場合95質量%とされる。
また、塩化ビニリデン系樹脂の調製に当たって使用される種々の他の添加剤を含有させることができる。すなわち、得られる塩化ビニリデン系樹脂の押出加工性の改善等のために、例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、フィラー(充填剤)、顔料などを含有させることができる。また、他の添加剤として滑剤を含有させることができる。他の添加剤としては、有機物質(他の重合体でもよい)、無機物質のいずれも使用することができる。
可塑剤としては、例えば、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、グリセリンジアセチルモノラウレート(GDAML)、ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート及びジアセチル化モノグリセライド(DALG)等を使用することができる。可塑剤は、単量体質量基準の含有量が通常500〜100000ppm、多くの場合5000〜80000ppmの割合で用いられる。
安定剤としては、例えば、エポキシ化大豆油(ESBO)又はエポキシ化亜麻仁油(ELO)等のエポキシ化油;脂肪酸アルキルエステルのアミド誘導体;水酸化マグネシウム;ピロリン酸四ナトリウム等を使用することができる。安定剤は、単量体質量基準の含有量が通常300〜50000ppm、多くの場合1000〜40000ppmの割合で用いられる。
抗酸化剤としては、例えば、トリエチレングリコールビス−3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート等のフェノール系抗酸化剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のアルキル基の炭素数が12〜18のチオジプロピオン酸アルキルエステル;トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系抗酸化剤等を使用することができる。抗酸化剤は、1種でもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましくはトリエチレングリコールビス−3−(3−ターシャリブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネートとチオジプロピオン酸アルキルエステルの併用である。抗酸化剤は、単量体質量基準の含有量が通常5〜50000ppm、多くの場合15〜10000ppmの割合で用いられる。なお、抗酸化剤の一部を予め重合系に存在させて重合を開始することが好ましい。また、抗酸化剤を重合系に添加することによって、重合反応を停止させることもできる。
粘着付与剤は、食器等の対象物に対して容易に密着する性質をラップフィルム1fに付与するものである。溶融粘着剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、あるいは、ソルビタンモノ(トリ)オレエート、グリセリンモノ(トリ)オレエート等の界面活性剤、パラフィン系又はシクロパラフィン系の液状飽和炭化水素などが挙げられる。粘着付与剤は、1種でもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。液状飽和炭化水素としては、例えば、ナフテン系のプロセスオイル、パラフィンワックス、流動パラフィンなどが挙げられ、流動パラフィンが特に好ましい。
ラップフィルム1fは、厚さが、強度の低下(破れやすさ)を抑制する観点から5μm以上とすることが好ましく、カット性の低下及び剛性(硬さ)の過度な上昇を抑制する観点から20μm以下、好ましくは15μm以下とするとよい。また、ラップフィルム巻体1は、ラップフィルム1fの長さ(巻きm数)が、使い勝手の観点から5m以上とすることが好ましく、重量の増加を抑制する観点から80m以下とするとよく、50m、あるいは30mや20mとしてもよい。ラップフィルム1fの幅(横方向TDの長さ)は、概ね100mm〜450mmとするとよく、300mm、220mm、あるいは150mmとしてもよい。
ラップフィルム1fは、100℃における熱水収縮率が、以下に示す特性を有している。縦方向MDは、0.3%を超え38%未満であり、その中でも、5%〜30%が好ましく、10%〜20%がより好ましい。このとき、横方向TDは、0.3%以上29%未満であり、その中でも、0.4%〜20%が好ましく、0.5%〜12%がより好ましい。あるいは、上記の縦方向MD及び横方向TDの各値に代えて、縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)で規定し、当該相加平均値が3%以上29%未満であり、その中でも、5%〜20%が好ましく、8%〜15%がより好ましい。また、ラップフィルム1fは、60℃における熱水収縮率が、縦方向MDは12%未満(好ましくは8%未満。さらに好ましくは5%未満。)で横方向TDは5%未満(好ましくは2%未満。)、あるいは縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が5%未満(より好ましくは3%以下。)であるとよい。ここで、熱水収縮率は、常温の試料(ラップフィルム1f)を、設定した温度(100℃又は60℃)の水中に所定時間浸漬した後の収縮による試料の長さの変化率である。ここでの熱水収縮率は、ASTM D−2732に準拠して測定した値であり、常温は23℃、所定時間は10秒間である。以下に、ASTM D−2732に準拠した熱水収縮率の測定手順について説明する。
