JP7133141B2 - ブレード部材の選定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ブレード部材の選定方法に関するものである
従来、弾性材料からなるブレード部材で構成され、ブレード先端部を被清掃部材の表面に当接させ、表面移動する被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレードが知られている。
特許文献1には、上記クリーニングブレードとして、100%永久伸びが3%以下、200%モジュラスが90[kg/cm]以上、引裂強さが60[kg/cm]以上、25℃での反発弾性率RbT25が20%以下、10℃から50℃の間での反発弾性率の最大値をRbmaxと最小値をRbminとの差ΔRbが40%以下であるものが記載されている。これによれば、超低反発弾性率で且つ優れた機械的強度有し、クリーニング性が良好で、摩耗幅も概ね小さく耐久性にも優れたクリーニングブレードを提供することができると記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のクリーニングブレードでは、近年の更なる長寿命化要求には、十分に応えられないおそれがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、弾性材料からなるブレード部材で構成され、ブレード先端部を被清掃部材の表面に当接させ、表面移動する被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレードのブレード部材の選定方法であって、前記ブレード部材の前記ブレード先端部を構成する材料が、35℃におけるJISアスカーA硬度H35と、35℃における反発弾性率R35とが、以下の関係式(A)を満たす材料であるか否かに基づいて、前記ブレード部材を選定することを特徴とするものである。
35≦-1.56×H35+132・・・(A)
本発明によれば、経時にわたり良好なクリーニング性を維持することができるブレード部材を、より広い範囲で選定が可能となる。
本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。 作像ユニットの概略構成図。 加圧機構の概略構成図。 クリーニングブレードの概略構成図。 特許文献1に記載の5種類のクリーニングブレードの実施例の硬度と35℃の反発弾性[%]との関係を示したグラフ。 評価用のクリーニングブレードの作成について説明する図。 摩耗面積について説明する図。 摩耗状態を観察する方向について説明する図。 (a)は、疲労摩耗の一例を示す顕微鏡写真であり、(b)は、鏡面摩耗の一例を示す顕微鏡写真であり、(c)は、中間摩耗の一例を示す顕微鏡写真である。 低温評価で用いるランニングチャートを示す図。 (a)は、トナーすり抜けランニング前の潤滑剤供給ローラの一例を示す写真であり、(b)は、トナーすり抜けランニング後の潤滑剤供給ローラの一例を示す写真。 実施例1~10、比較例1~10の硬度と35℃の反発弾性率との関係を示すグラフ。
以下、本発明に係る現像装置を中間転写方式のタンデム型のフルカラー画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」という。)に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成図である。図1を用いて画像形成装置1の概略について説明する。この画像形成装置1は、その本体上部から、自動原稿搬送装置3、原稿読取部4を備えている。原稿読取部4の下方には、画像形成済みの記録媒体としての記録紙Pを積載するスタック部5を備えている。スタック部5の下方には、原稿読取部4によって読み取った原稿画像に基づいて画像を形成する画像形成部2と、画像形成部2に記録紙Pを給紙する給紙部6とを備えている。
自動原稿搬送装置3は原稿束から原稿を1枚ずつ分離して原稿読取部4のコンタクトガラス上に自動給紙し、原稿読取部4によりコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る。
画像形成部2は、複数の支持ローラに張架され、図中反時計回りに表面移動する中間転写ベルト17を備えている。中間転写ベルト17の下側の張架面に対して、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する作像ユニット10Y、10C、10M、10Kが並列に配置されている。各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、各色のトナー像が形成される感光体11Y、11C、11M、11Kを備えている。感光体11Y、11C、11M、11Kの周りには、それぞれ帯電装置、現像装置13Y、13C、13M、13K、感光体クリーニング装置等を備えている。
中間転写ベルト17の各感光体11Y、11C、11M、11Kに対向位置の内周面に接するよう、1次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを備えている。また、中間転写ベルト17の表面移動方向に関して、1次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kよりも下流側の外周面に接するよう、2次転写ローラ18を備えている。さらに、2次転写ローラ18よりも下流側の中間転写ベルト17の外周面に接するよう、ベルトクリーニング装置を備えている。2次転写ローラ18の上方には、定着装置20を備えている。
各作像ユニット10Y、10C、10M、10Kの下方には、各感光体11Y、11C、11M、11Kにレーザ光を照射するための光書込ユニット19を備えている。また、中間転写ベルト17の上方には、トナー補給装置28が設けられている。トナー補給装置28には、各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)に対応した4つのトナーカートリッジ(トナー容器)が着脱自在(交換自在)に設置されている。このトナー補給装置28におけるトナーカートリッジ以外の部分は、トナーカートリッジから排出されるトナーを現像装置13Y、13C、13M、13Kに搬送するトナー搬送装置である。
