JP6179810B2 - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
特許文献1には、ドラム状の潜像担持体を備え、帯電手段として、潜像担持体の表面に接触して表面移動する帯電ローラを用いる構成が記載されており、さらに、クリーニング手段として、クリーニングブレードを当接させる構成が記載されている。帯電手段として、潜像担持体の表面に接触する帯電ローラを用いる構成では、非接触型の帯電部材を用いる構成に比べて、帯電時の放電に起因する潜像担持体の表面劣化が生じ難く、潜像担持体の長寿命化に有利である。また、クリーニング手段として、クリーニングブレードを当接させる構成は、簡易な構成で効率的に潜像担持体の表面上のトナーをクリーニングすることができる。
本発明者らは、小径で、基材の肉厚が薄く、A3ノビサイズの用紙に対応可能な軸方向の長さの潜像担持体を用いて、中間転写方式の画像形成を行った。この画像形成では、潜像担持体の軸方向端部にトナーの外添剤であるシリカが付着し、装置寿命の前にフィルミングが発生した。潜像担持体の表面上にフィルミングが発生すると、現像時において潜像担持体上の単位面積当たりのトナー量が不安定になり、濃度ムラの発生の原因となる。
一方、上記画像形成で用いた潜像担持体は、従来よりも撓み易くなっているため、その撓みに起因する不具合が顕在化したものと考えられる。
図2は、本実施形態の画像形成装置である複写機100の概略説明図である。
複写機100は、複数の作像部として作像装置10(Y,M,C,BK)が中間転写ベルト17に対向するように並設されたタンデム型のカラー画像形成装置である。
図1に示すように、四つの作像装置10は、それぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体11、帯電部12、現像装置13(現像部)、感光体クリーニング装置15(クリーニング部)、が一体化され、プロセスカートリッジを構成する。
四つの作像装置10(Y,M,C,BK)は、それぞれプロセスカートリッジとして複写機100本体から着脱自在となっており、寿命に達したときに、新品のものに交換される。
各作像装置10(Y,M,C,BK)における感光体11上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される。
まず、原稿は、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス上に載置された原稿の画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス上の原稿の画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿にて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング装置9の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置9に回収されて、中間転写ベルト17上の一連の転写プロセスが完了する。
レジストローラ19に達した転写紙Pは、中間転写ベルト17上のトナー像とタイミングを合わせて、二次転写ローラ18の位置に向けて搬送される。
示すように、作像装置10には、感光体11と、感光体11を帯電する帯電部12と、感光体11上に形成される静電潜像を現像する現像装置13と、感光体11上の未転写トナーを回収する感光体クリーニング装置15と、がケースに一体的に収納されている。
感光体11の導電性支持体(基層)としては、体積抵抗が1.0×1010[Ωcm]以下の導電性材料を用いることができる。
これにより、感光体11上に付着する未転写トナー等の付着物がクリーニングブレード15aによって機械的に掻き取られて感光体クリーニング装置15内に回収されることになる。ここで、感光体11上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、転写紙P(用紙)から生じる紙粉、帯電ローラ12aによる放電時に感光体11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等がある。この感光体クリーニング装置15については、後でさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、図1中の矢印方向(反時計方向)に回転している。現像装置13内の現像剤は、間に仕切部材を介在するように配設された第一搬送スクリュ13b1及び第二搬送スクリュ13b2の回転によって、長手方向(図1中の紙面に直交する方向である。)に搬送され、現像装置13内を循環する。このとき、現像装置13内の現像剤は、不図示のトナー補給部によってトナー容器28から補給されたトナーとともに撹拌混合されながら搬送される。
図1に示すように、感光体クリーニング装置15には、クリーニングブレード15aが設置されている。クリーニングブレード15aは、主として、ゴム材料からなるブレード状部材15a1(ブレード本体)と、ブレード状部材15a1を保持するホルダ部材15a2(ブレードホルダ)と、で構成されている。
ここで、ブレード状部材15a1は、その先端部が感光体11に対して長手方向(図1の紙面に直交する方向である。)にわたって当接するとともに、その根元部がホルダ部材15a2に固定・保持されている。
以下、感光体クリーニング装置15の一つ目の実施例(以下、「実施例1」とよぶ)について説明する。
図3は、実施例1の感光体クリーニング装置15が備えるクリーニングブレード15aの長手方向端部近傍の拡大斜視説明図である。
また、図3に示すように、ホルダ部材15a2には、支持部15a21と曲げ部15a22とが形成されている。ホルダ部材15a2の支持部15a21(固定部)は、ブレード状部材15a1の先端部が感光体11に向けて突き出すように、その面上にブレード状部材15a1を片持ち支持するものである。
そして、曲げ部15a22は、少なくとも一方の長手方向端部における短手方向の長さH2が長手方向中央部における短手方向の長さH1に比べて短くなるように形成されている(H1>H2である。)。換言すると、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22は、長手方向端部に、切欠(図3において、破線で囲んだ部分である。)が形成されている。
