JP6175934B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。
難燃性の固体電解質を用いた固体電解質層を有する金属イオン二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池等。以下において「全固体電池」ということがある。)は、安全性を確保するためのシステムを簡素化しやすい等の長所を有している。
このような全固体電池を含む金属イオン二次電池に関する技術として、例えば特許文献1には、多孔質膜及び負極よりも正極の大きさが小さい単位電池素子が開示されている。また、特許文献2、特許文献3、及び、特許文献4には、ガラスセラミックス固体電解質及びガラス固体電解質を用いる全固体電池が開示されている。また、特許文献5には、硫化物ガラスを結晶化温度以上の温度で加熱してガラスセラミックスを合成する工程を有する硫化物固体電解質材料の製造方法が開示されている。さらに、特許文献6、特許文献7、及び、特許文献9には電池素子の電極間の短絡を検査する工程を有する電池の製造方法が、特許文献8には二次電池の短絡検査方法及び当該検査方法を包含する二次電池の製造方法が、それぞれ開示されている。また、特許文献10には、正極活物質層上に形成したアモルファスの固体電解質層と、負極活物質層上に形成したアモルファスの固体電解質層とを接触させて重ね合せた状態で加圧しながら熱処理し、2つの固体電解質層を結晶化させることで接合させる工程を含む、全固体電池の製造方法が開示されている。
特開2001−6741号公報 特開2008−103203号公報 特開2008−235227号公報 特開2011−154900号公報 特開2013−16423号公報 特開2009−289757号公報 特開2000−30764号公報 特開2000−30763号公報 特開2000−30747号公報 特開2013−12416号公報
特許文献1に開示されている技術を全固体電池へと応用し、且つ、電池の出力を向上させやすくするために高圧のプレスを行うと、正極と負極との大きさが異なるため負極の一部に大きな力が加わりやすく、その結果、負極が割れやすい。負極が割れると、割れた部位に導電性物質が侵入して短絡する虞があり、電池の出力を向上させ難い。割れを防止するには、負極表面を硬くすることが有効と考えられ、負極表面を硬くする方法としては、例えば、負極の表面に固体電解質を含む組成物を塗布し、さらにプレスする過程を経て、負極表面に固体電解質層を形成しておくことが考えられる。このほか、電池の出力を高めやすい形態にする観点から、高いイオン伝導性能を有するガラスセラミックスの固体電解質を用いることが考えられる。しかしながら、固体電解質としてガラスセラミックス固体電解質のみを用いた層同士を接合しようとしても、ガラスセラミックスは硬く加熱しても軟化し難いため、層の界面を密着させ難い。層の界面の密着性が低い状態では電池の出力を高め難いため、特許文献1に開示されている技術を用いても、性能を向上させた全固体電池を製造することは困難であった。かかる問題は、特許文献1に開示されている技術と特許文献2乃至10に開示されている技術とを組み合わせても、解決することが困難であった。
そこで本発明は、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能な、全固体電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、固体電解質を含有している隣接する層のうち、何れか一方又は両方にガラスの固体電解質を含有させて積層した後に加熱プレスする過程を経て製造することにより、全固体電池の性能を向上させることが可能になることを知見した。さらに、全固体電池の正極、固体電解質層、及び、負極の何れか一以上の層にガラスセラミックスの固体電解質を用いることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。本発明は、このような知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明の第1の態様は、負極活物質を含む層の表面へ、第1固体電解質を含むスラリー状の組成物を塗布する過程を経て第1固体電解質層を形成することにより、負極活物質を含む層及び第1固体電解質層を有する負極電極体を作製する負極電極体作製工程と、正極活物質を含む層の表面へ、第2固体電解質を含むスラリー状の組成物を塗布する過程を経て第2固体電解質層を形成することにより、正極活物質を含む層及び第2固体電解質層を有する正極電極体を作製する正極電極体作製工程と、第1固体電解質層及び第2固体電解質層が、負極活物質を含む層及び正極活物質を含む層で挟まれるように、第1固体電解質層及び第2固体電解質層を接触させることにより、積層された負極電極体及び正極電極体を有する積層体を得る積層工程と、積層体を加熱プレスする接合工程と、を有し、積層工程で積層される負極電極体及び正極電極体は、予めプレスされており、第1固体電解質及び第2固体電解質の両方がガラスの固体電解質であるか、又は、第1固体電解質及び第2固体電解質の一方がガラスの固体電解質であるとともに他方がガラスセラミックスの固体電解質である、全固体電池の製造方法である。
本発明の第1の態様及び以下に示す本発明の他の態様(以下において、これらをまとめて単に「本発明」ということがある。)において、「積層面」とは、積層体を形成するために複数の電極体(負極電極体や正極電極体)を積み重ねる際の積層方向を法線方向とする面をいう。また、本発明において、「ガラスの固体電解質」とは、原料組成物を非晶質化して合成した固体電解質をいい、X線回折測定等において結晶としての周期性が観測されない厳密な「ガラス」のみならず、メカニカルミリング等により非晶質化して合成した材料全般を意味する。そのため、X線回折測定等において、特定の原料に由来するピークが観察される場合であっても、非晶質化して合成した固体電解質であれば、ガラスの固体電解質に該当する。
本発明の第1の態様では、「固体電解質を含有している隣接する層」に相当する第1固体電解質層及び第2固体電解質層の、何れか一方又は両方に、ガラスの固体電解質が含まれている。ガラスの固体電解質は所定の温度へと加熱することにより軟化するため、積層工程の後に加熱プレスすることにより、第1固体電解質層及び第2固体電解質層を密着させることが可能になる。このようにして層の密着性を高めることにより、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
また、上記本発明の第1の態様において、負極活物質を含む層と、正極活物質を含む層とは、積層面の大きさが異なっていても良い。かかる形態であっても、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
また、上記本発明の第1の態様において、負極活物質を含む層及び正極活物質を含む層の少なくとも一方は、ガラスセラミックスの固体電解質を含むことが好ましい。
ここに、本発明において、「ガラスセラミックスの固体電解質」とは、ガラスの固体電解質を結晶化した材料をいう。ガラスセラミックスであるか否かは、例えばX線回折法により確認することができる。ガラスセラミックスの固体電解質はガラスの固体電解質よりもイオン伝導性能が高いので、かかる形態とすることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第1の態様において、負極電極体作製工程の後であって、且つ、積層工程の前に、負極電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有することが好ましい。
