JP4889478B2 - 塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの熱処理方法 - Google Patents
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Description
また、熱収縮率をさらに低減するために、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムを(Tm−30)℃より高い温度で直接加熱方式により熱処理すると、フィルムが軟化し、フィルム表面に加熱ロール跡や皺が残る等の問題があった。
このようなブリスターパックは錠剤や電子部品等の小さい製品の包装に非常に適したものではあるが、防湿性が求められる用途に使用する場合には、所望の防湿性を達成するため成形体に塩化ビニルシートに塩化ビニリデンラテックスを数回〜十数回コーティングする必要があり、製造に多大な手間がかかるという問題がある。そのため、簡易な製造方法で製造できる防湿性を有するブリスター成形体が望まれている。
また、本発明においては、このような熱処理方法により、機械強度・気体バリア性と低熱収縮率の両立を実現した塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体フィルムを提供することを目的とする。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの熱処理方法であって、
以下の加熱工程(a)、(b)をこの順で含み、0℃<Tb−Ta≦20℃である熱処理方法;
(a)フイルム温度Ta(℃)が(Tm−60)℃≦Ta≦(Tm−30)℃となるように、フィルムに加熱ロールを接触させてフィルムを加熱する直接加熱工程、
(b)フィルム温度Tb(℃)が(Tm−45)℃≦Tb≦(Tm−10)℃となるように、間接加熱手段を用いてフィルムを加熱する間接加熱工程、
ここで、Tm(℃)はフィルムの結晶融点を示す。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムは、気体に対するバリア性や防湿性に優れているので、機械的強度に優れる他のフイルムと積層して、ブリスター成形体に適用できるのであれば好適である。しかし、錠剤用等の比較的小さいブリスター成形体を製造する場合には、積層体のMD方向にのみテンションがかかりTD方向にはテンションがかからない成形方法が適用されることが多いところ、このような成形方法では、従来のような熱収縮率が大きい塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体フィルムを用いた場合、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体フィルムだけがTD方向に収縮するため積層体にカールと幅縮みが起こり、成形ができなかった。
しかし、本発明によれば、熱収縮率が非常に低減された塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムを製造できるので、これを用いてブリスター成形体を製造することができる。
本発明の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの熱処理方法は、直接加熱工程(a)と間接加熱工程(b)をこの順で含む。
まず、直接加熱工程(a)について説明する。
直接加熱工程(a)は、フイルム温度Ta(℃)が(Tm−60)℃≦Ta≦(Tm−30)℃となるように、フィルムに加熱ロールを接触させてフィルムを加熱する工程である。
直接加熱工程(a)におけるフィルム温度Taが(Tm−30)℃以下であれば、フィルムは軟化しないのでフィルム表面にロール跡がつく問題が起こらない。
また、直接加熱工程(a)におけるフィルム温度Taが(Tm−60)℃以上であれば、後の間接加熱工程(b)との組み合わせにより最終的なフィルムの熱収縮率が目標値を達成することができる。
加熱ロールが数本ある場合は、いずれの加熱ロールによる加熱によってもフィルムの温度は(Tm−30)℃を超えてはならないが、少なくともいずれかの加熱ロールによりフィルムの温度を(Tm−60)℃以上、(Tm−30)℃以下にすればよい。好ましい態様は、加熱ロールの温度を順次5℃〜20℃ずつ上げ、最終加熱ロールによってフィルムの温度を(Tm−60)℃以上、(Tm−30)℃以下にすることである。
加熱ロールによる処理時間は2秒〜20秒であることが望ましい。ここで、処理時間とは、フィルムの温度が(Tm−60)℃以上、(Tm−30)℃以下の温度範囲にある時間をいい、加熱ロールが数本の場合は、フィルムの温度が(Tm−60)℃以上、(Tm−30)℃以下の温度範囲にある時間の合計を指す。
処理時間が2秒以上であれば、後の間接加熱工程(b)との組み合わせにより熱収縮率を目標の範囲にすることができ、20秒以下であればフィルムの熱劣化が生じない。
間接加熱工程(b)は、フィルム温度Tb(℃)が(Tm−45)℃≦Tb≦(Tm−10)℃となるように、間接加熱手段を用いてフィルムを加熱する工程である。
