JP2022026808A - 二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム - Google Patents

二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム Download PDF

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Abstract

Figure 2022026808000001
【課題】優れたシール性、耐ピンホール性、ラミネート加工性を有し、基材層とシール層の双方の機能をも有し得る、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムを提供すること。
【解決手段】樹脂成分がポリブチレンテレフタレート樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、その4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、該4方向の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下であり、該4方向すべての引張破断伸度が50%以上であることを特徴とする、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムに関するものである。更に詳しくは、耐ピンホール性が求められる用途、例えば、食品、医薬品、化粧品等を充填包装する際などの包装材料として好適に用いられる、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムに関するものである。
ヒートシール性フィルムとは、一般に、基材層となるフィルム表面に、熱融着可能なヒートシール層、すなわちヒートシール可能なフィルム(シーラントフィルム)を設けた熱融着性の積層フィルムをいう。当該ヒートシール性フィルムにはヒートシール性、例えば所望の溶着強度が獲得できることは勿論、該フィルムの使用目的に応じて、耐熱性、透明性、耐薬品性、内容物保香性など、種々の機能が求められる。
上記シーラントフィルムとして、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を主原料とした無延伸フィルムやポリプロピレン(PP)を主原料とした無延伸フィルム(CPP)が一般的に使用されている。また高い保香性や耐熱性を求められる場合は、基材層のみならず、ポリエステル系のシーラントフィルムが用いられる。
近年、ポリエステルを主体としたヒートシール性フィルムの開発が進められている。
特許文献1では、基材層およびヒートシール層からなり、基材層が海島構造を有する延伸フィルムであって、該海成分は重量100重量%あたり95~70重量%の共重合ポリエステルからなり、該島成分は共重合ポリエステルとは非相溶の5~30重量%のポリエーテルエステルエラストマーからなる延伸フィルム、ヒートシール層がイソフタル酸および/または2,6-ナフタレンジカルボン酸を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフトレートからなる、ヒートシール性二軸延伸積層フィルムが提案されている。
特開2006-247870号公報
従来のヒートシール性ポリエステルフィルムは、優れたシール性、耐熱性、機械強度の獲得は目指しているものの、耐ピンホール性や耐突き刺し性、またラミネート加工時の適正などの特性が十分に得られているとは言い難く、限定した用途での展開に限られてしまうことがあった。
本発明の目的は、優れたシール性、耐ピンホール性、ラミネート加工性を有し、基材層とシール層の双方の機能をも有し得る、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムを提供するものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく種々研究の結果、ポリブチレンテレフタレートのみから構成された二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(以下、「OPBT」とも記載する。)フィルムにおいて、その4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であるフィルムをシーラントフィルムとして採用することにより、優れたシール性や耐ピンホール性を有し、またラミネート加工性を同時に満足出来ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の物を提供する。
[1]樹脂成分がポリブチレンテレフタレート樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、その4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、
該4方向の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下であり、
該4方向すべての引張破断伸度が50%以上であることを特徴とする、
二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