ここに、本発明において、「絶縁検査」とは、第1固体電解質層や第2固体電解質層が絶縁性であるか否かを確認する検査を意味し、例えば、ピンホールや導電性物質の混入の有無を確認する検査をいう。絶縁検査を行うことにより、絶縁性ではない状態と判断された負極電極体を除外することができ、その後の積層工程では短絡が生じ難い負極電極体を積層することが可能になる。かかる形態とすることにより、複数の負極電極体を有する全固体電池を製造する場合であっても短絡が生じ難くなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第1の態様において、正極電極体作製工程の後であって、且つ、積層工程の前に、正極電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有することが好ましい。これにより、絶縁性ではない状態と判断された正極電極体を除外することができ、その後の積層工程では短絡が生じ難い正極電極体を積層することが可能になる。かかる形態とすることにより、複数の正極電極体を有する全固体電池を製造する場合であっても短絡が生じ難くなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第1の態様において、積層工程の開始後であって、且つ、接合工程の前に、短絡検査を行う短絡検査工程を有することが好ましい。
ここに、本発明において、「短絡検査」とは、積層体に含まれる負極電極体や正極電極体が、短絡が生じる状態であるか否かを確認する検査を意味する。短絡検査は、積層工程で得られた積層体について行っても良く、積層工程で積層体を作製する際に負極電極体及び正極電極体を積み重ねる毎に行っても良い。接合工程で一体化される前に短絡検査を行うことにより、短絡が生じる状態の負極電極体及び正極電極体を除外することができるので、その後の接合工程では、短絡が生じ難い負極電極体及び正極電極体を一体化することが可能になる。また、積層工程の後に短絡検査を行うことにより、積層工程後に短絡が生じる状態になった負極電極体や正極電極体も含めて除外することが可能になる。かかる形態とすることにより、複数の負極電極体及び正極電極体を積層する場合であっても短絡が生じ難くなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
本発明の第2の態様は、第1活物質及び固体電解質Aを含む層の表面へ、固体電解質Bを含む固体電解質層を形成することにより、第1活物質及び固体電解質Aを含む層並びに固体電解質層を有する第1電極体を作製する第1電極体作製工程と、上記固体電解質層が、第1活物質及び固体電解質Aを含む層、並びに、第2活物質及び固体電解質Cを含む層によって挟まれるように、第1電極体と、第2活物質及び固体電解質Cを含む層とを接触させることにより、積層された第1電極体、並びに、第2活物質及び固体電解質Cを含む層を有する積層体を得る積層工程と、積層体を加熱プレスする接合工程と、を有し、第1電極体作製工程の後であって、且つ、積層工程の前に、第1電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有し、固体電解質Bは、ガラスの固体電解質である、全固体電池の製造方法である。
ここに、本発明において、「第1活物質」及び「第2活物質」は、負極活物質又は正極活物質である。第1活物質が負極活物質の場合、第2活物質は正極活物質であり、第1活物質が正極活物質の場合、第2活物質は負極活物質である。
本発明の第2の態様では、「固体電解質を含有している隣接する層」に相当する第2活物質及び固体電解質Cを含む層と固体電解質層との、何れか一方又は両方に、ガラスの固体電解質が含まれている。ガラスの固体電解質は所定の温度へと加熱することにより軟化するため、積層工程の後に加熱プレスすることにより、第1電極体と第2活物質及び固体電解質Cを含む層とを密着させることが可能になる。このようにして層の密着性を高めることにより、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
また、上記本発明の第2の態様において、第1電極体作製工程の後であって、且つ、積層工程の前に、第1電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有することにより、絶縁性ではない状態と判断された第1電極体を除外することができ、その後の積層工程では短絡が生じ難い第1電極体を積層することが可能になる。かかる形態とすることにより、複数の第1電極体を有する全固体電池を製造する場合であっても短絡が生じ難くなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第2の態様において、固体電解質A及び固体電解質Cの少なくとも一方は、ガラスセラミックスの固体電解質であることが好ましい。かかる形態とすることにより、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
また、上記本発明の第2の態様において、積層工程の開始後であって、且つ、接合工程の前に、短絡検査を行う短絡検査工程を有することが好ましい。短絡検査は、積層工程で得られた積層体について行っても良く、積層工程で積層体を作製する際に第1電極体と第2活物質及び固体電解質Cを含む層とを積み重ねる毎に行っても良い。接合工程で一体化される前に短絡検査を行うことにより、短絡が生じる状態の第1電極体や第2活物質及び固体電解質Cを含む層を除外することができるので、その後の接合工程では、短絡が生じ難い第1電極体や第2活物質及び固体電解質Cを含む層を一体化することが可能になる。また、積層工程の後に短絡検査を行うことにより、積層工程後に短絡が生じる状態になった第1電極体や第2活物質及び固体電解質Cを含む層も含めて除外することが可能になる。かかる形態とすることにより、複数の第1電極体と第2活物質及び固体電解質Cを含む層とを積層する場合であっても短絡が生じ難くなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
本発明によれば、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能な、全固体電池の製造方法を提供することができる。
本発明の一形態を説明する図である。 負極1を説明する図である。 第1固体電解質層2を説明する図である。 正極3を説明する図である。 積層体10を説明する図である。 ガラスセラミックスの固体電解質を用いた層同士を加熱プレスした時の様子を説明する図である。 ガラスの固体電解質を用いた層同士を加熱プレスした時の様子を説明する図である。 本発明の他の一形態を説明する図である。 積層体20を説明する図である。 出力測定結果を説明する図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態にかかる本発明の全固体電池の製造方法(以下において、「第1実施形態の製造方法」という。)を説明する図である。図1には、第1実施形態の製造方法に含まれる一部の工程を抽出して示している。
図1に示した第1実施形態の製造方法は、負極製膜工程(S1)と、第1固体電解質層製膜工程(S2)と、プレス工程(S3)と、切断工程(S4)と、絶縁検査工程(S5)と、正極製膜工程(S6)と、第2固体電解質層製膜工程(S7)と、プレス工程(S8)と、切断工程(S9)と、絶縁検査工程(S10)と、積層工程(S11)と、短絡検査工程(S12)と、接合工程(S13)と、を有している。
負極製膜工程(S1)は、負極を製膜する工程である。S1は、全固体電池に用いられる負極を製膜できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S1は、例えば、負極活物質、ガラスセラミックスの固体電解質、及び、バインダーを含むスラリー状の組成物を、負極集電体の表面に塗布し乾燥させる過程を経て、負極集電体の表面に負極を製膜する工程、とすることができる。
第1固体電解質層製膜工程(S2)は、ガラスの第1固体電解質を含む第1固体電解質層を製膜する工程である。S2は、例えば、第1固体電解質及びバインダーを含むスラリー状の組成物を、S1で作製した負極の表面へ塗布し乾燥させることにより、負極の表面に第1固体電解質層を製膜する工程、とすることができる。なお、S2で第1固体電解質層が製膜される負極は、スラリー状の組成物が塗布される前にプレスされていても良く、プレスされていなくても良い。