ここで、「フィルム温度Tb」とは、間接加熱工程(b)におけるフィルムの最高温度をいう。
また「間接加熱手段」とは、フィルムに直接接触しない加熱手段をいい、例えば、カーボンヒーター、近赤外線ヒーター、電熱ヒーター等の公知のヒーターを使用することができる。この中でも、昇温能力の高いカーボンヒーター、近赤外線ヒーターが望ましい。
間接加熱手段は、1つでも複数でも構わない。間接加熱手段が複数ある場合、いずれの間接加熱手段による加熱によってもフィルムの温度は(Tm−10)℃を超えてはならないが、少なくともいずれかの間接加熱手段によりフィルムの温度を(Tm−45)℃以上、(Tm−10)℃以下にすればよい。
MD方向のフィルムテンションが0.5MPa以上であれば、間接加熱工程(b)中にフィルムに皺が発生せず、10MPa以下であれば、目標範囲の熱収縮率とMD方向、TD方向の熱収縮率のバランスを達成することができる。
処理時間が0.5秒以上であれば、前述の直接加熱工程(a)との組み合わせにより、目標の熱収縮率を達成することができ、10秒以下であればフィルムの熱劣化が生じない。
温度差を20℃以下とすることにより、間接加熱工程(b)におけるフィルム表面の皺の発生を防止することができる。
更に望ましくは、フィルムの熱収縮率を、MD方向において1%以上7%以下、TD方向において−3%以上5%以下とし、MD方向とTD方向の熱収縮率差(MD−TD)を、−1%以上7%以下とすることが好ましい。
熱収縮率(%)={(熱収縮前のフィルム長さ−熱収縮後のフィルム長さ)
/熱収縮前のフィルム長さ}×100
また、熱処理後のフィルムの熱収縮率が、MD方向において1%以上7%以下、TD方向において−3%以上5%以下で、かつ、MD方向とTD方向の熱収縮率差(MD−TD)が−1%以上7%以下であればTD方向のカールや幅縮み、MD方向のピッチずれの問題は生じない。
二軸延伸フィルムの製造方法に限定はないが、溶融押出後に一般的なダブルバブルインフレーション法により製膜したものであることが好ましい。
本発明の熱処理方法を適用する二軸延伸フィルムに含まれる塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の共重合組成に限定はないが、塩化ビニリデンの共重合割合が90〜98重量%、アクリル酸メチルの共重合割合が2〜10重量%であることが好ましい。
アクリル酸メチルの共重合割合が2重量%以上であれば、押出製膜時の溶融特性が良好である。また、アクリル酸メチルの共重合割合が10重量%以下であれば高い水蒸気バリア性を達成することができる。
引張破断強度が50MPa以上であれば、他のシートを積層するためのラミネート加工の際のテンションによってもフィルム切れは起らない。なお、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の特性上、引張破断強度は約250MPa以下となる。
Mwが5.0万以上であれば、製膜時のフィルム強度が十分であることから二軸延伸することができる。一方、Mwが8.5万以下であれば、押出製膜時の溶融特性が良好であると共にフィルムの熱収縮応力が低減されるために熱処理後の熱収縮率を目標範囲まで低減しやすくなる。また、Mwが7.5万以下であれば、熱収縮応力が更に低減されるために、より低温の熱処理で熱収縮率を低減することが可能になる。
なお、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの水蒸気透過率はアクリル酸メチルの共重合割合を調整することで制御することができ、例えば、水蒸気透過率は5.0g・μm/m2・day以上とするためには、アクリル酸メチルの共重合割合を2重量%以上にすればよい。
また、本発明の熱処理方法を適用する塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムには、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体以外の重合体を含んでもよいが、これらの他の重合体の含有量は、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルム100重量部に対して30重量部以下であることが好ましい。
これらの積層されるシートの製法は特に限定されるものではないが成形性の観点からカレンダー法が望ましい。また積層されるシートの厚みは10μmから400μmが望ましい。
更に積層方法については特に限定されないが、例えば、有機溶剤を用いたソルベント方式や水性接着剤を用いたノンソルベント方式が挙げられる。
本発明において製造できるブリスター成形体の寸法形状に限定はないが、MD方向にのみテンションがかかりTD方向にはテンションがかからない成形方法を適用して製造した場合には、比較的小さいブリスター成形体を製造することができ、通常、円径、楕円形、長方形の場合はそれぞれ直径、長径、長辺が5mm〜50mm程度である。また、このようなブリスター成形体の被包装体としては、例えば、防湿性或いは酸素や二酸化炭素の遮断性が必要とされる医薬錠剤、電子部品等が挙げられる。
