JP4945958B2 - 精製エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気電子分野等に有用な高純度なエポキシ樹脂の製造に伴って副生するゲル状不純物を効率よく安定的に除去する精製エポキシ樹脂の製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、その優れた硬化物性や取扱いの容易さから、接着、注型、封止、積層、成型、塗装等の広い分野で使用されている。
従来、電気及び電子部品等の封止や接着等に用いられるエポキシ樹脂は、その中に不純物として含まれるハロゲン量が少ないことが要求されている。すなわち、加水分解によりイオンとなったエポキシ樹脂中のハロゲンが、電気絶縁性を低下させたり、リード線等を腐食させる等の悪影響を及ぼすことが知られている。特に半導体集積回路の封止材用樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、ハロゲン量が少ないことが必須条件であり、半導体回路の集積度が上がるにつれて許容されるハロゲン量はますます少なくなっている。
一般に最も広く使用されているエポキシ樹脂は、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、第1級または第2級アミン基を持つ活性水素化合物とエピハロヒドリンとから製造される。この種のエポキシ樹脂には、無機ハロゲンや1,2ハロヒドリン基、1,3ハロヒドリン基またはハロメチル基などの形で存在する有機ハロゲンが不純物として含まれる。
それらの不純物ハロゲンの内、無機ハロゲンは水洗などの技術で問題を生じないレベルまで低減させることが可能であるが、その他の有機ハロゲンをエポキシ基の重合等の副反応を十分に低く押さえながら低減させることは困難である。
有機ハロゲン不純物の含有量の少ないエポキシ樹脂を製造するため、活性水素化合物とエピハロヒドリンの反応の際に、非プロトン性極性溶媒などを用いて反応の選択性を向上させ、不純物の生成を押さえることが提案されている(特許文献1、2、3、4)。しかし、それらの方法による効果では、最近の厳しい要求を満たすことはできない。
また、一旦製造したエポキシ樹脂を再精製処理して低ハロゲン化する方法も多く提唱されている。これらの方法は不純物有機ハロゲンを塩基性化合物により加水分解し、ハロゲンイオンとした後、水洗等により除去するものであるが、有機ハロゲンの加水分解の際に活性の高いエポキシ基の重合等の副反応が起こり、ゲル状不純物が多量に生成する。
たとえば、エポキシ樹脂を非プロトン性極性溶媒に溶解し、アルカリ金属水酸化物を加えて不純物有機ハロゲンを加水分解する方法が示されている(特許文献5、6、7、8、9、10)。しかし、これらの方法では、不純物有機ハロゲンを分解することはできるがゲル状不純物も多量に生成する。
ゲル状不純物はエポキシ樹脂の使用の際に、目詰まりを起こしたり、硬化物に欠陥ができるなどの問題となるため、完全に除去する必要がある。従来は、濾過により除去するのが一般的な技術であったが、通常ゲル状不純物は粘着性があるため、濾過材(濾紙、金網など)の目詰まりを起こしやすく、困難な作業となる。近年ますます厳しくなる品質要求を満たすため、濾過材の目開きを小さくする必要が生じており、この問題は重大化している。特に大規模な工業的生産においては効率的な除去方法が求められていた。
また、近年封止材等に多用されるビフェノール類から製造されるエポキシ樹脂は、化学構造上ゲル状不純物の粘着性が強く成りやすく、さらには結晶性を持つため濾過材でゲル状不純物を核として結晶化し、上記問題をさらに深刻化させている。
特開昭58-189223号公報 特開昭60-31516号公報 特開昭60-31517号公報 特開平1-66224号公報 特開昭62-18778号公報 特開昭62-235314号公報 特開昭63-174981号公報 特開平1-126320号公報 特開平2-47129号公報 特開平5-17464号公報
本発明は、エポキシ樹脂を製造する際に副生するゲル状不純物を効率よくかつ安定的に除去する精製エポキシ樹脂の製造方法に関する。
本発明者等は、前記の課題を解決するために種々研究を重ねた結果、特定の分離方法を用いることによりその目的を達成できたのである。
すなわち、本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法は、以下の各発明を含有する。
〔1〕 ゲル状不純物の少ない精製エポキシ樹脂を製造する方法であって、1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させることにより得られたゲル状不純物を含む粗製エポキシ樹脂を溶融状態または溶液状態で水を加えて混合し、次いで有機層と水層に分離させ、続いて有機層と水層の中間に浮遊するゲル状不純物を除去することを特徴とする精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔2〕 