以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図1を参照するに、第1の実施の形態に係る配線基板1は、第1の配線部材10と、第1の配線部材10の一方の側に積層された第2の配線部材30と、第1の配線部材10の他方の側に積層されたソルダーレジスト層40とを有する。配線基板1の平面形状は、例えば、40mm角の正方形状とすることができる。但し、これには限定されず、平面形状は任意の形状とすることができる。
以下、第1の配線部材10、第2の配線部材30、及びソルダーレジスト層40について詳説する。なお、以下の説明では、便宜上、配線基板1の各構成要素において、第2の配線部材30の配線層37側(図1断面図中における上側)を一方の面又は上面と称する場合がある。又、ソルダーレジスト層40側(図1断面図中における下側)を他方の面又は下面と称する場合がある。
まず、第1の配線部材10について説明する。第1の配線部材10は、第2の配線部材30よりも配線密度の低い配線層が形成された低密度配線層である。第1の配線部材10の略中心部には、コア層11が設けられている。コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、200〜1000μm程度とすることができる。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
コア層11には、複数の貫通孔11xが形成されている。貫通孔11xの平面形状は、例えば、直径が100〜500μm程度の円形とすることができる。貫通孔11xのピッチは、例えば、200〜1000μm程度とすることができる。貫通孔11xの内壁面には、貫通配線19が形成されており、貫通孔11xの中心部(貫通配線19の内側)には樹脂部29が充填されている。貫通配線19の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。樹脂部29の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を用いることができる。
コア層11の一方の面11aには、配線層12と、絶縁層13と、配線層14と、絶縁層15と、配線層16と、絶縁層17と、配線層18とが順次積層されている。配線層12は、コア層11の一方の面11aに形成されている配線パターンである。配線層22は、コア層11の他方の面11bに形成されている配線パターンである。配線層12は、コア層11を貫通する貫通配線19を介して、配線層22と電気的に接続されている。配線層12の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層12の厚さは、例えば、10〜20μm程度とすることができる。配線層12のライン/スペースは、例えば、20μm/20μm程度とすることができる。
絶縁層13は、コア層11の一方の面11aに、配線層12を被覆するように形成されている。絶縁層13の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層13の厚さは、例えば20〜45μm程度とすることができる。絶縁層13は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層13は、本発明に係る第1絶縁層の代表的な一例である。
配線層14は、絶縁層13の一方の側に形成されており、配線層12と電気的に接続されている。配線層14は、絶縁層13を貫通し配線層12の一方の面を露出するビアホール13x内に充填されたビア配線、及び絶縁層13の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール13xは、絶縁層15側に開口されている開口部の径が配線層12の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール13xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。配線層14の材料、配線層14を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
絶縁層15は、絶縁層13の一方の面に、配線層14を被覆するように形成されている。絶縁層15の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層15は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層16は、絶縁層15の一方の側に形成されており、配線層14と電気的に接続されている。配線層16は、絶縁層15を貫通し配線層14の一方の面を露出するビアホール15x内に充填されたビア配線、及び絶縁層15の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール15xは、絶縁層17側に開口されている開口部の径が配線層14の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール15xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。配線層16の材料、配線層16を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
絶縁層17は、絶縁層15の一方の面に、配線層16を被覆するように形成されている。絶縁層17の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層17は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層18は、絶縁層17を貫通し配線層16の一方の面を露出するビアホール17x内に充填されたビア配線であり、配線層16と電気的に接続されている。ビアホール17xは、第2の配線部材30側に開口されている開口部の径が配線層16の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール17xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。ビア配線である配線層18の上面(第2の配線部材30側の端面)は、例えば、絶縁層17の上面(第2の配線部材30側の面)と面一とすることができる。ビア配線である配線層18の上面(第2の配線部材30側の端面)は、第2の配線部材30を構成する配線層31と直接接合されている。配線層18の材料は、例えば、配線層12と同様とすることができる。
コア層11の他方の面11bには、配線層22と、絶縁層23と、配線層24と、絶縁層25と、配線層26と、絶縁層27と、配線層28とが順次積層されている。配線層22は、コア層11の他方の面11bに形成されている。配線層22は、コア層11を貫通する貫通配線19を介して、コア層11の一方の面11aに形成されている配線層12と電気的に接続されている。配線層22の材料、配線層22の厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
絶縁層23は、コア層11の他方の面11bに、配線層22を被覆するように形成されている。絶縁層23の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層23は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。なお、絶縁層23は、本発明に係る第2絶縁層の代表的な一例である。
配線層24は、絶縁層23の他方の側に形成されており、配線層22と電気的に接続されている。配線層24は、絶縁層23を貫通し配線層22の他方の面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び絶縁層23の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール23xは、絶縁層25側に開口されている開口部の径が配線層22の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部とされている。ビアホール23xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。配線層24の材料、配線層24を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