図1においてまず、先の溶融延伸プロセスにより製造された塩化ビニリデン−アクリル酸共重合体二軸延伸フィルムの原反を繰り出し機101にセットし、加熱ロール102によりフィルム温度Taが(Tm−60)℃以上、(Tm−30)℃以下となるようにして2〜20秒の直接熱処理を施す。次に、加熱ロール102からフィルムが離れた後にカーボンヒーター等の間接加熱手段103によりフィルム温度Tbが(Tm−45)℃以上、(Tm−15)℃以下となるようにして0.5秒〜10秒の間接熱処理を施す。この際のフィルムのMD方向のフィルムテンションが0.5〜10MPa(テンションピックアップロール104で測定)であることが好ましい。その後、空冷によりフィルムの温度を下げて巻き取り機105によってフィルムを巻き取る。
1)フィルムを構成する樹脂組成物のTm(結晶融点) (℃)
パーキンエルマー社のDiamond DSCを使用して測定した。二軸延伸後熱処理前のフィルムを30℃から190℃まで10℃/minで昇温した時の結晶融解熱量のピーク温度(℃)をTmとした(昇温回数は1回)。
2)熱収縮率(フリー収縮値)(%)
(Tm−15)℃エアー中、フィルムにテンションがかからない状態で5分間暴露し、暴露前後のMD方向、TD方向のフィルム長さを測定し、熱収縮率を求めた。
熱処理後の皺の発生を以下の基準にしたがって目視により評価した。
(皺発生評価基準)
皺の発生がない:○
皺が発生する:×
4)引張破断強度
ASTM D−882に準拠して、23℃、50%RHにおいて引張破断強度を測定した。
(引張破断強度の評価基準)
MD、TD共に50MPa以上 :○
MD、TDの一方が50MPa未満:×
5)水蒸気透過率(WVTR)
試料として厚み15μmのフィルムを用意し、ASTM F−1249に準拠して、Mocon PERMATRAN−W200を使用して38℃、90%RHの条件で測定した。
(水蒸気透過率の評価基準)
5.0g・μm/ m2・day≦WVTR≦30g・μm/m2・day:○
30g・μm/m2・day<WVTR≦60g・μm/m2・day:△
60g・μm/m2・day<WVTR:×
5) ラミネート適性
ドライラミネーターにより、以下の条件で、250μm厚のポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト社(株) VSS−1104)と2000m長のドライラミネート加工を行い、以下の基準にしたがってラミネート適性を評価した。
(ラミネーター条件他)
速度;100m/min
フィルムテンション;5MPa
ニップロール温度;60℃
乾燥方式;70℃×20秒
塗工方式;グラビアコート
接着剤;三井武田ケミカル(株)製 A515とA50を10:1の割合で混合したものを接着剤量の3倍重量の酢酸エチルに溶かしたものを使用した。
塗布量:4g/m2(dry)
(ラミネート適性評価基準)
フィルム切れが起らずラミネート加工が可能:○
フィルム切れが1回以上起るためラミネート加工が不可能:×
6) 成形適性
ラミネート適性の評価の場合と同様にして積層シートを形成し、シート巾を108mmにスリットした後に金型として直径11mm、深さ6mm丸型錠剤タイプのものを使用してPTP包装用のマルホPF−D1型の成形機にて連続成形を行った。
(成形条件)
シート温度:150℃
成形圧力:真空+圧空0.4MPa
(成形適性評価基準)
連続成形が可能(TDのカール、巾縮みが起らない・MDのピッチずれが起らない):○
連続成形が不可能(TDのカール、巾縮みが起らない・MDのピッチずれが生じる):△
連続成形が不可能(TDのカール、巾縮みが生じる・MDのピッチずれが生じない):×
連続成形が不可能(TDのカール、巾縮みが生じる・MDのピッチずれが生じる):××
塩化ビニリデン(VDC)の共重合割合が94.8重量%、アクリル酸メチル(MA)の共重合割合が5.2重量%であり、重量平均分子量が8.0万の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体(PVDC−MA)100重量部に対して、熱安定剤としてエポキシ化亜麻仁油2.0重量部を添加混合して得られた樹脂組成物を押出し、ダブルバブルインフレーション法にて二軸延伸フィルムを製膜した。得られた塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTm(融点)は165℃であった。
このフィルムを、図1に示した装置を用いて、まず加熱ロールでの120℃(フィルム温度Ta)の直接加熱を15秒施した後にカーボンヒーターで130℃(フィルム温度Tb)の間接加熱を5秒施した。カーボンヒーターによる間接加熱時のMD方向のフィルムテンションは1.5MPaであり、TD方向はテンションをかけなかった。このようにして、最終的に15μm厚のフィルムを得た。
