JP3889520B2 - エポキシ化合物の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気、電子分野等に有用なエポキシ化合物の製造に用いられる、エポキシ基の損失を最小限に押さえながら、好ましくない有機ハロゲンを効率よく安定的に除去するエポキシ化合物の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂組成物は、その優れた硬化物性や取扱いの容易さから、接着、注型、封止、積層、成型、塗装等の広い分野で使用されている。
従来、電気および電子部品等の封止や接着等に用いられるエポキシ樹脂は、その中に含まれるハロゲン量が少ないことが要求されている。すなわち、加水分解によりイオンとなったエポキシ樹脂中のハロゲンが、電気絶縁性を低下させたり、リード線等を腐食させる等の悪影響を及ぼすことが知られている。特に半導体集積回路の封止材用樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、ハロゲン量が少ないことが必須条件であり、半導体回路の集積度が上がるにつれて許容されるハロゲン量はますます少なくなっている。
また、電気、電子分野以外の分野においても焼却処理時のダイオキシン等の有害物質の発生を低減するため、低ハロゲン化の要求は厳しくなっている。
【0003】
一般に最も広く使用されているエポキシ樹脂は、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、第1級または第2級アミン基を持つ化合物とエピハロヒドリンとから製造される。この種のエポキシ樹脂には、無機ハロゲンや、1,2 −ハロヒドリン基、1,3 −ハロヒドリン基またはハロメチル基などの形で存在する有機ハロゲンが不純物として含まれる。
それらの不純物ハログンの内、無機ハロゲンと、1,2 −ハロヒドリン基の形で存在する有機ハロゲンは従来の技術で問題を生じないレベルまで低減させることが可能であるが、その他の有機ハロゲンを、エポキシ基の損失を十分に低く押さえながら低減させることは困難であった。
【0004】
有機ハロゲン不純物の含有量の少ないエポキシ樹脂を製造するため、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、第1級または第2級アミン基を持つ化合物とエピハロヒドリンの反応の際に、非プロトン性極性溶媒などを用いて反応の選択性を向上させ、不純物の生成を押さえることが特開昭58−189223号公報、特開昭60−31516号公報、特開昭60−31517号公報、特開平1−66224号公報等に示されている。しかし、それらの方法では、最近の厳しい要求を満たすことはできない。
【0005】
また、一旦製造したエポキシ樹脂を再精製処理して低ハロゲン化する方法も多く提唱されている。その代表的な方法は、不純物有機ハロゲンを塩基性化合物により加水分解し、ハロゲンイオンとした後、水洗等によって除去するものであるが、有機ハロゲンの加水分解の際に活性の高いエポキシ基の分解反応が生起してしまい、エポキシ樹脂本来の機能が損なわれやすい。
【0006】
特開昭63−174981号公報、特開平1−126320号公報、特開平5−17464号公報等には、エポキシ樹脂を非プロトン性極性溶媒に溶解し、固形または水溶液の状態でアルカリ金属水酸化物を加えて不純物有機ハロゲンを加水分解する方法が示されている。しかし、アルカリ金属水酸化物を固形または水溶液の状態で添加したのでは反応液中への分散が不十分であり、有機ハロゲンを十分に加水分解することができない。反応率を上げるために、反応温度を高くしたり、反応時間を長くしたりすると、多くのエポキシ基を失うことになる。反応を促進するために非プロトン性極性溶媒の使用量を増やすと、エポキシ基の損失も加速されることになるし、高価で回収の困難な非プロトン性極性溶媒を多量に使用することは工業的には不利益となる。
【0007】
さらに、特開昭62−18778号公報、特開昭62−235314号公報、特開平2−47129号公報等には、同様の溶媒系にアルカリ金属水酸化物をメタノールまたはエタノール溶液として加える方法が示されている。この方法ではアルカリは十分に分散できる。しかし、メタノールや第1級アルコールは反応性が高く、非プロトン性極性溶媒とアルカリの存在下では容易にエポキシ基と反応するため、この方法では、多くのエポキシ基を失うことになる。
【0008】