[2]前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、JIS Z 1707に準拠し測定した突刺強度が8N以上であり、且つ、ASTM F 392に準拠し、屈曲試験を行った後のピンホールの数が20個以下であることを特徴とする[1]に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
[3]前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、ヒートシール用フィルム若しくは超音波溶着(シール)用フィルムであることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
[4]前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、該フィルム同士を200℃以上でヒートシール、若しくは超音波シールした時のシール強度が10N/15mm以上であることを特徴とする、[3]に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
[6][1]乃至[4]のうち何れか一項に記載の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも一層有していることを特徴とする、積層体。
本発明によれば、優れたシール性、耐ピンホール性、突き刺し強度を有し、接着層を介さずに金属箔等の他基材と直接積層した場合においても、シワ混入が抑制されるといった良好なラミネート加工性をも同時に満足出来る、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムを提供することができる。
このため本発明によれば、シール層としてだけでなく基材層としての双方の機能をも有し得る、二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムを提供することができる。
さらに、上記二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムは、他基材と接着剤を介することなく、熱ラミネート法などにより積層体を製造可能であり、得られた積層体において優れたシール性を実現できるのみならず、シール層のシワ混入によるシール不良等の品質低下を抑制できる積層体を提供することができる。
チューブラー同時二軸延伸装置の概略図である。
本発明は、後述する所定の引張破断強度等を有する二軸延伸ポリエステルシーラントフィルムを対象とし、該シーラントフィルムは、ポリブチレンテレフタレート樹脂からなる二軸延伸フィルムからなる。以下本明細書において、本発明のシーラントフィルムを「OPBTシーラントフィルム」とも称する。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
(OPBTシーラントフィルムの原料)
OPBTシーラントフィルムに用いられる原料は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルであれば特に限定されるものでは無いが、具体的にはグリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルである。最適な機械的強度特性を付与するためには、ポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」とも記載する)
樹脂のうち、融点200~250℃、IV値1.10~1.35dl/gの範囲のものが好ましく、さらには融点215~225℃、IV値1.15~1.30dl/gの範囲のものが特に好ましい。
なお、本発明に使用されるPBT樹脂には、必要に応じて滑剤、アンチブロッキング剤、無機増量剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、結晶化抑制剤及び結晶化促進剤等の添加剤を加えても差し支えない。
また、使用されるPBT樹脂ペレットは加熱溶融時の加水分解による粘度低下を避けるため、加熱溶融前に水分率が0.05質量%以下、好ましくは0.01質量%以下になるように十分予備乾燥を行った上で使用するのが好ましい。
(未延伸原反の製造方法)
OPBTシーラントフィルムを安定的に製造するには、延伸前未延伸原反の結晶化を極力抑制する必要があり、押出されたPBT溶融体を冷却して製膜する際、該PBTの結晶化温度領域をある速度以上で冷却する、すなわち原反冷却速度が重要な因子となる。その原反冷却速度は200℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上、特に好ましくは350℃/秒以上であり、高い冷却速度で製膜された未延伸原反は極めて低い結晶状態を保っているため、延伸時のバブルの安定性が飛躍的に向上する。さらに高速での製膜も可能になることから、生産性も向上する。冷却速度が200℃/秒未満では、得られた未延伸原反の結晶性が高くなり延伸性が低下するばかりでなく、極端な場合には延伸バブルが破裂し、延伸が継続しない場合がある。
原反製膜方式は、前記原反冷却速度を満たす方法であれば特に限定されるものでは無いが、急冷製膜の点では内外直接水冷式がもっとも適している。その内外直接水冷式による原反製膜法の概要を以下に説明する。