図4に示すように、実施例1では、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22の長手方向両端部のうち、一方の長手方向端部のみに、短手方向の長さH2が短くなる切欠を設けている。具体的に、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22は、搬送コイル15bの搬送方向上流側に対応する長手方向端部における短手方向の長さが長手方向のその他の部分における短手方向の長さに比べて短くなるように形成されている。すなわち、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22は、搬送コイル15bによって搬送されるトナー(未転写トナー)の搬送方向(図4中の白矢印方向である。)の上流側に対応する長手方向端部に切欠(図4中、破線で囲んだ部分である。)が形成されている。一方、曲げ部15a22の搬送方向下流側に対応する長手方向端部には切欠が形成されていない。
これに対して、搬送コイル15bの搬送方向下流側に対応する位置(長手方向端部)では、ブレード状部材15a1によって感光体11上から直接的に掻き取られるトナーは少量である。しかし、搬送コイル15bによって上流側から搬送されてきたトナーが比較的多量に存在するために、ブレード状部材15a1の先端部にはある程度のトナーが介在され易くなる。したがって、搬送コイル15bの搬送方向下流側に対応する位置(長手方向端部)では、曲げ部15a22に切欠を形成しなくても、ブレード状部材15a1の捲れや振動音が生じにくくなる。
図5に示すように、クリーニングブレード15aとともに感光体クリーニング装置15全体を覆うケース15c(装置カバー)が、ホルダ部材15a2の形状に沿うように形成されている。具体的に、ケース15cには、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22に形成された切欠の形状に合わせて凹部が形成されている。このような構成によって、感光体クリーニング装置15の全体の大きさを必要最小限に小さくすることができ、作像装置10または複写機100本体との干渉を低減することができる。さらに、作像装置10または複写機100本体において省スペース化された凹部を有効活用することができる。
実施例1では、図3に示すように、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22において、長手方向端部の短手方向の長さH2を数ミリ程度に設定した。これに対して、図6に示すように、ホルダ部材15a2の曲げ部15a22において、長手方向端部の短手方向の長さを0ミリに設定することもできる。すなわち、ホルダ部材15a2の長手方向端部において、実質的に曲げ部15a22が存在しないように形成することもできる。このような場合であっても、上述した図3に示す構成と同様の効果を得ることができる。
以下、感光体クリーニング装置15の二つ目の実施例(以下、「実施例2」とよぶ)について説明する。
図7は、実施例2の感光体クリーニング装置15が備えるクリーニングブレード15aの拡大斜視説明図である。図8は、図7に示すクリーニングブレード15aの長手方向における一方の端部を示す部分拡大斜視図である。また、図9は、実施例2のクリーニングブレード15aの製造方法を示す説明図であって、図10は別の製造方法を示す説明図である。図9及び図10では、クリーニングブレード15aの細部について図示を簡略化している。
実施例2では、ネジ締結用穴部15a41は直径が4[mm]の穴部であり、ネジ締結用長穴部15a42は直径5[mm]×長さ9[mm]の長穴部である。また、ネジ41として、M4ネジを用いている。
駆動部50は、不図示のギア列を介して、感光体クリーニング装置15における駆動部材(搬送コイル15b等である。)に駆動力を伝達している。
また、図8に示す切欠Aの長手方向長さM2が3[mm]に設定され、ホルダ部材15a2の端部からブレード状部材15a1の端部までの距離M4が9[mm]に設定されている。さらに、ホルダ部材15a2の端部から主基準部15a31(穴部)の中心までの距離M3が13[mm]に設定され、ホルダ部材15a2の端部からネジ締結用穴部15a41の中心までの距離M3が9[mm]に設定されている。
また、切欠Aの長手方向長さM2が、ホルダ部材15a2の端部から主基準部15a31(穴部)の中心までの距離M3よりも小さくなるように形成されている(M2<M3)。このため、ホルダ部材15a2の剛性が低くなり過ぎてクリーニングブレード15aの位置決め精度が低くなる不具合を抑止することができる。
具体的に、実施例2では、第二の切欠Bは、長手方向の長さが3[mm]、短手方向の長さが4.5[mm]になるように形成されている。
上述した製造工程において、図9(B)にて説明した打ち抜き工程と、図9(C)にて説明した曲げ加工工程と、を同時に行うこともできる。
まず、図10(A)に示すような平板状の板金(15a2)を用意して、その板金(15a2)に対して図10(B)に示すような打ち抜き加工を施す。このとき、図9で説明した製造方法とは異なり、板金(15a2)には、打ち抜き加工によって切欠Aを形成しない。その後、図10(C)に示すように、曲げ加工が施されて、L字状の板金(15a2)が形成されることになる。
上述した製造工程において、図10(B)にて説明した打ち抜き工程と、図10(C)にて説明した曲げ加工工程と、を同時に行うこともできる。
これに対して、感光体クリーニング装置15をプロセスカートリッジの構成部材とせずに、単体で複写機100歩運体に対して交換自在に設置されるように構成することもできる。そして、このような場合にも、上述した各実施例と同様の効果を得ることができる。
図11は、クリーニングブレード15aの概略説明図である。図11に示すように、クリーニングブレード15aのブレード本体であるブレード状部材15a1は複数の層から構成されている。
ブレード状部材15a1は、感光体11と直接接触するエッジ層15a11と、エッジ層15a11に積層され、感光体11とは接触しないバックアップ層15a12との二層から構成される積層ブレードである。
さらに、バックアップ層15a12がエッジ層15a11に比べて低強度であるため、長期使用によるヘタリや、当接圧低下を防止することができ、長期にわたって良好なクリーニング性能を得ることができる。
すなわち、エッジ層15a11に、100%モジュラス値(23[℃])が6〜7[MPa]のウレタンゴム材料を用い、バックアップ層15a12に、100%モジュラス値(23[℃])が2〜3[MPa]のウレタンゴム材料を組合せる。