図2は、ASTM D−2732に準拠して熱水収縮率を測定する際の熱水収縮率測定システム20の概略構成図である。熱水収縮率測定システム20は、設定温度(100℃又は60℃)に調節された熱水HWが貯留された熱水槽21と、常温(23℃)の水CWが貯留された常温水槽22とを備えている。熱水収縮率測定システム20は、常温(23℃)±2℃に調節され、相対湿度が50±5%に調節された空間に設けられている。熱水槽21は、貯留されている熱水HWが、設定温度(100℃又は60℃)±0.5に維持されるように構成されている。上述した熱水収縮率測定システム20を用いてラップフィルム1fの熱水収縮率を測定する際は、まず、ラップフィルム1fに対して、常温下で、縦方向MD及び横方向TDのそれぞれに、長さ100mmを認識できる印を付け、試料とする。次に、ラップフィルム1fの試料を、熱水槽21内の設定温度に調節された熱水HWに、10秒間浸漬する。このとき、ラップフィルム1fの試料を、熱水HWに浸漬する前に熱水槽21の上方で保持せずに、速やかに熱水HWに浸漬する。ラップフィルム1fの試料を、設定温度の熱水HWに浸漬して10秒間経過し、熱水HWから引き上げたら、直ちに常温水槽22内の常温水CWに浸漬する。ラップフィルム1fの試料を常温水CWに浸漬して5秒が経過したら、常温水CWから引き上げて、30分以内に当初付けた印の長さを、縦方向MD及び横方向TDのそれぞれについて測定する。そして、このときの原長100mmからの減少値を、原長100mmに対する割合として百分率で求める。この求められた百分率が、熱水収縮率となる。
次に図3及び図4を参照して、上述したラップフィルム巻体1を製造する方法について説明する。図3は、ラップフィルム1fを製造するフィルム製造装置100の概略構成図である。図4は、ラップフィルム巻体1の製造過程の一例を示すフローチャートである。ラップフィルム1fは、本実施の形態ではフィルム製造装置100で製造されるが、これ以外で製造されることとしてもよい。ラップフィルム巻体1の製造方法の説明に先立って、図3を参照してフィルム製造装置100を説明する。フィルム製造装置100は、ラップフィルム1fの原料の塩化ビニリデン系樹脂(以下「樹脂原料」という。)を溶融した溶融樹脂Rmを押し出す押出機110と、押出機110から押し出された溶融樹脂Rmを冷却して冷却樹脂としてのパリソンRpを生成する冷却装置120と、パリソンRpを延伸して筒状フィルムFpとする延伸装置130と、延伸された筒状フィルムFpを加熱処理する加熱装置140と、筒状フィルムFpを裁断してラップフィルム1fとする裁断装置150と、裁断されたラップフィルム1fを巻き取って原反Frとする巻取装置160とを備えている。フィルム製造装置100は、押出機110、冷却装置120、延伸装置130、加熱装置140、裁断装置150、及び巻取装置160がこの順に配設されており、場所によって適宜形態を変える溶融樹脂Rm、パリソンRp、筒状フィルムFp、ラップフィルム1fの生成物は、この順に流れていく。以下の説明では、生成物が流れる方向を「長手方向」といい、長手方向に直交する方向を「幅方向」ということとする。本実施の形態では、幅方向が水平に延びている。
押出機110は、ホッパー111と、スクリュー113と、ダイ115とを有している。ホッパー111は、スクリュー113の一端に樹脂原料を供給するものである。押出機110内に配置されたホッパー111は、上方よりも下方がすぼまった逆円錐状の外観形状を呈しており、上部に導入された樹脂原料を収集しながら落下させて、スクリュー113の一端に導出するように構成されている。スクリュー113は、本実施の形態では軸線が水平に設置されており、軸線回りに回転することにより、ホッパー111から一端に供給された樹脂原料を、他端に向けて水平に圧送するように構成されている。樹脂原料は、スクリュー113で圧送される際に溶融されて溶融樹脂Rmとなり、他端に至る。ダイ115は、スクリュー113の他端に配設されている。ダイ115は、本実施の形態では、溶融樹脂Rmを円筒形状で押し出すように、先端形状が加工されている。
冷却装置120は、冷却液槽としての冷却バス121と、第1ピンチローラ123と、引出装置としての第2ピンチローラ125とを有している。冷却バス121は、ダイ115から押し出されてきた溶融樹脂Rmを受け入れることができるように、ダイ115の鉛直下方の領域を包含するように配設されている。冷却バス121の中には冷却液としての冷却水Cが貯留されており、ダイ115から押し出されてきた溶融樹脂Rmを浸漬させて冷却することができるように構成されている。溶融樹脂Rmは、冷却されることでパリソンRpとなる。溶融樹脂Rmは粘性の高い液体であり、パリソンRpは固体である。ここで「溶融樹脂」とは、液体とはいいながら、冷却されて粘度が測定不能となるほどに高い固体となる前の、まだ厚さが永久変形し得る状態にある樹脂をいう。溶融樹脂Rmは、ダイ115から円筒状で押し出されてくるため、パリソンRpも円筒状となる。第1ピンチローラ123は、円筒状のパリソンRpを扁平にする一対の円柱状ローラで構成されている。第1ピンチローラ123は、幅方向に延びて、ダイ115の鉛直下方の冷却バス121の中に水没して配設されている。第2ピンチローラ125は、扁平になったパリソンRpを冷却水Cから引き出す装置である。第2ピンチローラ125は、第1ピンチローラ123から離れた冷却バス121の外に幅方向に延びて配設されている。第2ピンチローラ125は、平面視においても冷却バス121の外側に配設されている。第2ピンチローラ125は、パリソンRpが延伸装置130に送られる前にパリソンRpを扁平に維持するように、一対の円柱状ローラで構成されている。
延伸装置130は、冷却装置120から出てきたパリソンRpを、封入された空気の内圧で延伸して、パリソンRpよりも薄い筒状フィルムFpとする装置である。筒状フィルムFpは、本実施の形態では、パリソンRpが二軸延伸されて塑性変形したものである。延伸装置130は、第3ピンチローラ135を有している。第3ピンチローラ135は、延伸装置130の下流側末端に配設されている。第3ピンチローラ135は、円筒状の筒状フィルムFpを挟圧して扁平にする一対の円柱状ローラで構成されている。
