JP2011126836A - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)とアルコキシアルカノール(B)とをエステル交換反応させて目的の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル(C)を製造する際に、エステル交換反応液から再利用可能な活性触媒を効率的に回収し、次のエステル交換反応時において触媒の少なくとも一部として再利用する製法を提供する。
【解決手段】本発明は、エステル交換された(メタ)アクリル酸エステル(C)を含む反応液を加熱し、この化合物を蒸留する蒸留工程と、蒸留工程から得られた有機錫化合物を含む触媒含有液と、有機錫化合物を抽出する有機溶剤とを接触させて有機錫化合物を有機溶剤相に分離させる抽出分離工程と、及び、有機溶剤相から有機錫化合物を回収する回収工程とを備え、回収工程により得られた有機錫化合物を、(A)と(B)におけるエステル交換反応用触媒の一部として再利用する(メタ)アクリル酸エステル(C)の製法である。
【選択図】 なし
Description
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」を(メタ)アクリレートと記載する場合もある。
しかし、これらの触媒は回収して再利用することが困難であり廃棄されていたが、高価であり環境を汚染する恐れのあるチタン化合物や有機錫化合物では、その回収が強く求められていた。
一方、有機錫化合物においては、シランカップリング剤を用いて錫化合物を担持する方法(特許文献4及び5)が提案されている。しかし、有機錫化合物のエステル交換活性は弱く、かかる方法によって作成された触媒は、単位質量あたりの有効錫濃度が低下し、且つ活性がより不十分であって実用的ではなかった。
また、一般的に、有機化合物はチタン化合物より安価であるため、かかる方法はコストアップにつながり採用し難く、安価かつ簡便であって効率よく回収できる方法が望まれていた。
アクリル酸アルコキシアルキルの製造形態には、バッチ式と連続式があるが、製造に使用された有機錫化合物は、製造目的物質であるアクリル酸アルコキシアルキルや、原料物質であるアルキルアクリレートとアルコキシアルカノールを、蒸留により留去した後、反応缶に在留した成分(高沸缶残)として、一部を再利用することがあるが、その大部分は廃棄物処分される。
全量再利用できない理由としては、有機錫化合物の触媒活性が使用により低下するためと、エステル交換中に原料及び製造目的物のアクリル酸エステルが副反応したり重合反応を起こしたりして、高沸缶残の粘度が増加して、取扱いできなくなるからである。
その結果、(メタ)アクリル酸エステル製造時、その中でも(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルの製造時、高沸缶残中に存在する有機錫化合物について、高沸缶残液と液相分離が可能な有機溶媒を見出し、該有機溶剤を使用して抽出することにより、有機錫化合物、製造目的物、原料等の有用成分を抽出回収し、抽出残渣として重合物、失活した有機錫化合物触媒を含有した高粘度液体を分離して、抽出回収した有機錫化合物触媒をエステル交換反応触媒の少なくとも一部として再使用することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造法を完成するに至った。
<1> (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)とアルコール(B)とを、有機錫化合物触媒の存在下、エステル交換反応させて(メタ)アクリル酸エステル(C)を製造する方法であって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)及びアルコール(B)を含む反応液を加熱し、エステル交換された(メタ)アクリル酸エステル(C)及び副生するアルコール(D)を蒸留する蒸留工程と、上記蒸留工程から得られた、有機錫化合物触媒を含む触媒含有液と、該有機錫化合物触媒を抽出できる有機溶剤とを接触させて、該有機錫化合物触媒を有機溶剤相に抽出する抽出分離工程と、上記有機溶剤相から有機錫化合物触媒を回収する回収工程とを備え、上記回収工程により得られた有機錫化合物触媒を、エステル交換反応用触媒の少なくとも一部として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)及びアルコール(B)の反応に再利用することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<2> 上記有機溶剤が直鎖状の無極性溶剤である<1>に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<3> 