JP2004152915A - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高周波特性に優れた微細配線を設けたビルドアップ多層配線層を形成した多層配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】コア基板と、該コア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層とを積層してなるビルドアップ配線層を形成した多層配線基板において、前記コア基板は導電材料により表裏の導通がなされた複数の導通部を備え、前記コア基板のXY方向の熱膨張係数が2〜20ppmであり、コア基板用のコア材がシリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料から選ばれ、前記ビルドアップ配線層の絶縁層が250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性樹脂であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層配線基板とその製造方法に関し、特に半導体チップを搭載するための高密度配線がなされた多層配線基板と、このような多層配線基板を製造するための製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高機能化、小型化、軽量化が進む中で、半導体パッケ−ジの小型化、多ピン化、外部端子のファインピッチ化が求められており、高密度配線基板の要求はますます強くなっている。このため、LSIを直接プリント配線板に実装したり、あるいはCSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)をプリント配線板に実装するようになってきた。そしてプリント配線板も高密度化に対応するために、配線層およびビア(Via)を1層づつ絶縁層を介して多層に積み上げていくビルドアップ配線技術で作製した多層配線基板を使用するようになってきた。
【0003】
多層配線基板は、基板上下の導体間を電気的に接続するスル−ホ−ルが設けられており、サブトラクティブ法やアディティブ法で作製した低密度配線を有する両面基板を多層化してコア基板としている。しかし、従来のスル−ホ−ルはドリル加工で孔開けされており、微細化の点で孔径に制限があること、さらに貫通したスル−ホ−ルであることにより、多層基板においては所望する2つの導体間の接続のための孔にとどまらず、本来不要な他の部分の導体層にも孔が開いてしまうので、その部分の配線形成ができなくなり、配線設計の自由度を限定してしまうという問題があった。また、スル−ホ−ル部のめっきの導通は、導体線幅の微細化に伴い、信頼性に問題を生じていた。
このため、コア基板の製造方法として種々の配線方法が提案、実施されるようになり、これらのコア基板の上に配線層を形成した多層配線基板が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また、本発明者による出願もある(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−144978号公報
【特許文献2】
特開平11−345933号公報
【特許文献3】
特願2002−202123号
【特許文献4】
特願2002−202124号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コア基板の配線の微細化、狭ピッチ化と共に、コア基板上にビルドアップ法により設ける多層配線層の線幅も10μm以下の微細配線が求められるようになり、狭ピッチ化、高密度配線の要求はますます強くなり、従来のコア基板上に従来のプロセスで配線層を形成した多層配線基板では、求められる高周波特性等の電気特性と高密度配線のための微細化の要求に対応できなくなっているという問題点がある。
