JP5369438B2 - ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エステル交換反応を利用し、N,N’−ジメチルピペラジンの副生を抑制した、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを連続的に製造する方法に関する。
従来、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルアミノ(メタ)アクリレート、又はそのアミノ基を3級もしくは4級アンモニウム塩とした化合物は、繊維の染色性改良剤、プラスチックの帯電防止剤、塗料における顔料分散剤もしくは紫外線硬化助剤、繊維処理剤、トナー用樹脂、塗料、潤滑油添加剤、紙力増強剤、接着剤、イオン交換樹脂、カチオン性高分子凝集剤等を製造するための単量体原料等に広く用いられている。
上記アルキルアミノ(メタ)アクリレートの製造方法としては、アルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノ(アルキル)アルコールのエステル交換反応を利用した方法が知られている(特許文献1〜6参照)。
特許文献1には、(メタ)アクリレートとアルキルアミノアルコールとをエステル交換反応させてアルキルアミノ(メタ)アクリレートを製造する方法において、反応・蒸留工程後の缶出液を加熱処理して缶出液中の副生成物を分解させ、原料及び/又は目的物として回収する方法が開示されている。具体例としては、触媒である有機錫化合物(ジブチルスズオキサイド)の存在下、ジメチルアミノエタノールと、アクリル酸メチルとを反応させ、ジメチルアミノエチルアクリレート及び高沸点不純物(副生成物)を含む缶出液を100℃で加熱した後、蒸留によりジメチルアミノエチルアクリレートを回収している。
特許文献2には、テトラブチルチタネート等の触媒の存在下で、n−ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルをエステル交換反応させ、反応混合物の蒸留等を行うことにより、アルキルアミノ(メタ)アクリレート等の塩基性(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、反応条件下で不活性なガス又はガス混合物を、反応領域及び/又は熱交換器に導通させることを特徴とする製造法が開示されている。
特許文献3には、テトラエチルチタネート触媒の存在下、エチル(メタ)アクリレート及びアミノアルコールを反応させてジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを製造する方法が開示されている。
特許文献4には、メチル又はエチル(メタ)アクリレートとアミノアルコールとのエステル交換反応を、テトラブチル、テトラエチル及びテトラ(2−エチルヘキシル)チタネートから選択した触媒の存在下、90℃〜120℃で行い、その後、3回の蒸留、分離等を行う製造方法が開示されている。
特許文献5には、メチル又はエチル(メタ)アクリレートと、炭素数3〜20のアルコールROHとをテトラアルキルチタネートTi(OR触媒の存在下に反応させて、アルキルアミノ(メタ)アクリレートを製造する方法において、テトラアルキルチタネートTi(ORにおけるR基と、アルコールROHにおけるR基とが同一である製造方法が開示されている。
また、特許文献6には、アルカリ金属アルコラート又はアルカリ土類金属アルコラートを触媒とし、アクリル酸メチル(a)若しくはメタクリル酸メチル(b)と、アミノアルキルアルコールとからなる反応液を加熱するエステル交換反応によりアミノアルキルアクリレート(c)又はアミノアルキルメタクリレート(d)を製造する方法において、この反応液中に、メタノールに難溶であって該メタノールと最低共沸混合物を形成する共沸剤(n−ヘキサン等)を存在させ、且つ、各エステル化合物(a)、(b)、(c)又は(d)と、アミノアルコール又はメタノールとのミカエル(マイケル)付加物を導入することを特徴とするアミノアルキル(メタ)アクリレートの製造方法が開示されている。
特開平11−222469号公報 特表2005−506958号公報 特開昭64−38047号公報 特開平11−322680号公報 特開平4−66555号公報 特開平9−286765号公報
特許文献1に開示された方法によると、触媒として有機錫化合物を用いているので、ミカエル付加物等の副生物が大量に発生することがあり、副生物の分解工程及び有効成分の回収工程が必要となり、経済的負担が大きくなるといった問題があった。
特許文献2に開示された方法によると、テトラn−ブチルチタネート触媒の存在下、n−ブチルアクリレート及びジメチルアミノエチルアルコールを反応させた場合、得られるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート中における、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンの含有割合が高くなるといった問題があった。また、このN,N’−ジメチルピペラジンの沸点(130℃〜133℃)は、原料であるジメチルアミノエチルアルコールの沸点(134.6℃)と近いため、蒸留により分離しにくいといった問題もある。
そのため、連続製造においては、原料ジメチルアミノエチルアルコールを反応器に返送して原単位向上が図られるため、分離できないN,N’−ジメチルピペラジンまで反応器へ返送され、反応器内でN,N’−ジメチルピペラジンが蓄積する。従って、長期間連続製造した場合は、N,N’−ジメチルピペラジンが高濃度で反応器に存在することになり、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの反応性を低下させるという問題があった。
また、特許文献3及び4に開示された方法においても、テトラエチルチタネート触媒の存在下、エチルアクリレート及びジメチルアミノエチルアルコールを反応させた場合、得られるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート中における、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンの含有割合が高くなるといった問題があった。
