JP5361363B2 - 積層微多孔性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の微多孔性フィルムの積層体である積層微多孔性フィルムの製造方法に関する。
微多孔性フィルム、特にポリオレフィン系微多孔性フィルムは、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料等に使用されており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用されている。また近年、リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の小型電子機器用途として使用されている一方で、ハイブリッド電気自動車等への応用も図られている。
ここで、ハイブリッド電気自動車用途に用いられるリチウムイオン電池には、短時間に多くのエネルギーを取り出すための、より高い出力特性が要求される。また、ハイブリッド電気自動車用途に用いられるリチウムイオン電池は、一般的に大型でかつ高エネルギー容量であるため、より高い安全性が要求される。
リチウムイオン電池に使用される電池用セパレータに関しては、安全性を確保するために、シャットダウン(SD)機能が必須とされている。SD機能とは、電池内部温度が過度に上昇した場合に、電池用セパレータの電気抵抗を急激に上昇させることにより、電池反応を停止させて、それ以上の温度上昇を防止する機能である。上記SD機能の発現機構としては、例えば、微多孔性フィルム製の電池用セパレータの場合、所定の温度まで電池内部温度が上昇した場合にその多孔質構造を喪失して無孔化し、イオン透過を遮断することが挙げられる。しかしながら、このように無孔化してイオン透過を遮断しても、温度がさらに上昇してフィルム全体が溶融し破膜してしまった場合は、電気的絶縁性を維持できなくなってしまう。従って、このフィルムがその形態を保持できなくなりイオン透過を遮断することができなくなる温度を破膜温度といい、この温度が高いほど電池用セパレータの耐熱性が優れているといえる。また上記破膜温度とSD開始温度との差が大きいほど、安全性に優れているといえる。
このような事情に対応可能なセパレータとして用いられる微多孔性フィルムを提供することを目的として、例えば、特許文献1には、共押出成形法により、高融点樹脂層と低融点樹脂層を有する積層フィルムを成形し、次いで延伸することで積層微多孔性フィルムを製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、ポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムを別々に成形した後、積層し、次いで延伸することで透気性の良好な積層微多孔性フィルムを製造する方法が開示されている。
特許第2883726号公報 特許第3003830号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された方法を用いた場合、熱延伸工程の歪み速度が比較的低い条件においては、透気性が良好で、膜厚が均一な積層微多孔性フィルムが得られるが、生産性を上げるために熱延伸工程の歪み速度を高くすると、フィルムにしわが入り膜厚が不均一になるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、熱延伸工程の歪み速度を高くした場合でも、良好な透気性と、膜厚均一性とのバランスに優れた積層微多孔性フィルムを得ることのできる積層微多孔性フィルムの製造方法及びその方法により得られる積層微多孔性フィルム、並びにその積層微多孔性フィルムを用いた電池用セパレータを提供することを課題とする。
本発明者らは前述の課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、比較的高融点を有する樹脂フィルムと比較的低融点を有する樹脂フィルムを特定の温度で冷延伸した後、より高い特定の温度及び特定の歪み速度で熱延伸することにより、リチウムイオン二次電池用セパレータとして好適な透気性と膜厚均一性を兼ね備えた積層微多孔フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
以下の工程(1)及び(2)を含む、積層微多孔性フィルムの製造方法:
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、を有する積層体を、−20℃以上(TmB−60)℃以下に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程(ここで、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である)、
(2)工程(1)において冷延伸された積層体を、(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満に保持した状態で、少なくとも一方向に歪み速度100%/分以上1000%/分以下で1.05倍以上5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
[2]
前記工程(2)の後に以下の工程(3)をさらに含む、上記[1]記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
(3)工程(2)において熱延伸された積層体を、(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下の温度で熱固定する工程。
