JP2023101259A - エポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び硬化物の製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び硬化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】廃ポリカーボネート等のポリカーボネートのケミカルリサイクルに際し、ジヒドロキシ化合物の回収工程を経ることなく、産業上有用なエポキシ樹脂を直接製造する製造方法を提供する。【解決手段】金属水酸化物の存在下、原料としてポリカーボネートとエピハロヒドリンとを用いて、分解反応によりエポキシ樹脂を得る、エポキシ樹脂の製造方法。ポリカーボネートとしては芳香族ポリカーボネートが好ましく、分解反応を有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。エピハロヒドリンは、ポリカーボネート中のカーボネート結合1モル当たり1.0~20.0モル用いることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネートを原料とするエポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂組成物の製造方法、及び硬化物の製造方法に関する。
近年、プラスチックによる海洋汚染などプラスチックごみによる環境問題が社会的問題として着目され、廃棄物のリサイクルの要望が高まっている。リサイクルには、廃棄物を焼却し、発生する熱エネルギーを回収して利用するサーマルリサイクル、廃棄物を機械的に破砕し、加工処理を加えることで他の工業材料を新たに製造するマテリアルリサイクル、廃棄物に化学的な処理を施し、原料に戻して化学物質に転換するケミカルリサイクルがある。リサイクルの中でも、ケミカルリサイクルによるリサイクルの比率は低い水準にとどまっており、効率的、かつ経済的なケミカルリサイクルの技術が求められている。
代表的なプラスチックの一つとして、ポリカーボネートは透明性、機械物性、難燃性、寸法安定性、電気特性により、幅広い分野で用いられている。ポリカーボネートのリサイクル方法の1つとして、ポリカーボネートを化学的に分解しジヒドロキシ化合物まで戻して再利用するケミカルリサイクルがある。ポリカーボネートの分解方法の1つとして、加水分解が知られている。
例えば特許文献1には、廃芳香族ポリカーボネートを金属水酸化物水溶液により分解し、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属塩水溶液を得、該水溶液から芳香族ジヒドロキシ化合物を回収する方法が開示されている。
国際公開第2006/114893号
特許文献1に代表される従来の廃ポリカーボネートのケミカルリサイクル技術では、回収されるのはビスフェノールAなどのジヒドロキシ化合物であり、産業上有用な化学製品を得るためには重縮合や官能基化など更なる工程を経る必要があった。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の課題は、廃ポリカーボネート等のポリカーボネートのケミカルリサイクルに際し、ジヒドロキシ化合物の回収工程を経ることなく、産業上有用なエポキシ樹脂を直接製造する製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリカーボネートと共に原料としてエピハロヒドリンを含む組成物を、金属水酸化物の存在下に分解反応することによって、エポキシ樹脂を直接合成できることを見出し、発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]~[10]に存する。
[1] 金属水酸化物の存在下、原料としてポリカーボネートとエピハロヒドリンとを用いて、分解反応によりエポキシ樹脂を得る、エポキシ樹脂の製造方法。
[2] 前記ポリカーボネートが芳香族ポリカーボネートである、[1]に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
[3] 前記分解反応を有機溶媒の存在下で行う、[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
[4] 前記ポリカーボネート中のカーボネート結合1モル当たり、前記エピハロヒドリンを1.0~20.0モル用いる、[1]~[3]のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
[5] 前記ポリカーボネートが廃ポリカーボネート樹脂を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
[6] 得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量が、50~10,000g/eqである、[1]~[5]のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載の方法によって得られたエポキシ樹脂に硬化剤を配合する、エポキシ樹脂組成物の製造方法。
[8] 前記エポキシ樹脂100質量部に対し、前記硬化剤0.1~1000質量部を配合する、[7]に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
[9] 前記硬化剤が、多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、メルカプタン系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[7]又は[8]に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
[10] [7]~[9]のいずれかに記載方法によって得られたエポキシ樹脂組成物を硬化させる、硬化物の製造方法。
本発明の製造方法によれば、廃ポリカーボネート等のポリカーボネートのケミカルリサイクルに際し、ジヒドロキシ化合物の回収工程を経ることなく、塗料、電気・電子材料、接着剤、繊維強化樹脂(FRP)等の分野において好適に用いることができるエポキシ樹脂を、工業的利便性を損なうことなく、効率的に製造することが可能であり、その工業的有用性は極めて大きい。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔ポリカーボネート〕
本発明のエポキシ樹脂の製造方法で原料として用いられるポリカーボネートは、カーボネート結合(-O-C(=O)-O-)を含む重合体を含むものである。ポリカーボネートとしては限定されないが、原料の入手性、製造するエポキシ樹脂の有用性の点から、芳香族ポリカーボネートであることが好ましい。
本発明の芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネートであればよく、該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサン、ビスフェノールフルオレン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ-t-ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS等のビスフェノール類;ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ-t-ブチルビフェノール等のビフェノール類;ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類(ここで、「ベンゼンジオール類」とは、1個のベンゼン環を有する化合物であって、当該ベンゼン環に2個の水酸基が直接結合した化合物である。);ジヒドロアントラハイドロキノン等のジヒドロアントラハイドロキノン類;ジヒドロキシジフェニルエーテル等のジヒドロキシジフェニルエーテル類;チオジフェノール等のチオジフェノール類;ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ジヒドロキシスチルベン等のジヒドロキシスチルベン類;等の各種のフェノール系化合物等が挙げられる。
本発明で用いるポリカーボネートは、これらのジヒドロキシ化合物を単独で用いたホモポリマーであってもよく、2種以上を用いたコポリマーであってもよい。
上述した芳香族ジヒドロキシ化合物のうち、ビスフェノールA、ビスフェノールCを主構造単位とするものが、反応性、原料の入手のしやすさ、得られるエポキシ樹脂の汎用性の観点から特に好ましい。
これらのポリカーボネートは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本発明で用いるポリカーボネートは、ポリカーボネート単独に限定されず、ポリカーボネート以外の樹脂、例えばポリエステル、ポリアリレート等の1種又は2種以上を含む組成物として用いてもよい。ポリカーボネート以外の樹脂を含む組成物を用いる場合、ポリカーボネートの組成物中にポリカーボネートを50質量%以上含むものが好ましく、より好ましくは70質量%以上であり、更により好ましくは90質量%以上である。
また、ケミカルリサイクルの観点から、原料ポリカーボネートは、廃プラスチックとして処理される、使用済のポリカーボネート(以下、「廃ポリカーボネート」と略記することがある)を含むことが好ましい。
原料ポリカーボネートとして廃ポリカーボネートを用いる場合、廃ポリカーボネートは、予め、洗浄、破砕、粉砕など行うことが好ましい。
また、ポリカーボネートを含む廃プラスチックを用いる場合、必要に応じて、廃プラスチック中に含まれるポリカーボネート以外の物質を除去することが好ましい。ポリカーボネート以外の物質を除去する方法としては、例えば、エピハロヒドリン、及び必要に応じて有機溶媒に廃プラスチックを溶解させて、濾過することにより、ポリカーボネート以外の物質を除去する方法などが挙げられる。
〔エピハロヒドリン〕
本発明の製造方法に用いられるエピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、β-メチルエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。これらのうち、エピクロロヒドリンであることが、反応性、原料の入手のしやすさ、得られるエポキシ樹脂の汎用性の観点から特に好ましい。
これらのエピハロヒドリンは、1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法に用いられるエピハロヒドリンの使用量は、特に限定されないが、原料ポリカーボネート中のカーボネート結合1モル当たり、1.0~20.0モルであることが好ましく、3.0~16.0モルであることがより好ましく、6.0~14.0モルであることが特に好ましい。エピハロヒドリンの使用量が上記下限以上であると、架橋反応などの好ましくない副反応を抑制することができる点で好ましい。また、エピハロヒドリンの使用量が上記上限以下であると工業的な生産効率を向上する点で好ましい。
〔金属水酸化物〕
本発明のエポキシ樹脂の製造方法に用いられる金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらは、1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
原料入手の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムであることが特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法に用いられる金属水酸化物は、金属水酸化物水溶液として、反応時間内に連続的に供給されるが、金属水酸化物の供給量は、ポリカーボネート樹脂中のカーボネート結合1モル当たり2~12モルであることが好ましく、2.4~8モルであることがより好ましく、3~6モルであることが特に好ましい。金属水酸化物の使用量が上記下限以上であると、分解反応やエポキシ基の形成反応の反応速度が十分に確保できるため、得られるエポキシ樹脂の品質、生産効率の点から好ましい。また、上記上限以下であると、過剰反応を抑制し、架橋反応などの副反応を抑制できる点から好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法に用いられる金属水酸化物水溶液の金属水酸化物濃度は、入手性の観点から、5~50質量%であることが好ましい。
〔反応条件〕
ポリカーボネートの分解反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により、グリシジル化で生成する水と金属水酸化物水溶液由来の水を脱水処理することで行われる。こうすることで系内水分量を低減することができ、金属水酸化物によるエポキシ基の形成を促進することができる。
