JP4042212B2 - ヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法に関するものであり、詳しくは、反応触媒を効率良く回収して再使用し得る様に改良されたヒドロキシアルキルモノアクリレートの工業的に有利な製造方法に関するものである。
【0002】
ヒドロキシアルキルモノアクリレートは、一般式CH2=CHCOO(CH2)nOH(nは1〜10の整数を表わす)で表され、分子内に疎水性のアルキル単位と親水性のヒドロキシル基を共有するため、柔軟性や親水性を適当に備えた実用上興味深い物性を有する重合体または共重合体の原料として有用である。また、ヒドロキシアルキルモノアクリレートは、そのヒドロキシ基が反応性に富むため、架橋性重合体または共重合体として、塗料関係の用途に期待されている。
【0003】
【従来の技術】
アクリル酸またはその誘導体とアルカンジオールからヒドロキシアルキルモノアクリレートを製造する方法は公知である。例えば、ドイツ特許第15,118,572号公報に記載されている様に、反応触媒として、硫酸や塩酸の様な強プロトン酸を使用しアルカンジオールの末端をアクリル基に変える方法が知られている。
【0004】
また、チタンアルコキサイドは、エステル化/エステル交換反応触媒として従来から広範囲に使用されており、上記の反応に対しても高い活性と目的物選択性を示す。更に、特開昭52−153913号公報には、エステル交換反応によりジメチルアミノエチルメタクリレートを製造する際に反応触媒としてスタノキサン化合物を使用する方法が提案され、特公平5−76350号公報には、高活性なエステル化触媒としてハロゲン置換基を有するジスタノキサン触媒系が提案されている。その他、特公昭46−39848号公報には、エステル交換触媒としてジブチル−n−錫オキシドが提案されており、特開平7−97387号公報には、ジスタノキサン触媒とサッカロース−6−エステルを含む混合液から抽出操作により上記の触媒を回収する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ドイツ特許第15118572号に記載された方法は、強酸触媒を使用するため、反応装置の腐食が懸念されると共に、原料のアルカンジオールの環化反応や生成物の高沸化を伴うために目的物であるヒドロキシアルキルモノアクリレートの選択性が低下する等の欠点を有する。更に、上記の方法は、反応生成液から反応触媒を分離するために繁雑な水洗中和工程が不可欠となっている。
【0006】
また、チタンアルコキサイド触媒を使用する方法は、触媒活性と目的物選択性は高いものの、当該触媒が加水分解性に鋭敏であるため、微量の水分の存在下でも触媒活性が急激に失効することから、完全な水分除去が要求される。また、ジブチル−n−錫オキシド触媒は、反応基質に対する溶解性が低いため、活性発現までに長時間を要するという欠点がある。
【0007】
これに対し、特開昭52−153913号公報および特公平5−76350号公報に記載されたスタノキサン触媒を使用する方法は、触媒活性などの点では優れているものの、これらの公報には、工業的な実施においては重要事項である触媒の回収および再使用の点が十分に開示されていない。
【0008】
すなわち、特開昭52−153913号公報には、スタノキサン触媒の回収および再使用についての開示は全くなく、特公平5−76350号公報には、エステル化触媒は、蒸留残渣などから回収され、そのまま再使用することが可能であると記載されているだけである(第5欄36〜38行)。
【0009】
また、特開平7−97387号公報においても、サッカロース−6−エステルの様に比較的に安定なエステル製造する際の触媒分離法が開示されているに過ぎない。
【0010】
ところが、スタノキサン触媒によるヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造に関する本発明者の知見によれば、実際的には、触媒の回収のための高温での蒸留分離操作は困難である。すなわち、原料物質または生成物がアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体の場合、スタノキサン触媒の存在下での加熱においては少なからず熱的重合や化学的変質といった問題が惹起される。斯かる問題は、スタノキサン触媒の存在下における上記の化合物の熱的に極めて不安定な性質および高い反応性に基づいていると考えられる。
【0011】
特に、アクリル酸またはアルキルジアクリレートとアルカンジオールとのエステル化及び/又はエステル交換反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造の様に、反応生成液中に未反応物または副生物として不飽和結合含有量の高いアルキルジアクリレートが常に存在する場合、上記の問題は顕著である。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、反応活性および目的物選択性、触媒安定性、更には基質および生成物の安定性に優れ、しかも、反応触媒を効率良く回収して再使用し得る様に改良されたヒドロキシアルキルモノアクリレートの工業的に有利な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、種々検討を重ねた結果、反応触媒としてスタノキサン触媒を使用し、しかも、抽出分離によって触媒の回収を行うならば、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
