JP6159538B2 - ヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、繊維、繊維処理剤、繊維の染色性改良剤、塗料、帯電防止剤、接着剤、粘着剤、紙力増強剤、イオン交換樹脂などの樹脂原料、各種有機化合物の製造中間体などの原料として有用なヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法に関する。
ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する方法として、反応触媒としてスタノキサン触媒を用い、共沸溶媒としてn−ヘキサンの存在下で1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させ、副生したメタノールをn-ヘキサンとともに留去することによって4−ヒドロキシブチルアクリレートを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1の段落[0020]−[0021]、特許文献2の段落[0033]−[0034]参照)。
前記ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に留去したメタノールには、共沸溶媒であるn−ヘキサンのみならず、原料のアクリル酸メチルが含まれているため、このメタノールに水を添加し、メタノール水溶液と原料のアクリル酸メチルおよびn−ヘキサンとを液−液分離させることにより、原料のアクリル酸メチルを回収することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、メタノール水溶液に含まれているメタノールを水から容易に分離することができないため、当該メタノール水溶液に含まれているメタノールは、有価物であるにもかかわらず、一般に当該メタノール水溶液を焼却することによって処理されている。このような処理操作を行なった場合、メタノール水溶液を焼却するために廃水焼却炉などの特殊な焼却炉が必要となるのみならず、メタノール水溶液を焼却するための多大なエネルギーを要することからランニングコストが上昇するという欠点がある。
したがって、近年、ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生するアルコールを効率よく回収することができるヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法の開発が待ち望まれている。
特開2003−155263号公報 特開2007−161636号公報 特許第3585989号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生したアルコールを効率よく回収することができるヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、
(1) 多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させることによってヒドロキシアルキルアクリレートを製造する方法であって、多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒の存在下で当該多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させ、エステル交換反応の際に副生したアルコールおよび当該有機溶媒を含有する共沸混合物を当該エステル交換反応の反応系から留去した後、留去された共沸混合物と、当該エステル交換反応の際に用いられる多価アルコールと同一の種類の多価アルコールとを混合し、得られた混合物から副生したアルコールおよび多価アルコールを含有するアルコール溶液を分離し、分離されたアルコール溶液から副生したアルコールを回収することを特徴とするヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法、
) エステル交換反応の際に用いられる多価アルコールが炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールであり、当該多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒が炭素数6〜8の脂肪族炭化水素化合物および炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素化合物である前記()に記載のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法、ならびに
) アルコール溶液から多価アルコールを回収し、回収された多価アルコールを、エステル交換反応させる際に用いられる多価アルコールとして用いる前記(または2)に記載のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法
に関する。
本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法によれば、ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生したアルコールを効率よく回収することができるという優れた効果が奏される。
本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法は、前記したように、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させることによってヒドロキシアルキルアクリレートを製造する方法であり、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に副生したアルコールを、多価アルコールを用いて回収することを特徴とする。
本発明においては、まず、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる。