加熱装置140は、ラップフィルム1fとなったときの高温域における熱収縮特性を付与するために、筒状フィルムFpを加熱処理する装置である。加熱装置140は、扁平な筒状フィルムFpを支えるガイドローラ群141と、筒状フィルムFpを一時的に加熱する加熱ローラ143と、加熱された筒状フィルムを冷却する冷却ローラ145とを有している。加熱ローラ143は、好ましくは80℃〜120℃に加熱制御することができる金属製の円柱状ローラで形成され、本実施の形態では概ね100℃に加熱制御された金属製の円柱状ローラで形成されている。加熱ローラ143は、加熱された円柱状ローラの側面に筒状フィルムFpを接触させることにより、本実施の形態では筒状フィルムFpを概ね100℃に加熱することができるように構成されている。冷却ローラ145は、金属製の円柱状ローラで形成されており、加熱ローラ143の下流側に配設されている。冷却ローラ145は、筒状フィルムFpを、概ね加熱ローラ143で加熱される前の温度まで低下させることができるように構成されている。ガイドローラ群141を構成する各ローラは、平面視において、少なくとも、加熱ローラ143の上流側、加熱ローラ143と冷却ローラ145との間、冷却ローラ145の下流側に設けられている。ガイドローラ群141は、回転軸の高さが、加熱ローラ143及び冷却ローラ145の回転軸の高さと異なる位置になるように設けられている。加熱装置140は、扁平な筒状フィルムFpが、ガイドローラ群141の複数のローラの間を、上面あるいは下面で適宜接しながら、裁断装置150に向けて搬送される際に、加熱ローラ143によって加熱処理が施されるように構成されている。
裁断装置150は、扁平の筒状フィルムFpを裁断して複数のラップフィルム1fとする装置である。裁断装置150は、扁平な筒状フィルムFpを挟持する第4ピンチローラ151及び第5ピンチローラ156の間に設けられたテンションローラ152によって、挟持された扁平な筒状フィルムFpに長手方向に作用する張力を掛けながら、裁断刃155で筒状フィルムFpを裁断するように構成されている。第4ピンチローラ151及び第5ピンチローラ156は、それぞれ、扁平な筒状フィルムFpを挟持することができるように一対の円柱状ローラで構成されている。テンションローラ152に隣接した上下流の両側には、支持ローラ153が設けられている。裁断刃155は、扁平な筒状フィルムFpが流れる方向に対して直交する方向に、ラップフィルム1fを所定の幅にすることができる間隔で、複数が配列されている。ここで、所定の幅は、本実施の形態では、ラップフィルム1fが最終製品となったときの幅に対応する幅である。複数の裁断刃155の下方には、裁断ローラ154が配設されている。裁断ローラ154の外表面には、配列された裁断刃155に対応する位置に、溝が形成されている。裁断装置150は、裁断ローラ154の外表面に扁平な筒状フィルムFpが接している状態で、裁断ローラ154に形成された溝に裁断刃155を入れることで、扁平な筒状フィルムFpをラップフィルム1fの幅に裁断することができるように構成されている。
巻取装置160は、裁断刃155によって裁断されて上下に分かれたラップフィルム1fの、上方のラップフィルム1fを巻き取る第1巻取ローラ161と、下方のラップフィルム1fを巻き取る第2巻取ローラ162とを有している。第5ピンチローラ156と第1巻取ローラ161との間には、複数列に裁断されたラップフィルム1fを各列に分ける第1エキスパンダローラ165が配設されている。第5ピンチローラ156と第2巻取ローラ162との間には、複数列に裁断されたラップフィルム1fを各列に分ける第2エキスパンダローラ166が配設されている。第1巻取ローラ161及び第2巻取ローラ162のそれぞれで巻き取られたラップフィルム1fが、原反Frとなる。原反Frは、ラップフィルム巻体1の長さを超える長さで巻かれており、巻芯(ボビン)を有している。
上述したフィルム製造装置100とは別に、図示は省略するが、原反Frとなっているラップフィルム1fを所定の長さで巻き返してラップフィルム巻体1とする巻き返し機が設けられている。巻き返し機(不図示)は、外径が可変に構成された円柱状の巻軸(不図示)を有している。巻軸は、原反Frから引き出されたラップフィルム1fを巻き取るときは外径が大きくなり、ラップフィルム1fを所定の長さ分巻き取ってラップフィルム巻体1とした後は外径が小さくなることで、ラップフィルム巻体1から巻軸を取り外すことができるように構成されている。
引き続き図4を参照して、ラップフィルム巻体1の製造過程を説明する。以下の説明では、ラップフィルム巻体1を構成するラップフィルム1fがフィルム製造装置100で製造されることとして説明するため、フィルム製造装置100の構成に言及しているときには適宜図3を参照することとする。フィルム製造装置100には、原料タンク(不図示)から供給された樹脂原料が、ホッパー111に導入される。ホッパー111に導入された樹脂原料は、ホッパー111の下端からスクリュー113の一端に導出され、スクリュー113の軸線回りの回転により、溶融しながらダイ115に向けて圧送される(溶融工程:S1)。ダイ115に到達した溶融樹脂Rmは、ダイ115から円筒形状で押し出される。
ダイ115から押し出された円筒状の溶融樹脂Rmは、冷却バス121に貯留されている冷却水Cに投入され、冷却されてパリソンRpとなる(冷却工程:S2)。冷却水Cで冷却されたパリソンRpは、第1ピンチローラ123に挟圧されて扁平となる。第1ピンチローラ123を通過した扁平なパリソンRpは、冷却水C内にあるうちは引き続き冷却され、その後、第2ピンチローラ125によって冷却水Cから引き出される(引出工程:S3)。第2ピンチローラ125を通過した扁平なパリソンRpは、延伸装置130において内部に空気が入り、空気の内圧によって幅方向が延伸され、第2ピンチローラ125と第3ピンチローラ135との回転速度差によって長手方向が延伸される(延伸工程:S4)。なお、延伸装置130におけるパリソンRpの内部の空気は、フィルム製造装置100が定常運転となる前の初期段階において、パリソンRpあるいは筒状フィルムFpに対し、中に空気を入れた状態で第2ピンチローラ125及び第3ピンチローラ135で挟み込むことで封入されている。第2ピンチローラ125と第3ピンチローラ135との回転速度差は、パリソンRpが長手方向に概ね1.5倍〜6.0倍、好ましくは概ね2.0倍〜5.0倍、より好ましくは3.0倍〜4.0倍延伸して筒状フィルムFpとなるように設定するとよい。パリソンRpの内部に封入する空気量は、パリソンRpが幅方向に概ね2.5倍〜7.0倍、好ましくは概ね3.0倍〜6.0倍、より好ましくは4.0倍〜5.0倍延伸して筒状フィルムFpとなる量とするとよい。パリソンRpあるいは筒状フィルムFpの中に一旦空気が入れられると、パリソンRp及び筒状フィルムFpが流れても、内部の空気は第2ピンチローラ125と第3ピンチローラ135との間にとどまることとなる。第2ピンチローラ125よりも下流側で内部に空気が入ったパリソンRpは、第2ピンチローラ125及び第3ピンチローラ135の回転速度の調節が併せて行われることにより、二軸延伸されて筒状フィルムFpとなる。パリソンRpの二軸延伸に適した温度は、概ね20℃〜40℃、好ましくは概ね25℃〜35℃である。その後、筒状フィルムFpは、第3ピンチローラ135によって扁平にされる。なお、図示は省略するが、第3ピンチローラ135を通過した扁平な筒状フィルムFpの寸法安定性を高めるために、第3ピンチローラ135の下流側直近に、扁平な筒状フィルムFpを長手方向と幅方向とで緩和(収縮)させる構成(例えば緩和ローラ)を設けてもよい。この場合、緩和率は、長手方向が概ね1%〜20%、好ましくは概ね5%〜15%、より好ましくは8%〜12%とするとよく、幅方向が概ね0.5%〜15%、好ましくは概ね1%〜10%、より好ましくは1%〜6%とするとよい。また、緩和に適した温度は、概ね40℃〜80℃、好ましくは概ね50℃〜70℃である。