[3]
前記工程(1)が以下の工程(4)を含む、上記[1]又は[2]記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
(4)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、をそれぞれアニールした後に熱圧着により積層体を形成する工程であって、
前記フィルムAのアニール温度が、前記フィルムBのアニール温度よりも高い工程。
[4]
上記[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法により製造された積層微多孔性フィルム。
[5]
上記[4]記載の積層微多孔性フィルムからなる電池用セパレータ。
本発明によれば、熱延伸工程の歪み速度を高くした場合でも、良好な透気性と、膜厚均一性とのバランスに優れた積層微多孔性フィルムを得ることのできる積層微多孔性フィルムの製造方法及びその製造方法により得られる積層微多孔性フィルム、並びにその積層微多孔性フィルムを用いた電池用セパレータを提供することができる。
以下、本発明について、具体的な実施態様(以下、「本実施の形態」と略記する)を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、以下の工程(1)及び(2)を含む:
(1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、を有する積層体を、−20℃以上(TmB−60)℃以下に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程(ここで、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である)、
(2)工程(1)において冷延伸された積層体を、(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満に保持した状態で、少なくとも一方向に歪み速度100%/分以上1000%/分以下で1.05倍以上5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
本実施の形態において、用語「TmA」とは樹脂組成物Aの融点(℃)を、用語「TmB」とは樹脂組成物Bの融点(℃)を示し、JIS K−7121に準拠した方法で測定した融点を言う。
本実施の形態の製造方法の説明に先立ち、本実施の形態の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムについて簡単に説明する。
本実施の形態の製造方法により製造される積層微多孔性フィルムは、樹脂組成物Aから構成される微多孔層Aと、樹脂組成物Aよりも低い融点を有する樹脂組成物Bから構成される微多孔層Bと、が積層された構造を有する。
微多孔層Aは、比較的高融点の樹脂組成物Aから構成されるフィルムA(以下、「高融点(の)フィルムA」ということもある。)に対して所定の延伸処理を施して、これを多孔化することにより形成される。フィルムAの熱処理後の弾性回復率は、80〜95%であることが好ましく、より好ましくは84〜92%である。
また、微多孔層Bは、比較的低融点の樹脂組成物Bから構成されるフィルムB(以下、「低融点(の)フィルムB」ということもある。)に対して所定の延伸処理を施して、これを多孔化することにより形成される。フィルムBの熱処理後の弾性回復率は50〜80%であることが好ましく、より好ましくは60〜75%である。
フィルムA及びBの弾性回復率を上記の範囲内とすることは、多孔化の程度が十分な積層微多孔性フィルムを得る観点から好適である。
ここで、フィルムA及びBの「熱処理後の弾性回復率」は、それぞれ、下記のようにして導出される。
高融点フィルムAについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅10mm、長さ50mmの短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、50mm/分の速度で長さ方向に100%まで(即ち、100mmの長さになるまで)伸長する。その後、直ちに同速度(50mm/分)で試験片を弛緩させて引張試験機にかかる引張荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(1)に基づいて、高融点フィルムAの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((100%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/
(伸張前の試験片の長さ)×100・・・(1)
また、低融点フィルムBについては、大気中、130℃で1時間アニールした後、幅15mm、長さ2インチ(5.08cm)の短冊状に切り出して試験片を得る。その試験片を引張試験機の所定位置にセットし、25°C、65%相対湿度の条件下、2インチ/分の速度で長さ方向に50%まで(即ち、3インチの長さになるまで)伸長する。次いで、1分間、その伸長状態で試験片を保持し、その後、同速度(2インチ/分)で試験片を弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さを測定する。そして、下記式(2)に基づいて、低融点フィルムBの「熱処理後の弾性回復率」を導出する。
熱処理後の弾性回復率(%)=
((50%伸張時の試験片の長さ)−(弛緩させて荷重がゼロになった時の試験片の長さ))/
