JP3044412B2 - 高純度エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

高純度エポキシ樹脂の製造方法

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JP3044412B2 JP3264250A JP26425091A JP3044412B2 JP 3044412 B2 JP3044412 B2 JP 3044412B2 JP 3264250 A JP3264250 A JP 3264250A JP 26425091 A JP26425091 A JP 26425091A JP 3044412 B2 JP3044412 B2 JP 3044412B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として電気・電子産
業用に好適な高純度エポキシ樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多価フェノール類のグリシジルエーテル
であるエポキシ樹脂は、硬化剤により架橋させた場合、
大きな架橋度を有する硬化樹脂となり、優れた特性を示
すものである。特にノボラック型エポキシ樹脂は、1分
子中に2〜8個のフェノール核を持つたノボラック型樹
脂が使用されており、理論的には2〜8個のエポキシ基
を持つているものである。その結果、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂に比べてより大きな架橋度を有する硬化
樹脂となり、優れた耐薬品性、耐湿性、耐熱性を有する
ものである。これらの特性により、近年、電気及び電子
産業用の封止剤として多く使用されている。
【0003】しかし、有機塩素含有量の多いノボラック
型エポキシ樹脂を封止剤に用いた場合、吸湿により塩素
分が加水分解され、塩素イオンとして遊離してくる。こ
の遊離した塩素イオンが金属を腐食し、各種のトラブル
を発生することになる。また、エポキシ当量の高いノボ
ラック型エポキシ樹脂は硬化後の架橋密度が小さくな
り、封止剤の耐熱性を落とすことになる。従つて、有機
塩素含有量が少なく、エポキシ当量の低いノボラック型
エポキシ樹脂が強く要望されている。
【0004】このような背景から、有機塩素含有量が少
なく、エポキシ当量の低いノボラック型エポキシ樹脂を
得るために、さまざまな製造方法が提案されている。ノ
ボラック型エポキシ樹脂を得るにはノボラック型樹脂と
エピクロルヒドリン(以下ECHという)及びアルカリ
金属水酸化物との反応による方法が一般的であり、EC
Hを用いる方法は実用的であり、広く業界で採用されて
いる。
【0005】しかし、上記反応方法によつて得られたノ
ボラック型エポキシ樹脂には、副反応により下記の化学
式〔A〕及び〔B〕で示される脱塩素化が比較的困難な
塩素含有化合物が不純物として含まれており、通常その
値は塩素分として1000ppm以上である。
【化1】
【化2】 〔式中Rは水素又はC10のアルキル基を表わす〕
【0006】また、反応時好ましくない重合反応がお
き、エポキシ当量の高い生成物しか得られなかつた。さ
らに、不溶不融のポリマーが多量に生成するため、繁雑
な処理が必要となると共に製品の収率を悪化させてい
た。
【0007】上記欠点を改良する目的から種々の提案が
なされている。多価フェノール類とECH及びアルカリ
金属水酸化物から多価フェノールのグリシジルエーテル
化合物を製造する方法において、アルコール類を共存さ
せる方法(特開昭54−90400号)、環状又は直鎖
状エーテル化合物を共存させる方法(特開昭58−18
9223号)、環状又は直鎖状エーテル化合物に非プロ
トン性極性溶媒を併用する方法(特開昭60−3151
6号)が提案されている。
【0008】しかしながら、これらの方法は40〜50
重量%のアルカリ金属水酸化物の水溶液を用い、3〜5
時間にわたつて連続的に添加するものであり、反応系内
の水を常圧または減圧下に連続的に留去させる必要があ
る。このようなアルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的
に添加する方法の場合、反応系内における多価フェノー
ルにECHが付加したクロルヒドリンエーテルの濃度が
高くなり、クロルヒドリンエーテルとECHの付加反応
