JP6212227B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、感光性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
本発明は耐熱性に優れる多官能エポキシ樹脂、該エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、感光性樹脂組成物及びその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。
エポキシ樹脂としては常温で液状のものや軟化点50〜100℃程度のものが一般的に用いられている。近年前記分野のエポキシ樹脂やその硬化物においては、高純度化を始め耐熱性、耐湿性、密着性、低誘電性、速硬化性、難燃性、高靭性等、諸特性の一層の向上が求められている。中でも電気・電子産業、自動車、宇宙航空分野等の利用分野の高度化により、より一層の耐熱性、耐湿性、高靭性が強く要請されている。
さらにエポキシ樹脂を使用する上での問題点として、その貯蔵安定性が挙げられる。すなわち、エポキシ樹脂の使用方法としては硬化剤等と別々に保管しておき、使用時に混合する二液型と、はじめから硬化剤などと混合した状態で保管する一液型がある。一液型のほうが作業性の面では有利であるが、貯蔵時にエポキシ樹脂と硬化剤が徐々に反応してしまい、液状組成物の場合は粘度が、固形組成物の場合は流動性などが変化してしまうといった問題が指摘されている。
また近年その硬化条件の簡便さ、作業性から感光性樹脂組成物が多く使用されるようになっている。しかしながら単純に光で硬化させるだけではその耐湿性、耐熱性の低さから電気・電子材料に求められる高度な信頼性を達成できないので、近年特に光・熱硬化性樹脂が注目されている。例えばソルダーレジストや穴埋めインキ、オーバーコート、各種接着剤等の分野においてはその成分にエポキシ樹脂を添加し、光で一次硬化させた後、さらに加熱して二次硬化させることを特徴とするエポキシ樹脂組成物が使用されてきている。このような分野においては二次硬化までのエポキシ樹脂の保存安定性が重要となる。このようなことからも結晶性エポキシ樹脂が注目されている。
このようなエポキシ樹脂として結晶性4官能エポキシ樹脂、例えば1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンをグリシジル化したエポキシ樹脂が報告されている(特許文献1)。このエポキシ樹脂は180℃近い融点を有し、これを含有するエポキシ樹脂組成物は、80℃で長時間放置しても経時変化がほとんどなく、貯蔵安定性に優れ、その硬化物の耐熱性が高いことが報告されている(特許文献2)。しかしながら本化合物は純度が高く、そのエポキシ樹脂組成物を硬化する際、他成分(例えば硬化剤)との相溶性が低いため、結晶が完全に相溶するまでに硬化が始まり、均質な硬化物を作ることが難しく、例えば耐衝撃性や、耐湿性において問題が残る。また、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンをグリシジル化したエポキシ樹脂の製法として、特許文献2にはグリシジル化反応において、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンとエピハロヒドリンを反応させた後、系内に水を加え、共沸によりエピハロヒドリンを除去し、水中に目的とするエポキシ樹脂の結晶を析出させる方法が記載されている。しかしながら、この方法では共沸の際に、エポキシ樹脂が一部開環して、水やエピハロヒドリン由来の不純物が樹脂中に残存する場合がある。このため、樹脂に残存する全塩素量が高くなるという問題点がある。
また、特許文献3にはこのエポキシ樹脂の製法として、グリシジル化反応において、エピハロヒドリンより沸点が30℃以上高い溶媒を使用して、簡便な方法で結晶を析出させる方法が記載されている。しかしながら、この方法は高沸点溶剤が結晶系に取り込まれ、乾燥を行った後も結晶内に残存するということから悪影響を及ぼす場合がある。さらに特許文献4においてはグリシジル化反応において、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンとエピハロヒドリンを反応させた後、その反応液から有機溶剤を加熱減圧下留去し、得られた残渣に任意の有機溶剤を組合せ、晶析を行うという手法を用いているが溶剤留去の際、その生成物の融点が非常に高いため、釜内で結晶化する危険性を有するため工業的に不利であり、収率も悪い。
本発明は、その硬化物において高い耐熱性を有するエポキシ樹脂であり、従来の高耐熱性エポキシ樹脂に比べ、耐衝撃性や、耐湿性が改善されたエポキシ樹脂を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンを95面積%以上含有するフェノール化合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で4核体の含有割合が50〜90面積%、8核体の含有割合が5面積%以上であり、かつ、全塩素量が5000ppm以下であることを特徴とするエポキシ樹脂、
(2)高速液体クロマトグラフィーによる測定で下記式(1)
(1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンを95面積%以上含有するフェノール化合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂であって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で4核体の含有割合が50〜90面積%、8核体の含有割合が5面積%以上であり、かつ、全塩素量が5000ppm以下であることを特徴とするエポキシ樹脂、
(2)高速液体クロマトグラフィーによる測定で下記式(1)
本発明のエポキシ樹脂は、従来のグリオキサールとフェノールの縮合物であるフェノール樹脂をグリシジル化して得られる高耐熱性のエポキシ樹脂と比較し、その硬化物におけるもろさ及び耐水性の改善されたエポキシ樹脂である。さらに本発明のエポキシ樹脂は結晶状であり、本発明のエポキシ樹脂を熱硬化性のエポキシ樹脂組成物、あるいは感光性樹脂組成物(光・熱硬化性樹脂組成物)に分散させることで熱安定性に優れた樹脂組成物を得ることができる。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物または感光性樹脂組成物は電気・電子材料、成型材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジスト、光学材料などの広範囲の用途にきわめて有用である。
本発明は、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定で、95面積%以上含有するフェノール化合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂であって、4核体が50〜90面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で、かつ8核体を5面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)以上含有することを特徴とするエポキシ樹脂に関するものである。ここで4核体とは、ベンゼン核を4つ有する化合物を指し、例えば式(1)
に示されるような化合物や式(1)の化合物のグリシジル基の一部が水によって開環されたような化合物等が挙げられる。また、8核体とは、ベンゼン核を8つ有する化合物を指し、例えば後述するように式(1)の化合物の二量体である式(2)の化合物等が挙げられる。
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンを95面積%以上含有するフェノール化合物は、例えばグリオキサールとフェノールを酸性条件下で反応させた後、再結晶によって得ることができ、具体的には、特許第2897850号公報や特許第3381819号公報に示される合成方法を採用することができる。