((50%伸張時の試験片の長さ)−(伸張前の試験片の長さ))×100・・・(2)
以下に、本実施の形態の製造方法の各工程について詳細に説明する。
まず、フィルムAとフィルムBを有する積層体を形成する工程について説明する。
本実施の形態のフィルムAとフィルムBを有する積層体の製造方法としては、例えば、Tダイやサーキュラーダイを用い、(a)共押出法により各樹脂フィルムを積層した積層フィルムを成形する方法、(b)各樹脂フィルムを別々に押出成形した後に貼合する方法が挙げられる。これらの中でも、本実施の形態で得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、Tダイで各樹脂フィルムを別々に押出成形した後に貼合する方法が好ましい。
フィルムAとフィルムBの貼合は熱圧着により行うことが好ましい。熱圧着の方法としては、例えば、フィルムA及びフィルムBを加熱されたロ−ル間に通す方法が挙げられる。この場合、各フィルムは原反ロ−ルスタンドから巻き出され、加熱されたロ−ル間でニップされ、重ねて熱圧着されることで積層される。特に、高融点のフィルムAを2枚の低融点フィルムBで挟むようにしてそれらを積層する場合に、この方法を採用すると好適である。この方法によれば、得られる積層体のカ−ル(湾曲)が抑制され、外傷も受け難いため、最終的に得られる積層微多孔性フィルムの耐熱性、機械的強度等がより良好となる。また、積層微多孔性フィルムを電池用セパレ−タとして用いる場合、その安全性、信頼性等々の特性をより十分に満たす観点からも好適である。
熱圧着温度は、好ましくは(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃であり、より好ましくは(TmB−10)℃〜(TmB−2)℃である。熱圧着温度が(TmB−30)℃未満であると、積層フィルム間の剥離強度が弱くなり、その後の工程(2)(熱延伸工程)で剥がれが生じやすくなる傾向がある。また、熱圧着温度が(TmB−2)℃を超えると、低融点のフィルムBが溶融し、所期の課題を解決し得る積層微多孔性フィルムが得られ難くなる傾向がある。加熱されたロ−ルで熱圧着を行う場合は、ロールの表面温度を熱圧着温度とする。
熱圧着する際に負荷する圧力は、1〜6kg/cm2が好ましく、より好ましくは3〜6kg/cm2である。巻き出し速度は、0.5〜8m/分が好ましい。加熱されたロ−ルで熱圧着を行う場合は、ロール間のニップ圧を熱圧着する際に負荷する圧力とする。
上記(a)及び(b)のいずれの製造方法においても、押し出し後のドロー比、即ち、フィルムの巻取速度(単位はm/分である)を樹脂組成物の押出速度(ダイリップを通過する溶融樹脂の流れ方向の線速度であり、単位はm/分である)で除した値は、好ましくは10〜500、より好ましくは100〜400、更に好ましくは150〜350である。また、フィルムを巻き取る際のフィルムの巻取速度は、好ましくは約2〜400m/分、より好ましくは10〜200m/分である。ドロー比を上記範囲とすることは、得られる積層微多孔性フィルムの透気性を向上させる観点から好適である。
また、フィルムA及びフィルムBには、必要に応じて熱処理(アニール)を施すことが好ましい。アニールの方法としては、例えば、フィルムを加熱ロール上に接触させる方法又は加熱気相中に曝す方法、フィルムを芯体上に巻き取り加熱気相又は加熱液相中に曝す方法や、これら両者を組み合わせて行う方法が挙げられる。これらの加熱処理の条件は、フィルムを構成する材料の種類等により適宜決定されるが、高融点のフィルムAの場合、例えば、(TmA−60)℃〜(TmA−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間アニールすることが好ましい。加熱温度が(TmA−60)℃以上であれば後に得られる積層微多孔性フィルムの透気性が良好となり、(TmA−2)℃以下であればフィルムを芯体上に巻き取った状態でアニールしてもフィルム同士が融着するリスクが低減する。より好ましい加熱温度範囲は、(TmA−30)℃〜(TmA−2)である。一方、低融点のフィルムBの場合、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の加熱温度で、10秒間〜100時間アニールすることが好ましい。
アニールは各フィルムを積層する前に行ってもよく、積層した後に行ってもよい。積層する前にアニールを施す場合、フィルムAとフィルムBとのそれぞれに適した条件でアニールを施すことができる。積層膜に各フィルムをアニールすることは、積層微多孔性フィルムの膜厚均一性を向上させる観点及び/又は、気孔率、透気度及び熱収縮率のバランスがさらに良好な積層微多孔性フィルムを得る観点から好ましい。得られる積層微多孔性フィルムの透気度を向上させる観点から、フィルムAのアニール温度が、フィルムBのアニール温度よりも高いことが好ましい。一方、積層した後にアニールを施す場合、アニール前の樹脂の非晶部の比率が高い状態で樹脂フィルム同士を熱圧着により積層することになるため、接着強度が高い積層微多孔性フィルムが得られる傾向となり好ましい。
フィルムAとフィルムBを熱圧着する際のフィルムAとフィルムBの積層の態様は特に限定されず、任意の層構成の積層微多孔性フィルムを製造できるように積層すればよい。積層微多孔性フィルムの層構成の具体例としては、(a)1つの微多孔層Aと1つの微多孔層Bとからなる積層微多孔性フィルム、(b)1つの微多孔層Aとその両側に積層された微多孔層Bとからなる積層微多孔性フィルム、(c)1つの微多孔層Bとその両側に積層された微多孔層Aとからなる積層微多孔性フィルム、(d)微多孔層A−微多孔層B−微多孔層A−微多孔層Bというように、それぞれの微多孔層が交互に配置された積層微多孔性フィルムが挙げられる。膜厚均一性の観点からは、(c)の方法が好ましい。