また、非プロトン性極性溶媒とアルカリの存在下では、程度の差はあれ、時間とともにエポキシ基が失われていくため、必要量の有機ハロゲンが分解した時点で速やかに反応を停止することが、安定した品質の最終製品を得るためには不可欠である。このような既存の各技術では、反応停止のために、不活性な溶媒を追加したり、アルカリを酸で中和する操作を行っているが、それらの操作では反応停止は完全ではない。また、大規模な工業的生産においては溶媒の追加や中和には長時間を要するため、その間にエポキシ基が失われてしまうという欠点があった。
以上のように、従来の方法では、いずれもエポキシ基の損失を実用上問題ないレベルに保ったまま有機ハロゲン不純物量を十分か安定的に低下させることはできなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エポキシ基の損失を最小限に押さえながら、好ましくない有機ハロゲンを効率よくかつ安定的に除去するエポキシ化合物の精製方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記の課題を解決するために種々研究を重ねた結果、特定の成分と組成の溶媒にエポキシ化合物を混合または溶解した後、アルカリ金属水酸化物を第2級アルコール溶液として添加し、特定の温度で特定時間反応させた後、水を短時間で投入することにより反応を完全に停止し、さらに精製されたエポキシ化合物を回収することによりその目的を達成できたのである。
本発明は、以下のエポキシ化合物の精製方法を包含する。
【0011】
(1)有機ハロゲンを100〜5000ppm(重量)含有するエポキシ化合物を精製し、低ハロゲン化する方法であって、
該エポキシ化合物を、非プロトン性極性溶媒3〜20重量%含有する有機溶媒系に混合または溶解し、
アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液を添加後、20〜100℃の温度で0.5〜5時間有機ハロゲンの分解反応を行い、
所定時間の反応後、反応混合液に水を10分以内で投入することにより反応を停止し、
その後、水溶性不純物および非プロトン性極性有機溶媒を水洗により除去し、さらに有機溶媒を除去することにより、精製されたエポキシ化合物を回収することを特徴とする、エポキシ化合物の精製方法。
【0012】
(2) 前記有機ハロゲンの分解反応を行った後、反応混合液全量に対して、重量で0.1倍量以上の水を反応系に10分以内に投入することにより反応を停止し、その後、水溶性不純物および非プロトン性極性溶媒を水洗により除去し、さらに有機溶媒を除去することにより、精製されたエポキシ化合物を回収することを特徴とする、(1) 項記載のエポキシ化合物の精製方法。
(3) 前記アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液の濃度が2〜30重量%であることを特徴とする、(1) 項または(2) 項記載のエポキシ化合物の精製方法。
【0013】
(4) 前記有機ハロゲンの分解反応に付される反応混合液は、水分含量が0.2〜1.0重量%であることを特徴とする、(1) 項〜(3) 項のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の精製方法。
【0014】
(5) 前記第2級アルコールが、2−プロパノール、2−ブタノール、シクロヘキサノールおよびメトキシ−2−プロパノールから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする、(1) 〜(4) 項のいずれか1項に記載のエポキシ化合物の精製方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のエポキシ化合物の精製方法で精製される原料エポキシ樹脂は、好ましくない有機ハロゲンを100〜5000重量ppm含有するエポキシ化合物であり、一般的な製造方法、すなわち、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基、第1級アミノ基、または第2級アミン基を持つ化合物とエピハロヒドリンとをアルカリの存在下に、縮合反応させる方法によって得られるエポキシ樹脂である。
【0016】
本発明で精製対象とするエポキシ樹脂の例としては、つぎのエポキシ樹脂が挙げられる。