この熱処理後の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムをカレンダー加工により製造された250μm厚の塩化ビニルシート(住友ベークライト社(株) VSS−1104)とドライラミネート加工(上記評価方法5に記載と同様の方法)して積層シートを作成した。ドライラミネート時の接着剤としては2液反応型ウレタン接着剤(三井武田ケミカル(株) A515/A50)を用いた。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の重量平均分子量を7.4万とし、熱処理条件を(加熱ロール加熱:110℃/18秒 カーボンヒーター:125℃/7秒 フィルムテンション1.5MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは166℃であった。
<実施例3>
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の重量平均分子量を6.2万とし、熱処理条件を(ロール加熱:130℃/3秒 カーボンヒーター:150℃/3秒 フィルムテンション0.8MPa)とした以外は実施例1と同様でにして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは167℃であった。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の重量平均分子量を8.3万とし、熱処理条件を(ロール加熱:120℃/20秒 カーボンヒーター:122℃/9秒 フィルムテンション1.5MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは164℃であった。
<実施例5>
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体のVDCの共重合割合を97.8重量%、MAの共重合割合を2.2重量%、重量平均分子量を5.2万とし、熱処理条件(ロール加熱:144℃/15秒 カーボンヒーター:154℃/1秒 フィルムテンション5.0MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。である。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは189℃であった。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体のVDCの共重合割合を92.2重量%、MAの共重合割合を7.8重量%とし、熱処理条件を(ロール加熱:102℃/15秒 カーボンヒーター:112℃/5秒 フィルムテンション 8.0MPa )とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは147℃であった。
<実施例7>
熱処理条件を(ロール加熱:120℃/15秒 カーボンヒーター:130℃/5秒 フィルムテンション 11MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なおこの際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体の重量平均分子量を7.0万とし、熱処理条件を(ロール加熱:110℃/20秒 カーボンヒーター:135℃/7秒 フィルムテンション 1.5MPa )をとした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは167℃であった。
<比較例2>
熱処理条件を(ロール加熱:120℃/15秒 カーボンヒーター:加熱なし)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例3>
熱処理条件を(ロール加熱:140℃/15秒 カーボンヒーター:加熱なし)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
熱処理の際、フィルムにロール跡が残り、そこが起点となりフィルム切れが多発した。
<比較例4>
熱処理条件を(ロール加熱:なし カーボンヒーター:130℃/5秒 フィルムテンション 1.5MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成したが皺が原因でラミネート加工ができなかった。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例5>
熱処理条件を(ロール加熱:100℃/15秒 カーボンヒーター:120℃/5秒 フィルムテンション1.5MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例6>
熱処理条件を(ロール加熱:105℃/15秒 カーボンヒーター:115℃/5秒 フィルムテンション 1.5MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