上記直鎖状の無極性溶剤が脂肪族炭化水素である<1>又は<2>に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<4> 上記無極性溶剤がn−ヘキサンである<3>に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<5> 上記有機錫化合物触媒が、ジブチル錫化合物である<1>乃至<4>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<6> 上記有機錫化合物触媒が、ジブチル錫ジラウレート又はジブチル錫オキサイドの少なくとも一種である<1>乃至<5>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<7> アルコール(B)がアルコキシアルカノールである<1>乃至<6>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<8> (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)がアクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル又はアクリル酸イソブチルのいずれかであり、アルコール(B)が、2−メトキシエタノール又は3−メトキシブタノールである<1>乃至<7>のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
<9> (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)がアクリル酸メチルであり、アルコール(B)が、2−メトキシエタノールである<8>に記載の(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル(C)の製造方法。
上記有機溶剤が直鎖状の無極性溶剤である場合には、抽出分離工程を、より円滑に進めることができる。
なお、反応系の有機錫化合物触媒は、一部が失活しているものの、大部分は触媒活性を有している。
上記反応式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基であり、R2は、炭素原子数1〜8の脂肪族炭化水素基、脂環構造を含み且つ炭素原子数3〜8の炭化水素基、又は、芳香環構造を含み且つ炭素原子数6〜8の炭化水素基であり、R3は、炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子に置換されてなる、炭素原子数2〜20のハロゲン化炭化水素基、下記一般式(2)で表される有機基、又は、下記一般式(3)で表される有機基である。
(式中、R31は、炭素原子数1〜12の脂肪族炭化水素基、脂環構造を含み且つ炭素原子数3〜18の炭化水素基、又は、芳香環構造を含み且つ炭素原子数6〜8の炭化水素基であり、R32は、炭素原子数2〜8の2価の脂肪族炭化水素基である。)
(式中、R34及びR35は、互いに同一又は異なって、炭素原子数1〜8の脂肪族炭化水素基、脂環構造を含み且つ炭素原子数3〜8の炭化水素基、又は、芳香環構造を含み且つ炭素原子数6〜8の炭化水素基であり、いずれか一方が水素原子であってよく、R36は、炭素原子数2〜4の2価の脂肪族炭化水素基である。)
これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル及び(メタ)アクリル酸イソブチルが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル及びアクリル酸イソブチルがさらに好ましく、アクリル酸メチルが特に好ましい。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、2−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール等が挙げられる。
有機錫化合物触媒は、いずれか1種類を用いても良いが、2種類以上の任意の混合物であっても良い。
触媒活性が大きい上に、沸点が高く蒸留時に製造目的に混入し難い点から、ジブチル錫化合物が好ましく、ジブチル錫ジラウレート又はジブチル錫オキサイドの少なくとも一種がより好ましい。
エステル交換反応に用いる反応器内の圧力は、減圧、常圧及び加圧のいずれでもよいが、好ましくは減圧下であり、通常、500〜760Torrである。
また、原料化合物(B)及び有機錫化合物触媒の配合比(モル比)は、好ましくは1:0.0001〜1:0.1、より好ましくは1:0.001〜1:0.05である。上記配合比がこの範囲にあると、エステル交換反応を円滑に進めることができる。上記有機錫化合物触媒の使用量が少なすぎると、反応速度が遅くなって、反応が長時間化し、更に反応缶器中で(A)が重合してしまい、生産性が低下する。