次に、工程(1)について説明する。
工程(1)は、樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBを有する積層体を、−20℃以上(TmB−60)℃以下に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程である。
工程(1)における冷延伸の延伸温度は、−20℃以上(TmB−60)℃以下、好ましくは0℃以上(TmB−80)℃以下の温度である。−20℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向があり、(TmB−60)℃を超える温度で延伸した場合は、得られる積層微多孔性フィルムの気孔率が低く、透気度が高くなる傾向がある。ここで、冷延伸の延伸温度は工程(1)における積層体の表面温度である。
工程(1)における冷延伸の延伸倍率は、1.05倍以上2.0倍以下であり、好ましくは1.1倍以上2.0倍未満である。延伸倍率が1.05倍以上であると、透気性の良好な積層微多孔性フィルムが得られ、2.0倍以下であると、膜厚が均一な積層微多孔性フィルムが得られる。
フィルムAとフィルムBを有する積層体の冷延伸は、少なくとも一方向に行うが、好ましくは、フィルムの押出し方向(以下、「MD方向」という。)にのみ一軸延伸を行うことが好ましい。
本実施の形態においては、工程(1)において、フィルムAとBとを有する積層体を、0℃以上(TmB−80)℃以下の温度で、MD方向に1.1倍〜2.0倍に一軸延伸することが好ましい。
また、工程(1)は、(4)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、をそれぞれアニールした後に熱圧着により積層体を形成する工程であって、前記フィルムAのアニール温度が、前記フィルムBのアニール温度よりも高い工程(工程(4))、を含むことが好ましい。ここで、工程(4)は、上述のフィルムAとフィルムBを有する積層体を形成する工程において説明したとおりである。
次に、工程(2)について説明する。
本実施の形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、工程(1)において冷延伸された積層体を、(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満に保持した状態で、少なくとも一方向に歪み速度100%/分以上1000%/分以下で1.05倍以上5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程(工程(2))を含む。
熱延伸の延伸温度は、(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満である。(TmB−60)℃未満で延伸した場合はフィルムが破断する傾向にあり、(TmB−30)℃以上で延伸した場合は、積層微多孔性フィルムにしわが入り、膜厚ムラが大きくなる傾向にある。特許第2883726号公報には、(TmB−30)℃〜(TmB−2)℃の温度で熱延伸を行うことにより、良好な透気性を達成できることが開示されている。しかしながら、生産性を高めるために熱延伸工程の歪み速度を100%/分以上に高めた場合、積層微多孔性フィルムにしわが入り、膜厚ムラが生じるという問題がある。このような高い歪み速度条件下においては、当該公報においては透気性の観点で好ましくないとされている温度範囲、即ち(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満で熱延伸を行うと、驚くべきことに、透気性も良好で膜厚ムラも少ない積層微多孔性フィルムが得られることが分かった。ここで、熱延伸の延伸温度は工程(2)における積層体の表面温度である。
本実施の形態の熱延伸工程における歪み速度は、100%/分以上1000%/分以下である。歪み速度が100%/分以上であれば、本発明の奏する効果が顕著となり、1000%/分以下であれば、透気性の良好な積層微多孔性フィルムが得られる。熱延伸工程における歪み速度は、好ましくは300%/分以上700%/分以下である。
尚、本実施の形態において、熱延伸時の「歪み速度」は、下記式(3)によって定義される。
歪み速度(%/分)=n×100÷t・・・(3)
(式中、nは熱延伸工程の延伸倍率であり、tは熱延伸するのに要する時間(分)である。)
熱延伸工程における延伸倍率は、1.05倍以上5.0倍以下であり、好ましくは1.1倍以上5.0倍以下、より好ましくは2.0倍以上5.0倍以下である。熱延伸工程における延伸倍率が1.05倍以上であると、透気性の良好な積層微多孔性フィルムが得られ、5.0倍以下であると、膜厚が均一な積層微多孔性フィルムが得られる。
熱延伸は、少なくとも一方向に対して行い、好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向に行い、より好ましくは冷延伸の延伸方向と同じ方向にのみ一軸延伸を行う。
本実施の形態においては、工程(2)において、工程(1)において冷延伸された積層体を、(TmB−60)以上(TmB−30)℃未満の温度で、MD方向に2.0倍〜5.0倍に一軸延伸することが好ましい。