或いは、ゴム硬度では、エッジ層15a11に、ゴム硬度が80[度](JIS A)のウレタンゴムを用い、バックアップ層15a12に、ゴム硬度が65[度](JIS A)のウレタンゴムを用いる。エッジ層15a11の厚さは0.5[mm]、バックアップ層15a12の厚さは1.3[mm]としている。
図12は、帯電部12の正面説明図である。図12(a)は、感光体11、帯電ローラ12a及び帯電クリーニングローラ12bの正面図であり、図12(b)は、帯電クリーニングローラ12bの一方の長手方向端部における軸受部の拡大断面図である。
図13は、感光体11、帯電ローラ12a及び帯電クリーニングローラ12bの概略構成を示す斜視図である。図14は、感光体11、帯電ローラ12a、帯電クリーニングローラ12bの軸受部を拡大した斜視図である。また、図15は、帯電ローラ軸受部材214、帯電ローラ加圧スプリング213、帯電クリーニングローラ軸受部材215及び帯電クリーニングローラ加圧スプリング216の拡大説明図である。
帯電ローラ12aの帯電ローラ軸受部材214は、帯電ローラ回転軸12a1を回転可能に支持している。また、帯電ローラ軸受部材214は図示しないフレームのガイドによってガイドされ、帯電ローラ加圧スプリング213によって加圧され上下方向に自在に摺動する構成となっている。このような帯電ローラ軸受部材214と帯電ローラ加圧スプリング213とを長手方向両端に備えることにより、帯電ローラ12aを感光体11に圧接させている。帯電ローラ12aが感光体11を加圧する加圧力は片側5〜6[N]である。
また、帯電クリーニングローラ回転軸12b1は、帯電クリーニングローラ軸受部材215により回転可能に支持されている。
さらに、帯電ローラ軸受部材214は、帯電ローラ回転軸12a1を支持する位置よりも鉛直方向下方に延在する形状であり、帯電クリーニングローラ軸受部材215を支持する帯電クリーニングローラ軸受部材保持部としての機能を有している。言い換えれば、帯電ローラ軸受部材214と、帯電クリーニングローラ軸受部材215を支持する帯電クリーニングローラ軸受部材保持部材とは一体的に形成されている。
また、帯電ローラ軸受部材214に固定された帯電クリーニングローラ加圧スプリング216が帯電クリーニングローラ軸受部材215を押圧する。これにより、長手方向両端を帯電クリーニングローラ軸受部材215によってそれぞれ支持された帯電クリーニングローラ12bが、帯電ローラ12aに圧接する。帯電クリーニングローラ12bの帯電ローラ12aに対する加圧力は片側1.5〜2.5[N]である。
従来、作像装置10のようなプロセスカートリッジに滑剤塗布機構を入れ、感光体の長寿命化を図るものが知られている(特許文献2等)。しかし、滑剤塗布機構は高価であるため、本発明者らは、滑剤塗布機構を備えない構成で感光体の長寿命化を図ることができる構成を検討している。感光体の寿命を大きく左右するのは感光体の磨耗であるため、非接触型の帯電手段よりも感光体へのハザードが小さく、磨耗を抑制できる接触型の帯電手段を用いる構成を検討している。
感光体11の長手方向の長さ「L1」は374[mm]、感光体11の円筒状の基材の直径「D」は30[mm]、基材の厚み「T」は0.75[mm]とした。また、本実施形態の感光体11では、その軸受である感光体軸受部材11aをその長手方向の両端部よりも内側の円筒状の内部に配置し、感光体軸受間距離「L2」は342[mm]とした。
このとき、帯電ローラ12aとしては、長手方向の端部よりも中央部の方が径が大きい、いわゆるクラウン形状のものを用いた。帯電ローラ12aは、感光体11に対して下方に配置しており、長手方向両端を支持して感光体11に向けて押圧すると、自重や押圧による反力で帯電ローラ12aの長手方向中央部が感光体11から離れる方向に撓む。このような撓みに起因する長手方向端部と長手方向中央部とでの帯電ニップ12nの偏差が生じることを抑制するために、帯電ローラ12aとしてクラウン形状となっているものを用いた。具体的には、端部の直径が12[mm]で中央部の直径がさらに100[μm]大きいもの、すなわち、中央部の直径が12.1[mm]のものを用いた。
また、感光体クリーニング装置15としては、上記実施例2に記載のものを用いた。
図18は、駆動時の感光体11に作用する力を示した模式図である。感光体11に加圧接触する帯電ローラ12aによって図18中の矢印F1で示す力が上方に向けて作用する。また、感光体11に加圧接触するクリーニングブレード15aによって図18中の矢印F2で示す力が図18中の左上に向けて作用する。さらに、感光体11が図中矢印で示す方向に回転し、表面移動することにより、感光体11を摺擦するクリーニングブレード15aと感光体11との接触部における摩擦力が図18中の矢印F3で示すように図18中の上方に作用する。
上述した画像形成より、一次転写ニップ14nのニップ幅が、長手方向中央部と長手方向端部とで異なり、その差が従来よりも大きくなることが分かった。具体的には、図19に示すように、一次転写ニップ14nにおける長手方向中央部のニップ幅である中央部転写ニップ幅W2よりも長手方向端部のニップ幅である端部転写ニップ幅W1が小さくなることが分かった。これは、感光体11が長手方向中央部ほど中間転写ベルト17に近付くように撓むためと考えられる。
また、この画像形成では、感光体11の長手方向端部にトナーの外添剤であるシリカが付着し、装置寿命の前にフィルミングが発生した。
一次転写部では、転写部材である一次転写ローラ14はバイアスが印加されているため、シリカは一次転写ローラ14に引き寄せられて中間転写ベルト17に付着する。しかし、感光体11の長手方向端部では中央部よりも一次転写ニップのニップ幅が狭いため、一次転写部で感光体11から引き剥がされるシリカの量は、長手方向中央部に比べて長手方向端部では少なくなる。これにより、一次転写部を通過した後の感光体11の長手方向両端部により多くのシリカが付着したままとなる。
感光体11の長手方向端部における異物の固着を防ぐためにクリーニングブレード15aの感光体11に対する当接圧を上げることで、一次転写部を通過したシリカが接触位置を通過することを防止することが考えられる。しかし、この当接圧を上げると、クリーニングブレード15aのブレードエッジ部で感光体11に非常に大きな力が掛かってしまうため、感光体11の磨耗が促進されてしまい、感光体寿命が短くなってしまう。
このため、滑剤塗布機構がない状態で、小径且つ軽量、低コスト、長手方向に長尺な感光体11を用いても、感光体11の磨耗を促進させることなく、感光体11の長手方向端部における異物の付着を抑制することが求められる。
図20は、本発明を適用した作像装置10における、帯電ローラ12aと感光体11との接触部である帯電ニップ12nの説明図である。