プレス工程(S3)は、S2で負極の表面に製膜した第1固体電解質層をプレスすることにより、プレスされた負極及び第1固体電解質層を有する負極電極体を作製する工程である。S3は、第1固体電解質層や負極に含まれる固体粒子の充填率を高めて短絡が生じ難い緻密な構造にする等の目的で、行われる工程である。S3のプレス圧力は、このような目的に沿う圧力であれば特に限定されず、接合工程で付与される圧力よりも高いことが好ましい。S3におけるプレス圧力は、例えば500MPa以上とすることができる。
S1乃至S3により、負極電極体が作製される。したがって、図1に示した第1実施形態の製造方法では、S1乃至S3が負極電極体作製工程に相当する。S3でプレスされた負極の形態例を図2に、S3でプレスされた第1固体電解質層の形態例を図3に、それぞれ示す。図2に示した負極1は、負極活物質1aと、ガラスセラミックスの固体電解質1bと、バインダー1cと、を有している。また、図3に示した第1固体電解質層2は、ガラスの第1固体電解質2aと、バインダー2bと、を有している。
切断工程(S4)は、S1乃至S3で作製した負極電極体を、後述する積層工程で積層する際の形状及び大きさとなるように、切断する工程である。S4は、負極電極体を目的の形状及び大きさに切断できる工程であれば、その形態は特に限定されない。
絶縁検査工程(S5)は、S4で切断された負極電極体の絶縁検査を行う工程である。より具体的には、負極の表面に配置されている、プレスされた第1固体電解質層が、絶縁性であるか否かを検査する工程である。第1固体電解質及びバインダーは電子伝導性を有しないため、第1固体電解質層にピンホールや電子伝導性を有する不純物が存在していなければ、第1固体電解質層を通過する方向へ電流は流れないと考えられる。第1固体電解質層は、第2固体電解質層と共に、負極と正極とを電気的に絶縁する役割を担う層であり、第1固体電解質層を介して負極と正極とが通電すると、全固体電池の性能が低下する。それゆえ、性能を向上させた全固体電池を製造するためには、絶縁性の第1固体電解質層を用いることが重要であり、絶縁性の第1固体電解質層を後述する積層工程で使用するために、S5で第1固体電解質層を検査する。
S5は、第1固体電解質層が絶縁性であるか否かを検査できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S5は、例えば、一対の電極のうち一方を第1固体電解質層に接触させ、且つ、他方を負極集電体に接触させた状態で電圧を付与することにより負極電極体の電気抵抗を特定する工程、とすることができる。そして、特定された電気抵抗が所定値以上であれば絶縁性、所定値未満であれば絶縁性ではないと判断し、前者の負極電極体は積層工程で使用し、後者の負極電極体は積層工程で使用しないように分類する。このような形態とすることにより、絶縁性の第1固体電解質層を有する負極電極体を積層工程で使用することができる。絶縁検査の精度を高めやすい形態にする観点から、S5は、第1固体電解質層と負極とが全面で接触するように、例えば1〜10MPa程度の圧力でプレスしてから絶縁検査を行うことが好ましい。S5で絶縁性の第1固体電解質層を有していると判断された負極電極体を、後述する積層工程で使用することにより、短絡が生じ難い全固体電池を製造しやすくなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
正極製膜工程(S6)は、正極を製膜する工程である。S6は、全固体電池に用いられる正極を製膜できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S6は、例えば、正極活物質、ガラスセラミックスの固体電解質、導電材、及び、バインダーを含むスラリー状の組成物を、正極集電体の表面に塗布し乾燥させる過程を経て、正極集電体の表面に正極を製膜する工程、とすることができる。
第2固体電解質層製膜工程(S7)は、ガラスの第2固体電解質を含む第2固体電解質層を製膜する工程である。S7で使用する第2固体電解質は、S2で使用する第1固体電解質と同一であっても良く、異なっていても良い。S7は、例えば、第2固体電解質及びバインダーを含むスラリー状の組成物を、S6で作製した正極の表面へ塗布し乾燥させることにより、正極の表面に第2固体電解質層を製膜する工程、とすることができる。なお、S7で第2固体電解質膜層が製膜される正極は、スラリー状の組成物が塗布される前にプレスされていても良く、プレスされていなくても良い。
プレス工程(S8)は、S7で正極の表面に製膜した第2固体電解質層をプレスすることにより、プレスされた正極及び第2固体電解質層を有する正極電極体を作製する工程である。S8は、第2固体電解質層や正極に含まれる固体粒子の充填率を高めて短絡が生じ難い緻密な構造にする等の目的で、行われる工程である。S8のプレス圧力は、このような目的に沿う圧力であれば特に限定されないが、接合工程で付与される圧力よりも高いことが好ましい。S8におけるプレス圧力は、例えば500MPa以上とすることができる。
S6乃至S8により、正極電極体が作製される。したがって、図1に示した第1実施形態の製造方法では、S6乃至S8が正極電極体作製工程に相当する。S8でプレスされた正極の形態例を図4に示す。S8でプレスされた第2固体電解質層の形態は、S3でプレスされた第1固体電解質層の形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。図4に示した正極3は、正極活物質3aと、ガラスセラミックスの固体電解質3bと、導電材3cと、バインダー3dと、を有している。
切断工程(S9)は、S6乃至S8で作製した正極電極体を、後述する積層工程で積層する際の形状及び大きさとなるように、より具体的には、S4で切断された負極電極体よりも積層面の大きさが小さくなるように、切断する工程である。S9は、正極電極体を目的の形状及び大きさに切断できる工程であれば、その形態は特に限定されない。
絶縁検査工程(S10)は、S9で切断された正極電極体の絶縁検査を行う工程である。より具体的には、正極の表面に配置されている、プレスされた第2固体電解質層が、絶縁性であるか否かを検査する工程である。S10は、S5の負極電極体を正極電極体に変えるほかは、S5と同様の工程であるため、ここでは説明を省略する。S10を経ることにより、絶縁性の第2固体電解質層を有する正極電極体を積層工程で使用することができる。絶縁検査の精度を高めやすい形態にする観点から、S10は、第2固体電解質層と正極とが全面で接触するように、例えば1〜10MPa程度の圧力でプレスしてから絶縁検査を行うことが好ましい。S10で絶縁性の第2固体電解質層を有していると判断された正極電極体を、後述する積層工程で使用することにより、短絡が生じ難い全固体電池を製造しやすくなるので、全固体電池の性能を向上させやすくなる。
積層工程(S11)は、S5で絶縁性と判断された第1固体電解質層、及び、S10で絶縁性と判断された第2固体電解質層が、負極及び正極で挟まれるように、第1固体電解質層及び第2固体電解質層を接触させることにより、積層された負極電極体及び正極電極体を有する積層体を得る工程である。単電池からなる全固体電池を製造する場合、S11は、負極電極体及び正極電極体を1つずつ積層する工程、とすることができ、複数の単電池が電気的に接続されている全固体電池を製造する場合、S11は、複数の負極電極体及び正極電極体を公知の方法で積層する工程、とすることができる。
S11で負極電極体及び正極電極体を1つずつ積層することにより形成された積層体の形態例を図5に示す。図5において、図2〜図4と同様に構成されるものには、これらの図で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図5に示した積層体10は、負極集電体5と、この負極集電体5の表面に形成された負極1と、この負極1の表面に形成された第1固体電解質層2と、正極集電体6と、この正極集電体6の表面に形成された正極3と、この正極3の表面に形成された第2固体電解質層4と、を有している。第1固体電解質層2及び第2固体電解質層4は接触しており、この2つの層は、負極1及び正極3によって挟まれるように配置されている。