共沸凝縮液からのエピハロヒドリンの分離方法は、特に限定されないが、例えば、共沸凝縮液を静置分離装置にて静置分離し、下層のエピハロヒドリンのみを系内に連続的に戻すことで、エピハロヒドリンを循環する。静置分離装置に滞留するエピハロヒドリンの量は、系内のエピハロヒドリンのモル比を維持するため、仕込みエピハロヒドリンの総量に対して、5質量%以下であることが好ましい。
反応は、必要に応じて減圧下で行うことができる。反応系内の圧力は特に限定されないが、380~760mmHgであることが好ましい。減圧下で反応を行うことにより、水とエピハロヒドリンとの共沸を促進することができる。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法では、反応温度は30~100℃であることが、反応速度を十分に確保することができる点で好ましい。
また、反応時間は、10~360分であることが好ましく、20~300分であることがより好ましく、30~240分であることが、十分に反応を進行させる点から特に好ましい。
反応終了後は、必要に応じて後処理工程を行う。後処理として不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。
なお、本発明に係る分解反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
また、本発明に係る分解反応においては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
さらに、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。即ち、反応により得られたその粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30~120℃、より好ましくは40~110℃、さらに好ましくは50~100℃の温度で0.1~8時間、より好ましくは0.3~7時間、さらに好ましくは0.5~6時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去及び/または水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。この反応温度が低過ぎたり、反応時間が短すぎたりすると再閉環反応が進行しないことがある。また、反応温度が高過ぎたり、反応時間が長過ぎると反応は進行するが、高分子量化してエポキシ当量が高くなる、粘度が高くなる、などの不具合を生じる恐れがある。
〔エポキシ当量〕
本発明のエポキシ樹脂の製造方法により得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K7236により測定された値で、50~10,000g/eqであることが好ましく、100~5,000g/eqであることがより好ましく、150~3,000g/eqであることが特に好ましい。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲内であることによって、種々の硬化剤で硬化させた際の架橋密度が高まり、耐薬品性などに優れた硬化物が得られる。
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法は、少なくとも前述した本発明の製造方法により製造されたエポキシ樹脂(以下、このエポキシ樹脂を「本発明のエポキシ樹脂」と称し、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法により製造されたエポキシ樹脂組成物を「本発明のエポキシ樹脂組成物」と称す場合がある。)に、硬化剤を配合させるものである。また、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法では、必要に応じて、他のエポキシ化合物、硬化促進剤、その他の成分等を適宜配合することができる。
[硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法に用いる硬化剤は、エポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ化合物のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法における硬化剤の配合量は、本発明のエポキシ樹脂100質量部に対して好ましくは0.1~1000質量部であり、より好ましくは100質量部以下であり、更に好ましくは80質量部以下であり、特に好ましくは60質量部以下である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法において、本発明のエポキシ樹脂以外の後述する他のエポキシ化合物が含まれる場合、硬化剤の配合量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対して好ましくは0.1~1000質量部であり、より好ましくは100質量部以下であり、更に好ましくは80質量部以下であり、特に好ましくは60質量部以下である。
硬化剤のより好ましい量は、硬化剤の種類に応じてそれぞれ以下に記載する通りである。
本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ化合物のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法において、硬化剤としては多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
多官能フェノール類の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、ビスフェノールZ、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類、4,4’-ビフェノール、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール等のビフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン類;及びこれらの化合物の芳香環に結合した水素原子がハロゲン基、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基、硫黄、リン、珪素等のヘテロ元素を含む有機置換基等の非妨害性置換基で置換されたもの等が挙げられる。
