JPH1143466A - ヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法 - Google Patents
ヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方法Info
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- JPH1143466A JPH1143466A JP10152175A JP15217598A JPH1143466A JP H1143466 A JPH1143466 A JP H1143466A JP 10152175 A JP10152175 A JP 10152175A JP 15217598 A JP15217598 A JP 15217598A JP H1143466 A JPH1143466 A JP H1143466A
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Abstract
には基質および生成物の安定性に優れ、しかも、反応触
媒を効率良く回収して再使用し得る様に改良されたヒド
ロキシアルキルモノアクリレートの工業的に有利な製造
方法を提供する。 【解決手段】アクリル酸またはアクリル酸誘導体とアル
カンジオールとのエステル化及び/又はエステル交換反
応によるヒドロキシアルキルモノアクリレートの製造方
法において、スタノキサン化合物を反応触媒として使用
し、そして、反応後、反応生成液から抽出操作により触
媒を回収して反応系に循環する。
Description
ルモノアクリレートの製造方法に関するものであり、詳
しくは、反応触媒を効率良く回収して再使用し得る様に
改良されたヒドロキシアルキルモノアクリレートの工業
的に有利な製造方法に関するものである。
一般式CH2=CHCOO(CH2)nOH(nは1〜10
の整数を表わす)で表され、分子内に疎水性のアルキル
単位と親水性のヒドロキシル基を共有するため、柔軟性
や親水性を適当に備えた実用上興味深い物性を有する重
合体または共重合体の原料として有用である。また、ヒ
ドロキシアルキルモノアクリレートは、そのヒドロキシ
基が反応性に富むため、架橋性重合体または共重合体と
して、塗料関係の用途に期待されている。
ジオールからヒドロキシアルキルモノアクリレートを製
造する方法は公知である。例えば、ドイツ特許第15,
118,572号公報に記載されている様に、反応触媒
として、硫酸や塩酸の様な強プロトン酸を使用しアルカ
ンジオールの末端をアクリル基に変える方法が知られて
いる。
化/エステル交換反応触媒として従来から広範囲に使用
されており、上記の反応に対しても高い活性と目的物選
択性を示す。更に、特開昭52−153913号公報に
は、エステル交換反応によりジメチルアミノエチルメタ
クリレートを製造する際に反応触媒としてスタノキサン
化合物を使用する方法が提案され、特公平5−7635
0号公報には、高活性なエステル化触媒としてハロゲン
置換基を有するジスタノキサン触媒系が提案されてい
る。その他、特公昭46−39848号公報には、エス
テル交換触媒としてジブチル−n−錫オキシドが提案さ
れており、特開平7−97387号公報には、ジスタノ
キサン触媒とサッカロース−6−エステルを含む混合液
から抽出操作により上記の触媒を回収する方法が開示さ
れている。
イツ特許第15118572号に記載された方法は、強
酸触媒を使用するため、反応装置の腐食が懸念されると
共に、原料のアルカンジオールの環化反応や生成物の高
沸化を伴うために目的物であるヒドロキシアルキルモノ
アクリレートの選択性が低下する等の欠点を有する。更
に、上記の方法は、反応生成液から反応触媒を分離する
ために繁雑な水洗中和工程が不可欠となっている。
る方法は、触媒活性と目的物選択性は高いものの、当該
触媒が加水分解性に鋭敏であるため、微量の水分の存在
下でも触媒活性が急激に失効することから、完全な水分
除去が要求される。また、ジブチル−n−錫オキシド触
媒は、反応基質に対する溶解性が低いため、活性発現ま
でに長時間を要するという欠点がある。
公報および特公平5−76350号公報に記載されたス
タノキサン触媒を使用する方法は、触媒活性などの点で
は優れているものの、これらの公報には、工業的な実施
においては重要事項である触媒の回収および再使用の点
が十分に開示されていない。
報には、スタノキサン触媒の回収および再使用について
の開示は全くなく、特公平5−76350号公報には、
エステル化触媒は、蒸留残渣などから回収され、そのま
ま再使用することが可能であると記載されているだけで
ある(第5欄36〜38行)。
ても、サッカロース−6−エステルの様に比較的に安定
なエステル製造する際の触媒分離法が開示されているに
過ぎない。
キシアルキルモノアクリレートの製造に関する本発明者
の知見によれば、実際的には、触媒の回収のための高温
での蒸留分離操作は困難である。すなわち、原料物質ま
たは生成物がアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体の