給紙部6は、積層された複数枚の記録紙Pを収容する給紙カセット7と、積層された複数枚の記録紙Pからその最上位に位置する記録紙Pを画像形成部2に向けて給紙する給紙ローラ8と備えている。
上記構成の画像形成装置1の画像形成動作を説明する。
各作像ユニット10では、各色トナー像の形成がおこなわれる。各感光体11の回転とともに、まず帯電装置で感光体11の表面を一様に帯電する。次いで、光書込ユニット19から、原稿読取部4によって読み取った原稿の画像データを色毎に分解した画像情報データに基づくレーザ光を各感光体11上に照射し、静電潜像を形成する。その後、各現像装置13によりトナーを静電潜像に付着させ可視像化することで各感光体11上に各色トナー像を形成する。
各感光体11Y、11C、11M、11K上の各色トナー像を、1次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより中間転写ベルト17上に順次転写して、重ね合せカラートナー像を形成する。トナー画像転写後の各感光体11Y、11C、11M、11K上の表面は感光体クリーニング装置15Y,15C,15M、15Kで残留トナーを除去して清掃し、再度の画像形成に備える。
一方、給紙部6では、給紙カセット7に収容された記録紙Pを1枚づつ分離して給紙ローラ8にて画像形成部2に向けて送り出し、レジストローラ9に突き当てて止める。そして、画像形成部2のトナー像形成のタイミングに合わせて、レジストローラ9に突き当てて止めた記録紙Pを中間転写ベルト17と2次転写ローラ18との間の2次転写部に送り出す。2次転写部では、中間転写ベルト17上の重ね合せカラートナー像が供給された記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着装置20によりトナー像を定着後、スタック部5へ排出される。一方、トナー像転写後の中間転写ベルト17の表面はベルトクリーニング装置で残留トナーを除去して清掃し、再度の画像形成に備える。
なお、本実施形態では、各作像ユニット10は、感光体11、帯電装置、現像装置13、感光体クリーニング装置とが共通の支持体上に支持され、プリンタ本体に対して一体的に着脱自在に構成されたプロセスカートリッジの形態をとっている。このようなプロセスカートリッジの形態とすることで、メンテナンス性を向上させることができる。
図2は、作像ユニット10の概略構成図である。
4つの作像ユニット10Y、10C、10M、10Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、プロセスカートリッジ及び現像装置及びトナー補給部における符号のアルファベット(Y、M、C、K)は省略する。
図2に示すように、作像ユニット10には、像担持体としての感光体11と、感光体11を帯電する帯電装置12(帯電ローラ)と、感光体11上に形成される静電潜像を現像する現像装置13と、感光体11上の未転写トナーを回収する感光体クリーニング装置15と、感光体11上に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置16と、が、ケースに一体的に収納されて、プロセスカートリッジの形態をとっている。
帯電装置12は、感光体11の表面に対向するように配置され、帯電電圧を印加されている帯電ローラで主に構成されている。
現像装置13は、現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ13aと、現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌スクリュ13b2と、攪拌された現像剤を現像ローラ13aに供給しながら搬送する供給スクリュ13b1と、現像ローラ23aに対向し現像ローラ表面の現像剤を規制する現像ブレード13cとから主に構成されている。現像装置13では、攪拌スクリュ13b2によって現像剤収容部に収容された現像剤を攪拌しながら搬送し、攪拌された現像剤を供給スクリュ13b1によって現像ローラ13aに供給しながら搬送する。現像ローラ13aでは、感光体11の表面にトナーを供給して静電潜像を可視像化する。
クリーニング装置としての感光体クリーニング装置15はクリーニングブレード15aを備えている。クリーニングブレード15aは、1層または2層のウレタンゴムなどの弾性材料で構成され、感光体11側に位置する先端稜線部を感光体11の表面に接触させて、感光体11の表面を清掃する。クリーニングブレード15aより除去された感光体11上の残留トナー等の付着物は、感光体クリーニング装置15へ落下し、感光体クリーニング装置15内に設けられた搬送コイル15bにより廃トナー回収容器へ搬送される。クリーニングブレード15aの詳細については後述する。
潤滑剤供給手段たる潤滑剤供給装置16は、ブレード状部材16d,固形潤滑剤16b、感光体11と固形潤滑剤16bとに摺接する潤滑剤供給ローラ16a、固形潤滑剤16bを保持する保持部材16c、保持部材16cを固形潤滑剤16bとともに収納するケース16f、保持部材16cとともに固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16a側へ加圧する加圧機構160などを有している。
ケース16fは、固形潤滑剤16bが潤滑剤供給ローラ16aに圧接する方向に移動できるように(移動を妨げないように)、保持部材16cを固形潤滑剤16bとともに収納する略箱状である。また、ケース16fは、固形潤滑剤16bや保持部材16cの圧接方向(固形潤滑剤16bが潤滑剤供給ローラ16aを圧接する方向である。)の移動を妨げない範囲で、それらの部材16b、16cとの隙間が比較的小さく設定されていて、潤滑剤供給ローラ16aに対して固形潤滑剤16bが傾いて圧接するのをある程度防止する。