更に、これらのフェノール類やフェノール、クレゾール、アルキルフェノール等の単官能フェノール類とアルデヒド類の重縮合物であるノボラック類、レゾール類等が挙げられる。
ポリイソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。更に、これらのポリイソシアネート化合物と、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、水等の活性水素原子を少なくとも2個有する化合物との反応により得られるポリイソシアネート化合物、又は前記のポリイソシアネート化合物の3~5量体等を挙げることができる。
アミン系化合物の例としては、脂肪族の一級、二級、三級アミン、芳香族の一級、二級、三級アミン、環状アミン、グアニジン類、尿素誘導体等があり、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジシアンジアミド、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-7-ウンデセン、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)-5-ノネン、ジメチル尿素、グアニル尿素等が挙げられる。
酸無水物系化合物の例としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸と不飽和化合物の縮合物等が挙げられる。
イミダゾール系化合物の例としては、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等が挙げられる。なお、イミダゾール系化合物は後述する硬化促進剤としての機能も果たすが、本発明においては硬化剤に分類するものとする。
アミド系化合物の例としては、ジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
カチオン重合開始剤は、熱又は活性エネルギー線照射によってカチオンを発生するものであり、芳香族オニウム塩等が挙げられる。具体的には、SbF 、BF 、AsF 、PF 、CFSO 2-、B(C 等のアニオン成分とヨウ素、硫黄、窒素、リン等の原子を含む芳香族カチオン成分とからなる化合物等が挙げられる。特に、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩が好ましい。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
上記の硬化剤は各々1種を用いてもよく、同種又は異種のものを2種以上組み合わせて用いてもよい。
硬化剤として多官能フェノール類、アミン系化合物、酸無水物系化合物を用いる場合は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ基に対する硬化剤中の官能基(多官能フェノール類の水酸基、アミン系化合物のアミノ基又は酸無水物系化合物の酸無水物基)の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。ポリイソシアネート系化合物を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の水酸基数に対してポリイソシアネート系化合物中のイソシアネート基数が、当量比で1:0.01~1:1.5の範囲で用いることが好ましい。イミダゾール系化合物を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対して0.5~10質量部の範囲で用いることが好ましい。アミド系化合物を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分とアミド系化合物との合計量に対して0.1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。カチオン重合開始剤を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量部に対し、0.01~15質量部の範囲で用いることが好ましい。有機ホスフィン類を用いる場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分と有機ホスフィン類との合計量に対して0.1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には以上に挙げた硬化剤の他、例えば、メルカプタン系化合物、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体等も硬化剤として用いることができる。
これらの硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[他のエポキシ化合物]
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法では、本発明のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(本明細書において、「他のエポキシ樹脂」と称することがある。)を用いることができる。
他のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、その他の多官能フェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、上記芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が挙げられる。以上に挙げた他のエポキシ樹脂は1種のみで用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを含有する場合、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分中の他のエポキシ樹脂の割合は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、一方、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、本発明のエポキシ樹脂によるケミカルリサイクル性の効果を十分に得ることができる。