有機ハロゲン不純物を含む粗製エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂を溶解するが水と難相溶性であるエピハロヒドリン以外の有機溶媒に溶解する工程、続いて該溶解液にアルカリ金属水酸化物を固体または溶液で加え低塩素化反応を行う工程、その後水の存在下に有機層と水層に分離させる工程、更に有機層と水層の中間に浮遊するゲル状不純物を除去する工程を順に行うことを特徴とする〔1〕に記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔3〕 1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物が、多価フェノール化合物、アミノ化合物およびアミノフェノール類から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔4〕 1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物が、少なくとも1種のビフェノール類を含む化合物であることを特徴とする〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔5〕得られるエポキシ樹脂中の可鹸化塩素含有量が500ppm以下であることを特徴とする〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔6〕水層のpHが5以上である、〔1〕ないし〔5〕のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
〔7〕ゲル状不純物を除去する操作を行う温度が20℃〜150℃である、〔1〕ないし〔6〕のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂製造方法。
本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法は、エポキシ樹脂を製造する際に副生するゲル状不純を効率よくかつ安定的に除去することができるので、高純度なエポキシ樹脂の製造において有利に使用できる。
本発明は、精製エポキシ樹脂を製造する方法においてエポキシ樹脂を製造する各工程にておい副生するゲル状不純物を含むエポキシ樹脂に溶融状態または溶液状態で水を加え混合し、次いで有機層と水層に分離させ、続いて有機層と水層の中間に浮遊するゲル状不純物を除去することを特徴とする精製エポキシ樹脂の製造方法である。有機層と水層に分離させるには、水を加えて混合した後、放置すればよい。
本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法で使用されるエポキシ樹脂は、1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下に縮合反応させエポキシ樹脂としたものである。
その原料となる活性水素化合物としては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレンなどの種々のフェノール類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビフェニルフェノール樹脂などの種々のフェノール樹脂類、種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール系化合物、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなどの種々のアミノ化合物、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類などが挙げられる。
各種活性水素化合物の中では、電気電子分野で広く用いられているエポキシ樹脂の原料となる多価フェノール化合物が好ましく、特に先端封止材に使用され厳しい不純物管理が要求されるビフェノール型エポキシ樹脂の原料となるビフェノール類が好ましい。また、エポキシ製造時に多量のゲル状不純物を生成しやすいアミノ化合物およびアミノフェノール類も本発明の不純物の除去方法を適用する活性水素化合物として好ましい。
上記のような活性水素化合物とエピハロヒドリンとの反応(以下グリシジル化反応と記載する)は公知の方法で行えるが、代表的な態様例を、以下に詳述する。まず、活性水素化合物をその活性水素1モル当り3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。次いで、その溶液を撹拌しながらこれに活性水素1モル当り0.9〜2モル量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。この反応は、常圧下又は減圧下で行わせることができ、反応温度は、通常、常圧下の反応の場合に約30〜105℃であり、減圧下の反応の場合に約30〜80℃である。反応中は、必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系に戻す方法によって反応系より脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応をおさえるために、1〜8時間かけて少量ずつを断続的もしくは連続的に添加する。その全反応時間は、通常、1〜10時間程度である。