場合、スタノキサン触媒の存在下での加熱においては少
なからず熱的重合や化学的変質といった問題が惹起され
る。斯かる問題は、スタノキサン触媒の存在下における
上記の化合物の熱的に極めて不安定な性質および高い反
応性に基づいていると考えられる。
レートとアルカンジオールとのエステル化及び/又はエ
ステル交換反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレ
ートの製造の様に、反応生成液中に未反応物または副生
物として不飽和結合含有量の高いアルキルジアクリレー
トが常に存在する場合、上記の問題は顕著である。
あり、その目的は、反応活性および目的物選択性、触媒
安定性、更には基質および生成物の安定性に優れ、しか
も、反応触媒を効率良く回収して再使用し得る様に改良
されたヒドロキシアルキルモノアクリレートの工業的に
有利な製造方法を提供することにある。
重ねた結果、反応触媒としてスタノキサン触媒を使用
し、しかも、抽出分離によって触媒の回収を行うなら
ば、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得た。
ものであり、その要旨は、アクリル酸または一般式
(I)或いは(II)で表されるアクリル酸誘導体と一般
式(III)で表されるアルカンジオールとのエステル化
及び/又はエステル交換反応によるヒドロキシアルキル
モノアクリレートの製造方法において、一般式(IV)で
表されるスタノキサン化合物を反応触媒として使用し、
そして、反応後、反応生成液から抽出操作により触媒を
回収して反応系に循環することを特徴とするヒドロキシ
アルキルモノアクリレートの製造方法に存する。
(II)及び(III)中のnは1〜10の整数を表わし、
一般式(IV)中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基
または置換基を有していてもよいフェニル基を表わし、
これらは互いに異なっていてもよく、X及びYは、互い
に異なっていてもよい、−OH、−O(CH2)nOH、
−O(CH2)nOCOCH=CH2、−OR、−OCO
R、−OCOCH=CH2(nは1〜10の整数を表わ
し、Rはアルキルを表わす)及びハロゲン原子から成る
郡から選ばれる基を表す。
本発明におけるエステル化及び/又はエステル交換反応
の1つの原料物質は、アクリル酸または一般式(I)或
いは(II)で表されるアクリル酸誘導体である。
は、通常、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭
素数1〜8アルキル基である。一般式(I)で表される
アクリル酸誘導体の具体例としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル等が挙げられる。
表わし、好ましくは2〜6である。一般式(II)で表さ
れるアクリル酸誘導体(アルキルジアクリレート)の具
体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ブ
タンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアク
リレート、デカンジオールジアクリレート等が挙げられ
る。これらのアルキルジアクリレート化合物は、反応原
料であると同時に、例えば、アクリル酸と後述のアルカ
ンジオールとの反応によるヒドロキシアルキルモノアク
リレート製造時の副生物であり、従って、本発明におけ
るエステル化及び/又はエステル交換反応の反応系に常
に存在する。
(III)で表されるアルカンジオールであり、一般式(I
II)中のnは、1〜10の整数を表わし、好ましくは2
〜6である。一般式(III)で表されるアルカンジオー
ルの具体例としては、エチレングリコール、ブタンジオ
ール、ヘキサンジオール、デカンジオール等が挙げられ
る。
で表されるスタノキサン化合物である。一般式(IV)
中、R1、R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、通
常、炭素数1〜20のアルキル基であり、その具体例と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基な
どが挙げられる。また、置換基を有していてもよいフェ
ニル基における置換基は、通常、アルキル基であり、そ
の具体例としては、上記と同様のアルキル基が挙げられ
る。R1〜R4におけるアルキル基または置換基を有して
いてもよいフェニル基は、互いに異なっていてもよい。
R1〜R4としては、特に、反応後工程の抽出分離での触
媒回収率および触媒溶解性の観点から、炭素数C4〜C
12のアルキル基およびフェニル基が好ましい。
H、−O(CH2)nOH、−O(CH2)nOCOCH=
CH2、−OR、−OCOR、−OCOCH=CH2(n
は1〜10の整数を表わし、Rはアルキルを表わす)及
びハロゲン原子から成る郡から選ばれる基を表す。上記
のnは2〜6が好ましく、Rは炭素数1〜8のアルキル
基が好ましい。また、上記のハロゲン原子としては、C