更に、特許文献5に開示された方法によると、触媒として、予め、ジメチルアミノエチルアルコール及びテトライソプロピルチタネートを反応させて得られた、N,N−ジメチルアミノエチルチタネートを用いており、余分な装置及び操作が必要となり、経済的負担が大きくなるといった問題があった。
本発明の目的は、エステル交換反応を利用し、N,N’−ジメチルピペラジンの副生を抑制することにより、連続製造時において、反応器内にN,N’−ジメチルピペラジンの蓄積を抑制した、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを連続的に製造する方法を提供することにある。
本発明は、以下に示される。
1.ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとを用い、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンの含有量が0.1質量%以下であるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を連続的に製造する方法であって、反応器に供給された、上記ジアルキルアミノアルコールと、上記メチル(メタ)アクリレートとからなる原料成分を、触媒であるテトラメチルチタネートの存在下、90℃〜110℃の範囲の温度で反応させ、副生するメタノールを、メチル(メタ)アクリレートとともに共沸留去させながら、反応を進める反応工程と、上記反応工程により得られた反応液を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分を主として含む第1留出物、並びに、上記触媒を含む第1缶出物を得る第1蒸留工程と、上記第1留出物を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含む第2缶出物を得る第2蒸留工程と、上記第2缶出物を蒸留し、上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を第3留出物として得る第3蒸留工程と、上記第1蒸留工程により得られる第1缶出物を、上記反応器に返送する触媒返送工程と、上記第2蒸留工程により得られる、未反応の原料成分を主として含む第2留出物を、上記反応器に返送する未反応原料成分返送工程と、を備え、上記反応器内における、上記ジアルキルアミノアルコール及び上記メチル(メタ)アクリレートのモル比が1:1〜1:2であり、上記反応工程において、上記ジアルキルアミノアルコールから上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートへの転化率が30〜95%であることを特徴とするジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
2.上記反応工程及び上記第2蒸留工程において、重合抑制剤を用いる上記1に記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
3.上記重合抑制剤がフェノチアジン、tert−ブチルカテコール及びハイドロキノンから選ばれる上記2に記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
4.上記第1蒸留工程において、上記反応液に含まれたミカエル付加物が分解される上記1乃至3のいずれかに記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
本発明によれば、エステル交換反応を利用し、N,N’−ジメチルピペラジンの副生を抑制しつつ、実質的にジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を連続的に製造することができる。従来の方法では、副生するN,N’−ジメチルピペラジンを除去する工程を更に必要としていたが、本発明では、その必要がないので、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを効率よく製造することができる。
上記反応工程において、ジアルキルアミノアルコールからジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートへの転化率が30〜95%である場合には、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを、連続的に且つ効率よく製造することができる。
上記第1蒸留工程において、上記反応液に含まれたミカエル付加物が分解されることにより、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを効率よく製造することができる。
また、上記第1蒸留工程により得られる第1缶出物を、上記反応器に返送する触媒返送工程を備える場合には、触媒であるテトラメチルチタネートを再利用することができ、生産性を向上させることができる。
更に、上記第2蒸留工程により得られる、未反応の原料成分を主として含む第2留出物を、上記反応器に返送する未反応原料成分返送工程を備える場合には、原料成分を無駄なく消費することができ、生産性を向上させることができる。