多価アルコールは、アクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応により、ヒドロキシアルキルアクリレートとなることから、目的とするヒドロキシアルキルアクリレートのアルキル基に対応するアルキル基を有する多価アルコールであることが好ましい。より具体的には、多価アルコールの炭素数は、目的とするヒドロキシアルキルアクリレートを製造する観点から、当該ヒドロキシアルキルアクリレートの炭素数と同一であることが好ましい。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜8の脂肪族ジオール、グリセリンなどの炭素数3〜8の脂肪族トリオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの多価アルコールのなかでは、当該多価アルコールを容易に回収することができることから、炭素数2〜4の脂肪族多価アルコールが好ましく、炭素数2〜4の脂肪族ジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールがさらに好ましい。
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。アクリル酸アルキルエステルのなかでは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応後、生成したヒドロキシアルキルアクリレートと原料のアクリル酸アルキルエステルとを効率よく分離させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜4であるアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数が1〜3であるアクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸メチルがさらに好ましい。
多価アルコール1モルあたりのアクリル酸アルキルエステルの量は、反応速度を高める観点から、好ましくは0.5モル以上であり、未反応のアクリル酸アルキルエステルの残存量を低減させる観点から、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下である。
なお、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応は、有機溶媒の存在下で行なうことが好ましい。有機溶媒のなかでは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応によって副生したアルコールを効率よく回収する観点から、多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒が好ましい。
したがって、本発明においては、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応によって副生したアルコールを効率よく回収する観点から、多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒の存在下で当該多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させることが好ましい。
好適な多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの炭素数6〜8の脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記有機溶媒のなかでは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に副生したアルコールと当該有機溶媒とを共沸させることによって反応系から効率よく留去する観点から、炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物が好ましく、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンがより好ましく、シクロヘキサンがさらに好ましい。
また、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に副生したアルコールと前記有機溶媒とを共沸させることによって当該副生したアルコールおよび当該有機溶媒を効率よくエステル交換反応の反応系内から留去する観点から、多価アルコールが炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールであり、当該多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒が炭素数6〜8の脂肪族炭化水素化合物および炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、前記有機溶媒のなかでは炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物がより好ましい。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとの合計量100質量部あたりの有機溶媒の量は、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の際に副生したアルコールと当該有機溶媒とを共沸させることによって当該副生したアルコールおよび当該有機溶媒を効率よくエステル交換反応の反応系内から留去する観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、当該有機溶媒と副生したアルコールとの分離効率を高める観点から、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下である。
本発明においては、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に、エステル交換触媒を用いることができる。
エステル交換触媒としては、例えば、モノメチル錫酸、モノブチル錫オキシド、モノブチル錫ヒドロキシクロリド、モノブチル錫トリオクトエート、モノブチル錫酸、モノブチル錫トリス(2−エチルヘキソエート)、ブチル錫トリクロリド、モノブチル錫トリメチレート、ジブチル錫ジラウレート、モノフェニル錫トリブロミド、ジメチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロミド、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジチオール、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキソエート)、ジブチル錫スルフィド、トリブチル錫クロリド、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫オキシド、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジメトキシド、ジオクチル錫ジブトキシド、ジフェニル錫ジクロリド、ジフェニル錫スルフィド、ジフェニル錫ジクロリド、トリフェニル錫アセテート、テトラ−n−ブチル−1,3−ジアセトキシジスタノキサン、テトラ−n−ブチル−1,3−ジオクチルオキシジスタノキサン、テトラ−n−ブチル−1,3−ジラウリルオキシジスタノキサンなどの有機錫化合物;テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネートなどのチタン化合物、タリウム化合物、銅化合物、鉛化合物、クロム化合物などの遷移金属化合物;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、リチウムメチラート、リチウムエチラートなどのアルカリ金属アルコラート;カルシウムメチラート、カルシウムエチラート、マグネシウムメチラート、マグネシウムエチラートなどのアルカリ土類金属アルコラート;アルミニウムメチラート、アルミニウムエチラートなどのアルミニウムアルコラート;水酸化リチウムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみ限定されるものではない。これらのエステル交換触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのエステル交換触媒のなかでは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を促進させる観点から、アルキル基の炭素数が4〜12のジアルキル錫オキシドが好ましく、アルキル基の炭素数が4〜8のジアルキル錫オキシドがより好ましく、ジブチル錫オキシドおよびジオクチル錫オキシドがさらに好ましく、ジオクチル錫オキシドがさらに一層好ましい。
アクリル酸アルキルエステル1モルあたりのエステル交換触媒の量は、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を効率よく進行させる観点から、好ましくは0.00001モル以上、より好ましくは0.0001モル以上であり、生成するヒドロキシアルキルアクリレートの不均化反応を抑制する観点から、好ましくは0.01モル以下、より好ましくは0.005モル以下である。なお、ヒドロキシアルキルアクリレートの不均化反応は、ヒドロキシアルキルアクリレートが多価アルコールのジアクリレートと多価アルコールとに変化する反応である。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応は、アクリル酸アルキルエステルが重合することを抑制する観点から、重合防止剤の存在下で行なうことが好ましい。
重合防止剤としては、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどのN−オキシラジカル系化合物;パラメトキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジtert−ブチル−N,N−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルカテコール、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)などのフェノール系化合物;メトキノン、ハイドロキノン、2,5−ジtert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジtert−ブチルハイドロキノン、ベンゾキノンなどのキノン系化合物;塩化第一銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅;フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン,N,N’−ジβ−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどのアミノ化合物;1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシアミン系化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合禁止剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アクリル酸アルキルエステル100質量部あたりの重合防止剤の量は、アクリル酸アルキルエステルの重合を十分に抑制する観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、生成するヒドロキシアルキルアクリレートの純度を高める観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を行なう際の反応温度は、反応速度を高める観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、生成するヒドロキシアルキルアクリレートの重合を防止する観点から、好ましくは150℃以下である。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を行なう際の雰囲気は、アクリル酸アルキルエステルの重合を防止する観点から、酸素を含有する雰囲気であることが好ましく、安全性を高める観点から、酸素濃度が5体積%〜大気濃度のガスであることがより好ましい。また、その雰囲気の圧力は、通常、大気圧であればよいが、加圧または減圧であってもよい。例えば、その雰囲気の圧力を減圧させた場合には、還流温度を低下させることができるので、副反応を抑制することができるという利点がある。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を行なう際の反応時間は、多価アルコールおよびアクリル酸アルキルエステルの量、反応温度などによって異なるので一概には決定することができないことから、通常、当該エステル交換反応が完了するまでの時間が選択される。多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の終点は、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどによって確認することができる。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応は、例えば、精留塔、流動床、固定床、反応蒸留塔などを用いて行なうことかできるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。また、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応は、流通式および回分式のいずれの方式で行なってもよい。