l、Br等が挙げられる。
ドバンシス イン オルガノメタリック ケミストリー
(Advance in Organometallic Chemistry)第5巻第1
59ページ(1967年)等に記載された方法により容
易に得ることが出来る。
で表されるアクリル酸誘導体(以下、両者をまとめてと
アクリル酸誘導体と略記する)と一般式(III)で表さ
れるアルカンジオールとの使用割合は、特に制限されな
い。一般に、アルカンジオールに対してアクリル酸誘導
体を過剰に使用する程、アルカンジオールの高い転化が
達成できるが、ヒドロキシアルキルモノアクリレートの
生成割合が減少してアルキルジアクリレートの生成比率
が増大する。従って、原料物質の使用割合は、反応後工
程の抽出分離コストの問題および製品として得られるヒ
ドロキシアルキルモノアクリレートの許容純度などを考
慮して適宜選択される。
に対するアクリル酸またはアクリル酸誘導体の使用割合
は、アクリル基換算として、通常0.5〜5モル、好ま
しくは0.5〜2モルの範囲とされる。斯かる使用割合
によれば、アルカンジオールを適度に転化せしめて反応
生成物中のヒドロキシアルキルモノアクリレートの割合
を最大限にすることが出来るため、生産性が向上し且つ
全体の抽出効率が高められる。
めて反応生成物中のヒドロキシアルキルモノアクリレー
トの割合を最大限にする場合、アルカンジオール1モル
に対するアクリル酸誘導体の使用割合は、アクリル基換
算として、通常2〜50モル、好ましくは5〜30モル
である。
めて反応生成物中の成分を実質的にヒドロキシアルキル
モノアクリレートとアルカンジオールの2成分にする場
合、アクリル酸誘導体1モルに対するアルカンジオール
の使用割合は、通常2〜20モル、好ましくは2〜10
モルである。
の使用割合は、原料アクリル酸、アクリル酸アルキル、
ヒドロキシアルキルアクリレートの単独または混合物に
対し、通常0.01〜50モル%、好ましくは0.1〜
20モル%である。
ないが、必要であれば、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の
脂肪族炭化水素、テトラクロルエチレン、クロルベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の含
酸素有機化合物を使用してもよい。
よび目的生成物であるヒドロキシアキルモノアクリレー
トの重合を防止するため、反応系に重合防止剤を添加す
るのが好ましい。重合防止剤としては、フェノチアジ
ン、ハイドロキノン類、ジアルキルカルバミン酸の銅塩
などの銅化合物が挙げられる。更に、反応系内に分子状
酸素を存在させることにより、重合防止効果を高めるこ
とが出来る場合が多い。分子状酸素の反応系内への導入
は、通常、空気を直接に、または、窒素などの不活性ガ
スで希釈した後に反応系内に連続的に導入することによ
り行われる。
ステル化活性及び/又はエステル交換活性で反応を進行
させることが出来る。従って、反応温度は、通常60〜
150℃、好ましくは80〜130℃である。反応温度
が60℃未満の場合は、十分な反応活性が得られず、逆
に、150℃を超える場合は、重合などの副反応が起こ
り易くなる。反応時間は、通常2〜15時間であり、斯
かる反応時間により、反応は平衡に達する。平衡反応に
達した後、アクリル酸やアクリル酸アルキル等の未反応
原料および溶媒などの軽沸成分を減圧蒸留などにより留
去した後、次の抽出分離工程に導くことが出来る。
副生物である水または低級アルコールの存在によって転
化率が抑制される。よって、蒸留により水または低級ア
ルコールを系外に留去しつつ反応を行う反応蒸留形式の
採用は、更に転化率を向上することが出来るという点で
好ましい。
で蒸留により除去される。また、他の不活性溶剤(共沸
溶媒)を添加して共沸により除去することも出来る。ア
クリル酸と水、または、低級アクリル酸エステルと低級
アルコールとの沸点差が近いため、共沸溶媒を添加して
共沸により除去する方が有利になる場合が多い。共沸溶
媒が抽出溶媒と同一物質の場合、必要に応じ、除去され
た水またはアルコールと共沸溶媒の混合液から共沸溶媒
を分離した後、そのまま抽出工程に導いても何ら影響な
い。蒸留温度は、生成物の熱安定性を考慮し、130度
以下とするのが好ましい。
及び溶媒などの軽沸成分を蒸留などにより留去した後、
抽出分離により、アルキルジアクリレートとヒドロキシ
アルキルモノアクリレート/未反応アルカンジオールと
を分離する。この際、適当な抽出溶剤の使用により、触
媒成分がアルキルジアクリレートと共に選択的に有機溶
媒相側に抽出される。
ン、n−ヘプタン、n−デカン、i−オクタン、i−デカ
ン等の脂肪族炭化水素類、または、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が使
用される。更に、これらの有機溶剤と水との2成分系抽
出溶剤を使用することにより、高い抽出効率を得ること
が出来る。特に、n−ヘプタンと水との2成分系または
トルエンと水との2成分系抽出溶剤は、高い分配係数と
比選択度を示すために好ましい。