本発明の、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとを用い、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンの含有量が0.1質量%以下であるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を連続的に製造する方法であって、反応器に供給された、上記ジアルキルアミノアルコールと、上記メチル(メタ)アクリレートとからなる原料成分を、触媒であるテトラメチルチタネートの存在下、90℃〜110℃の範囲の温度で反応させ、副生するメタノールを、メチル(メタ)アクリレートとともに共沸留去させながら、反応を進める反応工程と、上記反応工程により得られた反応液を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分を主として含む第1留出物、並びに、上記触媒を含む第1缶出物を得る第1蒸留工程と、上記第1留出物を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含む第2缶出物を得る第2蒸留工程と、上記第2缶出物を蒸留し、上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を第3留出物として得る第3蒸留工程と、上記第1蒸留工程により得られる第1缶出物を、上記反応器に返送する触媒返送工程と、上記第2蒸留工程により得られる、未反応の原料成分を主として含む第2留出物を、上記反応器に返送する未反応原料成分返送工程と、を備え、上記反応器内における、上記ジアルキルアミノアルコール及び上記メチル(メタ)アクリレートのモル比が1:1〜1:2であり、上記反応工程において、上記ジアルキルアミノアルコールから上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートへの転化率が30〜95%であることを特徴とする。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを意味する。また、「主として含む」は、その含有量が、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは95%以上であることを意味する。
本発明の製造方法を、図1を用いて、説明する。
上記反応工程は、反応器に供給された、ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとからなる原料成分を、触媒であるテトラメチルチタネートの存在下、90℃〜110℃の範囲の温度で反応させ、副生するメタノールを、メチル(メタ)アクリレートとともに共沸留去させながら、反応を進める工程である。
上記原料成分は、エステル交換反応に供する成分であり、ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとからなる。尚、この「からなる」は、上記原料成分が、各成分を混合してなる混合物であることのみを意味するものではなく、反応に際して用いる成分をまとめた総称であることを意味する。
上記ジアルキルアミノアルコールとしては、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジプロピルアミノエタノール、ジブチルアミノエタノール、ジペンチルアミノエタノール、ジヘキシルアミノエタノール、ジオクチルアミノエタノール、ジベンジルアミノエタノール、メチルエチルアミノエタノール、メチルプロピルアミノエタノール、メチルブチルアミノエタノール、メチルヘキシルアミノエタノール、エチルプロピルアミノエタノール、エチルブチルアミノエタノール、エチルペンチルアミノエタノール、エチルオクチルアミノエタノール、プロピルブチルアミノエタノール、ジメチルアミノプロパノール、ジエチルアミノプロパノール、ジプロピルアミノプロパノール、ジブチルアミノプロパノール、ブチルペンチルアミノプロパノール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記テトラメチルチタネート(以下、「触媒」ともいう。)は、テトラエチルチタネート、テトラn−ブチルチタネート等を用いた場合に比べて、N,N’−ジメチルピペラジンの副生を抑制できる、エステル交換反応に好適な触媒である。この触媒は、上記原料成分と同様に、反応器に供給される。
上記反応工程において、反応中の熱重合反応を抑制するために、フェノチアジン、tert−ブチルカテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合抑制剤を反応器に供給してもよい。また、メチル(メタ)アクリレートの重合抑制のために分子状の酸素を併用してもよい。
この重合抑制剤の使用量は、上記原料成分の全量に対して、好ましくは0.0001〜5.0質量%、より好ましくは0.001〜3.0質量%である。
上記反応工程において、反応溶媒を用いる必要はないが、副生するメタノールの共沸効果を高めるために、メタノールと共沸混合物を形成する共沸剤であるn−ヘキサン等を用いてもよい。
上記反応工程において、上記原料成分、上記触媒及び他の成分を反応器へ供給する方法及び条件は、特に限定されない。各成分が所定の割合で混合されてなる混合物を用い、この混合物を反応器に供給してもよいが、各成分が接触することなく、所定の割合となるように、該割合を維持するように、個別に反応器に供給することも可能である。各成分の供給に際し、連続的に供給してよいし、分割して供給してもよい。
上記反応器としては、例えば、攪拌機、温度計、圧力計、ジャケットやコイル等の加熱器、並びに、循環型蒸発器、凝縮器、冷却器及び分留塔を備える精留装置が配設された、両鏡円筒胴容器を用いることができる。
上記反応器内における、上記ジアルキルアミノアルコール及び上記メチル(メタ)アクリレートのモル比は、1:1〜1:2であり、好ましくは1:1〜1:1.6、更に好ましくは1:1〜1:1.5である。上記モル比がこの範囲にあると、エステル交換反応を円滑に進めることができる。
また、上記反応器内における、上記ジアルキルアミノアルコール及び上記テトラメチルチタネートのモル比は、好ましくは1:0.0001〜1:0.1、より好ましくは1:0.001〜1:0.05である。上記モル比がこの範囲にあると、エステル交換反応を円滑に進めることができる。
本発明の製造方法においては、後述する、触媒返送工程及び未反応原料成分返送工程を備えるが、これらの工程を行う場合、触媒成分に含まれる触媒の返送量、及び、未反応原料成分に含まれる原料成分の返送量、並びに、上記好ましい反応モル比を考慮し、新たに供給される、上記原料成分、上記触媒及び他の成分の各供給量が決定される。