多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の進行とともにアルコールが副生する。多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応を効率よく進行させる観点から、当該エステル交換反応の際に副生したアルコールをエステル交換反応系から留去することが好ましい。
なお、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に、前記有機溶媒を用いた場合には、当該エステル交換反応の際に副生したアルコールは、当該有機溶媒とともにエステル交換反応系から留去することができる。留去された共沸混合物には、有価な副生したアルコールが含まれていることから、当該共沸混合物から副生したアルコールを回収することが好ましい。また、前記共沸混合物には、有価な有機溶媒が含まれていることから、当該共沸混合物から有機溶媒を回収し、例えば、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に用いられる有機溶媒などとして再利用することが好ましい。
本発明においては、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に副生したアルコールを、多価アルコールを用いて回収する点に、大きな特徴の1つがある。このように多価アルコールを用いて副生したアルコールを回収した場合には、副生したアルコールには水がほとんど含まれないので、当該副生したアルコールを効率よく回収することができる。
本発明においては、さらに、多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒の存在下で当該多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させ、エステル交換反応の際に副生したアルコールおよび当該有機溶媒を含有する共沸混合物を当該エステル交換反応の反応系から留去した後、留去された共沸混合物と多価アルコールとを混合することが、副生したアルコールを効率よく回収する観点から好ましい。
前記共沸混合物には、通常、副生したアルコールおよび多価アルコールに非相溶の有機溶媒が含まれている。前記共沸混合物と多価アルコールとを混合した場合には、この共沸混合物に含まれている副生したアルコールは、当該多価アルコールに抽出されるため、当該副生したアルコールおよび多価アルコールを含有するアルコール溶液と、当該多価アルコールに非相溶の有機溶媒とに分離する。したがって、前記共沸混合物と多価アルコールとを混合することによって得られた混合物からアルコール溶液を分離することにより、副生したアルコールをアルコール溶液の状態で効率よく回収することができる。
共沸混合物と多価アルコールとを混合する際に用いられる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの炭素数2〜8の脂肪族ジオール、グリセリンなどの炭素数3〜8の脂肪族トリオールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの多価アルコールのなかでは、当該多価アルコールを容易に回収することができることから、炭素数2〜4の脂肪族多価アルコールが好ましく、炭素数2〜4の脂肪族ジオールがより好ましく、ブタンジオールがさらに好ましい。
また、共沸混合物と多価アルコールとを混合する際に用いられる多価アルコールは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の際に用いられる多価アルコールと同一の種類であることが、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとを新たにエステル交換反応させる際に用いられる多価アルコールとして再利用することができることから好ましい。
共沸混合物と混合される多価アルコールの量は、特に限定されないが、副生したアルコールを効率よく回収する観点から、共沸混合物100質量部あたり10〜100質量部程度であることが好ましい。
なお、アルコール溶液に含まれている副生したアルコールは、当該アルコール溶液を減圧留去することにより、回収することができる。
アルコール溶液を減圧留去させる方法は、特に限定されないが、当該アルコール溶液を減圧留去させる方法の一例として、アルコール溶液を30〜100℃の温度範囲内の適当な温度に加熱し、当該アルコール溶液の周囲雰囲気を500kPa以下に減圧させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。アルコール溶液から副生したアルコールを留去した後の残渣には、主として多価アルコールが含まれている。当該残渣は、例えば、新たに多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に用いられる多価アルコールとして利用することができるほか、他の有機化合物を調製する際の原料などとして利用することができる。
このように、副生したアルコールおよび多価アルコールを含有するアルコール溶液から副生したアルコールを回収した後の残渣を多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させる際に用いた場合には、副生したアルコールのみならず、回収した残渣を有効利用することができることから廃液量を低減させることができるので、本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法は、地球環境に優しい方法である。
一方、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の終了後、生成した反応混合物には、本発明における目的化合物であるヒドロキシアルキルアクリレートが含まれている。多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとのエステル交換反応の際に、副生したアルコール、多価アルコール、有機溶媒などは共沸混合物として反応系から留去される。したがって、この反応混合物には、主として目的化合物であるヒドロキシブチルアルコール、未反応のアクリル酸エステル、有機溶媒などが含まれている。この反応混合物は、その使用目的によってはそのままの状態で使用してもよいが、必要により、例えば、蒸留、抽出などの精製方法により、精製してもよい。