ートと触媒成分とが有機相に分配され、目的物であるヒ
ドロキシアルキルモノアクリレートから分離される。本
発明においては、アルキルジアクリレートと触媒成分と
を含む有機相は次の様に再使用することが出来る。
(1)後処理することなく、そのままの状態で直接にエ
ステル化/エステル交換反応系に循環する。(2)低温
減圧蒸留などで有機溶剤が除去された後の残渣をそのま
まエステル化/エステル交換反応系に循環する。その結
果、プロセスを大幅に簡略化出来る利点がある。
機溶媒による反応生成液の抽出処理により、アルキルジ
アクリレートと共に有機溶媒相側に選択的に移送される
が、その理由は、触媒成分であるスタノキサン化合物の
高い耐加水分解性と親油性に基づく。従って、本発明に
よれば、反応触媒としてスタノキサン化合物を使用する
ことにより、従来法に比して簡便な方法によりヒドロキ
シアルキルアクリレートを製造することが出来、しか
も、触媒成分を殆どロスすることなく再使用できる。
しても活性の低下が殆どないが、長期間の使用により、
触媒の形態が少しづつ変化することがSn119−NMR
から確認された。しかしながら、本発明者らの研究の結
果、遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を行うなら
ば、触媒の安定性が高められ、その結果、触媒の形態変
化が防止され、触媒の有機相への抽出効率が更に高める
られることが判明した。
ン酸が好ましく、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリ
カルボン酸の何れでもよいが、通常はモノカルボン酸が
好適に使用される。モノカルボン酸としては、アクリル
酸または酢酸が好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
特に、触媒としてアシルオキシジスタノキサン誘導体を
使用する場合は、その配位子であるカルボン酸を使用す
るのが好ましい。遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作
を行う方法としては、抽出操作の際に新たにカルボン酸
を添加してもよいし、反応原料としてアクリル酸を使用
し、抽出操作の際に遊離のアクリル酸が存在する様にし
てもよい。
う際、反応生成液中にSn原子のモル数に対して1〜1
0モル倍量(好ましくは2〜6モル倍量)に相当するア
シルオキシ基が含有された化合物を存在させることが好
ましい。アシルオキシ基含有化合物の使用量が上記の範
囲を超える場合は、当該化合物の以下の定義から理解さ
れる様に、酸が系内に蓄積し、分離操作が煩雑になるた
め好ましくない。
離のカルボン酸またはアシルオキシ基が配位しているS
n化合物の両方を指し、アシルオキシ基としては、アク
リル基やアセトキシ基等が挙げられる。抽出操作を行う
際のアシルオキシ基の存在量は、添加したカルボン酸中
のアシルオキシ基の量と、反応生成液中でSnに配位し
ているアシルオキシ基をSn119−NMRにより測定し
た量の合計量として算出することが出来る。また、抽出
操作後に得られた水相をアルカリで常法に従って滴定す
ることにより求めることも出来る。
分系溶剤を使用した場合、抽出操作を行った後に分離さ
れた水相のpHが2〜4となる様に、カルボン酸の量を
調整するのが好ましい。抽出操作の際に存在する遊離の
カルボン酸は、Snに配位しているアシルオキシ基と平
衡関係にあると考えられ、遊離のカルボン酸の存在によ
り、Sn触媒が安定で有機溶媒に抽出され易い形態に維
持される。
盤型、脈動抽出型、充填塔型などの連続抽出装置を使用
するのが好ましい。抽出装置の理論段数は、通常1〜1
00段、好ましくは3〜50段とされる。
ルキルモノアクリレートを含有して水相中に残存する過
剰のカルボン酸は、アルカリ処理などの常法により容易
に除去することが可能である。また、触媒分離後の残液
であるヒドロキシアルキルモノアクリレート相は、高純
度のヒドロキシアルキルモノアクリレートの回収のた
め、必要に応じ、更に、蒸留・抽出などの精製操作に付
すことが出来る。
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
キサイド14.94g(60mmol)とジブチル錫ジクロ
ライド6.08g(20mmol)を80℃で6時間還流さ
せて反応させ、その後、エタノール/水を留去して触媒
残査を得た。これにn−ヘキサン75mlを添加して均
一溶液にし、冷却下で結晶化させ、得られた白色固体を
0.8μmミリポアフィルターでろ過して取得し、更
に、冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で6時間減圧
乾燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(B
CH)を得た。なお、表2中の同定データ(NMRスペ
クトル)の測定条件は、次の表1に示す通りである。
(CH3)4 Frequency:111.862 MHz Acquision time:0.64 sec. Relaxation time:0.20 sec.
