JP5813568B2 - 塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム、およびこれを用いた易開封性筒状密封包装体 - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム、およびこれを用いた易開封性筒状密封包装体 Download PDF

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Description

本発明は、易開封性機能を有する塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム、およびこれを用いた易開封性筒状密封包装体に関する。更に詳しくは、塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを用いた筒状密封包装体の易開封性の向上を図る改良技術に関する。
ハム、ソーセージ、チーズ、羊羹、ういろう等を収容する筒状密封包装体としては、塩化ビニリデン系樹脂フィルムを使用したものが広く知られている。この筒状密封包装体は、自動充填包装機(例えば旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)で、帯状の塩化ビニリデン系樹脂フィルムを走行させながら、両側縁部を交叉させて重なり合うように筒状に折り曲げ、その重ね合わせ部分をシールして筒状フィルムに成形し、この筒状フィルム内に内容物を充填後、上端および下端を結紮(封止)して製造される。塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、ガスバリア性、強靭性、シール性、耐熱性、熱収縮性に優れた特性を有するため、この筒状密封包装体の包装フィルムとして汎用されている。
しかしながら、塩化ビニリデン系樹脂フィルムで包装された筒状密封包装体は、フィルムが強靭であるため、消費者が内容物を取り出す際、鋭利な刃物等が必要であり、刃物等の用意がない場合には手指の力だけでは開封ができないという欠点を有している。そのため、塩化ビニリデン系樹脂フィルムで包装された筒状密封包装体に易開封性を付与する技術が古くから多く提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、図4に示す構成の易開装性筒状密封包装体が記載されている。同図に示す包装体は、塩化ビニリデン系樹脂フィルムからなる筒22と、その筒軸に沿って延在する背貼りシール部23と、筒両端を金属環で集束した結紮部29と、背貼りシール部23を介して包装体外部に帯状にはみだしたフィルム耳片26と、包装体内部に帯状にはみだしたフィルム耳片27とを有する。フィルム耳片26のほぼ中央部にはフィルム層を貫通する微小面積の穴または切線でなる切り目が、耳片26の長軸を横断する方向に耳片26の長軸方向に間隔をおいて多数配列されている。
特許文献2には、図5に示す構成の易開封性包装体が記載されている。同図に示す包装体は、内容物1と、少なくとも3箇所でシールされた状態で内容物1を覆うフィルム32と、熱融着によって形成されるシール部33とで構成される。シール部33の一側縁に沿って折り目35をもつ2枚のフィルムからなる細幅の耳片部36が包装体の外部に位置し、シール部33の他側縁に沿って2枚のフィルム端部からなる細幅の耳片部37が包装体の内部に位置する。そして、耳片部36をなす2枚のフィルムのうち1枚のフィルムのみに、耳片軸を横断する方向に小間隔をもって線状に設けられた微小面積の穴38の列が耳片軸方向に多数状設けられている。
特許文献3には、図6に示す構成の易開封性筒状密封包装体が記載されている。同図に示す包装体は、帯状のフィルムの両側縁部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分のほぼ中央部をフィルムの長手方向ににわたり所定の幅で熱融着してシール部43を形成してなる筒状フィルム42と、筒状フィルムの両端部を封止する封止部材49と、筒状フィルム42の外側に帯状にはみだしたフィルム外耳片46と、筒状フィルム42の内側に帯状にはみ出したフィルム内耳片47とを備える。この重ね合わせ部分をなすフィルムの2つの当接面の少なくとも一方の側に、シール部43の幅Aを超えてシール部43を横切るように、複数の不貫通の穴または切れ目48aが一列に並ぶように形成されてなる傷痕群48が複数列設けられている。
特許文献4には、2枚の塩化ビニリデン系樹脂フィルムを接着剤層を介して貼り合わせた多層フィルムを筒状フィルムとして使用した包装体が記載されている。
特開昭63−12471号公報 特許第2838225号公報 特開2011−116408号公報 特開2008−189357号公報
ところで、上記の筒状密封包装体は、例えば、ハム・ソーセージの製造の場合、充填工程、殺菌工程(ボイル、レトルト等)、搬送・選別工程、箱詰め・梱包工程という製造工程では、難開封性が求められる。他方、消費者の開封時には易開封性が求められる。これらの相反する2つの課題の克服は、従来技術では必ずしも十分ではなかった。すなわち、従来の筒状密封包装体は、製造時の不良率を0.1%以下にするという業界の生産性向上目標や、消費者の更なる易開封性の確度の向上期待とも相俟って、十分満足されるものではなく、未だ改善の余地があった。
特許文献1に記載の発明は、筒状密封包装体の1枚のフィルム端部である細幅の耳片部に、微小傷痕群を設け、これらを開封の切り口(起点)にして、細幅の耳片部を引裂く時の引裂き応力をシール線に伝播させてこれを部分破壊して、開封部を得ようとするものである。しかし、シール部の強度に対して上記耳片部の強度が不十分な場合、開封時に耳片部が先にちぎれてしまうということがあった。開封時に耳片部がちぎれることを防止するためにシール部の強度を弱めると、包装体の製造過程においてシール部からの破袋が増加したり、破袋にまでは至らないもののシール部の部分剥離現象が発生しやすくなる。剥離部分から細菌が侵入すると包装体が膨張したり腐敗が発生する。
特許文献2に記載の発明は、特許文献1に記載の筒状密封包装体の耳片部を、折目をもつ2枚の耳片部にすることで、開封時に耳片部が先にちぎれてしまうという問題点を解決しようとしたものである。しかし、この発明にしても、シール部を3枚のフィルムでシールするため、筒状に製袋する際のフィルム走行時の張力変動等により、シール部の幅が変わり易く、シール部の強度変動が大きくなる場合があり、シール部からの破袋等が発生することがあった。また、図5に示す構成のシール部33を採用したことで、棒状の包装体(製品)がシール部33を内側にして湾曲しやすいという問題点があった。すなわち、シール部33の対向側はフィルムが1枚であるのに対し、シール部33側は包装体内部の1枚の耳片と合わせて耳片が3枚のフィルムで構成されるため、例えばボイル殺菌やレトルト殺菌時のフィルムの加熱収縮応力により包装体が湾曲しやすい。包装体が大きく湾曲した場合、搬送中に整列機に詰まったりして外装ができなくなるという製造上の問題と、消費者に外観異形として嫌われるという問題がある。このように特許文献2に記載の発明は、難開封性および易開封性の両立という点では優れた面を有するものの、必然的に製品が湾曲しやすいため、ハム等の太物製品の一部で試用されるに留まっているのが現状である。
特許文献3に記載の発明は、筒状密封包装体のシール部の重ね合わせ部分をなすフィルムの当接面の少なくとも一方のフィルムに、シール部の幅を超えて、シール部を横切るように不貫通の傷痕群を設け、外耳片からの開封時のフィルム引裂き応力をシール部に集中させることによりシール部を部分破壊しようとしたものである。シール部の幅を超えて不貫通の傷痕群を設けることによって、シール部の部分破壊が容易になり、特許許文献1のような、開封時に耳片部が先にちぎれてしまうという問題を解決できた。また、この解決により、特許文献2のように外耳片を2枚にする必要がなくなり、ボイル殺菌やレトルト殺菌時のフィルムの加熱収縮応力により包装体がシール部を内側にして湾曲しやすいという問題も解決できた。しかし、この発明にしても、数千本規模の大量生産時においては、フィルムのラミネート(貼り合わせ)時の接着剤や傷痕群の個々の傷痕部分の残留歪等に起因する傷痕群部分の引裂強度や、傷痕群部分の層間接着強度の変動によっては、包装体の製造工程での難開封性や、消費者の開封時の易開封性が不十分となる場合があった。
特許文献4に記載の発明は、2枚の塩化ビニリデン系樹脂フィルムを、接着剤を介してラミネートし、これを用いて筒状包装体を形成するものである。当該発明は集束端部での層間での剥離を抑制して密封性および耐圧性を高めることを目的としたものであり、当該発明によって開封性が改良されることはない。
塩化ビニリデン系樹脂フィルムを使用した包装体に対し、易開封性を付与することは、以下の通りもともと困難であるという事情がある。すなわち、塩化ビニリデン系樹脂フィルムを熱融着した場合、シール部の縁に「樹脂溜まり」が形成されやすく(図2および図8の樹脂溜まり部D参照)、これを破壊することが難しいことに由来している。より具体的には、耳片部を引裂く時の引裂き応力をシール部に伝播させて、開封部を得ようとしても、シール部の縁の樹脂溜まりが引裂き伝播を阻害する。樹脂溜まりは、連続接触式封筒貼りシール方式によって筒状フィルムが製造されることと、包装フィルムである塩化ビニリデン系樹脂の溶融樹脂特性との2点から、発生しやすい。つまり、塩化ビニリデン樹脂フィルムを用いた筒状密封包装体は、本質的に難開封性を有している。
密封包装体の製造方法の一例は、例えば特開昭62−261422号公報に記載されている。製造装置の一例を図7に示す。具体的には、ボビンホルダー61から引き出された長尺フィルムHを、ガイドロール62a、62bを介してフォーミングフォルダー63に送り、ここで長軸方向に沿って折り曲げ両側側縁部を重ね合わせ、その重ね合わせ部分を高周波が印加されている固定電極(負電極)64と加圧電極(正電極)65との間に通して挟圧し高周波溶着し、長尺筒状体Iを形成する。次いで、このように形成された筒状体Iの中に充填ノズル67から所定の物質(例えば魚肉ペースト)を定量的に導入し、ボイドローラー68a、68bによって、下方へしごいて密に充填する。しごきにより生じたくびれ部分を結紮装置69で金属ワイヤー等を用いて結紮し包装することで筒状密封包装体Jが得られる。フィードロール66a、66bは長尺筒状体フィルムIの定速走行を調節するためのものである。
この際、長尺フィルムHは加圧電極(正電極)65で押圧接触されながら連続的に封筒貼りシールされる。このため、シール部の両端に加圧電極(正電極)65の押圧により溶融樹脂の樹脂溜まり部Dが形成される(図8(ii)参照)。
図8(i)は、従来の塩化ビニリデン系樹脂フィルムで包装された筒状密封包装体の一例を示す平面図である。同図に示す包装体50は、塩化ビニリデン系樹脂フィルムからなる筒状フィルム52と、熱融着によって形成されたシ−ル部53と、筒状フィルム52の両端部を封止する結紮部59と、フィルムの一方の側縁部であって筒状フィルム52の外側に帯状にはみ出したフィルム外耳片56と、筒状フィルム52の内側に帯状にはみ出したフィルム内耳片57とを有する。