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレンなどの種々のフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、フェノールアラスキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂などの種々のフェノール樹脂類、種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアノレデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂。
【0017】
ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂。
メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂。
【0018】
各種エポキシ樹脂の中では、電気、電子分野で広く用いられているビスフェノールA型エポキシ樹脂、、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、テルペンフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂が本発明の精製方法を適用するエポキシ化合物として好ましい。
【0019】
本発明の方法で処理されるエポキシ化合物は、有機ハロゲンを100〜5000ppm(重量)で含有しているものであり、好ましくは100〜3000ppm(重量)含有しているものであり、より好ましくは100〜2000ppm(重量)含有しているものである。
有機ハロゲン含有量が前記の範囲のエポキシ化合物を入手または製造できない場合は、従来公知の方法で有機ハロゲン含有量を低減するための予備精製を行うこともできる。原料化合物の有機ハロゲン含有量が多すぎると、本発明の優れた精製方法を持ってしても十分に有機ハロゲン含有量の低いエポキシ化合物が得られない。また、有機ハロゲン含有量のより少ないエポキシ化合物の有機ハロゲン含有量をさらに低下させること困難である。
【0020】
本発明の精製方法で、エポキシ化合物を混合または溶解するために用いられる混合溶媒系は、非プロトン性極性溶媒を3〜20重量%含む有機溶媒系である。
非プロトン性極性溶媒としては、たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等が挙げられる。それらの非プロトン性極性溶媒の中では、入手のし易さや、効果が優れていることから、ジメチルスルホキシドが好ましい。
【0021】
非プロトン性極性溶媒とともに用いられる溶媒は、上記の非プロトン性極性溶媒以外の不活性な溶媒である。
たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられるが、効果が優れていることや後処理の容易さなどから、芳香族炭化水素溶媒またはケトン系溶媒が好ましく、特にトルエン、キシレンまたはメチルイソブチルケトンが好ましい。これら溶媒は1種単独でかまたは2種以上混合して用いらることができる。
【0022】
本発明の精製方法で用いられる混合溶媒系中の非プロトン性極性溶媒の割合は、3〜20重量%であり、好ましくは、5〜15重量%である。非プロトン性極性溶媒の割合が小さすぎると本発明の効果が十分ではなく、非プロトン性極性溶媒の割合が大きすぎるとエポキシ基の損失が大きくなる。
【0023】
本発明で用いられる混合溶媒系の使用量は、エポキシ化合物の濃度が3〜70重量%となる量であり、好ましくは、5〜50重量%となる量であり、より好ましくは、10〜40重量%となる量である。混合溶媒系の使用量が少なすぎるとエポキシ基の損失が大きくなり、混合溶媒の使用量が多すぎると本発明の効果が十分ではない。
【0024】
エポキシ化合物の混合溶媒系への混合または溶解は、一般的な方法で行うことができる。混合溶媒系を形成する各成分をあらかじめ混合しておき、一度にエポキシ化合物と混合または溶解しても良いし、混合溶媒系の一部の成分とエポキシ化合物とを混合または溶解してから他の成分を追加混合しても良い。
【0025】
本発明の精製方法では、アルカリ金属水酸化物を第2級アルコール溶液として使用する。アルカリ金属水酸化物としては、通常、NaOHまたはKOHが用いられる。
アルカリ金属水酸化物の使用量は、エポキシ化合物中の有機ハロゲン1モルに対して0.5〜50モルであり、好ましくは1.0〜20モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量が少なすぎると本発明の効果が十分ではなく、使用量が多すぎるとエポキシ基の損失が大きくなる。
【0026】