上記反応工程における反応は、反応器内の混合原料を、大気圧下の温度として、90℃〜110℃、好ましくは95℃〜105℃の範囲に維持しながら行う。上記範囲の温度において反応させると、エステル交換反応が効率よく進行し、N,N’−ジメチルピペラジンの副生が抑制されたジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを製造することができる。尚、上記反応温度が高すぎると、原料であるジアルキルアミノアルコールが留出する場合がある。一方、上記反応温度が低すぎると、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの生成速度が低下する場合がある。
また、反応により副生したメタノール(MeOH)は、上記精留装置を用いて、原料成分であるメチル(メタ)アクリレート(MA又はMMA)とともに共沸留去させるので、エステル交換反応の進行を妨げることなく、反応器内の組成をほぼ一定としながら反応を進めることができる。この留去されたメチル(メタ)アクリレートを含むメタノールは原料として再使用することも可能である。
上記反応工程は、減圧下で行ってもよい。この場合、反応器内の圧力は、好ましくは500〜760Torrである。尚、反応を減圧下で行う場合、反応温度は、上記圧力下における温度に対応する温度に調整される。
上記反応工程における反応時間(滞留時間)は、反応温度及び触媒の使用量等に依存するが、通常、1〜10時間である。
上記反応工程において、上記ジアルキルアミノアルコールからジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートへの転化率は、30〜95%であり、好ましくは30〜80%である。この転化率が、この範囲にあると、経時とともに反応器に供給される原料成分、触媒等の構成割合(反応モル比)を、常時、好ましい範囲に設定することが容易であるので、安定した連続製造を進めることができる。
上記転化率は、下記式により求められる。
Figure 0005369438
上記反応工程における反応は、副生するメタノールを、メチル(メタ)アクリレートとともに共沸留去させながら進められるが、得られる反応液は、通常、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートと、未反応の原料成分(ジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレート)と、触媒と、副生したN,N’−ジメチルピペラジン及びミカエル付加物と、を含む。更に、この反応液は、重合抑制剤と、副生したメタノールと、を含む場合がある。
上記反応液に含有されるN,N’−ジメチルピペラジンは、極微量である。このN,N’−ジメチルピペラジンの含有量は、上記反応液に対して、通常、1000質量ppm以下、好ましくは0〜100質量ppmである。このN,N’−ジメチルピペラジンの含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定することができる。
上記反応液に含有されるミカエル付加物としては、メチルメトキシ(メチル)プロピオネート、メチルジアルキルアミノアルコキシ(メチル)プロピオネート、ジメチルアミノアルキルメトキシ(メチル)プロピオネート、ジメチルアミノアルキルジメチルアミノアルコキシ(メチル)プロピオネート等が挙げられる。
その後、上記反応液は、配管を通して、蒸留装置1に送られ、第1蒸留工程が行われる。この第1蒸留工程において、蒸留塔C1等を備える蒸留装置1により、少なくともジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを蒸留する条件で上記反応液を蒸留して、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分を主として含む、蒸留塔C1の塔頂部から留出する第1留出物と、触媒を含む、塔底部から抜き出される第1缶出物とに分留する。蒸留を行うに際して、上記反応液に含まれる、メチル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの熱重合を抑制するために、必要に応じて、重合抑制剤を更に添加してもよい。
上記第1留出物は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分を主として含み、好ましくは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの沸点以下の温度で蒸発し、回収された成分である。この第1留出物は、上記反応工程により副生したメタノール及びN,N’−ジメチルピペラジン、重合抑制剤等を含む場合がある。
上記第1留出物に含有されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分の合計を100質量%とした場合に、通常、20〜80質量%、好ましくは40〜60質量%である。
また、上記第1缶出物は、触媒以外に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、未反応の原料成分、上記反応工程により副生したメタノール及びN,N’−ジメチルピペラジン、重合抑制剤等が含まれる場合がある。
上記第1缶出物に含有される触媒の含有量は、通常、5〜20質量%である。
上記第1留出物は、上記蒸留塔C1の塔頂部から留出する。この第1留出物は、配管を通して、蒸留装置2に送られる。一方、上記第1缶出物は、上記蒸留塔C1の塔底部から回収する。この第1缶出物に含有される触媒は、再利用可能である。従って、この第1缶出物を、配管を通して、反応器に返送する。即ち、触媒返送工程を備える。尚、上記第1缶出物に、メチル(メタ)アクリレートの重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの重合体、スラッジ、原料成分等に含まれる微量の水分とテトラメチルチタネートにより生成する、反応活性が低下した触媒成分を含有する場合には、それを除去してから反応器に返送することが好ましい。