塩化ビニリデン系樹脂フィルムを用いた場合に樹脂溜まり部Dが大きくなりやすい主因は、塩化ビニリデン系樹脂はポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂またはポリアミド樹脂等に比べて、溶融後の再結晶化速度が遅く溶融部の結晶固化が遅いためと推察される。本来、塩化ビニリデン系樹脂フィルムは高分子鎖の配向性から、一旦傷が付けば、その傷を起点としての引裂きは容易である。しかし、シール部53の縁に形成される樹脂溜まり部Dは、溶融により結晶の配向性が緩和されており、この樹脂溜まり部Dが障害になって、フィルム外耳片56からの引裂き応力の伝播がシール部53まで到達しにくいので開封性が低下する。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、塩化ビニリデン系樹脂フィルムを用いた筒状密封包装体であって、数千本規模の大量生産時であっても、製品の製造・運搬過程では破袋やピンホールの発生が十分に少ない難開封性を有し、他方、消費者が製品を利用する際には包装を容易に開封できる易開封性を有するとともに、製品の湾曲を十分に抑制できる筒状密封包装体を提供することを目的とする。また、本発明はこのような筒状密封包装体の製造に有用な包装用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、筒状密封包装体用のフィルムとして少なくとも2枚の塩化ビニリデン系樹脂フィルムを使用し、少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムの、筒状密封包装体のシール部となる部分に、複数の貫通の穴または切れ目からなる傷痕群を予め形成し、もう一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムによって、複数の貫通の穴または切れ目からなる傷痕群を塞ぐように、接着剤で貼り合わせて、不貫通の穴または切れ目からなる傷痕群を有する積層フィルムとなし、その積層フィルムの傷痕群部分の引裂強度と傷痕群部分の層間接着強度とを調整することで、数千本規模の大量生産時においても、製品の製造・運搬の際には破袋やピンホールの発生が十分に少ない難開封性を有し、且つ、消費者が製品を利用する際には易開封性が優れる筒状密封包装体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(8)を提供する。
(1)塩化ビニリデン系樹脂フィルム、接着剤層及び塩化ビニリデン系樹脂フィルムがこの順序で積層されている、少なくとも3層の積層フィルムであって、少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、当該樹脂フィルムの長尺方向に、複数の貫通の穴または切れ目が一列に並ぶように形成されてなる傷痕群を複数列有し、もう一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、上記傷痕群を塞ぐように積層されており、当該積層フィルムにおいて上記傷痕群は不貫通となっており、当該積層フィルムの傷痕群部分の引裂強度が0.2mN/μm以上5mN/μm以下であり、且つ、傷痕群部分の層間接着強度が0.05N/cm以上4N/cm以下であることを特徴とする包装用積層フィルム。
(2)傷痕群部分の引裂強度が0.5mN/μm以上4mN/μm以下であり、且つ、傷痕群部分の層間接着強度が0.1N/cm以上3N/cm以下であることを特徴とする(1)に記載の包装用積層フィルム。
(3)不貫通の穴または切れ目の深さは、当該積層フィルム全体の厚みの25%以上65%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の包装用積層フィルム。
(4)接着剤層は希釈溶剤として有機溶剤を含有し、当該有機溶剤のSP値(δ)と塩化ビニリデン系樹脂のSP値(δPVDC)との差(δPVDC−δ)が以下の条件式を満たすことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一つに記載の包装用積層フィルム。
2.4(cal/cm1/2≦(δPVDC−δ)≦4.3(cal/cm1/2
(5)少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、少なくとも片面に印刷が施されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の包装用積層フィルム。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つに記載の積層フィルムの両側縁部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を長尺方向にわたり所定の幅で熱融着してシール部を形成してなる筒状積層フィルムと、内容物が充填された筒状積層フィルムの両端部を封止する封止部材と、積層フィルムの一方の側縁部であって筒状積層フィルムの外側に帯状にはみ出した積層フィルム外耳片とを備え、重ね合わせ部分の2つの当接面の少なくとも一方に傷痕群が形成されていることを特徴とする易開封性筒状密封包装体。
(7)シール部は、剪断シール強度が10N/cm以上40N/cm以下であり、剥離シール強度が2N/cm以上25N/cm以下であることを特徴とする(6)に記載の易開封性筒状密封包装体。
(8)シール部は、剪断シール強度が10N/cm以上30N/cm以下であり、剥離シール強度が2N/cm以上15N/cm以下であることを特徴とする(6)に記載の易開封性筒状密封包装体。
本発明に係る積層フィルムは易開封性機能を有する。かかる積層フィルムを用いた筒状密封包装体は、数千本規模の大量生産時においても、製品の製造・運搬過程では破袋やピンホールの発生が十分に少ない難開封性を有するため、製品の長期保存性にも優れる。他方、消費者が製品を利用する際には包装を容易に開封できる安定した易開封性を有する。さらに、包装体の湾曲が十分に抑制され、商品価値を高めることができる。また、そのような包装体を、簡易且つ低コストで製造することができ、その結果、歩留まりが向上し、生産性および経済性の向上が図られる。
本発明の易開封性筒状密封包装体の作製に使用する塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムの一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る包装体の好適な実施形態を示す模式図である。 本発明の塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムに形成する穴または切れ目の例を示す模式図である。 従来の筒状密封包装体の例を示す模式図である。 従来の筒状密封包装体の例を示す模式図である。 従来の筒状密封包装体の例を示す模式図である。 本発明の易開封性筒状密封包装体の作製に使用する装置の一例を示す模式図である。 (i)は従来の筒状密封包装体の一例を示す平面図であり、(ii)は従来の筒状密封包装体の軸方向に垂直な方向の部分断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとし、さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
本実施形態の積層フィルムは、塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)/接着剤(γ)/塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)の少なくとも3層の積層構造を有し、積層フィルムの長尺方向(長手方向)に、複数の不貫通の穴または切れ目が一列に並ぶように形成されてなる傷痕群が複数列設けられており、この積層フィルムの傷痕群部分の引裂強度が0.2mN/μm〜5mN/μmであり、且つ、積層フィルムの傷痕群部分の層間接着強度が0.05N/cm〜4N/cmであることを特徴とする。
本実施形態において用いる塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)及び塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)は、塩化ビニリデン系共重合体から製造され、積層フィルムのフィルム性能や製造の効率化の観点から、塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)と塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)が同一の樹脂組成であってもよい。
塩化ビニリデン系共重合体は、塩化ビニリデンを主成分とし、これと共重合し得る単量体、例えば塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸ブチル等のメタアクリル酸エステル等の1種以上から選ばれたものとの共重合体であり、中でも、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。
主成分の塩化ビニリデン成分は70重量%〜98重量%であることが好ましく、80重量%〜97重量%のものがより好ましい。塩化ビニリデン成分が70重量%以上であれば、溶融後の再結晶化速度が速く、フィルムの成形加工性が向上し、塩化ビニリデン成分が98重量%以下であれば、共重合単量体成分による内部可塑化効果が得られるため溶融加工性が向上する。
塩化ビニリデン系共重合体は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法のいずれの重合法によって得たものでもよいが、懸濁重合法によって得たものが好ましい。また、塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量は、4万〜18万程度が好ましい。より好ましくは6万〜16万の範囲である。特に好ましくは8万〜14万である。重量平均分子量が4万〜18万の範囲であれば、フィルムへの成形加工が容易である。重量平均分子量は、熱安定性、力学的強度、ガスバリア性等の観点から上記範囲の重量平均分子量を選択するのが好ましい。また、重量平均分子量の異なる2種以上の塩化ビニリデン系共重合体を任意の割合で配合混合して配合混合した塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量が4万〜18万の範囲となる組成物としてもよい。重量平均分子量は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィ(GPC:東ソー社製ゲルパーミェーションクロマトグラフHLC−8020)によって測定できる。
塩化ビニリデン系共重合体の重量平均粒子径は150μm〜500μmが好ましい。より好ましくは180μm〜400μm、特に好ましくは200mμm〜350μmである。重量平均粒子径が150μm〜500μmの範囲であると、押出成形加工時の押出負荷の変動が少なくなり、安定な押出加工が可能となる。粒子径分布は、日科機社製のコールターマルチセイザー粒子測定装置TA−II型によって測定することができる。
上記共重合体には、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジアセチル化モノグリセライド、アセチル化ジグリセライド等で代表されるポリエステル系可塑剤等や、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ化パーム油、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物に代表される熱安定剤等の、常温で液状の添加剤が添加できる。これらの常温で液状の添加剤は、単独でも2種以上の混合物でもよく、塩化ビニリデン系共重合体に対し、総量で1重量%〜10重量%添加することが好ましい。1重量%以上であれば溶融・成形加工性が向上し、10重量%以下であれば、バリア性が向上する。