【0014】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、アクリル酸または一般式(I)或いは(II)で表されるアクリル酸誘導体と一般式(III)で表されるアルカンジオールとのエステル化及び/又はエステル交換反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法において、一般式(IV)で表されるスタノキサン化合物を反応触媒として使用し、そして、反応後、反応生成液から抽出操作により触媒を回収して反応系に循環することを特徴とするヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法に存する。
【0015】
【化2】
【0016】
一般式(I)中のRはアルキル基、一般式(II)及び(III)中のnは1〜10の整数を表わし、一般式(IV)中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、これらは互いに異なっていてもよく、X及びYは、互いに異なっていてもよい、−OH、−O(CH2)nOH、−O(CH2)nOCOCH=CH2、−OR、−OCOR、−OCOCH=CH2(nは1〜10の整数を表わし、Rはアルキルを表わす)及びハロゲン原子から成る郡から選ばれる基を表す。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるエステル化及び/又はエステル交換反応の1つの原料物質は、アクリル酸または一般式(I)或いは(II)で表されるアクリル酸誘導体である。
【0018】
一般式(I)中、Rで表されるアルキル基は、通常、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8アルキル基である。一般式(I)で表されるアクリル酸誘導体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0019】
一般式(II)中のnは、1〜10の整数を表わし、好ましくは2〜6である。一般式(II)で表されるアクリル酸誘導体(アルキルジアクリレート)の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート等が挙げられる。これらのアルキルジアクリレート化合物は、反応原料であると同時に、例えば、アクリル酸と後述のアルカンジオールとの反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレート製造時の副生物であり、従って、本発明におけるエステル化及び/又はエステル交換反応の反応系に常に存在する。
【0020】
本発明における他の原料物質は、一般式(III)で表されるアルカンジオールであり、一般式(III)中のnは、1〜10の整数を表わし、好ましくは2〜6である。一般式(III)で表されるアルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール等が挙げられる。
【0021】
本発明における反応触媒は、一般式(IV)で表されるスタノキサン化合物である。一般式(IV)中、R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、通常、炭素数1〜20のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいフェニル基における置換基は、通常、アルキル基であり、その具体例としては、上記と同様のアルキル基が挙げられる。R1〜R4におけるアルキル基または置換基を有していてもよいフェニル基は、互いに異なっていてもよい。R1〜R4としては、特に、反応後工程の抽出分離での触媒回収率および触媒溶解性の観点から、炭素数C4〜C12のアルキル基およびフェニル基が好ましい。
【0022】
また、一般式(IV)中、X及びYは、−OH、−O(CH2)nOH、−O(CH2)nOCOCH=CH2、−OR、−OCOR、−OCOCH=CH2(nは1〜10の整数を表わし、Rはアルキルを表わす)及びハロゲン原子から成る郡から選ばれる基を表す。上記のnは2〜6が好ましく、Rは炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。また、上記のハロゲン原子としては、Cl、Br等が挙げられる。
【0023】
上記のスタノキサン化合物は、例えば、アドバンシス イン オルガノメタリック ケミストリー(Advance in Organometallic Chemistry)第5巻第159ページ(1967年)等に記載された方法により容易に得ることが出来る。
【0024】
アクリル酸または一般式(I)及び(II)で表されるアクリル酸誘導体(以下、両者をまとめてとアクリル酸誘導体と略記する)と一般式(III)で表されるアルカンジオールとの使用割合は、特に制限されない。一般に、アルカンジオールに対してアクリル酸誘導体を過剰に使用する程、アルカンジオールの高い転化が達成できるが、ヒドロキシアルキルモノアクリレートの生成割合が減少してアルキルジアクリレートの生成比率が増大する。従って、原料物質の使用割合は、反応後工程の抽出分離コストの問題および製品として得られるヒドロキシアルキルモノアクリレートの許容純度などを考慮して適宜選択される。