短絡検査工程(S12)は、S11で作製された積層体、又は、S11で作製されている途中の積層体に対し、短絡検査を行う工程である。より具体的には、積層体に含まれている単電池に、短絡が生じる単電池が含まれているか否かを検査する工程である。短絡が生じる単電池が含まれている全固体電池は、性能を向上させ難いため、S12は、そのような単電池を取り除く目的で行われる。なお、積層体は、次の接合工程で加熱プレスすることによって一体化されるので、S12の時点では一体化されていない。したがって、S12では、短絡が生じる単電池を取り除くことができる。
S12は、短絡が生じる単電池が含まれているか否かを検査できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S12は、例えば、S5やS10のように、一対の電極のうち一方を積層体の積層方向一端側に接触させ、且つ、他方を当該積層方向の他端側に接触させた状態で電圧を付与することにより積層体の電気抵抗を特定する工程、とすることができる。短絡が生じる単電池は電気抵抗が小さいので、電気抵抗が所定値以上であるか否かによって、短絡が生じる単電池が含まれていないか否かを判断することができる。また、S12は、例えば、積層体の電圧を測定し、その電圧値の時間に対する変化量(dV/dt)を特定する工程、とすることができる。短絡が生じる単電池が含まれている場合には、単位時間当たりの電圧変化量(低下量)が大きくなるので、当該電圧変化量が所定値未満であるか否かによって、短絡が生じる単電池が含まれていないか否かを判断することができる。
このような方法により、S12で短絡が生じる単電池は含まれていないと判断された場合には、単電池を取り除くことなく、次の接合工程へと進められる。これに対し、S12で短絡が生じる単電池が含まれていると判断された場合、例えば、S11で作製された積層体について短絡検査を行ったのであれば、積層体を必要に応じて適宜分解して短絡が生じる単電池を特定し、さらに、短絡が生じる単電池を取り除いて積層体を作製し直して、短絡が生じる単電池が含まれていないと判断されるまでS12を繰り返してから、次の接合工程へと進められる。これに対し、例えば、S11で積層される単電池の数が増える毎に短絡検査を行う場合には、短絡が生じる単電池が含まれると判断された時の直前に積層した負極電極体及び正極電極体が原因と考えられるため、これらを取り除いて他の負極電極体及び正極電極体を積層して短絡検査を行い、必要な数の単電池の積層が終了するまで、負極電極体及び正極電極体の積層並びに短絡検査を繰り返す。このような形態とすることにより、短絡が生じない積層体を、次の接合工程で接合することができる。S12を積層工程と接合工程との間に行うことにより、積層された多数の単電池を有する全固体電池を製造する場合であっても、短絡が生じない積層体を次の接合工程で接合することが可能になるので、性能を向上させた全固体電池を製造しやすくなる。
接合工程(S13)は、S12を経た積層体を加熱プレスすることにより、接合された第1固体電解質層及び第2固体電解質層を有する積層体を得る工程である。第1固体電解質及び第2固体電解質はガラスの固体電解質であるため、温度を高めることにより軟化する。第1固体電解質層及び第2固体電解質層は、プレスされることにより硬くなっているが、ガラスの第1固体電解質及び第2固体電解質をそれぞれ含んでいるので、加熱することにより軟化する。それゆえ、加熱プレスすることにより、第1固体電解質層及び第2固体電解質層を密着させることができる。さらに、軟化させた第1固体電解質層及び第2固体電解質層を含む積層体をプレス(加熱プレス)することにより、第1固体電解質層と負極との密着性、及び、第2固体電解質層と正極との密着性も高めることができる。このように、S1乃至S13を有する第1実施形態の製造方法では、負極、第1固体電解質層、第2固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることができるので、隣接する層の界面における接触抵抗を低減することができる。接触抵抗を低減することにより、電池の性能を高めることが可能になるので、第1実施形態の製造方法によれば、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
第1実施形態の製造方法において、S13でプレスを開始する時の温度は、第1固体電解質及び第2固体電解質がガラスからガラスセラミックスへと変化する温度(以下において、「結晶化温度」という。)未満であれば良い。このような温度でプレスを開始することにより、負極、第1固体電解質層、第2固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることが可能になる。本発明では、隣接する層の界面の密着性を高めるために、接合工程でプレスを開始する時の温度は結晶化温度未満とする一方、ガラスセラミックスの固体電解質の方がガラスの固体電解質よりもイオン伝導性能が高い傾向があるため、界面の密着性が高められた各層にはガラスセラミックスの固体電解質が含まれていることが好ましい。そこで、S13では、例えば、結晶化温度未満の温度でプレスを開始して所定の時間が経過した後に、プレスした状態のまま、温度を結晶化温度以上にすることが好ましい。このような形態とすることにより、軟化させたガラスの固体電解質が含まれている状態でプレスすることができるので、負極、第1固体電解質層、第2固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることができる。さらに、これらの界面の密着性を高めた後、プレスした状態で結晶化温度以上の温度にすることによって、界面の密着性が高められた状態を維持したまま、第1固体電解質層及び第2固体電解質層に含まれていたガラスの固体電解質をガラスセラミックスの固体電解質にすることが可能になる。その結果、より一層性能を向上させた全固体電池を製造しやすくなる。S13において、隣接する層の界面の密着性を高めることが可能であれば、プレス圧力は特に限定されない。S13におけるプレス圧力は、例えば100MPa程度とすることができる。
固体電解質としてガラスセラミックスの固体電解質のみを用いた、プレスした層同士を、加熱プレスした時の様子を図6Aに、固体電解質としてガラスの固体電解質のみを用いた、プレスした層同士を、加熱プレスした時の様子を図6Bに、それぞれ示す。
ガラスセラミックスの固体電解質は加熱しても軟化し難い。そのため、図6Aに示したように、加熱プレスの前に行ったプレスによって形成されたプレス面同士を接触させて加熱プレスしても、一方のプレス面の形状は他方のプレス面の形状に追従し難い。その結果、加熱プレスを行っても、2つの層を密着させ難い。これに対し、ガラスの固体電解質は加熱することにより軟化する。そのため、図6Bに示したように、加熱プレスの前に行ったプレスによって形成されたプレス面同士を接触させて加熱プレスすると、一方のプレス面の形状が他方のプレス面の形状に追従するので、2つの層を密着させることができる。図6Bには、ガラスの固体電解質を用いた2つの層を加熱プレスする際の様子を示したが、一方の層にガラスの固体電解質が含まれていれば、ガラスの固体電解質を含む層は、加熱プレス時にもう一方の層の形状に追従するので、図6Bに示した場合のように、2つの層を密着させることができる。本発明では、このような考えに基づいて加熱プレスを行うので、隣接する層の界面を密着させて接触抵抗を低減することができ、その結果、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
第1実施形態の製造方法に関する上記説明では、2つの絶縁検査工程(S5及びS10)を有する形態を例示したが、第1実施形態の製造方法は当該形態に限定されない。切断された負極電極体及び切断された正極電極体の両方の絶縁検査を行う1つの絶縁検査工程を有する形態、とすることも可能である。