更に必要に応じて、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等に代表される無機化合物熱安定剤、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 245)等に代表されるフェノール系抗酸化剤、チオジプロピオン酸、ジステアリルチオジプロピオネート等に代表されるチオエーテル系抗酸化剤、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等に代表されるホスファイト系抗酸化剤、α−トコフェロールに代表されるビタミンE系抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA及びEDTAのナトリウム塩)等に代表されるマスキング剤(キレート剤)、球状又は無定形の二酸化珪素、炭酸カルシウム、タルク等に代表される梨地剤、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、ワックス類等に代表される滑剤、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系等に代表される有機顔料や酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ等に代表される無機顔料の着色剤を、塩化ビニリデン系共重合体に対し、総量で0.01重量%〜1.5重量%程度添加してもよく、用途に応じてソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の界面活性剤を0.1重量%〜1.0重量%、加工助剤として、エチレン−酢酸ビニル共重合体やフッ素系加工助剤を0.01重量%〜2.0重量%添加してもよい。これらの添加剤は塩化ビニリデン系共重合体の重合前、又は重合後に添加してもよい。
可塑剤、熱安定剤、抗酸化剤、マスキング剤(キレート剤)、梨地剤、滑剤、着色剤、その他の添加剤の混合方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が適用され、例えば高速ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等による加熱・冷却混合方法が適用できる。
塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)及び塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)は、公知のインフレーション法(ダブルバブル法)やテンター法により製造される。例えば、インフレーション法(ダブルバブル法)によりフィルムを作成する場合、1)スクリュー押出機に取り付けられた環状ダイから、塩化ビニリデン系共重合体の溶融樹脂を押出し、2)管状押出物(以下パリソンと記す)を冷水槽に通し、パリソンの内部にポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のパリソンの開口剤を封入(第1のバブル)し、約10℃の冷水で過冷却しながらピンチロール(第1ピンチロール)で折りたたみ、3)過冷却状態のパリソンを20℃〜50℃の温水槽に通し、温水中を通過させ、ピンチロール(第2ピンチロール)で折りたたんで水を切り、4)次いで、折りたたまれたパリソンの内部にエアーを封入して、室温(15℃〜45℃)で、長さ2m〜3mの筒状になるようにして、5)更にエアーを封入してインフレーションし、長尺方向(MD:Machine Direction)に2.0倍〜4.5倍、幅方向(TD:Transverse Direction)に3.0倍〜5.0倍に2軸延伸し、管状フィルム(第2のバブル)とし、6)管状フィルムをピンチロール(第3ピンチロール)で折りたたみ、平坦長尺状のダブルプライフィルムとし、7)次いで、フィルム両側の耳部をスリットして取り除き、2枚の平坦長尺状のシングルプライフィルムとしてボビンに巻き取る方法が好ましい。
平坦長尺状のシングルプライフィルムの少なくとも片面に、ラミネート時の接着強度を適度に調整するためや魚肉ソーセージ等の包装内容物をフィルム内面に強固に付着させるための、コロナ処理やプラズマ処理等のフィルム表面の活性化処理(濡れ指数:34dyn/cm〜42dyn/cm)を施すこともできる。
本実施形態に係る積層フィルムは、120℃でMD、TD方向共に20%〜40%の収縮率を有することが好ましく、熱収縮応力は120℃でMD、TD共に0.5MPa〜2.0MPaを有することが好ましい(収縮率は120℃、ASTM D−2732、熱収縮応力は120℃、ASTM D−1504で測定)。120℃で測定する理由は、レトルト処理温度が一般的に120℃近辺であるためである。適度な収縮率と熱収縮応力を備えることにより、加熱処理によって適度にフィルムが収縮し、ハム、ソーセージ等が皺や変形もなく、また適度な張りが出て、包装体製品の仕上がりが良好になる。
また、自動充填包装機(例えば旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)等を用いて充填包装する場合、平坦状フィルムをフォーミングフォルダー部で円筒状に安定に製袋するためには、フィルムに適度な腰や滑り性が必要であり、2%弾性率(23℃、ASTM D−882で測定)はMD、TD方向共に200MPa〜400MPaが好ましく、動摩擦係数(23℃、ASTM D−1894で測定)はフィルム−フィルムで0.1〜0.3、フィルム−鏡面金属で0.05〜0.25であることが好ましい。
不貫通の穴または切れ目を有する積層フィルムは、塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)、塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)の少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムの長尺方向に、複数の貫通の穴または切れ目が一列に並ぶように形成されてなる傷痕群を複数列設け、貫通の穴または切れ目が形成された塩化ビニリデン系樹脂フィルムに、もう一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムによって前記傷痕群を塞ぐようにして、接着剤(γ)で貼り合わせて積層して作製される。この場合、所定の厚さのフィルムを2枚選択して使用することで、不貫通の穴または切れ目の深さを調節することができる。
図1は本発明に係る密封包装体用フィルムの好適な実施形態を示す概念図である。図1(i)は密封包装体の作成に使用される包装用フィルム100の巻物100Gを示す斜視図である。包装用フィルム100は密封包装体を作成した際にシールされる部分(当接面Fa、Fb)に不貫通の傷痕群8が形成されている。図1(ii)は図1(i)に示すII−II線断面図である。図1(ii)に示すように包装用フィルム100は、塩化ビニリデン系樹脂フィルム4α[塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)]、塩化ビニリデン系樹脂フィルム4β[塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)]が接着剤5γ[接着剤(γ)]によって貼り合わされた積層フィルムである。包装用フィルム100は、当接面Fa、Fbに傷痕群8がそれぞれ設けられている。
なお、ここでは当接面Fa、Fbの両方に傷痕群8を付与した場合を挙げたが、傷痕群8は当接面Fa、Fbの一方のみに付与してもよい。但し、易開封性の観点から、少なくとも内側当接面(Fb)側に傷痕群8を付与することが特に好ましい。包装用フィルム100を使用して包装体10を製造する際は、当接面FaとFbが接するように包装用フィルム100を曲げた後、重ね合わせ部分を熱融着して製袋することが好ましい。また、図1(ii)には、塩化ビニリデン系樹脂フィルム層4α[塩化ビニリデン系樹脂フィルム(α)]、塩化ビニリデン系樹脂フィルム層4β[塩化ビニリデン系樹脂フィルム(β)]および接着剤層5γ[接着剤(γ)]からなる3層構造の積層フィルムを図示したが、封筒貼りシールの場合は、シール性の観点からは同一樹脂が好ましいので、塩化ビニリデン系樹脂フィルム層4αと塩化ビニリデン系樹脂フィルム4βは同一であるほうが好ましい。
図2は、本発明に係る密封包装体の好適な実施形態を示す概念図である。図2(i)は包装体10の全体を示す平面図であり、図2(ii)は図2(i)の丸で囲った部分(包装体10のシール部3)を拡大して示す部分平面図であり、図2(iii)は包装体10の長手方向に垂直な方向のシール部3の断面図である。
図2に示す包装体10は、帯状の包装用フィルム100の両側縁部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分のほぼ中央部をフィルムの長手方向にわたり所定の幅で熱融着してシール部3を形成してなる筒状フィルム2と、筒状フィルムの両端部を封止する封止部材(封止する機構)9と、筒状フィルム2の外側に帯状にはみ出したフィルム外耳片6と、筒状フィルム2の内側に帯状にはみ出したフィルム内耳片7とを備える。
この重ね合わせ部分をなす包装用フィルム100の2つの当接面Fa、Fbの少なくとも一方に、シール部3の幅方向の少なくとも外耳片6側のシール端部を越えて、複数の不貫通の穴または切れ目8aが一列に並ぶように形成されてなる傷痕群8が複数列設けられている。図2(ii)は傷痕群8がシール部の幅Aをシール部の幅方向端部の両方を超えて設けられているが、少なくとも外耳片側6のシールの幅方向の端部を超えて設けられていればよい。包装体10は、不貫通の穴または切れ目8aを開封に活用するものである。
フィルム外耳片6は包装体10を開封する際の取っ手となる。すなわち、消費者が包装体10を開封するとき、このフィルム外耳片6を摘まんでシール部3を引き剥がす方向に引っ張り、シール部3を破壊して内容物1を取り出す。
図1(ii)、図2(iii)を参照しながら、開封原理を説明する。消費者が包装体10を開封する際、フィルム外耳片6を摘まんで引っ張れば、フィルムの当接面Fa、Fbに設けられた不貫通の穴または切れ目8aを起点としてフィルムの破壊が伝播し、その引っ張り応力の集中によりシール部3のフィルム外耳片6側の樹脂溜まり部Dが破壊される。次いで塩化ビニリデン系樹脂フィルム4α、4βと、接着性樹脂層5との間で剥離が発生し、剥離面がシール部3を横切る形で伝播することによりシール部3の周辺が開封される。これより、包装体10から内容物1を容易に取り出すことができる。
ここで、シール部3に設けられる穴または切れ目8aは、密封性を保持するために、包装用フィルム100を貫通しない穴または切れ目である必要がある。また、樹脂溜まり部Dを破壊し、さらに塩化ビニリデン系樹脂フィルム4α、4βと接着性樹脂層5γとの剥離を容易にするために、不貫通の穴または切れ目8aは、シール部3の幅方向の少なくとも外耳片6の側のシール端部を越えて設ける必要がある。穴または切れ目8aがシール端部を越えて設けられない場合は、引っ張り応力が樹脂溜まり部Dに分散して伝わるため樹脂溜まり部Dを破壊できず、フィルム外耳片6のみがちぎれてしまう。また、穴または切れ目8aがシール端部を越えて外耳片6側まで設けられていることにより、外耳片6がちぎれず、且つ、樹脂溜まり部Dの外耳片6側でフィルムの破断が発生し、より小さな力により開封することが可能となる。
また、シール部3の幅方向の少なくとも外耳片6側のシール端部を越えて設けられる不貫通の穴または切れ目8aは、重ね合わせ部分をなす外側のフィルムと内側のフィルムが接するフィルムの2つの当接面Fa、Fbのうち、少なくとも一方の当接面に設けることが好ましい。包装体の外側面(非シール面)に設けた場合は、フィルム外耳片6を摘まんで引っ張り、シール部3を破壊しようとしたとき、不貫通の穴または切れ目8aを起点としてフィルム外耳片6のみがちぎれ易くなるため、包装体の開封率が低下する場合がある。また、筒状に製袋する際、加圧電極(正電極)が不貫通の穴または切れ目8aと接触押圧しながらシールされるため、シール部幅が変動し易く、各工程中での破袋や、ピンホールが発生する場合がある。一方、包装体の内面側(非シール面)に設けた場合は、フィルム外耳片6を摘まんで引っ張っても、引っ張り応力の伝播が樹脂溜まり部Dで停止し易くなるため、樹脂溜まり部Dを破壊できなくなる場合があり、包装体の開封率が低下する場合がある。樹脂溜まり部Dの破壊のためには、不貫通の穴または切れ目8aは2つの当接面Fa、Fbの一方の当接面に設けたほうが好ましく、当接面Fa、Fbの両方に設けてもよい。より優れた易開封性の観点から、少なくとも当接面Fbに不貫通の穴または切れ目8aを設けることが特に好ましい。図2(iii)に示す包装体10は、当接面Fa、Fbに傷痕群8が形成されたものである。