潤滑剤供給ローラ16aは、回転する感光体11に対して接触するように、駆動モータによって線速差をもって摺擦し、回転駆動される。また、潤滑剤供給ローラ16aは、固形潤滑剤16bと感光体11とに摺接するように配置されていて、潤滑剤供給ローラ16aが回転することによって固形潤滑剤16bから潤滑剤を掻き取り、その掻き取った潤滑剤を感光体11との摺接位置まで搬送した後に、その潤滑剤を感光体11上に塗布(供給)する。
感光体11とクリーニングブレード15aとの間の摩擦係数(動摩擦係数)が、0.2以下となるように、感光体11に塗布(供給)する潤滑剤が調整されている。潤滑剤供給ローラ16aの回転数を調整することで、感光体11に塗布(供給)する潤滑剤が調整される。
潤滑剤供給ローラ16aとしては、ブラシ状の部材、発泡体ローラなどが挙げられる。これらの中でも、発泡体ローラが好ましい。発泡体ローラは、芯材と、前記芯材の外周に形成され複数の気泡を有する発泡体層とを少なくとも有し、必要に応じて、更にその他の部材を有する。芯材の材質、形状、大きさ、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の樹脂;鉄、アルミ、ステンレス等の金属などが挙げられる。芯材の形状としては、例えば、円柱状、円筒状などが挙げられる。また、芯金表面上に接着層を設けてもよい。
発泡体層は、前記芯材の外周に形成される層であり、複数の気泡(「セル」、「孔」、「空隙」などとも称することがある)を有する。発泡体層の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒状などが挙げられる。発泡体層の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発泡ポリウレタンなどが挙げられる。潤滑剤供給ローラ16aとしては従来のブラシ状の部材を用いることもできるが、発泡体ローラは、ブラシ状の部材と比較して、像担持体上に潤滑剤を均一に供給できるため、像担持体の保護性を向上できる。また、ブラシ状の部材を用いた際のブラシの経時でのへたりによる潤滑剤の削れ量が変化するという問題を解消することができる。発泡ポリウレタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の製造方法を選択することができる。前記発泡ポリウレタンの原料としては、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、発泡剤、整泡剤などが挙げられる。
前記発泡体層は連続気泡型が、圧縮残留ひずみが小さく、圧縮させても元の形状に戻りやすいため、長期の使用においてもほとんど変形しない点で好ましい。また連続気泡型は、独立気泡型と比べて摺擦による潤滑剤の粉の飛翔が生じにくく、コスト面で有利であり、また少量の潤滑剤の供給量(潤滑剤ブロック削り量)でムラなく十分に像担持体を保護できるため、像担持体のフィルミングを防止でき、更に小さい潤滑剤ブロックにすることができ、装置を小型化できる点でも有利である。
前記発泡体ローラの平均セル径は、潤滑剤の個数基準メジアン径(D50)以下であれば特に制限はなく、潤滑剤に対する研削性能、及び潤滑剤を像担持体表面に均一に供給する点から、平均セル径は400[μm]以上850[μm]以下が好ましく、500[μm]以上700[μm]以下がより好ましい。前記平均セル径が、400[μm]以上であると、潤滑剤を研削しやすくなり、潤滑剤としてブロック上の成型体を使用する場合に潤滑剤の供給量が安定になりやすい。一方、前記平均セル径が、850[μm]以下であると、潤滑剤と像担持体との接触面積が部分的に増加するため、均一に潤滑剤を供給することが容易になる。
固形潤滑剤16bは、脂肪酸金属亜鉛に無機潤滑剤とアルミナを含有させて形成したものである。また、脂肪酸金属亜鉛としては、少なくともステアリン酸亜鉛を含んだものが好ましい。また、無機潤滑剤としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素のうち少なくとも1つを用いることができ、特に、窒化ホウ素が好ましい。
窒化ホウ素は放電による特性変化がほとんどないため、窒化ホウ素を配合した固形潤滑剤16bを用いることで、感光体11上で帯電工程や転写工程がおこなわれた後にも放電による劣化が生じにくくなる。また、窒化ホウ素を配合した固形潤滑剤16bを用いることで、感光体11が放電により酸化、蒸発してしまうことを防止することもできる。
また、窒化ホウ素だけからなる潤滑剤を用いてしまうと、感光体11の表面に供給された潤滑剤がドラム表面全体にいきわたらずに、ドラム表面全体に均一な潤滑剤の皮膜が形成されなくなるおそれがある。そのため、固形潤滑剤16bに窒化ホウ素の他に脂肪酸金属塩を配合している。これにより、感光体11の表面の全体にわたって潤滑剤の皮膜を効率よく形成することができて、長期にわたって高い潤滑性を維持することができる。脂肪酸金属塩としては、例えば、フッ素系樹脂、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等のラメラ結晶構造を持つ脂肪酸金属塩や、ラウロイルリジン、モノセチルリン酸エステルナトリウム亜鉛塩、ラウロイルタウリンカルシウム等の物質を使用することができる。特に、脂肪酸金属塩としてステアリン酸亜鉛を用いた場合には、感光体11上での伸展性が向上して、吸湿性が低くて湿度が変化しても潤滑性が損なわれにくくなる。
また、固形潤滑剤16bに配合する材料としては、脂肪酸金属塩や窒化ホウ素の他に、シリコーンオイル、フッ素系オイル、天然ワックス等の液状材料やガス状材料を外添剤として用いることもできる。
このように構成された固形潤滑剤16bは、粉体状の潤滑剤を型に入れて型内で圧力をかけて固形のバー状に形成することで得ることできるし、紛体状の潤滑剤を加熱溶融したものを型の中に流し込んだ後に冷却して潤滑剤のブロックを形成することで得ることができる。また、潤滑剤の構成材料をバー状に固める際に、必要に応じて、その構成材料中にバインダーを添加して固形潤滑剤16bを形成してもよい。
