JP2001198937A - 透明性に優れる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法 - Google Patents
透明性に優れる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法Info
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Abstract
方向とその直交方向の物性バランスが良く、広幅で厚い
フィルムを、溶剤や可塑剤を使用せずに簡単なプロセス
で生産性良く製造できる高分子量ポリオレフィン積層フ
ィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 高分子量ポリオレフィン積層フィルムの
製造方法は、極限粘度[η]が4dl/g以上の高分子
量ポリオレフィンよりなり、かつ溶剤や可塑剤を実質的
に使用することなく得られた同種又は同一の高分子量ポ
リオレフィン処理前フィルムを2枚以上積層し、該処理
前フィルムの最も高い融点−15℃以上で該処理前フィ
ルムの最も低い分解温度未満の処理温度範囲において、
0.1MPa以上の圧力下に圧縮加熱処理することから
なる。処理前フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二
軸延伸フィルム、インフレーションフィルムが好まし
い。
Description
分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法に関す
る。
オレフィンに比べ、耐衝撃性、耐磨耗性、耐薬品性、引
張強度等に優れており、エンジニアリングプラスチック
としてその用途が拡がりつつある。しかしながら高分子
量ポリオレフィンは汎用のポリオレフィンに比較して溶
融粘度が極めて高く流動性が悪いため、従来のTダイ成
形、インフレーションフィルム成形等の押出成形や射出
成形によって成形することは非常に難しく、そのほとん
どは圧縮成形によって成形されており、一部ロッド等が
極く低速で押出成形されている状況にあった。
高分子量ポリオレフィンを使用したフィルムについて鋭
意検討された結果、以下の知見が得られている。特公平
6−55433号公報において、極限粘度[η]が5d
l/g以上の超高分子量ポリエチレンからなり、縦方向
の破断点抗張力が800kg/cm2以上、横方向の破
断点抗張力が700kg/cm2以上、厚さが10〜1
000μmであることを特徴とするインフレーションフ
ィルムが開示されている。
て、極限粘度[η]が5dl/g以上の超高分子量ポリ
エチレンからなり、厚さが0.5〜500μm、破断点
抗張力が700kg/cm2以上である超高分子量ポリ
エチレン二軸延伸フィルムが開示されている。さらに、
特公平4−16330号公報において、高分子量ポリオ
レフィンに多量の可塑剤を混合して押出成形し、二軸延
伸フィルムを製造する方法が開示されている。
フィルム或いは成形方法で得られた高分子量ポリオレフ
ィンフィルムは、優れた機械的性質を有するものの、汎
用ポリオレフィンのフィルムに比し透明性に劣るという
欠点があった。また、多量の可塑剤を用いる方法では、
用途によっては得られたポリオレフィンフィルムから可
塑剤を抽出する必要があり、工程がさらに複雑になるば
かりか、可塑剤が存在した部分には空隙が形成され、透
明性を悪化させる原因となっていた。
高強度な透明フィルムに関しては、以下の文献に記載が
ある。特開昭60−255415号公報には、粘度平均
分子量が40万以上のポリエチレンからなり、いずれの
方向にも25kg/mm2以上の引張強度を示すポリエ
チレン樹脂フィルムが開示されており、実施例において
透明フィルムであることが記載されている。
は、高分子量直鎖状ポリエチレンを基本とし、重量平均
分子量が少なくとも40万、引張強度が少なくとも1G
Pa、厚さが最大25μm、不透明度が最大15%のも
のが記載されている。さらには特開昭60−22812
2号公報に、重量平均分子量が5×105以上のポリエ
