JP2016014107A - 微多孔性フィルムの製造方法 - Google Patents
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〔1〕
ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、前記ポリプロピレン樹脂(A)及び前記ポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る成膜工程と、
前記成膜工程で得られた前記単層原反フィルム又は前記積層原反フィルム2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る熱圧着工程と、
前記熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程で得られた熱処理後の前記積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する延伸工程と、
前記延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る剥離工程と、
をこの順で有する、膜厚が16μm以下である微多孔性フィルムの製造方法。
〔2〕
前記剥離工程で得られる前記微多孔性フィルムの膜厚が、10〜14μmである、前項〔1〕に記載の微多孔性フィルムの製造方法。
本実施形態の膜厚が16μm以下である微多孔性フィルムの製造方法は、
ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、前記ポリプロピレン樹脂(A)及び前記ポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る成膜工程と、
前記成膜工程で得られた前記単層原反フィルム又は前記積層原反フィルム2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る熱圧着工程と、
前記熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程で得られた熱処理後の前記積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する延伸工程と、
前記延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る剥離工程と、
をこの順で有する。
成膜工程は、ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、ポリプロピレン樹脂(A)及びポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る工程である。
ポリプロピレン樹脂(A)は、ペンタッド分率が90〜96%のポリプロピレンである。「ペンタッド分率」とは、分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。
ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるプロピレンである。ポリプロピレン樹脂(B)は、エチレン及び/又はα−オレフィンを共重合して得られるプロピレン系共重合体であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂(B)がプロピレン系共重合体であることにより、α−オレフィンがポリプロピレン結晶間をつなぐタイ分子の役割を果たし、結晶間で起こる破壊がより抑制される傾向にある。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられる。
本実施形態において、ポリエチレン樹脂を含んだ層を有する積層微多孔性フィルムを製造する場合には、ポリエチレン樹脂を用いることもできる。ポリエチレン樹脂のMFRは、好ましくは0.01〜10g/10分であり、より好ましくは0.1〜1.0g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜0.5g/10分である。MFRが0.01g/10分以上であることにより、フィッシュアイが発生し難くなる傾向にある。また、MFRが10g/10分以下であることにより、透過性がより向上する傾向にある。MFRは、実施例に記載の方法により測定することができる。
熱圧着工程は、成膜工程で得られた単層原反フィルム又は積層原反フィルム(以下、まとめて「原反フィルム」ともいう)2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る工程である。具体的には、成膜工程で得られた単層原反フィルム又は積層原反フィルム2〜6枚を巻出し、加熱されたロ−ル間でニップし、圧着することで積層体が得られるが、特に限定されない。
熱処理工程は、熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する工程である。熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、積層体を加熱ロール上に接触させる方法、積層体を加熱気相中に曝す方法、及びこれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。
延伸工程は、熱処理工程で得られた熱処理後の積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する工程である。この延伸により積層体を構成する層が多孔化される。
本実施形態の微多孔性フィルムの製造方法は、延伸工程を経て得られた積層体に対して、好ましくは熱延伸温度より0℃〜30℃高い温度で熱処理を施す熱固定工程を含むことが好ましい。この熱固定の方法としては、熱固定後の積層体の長さが、熱固定前の微多孔性フィルムの長さに対して3〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」と言う。)、延伸方向の寸法が変化しないように熱固定する方法等が挙げられる。この熱固定によって寸法安定性のより一層良好な、即ち熱収縮率の小さい微多孔性フィルムとすることができる。
剥離工程は、延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る工程である。具体的には、剥離工程では、延伸工程又は熱固定工程で得られた積層体から各微多孔性フィルムを剥離し、巻き取る。同時に全ての微多孔性フィルムを剥離してそれぞれを巻き取ってもよく、1枚のみを剥離し、剥離した微多孔性フィルムと残りの積層体をそれぞれ巻取ってもよい。1枚のみを剥離する場合は、残りの積層体を再度巻出し、1枚のみの剥離を繰返し所定の枚数の微多孔性フィルムを得ることができる。
本実施形態の微多孔性フィルムとしては、膜厚が16μm以下であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン樹脂を含む単層微多孔性フィルム又は、ポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層微多孔性フィルムが挙げられる。
JIS K7210に準拠して、温度210℃、荷重2.16kgの条件で測定した値であり、その単位はg/10分である。
JIS K7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定した値であり、その単位はg/10分である。
ポリプロピレン樹脂のペンタッド分率は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編集)の記載に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルから、ピーク高さ法によって算出した。13C−NMRスペクトルの測定は、日本電子(株)製ECS−400を使用して、微多孔性フィルムをo−ジクロロベンゼン−dに溶解させ、測定温度130℃、積算回数10000回の条件で行った。
ポリプロピレン樹脂のプロピレン含有量及びエチレン含有量は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編集)の記載に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルから、ピーク高さ法によって算出した。13C−NMRスペクトルの測定は、日本電子(株)製ECS−400を使用して、微多孔性フィルムをo−ジクロロベンゼン−dに溶解させ、測定温度130℃、積算回数10000回の条件で行った。
JIS K7112に準拠して、25℃の条件で測定した値であり、その単位はkg/m3である。