また、第1実施形態の製造方法に関する上記説明では、第1固体電解質及び第2固体電解質の両方がガラスの固体電解質である形態を例示したが、第1実施形態の製造方法は当該形態に限定されない。第1固体電解質及び第2固体電解質の一方をガラスの固体電解質とし、他方をガラスセラミックスの固体電解質とすることも可能である。ただし、負極にガラスセラミックスの固体電解質を用いる場合、負極との密着性を高めやすい形態にする観点から、第1固体電解質はガラスの固体電解質であることが好ましい。また、正極にガラスセラミックスの固体電解質を用いる場合、正極との密着性を高めやすい形態にする観点から、第2固体電解質はガラスの固体電解質であることが好ましい。
2.第2実施形態
図7は、第2実施形態にかかる本発明の全固体電池の製造方法(以下において、「第2実施形態の製造方法」という。)を説明する図である。図7には、第2実施形態の製造方法に含まれる一部の工程を抽出して示している。
図7に示した第2実施形態の製造方法は、負極製膜工程(S21)と、固体電解質層製膜工程(S22)と、プレス工程(S23)と、切断工程(S24)と、絶縁検査工程(S25)と、正極製膜工程(S26)と、切断工程(S27)と、積層工程(S28)と、短絡検査工程(S29)と、接合工程(S30)と、を有している。
負極製膜工程(S21)は、負極活物質及び固体電解質Aを含む負極を製膜する工程である。S21は、全固体電池に用いられる、このような負極を製膜できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S21は、例えば、負極活物質、ガラスセラミックスの固体電解質A、及び、バインダーを含むスラリー状の組成物を、負極集電体の表面に塗布し乾燥させる過程を経て、負極集電体の表面に負極を製膜する工程、とすることができる。
固体電解質層製膜工程(S22)は、ガラスの固体電解質Bを含む固体電解質層を製膜する工程である。S22は、例えば、固体電解質B及びバインダーを含むスラリー状の組成物を、S21で作製した負極の表面へ塗布し乾燥させることにより、負極の表面に固体電解質層を製膜する工程、とすることができる。なお、S22で固体電解質層が製膜される負極は、スラリー状の組成物が塗布される前にプレスされていても良く、プレスされていなくても良い。
プレス工程(S23)は、S22で負極の表面に製膜した固体電解質層をプレスすることにより、プレスされた負極及び固体電解質層を有する負極電極体を作製する工程である。S23は、固体電解質層や負極に含まれる固体粒子の充填率を高めて短絡が生じ難い緻密な構造にする等の目的で、行われる工程である。S23のプレス圧力は、このような目的に沿う圧力であれば特に限定されないが、接合工程で付与される圧力よりも高いことが好ましい。S23におけるプレス圧力は、例えば500MPa以上とすることができる。
S21乃至S23により、負極電極体が作製される。図7に示した第2実施形態の製造方法では、S21乃至S23が第1電極体作製工程に相当する。
切断工程(S24)は、S21乃至S23で作製した負極電極体を、後述する積層工程で積層する際の形状及び大きさとなるように、切断する工程である。S24は、負極電極体を目的の形状及び大きさに切断できる工程であれば、その形態は特に限定されない。
絶縁検査工程(S25)は、S24で切断された負極電極体の絶縁検査を行う工程である。より具体的には、負極の表面に配置されている、プレスされた固体電解質層が、絶縁性であるか否かを検査する工程である。S25は、第1実施形態の製造方法におけるS5と同様の工程であるため、ここでは説明を省略する。S25を経ることにより、絶縁性の固体電解質層を有する負極電極体を積層工程で使用することができる。
正極製膜工程(S26)は、正極活物質及び固体電解質Cを含む正極を製膜する工程である。S26は、全固体電池に用いられる正極を製膜できる工程であれば、その形態は特に限定されない。S26は、例えば、正極活物質、ガラスセラミックスの固体電解質C、導電材、及び、バインダーを含むスラリー状の組成物を、正極集電体の表面に塗布し乾燥させる過程を経て、正極集電体の表面に正極を製膜する工程、とすることができる。
切断工程(S27)は、S26で正極集電体の表面に製膜した正極を、後述する積層工程で積層する際の形状及び大きさとなるように、より具体的には、S24で切断された負極電極体よりも積層面の大きさが小さくなるように、切断する工程である。S27は、正極及び正極集電体を目的の形状及び大きさに切断できる工程であれば、その形態は特に限定されない。
積層工程(S28)は、S25で絶縁性と判断された固体電解質層が、負極及び正極で挟まれるように、固体電解質層及び正極を接触させることにより、積層された負極電極体及び正極を有する積層体を得る工程である。S28は、第1実施形態の製造方法のS11における正極電極体を、S27で切断された、正極集電体及び当該正極集電体の表面に形成された正極にする以外は、S11と同様の工程であるため、ここでは説明を省略する。
S28で負極電極体及び正極電極体を1つずつ積層することにより形成された積層体の形態例を図8に示す。図8において、図2〜図5と同様に構成されるものには、これらの図で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図8に示した積層体20は、負極集電体5と、この負極集電体5の表面に形成された負極1と、この負極1の表面に形成された固体電解質層11と、正極集電体6と、この正極集電体6の表面に形成された正極3と、を有している。固体電解質層11は、負極1及び正極3によって挟まれるように配置されている。
短絡検査工程(S29)は、S28で作製された積層体、又は、S28で作製されている途中の積層体に対し、短絡検査を行う工程である。より具体的には、積層体に含まれている単電池に、短絡が生じる単電池が含まれているか否かを検査する工程である。短絡が生じる単電池が含まれている全固体電池は、性能を向上させ難いため、S29は、そのような単電池を取り除く目的で行われる。S29は、第1実施形態の製造方法のS12における正極電極体を、S27で切断された、正極集電体及び当該正極集電体の表面に形成された正極にする以外は、S12と同様の工程であるため、ここでは説明を省略する。S29を経ることにより、短絡が生じない積層体を、次の接合工程で接合することができる。S29を積層工程と接合工程との間に行うことにより、積層された多数の単電池を有する全固体電池を製造する場合であっても、短絡が生じない積層体を次の接合工程で接合することが可能になるので、性能を向上させた全固体電池を製造しやすくなる。
接合工程(S30)は、S29を経た積層体を加熱プレスすることにより、接合された固体電解質層及び正極を有する積層体を得る工程である。固体電解質Bはガラスの固体電解質であるため、温度を高めることにより軟化する。固体電解質層はプレスされることにより硬くなっているが、ガラスの固体電解質Bを含んでいるので、加熱することにより軟化する。それゆえ、加熱プレスすることにより、固体電解質層及び正極を密着させることができる。さらに、軟化させた固体電解質層を含む積層体をプレス(加熱プレス)することにより、固体電解質層と負極との密着性も高めることができる。このように、S21乃至S30を有する第2実施形態の製造方法では、負極、固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることができるので、隣接する層の界面における接触抵抗を低減することができる。接触抵抗を低減することにより、電池の性能を高めることが可能になるので、第2実施形態の製造方法であっても、性能を向上させた全固体電池を製造することが可能になる。
