JP2002338657A - 高純度エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents
高純度エポキシ樹脂の製造方法Info
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Abstract
て低い高純度なエポキシ樹脂を工業的有利に製造する方
法を提供すること。 【解決手段】ビスフェノール類とエピハロヒドリンをア
ルカリ金属水酸化物の存在化に反応させてビスフェノー
ル型エポキシ樹脂を製造するに際し、固形水酸化カリウ
ムであるアルカリ金属水酸化物を用い、系内水分を1重
量%以下に維持しながら下記一般式(1)で表されるハ
ロヒドリンエーテル基純度を20乃至50%の範囲まで
反応させる第一工程と、第一工程で得られた反応混合物
にアルカリ金属水酸化物水溶液加え、反応系にある水と
エピハロヒドリンとを共沸させて、水を反応系外に除去
することにより、反応系内水分量を1重量%以下に保ち
ながら反応を行う第二工程から成る反応を行い、高純度
のエポキシ樹脂を工業的に有利に得る。 【数1】
Description
脂の製造方法に関するものであり、とりわけ塗料、電
気、電子用途に有用な高純度エポキシ樹脂の製造方法に
関するものである。
的特性により塗料、電気・電子、土木・建築、接着剤、
難燃剤等の広範な用途で使用されている。近年、各用途
に応じて要求される性能はますます高度化してきてい
る。 例えば電気・電子分野では電子部品封止剤、積層
板の材料として使用されるエポキシ樹脂は、その硬化物
の耐熱性、耐湿性等の信頼性に悪影響を及ぼす加水分解
性塩素分やα−ジオール含有量の少ない高純度なエポキ
シ樹脂が求められている。また、塗料分野においても、
塗膜の高可とう性、高耐衝撃性、高耐薬品性を得るため
に、架橋密度を高めることの必要性から加水分解性塩素
分やα−ジオール成分量の少ない高純度のエポキシ樹脂
が求められている。
ジオール含有量を低減する方法については種々の方法が
提案されている。 例えば、特開昭54−90400号
公報には、多価フェノール類とエピクロルヒドリンを四
級アンモニウム塩の存在下に反応させ、その生成物に4
0乃至60重量%のイソプロピルアルコール及び任意の
水で希釈して、アルカリ金属水酸化物水溶液と接触させ
て反応させる方法が開示されている。 また、特開昭6
3−54417号公報には、多価フェノール類とエピク
ロルヒドリンをアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下で
反応させるに際し、4つの工程を経る方法が提案されて
おり、特に重要となる主反応工程では、特定温度、特定
圧力下でアルカリ金属水酸化物水溶液を供給しながら系
内水分を1乃至2重量%内に保って反応する方法が開示
されている。しかしながら、前者の方法では実施例中、
α−ジオール含有量は2乃至4meq/100g程度ま
でしか低下していなく、不十分であり、また、高価な四
級アンモニウム塩、水溶性のイソプロピルアルコールを
使用するため、工業的に不利となる。 また、後者の方
法でも、実施例中、α−ジオール含有量は2meq/1
00g程度までしか低下していなく、不十分である。
−155978号では多価フェノール類とエピクロルヒ
ドリンを固形アルカリ金属水酸化物を使用し、高純度エ
ポキシ樹脂を製造する方法が開示されている。しかしな
がら、これらはいずれも、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミド、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の非プロ
トン性極性溶媒を反応助溶媒として使用する事が必須と
なっている。これらの非プロトン性極性溶媒は、いずれ
も高価であるばかりでなく、基本的に親水性であり、廃
水中への移行は避けられず、また、難生分解性である事
から工業的に著しく不利になるという問題があった。
は加水分解性塩素分やα−ジオール成分量の少ない高純
度のエポキシ樹脂を得るべく種々鋭意検討した結果、次
のような知見を得て本発明を完成するに至った。即ち、
ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの基本反応
は、(1)付加反応、(2)脱塩酸反応および(3)付
加重合反応の三つからなっている。
テルが生成し、生成したクロルヒドリンエーテルがアル
カリによって閉環しグリシジルエーテルを生成する。こ
の反応は脱塩酸反応と呼ばれている。更に生成したグリ
シジルエーテルとビスフェノールAが反応する付加重合
反応が起こり、この三つの反応が繰り返されることによ
ってエポキシ樹脂が生成される。そして、エポキシ樹脂
反応生成過程において、ハロヒドリン基数、フェノール
性水酸基数、およびエポキシ基数の3者の合計に対する
ハロヒドリン基数の占める割合(これをハロヒドリンエ
ーテル基の純度という)を特定の値にすることによって
高純度のエポキシ樹脂が得られるとの知見を見出し、本
発明を完成したのであって、本発明の目的は工業的に有
利な方法で高純度エポキシ樹脂を製造する方法を提供す
るものである。
ェノール類とエピハロヒドリンをアルカリ金属水酸化物
の存在下に反応させてビスフェノール型エポキシ樹脂を
製造するに際し、少なくとも下記の第一工程と第二工程
の2つの工程を経ることを特徴とするものであり、エポ
キシ当量が156乃至2000g/eq、α−ジオール
含有量が2meq/100g以下である高純度のビスフ
ェノール型エポキシ樹脂を提供するものである。 (第一工程)ビスフェノール類を該ビスフェノール類の
フェノール性水酸基1当量当たり0.3乃至10モルの
エピハロヒドリンに溶解し、ついで該ビスフェノール類
のフェノール性水酸基1当量当たり0.005乃至0.