前記フェノール化合物をグリシジル化する方法としては公知の方法が採用できる。例えば、前記フェノール化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の共存下で反応させる。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応において、アルカリ金属水酸化物は、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下または常圧下で連続的に水及びエピハロヒドリンを流出させ、更に分液し、水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は用いるフェノール化合物の水酸基1当量に対して通常0.9〜2.5モルであり、好ましくは0.95〜2.0モルである。特に理論当量以上のアルカリ金属の使用が好ましく、1.0〜2.0の範囲内での使用が最も好ましい。
本反応には反応を簡便に進行させるため、必要に応じて4級アンモニウム塩を触媒として添加してもよい。用いることのできる4級アンモニウム塩としてはテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の使用量としては前記フェノール化合物の水酸基1当量に対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
エピハロヒドリンの使用量は前記フェノール化合物の水酸基1モルに対し通常0.8〜12モル、好ましくは0.9〜11モル、特に好ましくは3.5〜8.5モルである。エピハロヒドリンとしては工業的にはエピクロロヒドリン誘導体が使用しやすい。この際、フェノール化合物の溶解性を高めるためにメタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類を添加して反応を行うことが好ましい。
アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンに対し通常2〜30重量%、好ましくは4〜20重量%である。
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間である。
これらのグリシジル化反応の反応液を水洗によって精製し、エポキシ樹脂のエピハロヒドリン溶液を得ることができる。
例えば特許文献1に記載のように前記エピハロヒドリン溶液から、エピハロヒドリンを留去し、他の溶剤を加え、再結晶をすることで精製された1,1,2,2−テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン(4核体)を得ている。このようにして得られたエポキシ樹脂は4官能体濃度が高すぎるため、エポキシ樹脂組成物を調製した場合、他の樹脂成分との相溶性が悪く、硬化物の耐衝撃性等の物性に悪影響を及ぼしていた。本発明においては前記グリシジル化反応の際に同時に得られる8核体、具体的には例えば下記式(2)
前記エピハロヒドリン溶液から、本発明のエポキシ樹脂を取り出す方法としては種々の方法が挙げられるが、具体的には以下に示すような方法が挙げられる。
<工程1>
加熱減圧下、過剰なエピハロヒドリン等を一部回収する。
エピハロヒドリン等の回収量としては樹脂濃度で40〜90重量%となる量が好ましく、50〜80重量%となる量が特に好ましい。この際の、加熱温度は通常40〜140℃、好ましくは50〜110℃である。
加熱減圧下、過剰なエピハロヒドリン等を一部回収する。
エピハロヒドリン等の回収量としては樹脂濃度で40〜90重量%となる量が好ましく、50〜80重量%となる量が特に好ましい。この際の、加熱温度は通常40〜140℃、好ましくは50〜110℃である。
<工程2>
水溶性溶剤を加え、水溶性の溶液、あるいは懸濁溶液とする。
水溶性溶剤としてはジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、ジグライム、トリグライム等の非プロトン性極性溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等、が挙げられる。しかしながら使用するエピハロヒドリンよりも沸点が30℃以上高い溶剤は、製品化したエポキシ樹脂粉末中に有機溶剤を取り込み易く、充分乾燥しても除去することができないばかりか、加熱時の着色等を誘引する原因となり悪影響を及ぼす可能性があることから好ましくない。したがってここで用いられる好ましい水溶性溶剤としては、アセトン、乳酸エチル等のケトン系、エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。本工程では前記に示した水溶性溶剤を必須成分とするが、この際、他の溶剤についても併用が可能であり、併用可能な溶剤としては酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の有機溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤が挙げられる。これら溶剤の使用量としてはエポキシ樹脂の理論収量に対し、通常20〜500重量%、好ましくは50〜300重量%である。
水溶性溶剤を加え、水溶性の溶液、あるいは懸濁溶液とする。
水溶性溶剤としてはジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン、ジグライム、トリグライム等の非プロトン性極性溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等、が挙げられる。しかしながら使用するエピハロヒドリンよりも沸点が30℃以上高い溶剤は、製品化したエポキシ樹脂粉末中に有機溶剤を取り込み易く、充分乾燥しても除去することができないばかりか、加熱時の着色等を誘引する原因となり悪影響を及ぼす可能性があることから好ましくない。したがってここで用いられる好ましい水溶性溶剤としては、アセトン、乳酸エチル等のケトン系、エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。本工程では前記に示した水溶性溶剤を必須成分とするが、この際、他の溶剤についても併用が可能であり、併用可能な溶剤としては酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系の有機溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤が挙げられる。これら溶剤の使用量としてはエポキシ樹脂の理論収量に対し、通常20〜500重量%、好ましくは50〜300重量%である。
<工程3>
水を加え、結晶を十分析出させる。
ここで使用する水はどのような水でも問題はないが、水道水は塩素イオンを添加することになりかねない為、イオン交換水を使用することが望ましい。また使用する水の温度は、通常0〜70℃、好ましくは15〜50℃である。あまりに高温の水は分散した結晶の融着を招きかねないので注意が必要である。水の使用量としてはエポキシ樹脂の理論収量に対し、通常20〜500重量%、好ましくは50〜300重量%である。このようにして本発明のエポキシ樹脂を結晶粉末として取り出すことができる。
水を加え、結晶を十分析出させる。
ここで使用する水はどのような水でも問題はないが、水道水は塩素イオンを添加することになりかねない為、イオン交換水を使用することが望ましい。また使用する水の温度は、通常0〜70℃、好ましくは15〜50℃である。あまりに高温の水は分散した結晶の融着を招きかねないので注意が必要である。水の使用量としてはエポキシ樹脂の理論収量に対し、通常20〜500重量%、好ましくは50〜300重量%である。このようにして本発明のエポキシ樹脂を結晶粉末として取り出すことができる。
このようにして得られる結晶状エポキシ樹脂は4核体を50〜90面積%(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値)含有し、特に前記式(1)に示される骨格を有するエポキシ化合物を50〜75面積%(高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による測定値)含有する。(以下、核体数で表された化合物の含有割合はGPCによる測定値で、構造式を特定して表された化合物の含有割合はHPLCによる測定値で、それぞれ表示する。)