第3ピンチローラ135を通過した扁平な筒状フィルムFpは、ガイドローラ群141に支持された状態で加熱ローラ143に挟持され、一時的に約100℃に加熱される(加熱工程:S5)。筒状フィルムFpは、加熱ローラ143に加熱されることで、所望の熱収縮特性が付与される。本実施の形態における熱収縮特性は、100℃における熱水収縮率が縦方向MDは13.4%で横方向TDは4.3%(縦方向MDと横方向TDとの相加平均値は8.85%)、60℃における熱水収縮率が縦方向MDは4.5%で横方向TDは拡大する方向(収縮の逆)に1.5%となっている。加熱ローラ143で加熱されて所望の熱収縮特性が付与された筒状フィルムFpは、その後冷却ローラ145によって冷却される。ガイドローラ群141に支持される扁平な筒状フィルムFpは、第4ピンチローラ151に引っ張られる。
第4ピンチローラ151を通過した扁平な筒状フィルムFpは、第5ピンチローラ156に引っ張られることで、テンションローラ152及び支持ローラ153を経由して裁断刃155に到達する。裁断刃155に到達した扁平な筒状フィルムFpは、裁断刃155によって、最終的な製品となるフィルムの幅で複数列に裁断され、ラップフィルム1fとなる(裁断工程:S6)。ラップフィルム1fが何列製造されるかは、最終的な製品のフィルムの幅による。両最外部の裁断刃155よりも外側に生じる筒状フィルムFpの切れ端(扁平な筒状フィルムFpの耳)は、回収された後に再利用されることとしてもよい。
扁平な筒状フィルムFpが裁断刃155で裁断されて生成されたラップフィルム1fは、第5ピンチローラ156から繰り出され、上側のラップフィルム1fは第1エキスパンダローラ165を介して第1巻取ローラ161に装着されたボビンに巻き取られ、下側のラップフィルム1fは第2エキスパンダローラ166を介して第2巻取ローラ162に装着されたボビンに巻き取られて、それぞれ原反Frとなる(原反生成工程:S7)。原反Frは、フィルム製造装置100から搬出されて巻き返し機(不図示)にセットされ、所定の長さ(例えば5m、20m、50m、80m等)で巻き取られて切断され、ラップフィルム巻体1となる(巻取工程:S8)。製造されたラップフィルム巻体1は、蓋部が開閉可能な直方体状のカートンに収容されて小売りされる。
以上の要領で製造されたラップフィルム1fは、製造工程において、溶融した塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体の樹脂原料を、ガラス転移点未満に冷却した後に、延伸し、加熱処理しているので、100℃付近において、縦方向MDが0.3%を超え38%未満、横方向TDが0.3%以上29%未満の熱水収縮率、あるいは、縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が3%以上29%未満の熱水収縮率を有する特性を持つこととなる。このような特性をラップフィルム1fが持つことにより、食品などの内容物を容器に入れ、ラップフィルム1fを容器に被せて密着させた後、電子レンジなどで加熱して、ラップフィルム1fに水蒸気があたって加熱されたときに、ラップフィルム1fは、容器との密着部が剥がれたり、破断したりすることが抑制されつつ、適度に収縮し容器にフィットして、水蒸気漏れを抑制することができる。また、ラップフィルム1fは、60℃付近において、縦方向MDは12%未満で横方向TDは5%未満の熱水収縮率、あるいは縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が5%未満の熱水収縮率を有する特性を持つこととなる。このような特性をラップフィルム1fが持つことにより、長尺のラップフィルム1fが巻芯のない状態で巻かれたラップフィルム巻体1となったときに、輸送中や保管中に周囲の環境が60℃程度に昇温した場合でも、つぶれ、座屈、折れ、皺入り等の変形が生じることが抑制されることとなり、巻芯がなくても外形を維持することができる。
以上の説明では、加熱工程(S5)において扁平な筒状フィルムFpを加熱する構成が加熱ローラ143を有する加熱装置140であるとしたが、以下の構成であってもよい。
図5は、変形例に係る加熱装置140Aの部分概略構成図である。加熱装置140Aは、フィルム製造装置100(図3参照)において、加熱装置140(図3参照)に代えて適用される。したがって、加熱装置140Aは、ラップフィルム1fとなったときの高温域における熱収縮特性を付与するために、筒状フィルムFpを加熱処理する装置である。加熱装置140Aは、第3ピンチローラ135と第4ピンチローラ151との間に配設される。加熱装置140Aは、扁平な筒状フィルムFpを支えるガイドローラ群141Aと、筒状フィルムFpを一時的に加熱するフラットヒーター143Aとを有している。フラットヒーター143Aは、電熱線等の発熱素子が配列されて構成されている。フラットヒーター143Aは、本変形例では、ガイドローラ群141Aを構成する4つのローラのうちの2番目のローラと3番目のローラとの間に配設されている。フラットヒーター143Aは、ガイドローラ群141Aを構成する2番目のローラと3番目のローラとに支持されている扁平な筒状フィルムFpに沿うように、かつ、その扁平な筒状フィルムFpに接触しないように、設置されている。フラットヒーター143Aは、近接する位置を通過する扁平な筒状フィルムFpを、概ね60℃〜95℃、好ましくは70℃〜90℃、典型的には80℃に一時的に加熱することができるように構成されている。本変形例では、フラットヒーター143Aの発熱素子が約400℃になったときに、近接する位置を通過する扁平な筒状フィルムFpが約80℃になる。ガイドローラ群141Aに支持される扁平な筒状フィルムFpは、第3ピンチローラ135及び/又は第4ピンチローラ151の回転速度を変化させることで、張力が変化することとなる。したがって、加熱装置140Aは、フラットヒーター143Aによって一時的に加熱される扁平な筒状フィルムFpの張力を変えることができるように構成されている。