また、例えば、反応混合物と水および脂肪族炭化水素化合物を含有する抽出溶媒とを混合し、当該反応混合物に含まれているヒドロキシアルキルアクリレートを水層に抽出させた後、当該水層と芳香族炭化水素化合物を含有する抽出溶媒とを混合し、当該水層に含まれているヒドロキシアルキルアクリレートを芳香族炭化水素化合物に抽出させることにより、ヒドロキシアルキルアクリレートを回収してもよい。
以上のようにして回収されたヒドロキシアルキルアクリレートは、必要により、蒸留精製、洗浄などにより、高純度化させてもよい。
以上説明したように、本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法によれば、ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生したアルコールを効率よく回収することができる。また、回収されたアルコールは、比較的純度が高いので、各種有機化合物を合成するときの原料として使用することができるほか、ボイラー用燃料などとして燃焼することができる。さらに、回収されたアルコールを燃焼する場合には、従来のようにアルコール水溶液を焼却するために廃水焼却炉などの特殊な焼却炉が不要であるのみならず、アルコール水溶液に含まれている水を焼却する必要がないため、エネルギーの消費量を低減させ、ひいてはランニングコストを低減させることができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
2L容のガラス製の4口フラスコにオールダショウ式蒸留塔(20段)、還流冷却器および空気導入管を取り付けた。このフラスコ内に1,4−ブタンジオール675g(7.5モル)、アクリル酸メチル430.45g(5.0モル)、シクロヘキサン100gおよび重合防止剤としてフェノチアジン0.721gを仕込んだ後、エステル交換触媒としてジオクチル錫オキシド3.61gを当該フラスコ内に添加し、7体積%の濃度で酸素を含有する窒素ガスを20mL/minの流量で吹き込みながら1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させた。
なお、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールとシクロヘキサンとの共沸混合物は、随時、蒸留塔から取り出し、500mL容のデカンター内に導入した。このデカンター内に1,4−ブタンジオール50mLを徐々に添加し、分離したメタノールおよび1,4−ブタンジオールを含有するアルコール溶液をデカンターから取り出すことにより、このアルコール溶液200gをシクロヘキサンから分離させた。
メタノールの留出がほとんどなくなるまで1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させることにより、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとのエステル交換反応を終了し、反応混合物を得た。
前記で得られた反応混合物を88℃に加熱し、未反応のアクリル酸メチルをシクロヘキサンとの共沸によって留去することにより、粗4−ヒドロキシブチルアクリレート1088gを得た。
次に、前記で得られた粗4−ヒドロキシブチルアクリレートを抽出することによって回収し、さらに薄膜蒸留を行なうことにより、精製された4−ヒドロキシブチルアクリレート489gを得た。
一方、デカンターから取り出したアルコール溶液200gを80℃に加熱し、徐々に減圧度を高め、最終的に減圧度を250kPaに調整することにより、メタノールを留去した。その結果、留出したメタノールの量は128.5gであり、残留した1,4−ブタンジオールの量は70.5gであった。このことから、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールを効率よく回収することができることがわかる。
なお、回収したメタノールをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、シクロヘキサンおよびアクリル酸メチルに帰属するピークが若干認められたものの、メタノールに帰属する顕著なピークが認められた。このことから、副生したメタノールを比較的純度が高い状態で容易に回収することができ、当該メタノールは、有機化合物を合成する際の原料のみならず、燃料として有効利用することができるものであることが確認された。
実施例2
2L容のガラス製の4口フラスコにオールダショウ20段、還流冷却器および空気導入管を取り付けた。このフラスコ内に実施例1で回収した1,4−ブタンジオール70.5gを添加した後、新しい1,4−ブタンジオール604.5g、アクリル酸メチル430.45g、シクロヘキサン100gおよび重合防止剤としてフェノチアジン0.721gを仕込み、エステル交換触媒としてジオクチル錫オキシド3.61gをこのフラスコ内に添加し、7体積%の濃度で酸素を含有する窒素ガスを20mL/minの流量で吹き込みながら1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度で反応させた。
なお、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールとシクロヘキサンとの共沸混合物は、随時、蒸留塔から取り出し、500mL容のデカンター内に導入した。このデカンター内に1,4−ブタンジオール50mLを徐々に添加し、分離したメタノールと1,4−ブタンジオールとのアルコール溶液をデカンターから取り出すことにより、このアルコール溶液をシクロヘキサンから分離させた。
メタノールの留出がほとんどなくなるまで1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させることにより、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとのエステル交換反応を終了し、反応混合物を得た。
前記で得られた反応混合物を88℃に加熱し、未反応のアクリル酸メチルをシクロヘキサンとの共沸によって留去することにより、粗4−ヒドロキシブチルアクリレート1088gを得た。
次に、前記で得られた粗4−ヒドロキシブチルアクリレートを抽出することによって回収し、さらに薄膜蒸留を行なうことにより、精製された4−ヒドロキシブチルアクリレート483gを得た。