図20に示すように、帯電ニップ12nにおける長手方向中央部のニップ幅である中央部帯電ニップ幅Wbよりも長手方向端部のニップ幅である端部帯電ニップ幅Waが広くなるように設定した。ここで、長手方向端部とは、感光体11の表面上におけるトナー像が形成される画像形成領域の長手方向の端部である。
これは、以下の理由による。
(2)一次転写ニップ14nのニップ幅の平均値と、帯電ニップ12nのニップ幅の平均値とが近いと推定し、この推定に基づいて、計測して確認したところ、どちらも約1.0[mm]で、ほぼ同じ値であった。
(3)ニップ幅の単位長さ当りの、一次転写ニップ14nにおける中間転写ベルト17による感光体11からのシリカの回収性能と、帯電ニップ12nにおける帯電ローラ12aによる感光体11からのシリカの回収性能とは、同程度であると推定した。
(4)中間転写ベルト17及び帯電ローラ12aはともに、感光体11と接触するニップ(一次転写ニップ14n及び帯電ニップ12n)のニップ幅が増加すると、シリカの回収性能が向上すると推定した。この推定に対しては、一次転写ニップ14n及び帯電ニップ12nについてニップ幅を増減させて確認したところ、ニップ幅が増加するほど、感光体11からのシリカの回収性能が向上した。
上記(3)の推定が事実であると仮定すると、中央部転写ニップ幅W2と端部転写ニップ幅W1との差分以上に中央部帯電ニップ幅Wbに対して端部帯電ニップ幅Waを広くすると、感光体11の長手方向端部のシリカの残留を抑制できることになる。すなわち、「W2−W1≦Wa−Wb」の関係を満たすことで、感光体11の長手方向端部のシリカの残留を抑制できることになる。
よって、本発明者らは、中央部帯電ニップ幅Wbに対して端部帯電ニップ幅Waを感光体11の撓み量δよりも大きくする設定とした。
以下、撓み易い感光体11を用いて、中央部帯電ニップ幅Wbに対して端部帯電ニップ幅Waを感光体11の撓み量δよりも大きくする設定とした構成で、感光体11の長手方向端部のシリカの残留を抑制できることを確認した実験について説明する。
本発明者らは、感光体11の撓み難さを示す指標として、感光体11の断面二次モーメントに対する長さの三乗の商というパラメータに着目した。
これは、以下の理由による。
ドラム状の感光体11は、アルミニウム製の円筒状の基材の表面上に感光層を設けたものである。感光層を形成する材質はアルミニウムに比較して剛性が十分に低く、感光体11の撓み難さに寄与するのは、基材の剛性である。
また、ヤング率Eは、感光体11の基材の材料によって決まる。
なお、本実施形態では、感光体11の円筒状の素管の材料として、アルミニウム合金(A1000系、A2000系、A5000系、A6000系)を用いており、ヤング率は、6.0〜8.0×1010[N/m2]である。
よって、感光体11の撓み難さを示すパラメータ「I/L3」は、感光体11の長手方向の長さ「L」を長くするほど、円筒状の素管の直径「D」を小さくすればするほど、さらに、厚み「T」が薄くなればなるほど値が小さくなる。すなわち、感光体の長尺化、小径化及び薄肉化は何れも、感光体11を撓み易くする変更点であり、このような感光体11は、感光体11以外の構成が同一の構成に組み付けたときの感光体の撓み量δが従来の感光体11を用いた場合よりも大きくなる。
この標準感光体のパラメータ「I/L3」の値は、約0.000145[mm]となった。
なお、従来の感光体では、径が大きい、厚みが厚い、または、軸方向の長さが短い等により、パラメータ「I/L3」の値が、本実験で用いた標準感光体ほど小さい値となるものはなかった。
このような標準感光体に対して厚み「T」を変更することで、「I/L3」の値を変化させて、標準感光体以外に七つの感光体11を用意して、八つの感光体11について以下の考察及び実験を行った。
感光体の省スペース化(小径)、低コスト化及び軽量化(薄肉)、長尺(A3ノビ紙対応)を両立させる範囲を考察した結果を表1に示す。
これは、以下の理由による。
すなわち、本発明者らが検討しているものが、標準感光体そのもの、または、標準感光体よりも直径が小さい感光体を検討しており、さらに、標準感光体そのもの、または、標準感光体よりも軽い感光体を検討している。しかし、「I/L3」の値が標準感光体よりも大きい値となるもので、A3ノビ紙対応のものを作成しようとすると、標準感光体よりも直径を大きくする、または、スリーブの厚みを厚くする、必要がある。
よって、本考察では、「I/L3」の値が標準感光体よりも大きい値は不可「×」とした。
「*」の値を変化させるために、各感光体11に対して当接させる帯電ローラ12aのクラウン量を変化させ、端部帯電ニップ幅Waと中央部帯電ニップ幅Wbとを変化させて、端部帯電ニップ幅Waと中央部帯電ニップ幅Wbとの差を測定した。
まず、感光体11にトナーをつけた状態で、実験装置に感光体11と帯電ローラ12aとを組み付けて、帯電ローラ12aを所定の当接圧で感光体11に当接させる。その後、帯電ローラ12aの当接を解除して、装置から帯電ローラ12aを取り外す。これにより、図20で示すような帯電ニップ12nとなっていた帯電ローラ12a側における部分にトナーが付着する。このトナーが付着した部分の表面移動方向の長さを幅方向端部と幅方向中央部とで測定し、「端部帯電ニップ幅Wa」と「中央部帯電ニップ幅Wb」とを求め、その差から「Wb−Wa」の値を算出した。
図21は、感光体11の撓み量の測定方法の概念説明図である。図21中の矢印Lsは、感光体11の幅方向中央部の下端部の位置を測定する測定用のレーザーの照射方向を示している。図21に示す感光体11への当接部材(クリーニングブレード15a、帯電ローラ12a)を取り外した状態で感光体11を駆動させたときの下端部の位置と、当接部材を当接させた状態で感光体11を駆動させたときの下端部の位置との高さの差を求めた。ここで求めた高さの差が感光体11の駆動時の撓み量「δ」となる。
帯電ローラ12aは、端部の径が12[mm]のローラに対して、端部よりも径が大きな中央部の径を増減させることで、クラウン形状を変化させた。このようにクラウン形状を異ならせることで、各感光体11の条件に対して「*」の値が、表中の値(「−0.05」、「0」、「0.05」、「0.1」、「0.15」)の値になるように設定した。
次に、考察2として、帯電ローラニップ偏差による帯電性を考察した結果を表2に示す。