[溶剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時等の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、前述の通り、本発明においては「溶剤」という語と「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、本発明のエポキシ樹脂の製造に用いる反応溶媒として例示した有機溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
[その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分としては例えば、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に該当するものを除く。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。以上に挙げたその他の成分はエポキシ樹脂組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ化合物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物とする際のエポキシ樹脂組成物の硬化方法は、エポキシ樹脂組成物中の配合成分や配合量、配合物の形状によっても異なるが、通常、50~200℃で5秒~180分の加熱条件が挙げられる。この加熱は50~160℃で5秒~30分の一次加熱と、一次加熱温度よりも40~120℃高い90~200℃で1分~150分の二次加熱との二段処理で行うことが、硬化不良を少なくする点で好ましい。
硬化物を半硬化物として製造する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ樹脂組成物の硬化反応を進行させればよい。エポキシ樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、半硬化物中に5質量%以下の溶剤を残留させてもよい。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂及びそれを配合した本発明のエポキシ樹脂組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、繊維強化樹脂(FRP)等の分野において好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
なお、以下の実施例で得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236に基づいて測定した。
〔エポキシ樹脂の製造・評価〕
(実施例1)
温度計、滴下漏斗、撹拌機、窒素導入管、冷却管を有するセパラブルフラスコ反応器に、ユーピロンS-3000R(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂)150質量部、エピクロルヒドリン653質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり12.0モル)を仕込み、100℃に加温しポリカーボネートを溶解した。放冷した後にイソプロパノール255質量部、水90質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、約40℃まで昇温した。その後48質量%水酸化ナトリウム水溶液216質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり4.4モルとなるように水酸化ナトリウムを供給)を連続的に滴下しつつ65℃まで昇温し、120分反応を行った。その後水466質量部を投入し、油水分離した水層を分離することで樹脂溶液から反応で生成した塩、残存水酸化ナトリウム等を除去し、反応を停止した。得られた反応液を徐々に昇温、系内を減圧していき、150℃、5mmHg到達時から30分保持し、イソプロパノールと過剰のエピクロロヒドリンを完全に系外に除去した。その後系内に窒素を封入しながら系内を常圧に戻し、メチルイソブチルケトン300質量部を投入し、粗樹脂のメチルイソブチルケトン溶液を得た。この溶液に水100質量部を投入して水層を分離し、その後水100質量部で除去した水層が中性になるまで数回水洗を繰り返し、エポキシ樹脂のメチルイソブチルケトン溶液を得た。この溶液を加温・減圧下でメチルイソブチルケトンを留去していき、150℃、5mmHg到達から30分間保持してメチルイソブチルケトンを完全に除去し、液状のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量222g/eqであった。
(実施例2)
実施例1と同様の装置に、ユーピロンS-3000R(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂)75質量部、エピクロルヒドリン327質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり12.0モル)を仕込み、100℃に加温しポリカーボネート樹脂を溶解した。放冷した後にプロピレングリコールモノメチルエーテル191質量部、水52質量部を加え、窒素ガス雰囲気下、約65℃まで昇温した。その後48質量%水酸化ナトリウム水溶液123質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり5.0モルとなるように水酸化ナトリウムを供給)を連続的に滴下しつつ85℃まで昇温し、120分反応を行った。その後水214質量部を投入し、油水分離した水層を分離することで樹脂溶液から反応で生成した塩、残存水酸化ナトリウム等を除去し、反応を停止した。得られた反応液を徐々に昇温、系内を減圧していき、150℃、5mmHg到達時から30分保持し、プロピレングリコールモノメチルエーテルと過剰のエピクロロヒドリンを完全に系外に除去した。その後系内に窒素を封入しながら系内を常圧に戻し、メチルイソブチルケトン150質量部を投入し、粗樹脂のメチルイソブチルケトン溶液を得た。この溶液に48質量%水酸化ナトリウム水溶液17質量部を投入し、65℃で60分反応させた後、水100質量部を投入して水層を分離し、その後水100質量部で除去した水層が中性になるまで数回水洗を繰り返し、エポキシ樹脂のメチルイソブチルケトン溶液を得た。この溶液を加温・減圧下でメチルイソブチルケトンを留去していき、150℃、5mmHg到達から30分間保持してメチルイソブチルケトンを完全に除去し、液状のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量189g/eqであった。