絶縁層25は、絶縁層23の他方の面に、配線層24を被覆するように形成されている。絶縁層25の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層25は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層26は、絶縁層25の他方の側に形成されており、配線層24と電気的に接続されている。配線層26は、絶縁層25を貫通し配線層24の他方の面を露出するビアホール25x内に充填されたビア配線、及び絶縁層25の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール25xは、絶縁層27側に開口されている開口部の径が配線層24の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部とされている。ビアホール25xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。配線層26の材料、配線層26を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
絶縁層27は、絶縁層25の他方の面に、配線層26を被覆するように形成されている。絶縁層27の材料や厚さは、例えば、絶縁層13と同様とすることができる。絶縁層27は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層28は、絶縁層27の他方の側に形成されており、配線層26と電気的に接続されている。配線層28は、絶縁層27を貫通し配線層26の他方の面を露出するビアホール27x内に充填されたビア配線、及び絶縁層27の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール27xは、ソルダーレジスト層40側に開口されている開口部の径が配線層26の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる円錐台状の凹部とされている。ビアホール27xの開口部の径は、例えば60〜70μm程度とすることができる。配線層28の材料、配線層28を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層12と同様とすることができる。
このように、第1の配線部材10において、コア層11の両面には同一層数の絶縁層及び配線層が積層されている。つまり、コア層11を中心として絶縁層及び配線層が上下対称の層構造をしている。そのため、第1の配線部材10は、反りに強い構造となる。特に、各絶縁層を同一層厚とすることにより、上下のバランスが向上するため、反りに強い構造となる。
本実施の形態では、コア層11の一方の面11a側に3層の絶縁層(絶縁層13、15、17)が形成され、コア層11の他方の面11b側に3層の絶縁層(絶縁層23、25、27)が形成されている。しかし、コア層11の各面に形成される絶縁層の数は3層以外としても構わない。又、本実施の形態では、コア層11の一方の面11a側に4層の配線層(配線層12、14、16、18)が形成され、コア層11の他方の面11b側に4層の配線層(配線層22、24、26、28)が形成されている。しかし、コア層11の各面に形成される配線層の数は4層以外としても構わない。
なお、本実施の形態では、第2の配線部材30側の配線層18は、絶縁層17のビアホール17xに形成されたビア配線のみからなる。言い換えれば、配線層18には、絶縁層17の一方の面に一体的に形成される配線パターンはない。配線層18と配線層31は、電気的には接続されているが、一体的ではない。具体的には、後述する製造方法において、配線層31をセミアディティブ法で形成した場合には、配線層18の一方の端面と配線層31の他方の面(下面)の境界にはシード層(チタン(Ti)層と銅(Cu)層との積層体等)が介在する。このような構造とする理由は、後述の配線層31として高密度の配線パターン(例えば、ライン/スペースが2μm/2μm程度)を形成するためである。詳しくは、配線基板1の製造方法の項で説明する。
次に、第2の配線部材30について説明する。第2の配線部材30は、第1の配線部材10よりも配線密度の高い配線層が形成された高密度配線層である。第2の配線部材30は、第1の配線部材10上に順次積層された配線層31と、絶縁層32と、配線層33と、絶縁層34と、配線層35と、絶縁層36と、配線層37とを有する。第2の配線部材30の厚さT1(絶縁層32、34、36、及び、配線層31、33、35を含む部分の厚さ)は、例えば、20〜40μm程度とすることができる。なお、本願において『第2の配線部材30の厚さ』は、配線層37の突出部を含まない、絶縁層のみが積層された部分の厚さを指すものとする。
配線層31は、第1の配線部材10の絶縁層17の一方の面に形成されている配線パターンである。配線層31の下面の一部は、第1の配線部材10の配線層18の上面と接しており、両者は電気的に接続されている。配線層31の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層31の厚さは、例えば、1〜3μm程度とすることができる。配線層31のライン/スペースは、例えば、2μm/2μm程度とすることができる。
絶縁層32は、第1の配線部材10の絶縁層17の一方の面に、配線層31を被覆するように形成されている。絶縁層32の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層32の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層33は、絶縁層32の一方の側に形成されており、配線層31と電気的に接続されている。配線層33は、絶縁層32を貫通し配線層31の一方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び絶縁層32の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、絶縁層34側に開口されている開口部の径が配線層31の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール32xの開口部の径は、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層33の材料、配線層33を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層31と同様とすることができる。
絶縁層34は、絶縁層32の一方の面に、配線層33を被覆するように形成されている。絶縁層34の材料や厚さは、例えば、絶縁層32と同様とすることができる。絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層35は、絶縁層34の一方の側に形成されている。配線層35は、絶縁層34を貫通し配線層33の一方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び絶縁層34の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、絶縁層36側に開口されている開口部の径が配線層33の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール34xの開口部の径は、例えば10〜20μm程度とすることができる。配線層35の材料、配線層35を構成する配線パターンの厚さやライン/スペースは、例えば、配線層31と同様とすることができる。
絶縁層36は、絶縁層34の一方の面に、配線層35を被覆するように形成されている。絶縁層36の材料や厚さは、例えば、絶縁層32と同様とすることができる。絶縁層36は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
配線層37は、絶縁層36の一方の側に形成されている。配線層37は、絶縁層36を貫通し配線層35の一方の面を露出するビアホール36x内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の一方の面から突出するパッドを含んで構成されている。ビアホール36xは、パッド側に開口されている開口部の径が配線層35の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大となる逆円錐台状の凹部とされている。ビアホール36xの開口部の径は、例えば10〜20μm程度とすることができる。