このグリシジル化反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられ、またアルカリ金属水酸化物としては、通常、NaOH又はKOHが用いられる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4,6-(トリスジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
さらに、このグリシジル化反応においては、メタノール、エタノール、2-プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
グリシジル化反応終了後、未反応のエピハロヒドリンおよび溶媒を減圧留去等の方法で除くと、目的のエポキシ樹脂が得られるが、通常は、エピハロヒドリンやエポキシ樹脂の重合により生成したエポキシ樹脂や一般の有機溶媒に不溶のゲル状不純物がこのエポキシ樹脂中に混入している。
次に、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合には、再処理して、充分に可鹸化ハロゲン量が低下した低塩素化エポキシ樹脂とする必要がある。つまり、その高塩素エポキシ樹脂を、2-プロパノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解し、アルカリ金属水酸化物を固体、水溶液またはアルコール溶液で加えて約30〜120℃の温度で、0.5〜8時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去して除くと、低塩素化されたエポキシ樹脂が得られる。一般に、電気電子分野に用いられるエポキシ樹脂の可鹸化塩素含有量は500ppm以下であることが好ましく、より好ましくは、200ppm以下である。
この再閉環反応においてもエポキシ基の重合によりゲル状不純物が生成する。その生成量はより低い可鹸化塩素含有量を得るために、厳しい反応条件(過剰量のアルカリ、高い反応温度、長い反応時間など)を取るほど多くなる。
本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法は、上記のようにして製造したゲル状不純物を含有する粗製エポキシ樹脂に、溶融状態または溶液状態で水を加え混合し、次いで有機層と水層に分離させ、続いて有機層と水層の中間に浮遊するゲル状不純物を除去することを特徴とする製造方法である。
溶液状態でこの操作を行う場合の溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するが水と難相溶性の溶媒が用いられる。その溶媒としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族類;エピクロルヒドリン、クロロホルムなどの塩素系溶媒などが用いられる。そのエポキシ樹脂濃度としては、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上である。濃度が低すぎると容積が増えるため大きな装置が必要となり不経済である。層分離の起こりやすさや、粘度などの点から、この操作は20〜50重量%の溶液状態で行うことが最も好ましい。
この操作を行う温度は、通常20〜150℃、好ましくは30〜120℃である。温度が低すぎると層分離が起こりにくく、高すぎるとエポキシ樹脂の分解等の不具合が起こる。水の量は、通常有機層の20〜300体積%が好ましい。水の量が少なすぎると分離操作が行いにくく、多すぎると容積が増えるため大きな装置が必要となり不経済である。水の品質としては、純度が高い方が好ましい。つまり電気伝導率(25℃)として10mS/m以下が好ましく、より好ましくは1mS/m以下である。水の純度が悪いと層分離が起こりにくくなったり、最終製品のイオン性不純物が多くなったりすることがある。
有機層と水の混合時間は、通常1〜120分、好ましくは5〜60分である。混合時間が短すぎるとゲル状不純物の分離が起こりにくく、長すぎても効果の向上はみられないし、層分離が起こりにくくなることがある。混合方法に特に指定はなく有機層と水層が充分に混ざり合いゲル状不純物が分離できればよい。一般的には回転羽根による攪拌が行われるが、急速な添加や狭い流路を急速に通過させるなどの方法でも良い。
分離の時間は、有機層、水層およびその中間のゲル状不純物の層が充分に分離するに必要な時間であり、その時間ができるだけ短くなるようそれぞれのケースにおいて各種条件(溶媒の種類、濃度、温度、pHなど)を調整する必要がある。水層のpHは、通常5以上が好ましく、より好ましくは6〜12である。pHが低すぎるとエポキシ樹脂の分解等の不具合が起こる。高すぎると層分離が起こりにくい場合がある。pH調整のためにリン酸、リン酸一ナトリウム、シュウ酸、酢酸、炭酸などの弱酸を水層に少量添加しても良い。分離操作は、一般的には攪拌を停止した静置で行われるが、緩やかな混合を継続しながらでも良い。また、遠心分離などの方法も採れる。
層分離終了後、ゲル状不純物の層を取り除く。その方法としては、容器の上部または下部より、有機層または水層を抜き出した後にゲル状不純物の層を抜き出しても良いし、容器の中間部よりゲル状不純物の層のみを抜き出しても良い。