それ以外の成分としては前記フェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応時にできる化合物であって、例えば、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンの一部がエピハロヒドリンで結合した化合物であり、前記式(2)で表されるエポキシ化合物を代表とする8核体が、5面積%以上含有される。
それ以外の成分としては前記フェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応時にできる化合物であって、例えば、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンの一部がエピハロヒドリンで結合した化合物であり、前記式(2)で表されるエポキシ化合物を代表とする8核体が、5面積%以上含有される。
8核体の含有量が機械物性、相溶性の向上に繋がるが、含有量が多すぎる場合、例えば、35面積%を超える場合、エポキシ樹脂の結晶性が悪化し、結晶の取り出しが困難になる場合がある。したがって、8核体の含有量は、5〜35面積%が好ましく、7〜25面積%が更に好ましく、9〜16面積%が特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、全塩素量が低いこともその特徴の一つとする。特許文献2の製法では、前記したように全塩素量が多く5000ppmを越え、多い場合は10000ppmを超える。これに対し、本発明のエポキシ樹脂は、その製法が比較的穏和であるため、エポキシ基の開環等が少なく、不純物の樹脂への取り込みも少ない。本発明のエポキシ樹脂中の全塩素量は5000ppm以下、好ましい条件下で得られたものは4000ppm以下となり、電子部品に使用する場合に特に好適である。特に全塩素量が多い場合、熱、電気的に厳しい条件下においては変色する場合があり、特にソルダーレジスト用途へ使用する場合、光沢、色味といった外観が重要な点となることから全塩素量が少ないことが望ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、必要に応じて他のエポキシ樹脂と共に、硬化剤を含む熱硬化性のエポキシ樹脂組成物として、使用することができる。該エポキシ樹脂組成物からは耐熱性のある硬化物を得ることが出来、後記する種々の用途に使用することが出来る。また、本発明のエポキシ樹脂は、光重合開始剤及びエチレン性不飽和基を有する化合物と共に用いられて、感光性樹脂組成物とすることも出来る。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂は単独で、または他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、各エポキシ樹脂の混合比は意に変える事が可能である。例えば本発明のエポキシ樹脂100重量部に対して、他のエポキシ樹脂0〜500重量部程度、通常は0〜300重量部程度の範囲で変えることが出来る。併用する場合の1例としては本発明のエポキシ樹脂100重量部に対して、他のエポキシ樹脂10〜200重量部程度、好ましくは20〜150重量部程度、より好ましくは30〜120重量部程度の範囲で使用する組み合わせが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中における本発明のエポキシ樹脂の割合は幅広く変えることが可能であり、例えば組成物全量を100重量%として1〜98重量%、好ましくは3〜95重量%程度、より好ましくは5〜90重量%程度の範囲で変更でき、残部が硬化剤及びその他必要に応じて添加される添加物、例えばその他のエポキシ樹脂、溶媒及びその他の添加剤等である。
本発明のエポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などがあり、例えば下記(a)〜(e)の硬化剤が挙げられる。
(a)アミン系化合物としては例えばジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等、
(b)酸無水物系化合物としては例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等、
(c)アミド系化合物としては例えばジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
(d)フェノール系化合物としては例えば、
(i)多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等)、
(ii)フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とアルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール等)、若しくはケトン類(p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等のジエン類等との縮合により得られるフェノール樹脂、
(iii)上記フェノール類と置換ビフェニル類(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂、
(iv)上記フェノール類及び/又は上記フェノール樹脂の変性物、
(v)テトラブロモビスフェノールA、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類、
(e)その他イミダゾール類、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体、
これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(a)アミン系化合物としては例えばジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン等、
(b)酸無水物系化合物としては例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等、
(c)アミド系化合物としては例えばジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
(d)フェノール系化合物としては例えば、
(i)多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等)、
(ii)フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とアルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール等)、若しくはケトン類(p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等のジエン類等との縮合により得られるフェノール樹脂、
(iii)上記フェノール類と置換ビフェニル類(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂、
(iv)上記フェノール類及び/又は上記フェノール樹脂の変性物、
(v)テトラブロモビスフェノールA、臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類、
(e)その他イミダゾール類、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体、
これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜2.0当量が好ましく、0.6〜1.5当量が特に好ましい。
また本発明のエポキシ樹脂組成物には硬化促進剤を含有させることもできる。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤を使用する場合の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填材としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