【0025】
本発明において、アルカンジオール1モルに対するアクリル酸またはアクリル酸誘導体の使用割合は、アクリル基換算として、通常0.5〜5モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲とされる。斯かる使用割合によれば、アルカンジオールを適度に転化せしめて反応生成物中のヒドロキシアルキルモノアクリレートの割合を最大限にすることが出来るため、生産性が向上し且つ全体の抽出効率が高められる。
【0026】
また、アルカンジオールを適度に転化せしめて反応生成物中のヒドロキシアルキルモノアクリレートの割合を最大限にする場合、アルカンジオール1モルに対するアクリル酸誘導体の使用割合は、アクリル基換算として、通常2〜50モル、好ましくは5〜30モルである。
【0027】
更に、アクリル酸誘導体を高度に転化せしめて反応生成物中の成分を実質的にヒドロキシアルキルモノアクリレートとアルカンジオールの2成分にする場合、アクリル酸誘導体1モルに対するアルカンジオールの使用割合は、通常2〜20モル、好ましくは2〜10モルである。
【0028】
一方、反応触媒であるスタノキサン化合物の使用割合は、原料アクリル酸、アクリル酸アルキル、ヒドロキシアルキルアクリレートの単独または混合物に対し、通常0.01〜50モル%、好ましくは0.1〜20モル%である。
【0029】
本発明において、反応溶媒は特に必要としないが、必要であれば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素、テトラクロルエチレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の含酸素有機化合物を使用してもよい。
【0030】
反応に際しては、原料アクリル酸誘導体および目的生成物であるヒドロキシアキルモノアクリレートの重合を防止するため、反応系に重合防止剤を添加するのが好ましい。重合防止剤としては、フェノチアジン、ハイドロキノン類、ジアルキルカルバミン酸の銅塩などの銅化合物が挙げられる。更に、反応系内に分子状酸素を存在させることにより、重合防止効果を高めることが出来る場合が多い。分子状酸素の反応系内への導入は、通常、空気を直接に、または、窒素などの不活性ガスで希釈した後に反応系内に連続的に導入することにより行われる。
【0031】
本発明においては、温和な条件下で高いエステル化活性及び/又はエステル交換活性で反応を進行させることが出来る。従って、反応温度は、通常60〜150℃、好ましくは80〜130℃である。反応温度が60℃未満の場合は、十分な反応活性が得られず、逆に、150℃を超える場合は、重合などの副反応が起こり易くなる。反応時間は、通常2〜15時間であり、斯かる反応時間により、反応は平衡に達する。平衡反応に達した後、アクリル酸やアクリル酸アルキル等の未反応原料および溶媒などの軽沸成分を減圧蒸留などにより留去した後、次の抽出分離工程に導くことが出来る。
【0032】
また、上記の反応は平衡反応であるため、副生物である水または低級アルコールの存在によって転化率が抑制される。よって、蒸留により水または低級アルコールを系外に留去しつつ反応を行う反応蒸留形式の採用は、更に転化率を向上することが出来るという点で好ましい。
【0033】
水またはアルコールは、常圧または減圧下で蒸留により除去される。また、他の不活性溶剤(共沸溶媒)を添加して共沸により除去することも出来る。アクリル酸と水、または、低級アクリル酸エステルと低級アルコールとの沸点差が近いため、共沸溶媒を添加して共沸により除去する方が有利になる場合が多い。共沸溶媒が抽出溶媒と同一物質の場合、必要に応じ、除去された水またはアルコールと共沸溶媒の混合液から共沸溶媒を分離した後、そのまま抽出工程に導いても何ら影響ない。蒸留温度は、生成物の熱安定性を考慮し、130度以下とするのが好ましい。
【0034】
反応後、アクリル酸、アクリル酸アルキル及び溶媒などの軽沸成分を蒸留などにより留去した後、抽出分離により、アルキルジアクリレートとヒドロキシアルキルモノアクリレート/未反応アルカンジオールとを分離する。この際、適当な抽出溶剤の使用により、触媒成分がアルキルジアクリレートと共に選択的に有機溶媒相側に抽出される。
【0035】
抽出溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−デカン、i−オクタン、i−デカン等の脂肪族炭化水素類、または、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が使用される。更に、これらの有機溶剤と水との2成分系抽出溶剤を使用することにより、高い抽出効率を得ることが出来る。特に、n−ヘプタンと水との2成分系またはトルエンと水との2成分系抽出溶剤は、高い分配係数と比選択度を示すために好ましい。
【0036】
抽出分離操作により、アルキルジアクリレートと触媒成分とが有機相に分配され、目的物であるヒドロキシアルキルモノアクリレートから分離される。本発明においては、アルキルジアクリレートと触媒成分とを含む有機相は次の様に再使用することが出来る。(1)後処理することなく、そのままの状態で直接にエステル化/エステル交換反応系に循環する。(2)低温減圧蒸留などで有機溶剤が除去された後の残渣をそのままエステル化/エステル交換反応系に循環する。その結果、プロセスを大幅に簡略化出来る利点がある。