チレンからなり厚さが3μm以下、引張弾性率が200
0kg/cm2以上、破断強度が500kg/cm2以
上、ヘイズが10%以下であるポリエチレン極薄フィル
ムが記載されている。
と、比較的透明性に優れたフィルムを得ることが可能で
あるが、透明性を得るために高倍率の二軸延伸を必要と
するためフィルムが薄くなり、厚いフィルムを得ること
ができないという欠点を有する。また、溶剤や可塑剤を
多量に使用して延伸処理前のシートやフィルムを成形し
なければならず、そして用いた溶剤や可塑剤を延伸後に
抽出する必要があり、工程が複雑になるばかりか、溶剤
や可塑剤が存在した部分には空隙が形成され透明性を悪
化させる原因となっていた。これらの空隙をプレスして
加圧状態でつぶす試みもなされているが、非常に薄いフ
ィルムにもかかわらず、良好な透明性を得るに至ってい
ない。これはフィルムに存在する空隙を圧縮して完全に
なくすことが困難なためと推測される。
極限粘度が5.0dl/g以上の超高分子量ポリエチレ
ンシートを、融点以上、融点+15℃未満の温度でロー
ル圧延しながら張力をかけて引取ることを特徴とする超
高分子量ポリエチレンフィルムの製造方法が開示されて
いる。この方法は比較的透明なフィルムを、溶剤や可塑
剤を使用することなく得ることができる点で優れている
が、圧延を行うためにフィルムの機械軸方向(MD)と
機械軸方向に直交方向(TD)のフイルム物性のバラン
スが悪くなる、圧延前のシートの幅が比較的狭いため広
幅のフィルムを作製することが難しいなどの改良すべき
点を有していた。
強度等の機械的強度に優れるとともに、従来のものより
も透明性に優れ、機械軸方向(MD)とその直交方向
(TD)の物性バランスが良く、広幅で厚いフィルム
を、溶剤や可塑剤を使用せずに簡単なプロセスで生産性
良く製造できる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの
製造方法を提供することにある。
来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、特
定の高分子量ポリオレフィン処理前フィルムを2枚以上
重ね、特定条件下で圧縮加熱処理すれば、透明性に優れ
るとともに機械的強度に優れ、広幅で厚い高分子量ポリ
オレフィン積層フィルムが、溶剤や可塑剤を実質的に使
用することなく簡単なプロセスで得られることを見出し
本発明を完成するに至った。
フィルムの製造方法は、極限粘度[η]が4dl/g以
上の高分子量ポリオレフィンよりなり、かつ溶剤や可塑
剤を実質的に使用することなく得られた同種又は同一の
高分子量ポリオレフィン処理前フィルムを2枚以上積層
し、該処理前フィルムの最も高い融点−15℃以上で該
処理前フィルムの最も低い分解温度未満の処理温度範囲
において、0.1MPa以上の圧力下に圧縮加熱処理す
ることを特徴としている。
分子量ポリオレフィン積層フィルムの物性として、(a)
極限粘度[η]が4dl/g以上、(b)厚さが200μ
m以下となる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製
造方法が望ましい。
れる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの物性とし
て、ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μm])と、厚さ
200μm以下において次式の関係にある高分子量ポリ
オレフィン積層フィルムの製造方法が望ましい。 (c) H≦15+(t/3)
フィンからなる前記の処理前フィルムが、溶剤や可塑剤
を実質的に用いることなく得られる一軸延伸フィルム、
二軸延伸フィルム、インフレーションフィルムから選ば
れるいずれかのフィルムであることが好ましい。
リオレフィンからなる前記の処理前フィルムが、高配向
融点を有していることが好ましい。
ルム製造方法に係る別の態様は、極限粘度[η]が4d
l/g以上の高分子量ポリオレフィンよりなり、かつ溶
剤や可塑剤を実質的に使用することなく得られた同種又