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、高周波特性等の電気特性に優れ、微細化、狭ピッチ化されたビルドアップ多層配線層を形成した多層配線基板およびその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わる多層配線基板は、コア基板と、該コア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層とを積層してなるビルドアップ配線層を形成した多層配線基板において、前記コア基板は導電材料により表裏の導通がなされた複数の導通部を備え、前記コア基板のXY方向の熱膨張係数が2〜20ppmであり、コア基板用のコア材がシリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料から選ばれ、前記ビルドアップ配線層の絶縁層が250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性樹脂であるであるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明に係わる多層配線基板は、コア基板のコア材がガラス・エポキシ複合材料よりなり、コア基板の厚さが50〜300μmであり、スル−ホ−ルがIVH構造で径が50〜500μmであるであるようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明に係わる多層配線基板は、コア基板が複数の導電性バンプを用いたBit法で製造された基板であるようにしたものである。
【0009】
請求項4の発明に係わる多層配線基板は、コア基板の片面もしくは両面上に設ける絶縁層が、該基板表面の平坦化層であるであるようにしたものである。平坦化することにより、微細配線形成が容易になる。
【0010】
請求項5の発明に係わる多層配線基板は、ビルドアップ配線層のビア構造がスタック型であるであるようにしたものである。スタック型とすることにより、高密度配線が容易になる。
【0011】
請求項6の発明に係わる多層配線基板は、多層配線基板を構成するコア基板の導通部とビルドアップ配線層の各層のビアが垂直方向に重なった構造を有するであるようにしたものである。本発明によれば、コア基板とビルドアップ配線層の各層を上下に接続する導通部分が縦に一貫となる構造となり、配線設計の自由度が高まり、高密度配線がより容易になる。
【0012】
請求項7の発明に係わる多層配線基板は、ビルドアップ配線層の配線ピッチが15μm以上であるであるようにしたものである。本発明によれば、優れた高周波特性を提供される。
【0013】
請求項8の発明に係わる多層配線基板は、ビルドアップ配線層のグランド層がメッシュグランドであるであるようにしたものである。本発明によれば、品質特性に優れた多層配線基板が提供される。
【0014】
請求項9の発明に係わる多層配線基板の製造方法は、コア基板と、該コア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層とを積層してなるビルドアップ配線層を形成した多層配線基板の製造方法において、基板のXY方向の熱膨張係数が2〜20ppmであり、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料のいずれかから選ばれたコア材に、IVH構造によるスル−ホ−ルもしくはBit法による導電性バンプにより表裏の導通がなされた複数の導通部を備え、片面もしくは両面上に表層パタ−ンを設けたコア基板を形成する工程と、該コア基板の表層パタ−ンを覆って250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性樹脂を塗布し、露光、現像し、250℃以下の温度で熱硬化させ、所定形状の絶縁層を形成する工程と、 該所定形状の絶縁層上および露出しているコア基板の表層パタ−ン上にめっき下地用の導電性薄膜層を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジストパタ−ンを形成後、レジスト開口部の前記導電性薄膜層上にめっき金属層を形成し、レジスト薄膜後に不要部の導電性薄膜層を除去し、ビアおよび配線層を形成する工程と、を有するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明の多層配線基板は、コア基板と、このコア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層を積層してなるビルドアップ配線層を備えているものである。
【0016】
(多層配線基板)
図1は、本発明の多層配線基板の一実施形態を模式的に示す部分縦断面図である。図1において、多層配線基板1は3層よりなるコア基板2(2a、2b、2c)と、このコア基板2の片面に形成された2層よりなるビルドアップ配線層3(3a、3b)とを備えている。
【0017】