【0037】
上記の様に、触媒成分は、例えば、水/有機溶媒による反応生成液の抽出処理により、アルキルジアクリレートと共に有機溶媒相側に選択的に移送されるが、その理由は、触媒成分であるスタノキサン化合物の高い耐加水分解性と親油性に基づく。従って、本発明によれば、反応触媒としてスタノキサン化合物を使用することにより、従来法に比して簡便な方法によりヒドロキシアルキルアクリレートを製造することが出来、しかも、触媒成分を殆どロスすることなく再使用できる。
【0038】
上記の抽出回収された触媒は、再使用に際しても活性の低下が殆どないが、長期間の使用により、触媒の形態が少しづつ変化することがSn119−NMRから確認された。しかしながら、本発明者らの研究の結果、遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を行うならば、触媒の安定性が高められ、その結果、触媒の形態変化が防止され、触媒の有機相への抽出効率が更に高めるられることが判明した。
【0039】
遊離のカルボン酸としては、脂肪族カルボン酸が好ましく、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸の何れでもよいが、通常はモノカルボン酸が好適に使用される。モノカルボン酸としては、アクリル酸または酢酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。特に、触媒としてアシルオキシジスタノキサン誘導体を使用する場合は、その配位子であるカルボン酸を使用するのが好ましい。遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を行う方法としては、抽出操作の際に新たにカルボン酸を添加してもよいし、反応原料としてアクリル酸を使用し、抽出操作の際に遊離のアクリル酸が存在する様にしてもよい。
【0040】
遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を行う際、反応生成液中にSn原子のモル数に対して1〜10モル倍量(好ましくは2〜6モル倍量)に相当するアシルオキシ基が含有された化合物を存在させることが好ましい。アシルオキシ基含有化合物の使用量が上記の範囲を超える場合は、当該化合物の以下の定義から理解される様に、酸が系内に蓄積し、分離操作が煩雑になるため好ましくない。
【0041】
上記のアシルオキシ基含有化合物とは、遊離のカルボン酸またはアシルオキシ基が配位しているSn化合物の両方を指し、アシルオキシ基としては、アクリル基やアセトキシ基等が挙げられる。抽出操作を行う際のアシルオキシ基の存在量は、添加したカルボン酸中のアシルオキシ基の量と、反応生成液中でSnに配位しているアシルオキシ基をSn119−NMRにより測定した量の合計量として算出することが出来る。また、抽出操作後に得られた水相をアルカリで常法に従って滴定することにより求めることも出来る。
【0042】
更に、抽出溶剤として有機溶剤と水の2成分系溶剤を使用した場合、抽出操作を行った後に分離された水相のpHが2〜4となる様に、カルボン酸の量を調整するのが好ましい。抽出操作の際に存在する遊離のカルボン酸は、Snに配位しているアシルオキシ基と平衡関係にあると考えられ、遊離のカルボン酸の存在により、Sn触媒が安定で有機溶媒に抽出され易い形態に維持される。
【0043】
抽出装置は、ミキサーセトラー型、回転円盤型、脈動抽出型、充填塔型などの連続抽出装置を使用するのが好ましい。抽出装置の理論段数は、通常1〜100段、好ましくは3〜50段とされる。
【0044】
抽出操作の後、生成物であるヒドロキシアルキルモノアクリレートを含有して水相中に残存する過剰のカルボン酸は、アルカリ処理などの常法により容易に除去することが可能である。また、触媒分離後の残液であるヒドロキシアルキルモノアクリレート相は、高純度のヒドロキシアルキルモノアクリレートの回収のため、必要に応じ、更に、蒸留・抽出などの精製操作に付すことが出来る。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
参考例1
エタノール/水(190/10ml)中、ジブチル錫オキサイド14.94g(60mmol)とジブチル錫ジクロライド6.08g(20mmol)を80℃で6時間還流させて反応させ、その後、エタノール/水を留去して触媒残査を得た。これにn−ヘキサン75mlを添加して均一溶液にし、冷却下で結晶化させ、得られた白色固体を0.8μmミリポアフィルターでろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で6時間減圧乾燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(BCH)を得た。なお、表2中の同定データ(NMRスペクトル)の測定条件は、次の表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
〈Sn−NMR測定条件〉
機種:Varian UNITY-300
Obserb:119 Sn Solv.:Benzen−d6 基準Sn:Sn(CH3)4
Frequency:111.862 MHz
Acquision time:0.64 sec.
Relaxation time:0.20 sec.