ここで用いられる第2級アルコールとしては、2−プロパノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液中での濃度は、2〜30重量%であり、好ましくは、5〜20重量%である。第2級アルコール溶液の濃度が低すぎるとエポキシ基の損失が大きくなる。第2級アルコール溶液の濃度が高すぎるとアルカリ金属水酸化物が十分に溶解しないか溶液の安定性が悪くなる。
【0027】
本発明の精製方法では、前記エポキシ化合物の有機混合溶媒溶液を所定の温度で攪拌しながら、アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液を添加し、有機ハロゲンの分解反応を行う。アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液は、一度に全量添加しても良いし、連続的または断続的に少量づつ行ってもよい。
有機ハロゲンの分解反応温度は、20〜100℃であり、好ましくは、40〜90℃である。反応温度が高すぎるとエポキシ基の損失が大きく、反応温度が低すぎると本発明の効果が十分ではない。
【0028】
また、有機ハロゲンの分解反応時間は、アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液の添加開始後、0.5〜5時間であり、好ましくは、0.5〜3時間である。反応時間が長すぎるとエポキシ基の損失が大きく、反応時間が短すぎると本発明の効果が十分ではない。
【0029】
本発明の精製方法における前記の分解反応は水分の影響を受けるので、反応溶液中の水分を一定範囲に調整することが好ましい。反応溶液中の水分量は、好ましくは、2重量%以下であり、より好ましくは、0.2〜1.0重量%である。反応溶液中の水分が多すぎると本発明の効果が十分ではなく、反応溶液中の水分を必要以上に少なくするには余計な脱水操作を必要とするので工業的に不利益となる。
【0030】
本発明の精製方法では、前記有機ハロゲンの所定の分解反応時間が終了した後、速やかに反応停止を行うことが、最終製品の品質安定化のために重要である。反応停止は急激に温度を下げるか、または溶液を不活性溶媒で希釈するか、アルカリを酸で中和するか、過剰の水を投入する、等の方法によって行うことができるが、これらの中では、最も安易な操作で確実に反応停止を行えることから、過剰の水を投入する方法が好ましい。
反応停止のための水の量は反応混合液全量に対して、0.1倍量( 重量) 以上が好ましい。又、その投入は速やかな反応停止のためになるべく短時間に行うことが好ましい。
【0031】
反応温度を急激に下げたり、溶液を希釈する操作では、反応を急速にかつ完全に停止させることが難しいことから、大規模な工業的生産においては反応停止までの間にエポキシ基が失われてしまう恐れがある。また、中和する方法では、酸の量が少なすぎると反応が完全に停止せず、多すぎると酸とエポキシ基の反応でエポキシ基が失われてしまうことから、厳密に酸の適当量を前もって知ることが必要であるが、その滴当量を知ることは非常に困難である。
【0032】
反応停止後、過剰のアルカリ金属水酸化物、生成するアルカリ金属ハロゲン物などの水溶性不純物を水洗により除去する。この水洗操作は、水溶性不純物を除去するために一般的に用いられる洗浄操作と同様におこなうことができる。
【0033】
この水洗操作に先立って、水と混合しない溶媒を追加してエポキシ化合物の濃度を調整することもできる。追加する溶媒は水と混合せず、不活性である限りどのようなものでも使用できるが、後操作や除去後の溶媒の処理が容易であることから、分解反応で用いた非プロトン性極性溶媒以外の溶媒と同じものを使用することが好ましい。
【0034】
水洗時において、水と混合しない溶媒中でのエポキシ化合物の濃度は5〜80重量%であり、好ましくは、10〜50重量%である。
水洗操作は、上記エポキシ化合物の溶液の全量に対して、0.1〜10倍量(重量)の精製された水を加え、十分に攪拌混合した後、静置して分離させ、水層を取り除く。この際の温度は、30〜120℃が一般的である。上記操作を2〜10回繰り返し、最終製品中のイオン性不純物が所定量以下になるようにする。この際、過剰のアルカリ金属水酸化物を中和するために、リン酸、リン酸一ナトリウム、シュウ酸、酢酸、炭酸等の弱酸を水洗水中に少量添加しても良い。
【0035】