まず、PBT樹脂は210~280℃の温度に設定された押出機によって溶融混練され、Tダイ製膜の場合は、シート状の溶融樹脂を水槽に浸漬することにより内外とも直接水冷する。一方、環状製膜の場合は、押出機に下向きに取り付けられた環状ダイより下方に押し出され、溶融管状薄膜が成形される。
次に環状ダイに連結されている冷却マンドレルに導かれ、冷却マンドレル各ノズルから導入された冷却水が溶融管状薄膜の内側に直接接触して冷却される。同時に、冷却マンドレルと組み合わせて使用される外部冷却槽からも冷却水が流され、溶融管状薄膜の外側にも冷却水が直接接触して、溶融管状薄膜が冷却される。内部水、および外部水の温度は30℃以下が好ましく、急冷製膜の観点では20℃以下が特に好ましい。30℃より高くなると、原反の白化や冷却水の沸騰による原反外観不良等を招き、延伸も徐々に困難になる場合がある。
(OPBTシーラントフィルムの製造方法)
PBT未延伸原反は、25℃以下、好ましくは20℃以下の雰囲気温度に保ちつつ延伸ゾーンまで搬送する必要があり、当該温度管理下では滞留時間に関係無く、製膜直後の未延伸原反の結晶性を維持することが出来る。この延伸開始点までの結晶化制御は、前記未延伸原反の製膜技術とともに、PBT樹脂の二軸延伸を安定して行う上で重要なポイントと言える。
二軸延伸法は、特に限定される訳では無く、例えばチューブラー方式、あるいはテンター方式で縦横同時、または逐次二軸延伸する方式等から適宜選択される。得られたOPBTの周方向の物性バランスの点で、チューブラー法による同時二軸延伸法が特に好ましい。図1はチューブラー法同時二軸延伸装置の概略図である。延伸ゾーンに導かれた未延伸原反1は、一対のニップロール2間に挿通された後、中に空気を圧入しながらヒーター3で加熱するとともに、延伸終了点に冷却リング4よりエアーを吹き付けることにより、チ
ューブラー法によるMD、およびTD同時二軸延伸フィルム7が得られる。
延伸倍率は、延伸安定性や得られたOPBTシーラントフィルムの強度物性、透明性、および厚み均一性を考慮すると、MD、およびTDそれぞれ2.7~4.5倍の範囲であることが好ましい。延伸倍率が2.7倍未満である場合、得られたOPBTシーラントフィルムの引張強度や衝撃強度が不十分となる可能性があり好ましくない。また4.5倍超の場合、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生するため、延伸加工時に破断やパンクが頻繁に発生し、安定的に生産出来ない可能性がある。
延伸温度は、40~80℃の範囲が好ましく、特に好ましくは45~65℃である。前記の高い冷却速度で製造した未延伸原反は、結晶性が低いため、比較的低温域の延伸温度で安定して延伸可能である。80℃を超える高温延伸では、延伸バブルの揺れが激しくなり、大きな延伸ムラが発生して厚み精度の良好なフィルムが得られない可能性がある。一方、40℃未満の延伸温度では、低温延伸による過度な延伸配向結晶化が発生し、フィルムの白化等を招き、場合によって延伸バブルが破裂し延伸継続困難となり得る。
このように二軸延伸加工を施すことにより、特に強度物性が飛躍的に向上し、かつ異方性が少ないOPBTシーラントフィルムを得ることが出来る。
得られたOPBTシーラントフィルムを熱ロール方式またはテンター方式、あるいはそれらを組み合わせた熱処理設備に任意の時間投入し、180~240℃、特に好ましくは190~210℃で熱処理を行うことにより、熱寸法安定性に優れたOPBTシーラントフィルムを得ることができる。熱処理温度が240℃よりも高い場合は、ボーイング現象が大きくなり過ぎて幅方向での異方性が増加する、または結晶化度が高くなり過ぎるため強度物性が低下する可能性がある。一方、熱処理温度が180℃よりも低い場合は、フィルムの熱寸法安定性が大きく低下するため、ラミネート加工や印刷加工時にフィルムが縮み易くなり、実用上問題が生じる可能性がある。
OPBTシーラントフィルムの厚みは、5~100μm、より好ましくは10~50μmである。厚みが5μmよりも小さい場合は、包材の耐屈曲ピンホール性や耐突刺強度、シール強度の安定性が劣り、落袋時に破袋が生じやすくなる。また100μmを超えると厚すぎるため、本製造方法では加工が難しい。また同様に厚くしすぎても耐屈曲ピンホール性は悪くなる虞がある。
本発明の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム、すなわちOPBTシーラントフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)における引張破断強度は、いずれも170MPa以上であり、180MPa以上であることが好ましく、190MPa以上であることがより好ましく、200MPa以上であることが特に好ましい。これにより優れた耐衝撃性や耐屈曲性、耐突刺性、およびラミネート加工適性等が格段に向上する。引張破断強度が170MPaより小さい場合、十分な強度が得られず、破袋等の原因にもなるため好ましくない。
またOPBTシーラントフィルムの4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下に調整することが好ましく、特に好ましくは1.3以下である。これによりさらに優れたラミネート加工適正を付与することが可能となる。