多層配線基板1を構成するコア基板2は、各層のコア材に、スル−ホ−ル内に導電材料で導通させた複数のスル−ホ−ルもしくは複数の導電性バンプによって導通部4(4a、4b、4c)が形成されており、コア材の表裏は各スル−ホ−ルもしくは導電性バンプにより導通がなされている。
【0018】
コア基板2上に設けられたビルドアップ配線層3を構成する配線は、コア基板2の表面上に形成された表層パタ−ン6と、コア基板2の表面上に設けられたビルドアップ配線層3の1層目の電気絶縁層9aを介し、ビア7aにて所定のスル−ホ−ルもしくは導通部に接続されている。図1の例では、1層目の配線層8a上に2層目の絶縁層9bを介し、ビア7bにて所定の1層目配線層8aに接続されるように形成された2層目の配線層8bとからなる。
【0019】
本発明では、多層配線基板上に設けるそれぞれの微細な多層配線層の位置精度を保つために、コア基板はXY方向(コア基板2の表面に平行な平面)の熱膨張係数が2〜20ppmの範囲にある材料が用いられる。このようなコア材としては、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料から選ぶことができる。上記のコア材において、シリコンは微細加工に好適で精密なスル−ホ−ル加工に適しており、セラミックス、ガラスは比較的安価で寸法安定性に優れ製造工程中で変形が少なく、ガラス・エポキシ複合材料は安価であるという長所を有しており、所望の特性に応じてそれぞれの上記の材料を選択することが可能である。
【0020】
コア基板の導通部4は、スル−ホ−ルの場合には、その内径は各コア基板の表裏が略同一であるストレ−ト形状、一端の開口径が他端の開口径よりも大きいテ−パ−形状、中央部の内径が両端の開口径と異なる形状等、いずれであってもよい。例えば、コア材にガラス・エポキシ複合材料を用いた場合には、コア基板の厚さは50〜300μmの厚さで、スル−ホ−ルをIVH構造にし、口径は50〜500μmとすることが好ましい。
【0021】
コア基板のスル−ホ−ルに用いられる導電材料としては、銅ペ−ストや銀ペ−スト等の公知の導電性ペ−ストを充填する方法と、スル−ホ−ルの内壁に下地導電性薄膜をスパッタリングや蒸着等の真空成膜法、あるいは無電解めっき法で形成してから、電解めっきにより銅、銀、金、ニッケル等の導電材料からなる導通部とすることができる。また、後述するBit法では銀ペ−ストの導電性バンプを用いて導通部とすることができる。
【0022】
コア基板2の配線層5a、5b、5c、およびコア基板2のビルドアップ配線層3を設ける側の表面上の表層パタ−ン6、1層目の配線8a、2層目の配線8bの材質およびビア7a、7bの材質は、銅、銀、金、クロム等の導電材料とすることができる。また、1層目の電気絶縁層9a、2層目の絶縁層9bの材質は、はんだリフロ−温度である250℃以下で熱硬化可能な感光性絶縁材料が用いられ、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい材料として挙げられる。また、微細パタ−ン形成のためには、絶縁層9a、9bは下層の配線部分の凹凸を平坦化させる機能を持たせるのが好ましい。
【0023】
(多層配線基板の製造方法)
図2は図1に示した本発明の実施形態の一例に関わる多層配線基板の製造方法を示す工程図である。図2に基づいて本発明の製造方法を説明するが、まず、コア基板の製造方法について、スル−ホ−ルがIVH構造の導通部を有するコア基板を用いた場合と、Bit法による導通部を有するコア基板を用いた場合の2つの実施形態について述べ、次に、それらのコア基板を用いたビルドアップ配線層について説明する。
【0024】
(IVH構造)
本発明の多層配線基板の製造方法では、コア材としては、前述のように、XY方向の熱膨張係数が2〜20ppmの範囲内にある材料で、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料が用いられる。コア基板の厚さは、50〜300μmの範囲で用いるのが好ましく、スル−ホ−ルはIVH(Inner Via Hole)構造とし、微細孔の開口径を50〜500μmとするのが好ましい。これらのコア材にスル−ホ−ルを形成する方法としては、コア材の材質特性に応じて、ドリル加工、炭酸ガスレ−ザやYAGレ−ザによるレ−ザ加工、プラズマドライエッチング加工、サンドブラスト加工が用いられる。 例えば、ガラス・エポキシ複合材料を使用する場合は、スル−ホ−ルをIVH(Innner Via Hole)構造とし、微細孔の開口径を50〜500μmとするのが好ましい。