ブレード状部材16dはウレタンゴム等のゴム材料からなり、潤滑剤供給ローラ16aに対して感光体11の回転方向下流側の位置で感光体11に対してカウンタ方向に当接するように構成されている。ブレード状部材16dは、感光体11上に付着する未転写トナー等の付着物が機械的に掻き取る。
ここで、感光体11上に付着する付着物としては、未転写トナーの他に、記録紙Pから生じる紙粉、帯電装置12による放電時に感光体11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等がある。
固形潤滑剤16bを、潤滑剤供給ローラ16aを介して感光体11の表面に塗布すると、感光体11の表面には粉体状の潤滑剤が塗布されるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、ブレード状部材16d(薄層化ブレード)が潤滑剤を均一化する部材として機能することになる。
ブレード状部材16dにより、感光体11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。このとき、潤滑剤供給ローラ16aにより塗布する粉体状の潤滑剤は微粉であるほど、ブレード状部材16dにより感光体11上に分子膜レベルで薄膜化されるとともに潤滑剤供給ローラ16aによって感光体11上に供給された潤滑剤を薄層化することができる。
固形潤滑剤16bの後方部には,潤滑剤供給ローラ16aと固形潤滑剤16bとの接触ムラをなくすために加圧機構が配置されており、固形潤滑剤16bを保持するとともに、潤滑剤供給ローラ16aに向けて加圧(付勢)している。
図3は、加圧機構160の概略構成図であり、(a)は、加圧機構160と、固形潤滑剤16bとを示す斜視図であり、(b)は、回転部材16gの概略構成図である。
加圧機構160は、固形潤滑剤16bを保持する保持部材16cと、保持部材16cに回動可能に支持された一対の回転部材16gと、一対の回転部材16gに連結された引張スプリング16h(付勢部材)と、軸受16jと、で構成されている。
保持部材16cには、回転軸方向(図2の紙面垂直方向である。)の離れた位置に、1対の回転部材16g(押圧部材)がそれぞれ回動可能に支持されている。この1対の回転部材16gは、引張スプリング16hによる付勢力によってそれぞれ所定方向に回動して保持部材16cを介して固形潤滑剤16bを間接的に押圧して、固形潤滑剤16bを潤滑剤供給ローラ16aに圧接させるものである。
詳しくは、回転部材16gの両側面には、回動中心となる支軸16g1(軸部)が形成されている。そして、この回転部材16gの支軸16g1が、軸受16jの内径部に挿着された状態で保持部材16cの穴部16c2に嵌合して、回転部材16gが保持部材16cに回動可能に保持されることになる。なお、2つの回転部材16gは、それぞれ、回転軸方向(幅方向)において左右対称になるように保持部材16cに設置される。
また、1対の回転部材16gは、引張スプリング16hで連結されている。詳しくは、図3(b)に示すように、引張スプリング16hの両端のフック部が、それぞれ、回転部材16gの穴部16g4に接続されている。そして、この引張スプリング16hは、ケース16fに圧接するように1対の回転部材16gを互いに異なる方向に回動させて保持部材16cを潤滑剤供給ローラ16aに近づく方向に付勢する付勢手段として機能することになる。具体的に、2つの回転部材16gは、ケース16fの内壁面に当接するカム形状部16g2が互いに近づく方向のスプリング力(付勢力)を引張スプリング16hから受ける。これにより、図3(a)の左方の回転部材16gは、支軸16g1を回動中心として、反時計方向に回動するように付勢される。これに対して、図3(a)の右方の回転部材16gは、支軸16g1を回動中心として、時計方向に回動するように付勢される。
なお、本実施の形態において、回転部材16gのカム形状部16g2は、経時において固形潤滑剤16bが消費されて小さくなっても(加圧方向の高さが短くなっても)、潤滑剤供給ローラ16aに対する固形潤滑剤16bの加圧力がほぼ一定になって、潤滑剤供給ローラ16aによって固形潤滑剤16bから削り取られる潤滑剤量が一定になるように、そのカム形状が形成されている。
このように、本実施の形態において、加圧機構160は、固形潤滑剤16bに対して回転軸方向両端部(図2の紙面垂直方向の両端部である。)にそれぞれ加圧力が付与されるように構成されていることになる。
次に、本実施形態の特徴部について説明する。
図4は、クリーニングブレード15aの概略構成図である。クリーニングブレード15aは、感光体11に当接するエッジ部を含むエッジ層151aとバックアップ層151bとからなる二層構造のブレード部材15a1と、ブレード部材15a1を保持するL字形状の金属製のブレードホルダー15a2とを有している。
ブレード部材15a1は、現状では一般的かつ有効な製造方法である遠心成型によって各層を順次重ね合わせることで作成されている。ブレード部材15a1はブレードホルダー15a2に接着固定されている。エッジ層151aは0.5mm、バックアップ層151bは1.5mmの層厚になっている。エッジ層151aとバックアップ層151bは異なる材料、硬度のウレタンゴムなどのゴム材料からなっている。
クリーニングブレードに求められる特性には、トナーすり抜け性や摩耗の他にも、感光体11へのメダカ状のトナー付着の防止、異常音の発生の防止、エッジ部の欠けの防止など多岐に渡るが、ブレード部材15a1を積層構造とすることで、多岐に渡るクリーニング特性を満たしやすくでき、材料選定の自由度を高めることができる。
クリーニングブレード15aの摩耗の進行はダイレクトにトナーのクリーニング能力を与えるが、最も影響が顕著に表れるのが、低温環境のクリーニング性である。また、後述のようにその摩耗形態はトナーすり抜け性に影響を及ぼす。トナーすり抜けは以下の二つの不具合を引き起こす。まず、一つ目の不具合は、すり抜けトナーは下流にある帯電ローラ12aの汚れを加速し、汚れた帯電ローラ12aは帯電ムラ・帯電不良が引き起こし、ムラ画像・スジ状の異常画像が発生するという不具合である。