第2実施形態の製造方法において、S30で加熱プレスを開始する時の温度は、固体電解質Bがガラスからガラスセラミックスへと変化する温度(以下において、「結晶化温度」という。)未満であれば良い。このような温度でプレスを開始してプレスすることにより、負極、固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることが可能になる。ここで、第2実施形態の製造方法においても、上記第1実施形態の製造方法と同様に、隣接する層の界面の密着性を高めるために、接合工程で加熱プレスを開始する時の温度は結晶化温度未満とする一方、界面の密着性が高められた各層にはガラスセラミックスの固体電解質が含まれていることが好ましい。そこで、S30では、例えば、結晶化温度未満の温度でプレスを開始して所定の時間が経過した後に、プレスした状態のまま、温度を結晶化温度以上にすることが好ましい。このような形態とすることにより、軟化させたガラスの固体電解質Bが含まれている状態でプレスすることができるので、負極、固体電解質層、及び、正極間の密着性を高めることができる。さらに、これらの界面の密着性を高めた後、プレスした状態で結晶化温度以上の温度にすることによって、界面の密着性が高められた状態を維持したまま、固体電解質層に含まれていたガラスの固体電解質Bをガラスセラミックスの固体電解質にすることが可能になる。その結果、より一層性能を向上させた全固体電池を製造しやすくなる。S30において、隣接する層の界面の密着性を高めることが可能であれば、プレス圧力は特に限定されない。S30におけるプレス圧力は、例えば100MPa程度とすることができる。
第2実施形態の製造方法に関する上記説明では、第1活物質が負極活物質であり、第2活物質が正極活物質である形態を例示したが、第2実施形態の製造方法は当該形態に限定されない。第2実施形態の製造方法は、第1活物質を正極活物質とし、且つ、第2活物質を負極活物質とすることも可能である。この場合、第1電極体作製工程は正極電極体を作製する工程になる。
第1実施形態の製造方法、及び、第2実施形態の製造方法(以下において、これらをまとめて単に「本発明」ということがある。)に関する上記説明では、プレス工程と積層工程との間に絶縁検査工程を有する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、絶縁検査工程を有しない形態とすることも可能である。ただし、ピンホールや導電性の不純物を有しない固体電解質層を用いることにより、性能を向上させた全固体電池を製造しやすい形態にする等の観点からは、プレス工程と積層工程との間に絶縁検査工程を有する形態とすることが好ましい。
また、本発明に関する上記説明では、積層工程と接合工程との間に短絡検査工程を有する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、短絡検査工程を有しない形態とすることも可能である。ただし、短絡が生じない単電池を用いることにより、性能を向上させた全固体電池を製造しやすい形態にする等の観点からは、積層工程と接合工程との間に短絡検査工程を有する形態とすることが好ましい。
また、第2実施形態の製造方法に関する上記説明では、スラリー状の組成物を負極の表面へ塗布し乾燥させる過程を経て固体電解質層を製膜する形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。第2実施形態の製造方法において、固体電解質層の形成形態は特に限定されず、スプレー塗布法や転写法等の公知の方法を適宜用いることができる。
また、本発明に関する上記説明では、接合工程で接合される負極電極体や正極電極体が、プレスする過程を経て作製される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、プレスされていない負極電極体や正極電極体を接合工程で接合する形態とすることも可能である。ただし、絶縁検査工程や短絡検査工程を通過してそのまま次の工程へと進む確率を高めることにより、全固体電池の生産性を高めやすい形態にする等の観点から、接合工程で接合される負極電極体や正極電極体は、プレスする過程を経て作製されていることが好ましい。
また、本発明に関する上記説明では、正極及び負極にガラスセラミックスの固体電解質を用いる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明は、正極及び負極の一方にガラスの固体電解質を用いても良く、正極及び負極の両方にガラスの固体電解質を用いても良い。ただし、性能を向上させた全固体電池を製造しやすい形態にする観点からは、正極及び負極にガラスセラミックスの固体電解質を用いることが好ましい。
本発明において、正極に含有させる正極活物質としては、全固体電池で使用可能な正極活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の岩塩層状型活物質、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li(Ni0.5Mn1.5)O等のスピネル型活物質、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO等のオリビン型活物質等を挙げることができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、正極層における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、本発明では、固体電解質層のみならず、正極や負極にも、必要に応じて、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を含有させることができる。そのような固体電解質としては、LiO−B−P、LiO−SiO等の酸化物系非晶質固体電解質、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P等の硫化物系非晶質固体電解質、LiI、LiN、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、Li3.6Si0.60.4等の結晶質酸化物や結晶質酸窒化物、Li11、Li3.250.75等のガラスセラミックスやLi3.250.25Ge0.76等のthio−LISIO系の結晶等の硫化物系結晶質固体電解質等を例示することができる。ただし、固体電池の性能を高めやすい固体電池用電極を製造可能な形態にする等の観点から、固体電解質は硫化物固体電解質(硫化物系非晶質固体電解質や硫化物系結晶質固体電解質)を用いることが好ましい。
固体電解質として硫化物固体電解質を用いる場合、正極活物質と固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極活物質は、イオン伝導性を有し、且つ、正極活物質や固体電解質と接触しても流動しない被覆層の形態を維持し得るイオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWO等を例示することができる。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してれば良く、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。なお、イオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
また、正極には、全固体電池の正極に含有させることが可能な公知のバインダーを用いることができる。そのようなバインダーとしては、ブタジエン系ゴム、フッ素系樹脂およびゴムを例示することができる。