不貫通の穴または切れ目8aの深さ(B)は、包装用フィルム100の全厚み(C)の25%〜65%が好ましい、より好ましくは30%〜60%である。また、包装体の場合、筒状フィルムの外側に帯状にはみ出したフィルム外耳片6の厚さ(C’)の25%〜65%が好ましい。より好ましくは30%〜60%である。穴または切れ目の深さ(B、B’)が25%以上であれば、開封性が向上し、穴または切れ目の深さ(B、B’)が65%以下であれば、シール部の平均表面粗さが減少するためシール部からの破袋が減少すると共に、傷痕群部分の充填内容物の酸化変色を防止することができる。
シール部の幅Aは0.2mm〜1.5mmが好ましい。シール部の幅Aが0.2mm以上であれば、包装体のシール部の剥離不良が減少し、シール部の幅Aが1.5mm以下であれば、樹脂溜まり部Dの成長が抑制できる。
フィルム外耳片6の幅は4mm〜12mmが好ましい。フィルム外耳片の幅が4mm以上であれば、消費者が包装体を開封するとき、このフィルム外耳片6を摘まみやすいし、フィルム外耳片6の幅が12mm以下であれば、製品湾曲が減少する。
フィルム外耳片6の厚さCは使用する包材の厚さや加熱殺菌時の熱収縮で変化するが、30μm〜120μmが好ましい。フィルム外耳片の6の厚さCが30μm以上であれば、
製造過程における外部応力によるフィルム破れが減少し、フィルム外耳片6の厚さCが120μm以下であれば、フィルムの剛性由来の自動充填包装機での製袋性が低下しないため、包装体の生産性が向上する。
また、フィルム外耳片6の端縁部に、引裂き開始部を設けることが好ましい。引裂き開始部としては、IノッチやVノッチ等が挙げられる。さらには、フィルム外耳片6に、引裂き開始部として、小間隔をもって線状に配列させた複数列の微小面積の穴または切れ目からなる傷痕群を設けることも好ましい。これらの傷痕群は、フィルム外耳片6のフィルム層を貫通させた方が好ましいが、フィルムの破壊(切断)開始効果を期待できるならば、フィルム外耳片6のフィルム層の貫通、不貫通を問わない。
図3(i)、(ii)、(iii)は、穴または切れ目8aの好ましい例をそれぞれ示す図である。穴または切れ目8aは、フィルム層を貫通せず、包装体10の長軸を横断する方向にほぼ一定の間隔bをもって一列に並ぶように形成されて傷痕群8をなし、且つ、この傷痕群8が包装体の長軸方向にほぼ一定の間隔cをおいて複数列配列される。穴または切れ目の形状、間隔、列数等は特に限定されるものではない。
穴または切れ目8aは、穴または切れ目の長軸方向の長さ(図3での長さa)が好ましくは0.1mm〜2.0mm、より好ましくは0.1mm〜1.5mm、特に好ましくは0.2mm〜1.0mm、単軸方向の幅(図3での幅d)が好ましくは0.005mm〜0.5mm、より好ましくは0.005mm〜0.3mm、特に好ましくは0.01mm〜0.2mmとなるように形成することがよい。傷痕群8の個々の穴または切れ目とのフィルム幅方向の間隔bは好ましくは0.1mm〜1.5mm、より好ましくは0.2mm〜1.0mm、特に好ましくは0.2mm〜0.8mm、フィルム長手方向の間隔cは好ましくは0.1mm〜2.0mm、より好ましくは0.2mm〜1.5mm、特に好ましくは0.3mm〜1.0mmとなるように形成することがよい。
穴または切れ目8aの長さと幅は、傷痕群部分のフィルムの引裂強度に関わり、また個々の穴または切れ目の8aの間隔(図3での間隔bおよび間隔c)は、傷痕群部分の引裂き伝播強度に関わる。従って、穴または切れ目8aの長さ、幅や間隔は、フィルムの機械的強度が、包装体10を製造する工程においては必要限度の範囲内で保持されるように、且つ、消費者が開封する時には、開封の起点となる局部小範囲で弱められた状態になるように調整される。なお、図3に示すように、穴または切れ目8aの長さaは、幅dよりも長いことが好ましい。穴または切れ目8aの長さaを幅dよりも長くし、異方性を持たせることにより、応力が穴または切れ目の長軸方向端部に効率的に集中し、フィルムを引裂く力によって樹脂溜まり部Dを破壊し易く、易開封性が向上する。穴または切れ目8aの長さaの方向(長軸方向)を、包装体となった場合にシール線と平行になるように設定[図3(iii)]すると、フィルム破断がシール線に沿うように進行するため、シール線際の強度の弱い樹脂溜まり部Dを破壊し易く、この場合も易開封性が向上する。従って、穴または切れ目の長軸方向とフィルムの長尺方向のなす角度は0°(フィルム長尺方向と穴の長軸方向が平行)から90°(フィルム長尺方向と穴の長軸方向が直角)の任意の角度に設定できる。
フィルムに、不貫通の穴または切れ目を付与する方法としては、例えば特開平6−8966号公報に開示された穿孔装置を使用した方法、すなわち上縁部が鋭い微細な刃物を円盤の円周上に複数千鳥状に配列加工したもの、あるいは、50μm〜100μm程度の粒径の鋭い角を有する合成ダイヤモンドのような硬い粒子を円盤の円周上に電着したものや、サンドペーパーを円盤の円周上に貼り付けたもの等で押圧する方法によりフィルムに貫通穴を開け、その後に積層する方法、切れ刃を有するロール(ロータリーダイロール)等を用いてフィルムに貫通穴を開け、その後に積層する方法、CO2レーザーなどを照射して熱によりフィルムに貫通穴を開け、その後積層する方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
積層フィルムの傷痕群部分の引裂強度は0.2mN/μm〜5mN/μm、好ましくは0.5mN/μm〜4mN/μm、より好ましくは1mN/μm〜3mN/μmである。傷痕群部分の引裂強度が0.2mN/μm以上あることで、包装体を製造する際の製袋時のフィルム切断トラブルの減少や、包装体となった際の、コンベア上等での包装体同士の接触擦れに由来する外耳片の部分切れトラブル等が減少し、包装作業性が安定する。傷痕群部分の引裂強度が5mN/μm以下であることで、外耳片を摘まんでの開封が小さい力で可能になり開封のし易さが向上する。
傷痕群部分の引裂強度の制御は、層間の接着状態とも関わり、例えば穴または切れ目の形状や個々の穴または切れ目の間隔によって調整できる。
積層フィルムの傷痕群部分の層間接着強度は0.05N/cm〜4N/cm、好ましくは0.1N/cm〜3N/cm、より好ましくは0.2N/cm〜2N/cmである。層間接着強度が0.05N/cm以上あることで、充填時のシール性が安定すると共に、加熱殺菌処理後のパンク率、および意図しない開封事故も低く抑えることができる。層間接着強度が4N/cm以下であることで小さな力で開封することが可能となる。
傷痕群部分の層間接着強度の制御は、接着剤、接着剤の希釈剤、塩化ビニリデン系樹脂フィルムの表面状態、穴または切れ目の形状や穴または切れ目の間隔等に関わり、例えば傷痕群部分に付着する接着剤(γ)量を調整することで可能である。傷痕群部分に付着する接着剤(γ)量の調整は、接着剤(γ)の固形分量、粘度、例えばグラビアコーティング方式の場合グラビアセルの形状やコーティングパターンによっても調整できる。
本実施形態に係る積層フィルムは、公知のドライラミネーション法で製造することができる。ドライラミネーションに使用する接着剤(γ)は、ウレタン系、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、エポキシ系等の溶剤型接着剤が好ましく、二液型ウレタン系接着剤が更に好ましい。二液型ウレタン系接着剤としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリウレタンポリオール、ポリエステルポリウレタンポリエーテルなどを主成分とする主剤と、トリレンジイソシアネートや4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、などのポリイソシアネートを主成分とする硬化剤が組み合わされ、各種有機溶剤で希釈されて使用される方法が挙げられる。接着剤(γ)の硬化促進のため貼り合せ後、35℃〜45℃の雰囲気温度で2日〜5日間程度エージングすることが好ましい。
接着剤(γ)のコーティング法は、グラビアコーティング方式、リバースコーティング方式、キスリバースコーティング方式等のロールコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法などの一般的に使用されるコーティング法の何れも使用できるが、接着剤の塗布量の調整が比較的容易なロールコーティング法が好ましい。中でもグラビアコーティング方式が更に好ましい。接着剤(γ)のコーティングパターンは、全面コーティング、線形状(平行線、交差線)コーティング、ドット状コーティング、ハニカム状コーティング等から適宜選ぶことができる。グラビアセルの形状は、格子型、ピラミッド型、斜線型等が挙げられる。グラビアコーティング方式では、セルの形状、深度および使用する接着剤の固形分、粘度等を選定・調整することで塗布量を調整することができる。接着剤(γ)の塗布量は1.0g/m〜6.0g/mが好ましい。より好ましくは1.5g/m〜5.5g/mである。
接着剤(γ)の希釈剤は有機溶剤が好ましい。希釈剤として使用される有機溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、塩化ブチル、二塩化プロピレン、1,1−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤、ジエチルセロソルブ等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤など公知の有機溶剤を使用できる。中でも、塩化ビニリデン系樹脂フィルムの溶解性パラメーター[SP値(δPVDC):12.2(cal/cm1/2]と、有機溶剤の溶解性パラメーター[SP値(δ)]との差(δPVDC−δ)が、2.4[有機溶剤のSP値(δ):9.8(cal/cm1/2]〜4.3[有機溶剤のSP値:(δ)7.9(cal/cm1/2]の範囲の有機溶剤がより好ましい。特に好ましくは2.8[有機溶剤のSP値(δ):9.4(cal/cm1/2]〜3.9[有機溶剤のSP値:(δ)8.3(cal/cm1/2]の範囲である。SP値の差(δPVDC−δ)が2.4(cal/cm1/2以上であれば、塩化ビニリデン系樹脂フィルムの傷痕群部分の層間接着強度がより安定する。塩化ビニリデン系樹脂フィルムのSP値(δPVDC)と有機溶剤のSP値(δ)との差が小さい場合には、両者の相溶性がよくなり、層間の接着性が強固になり易く傷痕効果が低下し易くなるためと推察する。SP値の差(δPVDC−δ)が4.3(cal/cm1/2以下であれば、塩化ビニリデン系樹脂フィルムの傷痕部分の引裂強度がより安定する。塩化ビニリデン系樹脂フィルムのSP値(δPVDC)と有機溶剤のSP値(δ)との差が大きい場合には、両者の相溶性が低下し、層間の接着性に異方性が生じ、引裂き伝播の方向性が不安定になり易くなるためと推察する。これらの現象は、有機溶剤のSP値の違いにより、塩化ビニリデン系樹脂フィルムに付与した傷痕部分の残留歪の緩和の程度が影響しているものと推察する。
溶解性パラメーター(SP値)は、「プラスチックの塗装・印刷便覧(昭和58年12月10日 株式会社総合技術出版 発行)第II章プラスチック成形品用の塗料 1.溶解性パラメーター(39頁〜59頁)」に詳細が記載されているように、溶解度パラメーターとも呼ばれ、蒸発潜熱法(Hildebrand法)、蒸気圧法(Hoy法)、溶解法、膨潤法、表面張力法、臨界圧法、熱膨張係数法など実測により求めることができる。混合有機溶剤の場合には、Smallの式によって計算することができる。混合物の溶解性パラメーターは、それぞれの成分の溶解性パラメーターのモル分率の加算値としてその数値を求めることができる。
各有機溶剤の溶解性パラメーター(SP値)は、Hildebrandの式から計算した値を用いた。混合有機溶剤の場合には、Hildebrandの式から求めたSP値を用いて、Smallの式によって求めた。塩化ビニリデン系樹脂の溶解性パラメーター(SP値)は文献値[δPVDC=12.2(cal/cm1/2]を用いた。表1にHildebrandの式から計算した主な有機溶剤の溶解性パラメーター(SP値)を示す。