2つ目の不具合は、潤滑剤供給ローラ16aがすり抜けトナーで汚れすぎると固形潤滑剤16bに対する研削能力が上昇し、潤滑剤の過剰塗布状態になる。潤滑剤の過剰塗布は潤滑剤による帯電ローラ12aの汚れを引き起こす他、過剰な潤滑剤は均一に塗布されず塗布ムラを引き起こしやすくなる。潤滑剤の塗布ムラは感光体11の帯電性のバラつきによる表面電位のバラつきを引き起こし画像の濃度ムラを引き起こすこととなる。
上記の摩耗量と摩耗形態はスティックスリップの発生しやすさによって左右される。
従来から、良好な品質を得るため硬度、反発弾性率、引裂き強度などの特性値の範囲を規定したクリーニングブレードが知られている。例えば、ゴム硬度を所定の値以上に規定することで、ゴムの摩耗を低減することで摩耗を抑えたり、反発弾性率を所定の値以下に規定したりすることでスティックスリップの発生を抑え、振動による異常音の発生を抑えるなどである。
スティックスリップは、感光体11との摩擦力により感光体11に接触するブレード部材15a1のエッジ部が弾性変形した状態と未変形の状態の間で振動する現象である。このスティックスリップによる振動が発生するとことによりトナーの堰き止め力が低下するともに、振動による摩擦力による影響でエッジ部が凸凹に摩耗するという状況が発生する。
このようなクリーニングブレードの凹凸摩耗形態は疲労摩耗と呼ばれ、摩耗の進行速度が増加するほか、凹凸の激しい表面性によりトナーのすり抜けを更に促進するなど、悪影響を及ぼす。
逆にゴム硬度と反発弾性率を適切な値に設定すれば、スティックスリップが抑えられる。スティックスリップによる振動を抑えることによりクリーニングブレードの先端挙動は安定化し、エッジ部の摩耗状態は鏡面摩耗と呼ばれる滑らかな摩耗状態となる。このような安定的な摩耗状態になることでクリーニングブレード15aと感光体11の密着性が向上し、トナーすり抜けを抑えられる上、摩擦振動に起因する摩耗の進行速度も抑えることができる。
図5は、特許文献1に記載の5種類のクリーニングブレードの実施例の硬度と35℃の反発弾性率[%]との関係を示したグラフである。なお、上記35℃の反発弾性率は、特許文献1に記載の30℃の反発弾性率の値と、40℃の反発弾性率の値とから推定した推定値である。
図5からわかるように、特許文献1で選定される材料特性は、非常の狭い範囲を確認しただけである。また、特許文献1に記載のクリーニング性の評価や摩耗の評価もA4タテ1万枚の結果に基づいて判定している。しかし、A4ヨコで40万枚寿命が規定されるなどの昨今の長寿命化されたユニットを想定した場合には評価としては不十分であり、特許文献1に記載の材料特性のクリーニングブレードでは、40万枚後においても良好なクリーニング性が確保できないおそれがある。
また、硬度と反発弾性率は交互作用があるため、クリーニングブレードに必要な性能を持たせるためには一方の条件に応じた適正な条件範囲が存在する。例えば、クリーニングブレードの摩耗はスティックスリップの振幅・強度に影響を受けるが、スティックスリップは高硬度または高反発弾性率の方が発生しやすい。すなわち同じ反発弾性率であっても低硬度材料の方が高硬度材料よりもスティックスリップが発生しにくくなる(=摩耗しにくくなる)ことになる。特許文献1のように所望の性能を有する材料の特性値を規定するためには各々個別に規定するよりも、交互作用がある特性値の関係式で表した方が適切な材料を選定する上で望ましい。これは、例えば、硬度の範囲をA以上・B以下、反発弾性率の範囲をC以上・D以下とし、硬度と反発弾性率とを、それぞれ個別に規定した場合、A×Cの条件では成立したとしてもA×Dでは成立しない場合がある。よって、交互作用のある硬度と反発弾性率については、特性値の関係式で表した方が適切な材料を選定することができる。そこで、本実施形態では、40万枚使用後でも、良好なクリーニング性を維持することができる硬度と反発弾性率との間の関係式を、後述する評価試験により導き出し、経時にわたり良好なクリーニング性が得られるブレード部材15a1の材料を、より広い範囲で選定が可能となるようにした。
また、従来においては、反発弾性率は高い温度依存性を持つとともに材質ごとに温度特性が異なるため、機械本体内の使用温度における数値が上記の不具合防止(疲労摩耗)に有効な数値から外れることがあった。近年では立ち上がり時間の短縮、省電力などを目的に低融点トナーが広く使用されているが、これらトナーの軟化点温度は約45~55℃程であり、定着装置20の定着温度は140~170℃である。感光体クリーニング装置15付近はトナーの凝集・凝固防止を目的に前記のトナー軟化点温度以下とするために30℃~40℃で保たれるよう配置設計されている(基本的に軟化点温度以下であれば構わないのだが、定着装置20や現像装置13で発生する熱からの完全な遮断は困難で周囲温度(環境温度)に対して10~20℃の温度上昇は避けられない。)。
そのため、一般的なオフィスの室温(23℃~25℃)の反発弾性率を規定しても、実使用にそぐわず、狙った結果が得られないことが多々あった。例えば、オフィスの室温(23℃~25℃)の反発弾性率の規定範囲を満たすクリーニングブレードを使用したとしても、機内温度が、25℃よりも高くなることで、狙いの反発弾性率が得られなくなり、クリーニングブレードの振動が大きくなり、摩耗が促進されクリーニング性が低下することで寿命の低下につながることになる。
よって、本実施形態では、実際の使用時の機内温度である35℃の反発弾性率を規定した。
以下、本出願人が行なった評価試験について説明する。
評価試験は、図4に示したエッジ層とバックアップ層とを有する二層構造のブレード部材を備えた実施例1~10、比較例1~10のクリーニングブレードを用意して、評価試験を行なった。各クリーニングブレードのブレード部材は、L字形状の金属製のブレードホルダー15a2に接着固定し、エッジ層は0.5mm、バックアップ層は1.5mmの層厚にした。また、エッジ層とバックアップ層は異なる材料、硬度となっており、実施例1~10および比較例1~10のクリーニングブレード15aのエッジ層の特性値を表1に示す。