従来は、帯電ニップ12nのニップ幅に偏差があると帯電ムラに起因する画像不良が生じると考え、ニップ幅の偏差をできるだけ少なくするために、帯電ローラ12aのクラウン量を調整し、「Wa−Wb」の値が「0」に近い値となるように設定していた。しかし、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、本実験装置の帯電ニップ12nのニップ幅の平均が約1.0[mm]であるのに対して、「Wa−Wb」の値が0.2[mm]以下であれば、帯電ムラに起因する画像不良は問題のないレベルであることが分かった。従来の帯電ローラ12aは、帯電ニップ12nの偏差が無くなるほどにクラウン量があったため、帯電ムラに起因する画像不良を抑制するという点では、クラウン量が過剰であったと考えられる。
これに対して、パラメータ「I/L3」の値が、表中の左端のように0.000029[mm]となると、パラメータ「I/L3」の値は標準感光体の1/5となる。撓み難さを示すパラメータである「I/L3」が1/5となると、同じ装置に組み込んだときは荷重(W)や材料(ヤング率:E)が同じであるため、撓み量「δ」は5倍となる。このため、パラメータ「I/L3」の値が0.000029[mm]の場合は、撓み量「δ」は65[μm]となる。
感光体11に対するシリカの残留量を評価する前に、感光体11に当接させるクリーニングブレード15aの当接圧を検討する実験1を行った。
感光体11のシリカの残留量は、感光体クリーニング装置15のクリーニングブレード15aの当接圧によって変化する。クリーニングブレード15aの当接圧が高いほど、クリーニングブレード15aによるシリカの回収性能が向上する。しかし、クリーニングブレード15aの当接圧が高すぎると、感光体11の表面の感光層の磨耗が進み、装置寿命に到達する前にキャリア付着が許容範囲を超えてしまう。また、クリーニングブレード15aの当接圧が低いとシリカの回収性能が低下するだけでなく、使用開始したのち、早い段階でのクリーニング不良に起因する不良画像が生じる。
実験装置としては、市販の画像形成装置(RICOH MP C 3503)の感光体駆動と帯電用の高圧電源をDC帯電システムに改造し、感光体11としては、上述した実施形態のものを用いた。
このような実験装置で、クリーニングブレード15aの感光体11に対する当接圧が異なる条件で、感光体磨耗による経時キャリア付着評価とクリーニング性評価とを行った。
評価結果を表3に示す。
ここで、中心圧とは、作像装置10にクリーニングブレード15aを組み付けるときの目標となる線圧である。クリーニングブレード15aの当接圧は同じ機種の装置であれば同じ値に設定することが望ましい。しかし、量産の都合上、クリーニングブレード15aには、いろいろ公差があり、ブレードの厚みや突き出し量、組み付け位置など、このような公差を許容しようとすると当接圧は同じ機種の装置であっても一つ一つの装置ごとにバラツキが生じてしまう。
そして、中心圧とは、各公差のない理想的な条件でクリーニングブレード15aを組み付けたとしたときのクリーニングブレード15aの当接圧である。
中心圧が10[g/cm]の場合は線圧公差の範囲はこれよりも狭く、中心圧が40[g/cm]の場合は線圧公差の範囲はこれよりも広くなる。
また、クリーニング性は当接圧が低いほど厳しい条件となるため、各中心圧の線圧公差の上限値の当接圧となる条件で評価を行った。このため、中心圧25[g/cm]の設定の場合は、下限値となる15[g/cm]で評価を行った。
また、感光体11としては上述した標準感光体を用いた。
プロセスカートリッジである作像装置10の装置寿命に相当する枚数分、感光体11を回転させた場合のキャリア付着を評価するために、次のような評価を行った。
まず、感光体11を磨耗させる前の感光体11の表面の感光層の層厚を測定した。
次に、感光体11を実験装置に組み付けて、中心圧が10[g/cm]、25[g/cm]及び40[g/cm]となる線圧公差の上限値となる条件でクリーニングブレード15aを感光体11に当接させた。そして、印字率5[%]で感光体11の表面上にトナー像を形成し、一万枚分の感光体11の駆動を行って感光体11の感光層を磨耗させた。そして、実験装置から感光体11を取り出して再び感光体11の感光層の層厚を測定した。
そして、この減少量に基づいて、装置寿命に相当する枚数、六万枚分の感光層の減少量をそれぞれの当接条件について算出し、六万枚の出力を行ったときの感光層の層厚の予想値を算出する。
算出された予想値の層厚の感光層を基準感光体に用いたものと同じ基材の表面上に形成する。これにより、中心圧が10[g/cm]、25[g/cm]及び40[g/cm]のそれぞれの当接条件について、六万枚分の出力を行ったときの感光層の予想値の層厚を備えた、感光体11を再現できる。
新しい感光体11を実験装置に組み付けて、中心圧が10[g/cm]、25[g/cm]及び40[g/cm]となる線圧公差の下限値となる条件でクリーニングブレード15aを感光体11に当接させた。そして、ベタ画像のトナー像を一万枚分、感光体11上に形成し、それを感光体クリーニング装置15でクリーニングを行ったときにクリーニング性が保たれているか否かの評価を行った。
これは、以下の理由による。すなわち、クリーニング不良が起こると、クリーニングブレード15aの接触位置であるクリーニングニップを通過したトナーが、クリーニングニップに対して下流側に位置する帯電ローラ12aとの接触位置である帯電ニップ12nに到達する。そして、帯電ニップ12nで帯電ローラ12aにトナーが付着すると、帯電ローラ12aの表面汚れに起因するスジ画像が発生する。
このような理由により、ベタ画像のトナー像を一万枚分、感光体11上に形成したあとに、スジ画像が発生していたら「×」とし、スジ画像が発生しなかったら「○」とした。
また、図21を用いて説明した感光体11の撓み量を測定するときも、クリーニングブレード15aの中心圧を25[g/cm]として測定を行った。
次に、感光体削れと、感光体11の長手方向端部のシリカ付着との両立を評価した実験2について説明する。
感光体11に対するクリーニングブレード15aの当接圧の中心圧は25[g/cm]とした。この当接条件で、標準環境において画像面積率を5[%]として作像を行った場合に、感光体11の駆動距離10[km]の駆動後に、感光体11上の付着物の状態と画像状態とを観察した結果を表4に示す。
また、実験2においては、市販の画像形成装置(RICOH MP C 3503)を実験条件に合わせて設定を変更して作像を行った。
「○」:感光体11の表面上の長手方向端部にシリカ付着が目視で全く確認できなかった。
「△」:感光体11の表面上の長手方向端部にシリカ付着が目視で確認できたが、画像に影響は無かった。
「×」:感光体11の表面上の長手方向端部にシリカ付着が目視で確認でき、画像にも影響が生じた。
次に、感光体削れと、感光体11の長手方向中央部のシリカ付着との両立を評価した実験3について説明する。