が促進されて、前述の式〔B〕に示される塩素含有化合
物が多く生成することになる。
【0009】また、常圧で反応させた場合は必然的に反
応温度が高くなり、ECHの異常付加反応に起因する下
記化学式〔A〕に示される塩素含有化合物を多く生成す
ることになる。
【化3】 減圧下に反応させることにより、反応温度をある程度下
げることは可能であるが、本発明の好ましい態様である
30〜60℃で反応させるためには100mmHg以下
の減圧度となり、非常に大きな水とECHの凝縮装置が
必要となると共に、水を蒸発させるために多大なエネル
ギーを必要とすることになる。
【0010】これらの事由により、エポキシ当量を下げ
る効果はある程度あるものの、塩素含有量を本発明の目
的とする700ppm以下にすることは困難である。さ
らに、不溶不融のポリマーを多量に生成するという問題
があつた。
【0011】一方、特開昭60−81222号では、ノ
ボラック樹脂とECHの反応において、低級アルカノー
ル(例、イソプロパノール)または低級アルコキシアル
カノール(例、メチルセロソルブ)を補助溶媒として用
い、40〜100℃の温度にて直径1mmのビーズ状の
固形アルカリ金属水酸化物を少しずつ連続的に添加する
方法が開示されている。しかしながら、この方法は以下
の点において満足のいく方法とは言えない。
【0012】(1)高エポキシ化を有するノボラック型
エポキシ樹脂を得るために、中間体クロルヒドリンエー
テルの生成に好都合であり、クロルヒドリンエーテルの
脱ハロゲン化水素が最小になる条件を導くために、粒状
の固形アルカリ金属水酸化物を徐々に段階的に増加する
プログラムを利用して達成している。このような反応系
内においては、常にクロルヒドリンエーテルの濃度が高
くなり、クロルヒドリンエーテルとECHの付加反応が
促進され、下記化学式〔B〕に示される塩素含有化合物
が多く生成し、製品中の結合塩素含有量が多くなる。
【化4】
【0013】(2)補助溶剤として、低級アルコール
(特にイソプロパノール)または低級アルコキシアルカ
ノール(特にメチルセロソルブ)を用いているため、副
反応としてこれら溶剤とECHが反応し、好ましくない
副生物が生成する。そのため、ECHとこれら副生物を
分離する必要があり、工程が複雑となると共にECHの
収率を悪化させる。
【0014】(3)イソプロパノールやメチルセロソル
ブを用いて目的の高純度エポキシ樹脂を得るためには、
固形アルカリ金属水酸化物を段階的に増加する必要があ
る。そのため、反応熱がそれに伴い増加するので、反応
温度を一定に保つための制御が難しい。また、上記方法
を行つた場合においても、本発明の目標とする塩素含有
量及びエポキシ当量の低い製品を得るのは困難である。
【0015】(4)また、工業的な製造装置に適用する
場合、粒状固形アルカリ金属水酸化物の添加プログラム
を段階的に増加して、少しずつまたは連続して定量的に
添加する方法は、設備費が高くつき、さらに添加精度が
なく、反応制御が難しく安定した品質が得られない。さ
らに、スクリューフィーダーを使用した場合、シール性
に問題があり、固形アルカリ金属水酸化物が吸湿して固
着したり、有害なECHのガスが漏れる可能性がある等
問題が多い。
【0016】本発明におけるエポキシ当量とは、エポキ
シ基1モル当りの分子量で定義される。また塩素分と
は、エポキシ樹脂をブチルカルビトールに溶解し、水酸
化カリウムのプロピレングリコール溶液を加え、還流状
態で10分間加熱した時に脱離する塩素イオンを硝酸銀
溶液にて電位差滴定で定量し、エポキシ樹脂中の塩素原
子をppmで表わしたものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
における問題点を解消し、簡便な方法により高純度エポ
キシ樹脂を製造しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は多価フェノール
類から選択された一種の化合物とECHを固形アルカリ
金属水酸化物の存在下に反応させエポキシ樹脂を製造す
るに際し、少なくとも下記の第一工程〜第三工程の3工
程を含むことを特徴とする高純度エポキシ樹脂の製造方
法である。(1)多価フェノール類から選択された少な
くとも一種の化合物のフェノール性水酸基に対して、過
剰モルのECHを用い、且つ、該ECHに対して5ない
し30重量部の直鎖状エーテル化合物及び必要に応じ
て、該ECHに対して0ないし20重量部の非プロトン
性極性溶媒の存在下に、必要量の固形アルカリ金属水酸
化物を一括添加し、80℃以下の温度で、系内水分を
0.1ないし4.0重量%に制御しながら反応せしめる
第一工程、(2)第一工程で得られた反応溶液から、副
生アルカリ金属ハロゲン化物をECH存在下または非存
在下に分離除去し、粗製樹脂またはその溶液を得る第二
工程及び(3)第二工程で得られた粗製樹脂またはその
溶液に対して、粗製樹脂中に存在する有機塩素分に対し
て1.0ないし5.0モル倍量のアルカリ金属水酸化物
水溶液を用いて、100℃以下の温度で再反応精製する
第三工程。
【0019】このようにすることにより塩素含有量及び
エポキシ当量の低い高純度エポキシ樹脂を製造すること
が可能となつた。さらに、この方法によると副生ポリマ
ー生成量を極端に少なくし、製品の収率を向上させるこ
とができた。
【0020】本発明に使用される多価フェノール類は、
ハロゲン、アルキル基、アリル基、アルケニル基、アリ
ール基或いはアラルキル基で置換された或いは無置換の
フェノール単位より構成されたものであり、具体的には
ジフェノールメタン(ビスフェノールF)、ジフェノー
ルプロパン(ビスフェノールA)、テトラブロムビスフ
ェノールA、フェノールノボラック、臭素化フェノール
ノボラック、クレゾールノボラック、臭素化クレゾール
ノボラック、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、1,
1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0021】本発明に使用される固形アルカリ金属水酸
化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化カルシウムが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウ
ムである。反応時間を短縮し、目的とする塩素含有量の
低い製品を得るためには、固形アルカリ金属水酸化物の
形状は平均粒径0.7±0.3mmの粒状であることが
好ましい。平均粒径が0.4mmより小さい場合、反応
系内での分散が良すぎて、反応初期の発熱を制御するこ
とが困難となる。一方、1mmを越える場合は反応系内
での分散が悪くなり、反応時間が長くなると共に、製品
の塩素含有量が高くなる。
【0022】アルカリ金属水酸化物の全使用量はフェノ
ール性水酸基に対して0.95〜1.10モルである。
0.95モルより少ない場合、製品中の塩素含有量が高
くなり、1.10モルを越える場合は副生ポリマーが多
量に生成して工程を繁雑とすると共に、製品の収率を悪
化させる。また、第一工程と第三工程におけるアルカリ
金属水酸化物の使用量のモル比は0.02〜0.20で
あることが好ましく、これより大きくても小さくても、
塩素含有量及びエポキシ当量の低い製品を得ることは難
しい。
【0023】本発明に使用されるECHの使用量はフェ
ノール性水酸基に対して3〜20モル好ましくは4〜8
モルである。
【0024】本発明の第一工程における固形アルカリ金
属水酸化物の添加方法において、本発明の目的を達成す
るためには一括で添加することが特に重要となる。すな
わち、反応初期の段階に大過剰のアルカリ金属水酸化物
を存在させる必要があり、多価フェノール類の水酸基に
ECHが付加してできるクロルヒドリンエーテルの生成
量に追従できるに十分な脱ハロゲン化水素剤すなわち、
アルカリ金属水酸化物の存在が反応初期において必須で
ある。反応系内のクロルヒドリンエーテルの存在を最小
にする要素において、アルカリ金属水酸化物の一括添加
を必要とする。連続的に少量ずつ添加した場合、製品中
の塩素含有量が高くなり得策でない。
【0025】なお、一括か実質的に一括とみなせる添加
方法、例えば反応初期に2分割、3分割で添加するよう
な添加方法も本発明の範囲の中に含めることができる。
【0026】また、第一工程における系内水分濃度は、
全反応混合物に対して0.1〜4.0重量%がよい。反
応時、水を除去しない場合、反応の進行とともに反応生
成水が生じて、系内水分濃度を上昇させるが、その場合
においても、反応終了時の系内水分濃度は4.0重量%
を越えないようにする必要がある。必要により反応時、
反応生成水を間欠または連続的に除去してもよいが、反