一方、OPBTシーラントフィルムの引張破断伸度は50%以上150%以下であり、好ましくは80%以上150%以下である。150%より大きい、あるいは50%より小さい場合、ラミネート工程中にフィルムの破断や伸び等が発生しやすくなるため好ましくない。
本発明にあっては、対象のシーラントフィルムにおいて、上記4方向の引張破断強度、その最大値と最小値の差、そして引張破断伸度を、それぞれ所定範囲に設定することにより、強度バランスに優れるフィルムを実現し、その結果、特に金属等の他基材との熱ラミネート加工時においてシーラントフィルムへのシワ混入を抑制することができ、また得ら
れる積層体において適度なコシを得ることができ、該積層体の加工性や加工製品の取り扱い性に優れたものとすることができる。
本発明のOPBTシーラントフィルムにおいて、JIS Z 1707に準拠し測定した突刺強度の下限は、好ましくは8Nであり、突刺強度が10N以上であることがより好ましい。
またASTM F 392に準拠し、500回の屈曲試験を行った後のピンホールの数が20個以下である耐ピンホール性を有することが好ましい。
上記の突刺強度や耐ピンホール性を備えることで、該シーラントフィルムを包装材料等に成形する際のクラックやピンホール、また得られた包装材料を用いた製品の流通時におけるピンホール等を抑制することが期待できる。
なお突刺強度は、例えば23℃、50%RH条件下で、針(直径1mmφ、先端のR=0.5mm)を突刺速度50mm/分にてフィルムに突き刺し、針が貫通する際の強度(N)として得ることができる。
また屈曲試験は、例えば5℃、40%RH条件下で、ストローク距離:152.4mm、屈曲動作:440°、屈曲速度:42往復/分、屈曲回数:500回の試験条件にて実施できる。
また本発明のOPBTシーラントフィルムは、該シーラントフィルム同士をヒートシールもしくは超音波シールによってシール可能である。
該OPBTフィルムにおいて、該フィルム同士を200℃以上にて、例えば210℃~260℃で、シール圧力を0.1MPa~0.5MPaで、シール時間を0.5秒~5秒間にて、ヒートシールした後のシール強度、或いは、該フィルム同士を超音波シールした後のシール強度は、好ましくは10N/15mm以上であり、例えばヒートシール後のシール強度は、例えば15N/15mm以上とすることができる。
シール強度を10N/15mm以上とすることにより、高温下に晒された場合においてもシール強度が保たれ、内容物の漏出を抑制することができる。
またOPBTシーラントフィルムの150℃熱収縮率は、MD、TD方向とも-2.0%~5.0%、より好ましくは0.1%~4%、さらに好ましくは0.1%~3%である。150℃熱収縮率が5.0%よりも大きい場合、また、-2%よりも小さい場合、熱処理を行った際の熱による変形が大きく、該フィルムを含む積層体などを包装材料に用いた場合に、該積層体やシール部がカールし、見栄えを損ねる可能性がある。
本発明の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム(OPBTシーラントフィルム)は、これを少なくとも一層有してなる積層体もまた、本発明の対象である。
上記OPBTシーラントフィルムは、ドライラミネート法、押出ラミネート法、熱ラミネート法など既存の方法を用いて金属箔等の他基材と積層することができる。特に本発明のOPBTシーラントフィルムは、他基材と接着剤を介することなく、直接、例えば熱ラミネート法により、積層することができる。
例えば熱ラミネート法に関しては、他基材(金属箔等)と本発明のOPBTシーラントフィルムとを温度制御されたロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することで、連続的に製造する方法を例示することができる。
以下に実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(OPBTシーラントフィルムの製造方法)
140℃で5時間熱風乾燥機にて乾燥したPBT樹脂ペレット(ホモタイプ、融点=224℃、IV値=1.26dl/g)を押出機中、シリンダーおよびダイ温度210~275℃の各条件で溶融混練して溶融管状薄膜を環状ダイより下方に押し出した。引き続き、冷却マンドレルの外径を通しガイドロールで折り畳んだ後、引取ニップロールにより1.2m/分の速度で製膜引取りを行った。溶融管状薄膜に直接接触する冷却水の温度は内側、外側ともに20℃であり、原反冷却速度は416℃/秒であった。未延伸原反の厚みは150μm、折径は143mmであり、PBT樹脂中にはあらかじめ滑剤としてステアリン酸マグネシウムを1,000ppm添加した。図1に示す構造のチューブラー同時二軸延伸装置にて、上記の条件で製膜した未延伸原反1を20℃の雰囲気中でニップロール2まで搬送し、縦横同時二軸延伸を行った。延伸倍率はMDが3.2倍、TDが3.2倍であり、延伸温度は60℃であった。次に、この二軸延伸フィルム7を熱ロール式熱処理設備、次いでテンター式熱処理設備に投入し、210℃で熱処理を施すことによりOPBTシーラントフィルムを得た。なお、フィルムの厚みは15μmであった。
(引張破断強伸度の評価方法)