この重合抑制剤の使用量は、上記原料化合物(A)及び(B)の合計量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%、より好ましくは0.001〜3質量%である。
尚、原料化合物(A)が、原料化合物(B)に対して過剰に供給された場合、副生する化合物(D)は、反応系に残存する原料化合物(A)との共沸混合物として反応系外に排出し、回収することもできる。
かかる缶出物は、通常、高粘度であり分離し難いので、蒸留工程を途中で止めて、未反応の原料化合物(A)及び(B)並びに化合物(C)及び(D)を若干と含むものであってもよい。
さらに加えて、触媒含有液及び有機溶剤(S1)の接触により、活性有機錫化合物及び有機溶剤(S1)を含む有機溶剤相(「抽出相」ともいう)と、この有機溶剤に溶解しない物質からなる相(「抽残相」ともいう)とに分離させる工程である。
なお、無極性溶剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂肪族炭化水素としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、石油エーテル、石油ベンジン等が挙げられ、好ましくはn−ヘキサンである。
有機溶剤(S1)は、有機錫化合物触媒を抽出した後、蒸留回収した有機溶媒も使用可能である。
これらの溶剤を用いることにより、触媒含有液に含まれた活性有機錫化合物を抽出相に、不活性有機錫化合物を抽残相に、それぞれ存在させ、活性有機錫化合物及び不活性有機錫化合物を効率よく分離することができる。
すなわち、蒸留工程により得られた缶出物が極めて高粘度であって抽出分離操作がおこない難い場合、抽出分離が不十分になり、活性有機錫化合物の回収率が低下してしまう。このような場合には、上記缶出物に、例えば、原料化合物(B)及び化合物(C)を含む成分を添加する等により、好ましい性状の触媒含有液を調製し、これを用いることができる。
抽出分離工程の具体的な方法としては、スタティックミキサー等のインラインミキサーや撹拌翼を取り付けた撹拌機を用いて、触媒含有液及び有機溶剤(S1)を十分に攪拌・混合させた後、静置分離槽に送液して相分離させる方法等が挙げられる。分離装置としては、撹拌・混合及び抽出分離をより円滑に進めるために、混合槽及び分離槽が一体化された装置を用いることもできる。
また、多孔板式抽出塔や回転円板式抽出塔等の連続式抽出塔を用いることもできる。
上記触媒含有液100質量部に対して、好ましくは100〜2,000質量部、より好ましくは500〜1,000質量部、更に好ましくは600〜800質量部である。有機溶剤(S1)の使用量が上記範囲にあると、効率的な抽出分離及びその短時間化を図ることができる。
触媒含有液及び有機溶剤(S1)を接触させ、混合液を静置することにより、2相に分離された場合、有機溶剤(S1)を含む抽出相と不活性有機錫化合物を主として含む粘性成分からなる抽残相に分かれる。上記触媒含有液が、原料化合物(A)及び(B)、化合物(C)及び(D)、他の化合物等を含有した場合には、抽出相は、活性有機錫化合物、有機溶剤(S1)、原料化合物(A)及び(B)並びに化合物(C)及び(D)を含み、抽残相は、不活性有機錫化合物及び有機溶剤(S1)に溶解しない物質である原料化合物(A)及び化合物(C)の重合物を含む。
(メタ)アクリル酸エステルを製造する際には、回収された活性有機錫化合物のみを用いてよいし、回収された活性有機錫化合物と、新規の有機錫化合物触媒とを併用してもよい。
活用できるため、高い経済効率を有する連続製造に好適である。
[1]原料化合物(A)としてアクリル酸メチルを、原料化合物(B)として2−メトキシエタノールを用いて、アクリル酸2−メトキシエチル(C)を製造する方法において、有機溶剤(S1)として、n−ヘキサンを用いる方法。
[2]原料化合物(A)としてアクリル酸イソブチルを、原料化合物(B)として3−メトキシブタノールを用いて、アクリル酸3−メトキシブチル(C)を製造する方法において、有機溶剤(S1)として、n−ヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン又はイソオクタンを用いる方法。
攪拌機、温度計、並びに、冷却器及び分留塔を備える精留装置が配設された反応器に、3375.4g(39.2mol)のアクリル酸メチルと、2001.8g(26.3mol)の2−メトキシエタノールと31.3g(0.050mol)のジブチル錫ジラウレート(有機錫化合物触媒)と15.6g(0.063mol)のジブチル錫オキシド(有機錫化合物触媒)を仕込み、エステル交換を7時間行った。