上記反応液に含有されたミカエル付加物は、第1蒸留工程における蒸留条件を、減圧下、110℃〜130℃とすることにより、分解することができる。この第1蒸留工程においては、上記ミカエル付加物の一部は、分解される。これにより、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの収率低下を抑制することができる。尚、分解物の大半は、留出して第1留出物となる。
次に、上記第1留出物は、蒸留塔C2等を備える蒸留装置2により蒸留される(第2蒸留工程)。この第2蒸留工程において、少なくとも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートと、未反応の原料成分(ジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレート)と、を分離する条件で上記第1留出物を蒸留する。そして、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含む第2缶出物、及び、未反応の原料成分とジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含む第2留出物を得る。蒸留を行うに際して、上記第1留出物に含まれる、メチル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの熱重合を抑制するために、必要に応じて、重合抑制剤を更に添加してもよい。
上記第2缶出物は、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含み、好ましくは、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの沸点以下の温度で蒸発する成分(第2留出物)を留出した後の缶出物である。この第2缶出物は、上記反応工程により副生したN,N’−ジメチルピペラジン、重合抑制剤等を含む場合がある。
上記第2缶出物に含有されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、通常、98.0〜100質量%、好ましくは99.0〜100質量%である。この第2缶出物に含有される他の成分としては、N,N’−ジメチルピペラジン、重合抑制剤等が挙げられる。
上記第2缶出物にN,N’−ジメチルピペラジンが含有される場合、その含有量は、通常、1000質量ppm以下、好ましくは0〜500質量ppmである。
また、上記第2留出物に含有される成分は、未反応の原料成分(ジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレート)を主として含み、更に、上記反応工程により副生したメタノール等が挙げられるが、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びN,N’−ジメチルピペラジンが含まれる場合がある。
上記第2蒸留工程においては、通常、上記第2缶出物に含まれるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートと、上記第2留出物に含まれる物質の中で最も高い沸点を有する物質との間で、沸点の差が大きいので、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが第2留出物に混在しにくく、上記反応工程において生成したジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの大部分が、上記第2缶出物に含まれている。
例えば、ジアルキルアミノアルコールとして、ジメチルアミノエチルアルコール(沸点134.6℃)を用い、これを、触媒の存在下、メチルアクリレート(沸点80.0℃)と反応させた場合、得られるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチルアクリレート(沸点172.3℃)である。このとき、第2留出物は、ジメチルアミノエチルアルコール、メチルアクリレート及びメタノール(沸点64.7℃)を主成分としており、これらの沸点が、いずれも、ジメチルアミノエチルアクリレートの沸点よりも大きく下回っているため、第2蒸留工程により得られる第2缶出物は、高純度のジメチルアミノエチルアクリレートを含有する。
上記第2缶出物は、上記蒸留塔C2の塔底部から抜き出される。この第2缶出物は、配管を通して、蒸留装置3に送られる。一方、上記第2留出物は、上記蒸留塔C2の塔頂部から留去される。この第2留出物に含有される成分のうち、ジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレートの合計量の割合は、最初に反応器に供給されたジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレートの合計量に対して、通常、20〜60質量%である。尚、上記第2留出物に含有される未反応の原料成分及びメタノールは、再利用可能であることから、上記蒸留装置2から、配管を通して、反応器に返送する。即ち、未反応原料成分返送工程を備える。
その後、上記第2缶出物は、蒸留塔C3等を備える蒸留装置3により蒸留される(第3蒸留工程)。この第3蒸留工程において、少なくとも、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを精留する条件で上記第2缶出物を蒸留する。蒸留を行うに際して、上記第2缶出物に含まれるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの熱重合を抑制するために、必要に応じて、重合抑制剤を更に添加してもよい。