上述のように構成された加熱装置140Aは、図4に示す加熱工程(S5)における作用が、以下のようになる。第3ピンチローラ135を通過した扁平な筒状フィルムFpは、ガイドローラ群141Aに支持された状態でフラットヒーター143Aの傍らを通過し、フラットヒーター143Aの傍らを通過する際に一時的に約80℃に加熱される。筒状フィルムFpは、フラットヒーター143Aに加熱されることで、所望の熱収縮特性が付与される。筒状フィルムFpは、フラットヒーター143Aに加熱される際、張力を変化させることができるので、進行方向に縮ませながら加熱することができ、緩和率を調節することができる。本変形例では、緩和率が約17%となる。フラットヒーター143Aで加熱されて所望の熱収縮特性が付与された筒状フィルムFpは、第4ピンチローラ151に引っ張られ、裁断装置150(図3参照)に入ることになる。
以上の説明では、加熱装置140(加熱ローラ143及び冷却ローラ145)又は加熱装置140A(フラットヒーター143A)を、延伸装置130と裁断装置150との間に設けることとしたが、この位置に代えて、裁断装置150内の裁断刃155と第5ピンチローラ156との間に設けることとしてもよく、あるいは、第5ピンチローラ156と第1巻取ローラ161との間及び第5ピンチローラ156と第2巻取ローラ162との間のそれぞれに設けることとしてもよい。また、ラップフィルム1fの製造過程において、筒状フィルムFpを延伸後に約100℃の加熱ローラ143又は筒状フィルムFpを約80℃に加熱するフラットヒーター143Aで加熱処理をすることにより、ラップフィルム1fに所望の熱収縮特性を持たせることとしたが、加熱ローラ143又はフラットヒーター143A(以下、「加熱ローラ143等」という。)で加熱処理することに代えて、以下の要領でラップフィルム1fに所望の熱収縮特性を持たせることとしてもよい。
図6は、ラップフィルム巻体1の製造過程の別の例を示すフローチャートである。図6に示す製造過程は、図4に示す製造過程と比較して、図4における加熱工程(S5)が省略され、加熱保管工程(S7A)が追加されている。図6に示す製造過程は、溶融工程(S1)から延伸工程(S4)までは、図4に示す製造過程と同様である。そして、第3ピンチローラ135を通過した扁平な筒状フィルムFpは、特に加熱されることなくガイドローラ群141を通過して、第4ピンチローラ151に引っ張られ、裁断装置150に至る。裁断装置150に到達した筒状フィルムFpは、図4に示す製造過程と同様の、裁断工程(S6)及び原反生成工程(S7)が行われる。そして、図6に示す製造過程では、フィルム製造装置100から搬出した原反Frを、40℃〜80℃の環境下で、24時間以上、好ましくは48時間以上、より好ましくは70時間以上、典型的には72時間、保管する(加熱保管工程:S7A)。この加熱保管工程により、ラップフィルム1fは、所望の熱収縮特性が付与されることとなる。所望の熱収縮特性は、100℃における熱水収縮率が縦方向MDは0.3%を超え38%未満、横方向TDは0.3%以上29%未満、あるいは、縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が3%以上29%未満である。所望の熱収縮特性は、さらに、60℃における熱水収縮率が縦方向MDは12%未満で横方向TDは5%未満、あるいは縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が5%未満であることが好ましい。なお、加熱保管工程(S7A)において、72時間を超えると、以降、保管時間を延長してもほとんどラップフィルム1f及びラップフィルム巻体1の特性に違いがなくなる。加熱保管工程(S7A)が終了した原反Frは、巻き返し機(不図示)にセットされ、所定の長さ(例えば5m、20m、50m、80m等)で巻き取られて切断され、ラップフィルム巻体1となる(巻返し工程:S8A)。図6に示す製造過程における巻返し工程(S8A)は、図4に示す製造過程における巻取工程(S8)と呼称は異なるが、両者の内容は同じである。製造されたラップフィルム巻体1は、蓋部が開閉可能な直方体状のカートンに収容されて小売りされる。なお、図6に示す製造過程に用いられるフィルム製造装置100は、加熱ローラ143等を備えていなくてもよい。
なお、原反Frとなったラップフィルム1fに対して、所定の時間をかけずに(加熱保管せずに)所望の熱収縮特性を付与するため、フィルム製造装置100(図3参照、ただし加熱ローラ143等が省略される)の外に(フィルム製造装置100とは別に)、以下に例示する外付加熱装置を設けることとしてもよい。
図7(A)は、外付加熱装置としてのロール加熱装置240の概略構成図である。ロール加熱装置240は、ラップフィルム1fを加熱する加熱ロール243と、ラップフィルム1fを動かす駆動ロール242と、ラップフィルム1fに適度な張力を与えるガイドロール241とを有している。図7(A)に示すロール加熱装置240では、ラップフィルム1fの流れ方向に見て、ガイドロール241、駆動ロール242、ガイドロール241、ガイドロール241、加熱ロール243、ガイドロール241、ガイドロール241、駆動ロール242、ガイドロール241がこの順に配設されている。各駆動ロール242には、駆動ロール242との間にラップフィルム1fを挟むピンチロール244が併設されている。加熱ロール243には、加熱ロール243との間にラップフィルム1fを挟むピンチロール245が併設されている。加熱ロール243は、典型的には金属製のロールで形成されており、設定された温度(好ましくは80℃〜120℃、典型的には概ね100℃)に加熱することができるように構成されている。このように構成されたロール加熱装置240では、原反Frから引き出されたラップフィルム1fが、一方の駆動ロール242側から、加熱ロール243及び他方の駆動ロール242を通り、他方の駆動ロール242側でラップフィルム巻体1となる。この際、ラップフィルム1fは、加熱ロール243によって一時的に加熱され、熱収縮特性が付与される。このように、加熱ローラ143等が省略されたフィルム製造装置100(図3参照)の外に設けられたロール加熱装置240を用いた場合も、フィルム製造装置100(図3参照)内の加熱ローラ143等でラップフィルム1fを加熱した場合と同じ熱収縮特性を、ラップフィルム1fに付与することができる。