本実施の形態の製造方法は、積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、冷延伸工程(工程(1))と熱延伸工程(工程(2))の2段階の延伸工程を含む。積層微多孔性フィルムの製造方法が延伸工程を1段階で行う方法である場合、得られる積層微多孔性フィルムは、要求された物性を満たし難くなる傾向がある。なお、本実施の形態の積層微多孔性フィルムの製造方法は、上述の各延伸工程に加えて、更なる延伸工程を含んでもよい。
本実施の形態の製造方法は、工程(2)において熱延伸された積層体を、(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下で熱固定を施す工程(工程(3))を含むことが好ましい。このような熱固定工程を設けることは、延伸時に作用した応力残留による積層微多孔性フィルムの延伸方向への収縮を抑制し得るばかりか、得られる積層微多孔性フィルムの層間剥離強度を向上させる観点からも好適である。この熱固定の方法としては、熱固定後の積層微多孔性フィルムの長さが10〜50%減少する程度熱収縮させる方法(以下、この方法を「緩和」という。)、延伸方向の寸法が変化しないように固定する方法等が挙げられる。
熱固定温度は、(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下であることが好ましく、(TmB−15)℃以上(TmB−2)℃以下であることがより好ましい。ここで、熱固定温度とは、工程(3)における積層微多孔性フィルムの表面温度である。
本実施の形態の製造方法における冷延伸工程、熱延伸工程、その他の延伸工程及び熱固定を施す工程において、延伸又は熱固定は、ロール、テンター、オートグラフ等により、1段階又は2段階以上で、1軸方向及び/又は2軸方向に行うことができる。特に、得られる積層微多孔性フィルムに要求される物性や用途の観点から、ロールによる2段階以上の1軸延伸/固定を行うことが好ましい。
次に、本実施の形態の製造方法において用いるフィルムA及びBを構成する材料である、樹脂組成物A及びBについて説明する。
本実施の形態において樹脂組成物とは、1種類の樹脂(高分子材料)単独、1種類以上の樹脂の混合物、又は、これらに任意の添加剤を添加したものをいう。
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bは、JIS K−7121に準拠の方法で測定した融点(以下、単に「融点」という。)が異なるものであれば、その種類や共重合割合等は同じであっても異なっていてもよい。
ここで、樹脂組成物Aの融点TmAと樹脂組成物Bの融点TmBとの差(TmA―TmB)は大きい方が好ましい。その融点の差が小さいと、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合、異常電流により電池の内部温度が上昇した際に、低融点の樹脂組成物Bから構成される微多孔層が溶融すると間もなく高融点の樹脂組成物Aから構成される微多孔層も溶融してしまうおそれがある。その結果、電池用セパレータのフィルム形状又はシート形状が保持されず、安全性が低下する傾向にある。このような観点から、TmA―TmBは5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上である。
フィルムAを構成する樹脂組成物Aの具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のエチレン共重合体;又はこれらを含むアロイ樹脂組成物等を挙げることができる。
樹脂組成物Aは、その融点が150℃以上であると、積層微多孔性フィルムの耐熱性が高くなる傾向にあるため好ましい。また、250℃以下であれば、成膜時の樹脂の流動性が良くなる傾向にあり、高ドロー比の成膜が可能となるため好ましい。
フィルムBを構成する樹脂組成物Bの具体例としては、例えば、ポリエチレン、より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル;又はこれらを含む組成物等を挙げることができる。
樹脂組成物A及びBには、各種目的に応じて、樹脂(高分子材料)以外の任意の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、無機フィラー;フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類;紫外線吸収剤;光安定剤;帯電防止剤;防曇剤;着色顔料等が挙げられる。これらの添加剤の総添加量は、樹脂組成物100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
次に、本実施の形態の製造方法により得られる積層微多孔性フィルムの物性について説明する。
積層微多孔性フィルムの気孔率は、好ましくは20%〜70%、より好ましくは35%〜65%、更に好ましくは45%〜60%である。気孔率を20%以上に設定することにより、積層微多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合に、十分なイオン透過性を確保し得る傾向にある。一方、気孔率を70%以下に設定することにより、積層微多孔性フィルムが十分な機械強度を確保し得る傾向にある。
なお、積層微多孔性フィルムの気孔率は、各層を構成する樹脂組成物A及びBの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。また、積層微多孔性フィルムの気孔率は、フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出される。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