前記の各方法でスル−ホ−ルを形成する場合には、必要に応じてコア材の加工面側にマスクパタ−ンを形成し、このマスクパタ−ンをマスクとして孔開け加工を行なう。
【0025】
図4はサンドブラスト法でスル−ホ−ルを形成する場合を例示しており、コア基板用のコア材42’の一方の面に所定のマスクパタ−ン43を形成し、このマスクパタ−ンをマスクとしてサンドブラストによりコア材に所定の大きさで微細孔44を穿孔する(図4(a))。図4の例では貫通孔とせず、一定の深さまで穿孔した段階で、サンドブラスト加工を止めている状態を示す。
【0026】
次に、コア材からマスクパタ−ンを除去し、コア材の他方の面を研磨して所望する厚さとし、次に、スル−ホ−ル内に導電材料45を充填して表裏の導通をとり、コア基板42とする(図4(b))。コア材の研磨は、研磨装置等により行なうことができる。サンドブラスト加工の場合には、スル−ホ−ルがテ−パ−状なので、一定厚さまで研磨することにより、微細孔を所定の開口径で露出させてスル−ホ−ルを形成することができる。
【0027】
スル−ホ−ル内に充填する導電材料としては、銅ペ−スト、銀ペ−スト等の導電性ペ−ストを用いることができ、スル−ホ−ル内への充填は、スクリ−ン印刷等により行うことができる。また、スル−ホ−ルの内壁に下地導電性薄膜をスパッタリングや蒸着等の真空成膜法、あるいは無電解めっき法で形成してから電解めっきにより銅、銀、金、ニッケル等の導電材料からなる導通部とすることもできる。
【0028】
なお、コア基板の両面、およびスル−ホ−ルの内壁面に絶縁層を形成してもよい。例えば、コア材が半導体材料であるシリコンの場合には、熱酸化法あるいはCVD法、スパッタリング法等の真空成膜法を用いて、コア材の表面にシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を形成することができる。
【0029】
続いて、コア基板の片面あるいは両面に配線等の表層パタ−ン46を形成する。コア基板表面の配線プロセスとしては、エッチングによるサブトラクティブ法、あるいは選択めっきによるアディティブ法のいずれの方法も用いることができる。例えば、コア材の片面あるいは両面に、真空成膜法により、アルミニウム、銅等の導電性薄膜を形成し、次いで電解めっきを行って所定のめっき厚にした後、フォトリソグラフィ法によりパタ−ンエッチングし、所望の表層パタ−ン46が形成されたコア基板42を得る(図4(c))。
【0030】
サンドブラス法でスル−ホ−ルを形成する場合には、スル−ホ−ルがテ−パ−を有するので、開口径の大きい面からのスル−ホ−ル内壁面への材料付着が容易になり、スル−ホ−ルの導通化工程の歩留りが向上し、時間が短縮され、安定した製造と製造コスト低減が可能となる。
また、コア基板にシリコンを用いる場合には、ドライエッチングでアスペクト比の高い微細孔を形成する方法も適用できる。
【0031】
(Bit法)
次に、本発明の多層配線基板のコア基板製造方法の他の実施形態を示す。
コア基板が銅箔と、絶縁性基体と、該絶縁性基体を貫通して形成された複数の導電性バンプとを用いた構成であるBit法(Buried Bump Interconnection Technology、(株)東芝で開発されB−スクェア・イット法と呼ばれる)で製造された場合の多層配線基板の製造方法について述べる。本発明の多層配線基板の製造方法では、コア材としては、前述のように、XY方向の熱膨張係数が2〜20ppmの範囲内にある材料で、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料が用いられる。
図5およびそれに続く図6に示すように、Bit法のコア基板製造方法に基づいてコア基板を製造する。バンプを形成する銅箔55a上にスクリ−ン印刷法により銀ペ−ストを印刷し、乾燥して、図5(a)に示すように、導電性バンプ54を銅箔55a上の所定位置に形成する。導電性バンプ54は絶縁層であるプリプレグ57を貫通するように先端が尖った円錐形状に形成する。
次に、温度95〜115℃程度の温度条件において、形成した導電性バンプ54をガラスクロス入りプリプレグ57に貫通させると、導電性バンプの先端はガラスクロスを突き抜ける。続いて、突き当て用の銅箔55bを重ね、プリプレグ57が硬化する温度、圧力で積層プレスし、図5(b)に示すように、所定部分が導電性バンプで導通した導通基板52’を形成する。この後、図5(c)に示すように、表裏の銅箔をパタ−ンエッチングして表層パタ−ン56を形成し、Bit法による両面配線コア基板52を得る。