配線層37は、電解めっき層37b及びシード層37aを有し、電解めっき層37bの底面(絶縁層36側の面)はシード層37aにより被覆されている。つまり、配線層37を構成するパッド(突出部)の上面及び側面には、シード層37aは形成されていない。シード層37aは、例えば、チタン(Ti)層と銅(Cu)層とをこの順番で積層して形成することができる。チタン(Ti)層の厚さは、例えば、20〜50nm程度とすることができる。銅(Cu)層の厚さは、例えば、100〜300nm程度とすることができる。チタン(Ti)に代えて、窒化チタン(TiN)等を用いても構わない。電解めっき層37bの材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
配線層37の厚さ(絶縁層36の一方の面から突出するパッド部分も含む電解めっき層37b及びシード層37aの総厚)は、例えば、10μm程度とすることができる。配線層37を構成するパッドの平面形状は、例えば、円形とすることができる。この場合、配線層37の直径は、ビアホール36xの開口部の直径(例えば10〜20μm程度)よりも大きく、例えば、20〜30μm程度とすることができる。配線層37を構成するパッドのピッチは、例えば、40〜50μm程度とすることができる。なお、配線層37を構成するパッドは、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
なお、配線層37を構成するパッドの表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、配線層37を構成するパッドの表面(上面及び側面、又は上面のみ)に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
後述の第1の実施の形態の変形例1でも示すように、表面処理層を形成することにより、例えば、はんだバンプを介して配線層37を構成するパッドと半導体チップの電極端子とをフリップチップ接続する際のはんだ濡れ性を向上できる。特に、配線層37を構成するパッドの上面のみに表面処理層を形成した場合には、表面処理層のみが良好に、はんだバンプを構成するはんだと濡れるため、配線層37を構成するパッドの側面へのはんだ流れ出しを防止できる。
仮に、配線層37を構成するパッドの側面まではんだが流れ出すと、隣接する配線層37同士がはんだでショートするおそれがあるため、微細で狭ピッチの電極端子を有する半導体チップを接続することが困難である。配線層37を構成するパッドの上面のみに表面処理層を形成した場合には、配線層37を構成するパッドの側面へのはんだ流れ出しを防止できるため、微細で狭ピッチの電極端子を有する半導体チップを好適に接続可能である。
次に、ソルダーレジスト層40について説明する。ソルダーレジスト層40は、第1の配線部材10の絶縁層27の他方の面に、第1の配線部材10の配線層28を被覆するように形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層40の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
ソルダーレジスト層40は、開口部40xを有し、開口部40xの底部には第1の配線部材10の配線層28の一部が露出している。開口部40xの底部に露出する配線層28は、例えば、マザーボード等の実装基板と電気的に接続されるパッドとして機能する。なお、開口部40xの底部に露出する配線層28の下面に、前述の表面処理層を形成してもよい。
ソルダーレジスト層40の厚さT2は、第2の配線部材30の厚さT1(例えば、20〜40μm程度)と等しい、又は、第2の配線部材30の厚さT1以上とされている。例えば、第2の配線部材30の厚さT1が30μmである場合には、ソルダーレジスト層40の厚さT2は、例えば30〜50μm程度とすることができる。このように、ソルダーレジスト層40の厚さT2を第2の配線部材30の厚さT1と等しい、又は、第2の配線部材30の厚さT1以上とすることにより(第2の配線部材30の厚さT1をソルダーレジスト層40の厚さT2と等しい、又は、ソルダーレジスト層40の厚さT2以下とすることにより)、配線基板1の反り量を低減できる。
具体的には、ソルダーレジスト層40の厚さT2に対する第2の配線部材30の厚さT1の比率(T1/T2)は1と等しい、又は、1以下とすることが好ましい。更に好ましくは、比率(T1/T2)が0.75以下である。配線基板1の反り量を更に低減できるからである。詳しくは、反りのシミュレーションの項で説明する。
配線基板1において、コア層11の弾性率は約30GPa程度とし、熱膨張係数は約10ppm/℃程度とすることが好ましい。又、熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層13、15、17、23、25、及び27の弾性率は約5〜15GPa程度とし、熱膨張係数は約10〜40ppm/℃程度とすることが好ましい。又、感光性樹脂を主成分とする絶縁層32、34、及び36の弾性率は約5GPa程度とし、熱膨張係数は約50〜70ppm/℃程度とすることが好ましい。又、感光性樹脂を主成分とするソルダーレジスト層40の弾性率は約2〜4GPa程度とし、熱膨張係数は約40〜50ppm/℃程度とすることが好ましい。
なお、各絶縁層の熱膨張係数は、例えば、フィラーの含有量により所定値に調整できる。但し、感光性樹脂を主成分とする絶縁層では、フィラーの含有量が多くなると露光が不可能となるため、含有可能なフィラーの量には制限(上限)がある。従って、感光性樹脂を主成分とする絶縁層の熱膨張係数は、熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層の熱膨張係数よりも大きくなる傾向がある。フィラーとしては、前述のシリカ(SiO2)以外に、例えば、カオリン(Al2Si2O5(OH4))、タルク(Mg3Si4O10(OH2))、アルミナ(Al2O3)等を用いてもよい。又、これらを混在させてもよい。
このような物性値(弾性率及び熱膨張係数)とすることにより、配線基板1は、コア層11を中心として外層に行くにつれて徐々に軟らかくなる構造となる。そのため、上記のソルダーレジスト層40と第2の配線部材30の厚さの関係との相乗効果により、配線基板1の反りが抑制される。
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図2〜図9は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程の例を示すが、単品の配線基板を作製する工程としてもよい。
図2(a)〜図4(b)に示す工程は、第1の配線部材10を作製する工程である。まず、図2(a)に示す工程では、コア層11の一方の面11aに平板状の金属箔120が形成され、他方の面11bに平板状の金属箔220が形成された基材を準備し、この基材に複数の貫通孔11xを形成する。コア層11としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。
コア層11として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア層11の厚さは、例えば、200〜1000μm程度とすることができる。金属箔120及び220としては、例えば、厚さが10〜20μm程度の銅箔等を用いることができる。貫通孔11xは、例えば、ドリル加工法等により形成できる。貫通孔11xの平面形状は、例えば、直径が100〜500μm程度の円形とすることができる。貫通孔11xのピッチは、例えば、200〜1000μm程度とすることができる。
次に、図2(b)に示す工程では、例えば、銅(Cu)等を用いた無電解めっき法等により、各貫通孔11xの内壁面に貫通配線19を形成する。そして、内壁面に貫通配線19が形成された各貫通孔11xの中心部に、例えば、エポキシ系樹脂等の絶縁性樹脂を充填して樹脂部29を形成する。更に、貫通配線19及び樹脂部29の上端面及び下端面に、例えば、無電解めっき法等により銅(Cu)パターン等を形成する。なお、貫通配線19及び樹脂部29の上端面及び下端面に形成された銅(Cu)パターン等と、その周辺部の金属箔とは特に区別していない。そのため、図2(b)では、銅(Cu)パターン等を形成した部分も含めて平板状の金属箔120及び220として図示している(他の図においても同様)。
次に、図2(c)に示す工程では、平板状の金属箔120及び220をパターニングして、コア層11の一方の面11aに配線層12を形成し、他方の面11bに配線層22を形成する。配線層12及び22は、例えば、サブトラクティブ法等により形成できる。