積層微多孔性フィルムの膜厚は、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
積層微多孔性フィルムの透気度は、好ましくは10秒/100cc〜5000秒/100cc、より好ましくは50秒/100cc〜1000秒/100cc、さらに好ましくは100秒/100cc〜500秒/100ccである。透気度が5000秒/100cc以下である場合、積層微多孔性フィルムが十分なイオン透過性を確保し得る傾向にある。一方、透気度が10秒/100cc以上である場合、欠陥のない、より均質な積層微多孔性フィルムが得られる傾向にある。
なお、積層微多孔性フィルムの透気度は、各層を構成する樹脂組成物A及びBの組成、各延伸工程における延伸温度、延伸倍率等を適宜設定することにより上述の範囲に調節することができる。また、透気度は、JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計を用いて測定される。
積層微多孔性フィルムの層間剥離強度は、好ましくは10〜100g/15mmであり、より好ましくは30〜100g/15mmである。なお、層間剥離強度は、25°C、65%相対湿度において押出し方向に対して垂直方向(以下、「TD方向」という。)に幅15mm、MD方向に長さ150mmで、予め測定接着面の一部を剥がした試料を作成し、引張試験機にチャック間距離75mmでT状態にセットして500mm/分の速度で測定した値である。
本実施の形態の製造方法により製造された積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、より具体的にはリチウム二次電池用セパレータとして好適に用いられる。その他、各種分離膜としても用いられる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、用いた原材料及び各種特性の評価方法は下記の通りである。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠し、ポリプロピレン樹脂については210℃、2.16kgの条件で、ポリエチレン樹脂については190℃、2.16kgの条件で測定した値であり、単位はg/10分である。ポリエチレン樹脂の密度は、JIS K 7112に準拠し測定した値であり、その単位はkg/m3である。
樹脂組成物A及び樹脂組成物Bとして、下記のポリプロピレン樹脂(a−1)、ポリエチレン樹脂(b−1)を用いた。
(1)ポリプロピレン樹脂(a−1)
プロピレンホモポリマー、MFR=3.0
(2)ポリエチレン樹脂(b−1)
密度=964、MFR=1.0
各フィルムの特性は下記のようにして測定した。
(1)膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて測定した。
(2)膜厚ムラ(%)
幅300mmの積層微多孔性フィルムをMD方向に幅50mmに切り出した試験片の厚さを、ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製、商品名「PEACOCK No.25」)を用いて10mmごとに測定し、その測定値の最大値TMAX、最小値TMIN及び算術平均値TAVから下記式を用いて算出した。
膜厚ムラ(%)=[(TMAX−TMIN)/TAV]×100
(3)気孔率(%)
フィルムから10cm×10cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルの体積V(cm3)及び質量M(g)と、フィルムを構成する樹脂組成物の密度d(g/cm3)から下記式を用いて算出した。
気孔率(%)={(V−M/d)/V}×100
(4)透気度(秒/100cc)
JIS P−8117に準拠したガーレー式透気度計にて測定した。なお、膜厚を20μmとした場合の値に換算した値を、そのフィルムの透気度とした。
(5)熱収縮率
フィルムから12cm×12cm角のサンプルを切り出し、そのサンプルのMD方向、TD方向に、それぞれ、10cm間隔で2つずつ(計4つ)の印を付け、サンプルを紙で挟んだ状態で、100℃のオーブン中に60分間静置した。オーブンからサンプルを取り出し冷却した後、MD方向、TD方向の印間の長さ(cm)を測定し、下記式を用いてMD方向及びTD方向の熱収縮率を算出した。
MD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のMD方向の長さ(cm))/10×100
TD方向の熱収縮率(%)=(10−加熱後のTD方向の長さ(cm))/10×100
(6)層間剥離強度
25°C、65%相対湿度においてTD方向に幅15mm、MD方向に長さ150mmで、予め測定接着面の一部を剥がしたサンプルを作成し、引張試験機にチャック間距離75mmでT状態にセットして500mm/分の速度で測定した。
[製造例1](フィルムAの製造)
ポリプロピレン樹脂(a−1)を、口径20mm、L/D=30、200℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(a−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比250倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、高融点のフィルム(A−1)を成形した。この高融点のフィルム(A−1)を構成するポリプロピレン樹脂(a−1)の融点TmAは165℃であり、熱処理後の弾性回復率は90%であった。