応装置が複雑となり、多大なエネルギーを消費するとこ
ろから、反応時の水の除去は行なわない方が得策であ
る。そのためには、反応開始時の系内水分濃度は1.0
重量%を越えないように調節する必要がある。
【0027】反応時の系内水分濃度が0.1重量%より
低い場合、反応速度が遅く、反応時間が長くなると共
に、副生ポリマーの生成量が増大する。一方、4.0重
量%を越える場合はECHの加水分解反応が促進され
て、グリセリンが多量に生成し、廃水負荷量を増大させ
ると共にECHの収率を悪化させる。
【0028】本発明の目的を確実にするためには第一工
程において、反応溶媒として直鎖状エーテル化合物を添
加する必要がある。直鎖状エーテル化合物としては、エ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチ
レングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコ
ールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチル
エーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなど
が挙げられるが、ECHと反応せず適当な沸点をもつ、
エチレングリコールジメチルエーテル及びジエチレング
リコールジメチルエーテルが特に好ましい。
【0029】直鎖状エーテル化合物を使用することによ
り、反応初期の段階において、多価フェノール類のナト
リウム塩を溶解してクロルヒドリン化反応を円滑にする
と共に、好ましくない重合反応や副反応を防止して、塩
素含有量及びエポキシ当量を下げる効果がある。また、
副生するアルカリ金属塩化物の除去を容易にする効果も
ある。
【0030】直鎖状エーテル化合物と共に非プロトン性
極性溶媒を使用することは上記効果をより確実にすると
ころから、より好ましいものである。非プロトン性極性
溶媒としては、ジメチルイミダゾリジノン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、熱に対して
安定なジメチルイミダゾリジノンが特に好ましい。
【0031】本発明の第一工程における反応温度は80
℃以下、好ましくは60℃以下がよい。80℃を越える
場合、製品中の塩素含有量及びエポキシ当量が高くなる
と共に、反応初期の発熱を制御することが困難となる。
好ましい反応方法は温度の異なる二段反応方式であり、
例えば30〜50℃にて0.5〜3時間の反応を行い、
さらに50〜60℃にて0.5〜3時間の反応を行う方
式である。二段反応方式を行うことにより、反応初期の
発熱を容易に制御できるとともに、製品中の塩素含有量
及びエポキシ当量の低下をより確実なものにすることが
できる。
【0032】本発明の第一工程終了後、第二工程として
副生したアルカリ金属ハロゲン化物を除去することが必
要である。アルカリ金属ハロゲン化物の除去方法として
は、ECHの存在下に▲ろ▼過又は水洗する方法と、E
CHを蒸留により回収分離したのち、有機溶媒を添加し
て、粗製樹脂を溶解し、該溶液から▲ろ▼過または水洗
により除去する方法がある。いずれの方法によつても本
発明の目的を達成することは可能であるが、アルカリ金
属ハロゲン化物の存在下にECHを回収した場合、副生
ポリマーの生成量が増大するところから、前者の方法が
より好ましい。
【0033】アルカリ金属ハロゲン化物及び過剰ECH
を除去した後の粗製樹脂中に残存する有機塩素分をさら
に低減する目的から、第三工程として粗製樹脂に濃度2
0重量%以下、好ましくは5〜10重量%のアルカリ金
属水酸化物水溶液を加え、100℃以下の温度で再反応
させることが必要である。
【0034】本発明の第三工程において、粗製樹脂単独
でも再反応は可能であるが、適当な有機溶媒に溶解した
のち再反応させるのが、反応混合物の粘度を下げ、効率
良く反応が行えるところからより好ましい。適当な有機
溶媒としてはトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶
媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類が挙げられる。
【0035】本発明の第三工程におけるアルカリ金属水
酸化物の添加量は、粗製樹脂中に残存する有機塩素分に
対して1.0〜5.0モル倍、好ましくは2.0〜4.