次に、図3(a)に示す工程では、配線層12を被覆するようにコア層11の一方の面11aに絶縁層13を形成する。又、配線層22を被覆するようにコア層11の他方の面11bに絶縁層23を形成する。絶縁層13及び23の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層13及び23の厚さは、例えば20〜45μm程度とすることができる。絶縁層13及び23は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
絶縁層13及び23の材料として、フィルム状のエポキシ系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いた場合には、配線層12を被覆するようにコア層11の一方の面11aにフィルム状の絶縁性樹脂をラミネートする。又、配線層22を被覆するようにコア層11の他方の面11bにフィルム状の絶縁性樹脂をラミネートする。そして、ラミネートした絶縁性樹脂を押圧しつつ、絶縁性樹脂を硬化温度以上に加熱して硬化させ、絶縁層13及び23を形成する。なお、絶縁性樹脂を真空雰囲気中でラミネートすることにより、ボイドの巻き込みを防止できる。
絶縁層13及び23の材料として、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いた場合には、配線層12を被覆するようにコア層11の一方の面11aに液状又はペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法等により塗布する。又、配線層22を被覆するようにコア層11の他方の面11bに液状又はペースト状の絶縁性樹脂をスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した絶縁性樹脂を硬化温度以上に加熱して硬化させ、絶縁層13及び23を形成する。
次に、図3(b)に示す工程では、絶縁層13に、絶縁層13を貫通し配線層12の上面を露出するビアホール13xを形成する。又、絶縁層23に、絶縁層23を貫通し配線層22の下面を露出するビアホール23xを形成する。ビアホール13x及び23xは、例えばCO2レーザ等を用いたレーザ加工法等により形成できる。ビアホール13x及び23xをレーザ加工法により形成した場合には、デスミア処理を行い、ビアホール13x及び23xの底部に露出する配線層12及び22の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
次に、図3(c)に示す工程では、絶縁層13の一方の側に配線層14を形成し、絶縁層23の他方の側に配線層24を形成する。配線層14は、絶縁層13を貫通し配線層12の一方の面を露出するビアホール13x内に充填されたビア配線、及び絶縁層13の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層14は、ビアホール13xの底部に露出した配線層12と電気的に接続される。
又、配線層24は、絶縁層23を貫通し配線層22の他方の面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び絶縁層23の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層24は、ビアホール23xの底部に露出した配線層22と電気的に接続される。
配線層14及び24の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層14及び24は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。一例として、セミアディティブ法を用いて配線層14を形成する方法を以下に示す。
まず、無電解めっき法又はスパッタ法により、ビアホール13xの底部に露出した配線層12の上面及びビアホール13xの内壁面を含む絶縁層13上に銅(Cu)等からなるシード層(図示せず)を形成する。更に、シード層上に配線層14に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる電解めっき層(図示せず)を形成する。
続いて、レジスト層を除去した後に、電解めっき層をマスクにして、電解めっき層に覆われていない部分のシード層をエッチングにより除去する。これにより、シード層上に電解めっき層が積層された配線層14が形成される。つまり、絶縁層13上にビアホール13x内に充填されたビア配線、及び絶縁層13上に形成された配線パターンを含んで構成される配線層14が形成される。
なお、この場合、配線層14及び24は、シード層上に電解めっき層が積層された構造となるが、各図において、シード層の図示は省略されている(他の配線層についても同様)。
次に、図4(a)に示す工程では、図3(a)〜図3(c)と同様の工程を繰り返すことにより、絶縁層13上に、絶縁層15、配線層16、絶縁層17、及び金属層180を積層する。又、絶縁層23上に、絶縁層25、配線層26、絶縁層27、及び配線層28を積層する。各層の材料や厚さ等は、配線基板1の構造で説明した通りである。なお、金属層180は、図4(b)に示す工程で配線層18となる層であり、ビアホール17x内を充填すると共に絶縁層17の上面に延在するように(例えば、絶縁層17の上面の全面に)形成される。金属層180を形成するには、例えば、図3(c)に示す工程において説明したセミアディティブ法において、シード層を形成後、レジスト層を形成せずに、シード層上の全面に電解めっき層を形成すればよい。
次に、図4(b)に示す工程では、金属層180を研磨して絶縁層17の上面及びビアホール17x内を充填する金属層180の上面を露出させ、ビアホール17x内に充填されたビア配線である配線層18を形成する。配線層18は、例えば、図4(a)に示す金属層180のビアホール17x内に充填された部分を除きCMP法(chemical mechanical polishing法)等を用いて研磨して除去することにより形成できる。この際、絶縁層17の上面の一部を同時に除去してもよい。配線層18の上面は、例えば、絶縁層17の上面と面一とすることができる。
なお、金属層180と共に絶縁層17の上面を研磨し、絶縁層17の上面の一部を除去することにより、絶縁層17の上面の粗度を研磨前より小さくできる。つまり、絶縁層17の上面の平滑度を向上できる。絶縁層17の上面の粗度はCMP法を実行する前(研磨前)は、例えば、Ra300〜400nm程度であり、CMP法を実行することによりRa15〜40nm程度とすることができる。このように、絶縁層17の上面の粗度を低減して平滑度を向上することにより、後工程において、微細配線(高密度の配線パターン)の形成が可能となる。以上の工程により、第1の配線部材10が完成する。
図5(a)〜図9に示す工程は、第2の配線部材30を作製する工程である。まず、図5(a)に示す工程では、第1の配線部材10の絶縁層17の一方の面に、所定の平面形状にパターニングされた配線層31を形成する。配線層31は、第1の配線部材10の配線層18と電気的に接続される。配線層31の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。配線層31は、セミアディティブ法等を用いて形成できる。
なお、図5(b)は、図5(a)のA部の拡大図である。配線層31をセミアディティブ法で形成する場合、図5(b)に示すように、配線層31はシード層31a上に電解めっき層31bが積層された構造となる。配線層18の上面は、配線層31のシード層31aを介して、配線層31の電解めっき層31bと接合される。
セミアディティブ法については前述の通りであるが、この際、例えば、スパッタリング法によりチタン(Ti)層と銅(Cu)層を積層してシード層31aを形成することができる。チタン(Ti)層の厚さは、例えば、20〜50nm程度とすることができ、銅(Cu)層の厚さは、例えば、100〜300nm程度とすることができる。シード層31aの下層にチタン(Ti)層を形成することにより、絶縁層17と配線層31との密着性を向上できる。チタン(Ti)に代えて、窒化チタン(TiN)等を用いても構わない。なお、チタン(Ti)や窒化チタン(TiN)は、銅よりも耐腐食性の高い金属である。その後、前述のように、シード層31aを給電層に利用した電解めっき法により、シード層31a上に銅(Cu)等からなる電解めっき層31bを積層し、配線層31が形成される。
シード層31aを形成する前に、絶縁層17の上面に、O2プラズマアッシング等のプラズマ処理を施してもよい。プラズマ処理を施すことにより、絶縁層17の上面を粗化できる。絶縁層17の上面を粗化することにより、シード層31aとの密着性を高めることができる。但し、前述のように、絶縁層17の上面の粗度を低減して平滑度を向上することにより微細配線の形成が可能となるため、この工程では、後工程での微細配線の形成に支障がない程度に絶縁層17の上面を粗化する。