その後、生成したアクリル酸2−メトキシエチルと、未反応のアクリル酸メチル及び2−メトキシエタノールと、副生したメチルアルコールとを含む反応液を加熱することにより、これらの一部を留去させ、表1に示される組成を有する缶出液(以下、「触媒含有液(CC1)」という。)を得た。この触媒含有液(CC1)には、活性有機錫化合物及び不活性有機錫化合物が含まれ、有機錫化合物含有量は、Sn換算で3.1質量%であった。尚、表1におけるアクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸メチル、2−メトキシエタノール及びメチルアルコールの含有量は、ガスクロマトグラフ分析により求めた。
また、錫(Sn)含有量は後述する方法でICP発光分析装置によりSnを定量した。
<錫(Sn)含有量の算出方法>
(1)試料0.2〜1gを100ml石英ビーカーに採取し、0.1mgまで秤量した。
(2)硫酸2mlを加えてヒーター上で加熱し、炭化させた。
(3)硝酸を少量ずつ添加して加熱する操作を繰り返し、炭化物を分解した。
(4)淡黄色になる程度までに分解したら、更に過酸化水素を少量ずつ添加して分解を継続した。
(5)硫酸白煙が発生するまで加過熱をつづけ、黒色になり、これ以上炭化しなくなってから、放冷した。
(6)塩酸(1+1)25mlを加え、100℃のホットプレート上で不溶解物が認められなくなるまで加温した。
(7)室温まで放冷後、液を塩酸(1+1)25mlで100mlメスフラスコに洗い移した。
(8)純水で標線に合わせて供試液とした。
(9)供試液をICP発光分析装置(ドイツSPECTRO社製、商品名CIROS−120)で測定し、検量線法によりSnを定量した。
次いで、ロータリーエバポレーターを用いて、上相液を、圧力600Torrの条件で、70℃に加熱し、n−ヘキサンを蒸発させて449.5g回収した。残液(以下、「回収触媒含有液(RC1)」という。)95.5gのGC分析を行ったところ、表2に示す組成を有し、Sn含有量が2.5質量%であった。
錫触媒回収率(質量%)=(n−へキサンを一部留去後の有機錫化合物触媒を含有する上相(RC1)中のSn質量)÷(有機錫化合物触媒を含有する液(CC1)中のSn質量)×100 式(1)
ジムロート冷却管を付したガラス製フラスコに2−メトキシエタノール183.2g(2.41mol)、アクリル酸メチル317.5g(3.69mol)、実施例1で得られた回収有機錫触媒含有液70.9g(Sn換算で1.77g)、フェノチアジン1.12gを投入し、内温92〜102℃になるようオイルバスで加温した。ガスクロマトグラフィーにて、反応液中の(A)、(C)、(D)各成分の組成(質量%)を測定した。その結果を表3に示す。
カラム : 島津ジーエルシー社製「ZB−1」(溶融シリカキャピラリーカ ラム、膜厚1.0μm、内径0.32mm、長さ60m)
カラム温度 : 60℃→170℃(昇温速度5℃/分),170℃→250℃(昇温速度20℃/分),250℃で保持
GC注入口温度 : 350℃
検出器 : FID
検出器温度 : 350℃
キャリアガス : 窒素(流速4.3ml/分、スプリット比1/12)
n−ヘキサンの使用量を660gとした以外は、実施例1と同様にして処理を行った。即ち、分液ロートに、触媒含有液(CC1)80.0g及びn−ヘキサン659.8gを投入し、2相に分離させた後、上相液721.0g及び下相液12.3gを得た。
その後、ロータリーエバポレーターを用いて、上相液を、圧力600Torrの条件で、70℃に加熱し、n−ヘキサン629.0g、及び、残液(以下、「回収触媒含有液(RC2)」という。)92.0gを得た。回収触媒含有液(RC2)におけるSn含有量の分析値は2.6質量%であった。
上記式(1)を用いて、活性有機錫化合物の回収率96.5%を得た。
攪拌機、温度計、並びに、冷却器及び分留塔を備える精留装置が配設された反応器に1282.0g(10mol)のアクリル酸イソブチルと、952.7g(6.8mol)の3−メトキシブタノールと8.0g(0.013mol)のジブチル錫ジラウレート(有機錫化合物触媒)と4.0g(0.016mol)のジブチル錫オキシド(有機錫化合物触媒)を仕込み、エステル交換を7時間行った。
その後、生成したアクリル酸3−メトキシブチルと、未反応のアクリル酸イソブチル及び3−メトキシブタノールと、副生したイソブチルアルコールとを含む反応液を加熱することにより、これらの一部を留去させ、表4に示される組成を有する缶出液(以下、「触媒含有液(CC3)」という。)を得た。この触媒含有液(CC3)には、活性有機錫化合物及び不活性有機錫化合物が含まれ、有機錫化合物含有量は、Sn換算で2.9質量%であった。