0モル倍である。1.0モル倍より小さい場合、製品中
の塩素含有量の低減効果が十分でなく、一方、5.0モ
ル倍を越える場合は、好ましくない重合反応を促進し
て、製品中のエポキシ当量を高くする。また第三工程に
使用するアルカリ金属水酸化物の第一工程に使用するア
ルカリ金属水酸化物に対するモル比は0.02〜0.2
0の範囲が好ましい。
【0036】
【作用】本発明は以下に示す事由により、塩素含有量及
びエポキシ当量の低い高純度エポキシ樹脂を得ることが
可能となるとともに、複雑な反応設備を必要とせず、副
生ポリマー生成量を極端に少なくし、製品の収率を向上
させることができる。
【0037】(1)反応初期の段階に大過剰のアルカリ
金属水酸化物が存在するので、多価フェノール類のOH
基にECHが付加してできるクロルヒドリンエーテルの
脱塩酸反応が素早く起こり、クロルヒドリンのOH基に
更にECHが付加する副反応を抑えることができる。そ
のため、塩素含有化合物の生成を極力抑えることができ
る。
【0038】(2)反応初期の温度が低いため、多価フ
ェノール類に対するECHの異常付加反応が抑制され、
塩素含有化合物の生成量が少ない。
【0039】(3)反応時、補助溶媒として直鎖状エー
テル化合物及びまたは非プロトン性極性溶媒を使用する
ことにより、上記副反応の抑制をより確実なものにする
とともに、生成エポキシ樹脂と多価フェノール類との重
合反応を防止し、エポキシ当量の低い製品を得ることが
できる。又、副生ポリマーの生成量を少なくすることも
可能となる。さらに、イソプロパノールやメチルセロソ
ルブのようにECHとの反応副生物を生成することもな
い。
【0040】(4)反応時の系内水分濃度が適切である
ことと、直鎖状エーテル化合物の使用により、粒状アル
カリ金属水酸化物を一括で添加しても、反応温度のコン
トロールは十分に可能であり、高価な粒状アルカリ金属
水酸化物の連続添加設備を必要としない。さらに粒状ア
ルカリ金属水酸化物を一括で添加する方法であるところ
から、反応時間が短かくてすむ。
【0041】(5)反応中、連続的に水を回収する必要
がなく、複雑な反応装置を必要としない。また、反応時
の操作が簡単となり、トラブルの発生を極力おさえるこ
とができる。
【0042】(6)第二工程で副生塩を分離除去するた
め、第三工程において樹脂中に残存する微量の塩素分を
効率良く除去することができ、副生ポリマーの生成を抑
えることができる。
【0043】以下、本発明を実施例をもつて詳細に説明
するが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【実施例、比較例】
実施例1〜3及び5、比較例4 温度計、粒状アルカリ金属水酸化物を添加するための添
加装置、撹拌翼を有する容量1.0 lのセパラブルフ
ラスコを用い、表1〜表2に示す種類、量のフェノール
類、ECH、エーテル化合物の種類と量、非プロトン性
極性溶媒の種類と量及び水を仕込んで攪拌溶解させ、4
0℃に昇温した。上記混合物に表1に示す粒状水酸化ナ
トリウムの量を一括で添加し、表2に示す圧力、温度、
時間で反応させた。
【0045】反応終了後、水175gを添加して副生食
塩を溶解し、静置して下層の副生ポリマーを含む食塩水
を除去するか、或いは反応液を▲ろ▼過して、副生食塩
及び副生ポリマーを除去した。未反応のECHを減圧蒸
留により除去し、残つた粗製エポキシ樹脂を410gの
メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)に溶解
し、表3に示す量の第三工程用48重量%水酸化ナトリ
ウム水溶液及び水17.5gを加えて、85℃にて2時
間再反応を行つた。再反応終了後、1回当り175gの
イオン交換水で3回水洗し、減圧蒸留によりMIBKを
除去してエポキシ樹脂を得た。
【0046】得られたエポキシ樹脂の塩素含有量とエポ
キシ当量を表3に示す。また、副生食塩と共に除去した
副生ポリマーはよく水洗し、MIBKで洗浄したのち、
減圧乾燥して重量を測定した。その重量を表3に示す。
【0047】実施例4 実施例1と同様な装置に表1〜表2に示す種類、量のフ
ェノール類、ECH、エーテル化合物の種類と量、非プ
ロトン性極性溶媒の種類と量及び水を仕込んで撹拌溶解