次に、図6(a)に示す工程では、配線層31を被覆するように第1の配線部材10の絶縁層17の一方の面に絶縁層32を形成する。そして、絶縁層32に、絶縁層32を貫通し配線層31の上面を露出するビアホール32xを形成する。絶縁層32の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層32の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。絶縁層32の具体的な形成方法については、図3(a)に示す工程で説明した絶縁層13及び23の形成方法と同様とすることができる。なお、この時点では、絶縁層32は硬化されていない。ビアホール32xは、例えば、フォトリソグラフィ法により形成できる。すなわち、感光性の絶縁性樹脂を主成分とする絶縁層32を露光及び現像し、その後硬化させてビアホール32xを形成できる。
次に、図6(b)に示す工程では、図5(a)及び図6(a)と同様の工程を繰り返し、絶縁層32上に、配線層33、絶縁層34、配線層35、及び絶縁層36を積層し、更に、絶縁層36を貫通し配線層35の上面を露出するビアホール36xを形成する。各層の材料や厚さ、直径等は、配線基板1の構造で説明した通りである。
次に、図7(a)に示す工程では、例えば、無電解めっき法又はスパッタ法により、ビアホール36xの底部に露出した配線層35の上面、ビアホール36xの内壁面、及び絶縁層36の上面を連続的に被覆するシード層37aを形成する。シード層37aは、例えば、チタン(Ti)層と銅(Cu)層を積層して形成することができる。チタン(Ti)層の厚さは、例えば、20〜50nm程度とすることができ、銅(Cu)層の厚さは、例えば、100〜300nm程度とすることができる。チタン(Ti)に代えて、窒化チタン(TiN)等を用いても構わない。
次に、図7(b)に示す工程では、絶縁層36の上面に形成されたシード層37a上に配線層37に対応する開口部300xを備えたレジスト層300を形成する。次に、図8(a)に示す工程では、シード層37aを給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層300の開口部300xに銅(Cu)等からなる電解めっき層37bを形成する。
次に、図8(b)に示す工程では、図8(a)に示すレジスト層300を除去した後に、電解めっき層37bをマスクにして、電解めっき層37bに覆われていない部分のシード層37aをエッチングにより除去する。これにより、シード層37a上に電解めっき層37bが積層された配線層37が形成される。配線層37を構成するパッドの平面形状は、例えば、直径が20〜30μm程度の円形とすることができる。その後、配線層37を構成するパッドの表面(上面及び側面、又は上面のみ)に、前述の表面処理層を形成してもよい。以上の工程により、第2の配線部材30が完成する。
次に、図9に示す工程では、第1の配線部材10の絶縁層27の他方の面に、第1の配線部材10の配線層28を被覆するように最外絶縁層であるソルダーレジスト層40を形成する。なお、ソルダーレジスト層40の厚さT2は、第2の配線部材30の厚さT1と等しい、又は、第2の配線部材30の厚さT1以上となるように形成する。ソルダーレジスト層40の厚さT2に対する第2の配線部材30の厚さT1の比率(T1/T2)が0.75以下となるように形成するとより好ましい。ソルダーレジスト層40は、図6(a)に示す絶縁層32と同様の方法により形成できる。
その後、図6(a)に示すビアホール32xと同様の方法により開口部40xを形成できる。開口部40xの底部には第1の配線部材10の配線層28の一部が露出する。開口部40xの底部に露出する配線層28は、例えば、マザーボード等の実装基板と電気的に接続されるパッドとして機能する。開口部40xの底部に露出する配線層28の下面に、前述の表面処理層を形成してもよい。
例えば、電解めっき層37b及び配線層28の材料が何れも銅(Cu)であり、開口部40xの底部に露出する配線層28の下面にOSP処理を施して表面処理層を形成する場合には、電解めっき層37bの露出部分をマスクする必要がある。電解めっき層37bの露出部分に表面処理層が形成されないようにするためである。なお、ソルダーレジスト層40は、図4(a)に示す工程の後に形成してもよいし、図4(b)に示す工程の後に形成してもよい。
図9に示す工程の後、図9に示す構造体を、ダイサー等を用いて切断位置Cで切断することにより、個片化された複数の配線基板1(図1参照)が完成する。
このように、配線基板1は、低密度配線層である第1の配線部材10と、第1の配線部材10の一方の側に積層された高密度配線層である第2の配線部材30と、第1の配線部材10の他方の側に積層されたソルダーレジスト層40とを有する。そして、第1の配線部材10は、熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層と配線層を備えており、第2の配線部材30は、感光性樹脂を主成分とする絶縁層と配線層を備えている。又、最外絶縁層であるソルダーレジスト層40は、感光性樹脂を主成分としている。そして、第2の配線部材30の厚さT1は、ソルダーレジスト層40の厚さT2と等しい、又は、ソルダーレジスト層40の厚さT2以下とされている。
配線基板1を上記構造とすることにより、第1の配線部材10を中心として上下に積層された層の物性値(弾性率及び熱膨張係数)及び厚さのバランスがとれるため、配線基板1の反りが抑制される。
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、電子部品搭載用のパッドの形状が異なる配線基板の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図10は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。図10を参照するに、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板1Aは、第2の配線部材30が第2の配線部材30Aに置換された点が、配線基板1(図1参照)と相違する。第2の配線部材30Aでは、配線層37に代えて配線層37Aが設けられており、更に、配線層37A上に表面処理層38が設けられている。配線層37Aの厚さは、例えば、配線層37と同様とすることができる。
配線層37Aは、電解めっき層37b及びシード層37cを有し、電解めっき層37bの底面(絶縁層36側の面)及び側面はシード層37cにより被覆されている。つまり、配線層37Aを構成するパッド(突出部)の側面は、シード層37cで被覆されている。シード層37cの材料や厚さ等は、例えば、シード層37aと同様とすることができる。
配線層37Aを構成するパッドの平面形状は、例えば、円形とすることができる。この場合、配線層37Aの直径は、ビアホール36xの開口部の直径(例えば10〜20μm程度)よりも大きく、例えば、20〜30μm程度とすることができる。配線層37Aを構成するパッドのピッチは、例えば、40〜50μm程度とすることができる。なお、配線層37Aを構成するパッドは、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
配線層37Aを構成するパッド(突出部)の上面(電解めっき層37bの上面)には、表面処理層38が形成されている。表面処理層38の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、配線層37Aを構成するパッドの上面に、OSP処理等の酸化防止処理を施して表面処理層38を形成してもよい。
配線層37A及び表面処理層38は、以下のような工程により形成できる。図11は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程の例を示すが、単品の配線基板を作製する工程としてもよい。
まず、第1の実施の形態の図2(a)〜図6(b)に示す工程を実行後、図11(a)に示す工程では、第1の実施の形態の図7(b)に示す工程と同様にして、絶縁層36上に配線層37Aに対応する開口部300xを備えたレジスト層300を形成する。そして、例えば、ビアホール36xの底部に露出した配線層35の上面、ビアホール36xの内壁面、開口部300xの内壁面、及びレジスト層300の上面を連続的に被覆するシード層37cを形成する。シード層37cは、例えば、無電解めっき法やスパッタ法等により形成できる。シード層37cの材料や厚さは、例えば、シード層37aと同様とすることができる。