(実施例3)
温度計、滴下漏斗、撹拌機、窒素導入管、冷却管を有する油水分離装置を備えたセパラブルフラスコ反応器に、ユーピロンS-3000R(三菱エンジニアリングプラスチックス製 ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂)300質量部、エピクロルヒドリン833質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり7.6モル)を仕込み、100℃に加温しポリカーボネート樹脂を溶解した。80℃まで放冷した後に、系内を550~570mmHgに減圧した後、系内の圧力を維持しながら48質量%水酸化ナトリウム水溶液390質量部(ポリカーボネート中カーボネート結合1モル当たり4.0モルとなるように水酸化ナトリウムを供給)を連続的に滴下しつつ88~92℃まで昇温し、水とエピクロロヒドリンとを共沸させ、共沸凝縮液から油水分離装置を経由して上層の水を除去し、下層のエピクロロヒドリンを反応系内に循環させながら120分反応を行った。その後、油水分離装置に還流したエピクロロヒドリンの循環を停止し、エピクロロヒドリンを系外に排出しながら徐々に系内温度を上昇、系内を減圧していき、140℃、5mmHg到達時から30分保持し、過剰のエピクロロヒドリンを完全に系外に除去した。その後系内に窒素を封入しながら系内を常圧に戻し、トルエン500質量部、水1000質量部を投入し、油水分離した水層を分離することで樹脂溶液から反応で生成した塩、残存水酸化ナトリウム等を除去し、粗樹脂のトルエン溶液を得た。この溶液に48質量%水酸化ナトリウム水溶液8質量部を投入し、80℃で1時間反応させた後に水700質量部を投入して水層を分離し、その後水700質量部で除去した水層が中性になるまで数回水洗を繰り返し、エポキシ樹脂のトルエン溶液を得た。この溶液を加温・減圧下でトルエンを留去していき、150℃、5mmHg到達から30分間保持してトルエンを完全に除去し、液状のエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量189g/eqであった。
実施例1~3の使用原料、得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量を表1にまとめて示す。
Figure 2023101259000001
[評価結果]
以上の結果から分かるように、金属水酸化物の存在下、原料としてポリカーボネートとエピハロヒドリンとを用いて分解反応を行うことで、ポリカーボネートを原料として直接エポキシ樹脂を一貫して製造することができる。また、エポキシ樹脂の製造用の原料として廃ポリカーボネートの使用も期待することができ、更には製造工程の簡略化も可能なことから、本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、産業上有用なエポキシ樹脂を短工程で製造する方法として期待される。
本発明のエポキシ樹脂の製造方法によれば、ポリカーボネートのケミカルリサイクルに際し、ジヒドロキシ化合物の回収工程を経ることなく、塗料、電気・電子材料、接着剤、繊維強化樹脂(FRP)等の分野において好適に用いることができるエポキシ樹脂を、効率的に製造することが可能である。

Claims (10)

  1. 金属水酸化物の存在下、原料としてポリカーボネートとエピハロヒドリンとを用いて、分解反応によりエポキシ樹脂を得る、エポキシ樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリカーボネートが芳香族ポリカーボネートである、請求項1に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  3. 前記分解反応を有機溶媒の存在下で行う、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  4. 前記ポリカーボネート中のカーボネート結合1モル当たり、前記エピハロヒドリンを1.0~20.0モル用いる、請求項1~3のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  5. 前記ポリカーボネートが廃ポリカーボネートを含む、請求項1~4のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  6. 得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量が、50~10,000g/eqである、請求項1~5のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の方法によって得られたエポキシ樹脂に硬化剤を配合する、エポキシ樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記エポキシ樹脂100質量部に対し、前記硬化剤0.1~1000質量部を配合する、請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記硬化剤が、多官能フェノール類、ポリイソシアネート系化合物、アミン系化合物、酸無水物系化合物、イミダゾール系化合物、アミド系化合物、メルカプタン系化合物、カチオン重合開始剤及び有機ホスフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項7又は8に記載のエポキシ樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項7~9のいずれかに記載方法によって得られたエポキシ樹脂組成物を硬化させる、硬化物の製造方法。
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