Figure 0007133141000001
また、バックアップ層の材料は、実施例1~10、比較例1~10で共通とした。バックアップ層の特性値を表2に示す。
Figure 0007133141000002
用意した実施例1~10、比較例1~10のクリーニングブレードは、システムに最適な材料を選択できるように、硬度や反発弾性率を適宜振ったものを用意した。各クリーニングブレードの硬度は、JIS-K6301記載の測定方法で、JIS-A型硬さ試験機を使用して測定した。また、各温度の反発弾性率は、JIS-K6255記載の測定方法で、各温度において、株式会社東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタ等の反発弾性試験機を用いて測定した。
図6は、評価用のクリーニングブレードの作成について説明する図である。
図6に示すように、感光体11に対する当接圧Fが20[N/m]、食込み量tが1[mm]となるよう、各材質のゴムの自由長lを調整して実施例1~10、比較例1~10のクリーニングブレードを作成した。
<摩耗ランニング>
以下の条件で摩耗ランニング実施し、クリーニングブレードの摩耗評価1、2を実施した。
・画像形成装置 :リコー製 MPC5100S
・ランニングチャート:画像面積率:5[%] A4ヨコ
・ランニング枚数 :400000枚
また、摩耗ランニング開始前に、感光体11とクリーニングブレード15aとの摩擦係数が0.2以下となるように感光体11への潤滑剤塗布(供給)量を調整した。
<評価1>摩耗評価1
評価1は、KEYENCE製 レーザー顕微鏡 VK-9500にてランニング評価試験後のクリーニングブレード先端の立体像を観察し、摩耗面積S[μm2]を求めた。摩耗面積Sは、図7に示す斜線部であり、使用初期に対する喪失部分の断面積である。
<評価2>摩耗評価2
摩耗評価試験2は、KEYENCE製 レーザー顕微鏡 VK-100にてランニング評価試験後のクリーニングブレードを図8に示す方向から摩耗状態を観察し、摩耗形態を評価した。レンズ倍率は100倍とした。図9(a)に示すように、摩耗面に激しい凹凸が観察されたときは、「疲労摩耗」と評価、図9(b)に示すように、摩耗面に凹凸が観察されず、滑らかな摩耗面が観察されたときは、「鏡面摩耗」と評価し、図9(c)に示すように、「鏡面摩耗」と「疲労摩耗」の中間的な摩耗面のときは、中間摩耗と評価した。
<評価3>低温評価
以下の条件でランニング後、低温評価を実施した。
・評価環境 :10℃15%RH
・画像形成装置 :リコー製 MPC5100S
・クリーニングブレード:上記摩耗ランニング(40万枚ラン)後のブレード
・ランニングチャート :縦帯ベタ A4ヨコ
・ランニング枚数 :1000枚
図10は、低温評価で用いるランニングチャートを示している。
図10に示すように、ランニングチャートは、K、C、M、Yの縦帯ベタ画像が、所定の間隔で並んだものである。
低温評価は、低温ランニング後に出力した画像に基づいて評価した。出力画像にクリーニング不良画像が確認された場合は、低温クリーニング性「×」と評価し、出力画像にクリーニング不良画像(ムラ画像・スジ状の異常画像)が確認されなかった場合は、低温クリーニング性「○」と評価した。
<評価4>トナーすり抜け評価
以下の条件でランニング後、トナーすり抜け評価試験を実施した。
・画像形成装置 :リコー製 MPC5100S
・クリーニングブレード:上記摩耗ランニング(40万枚ラン)後のブレード
・ランニングチャート :縦帯ベタ A4ヨコ(図10参照)
・ランニング枚数 :1000枚
トナーすり抜け評価は、図11(a)に示すトナーすり抜けランニング前(新品)の潤滑剤供給ローラ16aの表面をスキャナで読み込み輝度L0を測定し、図11(b)に示すトナーすり抜けランニング後の潤滑剤供給ローラ16aの表面をスキャナで読み込み輝度L1を測定する。次に、トナーすり抜けランニング前後の輝度差ΔL(=L0-L1)を求め、すり抜けトナー汚れに伴う輝度の低下を、トナーすり抜け量の代用特性として評価した。ΔL>50の場合は、トナーすり抜け「×」と評価し、ΔL≦50の場合は、トナーすり抜け「○」と評価した。
下記表3は、実施例・比較例の評価の結果であり、図12は、実施例1~10、比較例1~10の硬度と35℃の反発弾性率との関係を示すグラフである。
Figure 0007133141000003
実施例1~10は、いずれも40万枚ラン後の摩耗面積が比較例1~10よりも低めで40万ラン後の低温クリーニング性、トナーすり抜け性に問題がなかった。また、実施例1~10の摩耗形態は、鏡面摩耗か中間摩耗であるに対し、比較例1~10は、いずれも疲労摩耗であり、トナーすり抜け性がいずれも「×」であった。
これは、比較例1~10について、摩耗面積が大きく、感光体11と接触幅が増加して当接圧が低下していると考えられる。また、摩耗形態が疲労摩耗であり、摩耗面に激しい凹凸が形成され、感光体11との間に隙間が生じている箇所があると考えられる。これらのことから、クリーニングブレードで転写残トナーを良好に堰き止めることができず、クリーニングブレードからすり抜けるトナー量が多くなり、比較例1~10いずれもトナーすり抜け性が「×」となったと考えられる。
これに対し、実施例1~10が、40万枚ラン後もトナーすり抜け性が○であった理由は、摩耗が抑えられたことで、感光体11との接触幅の増加が抑制され当接圧の低下が抑制されたと考えられる。また、摩耗形態が中間摩耗や鏡面摩耗であって、感光体11との間の密着性が維持されたと考えられる。よって、40万枚ラン後もクリーニングブレードで良好に転写残トナーを堰き止めることができ、トナーすり抜け性が「○」となったと考えられる。
また、潤滑剤を感光体11に塗布して、感光体11とクリーニングブレード15aとの摩擦係数を0.2以下としたことで、スティックスリップの発生が抑制され、かつ、クリーニングブレード15aの磨耗を抑制することができ、40万枚ランニング後もトナーすり抜けを抑制できた一要因と考えられる。