次に、図11(b)に示す工程では、シード層37c上に感光性のレジスト層を形成し、露光及び現像を行って開口部300xに略連通する開口部305xを形成して、シード層37cの上面のみを被覆するレジスト層305を形成する。そして、開口部305x内に露出するシード層37c上に、シード層37cを給電層に利用した電解めっき法により、電解めっき層37b及び表面処理層38を順次形成する。
図11(b)に示す工程の後、レジスト層305を除去する。これにより、電解めっき層37bの底面(絶縁層36側の面)及び側面がシード層37cにより被覆された配線層37Aが形成され、配線層37Aを構成するパッドの上面(電解めっき層37bの上面)に表面処理層38が形成される。
次に、配線基板1Aの適用例として、配線基板1A上に半導体チップを実装した半導体パッケージについて説明する。図12は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージを例示する断面図である。図12を参照するに、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体パッケージ70は、図10に示す配線基板1A上に半導体チップ71がフリップチップ接続されたものである。
より詳しくは、配線基板1Aの表面処理層38と半導体チップ71の電極端子(図示せず)とが、はんだバンプ72を介して接合され、配線基板1Aと半導体チップ71の対向する部分にアンダーフィル樹脂73が充填されている。又、ソルダーレジスト層40の開口部40xの底部に露出する配線層28に、外部接続端子74(はんだバンプ)が形成されている。なお、外部接続端子74として、はんだバンプに代えてピン等を用いてもよい。又、アンダーフィル樹脂73に代えてモールド樹脂を用いて封止してもよい。
本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、更に以下の効果を奏する。すなわち、配線層37Aを構成するパッドの上面に表面処理層38が形成されているため、はんだバンプ72を介して配線層37Aを構成するパッドと半導体チップ71の電極端子とをフリップチップ接続する際のはんだ濡れ性を向上できる。
又、配線層37Aを構成するパッドの側面にはシード層37cが形成されているが、シード層37cの最表面には表面処理層38よりもはんだ濡れ性が悪いチタン(Ti)層や窒化チタン(TiN)層等が露出している。そのため、はんだ濡れ性が良い表面処理層38のみが良好にはんだバンプ72を構成するはんだと濡れ、配線層37Aを構成するパッドの側面のチタン(Ti)層や窒化チタン(TiN)層等へのはんだ流れ出しを防止できる。その結果、微細で狭ピッチの電極端子を有する半導体チップ71と好適に接続可能となる。
又、配線層37Aでは、配線層37とは異なり、パッドの側面が銅よりも耐腐食性の高い金属であるチタン(Ti)や窒化チタン(TiN)等を含むシード層37cで被覆されているため、配線層37Aの酸化防止やマイグレーション対策として有効である。
又、配線基板1Aの製造工程において、ソルダーレジスト層40を形成後であって外部接続端子74を形成する前に、ソルダーレジスト層40の開口部40xの底部に露出する配線層28の下面にOSP処理を施して表面処理層を形成する場合がある。OSP処置では、イミダゾール化合物が銅(Cu)と選択的に化学反応する特性を利用し、銅(Cu)からなる配線層(パッド)上に表面処理層を形成する。本実施の形態では、配線層37Aを構成するパッドの側面がシード層37cで被覆され、配線層37Aを構成するパッドの上面に表面処理層38が形成されているため、配線層37Aにおいて銅(Cu)が露出する部分がない。
そのため、配線層37Aをマスクしなくても、ソルダーレジスト層40の開口部40xの底部に露出する配線層28の下面のみにOSP処理を施すことができる。仮に、配線層37Aに銅(Cu)が露出する部分があれば、その部分をマスクする工程やマスクを除去する工程が必要となる。しかし、本実施の形態では、そのような工程が不要となるため、製造工程を簡略化することが可能となり、配線基板1Aの製造コストを低減できる。
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、電子部品搭載用のパッドの形状が異なる配線基板の他の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図13は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板を例示する断面図である。図13を参照するに、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板1Bは、第2の配線部材30が第2の配線部材30Bに置換された点が、配線基板1(図1参照)と相違する。第2の配線部材30Bでは、第2の配線部材30のビアホール36xに代えてビアホール36yが設けられ、配線層37に代えて配線層57が設けられている。
配線層57は、絶縁層36の一方の側に形成されている。配線層57は、絶縁層36を貫通し配線層35の一方の面を露出するビアホール36y内に充填されたビア配線、及び絶縁層36の一方の面から突出するパッドを含んで構成されている。ビアホール36yは、円柱状の凹部とされている。ビアホール36yの開口部の径は、例えば20〜30μm程度とすることができる。
配線層57は、電解めっき層57b及びシード層57aを有し、電解めっき層57bの底面及び側面はシード層57aにより被覆されている。つまり、配線層57を構成するパッド(突出部)の上面には、シード層57aは形成されていない。電解めっき層57b及びシード層57aの材料や厚さ等は、例えば、電解めっき層37b及びシード層37aと同様とすることができる。
配線層57の厚さ(絶縁層36の一方の面から突出するパッド部分も含む電解めっき層57b及びシード層57aの総厚)は、例えば、10μm程度とすることができる。配線層57は、例えば、直径が20〜30μm程度の円柱状とすることができる。つまり、ビア配線の直径とパッド部分の直径が同一であり、例えば、20〜30μm程度である。配線層57のピッチは、例えば、40〜50μm程度とすることができる。なお、配線層57を構成するパッドは、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。なお、配線層57を構成するパッドの上面(電解めっき層57bの上面)に、前述の表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層を形成することの効果に関しては、第1の実施の形態の変形例1で説明した通りである。
配線層57は、以下のような工程により形成できる。図14及び図15は、第1の実施の形態の変形例2に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、本実施の形態では、配線基板となる複数の部分を作製後、個片化して各配線基板とする工程の例を示すが、単品の配線基板を作製する工程としてもよい。
まず、第1の実施の形態の図2(a)〜図6(a)に示す工程を実行後、図14(a)に示す工程では、図5(a)及び図6(a)と同様の工程を繰り返すことにより、絶縁層32上に、配線層33、絶縁層34、配線層35、及び絶縁層36を積層する。
次に、図14(b)に示す工程では、絶縁層36の上面に感光性のレジスト層310を形成し、露光及び現像を行って開口部310xを形成する。次に、開口部310x内に露出する絶縁層36をドライエッチング等により除去し、開口部310xに連通するビアホール36yを形成する。ビアホール36yの底部には配線層35の上面が露出する。ビアホール36y及び開口部310xは、例えば、直径が20〜30μm程度の円柱状とすることができる。ビアホール36y及び開口部310xのピッチは、例えば、40〜50μm程度とすることができる。
次に、図15(a)に示す工程では、例えば、ビアホール36yの底部に露出した配線層35の上面、ビアホール36yの内壁面、開口部310xの内壁面、及びレジスト層310の上面を連続的に被覆するシード層57aを形成する。シード層57aは、例えば、無電解めっき法やスパッタ法等により形成できる。シード層57aの材料や厚さは、例えば、シード層37aと同様とすることができる。
次に、図15(b)に示す工程では、ビアホール36y内及び開口部310x内に、シード層57a及び電解めっき層57bを含む配線層57を形成した後、レジスト層310を除去する。具体的には、レジスト層310の上面に形成されたシード層57a上に配線層57に対応する開口部を備えた他のレジスト層(図示せず)を形成する。そして、シード層57aを給電層に利用した電解めっき法により、他のレジスト層の開口部に銅(Cu)等からなる電解めっき層57bを形成する。