錫オキサイド21.67g(60mmol)を使用した以外
は、参考例1と同様の操作でジスタノキサン化合物を得
た。更に、これにエタノールを作用させ、表2に記載の
ジスタノキサン化合物(OCE)を得た。
12g(100mmol)と酢酸6.00g(100mmol)
を還流脱水条件下で2時間反応させた。その後、トルエ
ンを留去して粘稠残査を得た。これにヘキサン65ml
を添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶化
させ、得られた白色固体を0.8μmミリポアフィルタ
ーで冷却下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回
洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、後記の表2に
記載のジスタノキサン化合物(OAA)を得た。
6g(50mmol)とアクリル酸3.61g(50mmol)
及びフェノチアジン7mgを還流脱水条件下で4時間反
応させ、その後、トルエンを留去して薄黄色粘稠液体を
得た。これにn−ヘキサン60mlを添加して均一溶液
にし、ドライアイス冷却下で白色固体を析出させた。冷
却下にヘキサンを注射器で取り出して分離し、白色固体
を冷ヘキサンで数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾
燥し、後記の表2に記載のジスタノキサン化合物(OL
L)を得た。
09g(75mmol)、ジメチルカーボネ−ト6.653
g(37.5mmol)及びエタノール0.5mlを還流条
件下で4時間反応させた後、トルエンを留去して白色粘
稠残査を得た。これにヘキサン60mlを添加して均一
溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶を析出させた。得
られた白色固体を0.8μmミリポアフィルターで冷却
下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで数回洗浄した
後、60℃で8時間減圧乾燥し、後記の表2に記載のジ
スタノキサン化合物(OMM)を得た。
ン(OAA)5.37g(6.5mmol)と参考例5で得
られたジスタノキサン(OMM)5.00g(6.5mm
ol)を還流条件下で2時間反応させた後、ヘキサンを留
去して白色粘稠残査を得た。これにヘキサン60mlを
添加して均一溶液にし、ドライアイス冷却下で結晶を析
出させた。得られた白色固体を0.8μmミリポアフィ
ルターで冷却下にろ過して取得し、更に、冷ヘキサンで
数回洗浄した後、60℃で8時間減圧乾燥し、次の表2
に記載のジスタノキサン化合物(OAM)を得た。
参考例1で得られたジスタノキサン化合物(BCH)
2.34g(4.38mmol)、アクリル酸メチル23
8.8g(2.774mol)、1,4−ブタンジオール
(以下、1,4BGと略す)135.3g(1.501
mol)及びフェノチアジン0.6gを仕込み、温度86
〜120℃で生成メタノールを留去しながら6時間反応
を行なった。
ィー(GC)で分析した結果、1,4BG転化率は8
3.2mol%、アクリル酸メチル転化は65.9mol%、
1,4BG基準の4−ヒドロキシブチルアクリレート
(以下、4HBAと略す)選択率は59.0mol%、1,
4−ブタンジオールジアクリレート(以下、BDAと略
す)選択率は41.0mol%であり、他の副生物は検出さ
れなかった。なお、GC分析は、次の表3に示す条件で
行った。
圧から3mmHgまで減圧にして蒸留処理し、未反応のア
クリル酸メチルを留去した。その後、反応濃縮液24
1.2gに240gの脱塩水および960gのn−ヘプ
タンを加えて室温で抽出処理を行ない、静置後に2相を
分離した。そして、得られた水相に再びヘプタンを2倍
量加えて抽出処理操作を合計4回繰り返した。抽出で得
られたヘプタン相を濃縮し、最終的に108.0gの触
媒/BDA液を得た。
て繰り返し反応を行なった。すなわち、撹拌機と反応蒸
留管を備えたセパラブルフラスコ中に、触媒含有BDA
液108.0g(BDA:0.53mol含有)にアクリ
ル酸メチル147.4g(1.71mol)、1,4BG
87.4g(0.91mol)を加えて仕込み、初回反応
と同様に温度86〜120℃で生成メタノールを留去し
ながら5時間反応を行なった。