は同一の高分子量ポリオレフィン処理前フィルムを2枚
以上積層し、該処理前フィルムの最も高い融点(Tm1)
−15℃以上で該処理前フィルムの最も低い高配向融点
+5℃の処理温度範囲において、0.1MPa以上の圧
力下に圧縮加熱処理することを特徴としている。
おいて、得られる高分子量ポリオレフィン積層フィルム
の物性として、(d)フィルムのMD及びTDの引張強度
が70MPa以上となる高分子量ポリオレフィン積層フ
ィルムの製造方法が望ましい。
オレフィンが、高分子量ポリエチレンであることが好ま
しい。
れる高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法に
関し、成形原料、処理前フィルム、圧縮加熱処理、得ら
れた積層フィルムの特徴について詳述する。
オレフィンは、エチレン、プロピレンおよび炭素数4〜
8のα−オレフィンを、例えばチーグラー系触媒を用い
たスラリー重合などにより、単独もしくは二つ以上を組
み合わせて重合して得られる。好ましい共重合体は、エ
チレンと少量のプロピレン、もしくは炭素数4〜8のα
−オレフィン単独ないし二つ以上の組み合わせによる共
重合体である。エチレン共重合体の場合、共単量体の含
有量は5モル%以下が好ましい。これらの中で特に好ま
しいものは、エチレンの単独重合体である。
れる高分子量ポリオレフィンの極限粘度[η]は、フィ
ルム成形に支障をきたさない限り特に限定されないが、
極限粘度[η]で4dl/g以上が好ましく、さらに好
ましくは4〜25dl/gである。特に高強度な透明フ
ィルムを得る目的では、極限粘度[η]で5〜20dl
/gが好ましく、特に7〜20dl/gが好ましい。極
限粘度[η]が20dl/gを超えると溶融成形性が悪
化し、広幅のフィルムやシートを連続的に作製すること
が困難となることがある。
処理に供するフィルムのことを言う。処理前フィルムの
成形には、インフレーションフィルム成形やTダイ成形
等の押出成形、押出成形後の一軸延伸や二軸延伸等の公
知の方法を用いることができる。なかでも、インフレー
ションフィルム成形、押出成形後の一軸延伸、二軸延伸
から選ばれるいずれかのフィルム成形法が好ましい。本
発明では、これらの高分子量ポリオレフィン処理前フィ
ルムの成形において溶剤や可塑剤を実質的に使用しな
い。
フィルム成形時に成形原料としての高分子量ポリオレフ
ィンが多量の溶剤や可塑剤を含まないことを意味する。
したがって、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、核剤、ア
ンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料、充填剤
等の通常ポリオレフィンに添加して使用される各種添加
剤は、本発明の目的を損なわない範囲で配合されていて
もよいが、その上限は総量で好ましくは10重量%以
下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3
重量%以下である。また、フィルム成形時や成形後に溶
剤や可塑剤に接触させないことが、使用できるフィルム
用途が限定されないという意味で好ましい。
しては、一軸延伸フィルム(機械軸方向(MD)またはそ
の直交方向(TD)への延伸)、二軸延伸フィルム(MD
およびTDへの延伸)、インフレーションフィルムから
選ばれるいずれかのフィルムを使用するのが好ましい。
出後の高分子量ポリオレフィンのフィルムには、目視で
は観察されないポリオレフィン原料粉末の融着界面が残
存し、光の散乱を起こしてフィルムの透明性を悪化させ
る可能性があるが、フィルムを延伸することによってこ
の界面の影響を取り除くことができ、良好な透明性が得
られる。
して上記のなかでは、圧縮加熱処理後のフィルムの引張
強度や伸び等の物性のMDとTDとのバランスの観点か
ら、二軸延伸フィルム、インフレーションフィルムが好
ましく、特にインフレーションフィルムが好ましい。高
分子量ポリオレフィン処理前フィルムの成形について、
インフレーションフィルムの成形方法を例にとりながら