ポリエチレン樹脂における樹脂の分子量分布は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)から求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnの値である。GPC測定は、東ソー社製のGPS装置(商品名「HLC−8121GPC/HT」)を用いて行った。カラムとして東ソー社製の商品名「TSKgel GMHHR−H(20)」(2本)を用い、移動相o−ジクロロベンゼン(o−DCB)、カラム温度155℃、流量1.0mL/分、試料濃度0.5mg/mL(o−DCB)、注入量500μL、試料溶解温度160℃、試料溶解時間3時間の条件で行った。分子量の校正は、ポリスチレンで行い、ポリスチレン換算分子量でMw及びMnを求め、分子量分布を導出した。
微多孔性フィルムの膜厚は、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて測定した。
微多孔性フィルムの透気度は、JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計により測定した。
微多孔性フィルムの気孔率は、微多孔性フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂の密度ρ(g/cm3)とから下記式を用いて算出した。尚、ポリプロピレン樹脂のみから構成される微多孔性フィルムの場合は、ρ=0.91g/cm3、ポリエチレン樹脂を含む層を有する積層微多孔性フィルムの場合は、ρ=0.93g/cm3として算出した。
気孔率(%)={(V−M/ρ/V}×100
カトーテック製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、最大突き刺し荷重(g)を測定した。
ポリプロピレン(A):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=96%
ポリプロピレン(B):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=90%
ポリプロピレン(C):プロピレン系共重合体、MFR=3、ペンタッド分率=98%、プロピレン含有量=99.5mol%、エチレン含有量=0.5mol%
ポリプロピレン(D):プロピレン系共重合体、MFR=3、ペンタッド分率=98%、プロピレン含有量=98mol%、エチレン含有量=2mol%
ポリプロピレン(E):プロピレンホモポリマー、MFR=3、ペンタッド分率=98%
ポリエチレン(A) :MFR=0.7、密度=963kg/m3、Mw/Mn=12
ポリプロピレン(A)を口径20mm、L/D=30(L:単軸押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:単軸押出機の内径(m))、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入し、ポリエチレン(A)を別の口径20mm、L/D=30、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入した。この単軸押出機の先端に設置したリップ厚み3.0mmの2種3層共押出Tダイから、ポリプロピレン(A)を表層とし、ポリエチレン(A)を中間層としたフィルムを押出した。尚、表層と中間層の押出重量の比を2:1、Tダイ温度(「成膜温度」ともいう)を190℃とした。押出した後の溶融樹脂に直ちに25℃の冷風を当て、次いで、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200、巻き取り速度15m/分の条件で芯体上に巻き取り、積層原反フィルムを得た(成膜工程)。
実施例1と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
実施例1と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.1倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
実施例1と同様に熱圧着工程までを行い、得られた積層体4つを巻出し、128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、積層体にシワが発生しないように、炉内で積層体をMD方向に1.03倍延伸した。
熱圧着工程の原反フィルムの枚数を6枚、熱処理工程の積層体を6つに変更した以外は、実施例2と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
成膜工程のリップ厚みを4mmに変更した以外は、実施例1と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
ポリプロピレン(A)を口径20mm、L/D=30(L:単軸押出機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:単軸押出機の内径(m))、シリンダー温度200℃の単軸押出機にフィーダーを介して投入した。この単軸押出機の先端に設置した単層Tダイからフィルムを押出した。尚、Tダイ温度を190℃とした。押出した後の溶融樹脂に直ちに25℃の冷風を当て、次いで、95℃に冷却したキャストロールでドロー比200、巻き取り速度15m/分の条件で芯体上に巻き取り、単層原反フィルムを得た(成膜工程)。
成膜工程で用いるポリプロピレンを表1に示すポリプロピレンに変更した以外は、実施例1と同様に積層微多孔性フィルムを得た。
実施例4と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
実施例4と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.07倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
実施例5と同様に原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。原反フィルム3つをそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
実施例5と同様に原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.1倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
実施例6と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、熱処理を試みた。積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で実施例1と同条件で熱処理を行ったところ、炉内で積層原反フィルムにシワが発生し、熱処理された積層原反フィルムを得ることができなかった。
実施例6と同様に積層原反フィルムを得たのち、熱圧着を行うことなく、積層原反フィルム3枚をそれぞれ巻出し、3枚を重ね合せた状態で128℃に加熱された炉内を30分間かけて通過させ(熱処理工程)、その後、25℃の冷却ロ−ルに導いて巻き取って積層体を得た。尚、炉内で3枚の積層原反フィルムをMD方向に1.07倍延伸することで、シワが発生することなく熱処理を行うことができた。
成膜工程で用いるポリプロピレン(A)をポリプロピレン(E)に変更した以外は実施例1と同様に積層原反フィルムを得た。実施例1と同様に熱圧着を試みたが、積層微多孔性フィルムを圧着させることができず、積層体を得ることができなかった。
Claims (2)
- ペンタッド分率が90〜96%であるポリプロピレン樹脂(A)、及び、プロピレン含有量が98〜99.5mol%であるポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む単層原反フィルム、又は、前記ポリプロピレン樹脂(A)及び前記ポリプロピレン樹脂(B)からなる群より選ばれる1種以上のポリプロピレン樹脂を含む層を最外層に有する積層原反フィルムを得る成膜工程と、
前記成膜工程で得られた前記単層原反フィルム又は前記積層原反フィルム2〜6枚を重ね合せて熱圧着し積層体を得る熱圧着工程と、
前記熱圧着工程で得られた前記積層体1枚又は2〜6枚を重ね合せた状態で熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程で得られた熱処理後の前記積層体を90℃〜160℃に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜5.0倍に延伸する延伸工程と、
前記延伸工程で得られた延伸後の前記積層体の層を剥離して微多孔性フィルムを得る剥離工程と、
をこの順で有する、膜厚が16μm以下である微多孔性フィルムの製造方法。 - 前記剥離工程で得られる前記微多孔性フィルムの膜厚が、10〜14μmである、請求項1に記載の微多孔性フィルムの製造方法。
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