感光体11に対するクリーニングブレード15aの当接圧の中心圧は25[g/cm]とした。この当接条件で、標準環境において画像面積率を5[%]として作像を行った場合に、感光体11の駆動距離10[km]の駆動後に、感光体11上の付着物の状態と画像状態とを観察した結果を表5に示す。
また、実験3においても、市販の画像形成装置(RICOH MP C 3503)を実験条件に合わせて設定を変更して作像を行った。
「○」:感光体11の表面上の長手方向中央部にシリカ付着が目視で全く確認できなかった。
「△」:感光体11の表面上の長手方向中央部にシリカ付着が目視で確認できたが、画像に影響は無かった。
「×」:感光体11の表面上の長手方向中央部にシリカ付着が目視で確認でき、画像にも影響が生じた。
表1、表2、表4及び表5の結果を一つの表にまとめたものを表6に示す。
これにより、パラメータ「I/L3」の値が、0.000145[mm]以下という感光体の省スペース(小径)、低コスト(薄肉)、長尺(A3ノビ紙対応)を両立することができる感光体で、シリカの付着に起因する異常画像の発生を防ぐことが可能となる。
また、「Wa−Wb」を、「δ」よりも大きく、且つ、0.2[mm]以下に設定することで、長手方向端部のシリカ付着起因の異常画像を防ぐとともに、帯電ムラに起因する画像不良の発生を防ぐことができる。
感光体11の撓み量が大きくなると、感光体11の長手方向中央部は帯電ローラ12aから離れる方向に変位するため、中央部帯電ニップ幅Wbは小さくなる。中央部帯電ニップ幅Wbが狭くなると、帯電ニップ12nにおける長手方向中央部での線圧が小さくなるが、帯電ローラ12aが感光体11に作用させる荷重の大きさは変わらないため、帯電ニップ12nにおける長手方向端部での線圧が大きくなる。この線圧が大きくなると、端部帯電ニップ幅Waが大きくなる。このように、停止している状態から感光体11を駆動させると、中央部帯電ニップ幅Wbは小さくなり、端部帯電ニップ幅Waは大きくなるため、「Wa−Wb」の値は大きくなる。
図22に示すグラフでは、縦軸の0.01にグラフの切片があり、傾きが「1」となる直線のグラフであり、本発明者らは、停止時の「Wa−Wb」の値と、駆動時の「Wa−Wb」の値との間には、図22に示すような相関関係があると推定する。
さらに、上述したように、感光体11の撓み量が大きくなると、「Wa−Wb」の値は大きくなるが、感光体11の撓み量の増加量が一定であれば、「Wa−Wb」の値の増加量も一定となる。
図22では、停止時の「Wa−Wb」の値が「0」のとき、すなわち、端部帯電ニップ幅Waと中央部帯電ニップ幅Wbとが同じであっても、駆動させることで、端部帯電ニップ幅Waの値が大きくなり、0.01[mm]となっている。
このように、停止時の「Wa−Wb」の値が異なっていても停止状態から駆動したときの「Wa−Wb」の値の増加量は「0.01[mm]」となっている。
図22では、一例として、「Wa−Wb」の値の増加量が「0.01[mm]」で一定となる場合について説明したが、「Wa−Wb」の値の増加量は各種条件の設定によって異なる。
上述したように、実験した範囲では、「*」の値が小さくなるという条件の変化には余裕はないが、「*」の値が大きくなるという条件の変化に余裕があるため、停止時に比べて駆動時の方が「*」の値が大きくなっても不具合は生じないと考えられる。
そして、少なくとも停止時の「Wa−Wb」の値と、駆動時の感光体11の撓み量「δ」との差である「*」の値が、「0」よりも大きい値であれば、感光体11の長手方向端部におけるシリカ付着の発生を抑制することができる。
また、感光体11からシリカを掻き取る帯電ローラ12aに帯電クリーニング部材を当接させることで、帯電ローラ12aによるシリカの掻き取り性能を維持することができる。
(態様A)
表面移動する感光体11等の潜像担持体と、表面移動する表面を潜像担持体の表面に接触して帯電ニップ12n等の帯電ニップを形成し、潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電ローラ12a等の帯電部材と、一様帯電された潜像担持体の表面に静電潜像を形成する書込み部6等の潜像書き込み手段と、潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させ現像する現像装置13等の現像手段と、潜像担持体上に付着したトナーによって形成されるトナー像を中間転写ベルト17等の被転写材に転写する一次転写ローラ14等の転写手段と、トナー像を被転写材に転写した潜像担持体上に残留する転写残トナーを除去する感光体クリーニング装置15等のクリーニング手段とを有する複写機100等の画像形成装置において、潜像担持体として、断面二次モーメントを長さの三乗で割った値が、0.000058[mm]以上、0.000145[mm]以下の範囲となるものを用いるとともに、帯電部材の表面に付着した異物を除去する帯電クリーニングローラ12b等の帯電クリーニング手段を設け、潜像担持体の表面移動方向の帯電ニップの長さである帯電ニップ幅を、潜像担持体の軸方向の中央部の中央部帯電ニップ幅Wb等の中央部帯電ニップ幅よりも軸方向の端部の端部帯電ニップ幅Wa等の端部帯電ニップ幅の方が広くなるようにし、端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差が、駆動時の潜像担持体の中央部の撓み量よりも大きくなるようにした。
これによれば、上記実施形態について説明したように、撓み易い潜像担持体を使用した構成で、フィルミングが発生することを抑制できる。これは以下の理由による。
すなわち、断面二次モーメントを長さの三乗で割った値が、0.000145[mm]以下の範囲となる潜像担持体は、従来の潜像担持体よりも撓み易い。
潜像担持体の表面に接触して帯電ニップを形成する帯電部材の押圧力の少なくとも一部は、潜像担持体上のトナー像を被転写材に転写する転写ニップに向けて潜像担持体を押圧するように作用する。また、潜像担持体とクリーニングブレードとの接触部に作用する摩擦力やクリーニングブレードの押圧力の少なくとも一部は、転写ニップに向けて潜像担持体を押圧するように作用する。このように転写ニップに向けて潜像担持体を押圧する力が作用すると、上述した撓み易い潜像担持体を用いた場合、潜像担持体は軸方向中央部が転写ニップに近付くように撓み、転写ニップの軸方向中央部のニップ幅が大きくなる。被転写材に対する潜像担持体の押圧力に変化がなければ、転写ニップ全体のニップ幅の平均値はほとんど変化しないため、転写ニップの軸方向中央部のニップ幅が大きくなると、転写ニップの軸方向端部のニップ幅が狭くなる。