以下に具体的に説明する。
度[η]が5dl/g未満のものは、通常のインフレー
ションフィルム成形法によって成形することができる。
通常のインフレーションフィルムの成形法について詳し
くは、「プラスチックの押出成形とその応用」(澤田慶
司著、誠文堂新光社発行(1966年))の第4編第2章に述
べられたポリエチレンやポリプロピレンで行われるよう
な一般的な方法が挙げられる。
に延伸を行うことが望ましい。好ましい延伸倍率は、M
DおよびTDについて2〜25倍、より好ましくは3〜
15倍である。面積倍率では4〜625倍が好ましい。
それに対しインフレーションフィルム成形法では、成形
時に配向が行われるため、工程が簡単である。成形時の
ドラフト比と膨比は、特に限定されないが、高ドラフト
比、高膨比である方が望ましい。
度[η]が5dl/g以上、25dl/g以下のもので
は、例えば以下のようなインフレーションフィルム成形
法によって処理前フィルムを成形することができる。
ュー押出機で溶融し、次いでマンドレルがスクリューの
回転に伴って、または独立して回転するL/D(L:マ
ンドレルとアウターダイで構成されるチューブダイの長
さ、D:マンドレルとアウターダイのクリアランスすな
わちダイリップの厚さ)が5以上のチューブダイから押
し出した後、溶融状態のチューブ状フィルムの内部に気
体を吹き込んで、膨比1.1〜20に膨張させ、冷却し
てフィルムとするインフレーションフィルム成形法によ
って得られる。
あり、より好ましくは8以上である。また、好ましい膨
比は、5以上であり、より好ましくは8以上である。イ
ンフレーションフィルム成形装置に関する態様は、本出
願人により出願された特公平6−55433号公報に詳
述されている。また、特開平9−183156号公報に
記載されたような方法で成形することもできる。
形成する高分子量ポリオレフィンの極限粘度[η]は、
4dl/g以上であり、好ましくは5dl/g以上、よ
り好ましくは6dl/g以上、さらに好ましくは7dl
/g以上であり、その上限値は、成形原料の極限粘度
[η]によって決まり、通常25dl/g以下、好まし
くは20dl/g以下である。極限粘度[η]が4dl
/g未満では、融点以上の温度で溶融流動性が大きくな
りすぎ圧縮加熱処理が困難となるので好ましくない。ま
た、高分子量ポリオレフィンが有する優れた物性が得ら
れないため好ましくない。
ポリオレフィンの結晶化度(示差走査型熱量計(DSC)
により結晶融解熱から求められる)は、好ましくは40
%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは
60%以上、特に好ましくは60〜70%である。
理前フィルムを形成する高分子量ポリオレフィンが高配
向融点を有するものであることが好ましい。高配向融点
を持つ様にするには、処理前フィルム成形時に、延伸を
高倍率で行うか、高ドラフト比、高膨比でインフレーシ
ョンフィルム成形する。
ム内には、分子鎖が伸張された状態のポリオレフィン配
向結晶が存在し、それが網目状のマトリックス構造を形
成していると考えられる。このことは、高配向融点を有
するポリオレフィンフィルムで高引張強度が観測できる
ことから推定できる。この網目状マトリックス構造が存
在することにより、圧縮加熱処理後においても、上記ポ
リオレフィン原料粉末の融着界面等の影響を受けにく
く、高透明性を達成しやすい。
ASTM D3417に準拠して、固定端にて示差走査
型熱量計(DSC)により昇温速度10℃/minで融
点測定したとき、ピークが二つ以上に分離して現れる場
合の高温側のピーク(ピークが三つ以上現れる場合は最
も高い温度のピーク)温度をいう。一方低温側のピーク
(ピークが三つ以上現れる場合は最も低い温度のピー
ク)温度を単に融点(Tm1)とした。
ィルムの厚さは、特に制限はないが、通常200μm以
下、好ましくは180μm未満であり、下限は通常1μ
m以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm
以上である。特に好ましいフィルム厚さは、5μm〜1
50μm、最も好ましくは5μm〜100μmである。
フィルムの厚さが200μm以下の範囲であれば、網目
状のマトリックス構造が形成され易く、圧縮加熱処理に
よって優れた透明性を得ることができる。
た同種又は同一の高分子量ポリオレフィン処理前フィル
ムを2枚以上、好ましくは2枚を積層して、プレス成形
機や一対のロール等の、既知の圧縮装置を用いて特定の
処理温度と圧力条件下で行われる。圧縮加熱処理は、処
理後のフィルムのヘイズ値をできるだけ低減できるよう
な、好ましくは後述する範囲内に収まるような温度、圧
力、処理時間の選ばれた条件下で行われる。
理前フィルムとは、前記の様にして得られる処理前フィ
ルムのうち、圧縮加熱処理の望ましい処理温度範囲を少
なくとも部分的に共有するフィルムを指す。具体的に
は、エチレン系重合体に含まれる各種の高分子量ポリオ
レフィン、例えばポリエチレン、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体などからなるフィルム、プロピレン系重合
体に含まれる各種の高分子量ポリオレフィン、例えばポ
リプロピレン、プロピレン・α−オレフィン共重合体な
どからなるフィルムが挙げられる。これらのなかでは、
エチレン系重合体に含まれるものが好ましく、特に極限
粘度を異にするエチレンの単独重合体が好ましい。ま
た、フィルム成形条件や厚さの異なる同一の高分子量ポ
リオレフィンからなるフィルム、例えば同一の高分子量
ポリオレフィンをインフレーションフィルム成形したも
のと一軸延伸したものとは、同種の処理前フィルムであ
る。
ルムとは、同じ成形原料と成形条件により前記の様にし
て得られる処理前フィルムを言い、従って圧縮加熱処理
の望ましい処理温度範囲も同一である。この場合の好適
な例としてインフレーションフィルムが挙げられる。イ
ンフレーションフィルムは一つの筒状フィルムが二つ折
りにされて成形されるので、この状態で同一の処理前フ
ィルムを二枚積層したものとなる。圧縮加熱処理はその
まま続けて行うことができ、プロセスが簡単となるため
好ましい。
や圧力にもよるが、通常、積層した高分子量ポリオレフ
ィン処理前フィルムのうちの最も高い融点から15℃低
い温度以上であって該処理前フィルムのうちの最も低い
分解温度未満までである。より好ましくは、該処理前フ
ィルムの最も高い融点から10℃低い温度以上であって
処理前フィルムの空気雰囲気で測定した分解温度のうち
最も低い温度未満までである。処理温度がこの様な範囲
にあれば、高分子量ポリオレフィンが有する優れた物性
の特徴が保たれたまま透明性が改良され、処理後に積層
したフィルム間の剥離が起こることもない。
は、好ましくは、積層した高分子量ポリオレフィン処理
前フィルムのうちの最も高い融点から15℃低い温度以
上であって該処理前フィルムのうちの最も低い高配向融
点よりも5℃高い温度以下、より好ましくは、積層した
高分子量ポリオレフィン処理前フィルムのうちの最も高
い融点から10℃低い温度以上であって該処理前フィル
ムのうちの最も低い高配向融点よりも5℃高い温度以
下、特に好ましくは、積層した高分子量ポリオレフィン
処理前フィルムのうちの最も高い融点から5℃低い温度
以上であって該処理前フィルムのうちの最も低い高配向
融点以下の温度範囲で行われる。
が高配向させたフィルムであれば、通常、融点を越えて
加熱すると、熱収縮が起こり加熱処理の操作がしにくく
なる。しかし、本発明においては、高分子量ポリオレフ
ィンフィルムを圧力下で加熱するので、融点以上であっ
ても熱収縮を起こさせることなく圧縮加熱処理を行うこ
とができる。
査型熱量計(DSC)による融点測定によりもとめら
れ、分解温度は、熱重量測定(TG)による重量変化開
始温度から求められる。高分子量ポリエチレンの場合、
融点は、概ね125℃〜160℃の範囲にあり、高配向
融点を有する場合には、高配向融点は通常135℃〜1
60℃の範囲に観察され、分解温度は、雰囲気にもよる
が、220℃〜500℃の範囲にある。
やロールがフィルムに接触して加える圧力であり、0.