次いで、ロータリーエバポレーターを用いて、上相液を、圧力600Torrの条件で、70℃に加熱し、n−ヘキサンを蒸発させて520.0g回収した。残液(以下、「回収触媒含有液(RC3)」という。)110.3gのGC分析を行ったところ、表5に示す組成を有し、Sn含有量が1.9質量%であった。
実施例1において、n−ヘキサンを320.0g変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施した。その後、分液ロートにて3時間静置したが、分相や析出することはできなかった。
n−ヘキサンをトルエンに変更した以外は、実施例1と同様の操作を実施した。その後、分液ロートにて3時間静置したが、分相や析出することはできなかった。
室温抽出も可能であるうえ、回収された有機錫触媒の触媒活性が十分であり、工業的に有用であるのみならず、環境に悪影響を及ぼす缶出物を低減する効果がある。
本発明の有機錫化合物触媒を用いた(メタ)アクリル酸エステルの製造方法において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとを反応させて、エステル交換された(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、エステル交換された(メタ)アクリル酸エステルを含む反応液に残存している、再利用可能な活性触媒を回収し、次回の製造に利用することで、新規に使用する有機錫化合物触媒の配合量を低減することができる。これにより、一旦、配合した有機錫化合物触媒が失活させるまで、有効利用できることから、コスト低減や連続製造に好適である。
Claims (9)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)とアルコール(B)とを、有機錫化合物触媒の存在下、エステル交換反応させて(メタ)アクリル酸エステル(C)を製造する方法であって、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)及びアルコール(B)を含む反応液を加熱し、エステル交換された(メタ)アクリル酸エステル(C)及び副生するアルコール(D)を蒸留する蒸留工程と、
上記蒸留工程から得られた、有機錫化合物触媒を含む触媒含有液と、該有機錫化合物触媒を抽出できる有機溶剤とを接触させて、該有機錫化合物触媒を有機溶剤相に抽出する抽出分離工程と、
上記有機溶剤相から有機錫化合物触媒を回収する回収工程とを備え、
上記回収工程により得られた有機錫化合物触媒を、エステル交換反応用触媒の少なくとも一部として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)及びアルコール(B)の反応に再利用することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。 - 上記有機溶剤が直鎖状の無極性溶剤である請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- 上記直鎖状の無極性溶剤が脂肪族炭化水素である請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- 上記無極性溶剤がn−ヘキサンである請求項3に記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- 上記有機錫化合物触媒が、ジブチル錫化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- 上記有機錫化合物触媒が、ジブチル錫ジラウレート又はジブチル錫オキサイドの少なくとも一種である請求項1乃至5のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- アルコール(B)がアルコキシアルカノールである請求項1乃至6のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)がアクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル又はアクリル酸イソブチルのいずれかであり、アルコール(B)が、2−メトキシエタノール又は3−メトキシブタノールである請求項1乃至7のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステル(C)の製造方法。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)がアクリル酸メチルであり、アルコール(B)が、2−メトキシエタノールである請求項8に記載の(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル(C)の製造方法。
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