本実施形態に係る積層フィルムは、少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムの少なくとも片面に、印刷を施してもよい。印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷等の公知の印刷方式を使用し、文字、図形、記号等からなる所望の印刷模様を印刷できる。印刷前に、貫通の穴または切れ目を入れてから接着剤(γ)で貼りあわせても、貫通の穴または切れ目を入れてから、印刷した塩化ビニリデン系樹脂フィルムを接着剤(γ)で貼り合わせてもどちらでもよい。
本実施形態に係る積層フィルムを使用して、密封包装を行う手段は、例えば旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」を用いて、高周波シールによるものや、超音波加熱による方法、加熱シール方式による方法が挙げられるが、これらには限定されない。また、シールの形状もフィルム端面を異方向に重ねたいわゆる「封筒貼り」、端面を同一方向に重ねてシールする、いわゆる「合掌貼り」のどちらでもかまわないが、加熱殺菌処理後のピンホール発生率、製品の搬送・取り扱い適性の観点からは「封筒貼り」が好ましい。
本実施形態に係る積層フィルムを用いて密封包装体を形成した場合、そのシール部分の剪断シール強度は10N/cm〜40N/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10N/cm〜30N/cmの範囲である。剪断シール強度が10N/cm以上あれば、加熱殺菌処理後のパンク率、および意図しない開封事故を低く抑えることができる。また、40N/cm以下であれば、開封力を低く抑えることができる。シール部分の剥離シール強度は2N/cm〜25N/cmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2N/cm〜15N/cm、特に好ましくは2N/cm〜10N/cmの範囲である。剥離シール強度が2N/cm以上あれば、意図しない開封事故を低く抑えることができ、25N/cm以下であれば、容易に開封することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでない。
各種性能の測定方法および評価方法を、以下に示す。
(1)傷痕群部分の引裂強度(mN/μm)
JIS K7128−2(エルメンドルフ引裂法)に準拠して、積層フィルムの長尺方向に垂直の方向(TD)を測定した。測定用の長方形試験片を、傷痕群部分が測定部のほぼ中央部分になるようにして、幅方向(TD):20mm(測定長:10mm、チャック掴み代:10mm)、長さ方向(MD):50mmで、積層フィルムのMD方向に約5mmの間隔で50点切り出した。切り出したそれぞれの試験片について、ダイヤルマイクロゲージを使用して、TD方向に約2mm間隔でフィルムの厚み(μm)を5点測定し、平均値をそれぞれの試験片の厚み(μm)とした。東洋精機製作所製軽荷重引裂き試験機を使用して、測定温度23℃の条件で測定した。測定したそれぞれの引裂強度値をそれぞれの試験片の厚み(μm)で除して、傷痕群部分の引裂強度を1μm当りの引裂強度とし、50点の1μmあたりの引裂強度の平均値を傷痕群部分の引裂強度とした。
(2)傷痕群部分の層間接着強度(N/cm)
ASTM D−1876に準拠して、積層フィルムの長尺方向に垂直の方向(TD)を測定した。測定用の長方形試験片を、傷痕群部分が測定部のほぼ中央部分になるようにして、幅方向(TD):45mm(測定長:10mm、チャック掴み代:30mm)長さ方向(MD):20mmで、積層フィルムのMD方向に約5mmの間隔で50点切り出し、ORIENTEC社製万能引張試験機「TENSILON RTC−1210型」を使用して、チャック間距離10mm、引取速度200mm/分、測定温度23℃の条件で、塩化ビニリデン系樹脂層(α)と塩化ビニリデン系樹脂層(β)との間の剥離強度(T字型剥離法)を測定した。50点の測定値の平均をcm幅あたりに換算して傷痕群部分の層間接着強度とした。
(3)包装用フィルムの厚み(μm)
フィルムの厚みはダイヤルマイクロゲージを使用して、フィルム50点の厚みを測定し、平均値をフィルム厚みとした。
(4)包装用フィルムの厚さ(μm)及び傷痕の深さ(μm)
製袋後に包装体の外耳片となる側の傷痕群部分のフィルムについて、ミクロトームで、断面の切片を作成し、光学顕微鏡にて150倍にして写真を撮影し、同倍率に拡大したスケールにて、包装用フィルムの全厚み(C)と不貫通の傷痕の深さ(厚み:B)とを、包装用フィルムの長尺方向に約5mm間隔で10点測定した。測定値の平均値を包装用フィルムの全厚さ(C)および傷痕の深さ(B)とした。
(5)包装体の外耳片の厚さ(μm)及び傷痕の深さ(μm)
包装体の外耳片の厚さと傷痕の深さは、ミクロトームでシール部の断面の切片を作成し、光学顕微鏡にて150倍にして写真を撮影し、同倍率に拡大したスケールにて、シール部近傍のフィルム外耳片の厚さと不貫通の傷痕(穴または切れ目)の深さとを、密封包装体の長軸方向に約5mm間隔で10点測定した。測定値の平均値をフィルム外耳片の厚さ(C’)および傷痕の深さ(B’)とした。
(6)穴または切れ目の長さ方向のフィルム長尺方向に対する角度(°)
予めフィルムの長尺方向をマーキングしたフィルムを光学顕微鏡で50倍に拡大し、穴または切れ目の最長径方向とフィルムマーキング間の角度を10点測定し、その平均を穴または切れ目の長さ方向のフィルム長尺方向に対する角度とした。
(7)包装体の剪断シール強度(N/cm)
レトルト処理後の包装体について、シール部をほぼ中央とするように、包装体長手方向(MD)に幅20mm、包装体長手方向(MD)と垂直な方向(TD)に70mm(チャック掴み代:30mm+30mm)のフィルムサンプルを切り出し、ORIENTEC社製万能引張試験機「TENSILON RTC−1210型」を使用して、チャック間距離10mm、引取速度200mm/分、測定温度23℃の条件で図2(iii)のFc部とFd部間のフィルム破断強度を測定した。10本の包装体について、同様に測定し、10本の測定値の平均をcm幅あたりに換算して包装体の剪断シール強度とした。
(8)包装体の剥離シール強度(N/cm)
レトルト処理後の包装体について、包装体長手方向(MD)に幅20mm、包装体の外耳片端部から包装体長手方向(MD)と垂直な方向(TD)に50mmのフィルムサンプルを切り出し、ORIENTEC社製万能引張試験機「TENSILON RTC−1210型」を使用して、チャック間距離10mm、引取速度200mm/分、測定温度23℃の条件で、図2(iii)の外耳片部6とFc部間のフィルム破断強度(T字型剥離法)を測定した。10本の包装体について、同様に測定し、10本の測定値の平均をcm幅あたりに換算して包装体の剥離シール強度とした。
(9)充填機適性
フィルム自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP(登録商標)」)を使用して包装し、充填の際にフィルム1500mあたりに発生したフィルムの破断、引っかかり、シールとび、充填時パンクなどのトラブルをカウントし、以下の基準に従って評価した。
(10)レトルトパンク率(%:加圧加熱殺菌後のシール部の破袋率)
自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP(登録商標)」を使用し、次のようにして密封包装体を作製した。まず、幅96mmのフィルムを筒状に製袋し、重ね合わせ部を17mm(外耳片幅10mm+内耳片幅7mm)に設定し、重ね合わせ部の外耳片端部から約10mmの部分にシール部の幅が0.5〜1.0mmになるよう加圧電極(正電極)をフィルムに押圧接触させながら高周波にて熱融着し、筒状フィルムに形成した。筒状フィルムの内部に魚肉ソーセージ用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップ(封止)し、240本/分の充填条件で、結紮間の長さを190mmに設定して10,000本の包装体を作製した。得られた10、000本の包装体について、(株)日阪製作所製高温高圧調理殺菌装置(熱水貯湯・回転式:130型)を使用して、加熱缶内ゲージ圧が0.20MPaの条件下で、120℃20分のレトルト処理を行い評価した。レトルト処理を行って得られた最終包装体において、シール部が破袋した本数を数えて、次式によりレトルトパンク率(破袋率)を算出し、以下の基準に従って評価した。
レトルトパンク率(%)=(破袋本数/10,000本)×100
(11)シール部の幅のばらつき(mm)
レトルト処理後の500本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体の長手方向の中央部(クリップ間の中間位置)のシール部の幅を、ノギスで測定(単位:mm、少数点第2位を四捨五入)した。測定した包装体500本(測定1回/1本)の最大値と最小値との差を、シール部のばらつき(mm)とし、以下の基準に従って評価した。
(12)シール部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)
レトルト処理後の50本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体のシール部の平均表面粗さ(中心面平均値=Sa)を、ミツトヨ社製表面粗さ測定機「サーフテストSV3000S4・3D」を使用して測定した。測定箇所は、包装体の長手方向の中央部(クリップ間の中間位置)とし、包装体の長手方向(シ−ル線方向)に触針を走査して測定した。この測定においては、先端半径2μmのダイヤモンド製触針を用い、測定速度(触針の移動速度)は1mm/秒、圧力は0.75mN、サンプリングピッチ(X方向)は10μm、プロファイルピッチ(Y方向)は10μm、測定面積(X方向×Y方向)は10mm×0.1mmとして、画像解析(評価曲面の設定は「粗さ曲線群」、フィルタの種類は「GAUSSIAN」、X方向低域カットオフ値は「4,000μm」とした)により、包装体50本(測定1回/1本)のシール部の平均表面粗さ(μm:中心面平均値=Sa)を求め、以下の基準に従って評価した。
(13)ピンホール発生率(%:シール部のピンホール発生率)
レトルト処理後の500本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体について、絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗の測定は、松下電器産業社製絶縁抵抗計「メガテスターBN−500UB(電圧:500V)」および、飽和食塩水を用いて、以下の手順で行った。まず、メガテスターのマイナス電極を飽和食塩水に浸漬した。その後、包装体の長手方向胴体中央部のシール線部の対面側に、メガテスターのプラス電極を、包装体を貫通させないようにして刺した。次に、プラス電極を刺したままの包装体を、シール線部を下にして水平に保持しながら、シール線部のみが浸漬するように、飽和食塩水の液面近くに浸漬させた。このときのメガテスターの抵抗値(ピンホールが存在すれば、絶縁抵抗が500KΩ未満となる)を測定し、500KΩ未満を計測した本数を数えて、次式によりピンホール発生率を算出し、以下の基準に従って評価した。
ピンホール発生率(%)=シール部ピンホールの発生本数/500本×100
(14)搬送・取り扱い適性(%:過酷処理後のシール部のピンホール発生率)
レトルト処理後の500本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体について、23℃50%RHの恒温室内で24時間保管後、ダンボールで内張りした1辺1mの六角形の断面の回転ドラムに入れ、100回転させて取り出し、上記(15)ピンホール発生率の評価方法で評価した。
ピンホール発生率(%)=シール部ピンホールの発生本数/500本×100
(15)開封成功率(%)
レトルト処理後の500本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体について、胴体中央部のフィルム外耳片を指で摘まんで、引っ張って開封し、開封できなかった本数を数えて、次式により開封成功率を算出し、以下の基準に従って評価した。