1MPa以上が好ましい。上限値は特に限定されない
が、高圧を得るための装置が煩雑になるため、おおむね
30MPa以下であり、20MPa程度までであれば十
分な効果が得られる。上記の範囲を超えて圧力が低くな
り過ぎると、フィルムの透明性にむらの現れる可能性が
生じてくるので好ましくない。高分子量ポリオレフィン
処理前フィルムの融点未満の温度で加熱を行う場合に
は、圧力は通常10MPa以上であることが好ましい。
好ましくは5分以下、より好ましくは1分以下の時間
で、圧力と温度に応じて適宜調節される。圧縮加熱処理
の雰囲気は、窒素等の不活性ガス中でも良いし、空気中
でも良いが、通常は空気中で行われる。この場合、処理
温度は高分子量ポリオレフィン処理前フィルムの空気雰
囲気で測定した分解温度未満であることが好ましい。
くしたり、高配向させて高強度化したりすることを目的
とするものではないので、圧延処理とは本質的に異な
る。フィルム厚さは圧縮加熱処理前後で大きくは変化せ
ず、仮に薄くなったとしても、その差は処理前フィルム
の厚さの20%未満、好ましくは10%未満であり、通
常は5%未満である。本発明の圧縮加熱処理では、膜厚
が処理前後で大きく変化しないことが望ましい。そのた
め圧延処理などに比べ広幅のフィルムを処理することが
できる。
子量ポリオレフィン積層フィルムは、以下の好適な物性
を有する。
ことが好ましく、より好ましくは5dl/g以上、さら
に好ましくは6dl/g以上、特に7dl/g以上であ
ることが好ましい。極限粘度[η]の上限値は高分子量
ポリオレフィン処理前フィルムの極限粘度[η]によっ
て決まり、通常25dl/g以下、好ましくは20dl
/g以下である。
とが好ましく、より好ましくは5μm以上200μm以
下、さらに好ましくは10〜200μm、最も好ましく
は20〜200μmである。
ム厚さ(t[μm])と、厚さ200μm以下におい
て、好ましくはH≦15+(t/3)、より好ましくは
H≦10+(t/3)の関係を有し、特にt≦120に
おいてH≦10+(t/3)で120<t≦200にお
いてH≦50の関係にあることが好ましい。
0〜500MPaの範囲内にあり、好ましくは40〜5
00MPaである。特に高強度を必要とする条件で圧縮
加熱処理を行った場合、好ましい引張強度はフィルムの
MD方向及びTD方向で70MPa以上、より好ましく
はMD方向及びTD方向で100MPa以上、さらに好
ましくはMD方向及びTD方向で150MPa以上であ
る。好適な積層フィルムのMD引張強度とTD引張強度
の比(MD/TD)は、0.25〜4、好ましくは0.
33〜3、より好ましくは0.5〜2の範囲内にある。
0MPa〜2GPaの範囲内にあり、好ましくは400
MPa〜2GPaである。好適な積層フィルムのMD引
張弾性率とTD引張弾性率の比(MD/TD)は、0.
25〜4、好ましくは0.33〜3、より好ましくは
0.5〜2の範囲内にある。
50〜1500%の範囲内にある。好適なフィルムのM
D引張伸びとTD引張伸びの比(MD/TD)は、0.
25〜4、好ましくは0.33〜3、より好ましくは
0.5〜2の範囲内にある。
成する高分子量ポリオレフィンの結晶化度は、特に限定
されることなく、通常10〜80%の範囲内にあり、好
ましくは50〜80%である。
量ポリオレフィン処理前フィルムを圧縮加熱処理する場
合に比べ、高引張強度で厚いフィルムを得ることができ
る。一般に高引張強度のフィルムを得るためには、フィ
ルムを高度に延伸する必要があり、厚いフィルムを得る
ことは困難である。フィルムを厚くするためには、通
常、延伸倍率(インフレーションフィルムの場合には膨
比やドラフト比)を下げることが必要であるが、その場
合フィルムの強度が低下する。本発明では、延伸等によ
り高度に配向させたフィルムを2枚以上積層し、圧縮加
熱処理して積層フィルムを得ているので、強度を低下さ
せずに厚いフィルムを得ることができる。
ルムの製造方法によれば、高強度で透明性に優れるとと
もに、高分子量であることによりもたらされる耐衝撃
性、耐摩耗性、自己潤滑性、耐薬品性等の物性を兼ね備
えた積層フィルムを得ることができる。
量ポリオレフィン積層フィルムは、これらの特性をいか