【0048】
参考例2
参考例1のジブチル錫オキサイドの替わりにジオクチル錫オキサイド21.67g(60mmol)を使用した以外は、参考例1と同様の操作でジスタノキサン化合物を得た。更に、これにエタノールを作用させ、表2に記載のジスタノキサン化合物(OCE)を得た。
【0049】
参考例3
トルエン100ml中、ジオクチル錫オキサイド36.12g(100mmol)と酢酸6.00g(100mmol)を還流脱水条件下で2時間反応させた。その後、トルエンを留去して粘稠残査を得た。これにヘキサン65mlを添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶化させ、得られた白色固体を0.8μmミリポアフィルターで冷却下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(OAA)を得た。
【0050】
参考例4
トルエン75ml中、ジオクチル錫オキサイド18.06g(50mmol)とアクリル酸3.61g(50mmol)及びフェノチアジン7mgを還流脱水条件下で4時間反応させ、その後、トルエンを留去して薄黄色粘稠液体を得た。これにn−ヘキサン60mlを添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で白色固体を析出させた。冷却下にヘキサンを注射器で取り出して分離し、白色固体を冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(OLL)を得た。
【0051】
参考例5
トルエン100ml中、ジオクチル錫オキサイド20.09g(75mmol)、ジメチルカーボネ−ト6.653g(37.5mmol)及びエタノール0.5mlを還流条件下で4時間反応させた後、トルエンを留去して白色粘稠残査を得た。これにヘキサン60mlを添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶を析出させた。得られた白色固体を0.8μmミリポアフィルターで冷却下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(OMM)を得た。
【0052】
参考例6
ヘキサン60ml中、参考例3で得られたジスタノキサン(OAA)5.37g(6.5mmol)と参考例5で得られたジスタノキサン(OMM)5.00g(6.5mmol)を還流条件下で2時間反応させた後、ヘキサンを留去して白色粘稠残査を得た。これにヘキサン60mlを添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶を析出させた。得られた白色固体を0.8μmミリポアフィルターで冷却下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、次の表2に記載のジスタノキサン化合物(OAM)を得た。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例1
撹拌機と反応蒸留管を備えたセパラブルフラスコ中に、参考例1で得られたジスタノキサン化合物(BCH)2.34g(4.38mmol)、アクリル酸メチル238.8g(2.774mol)、1,4−ブタンジオール(以下、1,4BGと略す)135.3g(1.501mol)及びフェノチアジン0.6gを仕込み、温度86〜120℃で生成メタノールを留去しながら6時間反応を行なった。
【0055】
得られた反応生成液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析した結果、1,4BG転化率は83.2mol%、アクリル酸メチル転化は65.9mol%、1,4BG基準の4−ヒドロキシブチルアクリレート(以下、4HBAと略す)選択率は59.0mol%、1,4−ブタンジオールジアクリレート(以下、BDAと略す)選択率は41.0mol%であり、他の副生物は検出されなかった。なお、GC分析は、次の表3に示す条件で行った。
【0056】
【表3】
【0057】
次いで、上記の反応生成液を120℃で常圧から3mmHgまで減圧にして蒸留処理し、未反応のアクリル酸メチルを留去した。その後、反応濃縮液241.2gに240gの脱塩水および960gのn−ヘプタンを加えて室温で抽出処理を行ない、静置後に2相を分離した。そして、得られた水相に再びヘプタンを2倍量加えて抽出処理操作を合計4回繰り返した。抽出で得られたヘプタン相を濃縮し、最終的に108.0gの触媒/BDA液を得た。
【0058】
次いで、上記の触媒含有BDA液を使用して繰り返し反応を行なった。すなわち、撹拌機と反応蒸留管を備えたセパラブルフラスコ中に、触媒含有BDA液108.0g(BDA:0.53mol含有)にアクリル酸メチル147.4g(1.71mol)、1,4BG87.4g(0.91mol)を加えて仕込み、初回反応と同様に温度86〜120℃で生成メタノールを留去しながら5時間反応を行なった。
【0059】