【0032】
図6は、前記の両面配線基板52の上下に導電性バンプ64付き銅箔65aとプリプレグ67、67’を配置し(図6(a))、積層して(図6(b))、次に、フォトエッチングにより表層パタ−ン66を設け、4層配線基板62を形成した場合を示している(図6(c))。以下、同様の工程を行なうことによりさらに多層化したコア基板を得ることができる。銅箔およびガラスクロス入りプリプレグの厚さは任意に設定できるが、例えば、銅箔として18μm、プリプレグとして100μmが例示できる。
【0033】
本発明では、シリコン、セラミックス、ガラスのように固い基板においても、前述のサンドブラスト法やドライエッチング法等の別な方法で予めスル−ホ−ルを設けておくならば、Bit法の適用が可能であり、導通部に導電性バンプを設けて、コア基板として用いることができる。
【0034】
(ビルドアップ配線層)
次に、上記のようにして製造したIVH構造もしくはBit法等により表裏の導通がなされた複数の導通部を有し、片面もしくは両面上に表層パタ−ンを有するコア基板を準備し、図2に示した工程図に基づいてビルドアップ配線層を製造する方法について説明する。
【0035】
まず、内部配線、表層パタ−ンが形成されたコア基板2を準備し(図2(a))、コア基板2の表層パタ−ン26を覆って、絶縁層となる感光性樹脂をスピンナ−塗布法等により塗布し、ビア形成のためのフォトマスクを用いて露光し、現像してパタ−ン形成後、熱キュアにより樹脂を硬化させて絶縁層29aを形成する(図2(b))。表層パタ−ン26上のビアを形成する部分は露出させている。感光性樹脂は、表層パタ−ン26による表面の凹凸を平坦化し、熱キュア後は絶縁層として機能する。感光性樹脂の熱硬化温度は、ハンダのリフロ−温度より低い温度が好ましく、本発明では、250℃以下の温度で熱硬化する樹脂が用いられる。また、これらの樹脂は誘電率、誘電正接が低いことが望ましい。これらの感光性樹脂としては、例えば、ベンゾシクロブテン樹脂、カルド樹脂、ポリイミド樹脂が好ましい材料として挙げられる。
【0036】
次に、セミ・アディティブ法により配線層を形成するが、この工程は図3を用いて詳しく説明する。図3(a)(図2(b)と同じ工程図)に示す絶縁層39aが形成された基板に、スパッタリング法等の真空成膜法により、表層パタ−ン36が絶縁層39aから露出している部分および絶縁層39aを含む全面に、めっき下地用の導電性薄膜層31を形成する(図3(b))。導電性薄膜層31は銅、銀、ニッケル等の金属を、例えば、0.1〜0.5μm程度の厚さに設けられる。なお、スパッタリングによる薄膜成膜の直前に、硬化した感光性樹脂による絶縁層39a表面を軽くアルゴン・スパッタにより叩いて前処理することにより、絶縁層39aへのめっき下地用の導電性薄膜層31の密着性を向上させる工程を加えることも好ましい。
【0037】
続いて、めっき用の感光性レジストをスピンナ−塗布し、第1層の配線パタ−ンを有するフォトマスクを用いて、露光し、現像してレジストパタ−ン32を形成する(図3(c))。レジストパタ−ンの厚さは、所望するめっき金属厚と線幅、ピッチ、めっき金属により異なるが、1μm〜10μm程度が用いられる。続いて、電気めっきによりレジスト開口部に銅、銀、金等の導電体を数μmの厚さにめっき金属層33として形成する(図3(d))。
【0038】
次に、レジストを剥離し、電気めっきされた部分以外の露出している不要なめっき下地用の導電性薄膜層をフラッシュ・エッチングして除去し、所望するビア37および配線層38を有する1層目の配線層を得る(図3(e))。
【0039】
再び図2に戻って説明する。図2(c)は模式化してあるが図3(e)と同じ工程を示す図であり、ビア27aおよび配線層28aを有する1層目の配線層が形成されている状態を示す。
2層配線以上の多層配線とする場合には、上記の工程を繰り返すことにより、多層配線が形成される。すなわち、図2(d)に示すように、2層目の絶縁層29bを形成し、続いて、2層目のビア27bおよび配線層28bを形成する(図2(e))。図2(f)は、3層目の絶縁層29cを形成したものである。
また、本発明においては、多層配線層にグランド層を設ける場合には、絶縁層である樹脂中のガスを発散させ、さらに応力を緩和するために、メッシュグランド層とするのが好ましい形態である。
【0040】
本発明のビルドアップ配線基板の製造方法では、上記のようにめっき法でビア、および配線パタ−ンを形成するので、ビア径20μm、ピッチ10μmの微細配線パタ−ンを安定して形成することが可能である。