5モルの固形水酸化カリウムを一括又は間欠又は連続的
に供給し、40乃至100℃の温度を保ちながら、必要
に応じて反応系にある水とエピハロヒドリンとを共沸さ
せ、水を反応系外に除去する事により反応系内水分量を
1重量%以下に保持しながら、下記式(1)で表わされ
るハロヒドリンエーテル基純度を20乃至50%の範囲
まで反応させる工程。
物に常圧又は減圧下で、該ビスフェノール類のフェノー
ル性水酸基1当量当たり0.4乃至1.295モルのア
ルカリ金属水酸化物水溶液を連続して供給し、水とエピ
ハロヒドリンとを共沸させて、水を反応系外に除去する
事により、反応系内水分量を1重量%以下に保持しなが
ら40乃至100℃の温度で反応を行う工程を経て高純
度エポキシ樹脂を製造するものである。
とも2つの段階の反応工程を経て高純度のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂を製造する事である。更に詳しくは、
第一工程ではビスフェノール類とエピハロヒドリンの付
加反応を、固形水酸化カリウムを使用して、ハロヒドリ
ンエーテル基純度を20乃至50%の範囲にすることを
目的とし、後続する第二工程では、アルカリ金属水酸化
物水溶液によるグリシジルエーテルを与えるための該ハ
ロヒドリンエーテルの脱ハロゲン化水素反応を優先して
進行させることによって目的を達成する。通常、形式的
にはこの様な2つの段階の反応工程を経る方法が多く提
案されているものの、必ずしもそれぞれの目的とする反
応が選択的に進行しているものではなかった。特に、第
一工程の反応では、ハロヒドリンエーテル基純度を高め
るために例えば四級アンモニウム塩の如くイオン化可能
なハロゲン化物を触媒とする方法、アルコール類等のプ
ロトン性極性溶媒を使用する方法、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル等の非プロトン性極性溶媒
を使用する方法、系内水分を高める方法及びこれらを併
用する方法が提案されている。
ンエーテル化基純度を高める効果は得られるが、生成し
たハロヒドリンエーテルとエピハロヒドリンとの副反応
の増大、プロトン性有機溶媒とエピハロヒドリンとの付
加副生物の生成、非プロトン性極性溶媒の廃水中への移
行、エピハロヒドリンの加水分解の増大による収率の低
下、廃水処理負荷の増大等、それぞれ根本的な欠陥を有
しており工業的に著しく不利な方法であった。また一
方、ハロヒドリンエーテル化反応及び脱ハロゲン化水素
反応時の系内水分量を低くする事で、エピハロヒドリン
の加水分解を制御し、高純度のビスフェノール型エポキ
シ樹脂を製造する方法は公知である。しかしながら、従
来の技術では系内水分量は1乃至2重量%が限度であ
り、これ以上系内水分量を低くすると、ハロヒドリンエ
ーテル化反応及び引き続く脱ハロゲン化水素反応が速や
かに進行せず、残存しているフェノール性水酸基と生成
したエポキシ基との付加反応が優先して、その付加反応
により生成したアルコール性水酸基とエポキシ基の付加
反応に及んだ場合には、好ましくない枝分かれ反応や架
橋反応が起こり、極端な場合にはゲル化するという現象
が起こる。
媒やプロトン性或いは非プロトン性極性溶媒等の助溶媒
を使用することなく、系内水分量が極力低い領域で、固
形水酸化カリウムをハロヒドリンエーテル化触媒とする
ことで、ハロヒドリンエーテル基純度を高め、ビスフェ
ノール型高純度エポキシ樹脂を得るという従来技術にな
い工業的有利な製造方法を本発明により可能となった。
ル類はビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェ
ノールAD、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビ
スフェノールE、ビスフェノールB等が挙げられるが、
これらのなかでビスフェノールA又はビスフェノールF
が特に好ましい。本発明に用いられるエピハロヒドリン
としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、
エピヨードヒドリン、メチルエピクロルヒドリン、メチ
ルエピブロモヒドリン、メチルエピヨードヒドリン等が
挙げられるが、好ましくはエピクロルヒドリンである。
本発明に係わる第一工程はビスフェノール類をフェノー
ル性水酸基1当量当たり、0.3乃至10モルのエピハ
ロヒドリンに溶解し、ついで該ビスフェノール類のフェ
ノール性水酸基1当量当たり0.005乃至0.5モル
の固形水酸化カリウムを一括又は間欠又は連続して供給
し、40乃至100℃の温度を保ちながら、必要に応じ
て反応系にある水とエピハロヒドリンとを共沸させ水を
反応系外に除去する事により反応系内水分量を1重量%
以下に保持しながら、下記式(1)で表わされるハロヒ
ドリンエーテル基純度を20乃至50%以上まで反応さ
せる。
ーテル化の触媒として、固形水酸化カリウムを使用し、
必要に応じて反応系にある水とエピハロヒドリンを共沸
させ水を反応系外に除去する事により反応系内水分量を
1重量%以下に保持する事である。反応系内水分が1重
量%より高いと、エピハロヒドリンの加水分解が進行
し、この加水分解物がハロヒドリンエーテルと副反応を
起こし、得られた樹脂の純度が低くなるので好ましくな
い。また、この工程の第二の特徴は、式(1)で表され
るハロヒドリンエーテル基純度を20乃至50%の範囲
まで反応させる事である。式(1)中のハロヒドリン基
数、エポキシ基数、フェノール性水酸基数はそれぞれ、
反応物中の水酸化カリウムによる加水分解性ハロゲンの
定量、過塩素酸滴定法によるエポキシ基の定量、UV吸
収法による残存フェノール性水酸基の定量等公知の方法
で測定し、樹脂単位重量当たりの当量数で定義される。
ハロヒドリンエーテル基純度が20%に到達しないと、
次の第二工程で好ましくない重合反応、或いはゲル化が
起こる。また、必要以上に反応温度、反応時間を要して
ハロヒドリンエーテル基純度を50%以上に高めても、
この間、わずかな量の系内水分により、エピハロヒドリ
ンの加水分解反応が進行し、高純度エポキシ樹脂を得る
という観点から不利となるからである。
は、製造しようとする樹脂の目標とするエポキシ当量に
もよるが、ビスフェノール類のフェノール性水酸基1当
量当たり0.6乃至10モルの範囲が好ましく、更に好
ましくは1.5乃至10モルの範囲である。本発明で使
用する固形水酸化カリウムは通常、純度85乃至97重
量%程度で顆粒状或いはフレーク状で市販されており、
これら純度、形状に限定されるものではないが純度85
重量%以上のものが好ましい。また、形状については一
例としてフレーク状、粒状等があげられる。固形水酸化
カリウムの使用量はビスフェノール類のフェノール性水
酸基1当量当たり0.005乃至0.5モルの範囲が好
ましい。0.005モル以下では目標とするハロヒドリ
ンエーテル基純度の到達までに長時間を有するからであ
り、0.5モル以上では、固形水酸化カリウム中の水分
及び、副生する水分が多くなり、系内水分を1重量%以
下に保つことが困難となるから好ましくない。反応温度
は40乃至100℃の範囲が好ましく、更に好ましくは
50乃至70℃の範囲である。反応時間は使用する固形
水酸化カリウム量及び反応時間により、目標とするハロ
ヒドリンエーテル基純度が20乃至50%に達する時間
で十分であり、0.5乃至5時間が好ましい。
られた反応混合物に常圧又は減圧下で、第一工程で使用
したビスフェノール類のフェノール性水酸基1当量あた
り0.4乃至1.295モルのアルカリ金属水酸化物水
溶液を連続して供給し、反応系内の水とエピハロヒドリ
ンとを共沸させて、水を反応系外に除去することによ
り、反応系内水分量を1重量%に保ちながら40乃至1
00℃の温度で反応を行う。この工程で使用されるアル
カリ金属水酸化物水溶液としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化リチウムの水溶液が挙げられ、
40乃至50重量%のものが好ましい。この第二工程で