果、1,4BG転化率は82.0mol%、アクリル酸メチ
ル転化率は64.3mol%、1,4BG基準の4HBA選
択率は57.8mol%、BDA選択率は42.2mol%であ
り、反応時間を短縮したにも拘わらず、初回反応と同等
の反応成績が得られた。なお、初回の反応生成液の抽出
操作で水相側にリークしたSn量をICP分析で測定し
た結果、含有4HBAに対して30ppm以下であり、最
初の反応に使用したスタノキサン化合物の99.5%以
上はヘプタン相に抽出されて反応系に再供給されたこと
になる。
1,4BGのエステル交換反応を行なった後、未反応ア
クリル酸メチルを除去して反応濃縮液を得た。この反応
濃縮液118.2gr(1,4BG:9.59g、4H
BA:52.27g、BDA:54.88g含有)から
蒸留操作で触媒とBDAを回収するため、油浴(135
℃)中で13mmHg条件下に減圧蒸留を行なった。
で留出が開始するが、蒸留1時間経過後に留出が止ま
り、釜残液がゼラチン状のポリマーに変化した。留出液
(62.46g)のGC分析によれば、1,4BG:
8.79g、4HBA:29.13g及びBDA:2
4.54gが蒸留で留出していた。しかしながら、反応
に使用した4HBA+BDA成分の49.9wt%がポ
リマーに変化した。また、このポリマー中から触媒成分
を回収することは極めて困難であった。
10g及び参考例1で得られたジスタノキサン化合物
(BCH)1mgをシュレンク管に仕込み、撹拌下、1
20℃の一定温度で6時間加熱して経時的変化をGCで
追跡した。この条件では直線的に4HBA濃度が減少
し、最終的に4HBA濃度は81%まで減少した。
れたジスタノキサン化合物(OAA)15.0g(1
8.2mmol)、アクリル酸メチル90ml、1,4BG
60ml及びフェノチアジン0.2gを仕込み、温度8
0〜82℃で生成メタノールを留去せずに3時間反応を
行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。
から3mmHgまで減圧にして蒸留処理し、未反応アクリ
ル酸メチルを留去した。その後、反応濃縮液97.3g
に100gの脱塩水および400gのn−ヘプタンを加
えて室温で抽出処理を行ない、静置後に2相を分液し
た。得られた水相に再びヘプタンを2倍量加えて抽出処
理操作を合計4回繰り返した。抽出で得られたヘプタン
相を濃縮し、最終的に33.3gの触媒/BDA液を得
た。
て繰り返し反応を行なった。すなわち、触媒含有BDA
液中のBDA量(BDA1モルが1モルの1,4BG+
2モルのアクリル酸メチルに相当)を考慮し、初回反応
と同じ基質量になる様にアクリル酸メチル及び1,4B
Gを上記触媒含有BDA液に補給し、初回反応と同じ反
応条件で反応を行なった。得られた反応生成液をGCで
分析した。
メチルを留去し、初回操作と同様に水/ヘプタン液にて
抽出操作を行ない、触媒/BDA濃縮液を得た。上記の
様に、スタノキサン触媒および重合防止剤のフェノチア
ジンは新たに補給せず、原料基質のみを補給して反応お
よび抽出操作を合計7回繰り返した。これらの繰り返し
反応生成液中の1,4BG、4HBA及びBDAのモル
比を表4に示す。
れたジスタノキサン化合物(OAM)10.0g(1
2.6mmol)、アクリル酸メチル60ml、1,4BG
40ml及びフェノチアジン135mgを仕込み、温度
80〜82℃で生成メタノールを留去せずに3時間反応
を行なった。得られた反応生成液をGCで分析した。
から3mmHgまで減圧して蒸留し、未反応アクリル酸メ
チルを留去した。その後、反応濃縮液68.19gに7
0gの脱塩水および280gのn−ヘプタンを加えて室
温で抽出処理を行ない、静置後に2相を分液した。得ら
れた水相に再びヘプタンを2倍量加えて抽出処理操作を
合計4回繰り返した。抽出で得られたヘプタン相を濃縮
し、最終的に24.71gの触媒/BDA液を得た。
4gを使用して繰り返し反応を行なった。すなわち、触
媒含有BDA液中のBDA量を考慮し、初回反応と同じ
基質量になる様にアクリル酸メチル41ml及び1,4
BG31mlを上記触媒含有BDA液に補給し、初回反
応と同じ反応条件で反応を行なった。得られた反応生成
液をGCで分析した。これらの繰り返し反応生成液中の
1,4BG、4HBA及びBDAのモル比を表5に示
す。
得られた各種ジスタノキサン化合物10.0mmol、アク
リル酸メチル60ml(約670mmol)、1,4BG4