熱処理条件を(ロール加熱:130℃/15秒 カーボンヒーター:160℃/5秒 フィルムテンション:0.8MPa)とした以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なお、この際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例8>
直接加熱と間接加熱の順序を変更した、すなわち、間接加熱後に直接加熱を行った(カーボンヒーター:130℃/5秒 フィルムテンション 1.5MPa ロール加熱:120℃/15秒 )以外は実施例1と同様にして積層シートを作成したが皺が原因でラミネート加工ができなかった。なおこの際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例9>
熱処理を実施しない以外は実施例1と同様にして積層シートを作成した。なおこの際の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムのTmは165℃であった。
<比較例10>
実施例1と同様の樹脂組成物を特開昭62−285928の無延伸系のTダイキャスト法で製膜して15μm厚のフィルムを得た。この塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体無延伸フィルムのTmは165℃であった。
このフィルムに、実施例1と同様にしてドライラミネート加工して積層シートを作成したがフィルム切れが生じてラミネートできなかった。
特に、間接加熱工程(b)においてフィルムのMD方向のテンションを10MPa以下とした実施例1〜6の熱処理方法では、連続成形が可能なほど良好な成形適性を示した。
これに対して、直接加熱、間接加熱のいずれか一方を行っていない比較例2〜4においては、熱収縮率が大きいか、又は、フイルム切れや皺が発生した。また、直接加熱と間接加熱とを組み合わせた熱処理ではあっても、フィルム温度Ta、Tbが本発明の規定から外れる比較例1、5〜7においては、熱処理時にフィルムが軟化してフィルムが切れたり、フィルム表面に皺やローラ跡が発生するか、又は、成形適性が劣っていた。また、直接加熱と間接加熱とが本発明とは逆の順序で施された比較例8においては、熱処理によりフイルム表面に皺が発生し、これが原因でラミネートができなかった。
特に、このフィルムは熱収縮率が大幅に低減されるので、塩化ビニル等の他の成形性の良好なシートとラミネート加工して積層体とした後にTD方向にテンションをかけずに成形する成形方法に適している。そのため、医薬品等の包装に用いられるブリスター成形体の製造にも適している。
102; 加熱ロール
103; 間接加熱手段(カーボンヒーター)
104; テンションピックアップロール
105; 巻き取り機
Claims (6)
- 塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの熱処理方法であって、
以下の加熱工程(a)、(b)をこの順で含み、0℃<Tb−Ta≦20℃である熱処理方法;
(a)フイルム温度Ta(℃)が(Tm−60)℃≦Ta≦(Tm−30)℃となるように、フィルムに加熱ロールを接触させてフィルムを加熱する直接加熱工程、
(b)フィルム温度Tb(℃)が(Tm−45)℃≦Tb≦(Tm−10)℃となるように、間接加熱手段を用いてフィルムを加熱する間接加熱工程、
ここで、Tm(℃)はフィルムの結晶融点を示す。 - 間接加熱工程(b)においてフィルムのMD方向にかかるフィルムテンションが0.5MPa以上、10MPa以下である請求項1に記載の熱処理方法。
- 塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムを用意する工程と、
該塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムを請求項1又は2記載の熱処理方法により熱処理する工程と
を含む、熱収縮率が低減した塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムの製造方法。 - 請求項3記載の製造方法によって製造された塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムであって、
その熱収縮率が、MD方向において1%以上10%以下、TD方向において−3%以上7%以下であり、かつ、MD方向とTD方向の熱収縮率差(MD−TD)が−2%以上8%以下である、塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルム。 - ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、環状オレフィン共重合体、環状ポリオレフィン、ポリ塩化三フッ化エチレンから選ばれる一種類以上を含むシートと、
請求項4記載の塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体二軸延伸フィルムと、
を含む積層体。 - 請求項5記載の積層体を使用したブリスター成形体。
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