さらに、正極には、導電性を向上させる導電材が含有されていてもよい。正極に含有させることが可能な導電材としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、全固体電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。上記正極活物質、固体電解質、及び、バインダー等を液体に分散して調整したスラリー状の正極組成物を用いて正極を作製する場合、使用可能な液体としてはヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、正極の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、負極に含有させる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な公知の負極活物質を適宜用いることができる。そのような負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質は、炭素を含有していれば特に限定されず、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb、LiTi12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、Si、及び、Sn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質としては、少なくともLiを含有する活物質であれば特に限定されず、Li金属であっても良く、Li合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Liと、In、Al、Si、及び、Snの少なくとも一種とを含有する合金を挙げることができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、負極層における負極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
さらに、負極には、負極活物質や固体電解質を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電材が含有されていても良い。負極に含有させることが可能なバインダーや導電材としては、正極に含有させることが可能な上記バインダーや導電材等を例示することができる。また、液体に上記負極活物質等を分散して調整したスラリー状の負極組成物を用いて負極を作製する場合、負極活物質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、負極の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、固体電解質層(第1固体電解質層、第2固体電解質層、固体電解質層)に含有させる固体電解質(第1固体電解質、第2固体電解質、固体電解質B)としては、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を適宜用いることができる。そのような固体電解質としては、正極や負極に含有させることが可能な上記固体電解質等を例示することができる。このほか、固体電解質層には、可塑性を発現させる等の観点から、固体電解質同士を結着させるバインダーを含有させることができる。そのようなバインダーとしては、正極に含有させることが可能な上記バインダー等を例示することができる。ただし、高出力化を図りやすくするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層を形成可能にする等の観点から、固体電解質層に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。また、液体に上記固体電解質等を分散して調整したスラリー状の固体電解質組成物を正極や負極等に塗布する過程を経て固体電解質層を作製する場合、固体電解質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。固体電解質層における固体電解質材料の含有量は、質量%で、例えば60%以上、中でも70%以上、特に80%以上であることが好ましい。固体電解質層の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、正極集電体や負極集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
また、本発明において、接合工程で接合された積層体は、適宜、外装体に収容される。積層体を収容する外装体としては、全固体電池で使用可能な公知の外装体を用いることができる。そのような外装体としては、樹脂製のラミネートフィルムや、樹脂製のラミネートフィルムに金属を蒸着させたフィルム等を例示することができる。
本発明に関する上記説明では、負極よりも正極が小さい形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明で製造される全固体電池は、負極よりも大きい正極が備えられる形態であっても良い。本発明の上記技術思想は、同じ大きさの負極及び正極を有する全固体電池を製造する際にも応用することができる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)全固体電池の作製
<実施例1>
・正極合材の作製
5wt%のブチレンゴム系バインダーを含むヘプタン溶液を入れたポリプロピレン製容器に、正極活物質(平均粒径4μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3)、固体電解質(平均粒径0.8μmのLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックス)、及び、導電助剤(気相成長炭素繊維)を入れ、超音波分散装置(エスエムテー製、UH−50。以下において同じ。)で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学株式会社製、TTM−1。以下において同じ。)で3分間に亘って振とうさせ、さらに超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。
さらに振とう器で3分間に亘って振とうすることにより組成物を得た後、アプリケーターを使用してブレード法にてカーボン塗工Al箔(昭和電工製、SDX(「SDX」は昭和電工パッケージング株式会社の登録商標))上に組成物を塗工した。塗工した組成物を、100℃のホットプレート上で30分間に亘って乾燥させることにより、正極を得た。
・負極合材の作製
5wt%のブチレンゴム系バインダーを含むヘプタン溶液を入れたポリプロピレン製容器に、負極活物質(平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン、三菱化学製)、及び、固体電解質(平均粒径1.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックス)を入れ、超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器で30分間に亘って振とうさせることにより組成物を得た。
得られた組成物を、アプリケーターを使用してブレード法にてCu箔上に塗工した。塗工した組成物を、100℃のホットプレート上で30分間に亘って乾燥させることにより、負極を得た。
・固体電解質層用ペーストの作製
5wt%のブチレンゴム系バインダーを含むヘプタン溶液を入れたポリプロピレン製容器に、固体電解質(平均粒径2.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラス)を入れ、超音波分散装置で30秒間に亘って攪拌した。次に、容器を振とう器で30分間に亘って振とうさせることにより固体電解質層用ペーストを得た。
・全固体電池の作製
得られた固体電解質用ペーストを正極の表面に塗布し乾燥させた後、600MPaの圧力で平面プレスを行い、さらに1cmの寸法に打ち抜くことにより、正極電極体を得た。
また、得られた固体電解質用ペーストを負極の表面に塗布し乾燥させた後、600MPaの圧力で平面プレスを行い、さらに1.33cmの寸法に打ち抜くことにより、負極電極体を得た。
正極と負極との間に固体電解質層が配置されるように(正極の表面に形成した固体電解質層と負極の表面に形成した固体電解質層とが接触するように)、得られた正極電極体及び負極電極体を積層することにより積層体を形成した後、1軸平面プレス機で、100MPaで積層体を加圧しながら温度を上げ、120℃に達したら3分間に亘って保持(加熱プレス)することにより、積層体に含まれている隣接する層の界面を接合した。このようにして、一体化された積層体を得た後、これを正極タブ及び負極タブを備えたラミネートへ封入することにより、全固体電池を作製した。