一方、デカンターから取り出したアルコール溶液200gを80℃に加熱し、徐々に減圧度を高め、最終的に減圧度を250kPaに調整することにより、メタノールを留去した。その結果、留出したメタノールの量は128.5gであり、残留した1,4−ブタンジオールの量は70.5gであった。このことから、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールを効率よく回収することができることがわかる。
なお、回収したメタノールをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、シクロヘキサンおよびアクリル酸メチルに帰属するピークが若干認められたものの、メタノールに帰属する顕著なピークが認められた。このことから、副生したメタノールを比較的純度が高い状態で容易に回収することができ、当該メタノールは、有機化合物を合成する際の原料のみならず、燃料として有効利用することができるものであることが確認された。
実施例3
2L容のガラス製の4口フラスコにオールダショウ式蒸留塔(20段)、還流冷却器および空気導入管を取り付けた。このフラスコ内に1,4−ブタンジオール270.4g(3.0モル)、アクリル酸メチル1033.1g(12.0モル)、シクロヘキサン81gおよび重合防止剤としてフェノチアジン2.163gを仕込んだ後、エステル交換触媒としてジオクチル錫オキシド3.47gを当該フラスコ内に添加し、7体積%の濃度で酸素を含有する窒素ガスを10mL/minの流量で吹き込みながら1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させた。
なお、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールとシクロヘキサンとの共沸混合物は、随時、蒸留塔から取り出し、500mL容のデカンター内に導入した。このデカンター内に1,4−ブタンジオール43mLを徐々に添加し、分離したメタノールおよび1,4−ブタンジオールを含有するアルコール溶液をデカンターから取り出すことにより、このアルコール溶液436gをシクロヘキサンから分離させた。
メタノールの留出がほとんどなくなるまで1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させることにより、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとのエステル交換反応を終了し、反応混合物を得た。
前記で得られた反応混合物を90℃に加熱し、未反応のアクリル酸メチルをシクロヘキサンとの共沸によって留去することにより、粗1,4−ブチルジアクリレート1054gを得た。
次に、前記で得られた粗1,4−ブチルジアクリレートを抽出することによって回収し、シクロヘキサンを濃縮後さらに薄膜蒸留を行なうことにより、精製された4−ヒドロキシブチルアクリレート508gを得た。
一方、デカンターから取り出したアルコール溶液436gを80℃に加熱し、徐々に減圧度を高め、最終的に減圧度を250kPaに調整することにより、メタノールを留去した。その結果、留出したメタノールの量は182.7gであり、残留した1,4−ブタンジオールの量は253gであった。このことから、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールを効率よく回収することができることがわかる。
なお、回収したメタノールをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、シクロヘキサンおよびアクリル酸メチルに帰属するピークが若干認められたものの、メタノールに帰属する顕著なピークが認められた。このことから、副生したメタノールを比較的純度が高い状態で容易に回収することができ、当該メタノールは、有機化合物を合成する際の原料のみならず、燃料として有効利用することができるものであることが確認された。
実施例4
2L容のガラス製の4口フラスコにオールダショウ式蒸留塔(20段)、還流冷却器および空気導入管を取り付けた。このフラスコ内に実施例3で回収した1,4−ブタンジオール250.3g、新しい1,4-ブタンジオール20.1g、アクリル酸メチル1033.1g、シクロヘキサン81gおよび重合防止剤としてフェノチアジン2.163gを仕込み、エステル交換触媒としてジオクチル錫オキシド3.47gを当該フラスコ内に添加し、7体積%の濃度で酸素を含有する窒素ガスを10mL/minの流量で吹き込みながら1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させた。
なお、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールとシクロヘキサンとの共沸混合物は、随時、蒸留塔から取り出し、500mL容のデカンター内に導入した。このデカンター内に1,4−ブタンジオール50mLを徐々に添加し、分離したメタノールおよび1,4−ブタンジオールを含有するアルコール溶液をデカンターから取り出すことにより、このアルコール溶液437gをシクロヘキサンから分離させた。
メタノールの留出がほとんどなくなるまで1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させることにより、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとのエステル交換反応を終了し、反応混合物を得た。
前記で得られた反応混合90℃に加熱し、未反応のアクリル酸メチルをシクロヘキサンとの共沸によって留去することにより、粗4−ヒドロキシブチルアクリレート1054gを得た。
次に、前記で得られた粗4−ヒドロキシブチルアクリレートを抽出することによって回収し、さらに薄膜蒸留を行なうことにより、精製された4−ヒドロキシブチルアクリレート508gを得た。
一方、デカンターから取り出したアルコール溶液436gを80℃に加熱し、徐々に減圧度を高め、最終的に減圧度を250kPaに調整することにより、メタノールを留去した。その結果、留出したメタノールの量は182.7gであり、残留した1,4−ブタンジオールの量は253gであった。このことから、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールを効率よく回収することができることがわかる。
なお、回収したメタノールをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、シクロヘキサンおよびアクリル酸メチルに帰属するピークが若干認められたものの、メタノールに帰属する顕著なピークが認められた。このことから、副生したメタノールを比較的純度が高い状態で容易に回収することができ、当該メタノールは、有機化合物を合成する際の原料のみならず、燃料として有効利用することができるものであることが確認された。