転写ニップでは、潜像担持体上のトナーだけでなく異物も被転写材に移動するが、異物は転写ニップのニップ幅が狭くなると、移動量が減少する。このため、潜像担持体の軸方向中央部が転写ニップに近付く撓み量が大きくなるほど、転写ニップの軸方向端部のニップ幅が狭くなり、転写ニップで被転写材への異物の移動量が減少し、異物が付着したままとなり潜像担持体にフィルミングが生じ易くなる。
このように潜像担持体の軸方向中央部の撓み量が大きくなるほどフィルミングが発生し易いため、上述した撓み易い潜像担持体を用いた場合は、従来の潜像担持体を用いる構成に比べて潜像担持体の軸方向端部にフィルミングが発生し易くなる。
潜像担持体に接触する帯電部材は潜像担持体上の異物を回収することができ、その回収性能は帯電ニップ幅が広いほど向上する傾向がある。そして、本態様Aのように、中央部帯電ニップ幅よりも端部帯電ニップ幅の方を広くすることで、軸方向端部における帯電部材による異物の回収を促すことができる。
さらに、本態様Aでは、端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差が、駆動時の潜像担持体の中央部の撓み量よりも大きくなるように、端部帯電ニップ幅を広く設定する。上記表6等を用いて説明した実験結果より、端部帯電ニップ幅が中央部帯電ニップ幅よりも大きくても、その差が駆動時の潜像担持体の中央部の撓み量以下であると、潜像担持体の軸方向端部の異物付着を十分に抑制することができなかった。一方、端部帯電ニップ幅を中央部帯電ニップ幅よりも大きくし、その差が駆動時の潜像担持体の中央部の撓み量よりも大きくなるように設定すると、潜像担持体の軸方向端部の異物付着を十分に抑制することできることを確認した。これにより、潜像担持体の軸方向端部に異物が付着したままとなることに起因してフィルミングが発生することを抑制できる。
なお、潜像担持体の断面二次モーメントを長さの三乗で割った値が、0.000058[mm]未満であると、撓み易す過ぎて、潜像担持体の撓み量が大きくなり、次のような問題が生じる。すなわち、端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差が、駆動時の潜像担持体の中央部の撓み量よりも大きくなるように設定しようとすると、撓み量が大きくなる分、端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差を大きくする必要がある。しかし、この差を大きくし過ぎると、潜像担持体の軸方向における帯電ムラが生じ、帯電ムラに起因する画像不良の発生するおそれがある。よって、本態様Aでは、潜像担持体として、断面二次モーメントを長さの三乗で割った値が、0.000058[mm]以上のものを用いている。
(態様B)
態様Aにおいて、端部帯電ニップ幅Wa等の端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差は、上記帯電ニップ幅の平均値(約1.0[mm]等)の2/10(0.2[mm]等)未満である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、帯電ムラに起因する画像不良の発生を防ぐことができる。
(態様C)
態様AまたはBの何れかの態様において、帯電ローラ12a等の帯電部材がローラ形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、表面移動可能なローラ部材を用いるため、常にクリーニング後のフレッシュな面で帯電部材を潜像担持体に当接することが可能となり、シリカ等の異物の掻き取り性を維持することができる。また、異物を除去するために帯電部材を潜像担持体から離間させる機構が不要であるため、安価な構成で、経時に渡って異物の掻き取り性を維持することができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、帯電ローラ12a等の帯電部材の表面粗さRzが5[μm]以上である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、経時で帯電部材におけるシリカ等の異物を掻き取る部分に異物が付着したままとなりにくく、異物の掻き取り性が落ちにくくなる。このため、感光体11等の潜像担持体に対する帯電部材による異物の掻き取り性能を経時に渡って維持することが可能となる。
(態様E)
態様A乃至Dの何れかの態様において、帯電ローラ12a等の帯電部材は、感光体11等の潜像担持体の回転軸よりも下方で該潜像担持体の表面に接触する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、帯電部材が自重によって撓んだ長手方向中央部の押圧力は低下し、長手方向端部の押圧力を高くすることができる。これにより、長手方向端部のシリカ等の異物を掻き取る性能の向上を安価な構成で実現することができる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、帯電ローラ12a等の帯電部材は、両端加圧である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、帯電ニップにおける長手方向端部の圧力を安定的に高くすることが可能となり、帯電部材の長手方向端部でのシリカ掻き取り性を安定的に維持することが可能となる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、帯電ローラ12a等の帯電部材によって一様帯電された感光体11等の潜像担持体の表面電位の絶対値が、接地電位よりも140[V]以上高い。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非画像部では、シリカ等の異物が現像ローラ13a等を備えた現像手段から潜像担持体に供給されにくくなり、潜像担持体に付着するシリカの量を抑制する可能となる。
(態様H)
態様A乃至Gの何れかの態様において、感光体クリーニング装置15等のクリーニング手段は、感光体11等の潜像担持体の表面に接触して転写残トナーを除去するブレード状部材15a1等のクリーニングブレードを備え、クリーニングブレードを装置本体に対して固定するホルダ部材15a2等のブレードホルダを軸方向両端固定とする。
これによれば、上記実施形態について説明したように、潜像担持体の表面上の軸方向端部でクリーニング不良に起因する異物の付着を抑制することができ、シリカ等の異物が付着することに起因するフィルミングの発生を抑制することができる。
(態様I)