また、本発明のビルドアップ配線基板の製造方法では、めっき液にレベリング剤等の添加物を加えてめっき条件を制御することにより、ビア形成部の凹凸を平坦化することが可能であり、そのため、ビルドアップ配線層のビア構造を、ビアの上にビアが重なったスタック構造にすることが可能であり、配線を高密度化できるという利点がある。例えば、めっき金属で凹凸のないビアを形成するには、4μm厚のめっきにより20μmのビア径で可能である。
さらに、本発明の多層配線基板の製造方法では、コア基板のスル−ホ−ルもしくは導電性バンプとビルドアップ配線層のビア部の双方を重ねることにより、さらに配線を高密度化でき、高密度構造の配線設計の自由度をさらに大きくすることができ、高密度配線形成に有利である。
【0041】
次に、本発明の製造方法による多層配線基板の電気特性を調べたところ、ビルドアップ配線層の配線ピッチが10μm以下になると、隣接する配線の影響を受けて高周波の伝達損失が大きくなることが確認された。
この結果、高周波特性の点から安定した電気特性を維持するビルドアップ配線層の設計ル−ルとして、本発明では、配線ピッチは15μm(ライン/スペ−ス=7.5μm/7.5μm)以上が好ましい形態とした。例えば、配線ピッチ15μmの時、ビア径は20μmとすればよい。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
コア材として、厚さ625μmのシリコンウェハを準備し、このコア材の一方の面に感光性ドライフィルムレジスト(旭化成(株)製APR)をラミネ−トし、スル−ホ−ル形成用のフォトマスクを介して、露光、現像することによりマスクパタ−ンを形成した。上記のシリコンウェハのXY方向の熱膨張係数は2.5ppmであった。また、マスクパタ−ンは直径が100μmである円形開口が150〜500μmピッチで形成したものであった。
【0043】
次に、このマスクパタ−ンをマスクとして、サンドブラストによりコア材に微細孔を穿孔した。この微細孔は、開口径が150μm、深さが300μm、底部の内径が50μmであり、テ−パ−形状を有するものであった。続いて、マスクパタ−ンをアセトンでコア材から除去した。
その後、コア材の他方の面を研削装置により研磨してコア材の厚さを250μmにすると共に、コア材の研磨面に微細孔を開口径50μmで露出させてスル−ホ−ルを形成した。
【0044】
次いで、スル−ホ−ルが形成されたコア材を熱酸化処理(1050℃、20分間)し、スル−ホ−ル内壁面を含むコア材表面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成した。次に、銅ペ−ストをスクリ−ン印刷によりスル−ホ−ル内に充填し、硬化処理(170℃、20分間)した。その後、コア材の表面から突出した銅ペ−ストを研磨して除去し、コア材の表面とスル−ホ−ル内に充填したペ−ストとが同一面となるようにしてコア基板を得た。このコア基板は、一方の開口径が150μm、他方の開口径が50μmであるテ−パ−形状のスル−ホ−ルを最小ピッチ300μmで備え、かつ、導電材料により表裏の導通がされていた。
【0045】
次に、スル−ホ−ルの開口が小さい側のコア基板上に、アルミニウムにより導電層(0.2μm厚)を形成し、フォトリソグラフィ法により配線パタ−ンを形成した。配線パタ−ンは所定のスル−ホ−ル内の導電性ペ−スト上に一部重なって接続されるようにした。
【0046】
次に、上記のコア基板上に感光性樹脂としてベンゾシクロブテン樹脂組成物(ダウ・ケミカル社製サイクロテン4024)をスピンナ−塗布し、乾燥して、厚さ5μmの感光性樹脂層を形成した。
次に、所定のコア基板上のスル−ホ−ル内の銅ペ−ストが露出するように、ビア(内径20μm)形成用のフォトマスクを介して露光、現像し、240℃、30分ベ−クし、所定の位置にビア用開口部を有した電気絶縁層となる感光性樹脂パタ−ンを形成した。続いて、スパッタリング法により、クロムと銅からなる導電性薄膜層を形成し、この導電性薄膜層上に液状レジスト(東京応化工業(株)製LA900)を塗布した。次いで、1層目のビアおよび配線形成用のフォトマスクを介して露光し、現像し、レジストパタ−ンを形成した。このレジストパタ−ンをマスクとして電解銅めっきを(厚さ4μm)を行い、次いで、レジストパタ−ンを剥離し、不要な導電性薄膜層をフラッシュ・エッチングして除去した。これにより、電気絶縁層を介して1層目の銅配線を形成した。上記のビア径は20μm、配線線幅は7.5μm、配線ピッチ7.5μmであった。