させ、40℃に昇温した。上記混合物に表1に示す粒状
水酸化ナトリウムの量を一括で添加し、表2で示す圧
力、温度、時間で反応させた。反応終了後、未反応のE
CHを減圧蒸留により除去し、得られた副生食塩を含む
粗製エポキシ樹脂を410gのMIBKに溶解した。1
80gの水を加えて副生食塩を溶解し、静置して下層の
副生ポリマーを含む食塩水を除去した。その後、実施例
1と同様に再反応、水洗及びMIBKの除去を行つてエ
ポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂の塩素含有量
とエポキシ当量を表3に示す。
【0048】また、副生食塩と共に除去した副生ポリマ
ーは実施例1と同様の処理を行つて重量を測定し、その
重量を表3に示す。
【0049】比較例1 温度計、水酸化ナトリウム水溶液を連続添加するための
添加装置、撹拌翼および反応系中から蒸発するECH及
び水分を冷却液化し、ECHと水層をその比重差で分離
してECHは反応系内にもどし、水層は除去する冷却管
付分離管を装着した容量1.0 lのセパラブルフラス
コに、表1に示す種類、量のフェノール類とECHを仕
込んで溶解させた。表1に示す量の48重量%水酸化ナ
トリウム水溶液を表2に示す圧力、温度に保ちながら5
時間で連続的に添加して反応させた。反応中は水酸化ナ
トリウム中の水分及び反応生成水を連続的に除去した。
【0050】反応終了後、未反応のECHを減圧蒸留に
より除去し、得られた副生食塩を含む粗製エポキシ樹脂
を410gのMIBKに溶解した。180gの水を加え
て副生食塩を溶解し、静置して下層の副生ポリマーを含
む食塩水を除去した。
【0051】その後、実施例1と同様に再反応、水洗及
びMIBKの除去を行つてエポキシ樹脂を得た。得られ
たエポキシ樹脂の塩素含有量とエポキシ当量を表3に示
す。また、副生食塩と共に除去した副生ポリマーは実施
例1と同様の処理を行つて重量を測定し、その重量を表
3に示す。
【0052】比較例2 比較例1と同様な装置に、表1〜表2に示す種類、量の
フェノール類、ECH、エーテル化合物の種類と量、非
プロトン性極性溶媒の種類と量を仕込んで撹拌溶解さ
せ、表1に示す量の48重量%水酸化ナトリウム水溶液
を表2に示す圧力、温度に保ちながら5時間で連続的に
添加して反応させた。
【0053】反応中は水酸化ナトリウムの水分及び反応
生成水を連続的に除去した。反応終了後、未反応のEC
Hを減圧蒸留により除去し、得られた副生食塩を含む粗
製エポキシ樹脂を410gのMIBKに溶解した。18
0gの水を加えて副生食塩を溶解し、静置して下層の副
生ポリマーを含む食塩水を除去した。
【0054】その後、1回当り175gのイオン交換水
で3回水洗し、減圧蒸留によりMIBKを除去してエポ
キシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂の塩素含有量と
エポキシ当量を表3に示す。また、副生食塩と共に除去
した副生ポリマーは実施例1と同様の処理を行つて重量
を測定し、その重量を表3に示す。
【0055】比較例3 実施例1と同様な装置に表1〜表2に示す種類、量のフ
ェノール類、ECH、イソプロパノール及び水を仕込ん
で溶解させ、60℃に昇温した。60℃に維持しなが
ら、粒状水酸化ナトリウム34gを15分間隔で1回当
り2gを4回、1回当り3gを3回、1回当り4gを3
回及び1回当り5gを1回と段階的に多くして添加し
た。
【0056】さらに45℃に冷却し、粒状水酸化ナトリ
ウム7.5gを45分間にわたつて6分割で間欠的に添
加して反応させた。反応終了後、水209gを40℃に
て加えて副生食塩を溶解し、静置して副生ポリマーを含
む食塩水層を除去した。未反応のECHを減圧蒸留によ
り除去し、残つた粗製エポキシ樹脂を410gのMIB
Kに溶解した。
【0057】以下比較例2と同様の処理を行つて製品を
得た。得られたエポキシ樹脂の塩素含有量とエポキシ当
量を表3に示す。また、副生食塩と共に除去した副生ポ
リマーは実施例1と同様の処理を行つて重量を測定し、
その重量を表3に示す。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法が、塩素含有量及びエポキ