開封成功率(%)=100−(開封できなかった本数/500本)×100
(16)保存性
レトルト処理後の500本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体を、37℃、90%RHの温度湿度条件下で1ケ月間保存し、包装体の膨張の発生の有無を、目視により、以下の基準に従って評価した。
(17)傷痕群部分の充填内容物の変色
レトルト処理後の100本[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]の包装体を、37℃、90%RHの温度湿度条件下で1ケ月間保存し、ケーシングを剥ぎ取り、傷痕群が接触していた部分と傷痕がないところと接触していた部分の充填内容物の色(外観)の差を官能検査(パネラー:10名、検査本数:10本/名、包装体毎に目視で評価)し、以下の基準に従って評価した。
(18)開封力
レトルト処理後の包装体[層間剥離または破袋(パンク)が発生しなかったものから無作為にサンプリング]について、外耳片を摘まみ人力で開封することでどの程度の力で開封が可能かを官能検査(パネラー:10名、検査本数:10本/名、包装体毎に0点〜3点の官能検査点数で評価し、100本の包装体の平均値の小数点第1位を四捨五入して評価点とした)し、以下の基準に従って評価した。
(19)総合評価
上記の評価項目について以下の基準に従って総合評価した。
[実施例1]
実施例1で使用する塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを以下の手順で作製した。
塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体(塩化ビニリデン含有量/塩化ビニル含有量=91重量%/9重量%、重量平均分子量13.5万)100重量%に対し、可塑剤としてジブチルセバケートを3重量%、アセチルトリブチルシトレートを2.5重量%、熱安定剤としてエポキシ化大豆油を2重量%、梨地剤として平均粒径5μmの無定形の二酸化珪素0.1重量%、滑剤としてステアリン酸アミド0.1重量%を添加して混合した。
得られた混合物を溶融押出機で管状に押出し、約10℃の冷水槽で過冷却後、35℃の温水中に通し、延伸温度30℃(インフレーション前のパリソン表面温度)で、長手(MD)方向に3.0倍、幅(TD)方向に4.0倍のインフレーション2軸延伸(ダブルバブル法)を行い、得られた管状フィルムをピンチロールで折りたたみ、幅が約750mm、目標厚み40μmの平坦長尺状のダブルプライフィルム原反を複数本(1630m/本)作製した。
このダブルプライフィルム原反を30℃で7日間エージング後、ダブルプライフィルム原反の1本を使用して、原反両端部を耳トリムとして切り取りながら、幅が700mm、目標厚みが20μm、巻長が1600mの2本のシングルプライフィルムにして巻き取り、30℃で更に7日間エージングした。
この2本のシングルプライフィルムについて、フィルムの片側縁部より80mm、176mm、272mm、368mm、464mm、560mmの位置をそれぞれの中心とする5ヶ所に、図3(ii)と同様の、フィルム層を貫通する5列の穴(8個−7個−8個−7個−・・・の千鳥状に配置=8列×7列の千鳥状配置)を、フィルムの長手方向に線状に、穴の長さ方向がフィルムの長手方向と90°となるような角度で、傷痕(穴)付与加工を行った。図3(ii)に示す穴の長さ(a)は0.5mm、穴の幅(d)は0.05mm、フィルム幅方向間隔(b)は0.3mm、フィルム長手方向間隔(c)は0.5mmであった。
次いで、貫通した5列(5ケ所)の傷痕(穴)群を設けた2本の厚さ20μmのシングルプライフィルムを、それぞれのシングルプライフィルムでそれぞれの傷痕(穴)群を塞いで図1(ii)に示すように傷痕(穴)群が不貫通になるようにフィルム面を組み替えて、大日精化工業(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤セイカボンド(主剤:E−276、硬化剤:C−76)と混合有機溶剤(トルエン:酢酸エチル:イソプロパノール=80重量%:15重量%:5重量%、混合有機溶剤のSP値=8.9)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用してラミネート加工した。ラミネートの条件は、傷痕加工をした一方のシングルプライフィルムの片面に当該接着剤を塗布量が3.5g/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて塗工し、70℃で10秒間乾燥させて後、傷痕加工をしたもう一方のシングルプライフィルムと貼り合せて1枚のラミネートフィルムとした。得られたロール状のラミネートフィルムを40℃で4日間エージングした。次いでスリッターで、5行の96mm幅製品の全てが、96mm幅のフィルムの両側縁部近辺に、不貫通の傷痕群が配置(両側で2列)されるように、ラミネート原反の両端部(トリム屑)を取り除いてスリットして、幅96mm、厚さ40μm、長さ1500mの5巻の塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを得た。
このフィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)を使用し、次のようにして密封包装体を作製した。まず、シール当接面の両面に不貫通の傷痕群がくるようにセット(不貫通の傷痕群が図2(iii)のFa、Fbの位置にくるように)して、フィルムを筒状に製袋し、重ね合わせ部分を17mm(外耳片幅10mm+内耳片幅7mm)に設定し、重ね合わせ部分の中央部近辺に加圧電極(正電極)をあてて、フィルムに押圧接触させながら高周波にて熱融着し、筒状フィルムに成形した。筒状フィルムの内部に魚肉ソーセージ用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップ(封止)し、240本/分の充填条件で、結紮クリップ間の長さを190mmに設定して、実施例1の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例2]
1本のシングルプライフィルムには傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、フィルム内耳片側の当接面(シール面:Fb)に不貫通の傷痕群がくるようにセットする以外は実施例1と同様にして、実施例2の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例3]
実施例2で得た96mm幅の積層フィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、フィルム外耳片側の当接面(シール面:Fa)に不貫通の傷痕群がくるようにセットする以外は実施例1と同様にして、実施例3の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例4]
ラミネート加工時に、三井化学(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤タケラック/タケネート(主剤:A515、硬化剤:A50)と有機溶剤(酢酸エチル、SP値=8.6)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例4の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例5]
ラミネート加工時に、東洋モートン(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤アドコート(主剤:TM−250HV、硬化剤:CAT−RT86L−60)と混合有機溶剤(メチルエチルケトン:酢酸エチル:イソプロパノール=36重量%:36重量%:28重量%、混合有機溶剤のSP値=9.2)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例5の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例6]
ラミネート加工時に、接着剤の塗布量が、1.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は、実施例4と同様の方法で、実施例6の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例7]
ラミネート加工時に、接着剤の塗布量が、5.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は、実施例5と同様の方法で、実施例7の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例8]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を0.1mm、穴の幅(d)を0.005mm、穴の間隔(b)を0.1mm、穴の間隔(c)を0.1mmに変更して傷痕(穴)付与加工をしたことと、ラミネート加工時に、接着剤の塗布量が、1.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は実施例2と同様の方法で、実施例8の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表13に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例9]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を2.0mm、穴の幅(d)を0.5mm、穴の間隔(b)を1.5mm、穴の間隔(c)を2.0mm、穴の配置を3列×2列の千鳥状に変更して傷痕(穴)付与加工をしたと、ラミネート加工時に、接着剤の塗布量が、5.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は実施例2と同様の方法で、実施例9の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例10]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の間隔(b)を0.2mm、穴の間隔(c)を0.2mmに変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例8と同様の方法で、実施例10の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例11]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を1.5mm、穴の幅(d)を0.3mm、穴の間隔(b)を1.0mm、穴の間隔(c)を1.5mmに変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例9と同様の方法で、実施例11の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例12]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を0.2mm、穴の幅(d)を0.01mm、穴の間隔(b)を0.2mm、穴の間隔(c)を0.3mmに変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例2と同様の方法で、実施例12の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例13]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を1.0mm、穴の幅(d)を0.2mm、穴の間隔(b)を0.8mm、穴の間隔(c)を1.0mm、穴の配置を5列×4列の千鳥状に変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例2と同様の方法で、実施例13の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例14]