これら無機充填剤は、特に半導体封止材用のエポキシ樹脂組成物を得る場合、硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの面から、エポキシ樹脂組成物中で80〜93%を占める割合で使用するのが好ましい。この場合、残部は本発明のエポキシ樹脂、硬化剤及びその他の必要に応じて添加される添加剤であり、添加剤としてはその他のエポキシ樹脂及び、硬化促進剤等である。本発明のエポキシ樹脂は通常1〜19重量%、好ましくは2〜18重量%程度、更に好ましくは3〜18重量%程度である。残部1〜9重量%、好ましくは2〜7重量%が硬化剤及び必要に応じて添加されるその他の添加剤である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られ、好ましい用途は半導体封止用である。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、本発明のエポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明のエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更にその融点以上で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることが出来る。また、基板用途では通常20分〜1.5時間、好ましくは45分〜1時間程度で硬化させる方法も選択できる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は溶剤を含むワニスとすることもできる。このワニスは、本発明のエポキシ樹脂、硬化剤及び必要に応じてその他の添加剤を含む組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤に溶解もしくは均一に分散させることにより得ることが出来る。溶剤の量はワニス全体に対し通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。本発明のエポキシ樹脂はワニス中に10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%程度であり、残部が硬化剤及び必要に応じてその他の添加剤である。本発明のワニスは、本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、必要に応じてその他の添加剤及び溶剤を含む溶液に、更に無機充填剤を加えて、無機充填剤を含むワニスとしてもよい。上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥することによりプリプレグを得ることが出来る。該プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることも出来る。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい用途として半導体装置の封止材が挙げられる。半導体装置としては、例えばDIP(デュアルインラインパッケージ)、QFP(クワッドフラットパッケージ)、BGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージ)、SOP(スモールアウトラインパッケージ)、TSOP(シンスモールアウトラインパッケージ)、TQFP(シンクワッドフラットパッケージ)等が挙げられる。また本発明のエポキシ樹脂は着色が少なく、光透過性にすぐれるため、光半導体封止装置へも利用が可能である。本光半導体分野においては特に発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、CCD(荷電結合素子)、UV−EPROMなどのEPROM等の光半導体素子(半導体チップ)の封止に好適に使用できる。
次に本発明のエポキシ樹脂を含有する光硬化性(または光・熱硬化性)の樹脂組成物(感光性樹脂組成物)につき説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、本発明の感光性樹脂組成物における信頼性を向上させるための硬化剤として使用することができる。
該本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも本発明のエポキシ樹脂とエチレン性不飽和基を有する化合物を含有するものであり、熱変性等が少なく、ソルダーレジスト等として有用である。好ましい感光性樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂、光重合開始剤及びエチレン性不飽和基を有する化合物を含有するものであり、更に好ましくは、本発明のエポキシ樹脂、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基を有する架橋剤(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物である。該感光性樹脂組成物は前記アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C)及び本発明のエポキシ樹脂を常法により均一に混合することにより得ることが出来る。該感光性樹脂組成物は必要に応じて前記の無機充填剤等を含有していてもよい。また、好ましい態様においては、硬化促進剤を含むものである。
好ましい感光性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂、光重合開始剤及びエチレン性不飽和基を有する化合物を含むものである。この場合の各成分の含有量は、該3者の合計に対して、本発明のエポキシ樹脂が20〜80重量%、光重合開始剤が10〜70重量%、エチレン性不飽和基を有する化合物が10〜70重量%である。
より好ましい感光性樹脂組成物は本発明のエポキシ樹脂、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、エチレン性不飽和基を有する架橋剤(B)、及び光重合開始剤(C)を含有する感光性樹脂組成物である。この場合、これら4者のそれぞれの含有割合は、これら4者の合計に対して、本発明のエポキシ樹脂を5〜60重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)を35〜80重量%、好ましくは40〜75重量%、架橋剤(B)を3〜30重量%、好ましくは5〜20重量%、光重合開始剤を2〜30重量%、好ましくは4〜15重量%の範囲内で、4者の合計が100重量%になるようにそれぞれを含有する。該組成物は更に無機充填剤、溶剤等を含んでいてもよい。
更に好ましい感光性樹脂組成物は上記4者に加えて、硬化促進剤を含有する。この場合、硬化促進剤は上記4者の合計を100重量%として、通常0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
熱硬化性樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂の含有量は組成物全量に対して通常1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%である。
以下に、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
感光性樹脂組成物に使用される本発明のエポキシ樹脂は融点が140〜170℃のものが好ましい。
光重合開始剤については、後記の光重合開始剤(C)の項で説明する。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましい。これらの化合物は特開2004−155916等に、アルカリ水溶液可溶性樹脂、架橋剤として開示され、公知のものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」の語はアクリル又はメタアクリルを意味するものとする。
以下に、感光性樹脂組成物の好ましい態様に含まれる前記成分(A)〜(C)のそれぞれにつき具体的に説明する。