得られたOPBTシーラントフィルムの引張破断強伸度は、(株)オリエンテック製-テンシロン万能試験機(型式:RTC-1210-A)を使用し、試料幅15mm、チャック間100mm、引張速度200mm/分の条件で、0℃(MD)方向/45°方向/90°(TD)方向/135°方向の4方向についてそれぞれ測定を行った。得られた応力-ひずみ曲線に基づいて求めた、各方向での引張破断強度及び引張破断伸度、ならびに4方向の引張破断強度のうち最大値と最小値の表1に示す。
(150℃熱収縮率の評価方法)
得られたOPBTシーラントフィルムから、巾2,000mm、長さ200mmの寸法に巾方向で3点切り出し、試験片とした。各試験片サンプルには試験片の中央部を中心として、巾方向、長さ方向で間隔200mm±2mmの標線をつけた。
加熱前の試験片の標線間隔を0.1mm精度で測定した。試験片を精密恒温器(ヤマト科学(株)製、型式:DF611)内に無荷重の状態で平置きし、150℃、30分の条件で加熱処理を施した。
加熱処理後、試験片を精密恒温器から取り出し、室温まで冷却した後、初めに測定したときと同じ部分の標線間隔を0.1mm精度で測定した。
各試験片の寸法変化率を、縦(長さ)方向及び横(巾)方向について、初期値(加熱処理前)に対する寸法変化の百分率として計算した。各方向の寸法変化率は、その方向での測定値の平均とした。
得られた結果を表1に縦(長さ)方向の変化率/横(巾)方向の変化率として示す。
(ヒートシール強度の評価方法)
得られたOPBTシーラントフィルム2枚を重ね合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製)にて、上段シールバー温度250℃、下段シールバー温度210℃、シール圧力0.5MPaにて、シール時間1秒にてヒートシールし、ヒートシールサンプルとした。
該ヒートシールサンプル(シール部分)を幅15mmに裁断し、これを引張試験機にて300mm/分でT字剥離することにより、ヒートシール強度(N/15mm)を測定した。
得られた結果を表1に示す。
(超音波シール強度の評価方法)
得られたOPBTシーラントフィルム2枚を重ね合わせ、超音波シール機(精電舎電子工業(株)製、周波数15,000Hz、出力5kW、)にて、出力80%、シール圧力0.3MPa、シール時間0.3秒にて超音波シールし、超音波シールサンプルとした。
該超音波シールサンプル(シール部分)を幅15mmに裁断し、これを引張試験機にて300mm/分でT字剥離することにより、超音波シール強度(N/15mm)を測定した。
得られた結果を表1に示す。
(耐屈曲ピンホール性の評価方法)
得られたOPBTシーラントフィルムをA4サイズに裁断し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)製)を用いて、5℃×40%RH条件下で、500回屈曲した後のピンホール数をカウントし、屈曲後のピンホール数とした。試験速度は42回往復/分、ストローク距離は152.4mm、ねじれ角度は440°で実施した。
得られた結果を表1に示す。
(突刺強度の評価方法)
突刺強度は、(株)オリエンテック製-テンシロン万能試験機(型式:RTC-1210-A)を使用し、23℃、50%RH条件下で、先端の丸い針(直径1mmφ、R=0.5mm)を突刺速度50mm/分で、固定したOPBTシーラントフィルムに突き刺し、針が貫通する際の強度(N)を測定した。
得られた結果を表1に示す。
(ラミネート加工性(ラミネート時のシワ混入判定))
得られたOPBTシーラントフィルムとアルミニウム箔とを重ね合わせ、これを230℃に加熱した金属ロールと、シリコンゴムロールとの間に供給し、速度10m/分、圧力20N/cmの条件で加熱圧着し、冷却して積層体を得た。積層体を目視にて観察し、下記の評価基準によりラミネート加工性を評価した。得られた結果を表1に示す。
<評価基準>
〇:積層体のシーラントフィルム面にシワが見られない。
×:積層体のシーラントフィルム面にシワが見られる。
(吸着性試験(非吸着性評価))
(1)l-メントール(LM)
得られたOPBTシーラントフィルムを10cm×10cmサイズに裁断し試験フィルムとし、その初期質量を測定した。容積10リットルのステンレス容器内にl-メントール(関東化学(株)製)10gを入れ、蓋をして容器内をl-メントール蒸気で満たし、その中に試験フィルムを吊り下げ、蓋をし密封した状態で40℃で7日間保管した。7日間保管後、試験フィルムを取り出して質量を測定し、初期質量との差からl-メントールの吸着量を算出し、下記評価基準によりl-メントールの非吸着性を評価した。なおl-メントールの吸着量はより少ない(非吸着性である)程好ましい。得られた結果を表1に示す。
<評価基準>
〇:吸着量が0mg以上5mg未満
△:吸着量が5mg以上、10mg以下
×:吸着量が10mgより高い
(2)サリチル酸メチル(MS)
得られたOPBTシーラントフィルムを10cm×10cmサイズに裁断し試験フィルムとし、その初期質量を測定した。容積10リットルのステンレス容器内にサリチル酸メチル(関東化学(株)製)10gを入れ、蓋をして容器内をサリチル酸メチル蒸気で満たし、その中に試験フィルムを吊り下げ、蓋をし密封した状態で40℃で7日間保管した。7日間保管後、試験フィルムを取り出して質量を測定し、初期質量との差からサリチル酸メチルの吸着量を算出し、下記評価基準によりサリチル酸メチルの非吸着性を評価した。なおサリチル酸メチルの吸着量はより少ない(非吸着性である)程好ましい。得られた結