<実施例2>
加熱プレスの条件を、100MPaで積層体を加圧しながら温度を上げ、150℃に達したら3分間に亘って保持する、に変更した以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
<実施例3>
加熱プレスの条件を、100MPaで積層体を加圧しながら温度を上げ、180℃に達したら3分間に亘って保持する、に変更した以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
<実施例4>
正極合材を作製する際に、固体電解質として、平均粒径0.8μmのLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックスの代わりに平均粒径0.8μmのLiIを含むLiS−P系ガラスを使用し、且つ、負極合材を作製する際に、固体電解質として、平均粒径1.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックスの代わりに平均粒径1.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラスを使用した以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
<比較例>
固体電解質層用ペーストを作製する際に、固体電解質として、平均粒径2.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラスの代わりに平均粒径2.5μmのLiIを含むLiS−P系ガラスセラミックスを使用し、且つ、加熱プレスの条件を、400MPaで積層体を加圧しながら温度を上げ、120℃に達したら3分間に亘って保持する、に変更した以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
実施例1〜実施例4及び比較例の各全固体電池を作製する際に使用した材料の概要を、表1に示す。
(2)出力測定
実施例1〜実施例4、及び、比較例の各全固体電池について、1/3C−CCCV充放電をした後、SOC20%までSOC調整を行った。そして、SOC20%から2.5Vカットの定ワット放電を行い、5秒間に亘って放電可能な出力を測定することにより、各全固体電池の性能を比較した。実施例4の全固体電池の出力を100とした時の各全固体電池の出力、及び、全固体電池作製時のプレス条件を表2に示す。また、実施例4の全固体電池の出力を100とした時の各全固体電池の出力を図9に示す。
(3)結果
表2及び図9に示したように、実施例1〜実施例4の各全固体電池では、短絡が発生しなかった。また、正極や負極にガラスセラミックスの固体電解質を用いた実施例1〜実施例3の各全固体電池は、正極や負極にガラスの固体電解質を用いた実施例4の全固体電池よりも出力が向上した。実施例1〜実施例3の各全固体電池のうち、加熱プレスの温度を120℃にした実施例1、及び、加熱プレスの温度を150℃にした実施例2は、出力に差がなかったが、加熱プレスの温度を固体電解質が結晶化する温度以上の180℃にした実施例3は、実施例1及び実施例2よりも出力が向上した。これは、結晶化温度未満からプレスを開始することにより隣接する層の密着性が向上し、さらに、加熱プレスの温度を結晶化温度以上にすることによってガラスの固体電解質がガラスセラミックスの固体電解質になった結果、イオン伝導度が向上したためであると考えられる。
これに対し、正極、負極、及び、固体電解質層のすべてにガラスセラミックスの固体電解質を用いた比較例では、加熱プレスを行っても、負極電極体の固体電解質層と正極電極体の固体電解質層とを接合することができなかったため、出力を測定することができなかった。このように、優れたイオン伝導性能を有するガラスセラミックスの固体電解質を用いても、全固体電池に備えられている層同士が接合されていないと全固体電池の出力を向上させることはできないが、一部にガラスの固体電解質を用いて各層の密着性を高めることにより、出力を向上させた全固体電池を製造できることが確認された。
1…負極
1a…負極活物質
1b、3b…固体電解質
1c、2b、3d…バインダー
2…第1固体電解質層
2a…第1固体電解質
3…正極
3a…正極活物質
3c…導電材
4…第2固体電解質層
5…負極集電体
6…正極集電体
10、20…積層体
11…固体電解質層

Claims (9)

  1. 負極活物質を含む層の表面へ、第1固体電解質を含むスラリー状の組成物を塗布する過程を経て第1固体電解質層を形成することにより、前記負極活物質を含む層及び前記第1固体電解質層を有する負極電極体を作製する、負極電極体作製工程と、
    正極活物質を含む層の表面へ、第2固体電解質を含むスラリー状の組成物を塗布する過程を経て第2固体電解質層を形成することにより、前記正極活物質を含む層及び前記第2固体電解質層を有する正極電極体を作製する、正極電極体作製工程と、
    前記第1固体電解質層及び前記第2固体電解質層が、前記負極活物質を含む層及び前記正極活物質を含む層で挟まれるように、前記第1固体電解質層及び前記第2固体電解質層を接触させることにより、積層された前記負極電極体及び前記正極電極体を有する積層体を得る、積層工程と、
    前記積層体を加熱プレスする接合工程と、を有し、
    前記積層工程で積層される前記負極電極体及び前記正極電極体は、予めプレスされており、
    前記第1固体電解質及び前記第2固体電解質の両方がガラスの固体電解質であるか、又は、前記第1固体電解質及び前記第2固体電解質の一方がガラスの固体電解質であるとともに他方がガラスセラミックスの固体電解質である、全固体電池の製造方法。
  2. 前記負極活物質を含む層と、前記正極活物質を含む層とは、積層面の大きさが異なる、請求項1に記載の全固体電池の製造方法。
  3. 前記負極活物質を含む層及び前記正極活物質を含む層の少なくとも一方は、ガラスセラミックスの固体電解質を含む、請求項1又は2に記載の全固体電池の製造方法。
  4. 前記負極電極体作製工程の後であって、且つ、前記積層工程の前に、前記負極電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
  5. 前記正極電極体作製工程の後であって、且つ、前記積層工程の前に、前記正極電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
  6. 前記積層工程の開始後であって、且つ、前記接合工程の前に、短絡検査を行う短絡検査工程を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法。
  7. 第1活物質及び固体電解質Aを含む層の表面へ、固体電解質Bを含む固体電解質層を形成することにより、前記第1活物質及び固体電解質Aを含む層並びに前記固体電解質層を有する第1電極体を作製する、第1電極体作製工程と、
    前記固体電解質層が、前記第1活物質及び固体電解質Aを含む層、並びに、第2活物質及び固体電解質Cを含む層によって挟まれるように、前記第1電極体と前記第2活物質及び固体電解質Cを含む層とを接触させることにより、積層された前記第1電極体、並びに、前記第2活物質及び固体電解質Cを含む層を有する積層体を得る、積層工程と、
    前記積層体を加熱プレスする接合工程と、を有し、
    前記第1電極体作製工程の後であって、且つ、前記積層工程の前に、前記第1電極体の絶縁検査を行う絶縁検査工程を有し、
    前記固体電解質Bは、ガラスの固体電解質である、全固体電池の製造方法。
  8. 前記固体電解質A及び前記固体電解質Cの少なくとも一方は、ガラスセラミックスの固体電解質である、請求項7に記載の全固体電池の製造方法。
  9. 前記積層工程の開始後であって、且つ、前記接合工程の前に、短絡検査を行う短絡検査工程を有する、請求項7又は8に記載の全固体電池の製造方法。
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