続いて、他のレジスト層を除去することにより、シード層57a上に電解めっき層57bが積層された配線層57が形成される。配線層57は、例えば、直径が20〜30μm程度の円柱状とすることができる。つまり、ビア配線の直径とパッド部分の直径が同一であり、例えば、20〜30μm程度となる。
このように、第1の実施の形態の変形例2では、ビア配線の直径とパッド部分の直径が同一である円柱状の配線層57を形成する。これにより、第1の実施の形態の効果に加えて更に以下の効果を奏する。すなわち、配線層57は、配線基板1の配線層37(図1、図9参照)と比べて、直下の配線層35と接続される部分の面積が大きいため、配線層35との接続信頼性を向上できる。
又、配線層57では、配線層37とは異なり、パッドの側面が銅よりも耐腐食性の高い金属であるチタン(Ti)や窒化チタン(TiN)等を含むシード層57aで被覆されているため、配線層57の酸化防止やマイグレーション対策として有効である。
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、第1の配線部材が絶縁層と配線層とが多層に積層された積層構造を有しない配線基板の例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図16は、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板を例示する断面図である。図16を参照するに、第1の実施の形態の変形例3に係る配線基板1Cは、第1の配線部材10が第1の配線部材10Cに置換され、第2の配線部材30が第2の配線部材30Cに置換された点が、配線基板1(図1参照)と相違する。
第1の配線部材10Cでは、コア層11の一方の面11aに絶縁層13のみが積層され、コア層11の他方の面11bに絶縁層23及び配線層24が積層されている。絶縁層13と絶縁層23とは、同一の厚さとすることができる。絶縁層13と絶縁層23としては、同一種類の熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。なお、第1の配線部材10Cにおける絶縁層13は、本発明に係る第1絶縁層の代表的な一例であり、かつ、本発明に係る第2の配線部材側絶縁層の代表的な一例である。又、第1の配線部材10Cにおける絶縁層23は、本発明に係る第2絶縁層の代表的な一例である。
コア層11、絶縁層13、及び絶縁層23を貫通する貫通孔11x内に、貫通配線19(ビア配線)が形成されている。なお、第1の配線部材10Cでは、貫通孔11x内に貫通配線19が充填されており、第1の配線部材10の樹脂部29に相当する部位は形成されていない。貫通配線19(ビア配線)の上端面(第2の配線部材30C側の端面)は、例えば、絶縁層13の上面(第2の配線部材30C側の面)と面一とすることができる。貫通配線19(ビア配線)の下端面(ソルダーレジスト層40側の端面)は、例えば、絶縁層23の下面(ソルダーレジスト層40側の面)と面一とすることができる。貫通配線19(ビア配線)の上端面(第2の配線部材30C側の端面)は、第2の配線部材30Cを構成する配線層33と直接接合されている。貫通配線19(ビア配線)の下端面(ソルダーレジスト層40側の端面)は、配線層24と直接接合されている。
第2の配線部材30Cは、配線層31を有さず、配線層33のビア配線の下端面が貫通配線19の上端面と直接接合されている。最外絶縁層であるソルダーレジスト層40は、第1の配線部材10Cの絶縁層23の他方の面に、第1の配線部材10Cの配線層24を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層40の厚さT2は、第2の配線部材30Cの厚さT1と等しい、又は、第2の配線部材30Cの厚さT1以上とされている。具体的には、ソルダーレジスト層40の厚さT2に対する第2の配線部材30Cの厚さT1の比率(T1/T2)は1と等しい、又は、1以下とすることが好ましい。更に好ましくは、比率(T1/T2)が0.75以下である。
このように、第1の実施の形態の変形例3では、第1の配線部材10Cが絶縁層と配線層とが多層に積層された積層構造を有しないが、このような構造の配線基板1Cも第1の実施の形態と同様の効果を奏する。
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の配線部材がコア層を有しない配線基板の例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図17は、第2の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図17を参照するに、第2の実施の形態に係る配線基板1Dは、第1の配線部材10が第1の配線部材10Dに置換され、第2の配線部材30が第2の配線部材30Dに置換された点が、配線基板1(図1参照)と相違する。
第1の配線部材10Dはコア層を有さず、配線層22と、絶縁層23と、配線層24と、絶縁層25と、配線層26と、絶縁層27と、配線層28が積層された構造とされている。配線層22の一部は、第2の配線部材30Dのビアホール36x内に延在し、第2の配線部材30Dの配線層35と電気的に接続されている。
第2の配線部材30Dは、第2の配線部材30とは絶縁層及び配線層の積層構造が異なる。すなわち、円柱状のパッドである配線層37D側に、ビアホール32xを有する絶縁層32が形成されている。配線層33は、絶縁層32の他方の側に形成されており、ビアホール32xを介して、配線層37Dと電気的に接続されている。絶縁層34は、絶縁層32の他方の面に、配線層33を被覆するように形成されている。
配線層35は、絶縁層34の他方の側に形成されており、絶縁層34に形成されたビアホール34xを介して、配線層33と電気的に接続されている。絶縁層36は、絶縁層34の他方の面に、配線層35を被覆するように形成されている。配線層35は、絶縁層36に形成されたビアホール36xを介して、第1の配線部材10Dの配線層22と電気的に接続されている。
最外絶縁層であるソルダーレジスト層40は、第1の配線部材10Dの絶縁層27の他方の面に、第1の配線部材10Dの配線層28を被覆するように形成されている。ソルダーレジスト層40の厚さT2は、第2の配線部材30Dの厚さT1とほぼ等しくされている。
なお、配線層37Dをセミアディティブ法で形成した場合には、配線層37Dは、電解めっき層及びシード層を有し、電解めっき層の底面はシード層により被覆される。
このように、第2の実施の形態では、第1の配線部材10Dがコア層を有しないが、このような構造の配線基板1Cにおいても、第2の配線部材30Dの厚さとソルダーレジスト層40の厚さとの関係を適切に設定することにより、反りを抑制できる。
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、POP構造(パッケージオンパッケージ構造)の半導体パッケージの例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
図18は、第3の実施の形態に係る半導体パッケージを例示する断面図である。図18を参照するに、第3の実施の形態に係る半導体パッケージ80は、配線基板1E上に半導体チップ81がフリップチップ接続された半導体パッケージ上に、接合部85を介して、他の配線基板90が搭載された所謂POP構造の半導体パッケージである。
配線基板1Eは、配線基板1の絶縁層36に配線層35の一部を露出する開口部36zを形成したものである。なお、開口部36zの底部に露出する配線層35の上面に、前述の表面処理層を形成してもよい。
配線基板1Eの配線層37の上面と半導体チップ81の電極端子(図示せず)とが、はんだバンプ82を介して接合されている。図18の例では、半導体チップ81が2個実装されているが、半導体チップ81は1個実装されても3個以上実装されてもよい。又、各半導体チップ81は同一の機能を有するものでも異なる機能を有するものでもよい。
配線基板90は、基板本体91と、配線層92と、配線層93と、ソルダーレジスト層94と、ソルダーレジスト層95とを有する。基板本体91としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。基板本体91として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。
配線層92は、基板本体91の下面に形成されている。配線層93は、基板本体91の上面に形成されている。配線層92と配線層93とは、例えば、基板本体91を貫通する貫通電極(図示せず)により電気的に接続されてもよい。配線層92及び93の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