図7(B)に示す外付加熱装置としての熱風加熱装置340を、ロール加熱装置240(図7(A)参照)に代えて用いることとしてもよい。熱風加熱装置340は、ラップフィルム1fを加熱する熱風加熱器343と、ラップフィルム1fを動かす駆動ロール342と、ラップフィルム1fに適度な張力を与えるガイドロール341とを有している。図7(B)に示す熱風加熱装置340では、2つの駆動ロール342の間に熱風加熱器343が配置され、これらの間の適所にガイドロール341が設けられている。ガイドロール341は、ラップフィルム1fに適切な張力を与えるのに適した個数が配設されている。各駆動ロール342には、駆動ロール342との間にラップフィルム1fを挟むピンチロール344が併設されている。熱風加熱器343は、導入されたラップフィルム1fを設定された温度(好ましくは80℃〜120℃、典型的には概ね100℃)に加熱するための熱風が循環するように構成されている。このように構成された熱風加熱装置340では、原反Frから引き出されたラップフィルム1fが、一方の駆動ロール342側から、熱風加熱器343及び他方の駆動ロール342を通り、他方の駆動ロール342側でラップフィルム巻体1となる。この際、ラップフィルム1fは、熱風加熱器343によって一時的に加熱され、熱収縮特性が付与される。なお、熱風加熱装置340を、加熱ローラ143等が省略されたフィルム製造装置100(図3参照)の外に設けることに代えて、フィルム製造装置100(図3参照)内に熱風加熱器343を設け、ラップフィルム1fへの熱収縮特性の付与を、インラインで行うこととしてもよい。この場合、フィルム製造装置100(図3参照)の加熱ローラ143等に代えて熱風加熱器343が設置されることとなる。なお、フィルムの送り速度と巻き取り速度を同じにすることによって、フィルムが、図3中の加熱ローラ143等、図7(A)中の加熱ロール243、図7(B)中の熱風加熱器343を通過する際に、長手方向には収縮しないようにすることが好ましい。
図8は、外付加熱装置としてのロール加熱装置440の概略構成図である。ロール加熱装置440は、ラップフィルム1fを加熱する加熱ロール443と、ラップフィルム1fを動かす駆動ロール442と、ラップフィルム1fに適度な張力を与えるガイドロール441とを有している。図8に示すロール加熱装置440では、ラップフィルム1fの流れ方向に見て、ガイドロール441、ガイドロール441、ガイドロール441、駆動ロール442、ガイドロール441、加熱ロール443、22℃に制御されたガイドロール441、ガイドロール441、ガイドロール441がこの順に配設されている。駆動ロール442には、駆動ロール442との間にラップフィルム1fを挟むピンチロール444が併設されている。加熱ロール443には、加熱ロール443との間にラップフィルム1fを挟むピンチロール445が併設されている。加熱ロール443は、典型的には金属製のロールで形成されており、設定された温度(好ましくは60℃〜120℃、典型的には60℃あるいは概ね100℃)に加熱することができるように構成されている。このように構成されたロール加熱装置440では、原反Frから引き出されたラップフィルム1fが、駆動ロール442側から、加熱ロール443を通り、ラップフィルム巻体1となる。この際、ラップフィルム1fは、加熱ロール443によって一時的に加熱され、熱収縮特性が付与される。このように、加熱ローラ143等が省略されたフィルム製造装置100(図3参照)の外に設けられたロール加熱装置440を用いた場合も、フィルム製造装置100(図3参照)内の加熱ローラ143等でラップフィルム1fを加熱した場合と同じ熱収縮特性を、ラップフィルム1fに付与することができる。
以上の説明では、ラップフィルム1fが、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂を原料として形成されていることとしたが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ナイロン等を単独又は複合して用いて形成されたものでもよく、あるいは前述した各種原料で形成されていてもよい。
以上の説明では、ラップフィルム1fについて、60℃における熱水収縮率が、縦方向MDは12%未満で横方向TDは5%未満、あるいは縦方向MDと横方向TDとの相加平均値((MD+TD)/2)が5%未満となるように形成することにより、巻芯のない状態で巻かれたラップフィルム巻体1となったときの変形の発生を抑制することができることとしたが、内接シートとしての1mm以下のシートを円筒状に丸め、そこにラップフィルム1fを巻くようにすることで、変形の発生をより抑制することができる。内接シートは、円筒状のラップフィルム巻体1の内表面に接したときに、ラップフィルム1fの幅(横方向TDの長さ)の少なくとも70%の幅を持ち、典型的にはラップフィルム1fの幅よりも大きな幅を持つシートが用いられる。また、内接シートは、ラップフィルム1fの幅に直交する方向(縦方向MD)の長さが、円筒状のラップフィルム巻体1の内表面の周長(内周長)の1.3倍〜3.5倍の長さを持つようにして、ラップフィルム巻体1の内表面に接したときに、内接シートが周方向で重なるようにすることが好ましい。内接シートの大きさが上述のように形成されていることで、内接シートは、ラップフィルム巻体1の内表面の面積の70%以上で接することとなる。内接シートとして、典型的には、厚さ70〜85μmのクラフト紙が用いられる。内接シートは、内接シート自身が重なる部分が生じるように巻いた後にラップフィルム1fを巻始めるようにしてもよく、内接シートが重なる部分にラップフィルム1fを差し込んでラップフィルム1fを巻き込むように巻くこととしてもよい。