アルカリ水溶液可溶性樹脂(A);
アルカリ水溶液で溶解除去可能な樹脂であれば特に限定なく使用することが出来、従来公知のアルカリ水溶液可溶性樹脂は何れも使用できる。例えば分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる反応生成物(カルボキシル基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂)等であり、例えば、特開2003−21898等に詳しく記載されている。具体的にはKAYARAD CCR−1159H、KAYARAD PCR−1169H、KAYARAD TCR−1310H、KAYARAD ZFR−1401H、KAYARAD ZAR−1395H(いずれも日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
アルカリ水溶液で溶解除去可能な樹脂であれば特に限定なく使用することが出来、従来公知のアルカリ水溶液可溶性樹脂は何れも使用できる。例えば分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸化合物(b)とを反応させて得られるエポキシカルボキシレート化合物に、多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる反応生成物(カルボキシル基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂)等であり、例えば、特開2003−21898等に詳しく記載されている。具体的にはKAYARAD CCR−1159H、KAYARAD PCR−1169H、KAYARAD TCR−1310H、KAYARAD ZFR−1401H、KAYARAD ZAR−1395H(いずれも日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
架橋剤(B);
従来公知のエチレン性不飽和基を有する化合物からなる架橋剤は何れも使用できる。通常エチレン性不飽和基を有する多官能性化合物が好ましく、前記(メタ)アクリル基及び他の官能基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。具体的にはKAYARAD HX−220、KAYARAD HX−620、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPCA−60(いずれも日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
従来公知のエチレン性不飽和基を有する化合物からなる架橋剤は何れも使用できる。通常エチレン性不飽和基を有する多官能性化合物が好ましく、前記(メタ)アクリル基及び他の官能基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。具体的にはKAYARAD HX−220、KAYARAD HX−620、KAYARAD DPHA、KAYARAD DPCA−60(いずれも日本化薬株式会社製)等が挙げられる。
光重合開始剤(C);
従来公知の光重合開始剤は何れも使用できる。例えばベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキサイド類等が挙げられ、具体的にはKAYACURE DETX−S(日本化薬株式会社製)、イルガキュア 907(チバスペシャリティーケミカル)等が挙げられる。
従来公知の光重合開始剤は何れも使用できる。例えばベンゾイン類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキサイド類等が挙げられ、具体的にはKAYACURE DETX−S(日本化薬株式会社製)、イルガキュア 907(チバスペシャリティーケミカル)等が挙げられる。
さらに必要に応じて各種の添加剤、例えば、タルク、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、シリカ、クレーなどの充填剤、好ましくは無機充填剤、アエロジルなどのチキソトロピー付与剤;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタンなどの着色剤、シリコーン、フッ素系のレベリング剤や消泡剤;ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどの重合禁止剤などを組成物の諸性能を高める目的で添加することが出来る。
充填剤の使用量は、前記4者(本発明のエポキシ樹脂、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C))を含むより好ましい感光性樹脂組成物において、これら4者の合計に対して、0〜100重量%、好ましくは0〜60重量%程度である。
本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて溶剤を含有してもよい。使用可能な溶剤としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤、などが挙げられるが、これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
溶剤の使用量は、前記4者(本発明のエポキシ樹脂、アルカリ水溶液可溶性樹脂(A)、架橋剤(B)、光重合開始剤(C))を含むより好ましい感光性樹脂組成物において、これら4者の合計に対して、0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%程度である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、電子部品の層間の絶縁材、光部品間を接続する光導波路やプリント基板用のソルダーレジスト、カバーレイ等のレジスト材料として有用である他、カラーフィルター、印刷インキ、封止剤、塗料、コーティング剤、接着剤等としても使用できる。
本発明の感光性樹脂組成物は、紫外線等のエネルギー線照射により及び加熱操作により硬化させることができる。紫外線等のエネルギー線照射による硬化は常法により行うことができる。例えば紫外線を照射する場合、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、紫外線発光レーザー(エキシマーレーザー等)等の紫外線発生装置を用いればよい。その後、必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で加熱処理をすることで本発明の硬化物を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物の硬化物は、例えばレジスト膜、ビルドアップ工法用の層間絶縁材や光導波路としてプリント配線板に利用されたり、特に優れた光学的な性質のため光電子基板や光基板のような電気・電子・光基材に利用されたりする。これらを使用した具体的な物品としては、例えば、コンピューター、家電製品、携帯機器等が挙げられる。
具体的には、例えば感光性樹脂組成物を使用してプリント配線板を製造する場合は、まず、プリント配線用基板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により0.5〜160μmの膜厚で本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、塗膜を通常50〜110℃、好ましくは60〜100℃で乾燥させることにより、塗膜を形成させる。その後、ネガフィルム等の露光パターンを形成したフォトマスクを通して塗膜に直接または間接に紫外線等の高エネルギー線を通常10〜2000mJ/cm2程度の強さで照射し、未露光部分を後述する現像液を用いて、例えばスプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等により現像する。その後、必要に応じてさらに紫外線を照射し、次いで通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃で加熱処理をすることにより、金メッキ性に優れ、耐熱性、耐溶剤性、耐酸性、密着性、屈曲性等の諸特性を満足する永久保護膜を有するプリント配線板が得られる。