【0047】
さらに、同様の操作を行い、電気絶縁層を介して2層目の配線を形成し、電気絶縁層を介して3層目の配線を形成した。各配線層の一部はスタック型構造のビアで垂直に接続しているようにした。
これにより、ビルドアップ多層配線を有する多層配線基板が得られた。この多層配線基板は、9GHz以上の高周波で伝達損失が少なく優れた電気特性を示した。
【0048】
(実施例2)
コア基板としてガラス・エポキシ複合材料を用い、B2it法でコア基板を作製した。厚さ18μmの銅箔上の所定位置に銀ペ−ストを印刷し、乾燥して先端が尖った円錐形状を有する導電性バンプを形成した。次に、温度110℃にて、銅箔上に形成した導電性バンプを厚さ200μmのガラスクロス入りプリプレグ(ガラス・エポキシ複合材料)に貫通させると、導電性バンプの先端はガラスクロスを突き抜けるので、これに突き当て用の厚さ18μmの銅箔を重ね、積層プレスし、プリプレグを硬化させて、所定部分が導電性バンプで導通した基板を作製した。導電性バンプの径は、下層部で370μm、上部で340μm、ランド径は600μmとした。この後、表裏の銅箔をパタ−ンエッチングして、両面配線基板を得た。次に、上記の両面配線基板の上下に導電性バンプ付き銅箔とプリプレグを配置し、積層して、4層配線のコア基板を得た。
【0049】
次に、上記のコア基板の一方の配線パタ−ン上に感光性樹脂としてベンゾシクロブテン樹脂組成物(ダウ・ケミカル社製サイクロテン4024)をスピンナ−塗布、乾燥し、厚さ5μmの感光性樹脂層を形成した。
次に、所定のコア基板上のバンプが露出するように、ビア(内径20μm)形成用のフォトマスクを介して露光、現像し、240℃、30分ベ−クし、所定の位置にビア用開口部を有した電気絶縁層となる感光性樹脂パタ−ンを形成した。続いて、スパッタリング法により、クロムと銅からなる導電性薄膜層を形成し、この導電性薄膜層上に液状レジスト(東京応化工業(株)製LA900)を塗布した。次いで、1層目のビアおよび配線形成用のフォトマスクを介して露光し、現像し、レジストパタ−ンを形成した。このレジストパタ−ンをマスクとして電解銅めっきを(厚さ4μm)を行い、次いで、レジストパタ−ンを剥離し、不要な導電性薄膜層をフラッシュ・エッチングして除去した。これにより、電気絶縁層を介して1層目の銅配線を形成した。上記のビア径は20μm、配線線幅は7.5μm、配線ピッチ7.5μmであった。
【0050】
さらに、同様の操作を行い、電気絶縁層を介して2層目の配線を形成し、次いで電気絶縁層を介して3層目の配線を形成した。グランド層は2層目配線部に設け、メッシュグランドとした。各配線層の一部はスタック型構造のビアで垂直に接続しているようにした。
これにより、コア基板の導電性バンプによる導通部とビルドアップ配線層のビア部が垂直方向に直線的に重なった構造を有する多層配線基板が得られた。この多層配線基板は、9GHz以上の高周波で優れた電気特性を示した。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、多層配線基板を構成するコア基板が熱膨張係数の小さい材料により構成され、コア基板は導電材料により表裏の導通がなされた複数の導通部を備えており、スル−ホ−ルもしくは導電性バンプによる導通部の占める領域が小さいので、ビルドアップ配線層形成側のスペ−スが十分に確保され、配線設計の自由度が高いという利点がある。
さらに、本発明の多層配線基板を構成するビルドアップ配線層は、フォトリソグラフィ法とめっき法によりビアおよび配線パタ−ンを形成するので、微細線幅、狭ピッチの配線が可能である。また、多層配線のビアをスタック構造とすることができるため、高密度配線が可能となる。本発明のコア基板とビルドアップ配線層で形成された多層配線基板は、微細化、高密度化により高性能の電気特性を有しながらも、小型化、軽量化できるので、多方面の用途に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の一実施形態を示す部分縦断面図
【図2】本発明の多層配線基板を構成するビルドアップ配線層の製造方法を示す工程断面図
【図3】図2の工程の一部をさらに詳しく説明する工程断面図
【図4】本発明の多層配線基板を構成するコア基板の一実施形態(IVH構造)を示す工程断面図
【図5】本発明の多層配線基板を構成するコア基板の他の実施形態(Bit法)を示す工程断面図
【図6】図5に続く本発明の多層配線基板を構成するコア基板の他の実施形態(Bit法)を示す工程断面図