の要件は、アルカリ金属水酸化物水溶液を連続的に供給
しながら、反応系にある水とエピハロヒドリンとを共沸
により蒸発させて、水を反応系外に除去する事により系
内水分量を1重量%以下に制御する事である。反応系内
の水分が1重量%を越えると、目標とする高純度のビス
フェノール型エポキシ樹脂が得られないためである。こ
の工程での反応温度は40乃至100℃の範囲が好まし
く、更には50乃至70℃が好ましい。反応は常圧又は
減圧下で実施できる。反応時間は1乃至8時間で十分で
ある。また、反応の際に、反応系の粘度を下げる目的
で、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の
不活性溶媒を使用することも本発明の範囲を越えるもの
ではない。この場合、非水溶性溶媒が好ましい事はいう
までもない。
キシ樹脂を含む溶液から、常圧又は減圧下でエピハロヒ
ドリンを蒸留等により除去することにより、残留樹脂と
副生アルカリ塩を含んだ粗製エポキシ樹脂として得られ
る。このようにして得られた粗製エポキシ樹脂に、メチ
ルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の有機溶媒
を加え、エポキシ樹脂を溶解する。次に、必要に応じ
て、エポキシ樹脂中に残留する微量の加水分解性ハロゲ
ン量を下げる目的で、アルカリ金属水酸化物を添加し
て、好ましくは50乃至80℃の温度で1乃至5時間処
理することができる。この際用いられるアルカリ金属水
酸化物は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げら
れ、固形または水溶液の状態で添加することができ、そ
の使用量は、加水分解性ハロゲン1当量に対して1乃至
20モルの範囲が好ましい。このようにしてアルカリ金
属水酸化物で処理した後、必要により濾過等によって、
副生アルカリ塩を除去した後、水洗により副生アルカリ
塩及び/又は過剰のアルカリ金属水酸化物を除去する。
この水洗は、分離した水相のpHが中性になるまで行わ
れるが、この際、燐酸等の酸を補助的に使用してもかま
わない。その後、有機溶媒を常圧又は減圧下で蒸留によ
り除去する事によって本発明の高純度エポキシ樹脂を得
ることが出来る。
的に例示するが、これらに限定されるものではない。
尚、本文中「部」とあるのは重量部を意味する。 実施例1 攪拌機、温度計、窒素導入管、滴下装置及び冷却管を合
わせ持つ油水分離装置を備えたセパラブルフラスコに、
ビスフェノールA200部、エピクロルヒドリン460
部を仕込み、窒素雰囲気下、60℃まで加熱して溶解し
た。次にこの溶液に96%の固形水酸化カリウム10部
を添加して60℃で2時間反応を行った(第一工程)。
第一工程の系内水分は、0.8%であった。この第一工
程後のハロヒドリンエーテル基純度は35%であった。
次に、反応系内の温度を60℃に維持しながら徐々に減
圧してエピクロルヒドリンと水とを共沸させ、油水分離
装置を経由して上層の水を除去、下層のエピクロルヒド
リン層を系内に戻し還流させた。この状態を維持しなが
ら、49%水酸化ナトリウム水溶液132部を4時間か
けて滴下して第二工程を進めた。この間、系内は60乃
至62℃、100乃至120mmHg、水分0.7乃至
0.8%に維持した(第二工程)。滴下終了後、60
℃、100mmHgの還流下で30分間維持した。その
後、還流したエピクロルヒドリンを系外に除去しなが
ら、系内の温度、減圧度を徐々に高めて、最終的に15
0℃、5mmHgになるまでエピクロルヒドリンを蒸発
回収した。その後、系を常圧に戻し、トルエン300部
を加え、粗製樹脂を溶解した。この溶液に20%水酸化
ナトリウム水溶液10部を加え、80℃で3時間処理し
た後、水500部を加え副生食塩を分離、除去した。そ
の後、水300部で数回洗浄を行い、洗浄水が中性にな
るまで繰り返した。この溶液から、5mmHgの減圧
下、150℃に加熱してトルエンを除去し、液状のエポ
キシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当
量184g/eq、α−ジオール含有量0.5meq/
100g、加水分解性塩素0.012%、粘度11,2
00mPa・s(25℃)であった。
ピクロルヒドリン500部を仕込み、窒素雰囲気下、6
0℃まで加熱して溶解した。この溶液に96%固形水酸
化カリウム5部を添加して60℃で4時間反応を行っ
た。第一工程の反応系内水分0.9%であった。この第
一工程後のハロヒドリンエーテル基純度は28%であっ
た。次に、反応系内の温度を60℃に維持しながら徐々
に減圧してエピクロルヒドリンと水とを共沸させ、油水
分離装置を経由して上層の水を除去、下層のエピクロル
ヒドリン層を系内に戻し還流させた(第一工程)。この
状態を維持しながら、48%水酸化カリウム水溶液20
6部を5時間かけて滴下した。この第二工程での系内は
59乃至61℃、90乃至110mmHg、水分0.6
乃至0.7%に維持した(第二工程)。その後、実施例
1と同様の処理を行い、液状のエポキシ樹脂を得た。得
られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量182g/eq、
α−ジオール含有量0.4meq/100g、加水分解
性塩素0.013%、粘度10,300mPa・s(2
5℃)であった。
とした以外は実施例1と同様の反応を行った。第一工程
の反応系内水分0.5%であった。第一工程終了時のハ
ロヒドリンエーテル基純度は38%であった。第二工程
の反応時の系内は61乃至63℃、110乃至130m
mHg、水分0.7乃至0.8%に維持した。得られた
樹脂は、エポキシ当量165g/eq、α−ジオール含
有量0.7meq/100g、加水分解性塩素0.00
3%、粘度2,900mPa・s(25℃)であった。
ピクロルヒドリン460部を仕込み、窒素雰囲気下、6
0℃まで加熱して溶解した。この溶液に96%固形水酸
化カリウム10部を添加して、60℃で3時間反応を行
った。第一工程の反応系内水分0.7%であった。この
第一工程後のハロヒドリンエーテル基純度は42%であ
った。次に、反応系内の温度を60℃に維持しながら徐
々に減圧してエピクロルヒドリンと水とを共沸させ、油
水分離装置を経由して上層の水を除去、下層のエピクロ
ルヒドリン層を系内に戻し還流させた。この状態を維持
しながら、48%水酸化カリウム水溶液189部を5時
間かけて滴下した。この第二工程での系内は60乃至6
2℃、100乃至120mmHg、水分0.7乃至0.
8%に維持した。その後、実施例1と同様の処理を行
い、エポキシ当量183g/eq、α−ジオール含有量
0.5meq/100g、加水分解性塩素0.011
%、粘度10,800mPa・s(25℃)の樹脂を得
た。
ピクロルヒドリン114部及びトルエン300部を仕込
み、窒素雰囲気下、60℃まで加熱して溶解した。この
溶液に96%固形水酸化カリウム10部を仕込み80℃
で2時間反応させた。第一工程の反応系内水分0.7%
であった。この第一工程後のハロヒドリンエーテル基純
度は32%であった。次に、常圧下、85乃至86℃で
49%水酸化ナトリウム水溶液129部を3時間かけて
滴下した。この時、トルエンと水との共沸混合物が還流
し、油水分離槽で下層の水を系外から除去、上層のトル
エンを系内に戻した。この間、系内の水分は0.4乃至
0.5%であった。この第二工程終了後、86℃の還流
状態で30分間保持した。その後、トルエン400部を
及び水500部を加え、副生食塩を分離、除去した。こ
の溶液を、水300部で数回洗浄して、洗浄水が中性に
なるまで繰り返した。この溶液から、5mmHgの減圧
下、150℃に加熱してトルエンを除去し、エポキシ当
量480g/eq、加水分解性塩素0.04%、α−ジ
オール含有量1.2meq/100g、軟化点68℃の
固形エポキシ樹脂を得た。
ピクロルヒドリン500部を仕込み、窒素雰囲気下、6
0℃まで加熱して溶解した。この溶液に固形水酸化カリ