本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法に用いるゲル状不純物の除去方法は、単独で実施しても良いが、前記のエポキシ樹脂製造の途中で行うことが効率上好ましい。ゲル状不純物除去を行うタイミングとしては、グリシジル化反応後にエピハロヒドリン溶液として行う、未反応のエピハロヒドリン除去後に溶融状態で行う、再閉環反応後に溶液として行う、最終溶媒除去後に溶融状態で行う等があるが、再閉環反応後に溶液として水溶性不純物の除去操作と合わせて行うことが効率上好ましい。この水洗操作をバッチ方式で繰り返し行うときは、容器中にゲル状不純物の層を残して有機層を取り出し次の工程に送り、ゲル状不純物の層は次のバッチと合わせてまとめて抜き出すこともできる。
特に、ゲル状不純物の低減が厳しく要求される用途においては、本発明の不純物除去方法によりゲル状不純物を除去した後、さらに濾過を行い微細なゲル状不純物を除去することができるが、生成したゲル状不純物の50重量%以上、好ましくは70重量%以上を本発明の不純物除去方法により除去した後に濾過を行うことが、濾過膜の目詰まりを防ぐ上で好ましい。
以下に、本発明の精製エポキシ樹脂の製造方法を実施例及び比較例をあげてさらに詳述する。
<実施例1>
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、テトラメチルビフェノール121g、エピクロルヒドリン 555gを仕込み、90℃に昇温して溶解させたのち、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液 82.5gを1時間かけて滴下した。その間、反応液の温度を95℃以上に保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系に戻す方法によって反応系より脱水した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後も、30分間脱水操作を継続して反応を行わせた。次いで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。
この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン300gに溶解させ、20重量%の水酸化ナトリウム水溶液 100gを加え、85℃の温度で1時間再閉環反応させた。その反応終了後に、水200gを加え80℃で10分間攪拌した後、静置分離し、水層のみを除去した。続いて、第一リン酸ナトリウム1%水溶液200gで同様に洗浄し水層のみを除去した。さらに電気伝導率0.31mS/mの蒸留水200gを加えて80℃で10分間攪拌した後、20分間静置したところ有機層と水層およびその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離した。水層のpHは7であった。水層およびゲル状不純物の層を容器の下部に残し、有機層のみを取り出し目開き約5ミクロンの濾紙で濾過し、不溶分を完全に除去した。濾過操作に要した時間は8分間であった。別途ゲル状不純物の層は水層と分離し、乾燥して重量を測定したところ1.9gであった。濾過で除去したゲル状不純物の乾燥後の重量は、0.2gであった。有機層は、加熱しながら減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的の精製エポキシ樹脂166gを得た。
このエポキシ樹脂は、エポキシ当量184g/eq.、可鹸化塩素量70ppmの淡黄色結晶状固体であった。
<比較例1>
実施例1と同様にエポキシ樹脂製造操作を行ったが、第一リン酸ナトリウム1%水溶液での洗浄は行わず、ゲル状不純物の除去も行わなかった。ゲル状不純物を含む有機層の濾過の作業において、濾過開始初期より目詰まりが激しく、濾過速度が遅かった。全量の約1/3を濾過した時点で完全に目詰まりしたため、濾紙を交換した。合計3枚の濾紙を使用し全量を濾過し終えた。その間にエポキシ樹脂の一部が結晶化し濾紙上に残ることが観察された。濾過操作に要した時間は46分間であった。濾過で除去したゲル状不純物および結晶化したエポキシ樹脂乾燥後の重量は、6.2gであった。得られた樹脂の収量は161g、品質は、実施例1と同様であった。
<実施例2>
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、パラアミノフェノール36.3g、エピクロルヒドリン 555gおよび2-プロパノール 200gを仕込み、溶解させた後、65℃で1時間反応させた。その後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液91gを65℃に保ちながら1時間かけて滴下した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下終了後も、30分間65℃で反応を行わせた。次いで、水270gを加え65℃で10分間攪拌した後、静置した。15分間静置したところ有機層と水層およびその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離した。水層およびゲル状不純物の層を容器の下部より抜き出した。ゲル状不純物の乾燥後の重量は、0.3gであった。有機層から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンと2-プロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。