その後、有機層から溶媒を蒸発除去することによって最終製品である低ハロゲン化されたエポキシ化合物が得られるが、その蒸発除去操作は、一般的な装置、方法で行うことができる。たとえば、ステンレス製やガラス製の容器を用いたバッチ式やフィルムエバポレーター等を用いた連続式が例として挙げられる。蒸発の条件は最終製品の揮発分含有量が規定値以下になれば自由に設定できるが、最終的な温度は50〜250℃、圧力は常圧〜1Torr程度である。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明のエポキシ化合物の精製方法を、実施例および比較例に基いてさらに詳述するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0037】
各実施例および比較例で使用した原料エポキシ化合物
A:市販のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社、商品名「エピコート 828EL」、エポキシ当量185、全有機ハロゲン含有量1620ppm)
B:市販のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社、商品名「エピコート 180S65」、エポキシ当量212、全有機ハロゲン含有量1140ppm)
C:市販のテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社、商品名「エピコート YX4000」、エポキシ当量186、全有機ハロゲン含有量1180ppm)
エポキシ当量は、JIS K7236による方法により求めた。全有機ハロゲン(塩素)含有量は、ISO 13651による方法で求めた全塩素含有量からISO 11376による方法で求めた無機塩素含有量を差し引いて求めた。
【0038】
実施例1〜6
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三つ口フラスコに、表1に示した種類と量のエポキシ化合物、およびトルエンまたはメチルイソブチルケトンを仕込み、均一に溶解、混合させたのち、表1に示した種類と量の非プロトン性極性溶媒を加えて混合し、表1に示した反応温度に昇温した。攪拌しながら、表1に示した種類と量のアルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液を一度に投入した。表1に示した反応温度で攪拌を続け、アルカリ金属水酸化物溶液の投入から、表1に示した時間の後、表1に示した量の水を表1に示した時間をかけて投入し、反応を停止した。
【0039】
表1に示した種類と量の溶媒を追加し、均一に混合した後、10分間攪拌した。その後、静置し分離させ、水層を除去した。次いで、有機層に第一リン酸ナトリウムの0.1重量%水溶液500mlを加え、70℃で10分間攪拌して、中和水洗を行った。攪拌を止め静置し分離させ、水層を除去した。さらに70℃の温水各500mlで2回水洗して副生塩、過剰のアルカリ、非プロトン生極性溶媒、アルコールなどを除去した。次いで、有機層から減圧下で有機溶媒を留去した。最終的に10Torr、160℃で30分間保持して揮発分をほぼ完全に除去し、精製されたエポキシ化合物を得た。
これらのエポキシ化合物のエポキシ当量、全有機塩素含有量を表1に示した。
【0040】
比較例1〜4
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三つ口フラスコに、表2に示した種類と量のエポキシ化合物、およびメチルイソブチルケトンを仕込み、均一に溶解、混合させたのち、表2に示した種類と量の非プロトン性極性溶媒を加えて混合し、表2に示した反応温度に昇温した。攪拌しながら、表2に示した種類と量のアルカリ金属水酸化物溶液を一度に投入した。表2に示した反応温度で攪拌を続け、アルカリ金属水酸化物溶液の投入から、表2に示した時間の後、150gの水を2分間かけて投入し、反応を停止した。
【0041】
表2に示した種類と量の溶媒を追加し、均一に混合した後、10分間攪拌した。その後、静置し分離させ、水層を除去した。次いで、有機層に第一リン酸ナトリウムの0.1重量%水溶液500mlを加え、70℃で10分間攪拌して、中和水洗を行った。攪拌を止め静置し分離させ、水層を除去した。さらに70℃の温水各500mlで2回水洗して副生塩、過剰のアルカリ、非プロトン生極性溶媒、アルコールなどを除去した。次いで、有機層から減圧下で有機溶媒を留去した。最終的に10Torr、160℃で30分間保持して揮発分をほぼ完全に除去し、精製されたエポキシ化合物を得た。
これらのエポキシ化合物のエポキシ当量、全有機塩素含有量を表2に示した。
【0042】