そして、上記蒸留塔C3の塔頂部から、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを含み、且つ、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.01質量%以下(但し、下限は、通常、0質量%)であるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分(以下、「第3留出物」ともいう。)を得ることができる。この第3留出物は、実質的に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートであり、重合抑制剤が一部含まれている場合もある。
また、上記蒸留塔C3の塔底部から、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートよりも沸点の高い重合物等の副生物を含む第3缶出物が得られる。この第3缶出物には、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、重合抑制剤等を含む場合がある。この成分は、廃棄してよいし、必要に応じて、配管を通して、蒸留装置1に返送することができる。
上記未反応原料成分返送工程においては、未反応原料を含む第2留出物を、反応器に、連続的に返送してよいし、分割して返送してもよい。この第2留出物は、反応器内における原料成分が、反応に最適なモル比の組成となるような条件、即ち、反応器内におけるジアルキルアミノアルコール及びメチル(メタ)アクリレートのモル比が、好ましくは1:1〜1:2、より好ましくは1:1〜1:1.6となるように返送することが好ましい。
返送される第2留出物と、新たに供給される原料成分とを用いて、連続製造を行うことができる。このとき、新たに供給される原料成分の供給量は、返送される第2留出物の組成に応じて、調整される。
以上の説明から明らかなように、本発明の製造方法によると、触媒であるテトラメチルチタネートの存在下、ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを高純度で含み、副生するN,N’−ジメチルピペラジンの含有量が0.1質量%以下であるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を得ることができ、連続製造方法に好適である。連続製造において、副生するN,N’−ジメチルピペラジンが反応器に蓄積する量が極めて少ないので、生産性の低下が抑制できる。また、副生物を除去する精製工程を新たに備えることなく、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを高純度で得られるので、大変有用である。さらに、上記のように、触媒回収工程及び未反応原料成分回収工程を備え、原料成分を無駄なく反応に有効活用できるため、高い生産性を与える連続製造に好適である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
1.測定方法
下記の実施例等における、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの収率の算出方法、及び、副生物(N,N’−ジメチルピペラジン)の含有量の測定方法を示す。
(1)収率
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの収率は、下記式により求めた。
Figure 0005369438
(2)副生物(N,N’−ジメチルピペラジン)の含有量
ガスクロマトグラフィー(GC)により、下記条件で分析した。
カラム ; 島津製作所社製「ZB−1」(溶融シリカキャピラリーカラム、 膜厚30μm、内径0.32mm、長さ60m)
カラム温度 ; 60℃→170℃(昇温速度5℃/分),170℃→250℃( 昇温速度20℃/分),250℃で保持
GC注入口温度 ; 350℃
検出器 ; FID
検出器温度 ; 350℃
キャリアガス ; 窒素(流速4.3ml/分、スプリット比1/14)
上記測定条件によると、得られるガスクロマトグラムは、下記の保持時間をもって、検出物質が示される。
Figure 0005369438
2.ジメチルアミノエチルアクリレートの製造
参考例1(バッチ法による製造)
攪拌機、温度計、並びに、冷却器及び分留塔を備える精留装置が配設された反応器に、645.7g(7.5mol)のメチルアクリレート(MA)と、445.7g(5.0mol)のジメチルアミノエチルアルコールと、22.4g(0.131mol)のテトラメチルチタネートと、2.8gのフェノチアジンとを仕込んだ。次いで、大気圧下、反応器内の原料成分を窒素ガスでバブリングし、また、撹拌しながら加熱を開始した。そして、上記分留塔の塔頂部の温度を62℃〜65℃とし、反応器内の混合原料の温度を90℃〜110℃に維持しながら、エステル交換反応を7時間行った。反応は、副生するメタノールと、反応液中のメチルアクリレートとを還流比10で蒸留し、概ね共沸組成で留去しながら行った。
反応終了後、ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)の収率は71.4%であり、ジメチルアミノエチルアルコールからの転化率は75.8%であった。また、ジメチルアミノエチルアクリレートを含む反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により分析したところ、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンが検出限界(100ppm)未満であることが分かった。
次いで、反応液中の触媒を、窒素ガス雰囲気下、圧力30Torr及び温度90℃〜100℃の条件で除去し、ジメチルアミノエチルアクリレートを含む留出液708.7gを得た。
その後、この留出液に、1,000ppmのフェノチアジンを加え、冷却器及び分留塔を備える精留装置(理論段15段)を用い、窒素ガス雰囲気下、圧力20Torr、温度70℃〜85℃及び還流比1〜10の条件で、この混合物から、メタノール、メチルアクリレート及びジメチルアミノエチルアクリレートを留去した。そして、窒素ガス雰囲気下、圧力20Torr、温度85℃〜95℃及び還流比1〜2の条件で精留し、486gのジメチルアミノエチルアクリレート成分を得た。最終的なジメチルアミノエチルアクリレートの収率は67.8%であった。また、得られたジメチルアミノエチルアクリレートの純度は99.9%であった。