得られた反応生成液をGCで分析した結果、1,4BG転化率は82.0mol%、アクリル酸メチル転化率は64.3mol%、1,4BG基準の4HBA選択率は57.8mol%、BDA選択率は42.2mol%であり、反応時間を短縮したにも拘わらず、初回反応と同等の反応成績が得られた。なお、初回の反応生成液の抽出操作で水相側にリークしたSn量をICP分析で測定した結果、含有4HBAに対して30ppm以下であり、最初の反応に使用したスタノキサン化合物の99.5%以上はヘプタン相に抽出されて反応系に再供給されたことになる。
【0060】
比較例1
実施例1に記載した方法と同様に、アクリル酸メチルと1,4BGのエステル交換反応を行なった後、未反応アクリル酸メチルを除去して反応濃縮液を得た。この反応濃縮液118.2gr(1,4BG:9.59g、4HBA:52.27g、BDA:54.88g含有)から蒸留操作で触媒とBDAを回収するため、油浴(135℃)中で13mmHg条件下に減圧蒸留を行なった。
【0061】
塔頂温度が117〜120℃となった時点で留出が開始するが、蒸留1時間経過後に留出が止まり、釜残液がゼラチン状のポリマーに変化した。留出液(62.46g)のGC分析によれば、1,4BG:8.79g、4HBA:29.13g及びBDA:24.54gが蒸留で留出していた。しかしながら、反応に使用した4HBA+BDA成分の49.9wt%がポリマーに変化した。また、このポリマー中から触媒成分を回収することは極めて困難であった。
【0062】
参考例7
AldrichChemical社製4HBA試薬(純度96%以上)10g及び参考例1で得られたジスタノキサン化合物(BCH)1mgをシュレンク管に仕込み、撹拌下、120℃の一定温度で6時間加熱して経時的変化をGCで追跡した。この条件では直線的に4HBA濃度が減少し、最終的に4HBA濃度は81%まで減少した。
【0063】
実施例2
撹拌機と冷却管を備えたフラスコ中に、参考例3で得られたジスタノキサン化合物(OAA)15.0g(18.2mmol)、アクリル酸メチル90ml、1,4BG60ml及びフェノチアジン0.2gを仕込み、温度80〜82℃で生成メタノールを留去せずに3時間反応を行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。
【0064】
次いで、上記の反応生成液を90℃で常圧から3mmHgまで減圧にして蒸留処理し、未反応アクリル酸メチルを留去した。その後、反応濃縮液97.3gに100gの脱塩水および400gのn−ヘプタンを加えて室温で抽出処理を行ない、静置後に2相を分液した。得られた水相に再びヘプタンを2倍量加えて抽出処理操作を合計4回繰り返した。抽出で得られたヘプタン相を濃縮し、最終的に33.3gの触媒/BDA液を得た。
【0065】
次いで、上記の触媒含有BDA液を使用して繰り返し反応を行なった。すなわち、触媒含有BDA液中のBDA量(BDA1モルが1モルの1,4BG+2モルのアクリル酸メチルに相当)を考慮し、初回反応と同じ基質量になる様にアクリル酸メチル及び1,4BGを上記触媒含有BDA液に補給し、初回反応と同じ反応条件で反応を行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。
【0066】
次いで、反応生成液から未反応アクリル酸メチルを留去し、初回操作と同様に水/ヘプタン液にて抽出操作を行ない、触媒/BDA濃縮液を得た。上記の様に、スタノキサン触媒および重合防止剤のフェノチアジンは新たに補給せず、原料基質のみを補給して反応および抽出操作を合計7回繰り返した。これらの繰り返し反応生成液中の1,4BG、4HBA及びBDAのモル比を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
実施例3
撹拌機と冷却管を備えたフラスコ中に、参考例6で得られたジスタノキサン化合物(OAM)10.0g(12.6mmol)、アクリル酸メチル60ml、1,4BG40ml及びフェノチアジン135mgを仕込み、温度80〜82℃で生成メタノールを留去せずに3時間反応を行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。
【0069】
次いで、上記の反応生成液を90℃で常圧から3mmHgまで減圧して蒸留し、未反応アクリル酸メチルを留去した。その後、反応濃縮液68.19gに70gの脱塩水および280gのn−ヘプタンを加えて室温で抽出処理を行ない、静置後に2相を分液した。得られた水相に再びヘプタンを2倍量加えて抽出処理操作を合計4回繰り返した。抽出で得られたヘプタン相を濃縮し、最終的に24.71gの触媒/BDA液を得た。
【0070】
次いで、上記の触媒含有BDA液22.24gを使用して繰り返し反応を行なった。すなわち、触媒含有BDA液中のBDA量を考慮し、初回反応と同じ基質量になる様にアクリル酸メチル41ml及び1,4BG31mlを上記触媒含有BDA液に補給し、初回反応と同じ反応条件で反応を行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。これらの繰り返し反応生成液中の1,4BG、4HBA及びBDAのモル比を表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】