果を表1に示す。
<評価基準>
〇:吸着量が0mg以上5mg未満
△:吸着量が5mg以上、10mg以下
×:吸着量が10mgより高い
<実施例2>
実施例1において、延伸フィルムの厚みが25μmとなるように変更した以外は実施例1と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1において、延伸倍率をMDが2.8倍、TDが2.8倍に変更した以外は実施例1と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例2において、延伸倍率をMDが2.8倍、TDが2.8倍に変更した以外は実施例2と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例2において、延伸倍率をMDが2.8倍、TDが2.5倍に変更した以外は実施例2と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例2において、延伸倍率をMDが3.0倍、TDが2.3倍に変更した以外は実施例2と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例2において、原料種をホモPBT樹脂/ホモPET樹脂=80/20(質量比)ブレンド品に変えた以外は実施例2と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例4>
実施例2において、原料種をホモPBT樹脂/ホモPET樹脂=70/30(質量比)ブレンド品に変えた以外は実施例2と同様にフィルムを得、各評価試験を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2022026808000002
表1に示すように、実施例1乃至実施例4のシーラントフィルムは、10N/15mm以上のシール強度を備え、500回屈曲後のピンホール数が20未満であり、8N以上の突刺強度を備え、熱ラミネート加工性に優れるものであった。なお、シーラントフィルムと他基材との積層体において、シーラントフィルム面にシワが混入した場合、外観不良であるのみならず、該積層体をヒートシール等を行った場合にシワ部分のシール不良が予想されるため、製品としての実使用は不適格であるといえる。
一方、4方向のいずれかの引張破断強度が170MPa未満である比較例1及び比較例2のシーラントフィルムは、熱ラミネートの加工性に劣り、また、PETを配合した比較例3及び比較例4のシーラントフィルムは、500回の屈曲後に30超のピンホール数が
カウントされ、また突刺強度は8N未満にどまった。
なおいずれの実施例のシーラントフィルムも、上記引張破断強度が170MPa未満である比較例1及び比較例2のシーラントフィルムや、PETを配合した比較例3及び比較例4のシーラントフィルムと同程度のl-メントール(LS)及びサリチル酸メチル(MS)の非吸着性を示し、これら比較例の構成と有意差はないことが確認された。
1 未延伸原反
2 ニップロール
3 ヒーター
4 冷却リング
5 ガイドロール
6 ニップロール
7 二軸延伸フィルム

Claims (5)

  1. 樹脂成分がポリブチレンテレフタレート樹脂からなる二軸延伸フィルムであって、
    該二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、その4方向(0°(MD)、45°、90°(TD)、135°)すべての引張破断強度が170MPa以上であり、
    該4方向の引張破断強度のうち、最大値と最小値の比が1.5以下であり、
    該4方向すべての引張破断伸度が50%以上であることを特徴とする、
    二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
  2. 前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、
    JIS Z 1707に準拠し測定した突刺強度が8N以上であり、且つ、
    ASTM F 392に準拠し、屈曲試験を行った後のピンホールの数が20個以下であることを特徴とする、
    請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
  3. 前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、ヒートシール用フィルム若しくは超音波溶着(シール)用フィルムであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
  4. 前記二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムは、該フィルム同士を200℃以上でヒートシール、若しくは超音波シールした時のシール強度が10N/15mm以上であることを特徴とする、請求項3に記載の二軸延伸ポリエステルシーラントフィルム。
  5. 請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムを少なくとも一層有していることを特徴とする、積層体。
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