し、スライディングテープ、スラストワッシャー、すべ
りシート、ガイド、スキー,スノーボード等の裏張り、
ホッパーおよびシュート等のライニング材、ドクターナ
イフ、カセットテープ用ライナー、カセットテープ用ス
リットシート、ロール,パイプ,鋼管等の被覆用フィル
ム、食品包装用フィルムや耐低温保存用袋等の包装用フ
ィルム、血液保存バック等の医療用滅菌・殺菌材料、電
気絶縁材料、コンデンサーフィルム、農業用ハウス,マ
ルチフィルム等の農業用フィルム、エレクトレットフィ
ルム、ハウスラップ等の建築用資材、包装用テープ、回
路基板用フィルム、スピーカー振動板、航空便用封筒、
ガラス飛散防止フィルム等に好適に使用することができ
る。
方法により測定されたものである。極限粘度 [η] ASTM D4020に基づき、デカリン溶媒にて13
5℃で測定した。厚さ JIS Z1702に従い、デジシックネステスター
(東洋精機(株)製、検出能力1μm)を用いて、圧子5
mmφ、荷重125g、測定圧637Kg/cm 2で測
定した。
C−H III DPK)を用いて、JIS K6714に
準じて測定した。引張強度、引張弾性率、引張伸び オリエンテック社製引張試験機テンシロン(型式RTM
100型)を使用し、室温(23℃)で測定した。測定
方法はJIS K6781に準拠した。
SC)により測定した。測定は固定端で、昇温速度10
℃/minで行い、ピーク値を融点とした。また、ピー
クが二つ以上に分離する場合は、低温側で最も低い温度
のピークを融点(Tm1)とし、高温側の最も高温のピー
クを高配向融点とした。分解温度 熱重量測定(TG)により、重量変化開始温度を熱分解
温度とした。測定は、昇温速度20℃/minで、窒素
雰囲気下で行い、重量の増加または減少が全重量の1%
に達した温度を分解温度とした。また、同様な方法で空
気中でも測定した。(この場合特に「空気雰囲気で測定
した分解温度」と記した。)
STM D3417に示された条件で融点測定した際、
同時に測定される融解熱量を用い、その理論融解熱量の
値(ポリエチレンの場合286.186J/g を使用)に対する
比率(%)として計算で求めた。
明するが、本発明はその趣旨を越えない限りこれらの実
施例に何ら制約されるものではない。
フィルムの作製を、図1に示すインフレーションフィル
ム製造装置を使用して行った。インフレーションフィル
ム製造装置の仕様は以下の通りである。 押出機の第1スクリュー外径 50mmφ スクリューの有効長さ 1100mm フライトピッチ 30mm一定 スクリュー圧縮比 1.8 スクリューダイ有効長さ 1490mm(L/D=28) ダイ出口アウターダイ内径 66mmφ ダイ出口マンドレル外径 58mmφ スクリューダイの第2スクリュー外径 70mmφ 第2スクリュー有効長さ 238mm フライトピッチ 25mm一定 第2スクリュー圧縮比 1.0 安定棒の外径 39mmφ 安定棒の長さ 600mm 気体流路の内径 8mmφ
約135℃、分解温度:495℃(空気雰囲気255
℃)である高分子量ポリエチレンの粉末樹脂を用い、図
1に示す装置において押出機、ジョイント部(J)、ダ
イ基部(D1)及びダイ先端部(D2)の設定温度をそ
れぞれ200℃、180℃、170℃、170℃として
成形した。第2スクリュー内部、マンドレル及び安定棒
シャフトの内部に延在する気体流路から圧搾空気を吹き
込んで、パリソンをアウターダイ内径(66mmφ)の
約8.5倍(膨比)に膨らませ、約11.2のドラフト
比で引き取って、高分子量ポリエチレン処理前フィルム
No.1を作製した。
5.4にした以外は、実験例1と同様にして、高分子量
ポリエチレン処理前フィルムNo.2を作製した。表
1、2に各実験例のフィルム物性を示す。
作製した高分子量ポリエチレン処理前フィルムを使用し
て、圧縮加熱処理を行った。圧縮加熱処理は、東洋精機
(株)製 MINI TEST PRESS-10を使用し、表3に記載した
各条件により以下の方法で行った。インフレーションフ
ィルムは一つの筒状フィルムが二つ折りにされて成形さ
れるので、この状態で同一の処理前フィルムを二枚積層
したものとなる。実験例1〜2で作製した高分子量ポリ