実施例1と同様にして、目標厚み22μmのダブルプライフィルム原反と目標厚み58μmのダブルプライフィルム原反とを作製し、それぞれを2枚のシングルプライフィルムに剥がすことで、それぞれ11μmのシングルプライフィルム2本と29μmのシングルプライフィルム2本を得た。厚さ11μmのシングルプライフィルムと厚さ29μmのシングルプライフィルムを使用し、厚さ29μmのシングルプライフィルムには傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様にして自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、実施例14の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例15]
実施例1と同様にして、目標厚み54μmのダブルプライフィルム原反と目標厚み26μmのダブルプライフィルム原反とを作製し、それぞれを2枚のシングルプライフィルムに剥がすことで、それぞれ27μmのシングルプライフィルム2本と13μmのシングルプライフィルム2本を得た。厚さ27μmのシングルプライフィルムと厚さ13μmのシングルプライフィルムを使用し、厚さ13μmのシングルプライフィルムには傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様にして自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、実施例15の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例16]
実施例1と同様にして、目標厚み26μmのダブルプライフィルム原反と目標厚み54μmのダブルプライフィルム原反とを作製し、それぞれを2枚のシングルプライフィルムに剥がすことで、それぞれ13μmのシングルプライフィルム2本と27μmのシングルプライフィルム2本を得た。厚さ13μmのシングルプライフィルムと厚さ27μmのシングルプライフィルムを使用し、厚さ27μmのシングルプライフィルムには傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様にして自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、実施例16の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表14に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例17]
実施例1と同様にして、目標厚み50μmのダブルプライフィルム原反と目標厚み30μmのダブルプライフィルム原反とを作製し、それぞれを2枚のシングルプライフィルムに剥がすことで、それぞれ25μmのシングルプライフィルム2本と15μmのシングルプライフィルム2本を得た。厚さ25μmのシングルプライフィルムと厚さ15μmのシングルプライフィルムを使用し、厚さ15μmのシングルプライフィルムには傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様にして自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、実施例17の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例18]
傷痕群の配列を、9列×8列としたこと以外は実施例2と同様の方法で、実施例18の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例19]
傷痕群について、穴の配置を5列×4列の千鳥状にし、穴の長さ方向がフィルムの長手方向と45°となるような角度に変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例1と同様の方法で、実施例19の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例20]
傷痕群について、穴の配置を4列×3列の千鳥状にし、穴の長さ方向がフィルムの長手方向と0°となるような角度に変更して傷痕(穴)付与加工をした以外は実施例1と同様の方法で、実施例20の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例21]
ラミネート加工時に、大日精化工業(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤セイカボンド(主剤:E−276、硬化剤:C−76)と混合有機溶剤(酢酸イソブチル:酢酸エチル=65重量%:35重量%、混合有機溶剤のSP値=8.3)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例21の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例22]
ラミネート加工時に、三井化学(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤タケラック/タケネート(主剤:A515、硬化剤:A50)と混合有機溶剤(メチルエチルケトン:イソプロパノール=58重量%:42重量%、混合有機溶剤のSP値=9.4)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例22の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例23]
ラミネート加工時に、東洋モートン(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤アドコート(主剤:TM−250HV、硬化剤:CAT−RT86L−60)と混合有機溶剤(酢酸エチル:ヘキサン=50重量%:50重量%、混合有機溶剤のSP値=7.9)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例23の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例24]
ラミネート加工時に、大日精化工業(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤セイカボンド(主剤:E−276、硬化剤:C−76)と混合有機溶剤(プロパノール:酢酸エチル=65重量%:35重量%、混合有機溶剤のSP値=9.8)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用した以外は実施例2と同様の方法で、実施例24の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表15に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例25]
ラミネート加工時に、三井化学(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤タケラック/タケネート(主剤:A515、硬化剤:A50)と混合有機溶剤(ヘキサン:酢酸エチル=60重量%:40重量%、混合有機溶剤のSP値=7.7)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用し、接着剤の塗布量が、1.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は実施例2と同様の方法で、実施例25の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例26]
ラミネート加工時に、東洋モートン(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤アドコート(主剤:TM−250HV、硬化剤:CAT−RT86L−60)と混合有機溶剤(プロパノール:酢酸エチル=75重量%:25重量%、混合有機溶剤のSP値=10.0)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用し、接着剤の塗布量が、5.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は実施例2と同様の方法で、実施例26の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例27]
自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で筒状に形成する際、フィルム内耳片側の非当接面(非シール面:Fc)に不貫通の傷痕群がくるような構成で積層すること以外は実施例14と同様に処理して96mm幅の積層フィルムを得た。この積層フィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、フィルム内耳片側の非当接面(非シール面:Fc)に不貫通の傷痕群がくるようにセットして、実施例27の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例28]
自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で筒状に形成する際、フィルム外耳片側の非当接面(非シール面:Fd)に不貫通の傷痕群がくるような構成で積層すること以外は実施例14と同様に処理して96mm幅の積層フィルムを得た。この積層フィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)で、フィルム外耳片側の非当接面(非シール面:Fd)に不貫通の傷痕群がくるようにセットして、実施例28の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例29]
傷痕(穴)付与加工前のシングルプライフィルムの片面に、グラビア印刷方式で大日精化工業(株)社製グラビアインキ(ラミックSR)を使用して、フィルム幅全面に5行の連続模様(黒、白、赤の3色)の印刷を施し、印刷面が2枚のシングルプライフィルムの層間になるように積層すること以外は実施例2と同様の方法で、実施例27の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[実施例30]
実施例28で使用する塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを以下の手順で作成した。塩化ビニリデン−アクリル酸メチル共重合体(塩化ビニリデン含有量/アクリル酸メチル含有量=94重量%/6重量%、重量平均分子量11.5万)100重量%に対し、可塑剤としてジブチルセバケートを4重量%、アセチルトリブチルシトレートを1重量%、熱安定剤としてエポキシ化大豆油を2重量%、梨地剤として平均粒径5μmの無定形の二酸化珪素0.1重量%、滑剤としてステアリン酸アミド0.1重量%を添加して混合した。
得られた混合物を溶融押出機で管状に押出し、約10℃の冷水槽で過冷却後、45℃の温水中に通し、延伸温度40℃(インフレーション前のパリソン表面温度)で、長手(MD)方向に3.5倍、幅(TD)方向に4.0倍のインフレーション2軸延伸(ダブルバブル法)を行い、得られた管状フィルムをピンチロールで折りたたみ、幅が約750mm、目標厚み40μmの平坦長尺状のダブルプライフィルム原反(1630m/本)を作製した。