シ当量の低い高純度エポキシ樹脂を簡便にかつ効率良く
得る方法として効果的であり、電気・電子分野の樹脂原
料として使用した場合、電気絶縁性の低下及びリード線
の腐蝕を防止するという効果を発揮するものである。
【表1】
【表2】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−118577(JP,A) 特開 昭58−24578(JP,A) 特開 昭58−188870(JP,A) 特開 昭58−289223(JP,A) 特開 昭55−160772(JP,A) 特開 昭62−238278(JP,A) 特開 昭62−289573(JP,A) 特開 昭62−190180(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 301/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多価フェノール類から選択された少なくと
    も一種の化合物とエピクロルヒドリンを固形アルカリ金
    属水酸化物の存在下に反応させエポキシ樹脂を製造する
    に際し、少なくとも下記の第一工程〜第三工程の3工程
    を含むことを特徴とする高純度エポキシ樹脂の製造方
    法。(1)多価フェノール類から選択された少なくとも
    一種の化合物のフェノール性水酸基に対して、過剰モル
    のエピクロルヒドリンを用い、且つ、該エピクロルヒド
    リンに対して5ないし30重量部の直鎖状エーテル化合
    物及び必要に応じて、該エピクロルヒドリンに対して0
    ないし20重量部の非プロトン性極性溶媒の存在下に、
    必要量の固形アルカリ金属水酸化物を一括添加し、80
    ℃以下の温度で、系内水分を0.1ないし4.0重量%
    に制御しながら反応せしめる第一工程、(2)第一工程
    で得られた反応溶液から、副生アルカリ金属ハロゲン化
    物をエピクロルヒドリン存在下または非存在下に分離除
    去し、粗製樹脂またはその溶液を得る第二工程及び
    (3)第二工程で得られた粗製樹脂またはその溶液に対
    して、粗製樹脂中に存在する有機塩素分に対して1.0
    ないし5.0モル倍量のアルカリ金属水酸化物水溶液を
    用いて100℃以下の温度で再反応精製する第三工程。
  2. 【請求項2】 多価フェノールがフェノールノボラック
    樹脂またはクレゾールノボラック樹脂である請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 固形アルカリ金属水酸化物が0.7±
    0.3mmの平均粒径を有する粒状水酸化ナトリウムで
    ある請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 直鎖状エーテル化合物がエチレングリコ
    ールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメ
    チルエーテルである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 非プロトン性極性溶媒がジメチルイミダ
    ゾリジノンである請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 第一工程における反応温度が30〜60
    ℃である請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 第三工程におけるアルカリ金属水酸化物
    の濃度が20重量%以下である請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 第一工程と第三工程に用いられるアルカ
    リ金属水酸化物の総量がフェノール性水酸基に対して、
    0.95〜1.10モルであり、且つ、第一工程と第三
    工程におけるアルカリ金属水酸化物の使用量のモル比が
    0.02〜0.20の範囲である請求項1記載の方法。
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