エチレンインフレーションフィルムの筒状フィルムを二
つ折りして、同一の処理前フィルムが二枚積層された状
態で用いた。この積層体の両面に、離型フィルムとして
東レ(株)製ルミラーTMT60(25μm)を重ね、それを一
対のステンレス板間に挟み、処理前フィルムが収縮しな
いように、まず115℃、20MPaでプレス板圧縮し
た。その後表3に記載した圧縮処理温度まで昇温(昇温
速度約6〜7℃/min)して5分間保持し圧縮状態の
まま室温(23℃)で徐冷した。115℃まで降温後、
フィルムをとりだしてフィルム物性を測定した。結果を
表3に示す。なお、剥離の有無は、目視観察によった。
ィルムの製造方法によれば、広い厚み範囲において良好
な透明性を有し、しかも引張強度などの優れた機械物性
が機械軸方向(MD)とその直交方向(TD)でバラン
スのとれた広幅の高分子量ポリオレフィンフィルムを簡
単なプロセスで生産性良く得ることができる。また、本
発明の製造方法は、溶剤や可塑剤等の接触が一切不要で
あり、環境適応性にも優れる。
フィルムを製造するための成形装置の一例を示す正面断
面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 極限粘度[η]が4dl/g以上の高分
子量ポリオレフィンよりなり、かつ溶剤や可塑剤を実質
的に使用することなく得られた同種又は同一の高分子量
ポリオレフィン処理前フィルムを2枚以上積層し、該処
理前フィルムの最も高い融点−15℃以上で該処理前フ
ィルムの最も低い分解温度未満の処理温度範囲におい
て、0.1MPa以上の圧力下に圧縮加熱処理すること
を特徴とする高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製
造方法。 - 【請求項2】 前記高分子量ポリオレフィン積層フィル
ムが、下記の物性を有することを特徴とする請求項1に
記載の高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方
法; (a) 極限粘度[η]が4dl/g以上、 (b) 厚さが200μm以下。 - 【請求項3】 前記高分子量ポリオレフィン積層フィル
ムのヘイズ(H[%])が、厚さ(t[μm])と次式
の関係にあることを特徴とする請求項2に記載の高分子
量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法; (c) H≦15+(t/3) - 【請求項4】 前記高分子量ポリオレフィン処理前フィ
ルムが、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム、インフ
レーションフィルムから選ばれるいずれかのフィルムで
あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法。 - 【請求項5】 前記高分子量ポリオレフィン処理前フィ
ルムが、高配向融点を有することを特徴とする請求項1
〜3のいずれかに記載の高分子量ポリオレフィン積層フ
ィルムの製造方法。 - 【請求項6】 極限粘度[η]が4dl/g以上の高分
子量ポリオレフィンよりなり、かつ溶剤や可塑剤を実質
的に使用することなく得られた同種又は同一の高分子量
ポリオレフィン処理前フィルムを2枚以上積層し、該処
理前フィルムの最も高い融点(Tm1)−15℃以上で該
処理前フィルムの最も低い高配向融点+5℃の処理温度
範囲において、0.1MPa以上の圧力下に圧縮加熱処
理することを特徴とする請求項5に記載の高分子量ポリ
オレフィン積層フィルムの製造方法。 - 【請求項7】 前記高分子量ポリオレフィン積層フィル
ムが、下記の物性を有することを特徴とする請求項6に
記載の高分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方
法; (d) フィルムのMD及びTDの引張強度が70MPa
以上。 - 【請求項8】 前記高分子量ポリオレフィンが高分子量
ポリエチレンである請求項1〜7のいずれかに記載の高
分子量ポリオレフィン積層フィルムの製造方法。
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