0ml(約445mmol)及びフェノチアジン135mg
を仕込み、90℃油浴中で生成メタノールを留去しない
で3時間反応させた。得られた反応生成液をGCで分析
し、生成液中の4HBA、BDA及び未反応1,4BG
の含有量を求めた。これら3化合物のモル比を表6に示
す。
(以下、AEMと略す)172g(2mol)、フェノ
チアジン0.8g、テトラオクチルジアセトキシジスタ
ノキサン(OAA)10.56g(0.0128mo
l、Sn原子基準で0.0256mol)を500ml
フラスコに入れ、少量の空気を吹き込みながら、オイル
バスでフラスコを加熱し、反応温度83℃で、5時間還
流を行った。還流後、GCによる反応生成液の組成分析
の結果は、次の表7に示す通りであった。また、仕込み
1,4BG当たりの4HBAの生成量は32%だった。
キシド7.65g(0.0128mol、Sn原子基準
で0.0256mol)を使用した以外は、実施例4と
同様に反応を行った。5時間還流後、GCによる反応生
成液の組成分析の結果は、次の表8に示す通りであっ
た。また、仕込み1,4BG当たりの4HBAの生成量
は5.5%であり、反応速度が実施例4の触媒に比べ非
常に低いことがわかった。
60.2g(0.7mol)、フェノチアジン0.14
g、触媒としてジオクチル錫オキシド9.1g(0.0
25mol)をフラスコに入れ、少量の空気を吹き込み
ながら、オイルバスで80〜82℃で3時間還流しつつ
反応を行った。
EMとメタノールを回収し、釜残液58.8gを得た。
この液に水60mlを加えたところ、固体が析出し、ヘ
プタン240mlを添加しても、固体が残存して液液分
離が不可能であった。この固体4.7gをろ過により単
離した。この化合物を酢酸に溶解し、Sn119−NMR
を測定したところ、触媒の分解物であると考えられた。
単離した固体の重量から計算すると、使用した触媒量の
約50%が固体として析出したことになる。この結果か
ら、ジオクチル錫オキシドは水に対する安定性が低く、
抽出操作による触媒の分離が出来ないことが分かる。
g(54mol)、ジスタノキサン触媒溶液(35wt
%OLL/ヘキサン)、フェノチアジン72g、を20
Lステンレス製反応器に仕込み、1/4”マクマホンを充
填した反応蒸留塔を取り付け、反応温度80〜90℃で
ヘキサンを反応器に連続的に吸液しながら反応蒸留を行
い、生成するメタノールを系外に留去した。反応後の缶
液は8810gであった。GCによる成分分析の結果
は、次の表9に示す通りであった。
を添加し、ヘキサン:yml(ここでx及びyは下記の
表10を参照)を使用して抽出を繰り返し行った。その
後、得られた水相からトルエン又はジクロロメタンを使
用し4HBAを抽出し、溶媒を留去して粗4HBAを
得、粗4HBA中のSnの含有量を算出した。条件χと
yを変更ときのデータを次の表10に示す。この結果か
ら、BDAと触媒は、抽出溶剤として水を使用しなくと
も相当量抽出されるが、水の存在下で抽出を行う方が抽
出効率が良いことが分かる。
l)、AEM1419g(16.5mol)、ジスタノ
キサン触媒(OAA)90g、フェノチアジン2g、n
−ヘキサン1080gを入れ、3mmφコイルパックを
充填した蒸留塔で生成したメタノールを抜き出しなが
ら、温度70〜100度、常圧下で反応蒸留を行った。
15時間反応させたところ、反応液2306gの中には
1,4BG550g、4HBA990g、BDA380
gが含まれていた。
nとして18.9mmolを含有)に、水200gを入れ、
分液ロートを使用し、n−ヘプタン800mlで回分抽
出を行った。n−ヘプタン相を抜き出し、残った水相の
pHを測定したところ、4.1であった。更に、水相に
ついてn−ヘプタンによる抽出操作を4回繰り返し、n
−ヘプタン相にBDAと触媒を抽出した。抽出界面はク
リアであり、水相は透明であった。
ヘプタンを留去し、触媒とBDAを含む液に濃縮した。
得られた濃縮液を原子吸光法により分析したところ、仕
込んだSn触媒に由来するSnの98%以上が回収され
ていた。
について、トルエン340mlによる4回の抽出処理を
行い、回収したトルエン相について合計120mlの水
による洗浄を行った後、ロータリーエバポレータで減圧
蒸留してトルエンを留去した。得られた缶出液(4HB
A)中のSnを原子吸光法によって分析したところ、2
3ppm存在しており、仕込んだSn触媒に由来するS