以下、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体(塩化ビニリデン(VD)と塩化ビニル(VC)とを、VD:VC=82:18(質量比)で混合し、懸濁重合法により合成した。)樹脂を原料として、パリソンから筒状フィルムにする際に、長手方向(縦方向MD)に3.6倍、幅方向(横方向TD)に4.6倍に2軸延伸し、厚さ10μm、幅30cmに形成したラップフィルムについて、長さ50mで円筒状に巻いた、巻芯がないラップフィルム巻体を、条件を変えて製造したものの実施例及び比較例を示す。なお、製造された各ラップフィルム巻体は、内径が29mmとなっている。
実施例1は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)を、60℃の環境下で72時間保管する条件として製造したラップフィルム巻体である。
実施例2は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)に代えて、図7(A)に示すロール加熱装置240を用いてラップフィルムを加熱して製造したラップフィルム巻体である。ロール加熱装置240においては、100℃に加熱された加熱ロール243にラップフィルムが接触する長さを0.3mとし、ラップフィルムを毎分1.4mの速度で送り、ラップフィルムの任意の部分が約12.9秒間100℃に加熱処理されるようにした。
実施例3は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)に代えて、図7(B)に示す熱風加熱装置340を用いてラップフィルムを加熱して製造したラップフィルム巻体である。熱風加熱装置340においては、100℃に加熱された熱風が循環する、長さ2.2mの熱風加熱器343の中を、ラップフィルムが毎分10mの速度で通過させ、ラップフィルムの任意の部分が13.2秒間100℃に加熱処理されるようにした。
実施例4は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)に代えて、図8に示すロール加熱装置440を用いてラップフィルムを加熱して製造したラップフィルム巻体である。ロール加熱装置440においては、80℃に加熱された加熱ロール443にラップフィルムが接触する長さを1.3mとし、ラップフィルムを毎分40mの速度で送り、ラップフィルムの任意の部分が約2.0秒間80℃に加熱処理されるようにした。
実施例5は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)に代えて、図8に示すロール加熱装置440を用いてラップフィルムを加熱して製造したラップフィルム巻体である。ロール加熱装置440においては、100℃に加熱された加熱ロール443にラップフィルムが接触する長さを1.3mとし、ラップフィルムを毎分40mの速度で送り、ラップフィルムの任意の部分が約2.0秒間100℃に加熱処理されるようにした。
実施例6は、図4に示す製造過程において、加熱工程(S5)を、図5に示すフラットヒーター143Aを有する加熱装置140Aによって筒状フィルムFpを80℃に一時的に加熱して製造したラップフィルム巻体である。
比較例1は、図4あるいは図6に示す製造過程の延伸工程(S4)の後、加熱をせずに、原反Frを生成した(S7)後、直ちに巻き返して(加熱保管工程なし)製造したラップフィルム巻体である。
比較例2は、図6に示す製造過程において、加熱保管工程(S7A)を、100℃の環境下で72時間保管する条件として製造したラップフィルム巻体である。
図9(A)に、各実施例及び比較例の、電子レンジ適性、及び電子レンジ適性に影響する100℃における熱水収縮率についての結果を示す。また、図9(B)に各実施例及び比較例の、ラップフィルム巻体の変形度合い、及びラップフィルム巻体の変形度合いに影響する60℃における熱水収縮率についての結果を示す。図9(A)、(B)に示す結果は、各例につき、5つのサンプルの平均である。なお、100℃及び60℃における熱水収縮率については、それぞれ、縦方向MD、横方向TD、縦方向MD及び横方向TDの相加平均((MD+TD)/2)を示している。図9(A)に示す結果において、電子レンジ適性は、以下の要領で評価した。電子レンジ適性は、茶碗に対してその深さの半分程度まで水を入れ、ラップフィルムを上から被せて縁に密着させ、電子レンジに入れて500Wで2分間加熱した後に、22℃の室内に2分間放置(以下、「冷却」という。)した。その結果を、◎、△、×の各記号で表している。◎は、適度な密閉性を保ちつつ、冷却後に茶碗内が減圧状態にならず、被せたラップフィルムが茶碗の内側に沿って変形しない(ラップフィルムが茶碗内の水に接触しない)状態である。△は、密閉性が高すぎて、冷却後に茶碗内が減圧状態となり、被せたラップフィルムが茶碗の内側に沿って変形した状態である。×は、密閉性が低く、茶碗とラップフィルムとの間に隙間が複数あり、水蒸気漏れが生じる状態である。
図9(B)に示す結果において、ラップフィルム巻体の変形度合いは、以下の要領で評価した。ラップフィルム巻体の変形度合いは、上述の各手順で製造されたラップフィルム巻体を50℃の室内で168時間(1週間)保管した後、幅及び内径を計測し、それぞれの変形率を、◎、○、×の各記号で表している。幅については、変形が0.5%未満のものを◎で、変形が0.5%以上2.0%未満のものを○で表している。内径については、変形が4.0%未満のものを◎で、変形が4.0%以上6.0%未満のものを○で、変形が6.0%以上のものを×で表している。図9(B)において、実施例2、実施例3、実施例5、及び実施例6の60℃における横方向TDの熱水収縮率の値にアスタリスクを付しているのは、伸張したことを示している。この点において、当該値は収縮ではないが、ラップフィルム巻体1が60℃の環境下で求められる特性は、ラップフィルム巻体に巻芯がなくても許容範囲を超えた変形が生じないようにするために、収縮及び伸張の両方向共に変形が小さいことであるから、60℃における熱水収縮率は、収縮及び伸張を含む変形率をいうものとする。換言すれば、60℃における熱水収縮率は、60℃の熱水HWへの浸漬前後の、原長100mmからの変化値の絶対値を、原長100mmに対する割合として百分率で求めたものとなる。