参考例2(バッチ法による製造)
メチルアクリレート及びテトラメチルチタネートを、それぞれ、ブチルアクリレート及びテトラブチルチタネートに代え、更に、上記分留塔の塔頂部の温度を110℃〜120℃、反応器内の混合原料の温度を120℃〜130℃とした以外は、参考例1と同様にしてジメチルアミノエチルアクリレートを製造した。
7時間反応を行った後、ジメチルアミノエチルアクリレートの収率は73.2%であり、ジメチルアミノエチルアルコールからの転化率は86.7%であった。また、ジメチルアミノエチルアクリレートを含む反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により分析したところ、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量は2.6%であった。
実施例1(連続法による製造)
図1に示す構成の製造装置を用いて、ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)の製造を行った。図1は、精留装置が配設された反応器内で原料成分を反応させる反応工程と、反応器より送られた反応液から、ジメチルアミノエチルアクリレート(DA)等を蒸留するための蒸留塔C1を有する蒸留装置1を備える第1蒸留工程と、蒸留装置1より送られた留出物(第1留出物)から、第2缶出物(ジメチルアミノエチルアクリレートを主に含む)と第2留出物とを分留するための蒸留塔C2を有する蒸留装置2を備える第2蒸留工程と、蒸留装置2より送られた第2缶出液を、蒸留塔C3を有する蒸留装置3により蒸留し、高純度のジメチルアミノエチルアクリレートを留出する第3蒸留工程と、を行う製造装置の概略図である。尚、蒸留装置1は、上記第1缶出物(再利用可能な触媒を含む)を反応器へ返送するための触媒返送手段を備える。また、蒸留装置2は、未反応の原料成分を主とする第2留出物を反応器へ返送するための未反応原料成分返送手段を備える。更に、蒸留装置3は、蒸留塔C3の第3缶出物を蒸留装置1へ返送するための有効物返送手段を備える。
攪拌機、温度計、並びに、循環型蒸発器、凝縮器、冷却器及び分留塔を備える精留装置が配設された反応器に、1時間あたり、151gのジメチルアミノエチルアルコールと、193gのメチルアクリレート(MA)と、1.8gのテトラメチルチタネートとを供給しながら、また、凝縮器の塔頂部から1質量%フェノチアジンのメタノール溶液8.0gを供給し、大気圧下、反応器内の反応液を窒素ガスでバブリングし、また、撹拌しながらエステル交換反応を行った。反応は、分留塔の塔頂部の温度を62℃〜65℃とし、反応器内の混合原料の温度を90℃〜110℃に維持しながら、且つ、反応により生成するメタノールと反応液中のメチルアクリレートとを分留塔の塔頂部から還流比10で留出させながら進めた(1時間あたりの留出量216g)。尚、反応を連続的に進めた際には、1時間あたり、後に、蒸留装置1の蒸留塔C1の塔底部からの触媒含有溶液(活性な触媒を含む成分)60gと、蒸留装置2の蒸留塔C2の塔頂部からの、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアルコール、メチルアクリレート及びメタノールからなる留出物(第2留出物)216gとを、それぞれ、反応器に返送し、再利用した。他の返送成分は、後述する。
反応開始から7時間経過した後、反応器内の反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により分析したところ、N,N’−ジメチルピペラジンが検出限界(100ppm)未満であり、ミカエル付加物の含有量の合計は、4.0質量%であった。また、このときのジメチルアミノエチルアルコールからの転化率は60.8%であった。
次に、反応器から、1時間あたり499gの反応液を、循環型蒸発器及び蒸留塔C1を備える蒸留装置1に供給し、蒸留を行った。そして、この蒸留塔C1の塔頂部から、沸点172.3℃以下の第1留出物(ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアルコール、メチルアクリレート及びメタノールからなる混合物)を留出させた。その留出量は、1時間あたり471gであった。尚、この留出物には、ミカエル付加物を含む副生成物は、0.4質量%であった。
また、上記蒸留塔C1における第1缶出物のうち、約80%の量に相当する、再利用可能な触媒を含む溶液は、1時間あたり60gの割合で反応器へ返送し、約20%の残部は、1時間あたり1.5gの割合で廃棄した。
その後、上記蒸留塔C1の塔頂部からの留出物である第1留出物を、1時間あたり471gの割合で、循環型蒸発器及び蒸留塔C2を備える蒸留装置2に供給し、蒸留を行った。そして、この蒸留塔C2の塔頂部から、ジメチルアミノエチルアルコール、メチルアクリレート及びメタノールを留出させ、これらの混合物を、1時間あたり216gの割合で反応器へ返送した。一方、上記蒸留塔C2の塔底部から抜き出された第2缶出物中のジメチルアミノエチルアクリレートの純度は99.9%であった。
次いで、上記蒸留塔C2の塔底部からの抜き出し物である第2缶出物を、1時間あたり256gの割合で、蒸留塔C3及び凝縮器を備える蒸留装置3に供給し、蒸留を行った。そして、この蒸留塔C3の塔頂部から、ジメチルアミノエチルアクリレート成分を回収した。ジメチルアミノエチルアクリレートの純度は100%であった。尚、上記蒸留塔C3における第3缶出物は、1時間あたり240gの割合で蒸留塔C1へ返送した。
上記のような1回目の製造の後、上記反応器に、1時間あたり、上記第2留出物のうちの216gと、上記第1缶出物(触媒含有溶液)のうちの60gとを返送し、新たに、1時間あたり、151gのジメチルアミノエチルアルコールと、193gのメチルアクリレート(MA)と、1.8gのテトラメチルチタネートとを供給しながら、ジメチルアミノエチルアクリレートの製造を行った。その後の製造工程は上記と同様である。この条件で、30日間連続でジメチルアミノエチルアクリレートを製造したところ、いずれも、反応液中のN,N’−ジメチルピペラジンの含有量は、0.1質量%以下であった。