態様A乃至Hの何れかの態様において、感光体11等の潜像担持体の感光層に絶縁性のフィラーを含有させない。
これによれば、上記実施形態について説明したように、潜像担持体の表面の円滑性が高まり、シリカ等の異物が付着することを抑制でき、さらに、潜像担持体に付着した異物を帯電ローラ12a等の帯電部材が掻き取り易くなる。これにより、潜像担持体の表面上に異物が付着したままとなることを抑制でき、異物のフィルミングが発生することを防止できる。
(態様J)
少なくとも感光体11等の潜像担持体と、帯電部12等の帯電手段と、感光体クリーニング装置15等のクリーニング手段とを一体的に構成し、複写機100等の画像形成装置の本体に着脱可能に構成した作像装置10等のプロセスカートリッジにおいて、態様A乃至Iの態様の画像形成装置の帯電手段、クリーニング手段及び潜像担持体を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、撓み易い潜像担持体を用いた構成で、潜像担持体にシリカ等の異物のフィルミングの発生することができる構成の消耗部品の交換性が向上する。
3 原稿搬送部
4 原稿読込部
5 排紙部
6 書込み部
7 給紙部
8 給紙ローラ
9 中間転写ベルトクリーニング装置
10Y イエロー作像装置
10C シアン作像装置
10BK ブラック用作像部
10M マゼンタ作像装置
10 作像装置
11 感光体
11a 感光体軸受部材
12 帯電部
12a 帯電ローラ
12a1 帯電ローラ回転軸
12b 帯電クリーニングローラ
12b1 帯電クリーニングローラ回転軸
12n 帯電ニップ
13c ドクターブレード
13 現像装置
13a 現像ローラ
13b1 第一搬送スクリュ
13b2 第二搬送スクリュ
14 一次転写ローラ
14n 一次転写ニップ
15 感光体クリーニング装置
15a クリーニングブレード
15a1 ブレード状部材
15a11 エッジ層
15a12 バックアップ層
15a2 ホルダ部材
15a21 支持部
15a22 曲げ部
15a31 主基準部
15a32 従基準部
15a41 ネジ締結用穴部
15a42 ネジ締結用長穴部
15b 搬送コイル
15c ケース
15d ボス部
17 中間転写ベルト
18 二次転写ローラ
19 レジストローラ
20 定着部
28 トナー容器
29 排紙ローラ
41 ネジ
50 駆動部
100 複写機
213 帯電ローラ加圧スプリング
214 帯電ローラ軸受部材
215 帯電クリーニングローラ軸受部材
215a 帯電クリーニングローラ軸受部材ガイドリブ
216 帯電クリーニングローラ加圧スプリング
L レーザー光
P 転写紙
W1 端部転写ニップ幅
W2 中央部転写ニップ幅
Wa 端部帯電ニップ幅
Wb 中央部帯電ニップ幅
Claims (10)
- 表面移動する潜像担持体と、
表面移動する表面を該潜像担持体の表面に接触して帯電ニップを形成し、該潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部材と、
一様帯電された該潜像担持体の表面に静電潜像を形成する潜像書き込み手段と、
該潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させ現像する現像手段と、
該潜像担持体上に付着したトナーによって形成されるトナー像を被転写材に転写する転写手段と、
トナー像を被転写材に転写した該潜像担持体上に残留する転写残トナーを除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、
上記潜像担持体として、断面二次モーメントを長さの三乗で割った値が、0.000058[mm]以上、0.000145[mm]以下の範囲となるものを用いるとともに、
上記帯電部材の表面に付着した異物を除去する帯電クリーニング手段を設け、
該潜像担持体の表面移動方向における上記帯電ニップの長さである帯電ニップ幅を、該潜像担持体の軸方向の中央部の中央部帯電ニップ幅よりも軸方向の端部の端部帯電ニップ幅の方が広くなるようにし、
該端部帯電ニップ幅と中央部帯電ニップ幅との差が、駆動時の該潜像担持体の中央部の撓み量よりも大きくなるようにしたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置において、
上記端部帯電ニップ幅と上記中央部帯電ニップ幅との差は、上記帯電ニップ幅の平均値の2/10未満であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1または2の何れかに記載の画像形成装置において、
上記帯電部材がローラ形状であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置において、
上記帯電部材の表面粗さRzが5[μm]以上であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置において、
上記帯電部材は、上記潜像担持体の回転軸よりも下方で該潜像担持体の表面に接触することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の画像形成装置において、
上記帯電部材は、両端加圧であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置において、
上記帯電部材によって一様帯電された上記潜像担持体の表面電位の絶対値が、接地電位よりも140[V]以上高いことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至7の何れかに記載の画像形成装置において、
上記クリーニング手段は、上記潜像担持体の表面に接触して転写残トナーを除去するクリーニングブレードを備え、
該クリーニングブレードを装置本体に対して固定するブレードホルダを軸方向両端固定とすることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成装置において、
上記潜像担持体の感光層に絶縁性のフィラーを含有させないことを特徴とする画像形成装置。 - 少なくとも潜像担持体と、帯電手段と、クリーニング手段とを一体的に構成し、画像形成装置の本体に着脱可能に構成したプロセスカートリッジにおいて、
請求項1乃至9の何れかに記載の画像形成装置の帯電手段、クリーニング手段及び潜像担持体を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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