比較例5
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三つ口フラスコに、表2に示した種類と量のエポキシ化合物、およびメチルイソブチルケトンを仕込み、均一に溶解、混合させたのち、表2に示した種類と量の非プロトン性極性溶媒を加えて混合し、表2に示した反応温度に昇温した。攪拌しながら、表2に示した種類と量のアルカリ金属水酸化物溶液を一度に投入した。表2に示した反応温度で攪拌を続け、アルカリ金属水酸化物溶液の投入から、表2に示した時間の後、メチルイソブチルケトン200gを追加し、10分間攪拌して反応を停止した。
【0043】
その後、第一リン酸ナトリウムの0.1重量%水溶液500mlを加え、70℃で10分間攪拌して、中和水洗を行った後、攪拌を止め静置し分離させ、水層を除去した。続いて、70℃の温水各500mlで2回水洗して副生塩、過剰のアルカリ、非プロトン生極性溶媒、アルコールなどを除去した。次いで、有機層から減圧下で有機溶媒を留去した。最終的に10Torr、160℃で30分間保持して揮発分をほぼ完全に除去し、精製されたエポキシ化合物を得た。
これらのエポキシ化合物のエポキシ当量、全有機塩素含有量を表2に示した。
【0044】
比較例6
温度計、攪拌装置、冷却管を備えた内容量3Lの三つ口フラスコに、表2に示した種類と量のエポキシ化合物、およびメチルイソブチルケトンを仕込み、均一に溶解、混合させたのち、表2に示した種類と量の非プロトン性極性溶媒を加えて混合し、表2に示した反応温度に昇温した。攪拌しながら、表2に示した種類と量のアルカリ金属水酸化物溶液を一度に投入した。表2に示した反応温度で攪拌を続け、アルカリ金属水酸化物溶液の投入から、表2に示した時間の後、二酸化炭素ガスを10分間吹き込み中和して反応を停止した。
【0045】
その後、150gのメチルイソブチルケトンを追加し、均一に混合した。続いて、70℃の温水500mlを加え、70℃で10分間攪拌して水洗を行った後、攪拌を止め静置し分離させ、水層を除去した。続いて、70℃の温水各500mlでさらに2回水洗して副生塩、過剰のアルカリ、非プロトン生極性溶媒、アルコールなどを除去した。次いで、有機層から減圧下で有機溶媒を留去した。最終的に10Torr、160℃で30分間保持して揮発分をほぼ完全に除去し、精製されたエポキシ化合物を得た。
これらのエポキシ化合物のエポキシ当量、全有機塩素含有量を表2に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
本発明の精製方法によれば、エポキシ基の損失を最小限に押さえながら、好ましくない有機ハロゲンを効率良く安定的に除去できるので、電気電子分野等に有用なエポキシ化合物の製造に有利に用いられる。
Claims (3)
- 有機ハロゲンを100〜5000重量ppm含有するエポキシ化合物を精製し、低ハロゲン化する方法であって、
該エポキシ化合物を、非プロトン性極性溶媒3〜20重量%含む有機混合溶媒中に混合または溶解し、
アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液を添加後、20〜100℃の温度で0.5〜5時間有機ハロゲンの分解反応を行い、
反応後、反応混合液に水を10分以内で投入することにより反応を停止し、
その後、水溶性不純物及び非プロトン性極性溶媒を水洗により除去し、さらに有機溶媒を除去することにより、精製されたエポキシ化合物を回収することを特徴とする、エポキシ化合物の精製方法。 - 前記有機ハロゲンの分解反応を行った後、反応混合液全量に対して、重量で0.1倍量以上の水を反応系に10分以内に投入することにより反応を停止し、その後、水溶性不純物および非プロトン性極性溶媒を水洗により除去し、さらに有機溶媒を除去することにより、精製されたエポキシ化合物を回収することを特徴とする、請求項1記載のエポキシ化合物の精製方法。
- 前記アルカリ金属水酸化物の第2級アルコール溶液の濃度が2〜30重量%であることを特徴とする、請求項1または2記載のエポキシ化合物の精製方法。
Priority Applications (1)
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JP03817899A JP3889520B2 (ja) | 1999-02-17 | 1999-02-17 | エポキシ化合物の精製方法 |
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