参考例8
撹拌機と冷却管を備えたフラスコ中に、参考例1〜6で得られた各種ジスタノキサン化合物10.0mmol、アクリル酸メチル60ml(約670mmol)、1,4BG40ml(約445mmol)及びフェノチアジン135mgを仕込み、90℃油浴中で生成メタノールを留去しないで3時間反応させた。得られた反応生成液をGCで分析し、生成液中の4HBA、BDA及び未反応1,4BGの含有量を求めた。これら3化合物のモル比を表6に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
実施例4
1,4BG180g(2mol)、アクリル酸メチル(以下、AEMと略す)172g(2mol)、フェノチアジン0.8g、テトラオクチルジアセトキシジスタノキサン(OAA)10.56g(0.0128mol、Sn原子基準で0.0256mol)を500mlフラスコに入れ、少量の空気を吹き込みながら、オイルバスでフラスコを加熱し、反応温度83℃で、5時間還流を行った。還流後、GCによる反応生成液の組成分析の結果は、次の表7に示す通りであった。また、仕込み1,4BG当たりの4HBAの生成量は32%だった。
【0075】
【表7】
1,4BG :106g(1.17mol)
4HBA : 93g(0.64mol)
BDA : 19g(0.10mol)
AEM : 95g(1.1mol)
【0076】
比較例2
実施例4において、触媒としてビス(トリブチル錫)オキシド7.65g(0.0128mol、Sn原子基準で0.0256mol)を使用した以外は、実施例4と同様に反応を行った。5時間還流後、GCによる反応生成液の組成分析の結果は、次の表8に示す通りであった。また、仕込み1,4BG当たりの4HBAの生成量は5.5%であり、反応速度が実施例4の触媒に比べ非常に低いことがわかった。
【0077】
【表8】
1,4BG :164g(1.82mol)
4HBA : 16g(0.11mol)
AEM :162g(1.88mol)
【0078】
比較例3
1,4−BG 38.6g(0.43mol)、AEM60.2g(0.7mol)、フェノチアジン0.14g、触媒としてジオクチル錫オキシド9.1g(0.025mol)をフラスコに入れ、少量の空気を吹き込みながら、オイルバスで80〜82℃で3時間還流しつつ反応を行った。
【0079】
反応液を90℃で減圧蒸留し、未反応のAEMとメタノールを回収し、釜残液58.8gを得た。この液に水60mlを加えたところ、固体が析出し、ヘプタン240mlを添加しても、固体が残存して液液分離が不可能であった。この固体4.7gをろ過により単離した。この化合物を酢酸に溶解し、Sn119−NMRを測定したところ、触媒の分解物であると考えられた。単離した固体の重量から計算すると、使用した触媒量の約50%が固体として析出したことになる。この結果から、ジオクチル錫オキシドは水に対する安定性が低く、抽出操作による触媒の分離が出来ないことが分かる。
【0080】
実施例5
1,4BG5410g(60mol)、AEM4650g(54mol)、ジスタノキサン触媒溶液(35wt%OLL/ヘキサン)、フェノチアジン72g、を20Lステンレス製反応器に仕込み、1/4”マクマホンを充填した反応蒸留塔を取り付け、反応温度80〜90℃でヘキサンを反応器に連続的に吸液しながら反応蒸留を行い、生成するメタノールを系外に留去した。反応後の缶液は8810gであった。GCによる成分分析の結果は、次の表9に示す通りであった。
【0081】
【表9】
1,4BG:1780g(19.8mol)
4HBA :4017g(27.9mol)
BDA :1762g( 8.8mol)
ヘキサン :490g
【0082】
上記の反応液100gを採取し、水:χgを添加し、ヘキサン:yml(ここでx及びyは下記の表10を参照)を使用して抽出を繰り返し行った。その後、得られた水相からトルエン又はジクロロメタンを使用し4HBAを抽出し、溶媒を留去して粗4HBAを得、粗4HBA中のSnの含有量を算出した。条件χとyを変更ときのデータを次の表10に示す。この結果から、BDAと触媒は、抽出溶剤として水を使用しなくとも相当量抽出されるが、水の存在下で抽出を行う方が抽出効率が良いことが分かる。
【0083】
【表10】
【0084】
実施例6(1)
5Lフラスコに、1,4−BG1350g(15mol)、AEM1419g(16.5mol)、ジスタノキサン触媒(OAA)90g、フェノチアジン2g、n−ヘキサン1080gを入れ、3mmφコイルパックを充填した蒸留塔で生成したメタノールを抜き出しながら、温度70〜100度、常圧下で反応蒸留を行った。15時間反応させたところ、反応液2306gの中には1,4BG550g、4HBA990g、BDA380gが含まれていた。
【0085】
上記の反応液200g(触媒7.8g、Snとして18.9mmolを含有)に、水200gを入れ、分液ロートを使用し、n−ヘプタン800mlで回分抽出を行った。n−ヘプタン相を抜き出し、残った水相のpHを測定したところ、4.1であった。更に、水相についてn−ヘプタンによる抽出操作を4回繰り返し、n−ヘプタン相にBDAと触媒を抽出した。抽出界面はクリアであり、水相は透明であった。