nの99.89%が除去されていた。結果を表11に示
す。
する際、反応液にアクリル酸1.3g(Snに対して1
当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の
操作を行った。結果を表11に示す。
する際、反応液にアクリル酸2.7g(Snに対して2
当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の
操作を行った。結果を表11に示す。
する際、反応液にアクリル酸6.8g(Snに対して5
当量)を添加したこと以外は、実施例6(1)と同様の
操作を行った。結果を表11に示す。
ても相当量の触媒を抽出することが出来るが、酸の添加
により、触媒の抽出率が更に向上し、製品4HBA中の
Sn含有量も低減できることが分かる。
添加前の反応生成液中でSnに配位しているアシルオキ
シ基の量と、添加したカルボン酸の量の合計により算出
した。酸添加前の反応生成液中でSnに配位しているア
シルオキシ基の量は、以下の様に求めた。
で200ppm以下であり、これはSn原子1モル当た
り0.1モル以下の遊離酸に相当した。また、Sn119-
NMRにより、1個のアシルオキシ基が配位したSn原
子(−205〜−235ppmの間の合計を換算した)
は、Sn原子全体の50%であり、2個のアシルオキシ
基が配位したSn原子(−150〜−170)は観察さ
れなかった。よって、酸添加前の反応生成液中でSnに
配位したアシルオキシ基は、Sn原子あたり平均0.5
であると見做すことが出来る。
トの製造方法によれば、反応触媒としてスタノキサン化
合物を使用することにより、高活性・選択性で目的物を
得ることが出来、しかも、抽出操作により、反応触媒を
アルカンジオールジアクレートと共に高い抽出効率で回
収・再使用することが出来、従って、プロセスが大幅に
簡略化でき、高い経済性が得られる。
Claims (8)
- 【請求項1】 アクリル酸または一般式(I)或いは
(II)で表されるアクリル酸誘導体と一般式(III)で
表されるアルカンジオールとのエステル化及び/又はエ
ステル交換反応によるヒドロキシアルキルモノアクリレ
ートの製造方法において、一般式(IV)で表されるスタ
ノキサン化合物を反応触媒として使用し、そして、反応
後、反応生成液から抽出操作により触媒を回収して反応
系に循環することを特徴とするヒドロキシアルキルモノ
アクリレートの製造方法。 【化1】 (一般式(I)中のRはアルキル基、一般式(II)及び
(III)中のnは1〜10の整数を表わし、一般式(I
V)中、R1、R2、R3及びR4は、アルキル基または置
換基を有していてもよいフェニル基を表わし、これらは
互いに異なっていてもよく、X及びYは、互いに異なっ
ていてもよい、−OH、−O(CH2)nOH、−O(C
H2)nOCOCH=CH2、−OR、−OCOR、−OC
OCH=CH2(nは1〜10の整数を表わし、Rはアル
キルを表わす)及びハロゲン原子から成る郡から選ばれ
る基を表す。) - 【請求項2】 アルキルジアクリレートと共に反応触媒
を回収する請求項1に記載の製造方法。 - 【請求項3】 有機溶剤と水との2成分系抽出溶剤を使
用し、ヒドロキシアルキルモノアクリレートを含有する
水相と触媒を含有する有機溶剤相とに抽出分離する請求
項1又は2に記載の製造方法。 - 【請求項4】 2成分系抽出溶剤における有機溶剤が脂
肪族炭化水素または脂環式炭化水素である請求項3に記
載の製造方法。 - 【請求項5】 遊離のカルボン酸の存在下に抽出操作を
行う請求項1〜4の何れかに記載の方法。 - 【請求項6】 カルボン酸が酢酸またはアクリル酸であ
る請求項5に記載の記載の方法。 - 【請求項7】 抽出操作を行う際、反応生成液中にSn
原子のモル数に対して1〜10モル倍量に相当するアシ
ルオキシ基が含有された化合物を存在させる請求項5に
記載の方法。 - 【請求項8】 アルカンジオール1モルに対するアクリ
ル酸またはアクリル酸誘導体の使用割合がアクリル基換
算として0.5〜5モルの範囲内となる条件下に反応を
行う請求項1〜7の何れかに記載の方法。
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1998
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