図12に示すように35℃におけるアスカーA硬度と、35℃における反発弾性率との関係を見ると、トナーのすり抜け性が「○」の実施例1~10と、トナーのすり抜け性が「×」の比較例1~10との間に、境界線が引けることが分かる。この境界線は、35℃の反発弾性率をR35、35℃のアスカーA硬度を、H35としたとき、R35=-1.56H35+132と表すことができる。
よって、この図12から、35℃におけるアスカーA硬度と35℃における反発弾性率の関係が、R35≦-1.56H35+132を満たすことで、スティックスリップが抑制されて疲労摩耗が生じるのを抑制できるとともに、摩耗の進行を抑制することができ、40万枚後でも良好なクリーニング性を確保できる。これにより、昨今の長寿命化されたユニットに対応するクリーニングブレードを提供することができる。
また、交互作用がある硬度と反発弾性率を、上記関係式(R35≦-1.56H35+132)で規定したので、容易にエッジ層の適切な材料を選定することができる。また、本実施形態では、実際の使用時の機内温度である35℃で、アスカーA硬度と反発弾性率の関係を規定しているので、実際の使用時に狙いの反発弾性が得られなくなり、クリーニングブレードの振動が大きくなり、摩耗が促進されクリーニング性が低下するなどのことがない。
また、比較例2は、比較例4や比較例8よりも摩耗面積が抑えられているにも係わらず、低温クリーニング性が「×」であった。これは、表1から分かるように、比較例2については、10℃の反発弾性率が6%であり、反発弾性率が低すぎたので、低温クリーニング性が「×」となったと考えられる。一方、低温クリーニング性が「○」の実施例1~10および比較例1、3、4、8は、いずれも10℃における反発弾性率が7%以上であった。これにより、10℃における反発弾性率を7%以上とすることで、低温クリーニング性も良好にできることが確認された。
また、二層ブレードを使用したが、上述した特性を満たしていれば、単層材質のブレードでも問題ない。また、少なくともエッジ部を構成するエッジ層が、上述した特性を満たしていれば、3層以上のブレードでも問題ない。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
弾性材料からなるブレード部材15a1で構成され、ブレード先端部を感光体11などの被清掃部材の表面に当接させ、表面移動する被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレード15aにおいて、ブレード部材の前記ブレード先端部を構成する材料の35℃におけるJISアスカーA硬度H35と、35℃における反発弾性率R35とが、R35≦-1.56×H35+132の関係を満たしている。
特許文献1に記載のクリーニングブレードにおいては、1万枚の耐久試験の試験結果に基づいて、クリーニングブレードの物性を規定しているが、40万枚の耐久寿命が要求される昨今の要求には、十分応えられないおそれがあった。
これに対し、態様1では、上述した評価試験から明らかなように、ブレード先端部を構成する材料の35℃におけるJISアスカーA硬度H35と、35℃における反発弾性率R35との関係が、R35≦-1.56×H35+132を満たすことで、40万枚耐久試験においても、トナーすり抜けが抑制され、良好なクリーニング性を得ることができる。
(態様2)
態様1において、エッジ層151aなどのブレード先端部を構成する材料の35℃におけるアスカー硬度H35が、64度以上、76度以下である。
これによれば、表1~表3からわかるように、エッジ層151aなどのブレード先端部を構成する材料の35℃におけるアスカー硬度H35が、64度以上、76度以下の範囲で、40万枚後においても、トナーすり抜けが抑制され、良好なクリーニング性を得ることができる。
(態様3)
態様1または2において、エッジ層151aなどのブレード先端部を構成する材料の10℃における反発弾性率が7[%]以上である。
これによれば、上述した評価試験で示したように、40万枚後においても、低温クリーニング性を良好に維持することができる。
(態様4)
態様1乃至3において、ブレード先端部を構成する材料が、ゴム材料である。
これによれば、弾性材料からなるブレード部材を得ることができる。
(態様5)
態様1乃至4において、ブレード部材15a1は、2種類以上の異なる材料が積層された積層構造である。
積層構造とすることで、材料選択の自由度を高めることができ、よりシステムにあったクリーニングブレードを構成することができる。
(態様6)
クリーニングブレード15aを備える感光体クリーニング装置15などのクリーニング装置において、クリーニングブレードとして、態様1乃至5のいずれかのクリーニングブレードを用いた。
これによれば、実施形態で説明したように、長期にわたり良好なクリーニング性を維持できるクリーニング装置を提供することができる。
(態様7)
感光体11などの像担持体と、像担持体の表面に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニングブレード15aとを備え、像担持体上に形成した画像を最終的に記録紙Pなどの記録媒体に転移させる画像形成装置において、クリーニングブレード15aとして、態様1乃至5のいずれかのクリーニングブレードを用いる。
これによれば、実施形態で説明したように、経時にわたり、ムラ画像・スジ状の異常画像が抑制された良好な画像を得ることができる。
(態様8)
態様7において、感光体11などの像担持体とクリーニングブレード15aとの摩擦係数が0.2以下である。
これによれば、クリーニングブレード15aのスティックスリップや、摩耗の進行を抑制することができ、長期に亘り良好なクリーニング性を維持することができる。
(態様9)
態様8において、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを含有する潤滑剤を感光体11などの像担持体表面に塗布または付着させる潤滑剤供給装置16などの潤滑剤供給手段を備える。