上記、現像に使用される、アルカリ水溶液としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等の無機アルカリ水溶液やテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ水溶液が使用できる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。以下において特に断りのない限り「部」は重量部であり、「%」は重量%である。なお、樹脂の物性は以下の条件で測定した。
・軟化点
JIS K−7234に記載された方法で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eqである。
・融点:DSC法(外挿点を融点とする)
Seiko Instruments Inc.製 EXSTAR6000、測定試料 2mg〜5mg、 昇温速度 10℃/min.。
・ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(測定結果データは面積%(G)で示す)
カラム:Shodex SYSTEM−21カラム KF−804L+KF−803L(×2本)、40℃、連結溶離液:テトラヒドロフラン、
FlowRate:1ml/min.、Detection:UV254nm、
検量線:Shodex製標準ポリスチレン使用。
・高速液体クロマトグラフィー(測定結果データは面積%(H)で示す)
カラム:Intersil ODS−2,5μm,2.1×250mm 40℃、MobilPhaseA:アセトニトリル(AN)、MobilPhaseB:水(W)、
TimeProgram:
0−20min.AN/W=50%/50%→90%/10%
20−40min.AN/W=90%/10%
FlowRate:0.2mL/min.、Detection:UV 254nm、TOF MS
・全塩素量
試料のブチルカルビトール溶液に1N−KOHプロピレングリコール溶液を添加し、10分間還流することにより遊離する塩素量(モル)を硝酸銀滴定法により測定し、試料の重量で除した値。
・軟化点
JIS K−7234に記載された方法で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eqである。
・融点:DSC法(外挿点を融点とする)
Seiko Instruments Inc.製 EXSTAR6000、測定試料 2mg〜5mg、 昇温速度 10℃/min.。
・ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(測定結果データは面積%(G)で示す)
カラム:Shodex SYSTEM−21カラム KF−804L+KF−803L(×2本)、40℃、連結溶離液:テトラヒドロフラン、
FlowRate:1ml/min.、Detection:UV254nm、
検量線:Shodex製標準ポリスチレン使用。
・高速液体クロマトグラフィー(測定結果データは面積%(H)で示す)
カラム:Intersil ODS−2,5μm,2.1×250mm 40℃、MobilPhaseA:アセトニトリル(AN)、MobilPhaseB:水(W)、
TimeProgram:
0−20min.AN/W=50%/50%→90%/10%
20−40min.AN/W=90%/10%
FlowRate:0.2mL/min.、Detection:UV 254nm、TOF MS
・全塩素量
試料のブチルカルビトール溶液に1N−KOHプロピレングリコール溶液を添加し、10分間還流することにより遊離する塩素量(モル)を硝酸銀滴定法により測定し、試料の重量で除した値。
合成実施例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでレーク状水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、加熱減圧下(約70℃、−0.08MPa〜−0.09MPa)、撹拌しながら、3時間かけて、過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、樹脂濃度を約50%とした。さらに残留溶液にアセトン250部、メタノール155部を加えて1時間撹拌した後、水310部を徐々に加えた。室温まで冷却後、減圧濾過することで本発明のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部で十分洗浄し、乾燥することで本発明のエポキシ樹脂(EP1)(エポキシ当量 169g/eq.、融点177℃、4核体含有量79面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を69面積%(H)含有する。全塩素含有量3220ppm)が粉末状結晶として142部(収率92%)得られた。また残存溶剤量は500ppm以下であった。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでレーク状水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、加熱減圧下(約70℃、−0.08MPa〜−0.09MPa)、撹拌しながら、3時間かけて、過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、樹脂濃度を約50%とした。さらに残留溶液にアセトン250部、メタノール155部を加えて1時間撹拌した後、水310部を徐々に加えた。室温まで冷却後、減圧濾過することで本発明のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部で十分洗浄し、乾燥することで本発明のエポキシ樹脂(EP1)(エポキシ当量 169g/eq.、融点177℃、4核体含有量79面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を69面積%(H)含有する。全塩素含有量3220ppm)が粉末状結晶として142部(収率92%)得られた。また残存溶剤量は500ppm以下であった。
顕微鏡で結晶を観察したところ得られた結晶の粒径は、ほぼ直径50−100μmであった。
合成比較例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、生成した塩などを除去した後、加熱減圧下溶剤を留去した。得られた残渣にトルエン310部を加え、還流下に溶解した。さらにメチルイソブチルケトン310部、シクロヘキサン93部を加え、静かに室温まで放冷することで、無色の結晶が析出した。析出した結晶を減圧濾過することで比較用のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール300部、水300部で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP2)(エポキシ当量 163g/eq.、融点179℃、4核体含有量98面積%(G)、8核体含有量2面積%(G)、内前記式(1)の化合物を86面積%(H)含有する。全塩素含有量3910ppm)が粉末状結晶として得られた。収量は79部であり、収率51%と低収率であった。また残存溶剤量は9700ppmであった。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、洗浄水が中性になるまで水洗を行い、生成した塩などを除去した後、加熱減圧下溶剤を留去した。得られた残渣にトルエン310部を加え、還流下に溶解した。さらにメチルイソブチルケトン310部、シクロヘキサン93部を加え、静かに室温まで放冷することで、無色の結晶が析出した。析出した結晶を減圧濾過することで比較用のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール300部、水300部で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP2)(エポキシ当量 163g/eq.、融点179℃、4核体含有量98面積%(G)、8核体含有量2面積%(G)、内前記式(1)の化合物を86面積%(H)含有する。全塩素含有量3910ppm)が粉末状結晶として得られた。収量は79部であり、収率51%と低収率であった。また残存溶剤量は9700ppmであった。