図9(A)、(B)から分かるように、実施例1〜6では、電子レンジ適性が良好で、ラップフィルム巻体の変形度合いも許容範囲内に収まっていた。比較例1では、電子レンジ適性において水蒸気漏れがないものの温度変化に伴う変形が大きくなっている。特に、比較例1では、ラップフィルム巻体の内径の変形度合いが許容範囲を逸脱しているため、巻芯のないラップフィルム巻体として採用するのは難しい。比較例2では、電子レンジ適性において水蒸気漏れが生じたため採用に値しなかった。なお、比較例2では、ラップフィルム巻体の変形度合いが許容範囲内に収まっていた。
本明細書中で引用する刊行物、特許出願及び特許を含むすべての文献を、各文献を個々に具体的に示し、参照して組み込むのと、また、その内容のすべてをここで述べるのと同じ限度で、ここで参照して組み込む。
本発明の説明に関連して(特に以下の請求項に関連して)用いられる名詞及び同様な指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。語句「備える」、「有する」、「含む」及び「包含する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち「〜を含むが限らない」という意味)として解釈される。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、明細書に組み込まれる。本明細書中で説明されるすべての方法は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、あらゆる適切な順番で行うことができる。本明細書中で使用するあらゆる例又は例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。明細書中のいかなる言い回しも、請求項に記載されていない要素を、本発明の実施に不可欠であるものとして示すものとは解釈されないものとする。
本明細書中では、本発明を実施するため本発明者が知っている最良の形態を含め、本発明の好ましい実施の形態について説明している。当業者にとっては、上記説明を読めば、これらの好ましい実施の形態の変形が明らかとなろう。本発明者は、熟練者が適宜このような変形を適用することを予期しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で本発明が実施されることを予定している。したがって本発明は、準拠法で許されているように、本明細書に添付された請求項に記載の内容の変更及び均等物をすべて含む。さらに、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、すべての変形における上記要素のいずれの組合せも本発明に包含される。
1 ラップフィルム巻体
1f ラップフィルム
MD 縦方向
TD 横方向

Claims (7)

  1. 食品を加熱する際に用いられる食品用ラップフィルムであって、
    ASTM D−2732に準拠して測定した100℃における熱水収縮率が、縦方向が0.3%を超え38%未満、かつ横方向が0.3%以上29%未満である;
    塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂で形成された厚さが5μm〜20μmの食品用ラップフィルム。
  2. 食品を加熱する際に用いられる食品用ラップフィルムであって、
    ASTM D−2732に準拠して測定した100℃における熱水収縮率の縦方向と横方向との相加平均値が3%以上29%未満である;
    塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂で形成された厚さが5μm〜20μmの食品用ラップフィルム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の食品用ラップフィルムが円筒状に巻かれて形成された食品用ラップフィルム巻体であって;
    前記食品用ラップフィルムは、
    ASTM D−2732に準拠して測定した60℃における熱水収縮率の縦方向と横方向との相加平均値が5%未満、又は、ASTM D−2732に準拠して測定した60℃における熱水収縮率が、縦方向が12%未満かつ横方向が5%未満である;
    食品用ラップフィルム巻体。
  4. 前記食品用ラップフィルムの長さが5m〜80mである;
    請求項3に記載の食品用ラップフィルム巻体。
  5. 前記食品用ラップフィルム巻体の内面の面積の70%以上に接して設けられた内接シートであって、厚さが1mm以下の内接シートを備える;
    請求項3又は請求項4に記載の食品用ラップフィルム巻体。
  6. 請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の食品用ラップフィルム巻体の製造方法であって、食品用ラップフィルムの原料となる樹脂を溶融した溶融樹脂を生成する溶融工程
    と;
    前記溶融樹脂を冷却して冷却樹脂とする冷却工程と;
    前記冷却樹脂を延伸して食品用ラップフィルムとする延伸工程と;
    前記食品用ラップフィルムを一時的に加熱する加熱工程と;
    前記食品用ラップフィルムを所定の長さで円筒状に巻き取って食品用ラップフィルム巻体とする巻取工程とを備える;
    食品用ラップフィルム巻体の製造方法。
  7. 請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の食品用ラップフィルム巻体の製造方法であって、食品用ラップフィルムの原料となる樹脂を溶融した溶融樹脂を生成する溶融工程と;
    前記溶融樹脂を冷却して冷却樹脂とする冷却工程と;
    前記冷却樹脂を延伸して食品用ラップフィルムとする延伸工程と;
    前記食品用ラップフィルムを巻き取る1次巻取工程と;
    前記1次巻取工程で巻き取られた前記食品用ラップフィルムを、40℃〜80℃の環境下で24時間以上保管する加熱保管工程と;
    前記加熱保管工程の後、前記食品用ラップフィルムを所定の長さで円筒状に巻き返して食品用ラップフィルム巻体とする巻返し工程とを備える;
    食品用ラップフィルム巻体の製造方法。
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