これによれば、像担持体表面に潤滑剤を塗布または付着させることで、像担持体とクリーニングブレードとの間の摩擦係数を下げることができ、クリーニングブレードの磨耗を低減することができる。また。像担持体表面を潤滑剤で保護することができる。
(態様10)
態様9において、脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びラウリン酸亜鉛から選択される少なくとも一種である。
これによれば、実施形態で説明したように、感光体11などの像担持体表面上での伸展性が向上するとともに、湿度が変化しても潤滑性が損なわれにくくすることができる。
(態様11)
態様9または10において、無機潤滑剤がマイカ、タルク、窒化ホウ素から選択される少なくとも一種である。
これによれば、良好な潤滑性を得ることができる。
(態様12)
態様9乃至11いずれかにおいて、潤滑剤供給装置16などの潤滑剤供給手段は、固形潤滑剤16bなどの潤滑剤を保持し、潤滑剤を感光体11などの像担持体側へ加圧する加圧機構160を備え、加圧機構160は、潤滑剤を保持する保持部材16cと、一対の回転部材16gと、一対の回転部材16gを付勢する引張スプリング16hなどの付勢手段とを備え、付勢手段の付勢力を受けて回転部材が回転することで潤滑剤を加圧する。
これによれば、実施形態で説明したように、固形潤滑剤16bなどの潤滑剤が消費されても、固形潤滑剤16bの加圧力をほぼ一定に維持することが可能となる。
(態様13)
感光体11などの像担持体と、像担持体の表面に接触し、その表面上に付着した不要な付着物を除去するためのクリーニングブレード15aとを備え、画像形成装置に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジにおいて、クリーニングブレードとして、態様1~5のクリーニングブレードを用いる。
これによれば、長期に亘り良好なクリーニング性を維持することができるプロセスカートリッジを提供することができる。
(態様14)
態様13において、少なくとも脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とを含有する潤滑剤を感光体11などの像担持体表面に塗布または付着させる潤滑剤供給装置16などの潤滑剤供給手段を備える。
これによれば、実施形態で説明したように、感光体11などの像担持体とクリーニングブレード15aとの間の摩擦係数を下げることができ、クリーニングブレード15aの磨耗を低減することができる。また。像担持体表面を潤滑剤で保護することができる。
(態様15)
態様14において、脂肪酸金属塩がステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、及びラウリン酸亜鉛から選択される少なくとも一種である。
これによれば、実施形態で説明したように、感光体11などの像担持体表面上での伸展性が向上するとともに、湿度が変化しても潤滑性が損なわれにくくすることができる。
(態様16)
態様14または15に記載のプロセスカートリッジにおいて、無機潤滑剤がマイカ、タルク、窒化ホウ素から選択される少なくとも一種である。
これによれば、良好な潤滑性を得ることができる。
(態様17)
態様14乃至16いずれか一項において、潤滑剤供給装置16などの潤滑剤供給手段は、潤滑剤を保持し、潤滑剤を感光体11などの像担持体側へ加圧する加圧機構160を備え、加圧機構160は、潤滑剤を保持する保持部材16cと、一対の回転部材16gと、一対の回転部材16gを付勢する引張スプリング16hなどの付勢手段とを備え、付勢手段の付勢力を受けて回転部材16gが回転することで潤滑剤を加圧する。
これによれば、実施形態で説明したように、固形潤滑剤16bなどの潤滑剤が消費されても、固形潤滑剤16bの加圧力をほぼ一定に維持することが可能となる。
1 :画像形成装置
2 :画像形成部
10 :作像ユニット
11 :感光体
12a :帯電ローラ
15 :感光体クリーニング装置
15a :クリーニングブレード
15a1 :ブレード部材
15a2 :ブレードホルダー
15b :搬送コイル
16 :潤滑剤供給装置
16a :潤滑剤供給ローラ
16b :固形潤滑剤
16c :保持部材
16g :回転部材
16h :引張スプリング
151a :エッジ層
151b :バックアップ層
160 :加圧機構
特許第4420320号公報

Claims (5)

  1. 弾性材料からなるブレード部材で構成され、ブレード先端部を被清掃部材の表面に当接させ、表面移動する被清掃部材の表面から付着物を除去するクリーニングブレードのブレード部材の選定方法であって、
    前記ブレード部材の前記ブレード先端部を構成する材料が、35℃におけるJISアスカーA硬度H35と、35℃における反発弾性率R35とが、以下の関係式(A)を満たす材料であるか否かに基づいて、前記ブレード部材を選定することを特徴とするブレード部材の選定方法
    35≦-1.56×H35+132・・・(A)
  2. 請求項1に記載のブレード部材の選定方法において、
    前記ブレード先端部を構成する材料の35℃におけるアスカーA硬度H35が、64度以上、76度以下のブレード部材を選定することを特徴とするブレード部材の選定方法
  3. 請求項1または2に記載のブレード部材の選定方法において、
    前記ブレード先端部を構成する材料の10℃における反発弾性率が7[%]以上であるブレード部材を選定することを特徴とするブレード部材の選定方法
  4. 請求項1乃至3いずれか一項に記載のブレード部材の選定方法において、
    前記ブレード先端部を構成する材料が、ゴム材料であるブレード部材を選定することを特徴とするブレード部材の選定方法
  5. 請求項1乃至4いずれか一項に記載のブレード部材の選定方法において、
    2種類以上の異なる材料が積層された積層構造のブレード部材を選定することを特徴とするブレード部材の選定方法
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