顕微鏡で結晶を観察したところ得られた結晶の粒径は、直径400〜800μmであった。
合成比較例2
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、水250部を加え、エピクロロヒドリンを共沸で110℃まで留去した結果、結晶塊として白色の塊(直径2〜20mm)の水分散体が生成した。ここに撹拌しながらアセトン100部を加え、80℃で2時間攪拌した結果、微粉末結晶分散水溶液が得られた。これをろ過することで目的とするエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部の混合溶液で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP3)(エポキシ当量 168g/eq.、融点178℃、4核体含有量76面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を71面積%(H)含有する。)が粉末状結晶として139部(収率90%)得られた。残存溶剤量は500ppm以下であった。また全塩素量は9900ppmであった。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、水250部を加え、エピクロロヒドリンを共沸で110℃まで留去した結果、結晶塊として白色の塊(直径2〜20mm)の水分散体が生成した。ここに撹拌しながらアセトン100部を加え、80℃で2時間攪拌した結果、微粉末結晶分散水溶液が得られた。これをろ過することで目的とするエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部の混合溶液で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP3)(エポキシ当量 168g/eq.、融点178℃、4核体含有量76面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を71面積%(H)含有する。)が粉末状結晶として139部(収率90%)得られた。残存溶剤量は500ppm以下であった。また全塩素量は9900ppmであった。
顕微鏡で結晶を観察したところ得られた結晶の粒径は、直径200〜400μmであった。
合成比較例3
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、ジメチルスルホキシド250部を加え、加熱減圧下(約70℃、−0.08MPa〜−0.09MPa)、撹拌しながら、3時間かけて、過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。残留溶液を50℃に保ちながらメタノール100部を加え15分撹拌した後、さらに70℃まで昇温し、水500部を徐々に加えた。室温まで冷却後、減圧濾過することで本発明のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部の混合溶液で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP4)(エポキシ当量 170g/eq.、融点177℃、4核体含有量78面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を71面積%(H)含有する。))が粉末状結晶として142部(収率92%)得られた。残存溶剤量は9700ppmと多く、また全塩素含有量6960ppmと高いものであった。
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながらグリオキサールとフェノールとの縮合物(旭有機材工業製 TEP−DF テトラキスフェノールエタン含有量99面積%(G)以上)99.5部、エピクロルヒドリン460部、メタノール100部を仕込み、撹拌下で約70℃まで昇温し、溶解させた。次いでフレーク状水酸化ナトリウム40部を90分かけて分割添加し、その後、更に還流温度で1時間反応させた。反応終了後、水250部を加えて水洗を行い、生成した塩などを除去した後、ジメチルスルホキシド250部を加え、加熱減圧下(約70℃、−0.08MPa〜−0.09MPa)、撹拌しながら、3時間かけて、過剰のエピクロルヒドリン等を留去した。残留溶液を50℃に保ちながらメタノール100部を加え15分撹拌した後、さらに70℃まで昇温し、水500部を徐々に加えた。室温まで冷却後、減圧濾過することで本発明のエポキシ樹脂が得られた。さらにこの結晶をメタノール100部、水300部の混合溶液で十分洗浄し、乾燥することで比較用のエポキシ樹脂(EP4)(エポキシ当量 170g/eq.、融点177℃、4核体含有量78面積%(G)、8核体含有量17面積(G)%、内前記式(1)の化合物を71面積%(H)含有する。))が粉末状結晶として142部(収率92%)得られた。残存溶剤量は9700ppmと多く、また全塩素含有量6960ppmと高いものであった。
顕微鏡で結晶を観察したところ得られた結晶の粒径は、直径200〜600μmであった。
実施例1、比較例1(純度の比較)
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)、硬化剤としてKAYAHARD MCD(日本化薬株式会社製 酸無水物系硬化剤)を下記表1に示される組成で配合し、均一に分散させ、結晶分散型の樹脂組成物をそれぞれ得た。真空乾燥機中で段階的に温度を上げていき、得られたエポキシ樹脂組成物が均一に相溶する温度を確認した。結果を表2に示す。
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)、硬化剤としてKAYAHARD MCD(日本化薬株式会社製 酸無水物系硬化剤)を下記表1に示される組成で配合し、均一に分散させ、結晶分散型の樹脂組成物をそれぞれ得た。真空乾燥機中で段階的に温度を上げていき、得られたエポキシ樹脂組成物が均一に相溶する温度を確認した。結果を表2に示す。
実施例2、比較例2(エポキシ樹脂組成物の比較)
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)、硬化剤としてフェノールノボラック(軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を下記表3−1(配合物の組成)に示される組成で配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、120℃で2時間、140℃で2時間、更に180℃で6時間かけて硬化させた。この試験片のガラス転移点、吸水率、および耐衝撃性を試験した結果を表3−2(硬化物の物性)に示した。
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)、硬化剤としてフェノールノボラック(軟化点83℃、水酸基当量106g/eq)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を下記表3−1(配合物の組成)に示される組成で配合し、トランスファー成型により樹脂成形体を調製し、120℃で2時間、140℃で2時間、更に180℃で6時間かけて硬化させた。この試験片のガラス転移点、吸水率、および耐衝撃性を試験した結果を表3−2(硬化物の物性)に示した。
なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
・ガラス転移温度(TMA):
真空理工(株)製 TM−7000、昇温速度 2℃/min.
・吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で72時間煮沸した後の重量増加率(%)
・IZOD衝撃試験:JIS K−6911に記載の方法。
・ガラス転移温度(TMA):
真空理工(株)製 TM−7000、昇温速度 2℃/min.
・吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で72時間煮沸した後の重量増加率(%)
・IZOD衝撃試験:JIS K−6911に記載の方法。
以上の結果より、本発明のエポキシ樹脂は公知のエポキシ樹脂と比較し、エポキシ樹脂組成物とした際、他成分と相溶しやすく、均一な硬化物を作ること、また、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化した硬化物は公知のエポキシ樹脂と比較し、同等の耐熱性を有し、かつ、吸水率が低く、耐水性に優れ、さらには耐衝撃性に優れた硬化物が得られることがわかった。
試験例1(残存溶剤の影響の比較)
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例2で得られたエポキシ樹脂(EP3)、を20部づつシャーレに広げ、100℃の熱風乾燥機中で2日間放置した。
エポキシ樹脂として合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例2で得られたエポキシ樹脂(EP3)、を20部づつシャーレに広げ、100℃の熱風乾燥機中で2日間放置した。
EP1では色味に変化は見られず白色の粉末状結晶であったがEP3においては黄変し、クリーム色の結晶粉体となった。また部分的に褐色部が見られた。
試験例2(結晶の分散性の比較)
前記合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(EP2、3,4)を用い、エポキシ樹脂4部に対し、DPHA(日本化薬製:ジペンタエリスリトールポリアクリレート)16部を3本ロールミルで混練(3回混練)し、粒度ゲージで分散性を比較した。結果を表4に示す。(表4中のnは実験番号を表す。)
前記合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1〜3で得られたエポキシ樹脂(EP2、3,4)を用い、エポキシ樹脂4部に対し、DPHA(日本化薬製:ジペンタエリスリトールポリアクリレート)16部を3本ロールミルで混練(3回混練)し、粒度ゲージで分散性を比較した。結果を表4に示す。(表4中のnは実験番号を表す。)
以上の結果より本発明のエポキシ樹脂は分散性に優れることがわかる。
実施例3、比較例3(感光性樹脂組成物およびその硬化物の比較)
前記合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)を用い、表5に示す配合割合で混合し、3本ロールミルで混練し、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用エポキシ樹脂組成物を得た。これをスクリーン印刷法により、乾燥膜厚が15〜25μmの厚さになるように約10cm角のプリント基板に塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。次いで、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い、回路パターンの描画されたマスクを通して紫外線を照射した。その後、1重量%炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像を行い、紫外線未照射部の樹脂を除去した。水洗乾燥した後、プリント基板を150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化反応させて硬化膜を得た。それらの結果を表6に示す。なお、各試験の試験方法及び評価基準は次のとおりである。
前記合成実施例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)又は合成比較例1で得られたエポキシ樹脂(EP2)を用い、表5に示す配合割合で混合し、3本ロールミルで混練し、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用エポキシ樹脂組成物を得た。これをスクリーン印刷法により、乾燥膜厚が15〜25μmの厚さになるように約10cm角のプリント基板に塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥器で30分乾燥させた。次いで、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い、回路パターンの描画されたマスクを通して紫外線を照射した。その後、1重量%炭酸ナトリウム水溶液でスプレー現像を行い、紫外線未照射部の樹脂を除去した。水洗乾燥した後、プリント基板を150℃の熱風乾燥器で60分加熱硬化反応させて硬化膜を得た。それらの結果を表6に示す。なお、各試験の試験方法及び評価基準は次のとおりである。
・タック性:基板に塗布した乾燥後の膜に脱脂綿をこすりつけ、膜のタック性を評価した。
○・・・・脱脂綿は張り付かない。
×・・・・脱脂綿の糸くずが、膜に張り付く。
○・・・・脱脂綿は張り付かない。
×・・・・脱脂綿の糸くずが、膜に張り付く。
・熱安定性:80℃での乾燥時間を30分及び50分で行った時の現像性を評価し、下記の評価基準を使用した。現像時、完全にインキが除去され、現像できた時間で評価を行った。
○・・・・60秒以内
×・・・・60秒以上。
○・・・・60秒以内
×・・・・60秒以上。
・解像性:乾燥後の塗膜に、50μmのネガパターンを密着させ、積算光量300mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、転写パターンを顕微鏡にて観察する。下記の基準を使用した。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
○・・・・パターンエッジが直線で、解像されている。
×・・・・剥離もしくはパターンエッジがぎざぎざである。
・光感度:乾燥後の塗膜に、ステップタブレット21段(コダック社製)を密着させ積算光量500mJ/cm2の紫外線を照射露光する。次に1%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、2.0kg/cm2のスプレー圧で現像し、現像されずに残った塗膜の段数を確認する。
・密着性:試験片に1mmの碁盤目を100ケ作り、セロハン粘着テープによるピーリング試験を行い、試験片へ密着しているレジストのマス数で評価した。結果の記載は下記の基準を使用した。
○・・・・100/100 異常なし
△・・・・100/100 ただし、角、エッジの部分に剥がれが見られる。
×・・・・≦99/100
△・・・・100/100 ただし、角、エッジの部分に剥がれが見られる。
×・・・・≦99/100
・耐熱性:試験片にロジン系フラックスを塗布し260℃の半田槽に5秒間浸漬した。これを1サイクルとし、3サイクル繰り返した。室温まで放冷した後、セロハン粘着テープ(R)によるピーリング試験を行い、次の基準で評価した。
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
△・・・・若干フクレや剥離のあるもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
〇・・・・塗膜外観に異常がなく、フクレや剥離のないもの
△・・・・若干フクレや剥離のあるもの
×・・・・塗膜にフクレや剥離のあるもの
以上の結果より、本発明の感光性樹脂組成物は、比較用の感光性樹脂組成物に比較し、十分な熱安定性を示し、タック性、熱安定性、光感度、解像性、密着性、耐熱性において、同等の結果が得られた。また密着性においては向上が見られることが明らかとなった。
Claims (3)
- 請求項1に記載のエポキシ樹脂、硬化剤又はエチレン性不飽和基を有する化合物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
- 請求項2に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
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