[製造例2](フィルムBの製造)
ポリエチレン樹脂(b−1)を、口径20mm、L/D=30、180℃に設定した単軸押出機にフィーダーを介して投入し、押出機先端に設置したリップ厚3.0mmのTダイから押し出した。その後直ちに、溶融した樹脂(b−1)に25℃の冷風を当て、95℃に冷却したキャストロールでドロー比300倍、巻き取り速度10m/分の条件で巻き取り、低融点のフィルム(B−1)を成形した。この低融点のフィルム(B−1)を構成するポリエチレン樹脂(b−1)の融点TmBは133℃であり、熱処理後の弾性回復率は72%であった。
[実施例1]
高融点のフィルム(A−1)2枚と低融点のフィルム(B−1)1枚を用意し、それぞれを130℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施した。次いで、両外層が高融点のフィルム(A−1)、内層が低融点のフィルム(B−1)になるように3枚のフィルムを重ねて、巻き出し速度4.0m/分で巻き出し、加熱ロ−ルに導き、そこで熱圧着温度130℃、線圧2.0kg/cmで熱圧着し、積層フィルム(積層体)を得た。得られた積層体を、25℃の温度でMD方向に1.3倍に一軸延伸(冷延伸工程)し、続いて、100℃の温度でMD方向に歪み速度300%/分で2.0倍に一軸延伸(熱延伸工程)して、高融点の微多孔層Aと低融点の微多孔層Bとが積層された積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1の熱延伸を80℃の温度で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1の熱延伸を歪み速度150%/分で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1の熱延伸を歪み速度750%/分で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の熱延伸工程後に、積層微多孔性フィルムに対して、125℃の温度で0.8倍に緩和させて熱固定を施し、積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例6]
高融点のフィルム(A−1)を140℃に加熱された熱風循環オ−ブン中で1時間アニールを施したこと以外は、実施例5と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1の熱延伸を115℃の温度で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1の熱延伸を60℃の温度で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1の熱延伸を歪み速度1100%/分で行ったこと以外は、実施例1と同様にして積層微多孔性フィルムを得た。
得られた積層微多孔性フィルムについて、膜厚、膜厚ムラ、気孔率、透気度、熱収縮率、層間剥離強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005361363
本実施の形態の製造方法により製造された実施例1〜6の積層微多孔性フィルムは、いずれも、良好な透気性(低い透気度)と膜厚均一性を兼ね備えていた。
これに対し、熱延伸を115℃の温度で行った比較例1の積層微多孔性フィルム、及び、熱延伸を歪み速度1100%/分で行った比較例3の積層微多孔性フィルムは、フィルムにしわが入り膜厚均一性に劣っていた。また、熱延伸を60℃の温度で行うと膜厚均一性は改善されるが、その代わりに透気性(透気度)が低下することが確認された(比較例2)。
本発明の製造方法により製造された積層微多孔性フィルムは、電池用セパレータ、より具体的には、リチウム二次電池用セパレータとしての産業上利用可能性を有する。

Claims (3)

  1. 以下の工程(1)及び(2)を含む、積層微多孔性フィルムの製造方法:
    (1)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Aより融点の低い樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、を有する積層体を、−20℃以上(TmB−60)℃以下に保持した状態で、少なくとも一方向に1.05倍〜2.0倍に冷延伸する冷延伸工程(ここで、TmBは、樹脂組成物Bの融点(℃)である)、
    (2)工程(1)において冷延伸された積層体を、(TmB−60)℃以上(TmB−30)℃未満に保持した状態で、少なくとも一方向に歪み速度100%/分以上1000%/分以下で1.05倍以上5.0倍以下に熱延伸する熱延伸工程。
  2. 前記工程(2)の後に以下の工程(3)をさらに含む、請求項1記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
    (3)工程(2)において熱延伸された積層体を、(TmB−30)℃以上(TmB−2)℃以下の温度で熱固定する工程。
  3. 前記工程(1)の前に以下の工程(4)をさらに含む、請求項1又は2記載の積層微多孔性フィルムの製造方法:
    (4)樹脂組成物Aから構成されるフィルムAと、樹脂組成物Bから構成されるフィルムBと、をそれぞれアニールした後に熱圧着により積層体を形成する工程であって、
    前記フィルムAのアニール温度が、前記フィルムBのアニール温度よりも高い工程。
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