ウムの代わりに96%固形水酸化ナトリウム10部を添
加して60℃で4時間反応を行った。この時点でのハロ
ヒドリンエーテル基純度は12%であった。次に、反応
系内の温度を60℃に維持しながら徐々に減圧してエピ
クロルヒドリンと水を共沸させ、油水分離装置を経由し
て上層の水を除去、下層のエピクロルヒドリン層を系内
に戻し還流させた。59乃至61℃、90乃至110m
mHg、水分0.6乃至0.7%に維持しながら、49
%水酸化ナトリウム水溶液132部を4時間かけて滴下
しようとしたところ、滴下3時間目に反応物がゲル化し
た。
ピクロルヒドリン500部を仕込み、窒素雰囲気下、6
0℃まで加熱して溶解した。この溶液に固形水酸化カリ
ウムの代わりに49%水酸化ナトリウム水溶液14部を
添加して60℃で4時間反応を行った。この時点でのハ
ロヒドリンエーテル基純度は32%であった。次に、反
応系内の温度を60℃に維持しながら徐々に減圧してエ
ピクロルヒドリンと水を共沸させ、油水分離装置を経由
して上層の水を除去、下層のエピクロルヒドリン層を系
内に戻し還流させた。この状態を維持しながら、49%
水酸化ナトリウム水溶液132部を4時間かけて滴下し
た。この間系内は、60乃至62℃、140乃至180
mmHg、水分1.1乃至1.4%に維持した。その
後、実施例1と同様の処理を行い、エポキシ当量186
g/eq、α−ジオール含有量3.2meq/100
g、加水分解性塩素0.023%、粘度12,800m
Pa・s(25℃)の樹脂を得た。
ば、確実に高純度のエポキシ樹脂が得られ、しかも工業
的塗料、電気・電子、土木・建築、接着剤、難燃剤用途
等、幅広い用途に有用であり、極めて価値のあるもので
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 ビスフェノール類とエピハロヒドリンを
アルカリ金属水酸化物の存在下に反応させてビスフェノ
ール型エポキシ樹脂を製造するに際し、少なくとも下記
の2つの工程を経ることを特徴とする高純度エポキシ樹
脂の製造方法。 (第一工程)ビスフェノール類を該ビスフェノール類の
フェノール性水酸基1当量当たり0.3乃至10モルの
エピハロヒドリンに溶解し、ついで該ビスフェノール類
のフェノール性水酸基1当量当たり0.005乃至0.
5モルの固形水酸化カリウムを一括又は間欠又は連続し
て供給し、40乃至100℃の温度を保ちながら、必要
に応じて水とエピハロヒドリンとを共沸させ、水を反応
系外に除去する事により反応系内水分量を1重量%以下
に保持しながら、下記式(1)で表わされるハロヒドリ
ンエーテル基純度を20乃至50%の範囲まで反応させ
る工程。 【数1】 (第二工程)第一工程で得られた反応混合物に常圧又は
減圧下で、該ビスフェノール類のフェノール性水酸基1
当量当たり0.4乃至1.295モルのアルカリ金属水
酸化物水溶液を連続して供給し、反応系にある水とエピ
ハロヒドリンとを共沸させて、水を反応系外に除去する
事により、反応系内水分量を1重量%以下に保ちながら
40乃至100℃の温度で反応を行う工程。 - 【請求項2】 ビスフェノール類がビスフェノールA又
はビスフェノールFであり、エピハロヒドリンがエピク
ロルヒドリンであることを特徴とする請求項1記載の製
造方法。 - 【請求項3】 エポキシ当量が156乃至2,000g
/eq、α−ジオール含有量が2meq/100g以下
である請求項1記載の高純度エポキシ樹脂の製造方法。 - 【請求項4】 第一工程でのエピハロヒドリンの使用量
がビスフェノール類のフェノール性水酸基1当量当たり
1.5乃至10モルであり、第二工程でのアルカリ金属
水酸化物水溶液の使用量がビスフェノール類のフェノー
ル性水酸基1当量あたり0.45乃至0.945モルで
あることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかの項
記載の高純度エポキシ樹脂の製造方法。
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