次に、残留している1,4−ブタンジオールを新たに1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に原料の1,4−ブタンジオールとして使用したが、1,4−ブタンジオールとアクリル酸メチルとを効率よくエステル交換反応させることができることが確認された。
以上の結果から、本発明のアルキルジアクリレートの製造方法によれば、アルキルジアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生したアルコールを効率よく回収することができるのみならず、副生したアルコールから分離された多価アルコールは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとを新たにエステル交換反応させる際に再利用することができることがわかる。
実施例5
2L容のガラス製の4口フラスコにオールダショウ20段、還流冷却器および空気導入管を取り付けた。このフラスコ内に1,6−ヘキサンジオール886.5g(7.5モル)を添加した後、アクリル酸メチル430.45g(5.0モル)、シクロヘキサン100gおよび重合防止剤としてフェノチアジン0.721gを仕込み、エステル交換触媒としてジオクチル錫オキシド3.61gをこのフラスコ内に添加し、7体積%の濃度で酸素を含有する窒素ガスを20mL/minの流量で吹き込みながら1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度で反応させた。
なお、1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールとシクロヘキサンとの共沸混合物は、随時、蒸留塔から取り出し、500mL容の加温可能なデカンター内に導入した。このデカンター内に45℃に加温した1,6−ヘキサンジオール50mLを徐々に添加し、分離したメタノールと1,6−ヘキサンジオールとのアルコール溶液をデカンターから取り出すことにより、このアルコール溶液200gをシクロヘキサンから分離させた。
メタノールの留出がほとんどなくなるまで1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸メチルとを85℃の温度でエステル交換反応させることにより、1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸メチルとのエステル交換反応を終了し、反応混合物を得た。
前記で得られた反応混合物を88℃に加熱し、未反応のアクリル酸メチルをシクロヘキサンとの共沸によって留去することにより、粗6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1285gを得た。
次に、前記で得られた粗6−ヒドロキシヘキシルアクリレートを抽出することによって回収し、さらに薄膜蒸留を行なうことにより、精製された6−ヒドロキシヘキシルアクリレート242gを得た。
一方、デカンターから取り出したアルコール溶液200gを80℃に加熱し、徐々に減圧度を高め、最終的に減圧度を250kPaに調整することにより、メタノールを留去した。その結果、留出したメタノールの量は115.9gであり、残留した1,6−ヘキサンジオールの量は83.3gであった。このことから、1,6−ヘキサンジオールとアクリル酸メチルとをエステル交換反応させる際に副生したメタノールを効率よく回収することができることがわかる。
なお、回収したメタノールをガスクロマトグラフィーにて分析したところ、シクロヘキサンおよびアクリル酸メチルに帰属するピークが若干認められたものの、メタノールに帰属する顕著なピークが認められた。このことから、副生したメタノールを比較的純度が高い状態で容易に回収することができ、当該メタノールは、有機化合物を合成する際の原料のみならず、燃料として有効利用できるものであることが確認された。
以上の結果から、本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法によれば、ヒドロキシアルキルアクリレートをエステル交換法によって製造する際に副生したアルコールを効率よく回収することができるのみならず、副生したアルコールから分離された多価アルコールは、多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させることによってヒドロキシアルキルアクリレートを製造する際に再利用することができることがわかる。

Claims (3)

  1. 多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させることによってヒドロキシアルキルアクリレートを製造する方法であって、多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒の存在下で当該多価アルコールとアクリル酸アルキルエステルとをエステル交換反応させ、エステル交換反応の際に副生したアルコールおよび当該有機溶媒を含有する共沸混合物を当該エステル交換反応の反応系から留去した後、留去された共沸混合物と、当該エステル交換反応の際に用いられる多価アルコールと同一の種類の多価アルコールとを混合し、得られた混合物から副生したアルコールおよび多価アルコールを含有するアルコール溶液を分離し、分離されたアルコール溶液から副生したアルコールを回収することを特徴とするヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法。
  2. エステル交換反応の際に用いられる多価アルコールが炭素数2〜6の脂肪族多価アルコールであり、当該多価アルコールに対して非相溶の有機溶媒が炭素数6〜8の脂肪族炭化水素化合物および炭素数6〜8の脂環式炭化水素化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素化合物である請求項に記載のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法。
  3. アルコール溶液から多価アルコールを回収し、回収された多価アルコールを、エステル交換反応させる際に用いられる多価アルコールとして用いる請求項1または2に記載のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法。
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