このダブルプライフィルム原反を30℃で7日間エージング後、原反両端部を耳トリムとして切り取りながら、幅が700mm、目標厚みが22μm、巻長が1600mの2本のシングルプライフィルムにして巻き取り、30℃で更に7日間エージングした。この2本のシングルプライフィルムについて、フィルムの片側縁部より80mm、176mm、272mm、368mm、464mm、560mmの位置をそれぞれの中心とする5ヶ所に、図3(ii)と同様の、フィルム層を貫通する5列の穴(8個−7個−8個−7個−・・・の千鳥状に配置=8列×7列の千鳥状配置)を、フィルムの長手方向に線状に、穴の長さ方向がフィルムの長手方向と90°となるような角度で、傷痕(穴)付与加工を行った。図3(ii)に示す穴の長さ(a)は0.5mm、穴の幅(d)は0.05mm、フィルム幅方向間隔(b)は0.3mm、フィルム長手方向間隔(c)は0.5mmであった。
次いで、貫通した5列(5ケ所)の傷痕(穴)群を設けた2本の厚さ20μmのシングルプライフィルムを、それぞれのシングルプライフィルムでそれぞれの傷痕(穴)群を塞いで図1(ii)に示すように傷痕(穴)群が不貫通になるようにフィルム面を組み替えて、大日精化工業(株)社製2液硬化型ウレタン系接着剤セイカボンド(主剤:E−276、硬化剤:C−76)と混合有機溶剤(トルエン:酢酸エチル:イソプロパノール=80重量%:15重量%:5重量%、混合有機溶剤のSP値=8.9)とを、22重量%:3重量%:75重量%(主剤:硬化剤:混合有機溶剤)の比率で混合したものを使用してラミネート加工した。ラミネートの条件は、傷痕加工をした一方のシングルプライフィルムの片面に当該接着剤を塗布量が3.5g/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて塗工し、70℃で10秒間乾燥させて後、傷痕加工をしたもう一方のシングルプライフィルムと貼り合せて1枚のラミネートフィルムとした。得られたロール状のラミネートフィルムを40℃で4日間エージングした。次いでスリッターで、5行の96mm幅製品の全てが、96mm幅のフィルムの両側縁部近辺に、不貫通の傷痕群が配置(両側で2列)されるように、ラミネート原反の両端部(トリム屑)を取り除いてスリットして、幅96mm、厚さ40μm、長さ1500mの5巻の塩化ビニリデン系樹脂積層フィルムを得た。
このフィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)を使用し、次のようにして密封包装体を作製した。まず、シール当接面の両面に不貫通の傷痕群がくるようにセット(不貫通の傷痕群が図2(iii)のFa、Fbの位置にくるように)して、フィルムを筒状に製袋し、重ね合わせ部分を17mm(外耳片幅10mm+内耳片幅7mm)に設定し、重ね合わせ部分の中央部近辺に加圧電極(正電極)をあてて、フィルムに押圧接触させながら高周波にて熱融着し、筒状フィルムに成形した。筒状フィルムの内部に魚肉ソーセージ用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップ(封止)し、240本/分の充填条件で、結紮クリップ間の長さを190mmに設定して、実施例28の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表16に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例1]
実施例1のダブルプライフィルム原反を用い、実施例1と同様にして2本のシングルプライフィルムを作製した。2本のシングルプライフィルムの両方ともに、傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)製「ADP」)を使用し、フィルムを筒状に製袋し、重ね合わせ部分を17mm(外耳片幅10mm+内耳片幅7mm)に設定し、重ね合わせ部分の中央部近辺に加圧電極(正電極)をあてて、フィルムに押圧接触させながら高周波にて熱融着し、筒状フィルムに成形した。筒状フィルムの内部に魚肉ソーセージ用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップ(封止)し、240本/分の充填条件で、結紮クリップ間の長さを190mmに設定して、比較例1の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例2]
実施例1のダブルプライフィルム原反を用い、実施例1と同様にして2本のシングルプライフィルムを作製した。2本のシングルプライフィルムの両方ともに傷痕(穴)付与加工を実施しないこと以外は実施例2と同様にしてラミネート加工を施した。得られた積層フィルムに実施例2と同様の傷痕付与加工(積層フィルムを貫通する傷痕群を付与)を施し、実施例2と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様の方法で、比較例5の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例3]
実施例2で傷痕(穴)付与加工したものと同等のシングルプライフィルムを用い、傷痕(穴)付与加工していないシングルプライフィルムと加熱加圧密着処理を行って、広幅の積層フィルムを得た。この時の処理条件は温度40℃、加圧胴圧力4kgf/cmであった。得られた広幅の積層フィルムを実施例2と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様の方法で、比較例7の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例4]
実施例2で傷痕(穴)付与加工したものと同等のシングルプライフィルムを用い、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)社製アドマー QF580)を接着層として使用し、傷痕(穴)付与加工を行っていないシングルプライフィルムと押出ラミネートを行った。この時の酸変性ポリプロピレン樹脂の押出温度は290℃で、ラミネート後の酸変性ポリプロピレン樹脂層の厚みは5μmであった。得られた広幅の積層フィルムを実施例2と同様に処理して96mm幅の積層フィルム5巻を得た。この積層フィルムを用いて、実施例2と同様の方法で、比較例8の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例5]
実施例2と同等のシングルプライフィルムを用い、傷痕(穴)付与加工前の2本のシングルプライフィルムの片面に、それぞれに濡れ指数が44dyn/cmとなるようにコロナ処理を行った。その後、実施例2と同様に傷痕(穴)付与加工を行い、それぞれのコロナ処理面が向かい合うようにして積層すること以外は実施例2と同様の方法で、比較例9の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例6]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を2.5mm、穴の幅(d)を1.0mm、穴の間隔(b)を0.05mm、穴の間隔(c)を0.05mm、穴の配置を3列×2列の千鳥状に変更して傷痕(穴)付与加工をしたことと、ラミネート加工時の接着剤の塗布量を、0.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は、実施例25と同様の方法で、比較例10の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
[比較例7]
傷痕群について、図3(ii)に示す穴の長さ(a)を0.05mm、穴の幅(d)を0.05mm、穴の間隔(b)を0.05mm、穴の間隔(c)を0.05mmに変更して傷痕(穴)付与加工をしたことと、ラミネート加工時の接着剤の塗布量を、6.5/m(乾燥状態)となるようにグラビアロール(格子型セル)にて調整して塗工したこと以外は実施例26と同様の方法で、比較例11の筒状密封包装体(魚肉ソーセージ包装体)を得た。表17に各種性能評価の評価結果を示す。
表18に上記実施例及び比較例において使用した希釈溶剤(表13〜表17中の「*1〜9」)を示す。
本発明の塩化ビニリデン系樹脂積層フィルム、およびこれを用いた易開封性筒状密封包装体は、消費者の使用時の易開封性を大幅に改善させるとともに、包装体の破袋やピンホールも抑制でき、また、製品の長期保存性にも優れる。さらに、製品の湾曲も少ないため見栄えがよく、食品その他の各種包装用途において、広く有効に利用可能である。特に、レトルト処理等の高温加圧殺菌処理が必要とされる用途において、有効に利用可能である。
1…内容物、2…筒状フィルム、3…シール部、4α、4β…塩化ビニリデン系フィルム(塩化ビニリデン系樹脂層)、5γ…接着性樹脂層、6…フィルム外耳片、7…フィルム内耳片、8…傷痕群、8a…不貫通の穴または切れ目、9…封止部材(封止する構造)、10…密封包装体、100…包装用フィルム、A…シール部幅、B…傷痕の深さ(厚さ)、C…フィルムの厚さ、D…樹脂溜まり。

Claims (8)

  1. 塩化ビニリデン系樹脂フィルム、接着剤層及び塩化ビニリデン系樹脂フィルムがこの順序で積層されている、少なくとも3層の積層フィルムであって、
    少なくとも一方の前記塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、当該樹脂フィルムの長尺方向に、複数の貫通の穴または切れ目が一列に並ぶように形成されてなる傷痕群を複数列有し、
    もう一方の前記塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、前記傷痕群を塞ぐように積層されており、当該積層フィルムにおいて前記傷痕群は不貫通となっており、
    当該積層フィルムの傷痕群部分の引裂強度が0.2mN/μm以上5mN/μm以下であり、且つ、傷痕群部分の層間接着強度が0.05N/cm以上4N/cm以下であることを特徴とする包装用積層フィルム。
  2. 傷痕群部分の引裂強度が0.5mN/μm以上4mN/μm以下であり、且つ、傷痕群部分の層間接着強度が0.1N/cm以上3N/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の包装用積層フィルム。
  3. 前記不貫通の穴または切れ目の深さは、当該積層フィルム全体の厚みの25%以上65%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装用積層フィルム。
  4. 前記接着剤層は希釈溶剤として有機溶剤を含有し、当該有機溶剤のSP値(δ)と塩化ビニリデン系樹脂のSP値(δPVDC)との差(δPVDC−δ)が以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装用積層フィルム。
    2.4(cal/cm1/2≦(δPVDC−δ)≦4.3(cal/cm1/2
  5. 少なくとも一方の塩化ビニリデン系樹脂フィルムは、少なくとも片面に印刷が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装用積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層フィルムの両側縁部を重ね合わせ、この重ね合わせ部分を長尺方向にわたり所定の幅で熱融着してシール部を形成してなる筒状積層フィルムと、
    内容物が充填された前記筒状積層フィルムの両端部を封止する封止部材と、
    前記積層フィルムの一方の側縁部であって前記筒状積層フィルムの外側に帯状にはみ出した積層フィルム外耳片と、
    を備え、
    前記重ね合わせ部分の2つの当接面の少なくとも一方に前記傷痕群部分が形成されていることを特徴とする易開封性筒状密封包装体。
  7. 前記シール部は、剪断シール強度が10N/cm以上40N/cm以下であり、剥離シール強度が2N/cm以上25N/cm以下であることを特徴とする請求項6に記載の易開封性筒状密封包装体。
  8. 前記シール部は、剪断シール強度が10N/cm以上30N/cm以下であり、剥離シール強度が2N/cm以上15N/cm以下であることを特徴とする請求項6に記載の易開封性筒状密封包装体。
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