ソルダーレジスト層94は、配線層92を覆うように基板本体91の下面に形成されている。ソルダーレジスト層95は、配線層93を覆うように基板本体91の上面に形成されている。ソルダーレジスト層94及び95の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層94及び95は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
ソルダーレジスト層94は、開口部94xを有し、開口部94xの底部には配線層92の一部が露出している。なお、開口部94xの底部に露出する配線層92の下面に、前述の表面処理層を形成してもよい。ソルダーレジスト層95に配線層93の一部が露出する開口部を設け、他の電子部品を実装してもよい。
配線基板1Eの開口部36zの底部に露出する配線層35の上面と、配線基板90の開口部94xの底部に露出する配線層92の下面とは、接合部85を介して電気的に接続されている。接合部85としては、例えば、はんだボールや銅コアボール等を用いることができる。配線基板1Eと配線基板90の対向する面間には、モールド樹脂100が充填されている。
半導体パッケージ80では、配線基板1Eの反りが低減されて平坦な形状を有するため、配線基板1E上に配線基板90を容易に搭載できる。又、配線基板1Eと配線基板90の対向する面間にモールド樹脂100が充填されているため、モールド樹脂100の剛性が加わり、更に反りを低減できる。又、例えば、第2の配線部材30の厚さT1、ソルダーレジスト層40の厚さT2、ソルダーレジスト層94の厚さ、ソルダーレジスト層95の厚さの比を1:1:1:1とすることで、更に平坦性を確保し、反りを低減できる。
なお、配線基板1Eに代えて、図10に示す配線基板1A、図13に示す配線基板1B、図16に示す配線基板1C、図17に示す配線基板1Dに、接合部85との接続部を設けた配線基板を用いてもよい。
又、モールド樹脂100を設けない構造としてもよい。この場合、半導体チップ81と配線基板1Eとの間に、はんだバンプ82を被覆するアンダーフィル樹脂を設けてもよい。
又、配線基板90に代えて、半導体チップ等の電子部品を搭載してもよい。
〈反りのシミュレーション〉
[実施例1]
図1の構造を有する配線基板(配線基板Aとする)について、反りのシミュレーションを実行した。具体的には、配線基板Aの平面形状は40mm×40mmの矩形状とした。そして、第2の配線部材30の厚さT1を22.5μmに固定し、ソルダーレジスト層40の厚さT2を15μm、22.5μm、30μm、35μm、40μmに変えた場合の配線基板Aの反りのシミュレーションを実行した。なお、第1の配線部材10の厚さも固定であり、コア層11の厚さを800μmとし、絶縁層13、15、17、23、25、及び27の厚さを25μmとしている。
又、ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させたコア層11の弾性率は約30GPa程度とし、熱膨張係数は約10ppm/℃程度とした。又、熱硬化性樹脂を主成分とする絶縁層13、15、17、23、25、及び27の弾性率は約5〜15GPa程度とし、熱膨張係数は約10〜40ppm/℃程度とした。又、感光性樹脂を主成分とする絶縁層32、34、及び36の弾性率は約5GPa程度とし、熱膨張係数は約50〜70ppm/℃程度とした。又、感光性樹脂を主成分とするソルダーレジスト層40の弾性率は約2〜4GPa程度とし、熱膨張係数は約40〜50ppm/℃程度とした。
シミュレーション結果を表1及び図19に示す。表1及び図19に示すように、比率T1/T2が小さくなるほど、すなわち、第2の配線部材30の厚さT1に対してソルダーレジスト層40の厚さT2が厚くなるほど、配線基板Aの反り量が低減されることが確認された。又、比率T1/T2が大きい場合には第2の配線部材30側が凸に反る傾向があり、比率T1/T2が小さくなると第2の配線部材30側が凹に反る傾向に変化することが確認された。
[実施例2]
図1の構造を有する配線基板(配線基板Bとする)について、反りのシミュレーションを実行した。具体的には、配線基板Bの平面形状は40mm×40mmの矩形状とした。そして、ソルダーレジスト層40の厚さT2を30μmに固定し、第2の配線部材30の厚さT1を18μm、22.5μm、28.5μm、31.5μm、37.5μmに変えた場合の配線基板Bの反りのシミュレーションを実行した。なお、第1の配線部材10の厚さも固定であり、コア層11の厚さを800μmとし、絶縁層13、15、17、23、25、及び27の厚さを25μmとしている。各層の弾性率や熱膨張係数は、実施例1と同様である。
シミュレーション結果を表2及び図20に示す。表2及び図20に示すように、比率T1/T2が小さくなるほど、すなわち、ソルダーレジスト層40の厚さT2に対して第2の配線部材30の厚さT1が薄くなるほど、配線基板Bの反り量が低減されることが確認された。又、比率T1/T2が大きい場合には第2の配線部材30側が凸に反る傾向があり、比率T1/T2が小さくなると第2の配線部材30側が凹に反る傾向に変化することが確認された。
[比較例]
図1において第2の配線部材30に代えてソルダーレジスト層40を設けた構造、すなわち、第1の配線部材10の両側にソルダーレジスト層40を設けた構造の配線基板(配線基板Cとする)について、反りのシミュレーションを実行した。具体的には、配線基板Cの平面形状は40mm×40mmの矩形状とした。そして、第1の配線部材10の両側のソルダーレジスト層40の厚さT2を各々30μmとした場合の配線基板Cの反りのシミュレーションを実行した。なお、コア層11の厚さを800μmとし、絶縁層13、15、17、23、25、及び27の厚さを25μmとしている。各層の弾性率や熱膨張係数は、実施例1と同様である。
シミュレーション結果は、反り量が28μmの凹状の反りとなった。
[実施例1及び2、比較例の結果のまとめ]
比較例に係る配線基板Cは、第1の配線部材10に対して上下対称構造であり、反り量が28μmであった。これに対し、実施例1に係る配線基板Aや実施例2に係る配線基板Bは、第1の配線部材10の一方の側に高密度配線層である第2の配線部材30が形成され、他方の側にソルダーレジスト層40が形成された第1の配線部材10に対して上下非対称構造である。
しかし、上下非対称構造である配線基板AやBでも、ソルダーレジスト層40の厚さT2に対する第2の配線部材30の厚さT1の比率(T1/T2)を1と等しく、又は、1以下にすることで、上下対称構造である配線基板Cよりも反り量を低減できることがわかった。
なお、発明者らに検討により、第2の配線部材30の配線層37のパッド部に半導体チップ等の電子部品を実装する場合を考慮すると、配線基板の反り量を20μm以下に抑制すると好適であり、10μm以下に抑制すると更に好適であることがわかっている。上記シミュレーション結果より、配線基板A及びBの反り量を10μm以下に抑制するためには、比率T1/T2を0.75以下とすると好ましい。
[実施例3]
図17の構造を有する配線基板(配線基板Dとする)について、反りのシミュレーションを実行した。具体的には、配線基板Dの平面形状は40mm×40mmの矩形状とした。そして、第2の配線部材30Dの厚さT1を27.5μmに固定し、ソルダーレジスト層40の厚さT2を10μm、15μm、20μm、30μm、40μmに変えた場合の配線基板Dの反りのシミュレーションを実行した。なお、第1の配線部材10Dの厚さも固定であり、絶縁層23、25、及び27の厚さを25μmとしている。各層の弾性率や熱膨張係数は、実施例1と同様である。
シミュレーション結果を表3及び図21に示す。表3及び図21に示すように、比率T1/T2が所定値に近くなると配線基板Dの反り量が低減されることが確認された。又、比率T1/T2が所定値より大きい場合には第2の配線部材30D側が凸に反る傾向があり、比率T1/T2が所定値より小さい場合には第2の配線部材30D側が凹に反る傾向があることが確認された。
このように、配線基板Dのようなコア層11を有しないコアレス構造の場合には、コア層11を有する配線基板Aや配線基板Bとは、反り量の変化の傾向が異なることが確認された。すなわち、コアレス構造の配線基板Dでは、比率T1/T2が1近傍の所定値に近くなると反り量が改善される傾向にあるが、比率T1/T2が所定値より大きくなっても小さくなっても反り量が悪化する傾向にある。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。