この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン200gに溶解させ、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液 100gを加え、85℃の温度で1時間反応させた。その反応終了後に、水100gを加え80℃で10分間攪拌した後、静置分離し水層のみを除去した。さらに、電気伝導率0.31mS/mの蒸留水200gを加えて80℃で10分間攪拌した後、20分間静置したところ有機層と水層およびその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離した。水層のpHは9であった。水層およびゲル状不純物の層を容器の下部より抜き出した。ゲル状不純物の乾燥後の重量は、2.2gであった。有機層は水200gでさらに2回水洗した後、目開き約5ミクロンの濾紙で濾過し、不溶分を完全に除去した。濾過操作に要した時間は7分間であった。濾過で除去したゲル状不純物の乾燥後の重量は、0.1gであった。次いで、加熱しながら減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的の精製エポキシ樹脂82gを得た。
このエポキシ樹脂は、エポキシ当量111g/eq.、可鹸化塩素量280ppmの透明な淡黄色液体であった。
<比較例2>
実施例2と同様にエポキシ樹脂製造操作を行ったが、グリシジル化反応後および再閉環反応後のゲル状不純物の除去も行わなかった。有機層の濾過の作業においは、濾紙の代わりに200メッシュの金網(目開き約70ミクロン)を用いたが、濾過開始初期より目詰まりが激しく、濾過速度が遅かった。全量の約1/2を濾過した時点で完全に目詰まりしたため、金網を交換した。合計2枚の金網を使用し全量を濾過し終えた。濾過操作に要した時間は28分間であった。濾過で除去したゲル状不純物の乾燥後の重量は、3.4gであった。得られた樹脂の収量は78g、品質は、実施例2とほぼ同様であったが、濁りが見られた。
本発明によりエポキシ樹脂は不純物が除去され、高純度のエポキシ樹脂が得られるので、特に半導体の封止用に使用されるエポキシ樹脂として有効に利用される。

Claims (7)

  1. ゲル状不純物の少ない精製エポキシ樹脂を製造する方法であって、1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下に反応させることにより得られたゲル状不純物を含む粗製エポキシ樹脂を溶融状態または溶液状態で水を加えて混合し、次いで有機層と水層とその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離させ、続いて生成したゲル状不純物の50重量%以上を除去した後に有機層を濾過することを特徴とする精製エポキシ樹脂の製造方法。
  2. 有機ハロゲン不純物を含む粗製エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂を溶解するが水と難相溶性であるエピハロヒドリン以外の有機溶媒に溶解する工程、続いて該溶解液にアルカリ金属水酸化物を固体または溶液で加えて塩素化反応を行う工程、その後水の存在下に有機層と水層とその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離させる工程、更に生成したゲル状不純物の50重量%以上を除去した後に有機層を濾過する工程を順に行う、請求項1に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
  3. 1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物が、多価フェノール化合物、アミノ化合物およびアミノフェノール類から選ばれた少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
  4. 1分子当たり平均2個以上の活性水素を有する化合物が、少なくとも1種のビフェノール類を含む化合物であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
  5. 得られる精製エポキシ樹脂中の可鹸化塩素含有量が500ppm以下であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
  6. 有機層と水層とその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離させた際の水層のpHが5以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
  7. ゲル状不純物を含む粗製エポキシ樹脂を溶融状態または溶液状態で水を加えて混合し、次いで有機層と水層とその中間に浮遊するゲル状不純物の層に分離させる操作を行う温度が20℃から150℃である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載された精製エポキシ樹脂の製造方法。
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