比較例1
メチルアクリレート及びテトラメチルチタネートを、それぞれ、ブチルアクリレート及びテトラブチルチタネートに代え、更に、反応温度を120℃〜130℃、塔頂部の温度を110℃〜120℃とした以外は、実施例1と同様にしてジメチルアミノエチルアクリレートを製造した。
7時間反応を行った後、ジメチルアミノエチルアルコールからの転化率は79.6%であった。また、ジメチルアミノエチルアクリレートを含む反応液をガスクロマトグラフィー(GC)により分析したところ、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量は0.8質量%であった。そして、蒸留塔C3の塔頂部から得られたジメチルアミノエチルアクリレートの純度は99.9%であった。
更に、実施例1と同様にして、ジメチルアミノエチルアクリレートの製造を30日間連続で行ったところ、反応液中のN,N’−ジメチルピペラジンの含有量は、1.6質量%であった。
その後、連続製造を継続しながら、反応器中の反応液をサンプリングし、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量を測定したところ、製造開始から60日目及び120日目において、反応液中のN,N’−ジメチルピペラジンの含有量は、それぞれ、2.5質量%及び4.1質量%であった。連続製造120日において、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量が増加することで、ジメチルアミノエチルアクリレートの生産性が低下したため、製造を停止した。
以上の結果より、実施例1によって、最終製品であるジメチルアミノエチルアクリレートと、原料成分であるメチルアクリレート、及び、反応中に副生するメタノールの両方との沸点差が大きいため、安定した製造を進めることができ、反応液中にN,N’−ジメチルピペラジン等が蓄積しないため、連続製造条件においても高純度のジメチルアミノエチルアクリレートを得ることができた。
本発明の製造方法は、テトラメチルチタネートの存在下、ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより、副生物、特に、N,N’−ジメチルピペラジンの含有量が、0.1質量%以下と著しく少量であり、新たに、副生物の除去工程を備えることなく、連続的なジメチルアミノエチルアクリレートの製造を効率よく行うことができる。また、本発明の方法により製造されたジメチルアミノエチルアクリレート、又はそのアミノ基を3級もしくは4級アンモニウム塩とした化合物は、繊維の染色性改良剤、プラスチックの帯電防止剤、塗料における顔料分散剤もしくは紫外線硬化助剤、繊維処理剤、トナー用樹脂、塗料、潤滑油添加剤、紙力増強剤、接着剤、イオン交換樹脂、カチオン性高分子凝集剤等を製造するための単量体原料等に広く用いられる。
本発明の製造方法の一例を示す模式図である。

Claims (4)

  1. ジアルキルアミノアルコールと、メチル(メタ)アクリレートとを用い、副生物であるN,N’−ジメチルピペラジンの含有量が0.1質量%以下であるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を連続的に製造する方法であって、
    反応器に供給された、上記ジアルキルアミノアルコールと、上記メチル(メタ)アクリレートとからなる原料成分を、触媒であるテトラメチルチタネートの存在下、90℃〜110℃の範囲の温度で反応させ、副生するメタノールを、メチル(メタ)アクリレートとともに共沸留去させながら、反応を進める反応工程と、
    上記反応工程により得られた反応液を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及び未反応の原料成分を主として含む第1留出物、並びに、上記触媒を含む第1缶出物を得る第1蒸留工程と、
    上記第1留出物を蒸留し、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを主として含む第2缶出物を得る第2蒸留工程と、
    上記第2缶出物を蒸留し、上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート成分を第3留出物として得る第3蒸留工程と、
    上記第1蒸留工程により得られる第1缶出物を、上記反応器に返送する触媒返送工程と、
    上記第2蒸留工程により得られる、未反応の原料成分を主として含む第2留出物を、上記反応器に返送する未反応原料成分返送工程と、を備え
    上記反応器内における、上記ジアルキルアミノアルコール及び上記メチル(メタ)アクリレートのモル比が1:1〜1:2であり、
    上記反応工程において、上記ジアルキルアミノアルコールから上記ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートへの転化率が30〜95%であることを特徴とするジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
  2. 上記反応工程及び上記第2蒸留工程において、重合抑制剤を用いる請求項1に記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
  3. 上記重合抑制剤がフェノチアジン、tert−ブチルカテコール及びハイドロキノンから選ばれる請求項2に記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
  4. 上記第1蒸留工程において、上記反応液に含まれたミカエル付加物が分解される請求項1乃至3のいずれかに記載のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの連続製造方法。
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