【符号の説明】
1 多層配線基板
2、2a、2b、2c コア基板
2’ コア材
3、3a、3b ビルドアップ配線層
4、4a、4b、4c 導通部
5a、5b、5c 配線層
6 表層パタ−ン
7a、7b ビア
8a、8b 配線層
9a、9b 絶縁層
26、36 表層パタ−ン
27a、27b、37 ビア
28a、28b、38 配線層
29a、29b、39a 絶縁層
31 導電性薄膜層
32 レジストパタ−ン
33 めっき金属層
42’ コア材
42 コア基板
43 マスクパタ−ン
44 微細孔
45 導電材料
46 表層パタ−ン
52’、62’ 導通基板
52、62 コア基板
54、64 導電性バンプ
55a、55b、65a、65b 銅箔
56、66 表層パタ−ン
57、67、67’ プリプレグ

Claims (9)

  1. コア基板と、該コア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層とを積層してなるビルドアップ配線層を形成した多層配線基板において、
    前記コア基板は導電材料により表裏の導通がなされた複数の導通部を備え、
    前記コア基板のXY方向の熱膨張係数が2〜20ppmであり、コア基板用のコア材がシリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料から選ばれ、
    前記ビルドアップ配線層の絶縁層が250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性樹脂であることを特徴とする多層配線基板。
  2. 前記コア基板のコア材がガラス・エポキシ複合材料よりなり、コア基板の厚さが50〜300μmであり、スル−ホ−ルがIVH構造で径が50〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
  3. 前記コア基板が複数の導電性バンプを用いたBit法で製造された基板であることを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板。
  4. 前記コア基板の片面もしくは両面上に設ける絶縁層が、該基板表面の平坦化層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多層配線基板。
  5. 前記ビルドアップ配線層のビア構造がスタック型であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多層配線基板。
  6. 前記多層配線基板を構成するコア基板の導通部とビルドアップ配線層の各層のビアが垂直方向に重なった構造を有することを特徴とする請求項5に記載の多層配線基板。
  7. 前記ビルドアップ配線層の配線ピッチが15μm以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の多層配線基板。
  8. 前記ビルドアップ配線層のグランド層がメッシュグランドであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の多層配線基板。
  9. コア基板と、該コア基板の片面もしくは両面上に絶縁層を介して配線層と絶縁層とを積層してなるビルドアップ配線層を形成した多層配線基板の製造方法において、
    基板のXY方向の熱膨張係数が2〜20ppmであり、シリコン、セラミックス、ガラス、ガラス・エポキシ複合材料のいずれかから選ばれたコア材に、IVH構造によるスル−ホ−ルもしくはBit法による導電性バンプにより表裏の導通がなされた複数の導通部を備え、片面もしくは両面上に表層パタ−ンを設けたコア基板を形成する工程と、
    該コア基板の表層パタ−ンを覆って250℃以下の温度で熱硬化可能な感光性樹脂を塗布し、露光、現像し、250℃以下の温度で熱硬化させ、所定形状の絶縁層を形成する工程と、
    該所定形状の絶縁層上および露出しているコア基板の表層パタ−ン上にめっき下地用の導電性薄膜層を形成し、フォトリソグラフィ法によりレジストパタ−ンを形成後、レジスト開口部の前記導電性薄膜層上にめっき金属層を形成し、レジスト薄膜後に不要部の導電性薄膜層を除去し、ビアおよび配線層を形成する工程と、を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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