【0086】
ヘプタン抽出液を合体し、減圧下で溶媒のヘプタンを留去し、触媒とBDAを含む液に濃縮した。得られた濃縮液を原子吸光法により分析したところ、仕込んだSn触媒に由来するSnの98%以上が回収されていた。
【0087】
n−ヘプタンによる抽出後の水相340gについて、トルエン340mlによる4回の抽出処理を行い、回収したトルエン相について合計120mlの水による洗浄を行った後、ロータリーエバポレータで減圧蒸留してトルエンを留去した。得られた缶出液(4HBA)中のSnを原子吸光法によって分析したところ、23ppm存在しており、仕込んだSn触媒に由来するSnの99.89%が除去されていた。結果を表11に示す。
【0088】
実施例6(2)
実施例6(1)において、n−ヘプタンで反応液を抽出する際、反応液にアクリル酸1.3g(Snに対して1当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の操作を行った。結果を表11に示す。
【0089】
実施例6(3)
実施例6(1)において、n−ヘプタンで反応液を抽出する際、反応液にアクリル酸2.7g(Snに対して2当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の操作を行った。結果を表11に示す。
【0090】
実施例6(4)
実施例6(1)において、n−ヘプタンで反応液を抽出する際、反応液にアクリル酸6.8g(Snに対して5当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の操作を行った。結果を表11に示す。
【0091】
表11に示した結果より、酸を添加しなくても相当量の触媒を抽出することが出来るが、酸の添加により、触媒の抽出率が更に向上し、製品4HBA中のSn含有量も低減できることが分かる。
【0092】
【表11】
【0093】
表11中、アシルオキシ基の存在量は、酸添加前の反応生成液中でSnに配位しているアシルオキシ基の量と、添加したカルボン酸の量の合計により算出した。酸添加前の反応生成液中でSnに配位しているアシルオキシ基の量は、以下の様に求めた。
【0094】
反応生成液の酸価を測定すると、酢酸換算で200ppm以下であり、これはSn原子1モル当たり0.1モル以下の遊離酸に相当した。また、Sn119-NMRにより、1個のアシルオキシ基が配位したSn原子(−205〜−235ppmの間の合計を換算した)は、Sn原子全体の50%であり、2個のアシルオキシ基が配位したSn原子(−150〜−170)は観察されなかった。よって、酸添加前の反応生成液中でSnに配位したアシルオキシ基は、Sn原子あたり平均0.5であると見做すことが出来る。
【0095】
【発明の効果】
本発明のヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法によれば、反応触媒としてスタノキサン化合物を使用することにより、高活性・選択性で目的物を得ることが出来、しかも、抽出操作により、反応触媒をアルカンジオールジアクレートと共に高い抽出効率で回収・再使用することが出来、従って、プロセスが大幅に簡略化でき、高い経済性が得られる。
Claims (8)
- アクリル酸または一般式(I)或いは(II)で表されるアクリル酸誘導体と一般式(III)で表されるアルカンジオールとのエステル化及び/又はエステル交換反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法において、一般式(IV)で表されるスタノキサン化合物を反応触媒として使用し、そして、反応後、反応生成液から抽出操作により触媒を回収して反応系に循環することを特徴とするヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法。
- アルキルジアクリレートと共に反応触媒を回収する請求項1に記載の製造方法。
- 有機溶剤と水との2成分系抽出溶剤を使用し、ヒドロキシアルキルモノアクリレートを含有する水相と触媒を含有する有機溶剤相とに抽出分離する請求項1又は2に記載の製造方法。
- 2成分系抽出溶剤における有機溶剤が脂肪族炭化水素または脂環式炭化水素である請求項3に記載の製造方法。
- 遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を行う請求項1〜4の何れかに記載の方法。
- カルボン酸が酢酸またはアクリル酸である請求項5に記載の記載の方法。
- 抽出操作を行う際、反応生成液中にSn原子のモル数に対して1〜10モル倍量に相当するアシルオキシ基が含有された化合物を存在させる請求項5に記載の方法。
- アルカンジオール1モルに対するアクリル酸またはアクリル酸誘導体の使用割合がアクリル基換算として0.5〜5モルの範囲内となる条件下に反応を行う請求項1〜7の何れかに記載の方法。
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