JP2006347919A - 不飽和カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 活性が高く、また、活性の経時変化が少ない不飽和カルボン酸エステル製造用触媒およびそれを使用した、生産性の高い低コストな不飽和カルボン酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】 アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる触媒を用いて、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行わせる不飽和カルボン酸エステルの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】 アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる触媒を用いて、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行わせる不飽和カルボン酸エステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、活性が高くかつ経時変化が少ない触媒を使用した不飽和カルボン酸エステルの製造方法である。
従来、メタクリル酸メチルやアクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステルとブチルアルコールや2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコールとのエステル交換反応により、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルなどの不飽和カルボン酸エステルを製造する場合、硫酸等の酸触媒やテトラアルコキシシチタン、ジブチルスズオキサイド等の触媒が用いられてきた。しかし、これらの触媒は反応液に溶解するため、回収して再使用することが困難であった。
この点を解決する手段として、チタンやスズなどの活性成分を不溶化した無機固体触媒を使用することが提案されている。例えば、特許文献1にはシリカ−チタニア複合酸化物を不均一系触媒として用いることが記載されており、特許文献2には高表面積酸化チタンを触媒として用いることが記載され、特許文献3には珪素化合物とチタン化合物の酸性溶液に塩基性化合物を加えて両成分を共沈させたシリカ−チタニア触媒を用いることが記載されている。
また、特許文献4および特許文献5に遷移金属アルコキシドと水とを反応させることによってオリゴマーを予め形成させ、表面ヒドロキシル基を有する固体支持体と混合して製造した触媒を使用することが記載され、特許文献6にはアルコキシチタンと水をケイソウ土等の担体の存在下に反応させた後、脱アルコール処理した触媒の使用が記載されている。非特許文献1にはシリカにアルコキシチタン誘導体を担持させた触媒を使用することが記載されている。
さらに特許文献7と特許文献8には、シランカップリング剤を使用して、スズ化合物を担持した触媒の使用が記載されている。
しかし、特許文献1〜3に記載されている酸化チタンやシリカ−チタニア触媒は、非常に活性が低い。また、特許文献4〜6記載の触媒ではアルコキシチタンと水とを反応させてオリゴマーを形成しており、チタン化合物の活性は大きく低下する。また、反応使用時にチタン化合物の水酸基同士の脱水縮合が起こり、チタン化合物の表面積の低下、水の生成によりエステル加水分解や反応の阻害などがおこるという問題点があった。また、非特許文献1記載の触媒も活性は不十分であった。
一般にスズ系の触媒はチタン系の触媒よりもエステル交換活性が低いことが知られており、特許文献7および特許文献8に記載のスズ触媒の活性も依然として不十分であった。
さらにこれらの文献記載の触媒は、再使用した場合にはさらに活性が大きく低下するものであった。
特公昭61−5467号公報
特開平4−266856号公報
特開平7−275701号公報
特開平6−9495号公報
特開2000−169429
特開昭62−140651号公報
特開平11−255782号公報
特表2001−506661号公報
Catal. Lett. 43,1/2,139−142(1997)
本発明は、活性が高く、また、活性の経時変化が少ない不飽和カルボン酸エステル製造用触媒およびそれを使用した、生産性の高い低コストな不飽和カルボン酸エステルの製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応をさせるにあたり、特定の調製方法で得られた触媒が高い活性を有し、活性の経時変化が少なくなることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる触媒を用いて、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行わせる不飽和カルボン酸エステルの製造方法である。
また、本発明の第2の要旨は、アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる不飽和カルボン酸エステル製造用触媒である。
本発明においては、シリカ−アルミナ中のSi/Alの原子比が1〜8であることが好ましい。
なお、Si/Alの原子比とは、
(シリカ−アルミナ全体に占めるシリカの質量比/64)/(シリカ−アルミナ全体に占めるアルミナの質量比×2/102)
で定義される値とする。
(シリカ−アルミナ全体に占めるシリカの質量比/64)/(シリカ−アルミナ全体に占めるアルミナの質量比×2/102)
で定義される値とする。
本発明の触媒は活性が高く、活性の経時変化が非常に少ない。
また、本発明の方法を使用することにより、生産性が高く低コストで目的の不飽和カルボン酸エステルが製造できる。本発明の方法は、触媒を再使用した場合にも活性が長期間維持され、高い生産性で不飽和カルボン酸を製造できるものである。
本発明は、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応させるにあたり、シリカ−アルミナにアルコキシチタンを担持させた触媒を使用することを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法である。
本発明において使用される触媒は、アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して加熱し、その後乾燥することにより調製する。
シリカ−アルミナにアルコキシチタンを担持した触媒を調製するにあたり、水が多く存在すると、アルコキシチタンの加水分解によるオリゴマー形成により、チタン化合物の活性は大きく低下するおそれがあること、また、エステル交換反応時にチタン化合物の水酸基同士の脱水縮合および水の生成が起こり、チタン化合物の表面積が低下し、エステル交換反応が阻害されるおそれがある。
これらの理由から、シリカ−アルミナにアルコキシチタンを担持した触媒を調製するにあたり、溶媒中の水の量は、アルコキシチタンに対し0.5倍モル未満とするのが好ましく、0.1倍モル未満とするのがより好ましく、0.01倍モル以下とするのがさらに好ましい。
なお、アルコキシチタンは高温で分解し、活性が著しく低下する。また、ポリチタン酸の水和水は、数百度で加熱しなければ完全に除去できないが、この温度で処理すると酸化チタンになり、活性が著しく低下する。このように、高温乾燥などの処理で触媒調製後に触媒中の水分を除去を行うことは困難なことから、本発明においては、触媒調製の際に水を極力含有させないことが望ましい。
本発明で担体として使用するシリカ−アルミナはシリカとアルミナとの複合酸化物である。例えば、非特許文献2に記載の種々のシリカ−アルミナを使用することもできるが、不純物が少ない点から合成シリカ−アルミナが好ましい。シリカ−アルミナは公知の方法で調製してもよく、また市販のものを用いても良い。
「触媒の事典」朝倉書店 2000年発行 p311
「触媒の事典」朝倉書店 2000年発行 p311
シリカ−アルミナは、酸化鉄やチタニア、ジルコニア等の金属酸化物を含んでいても良いが、その量は10質量%以下とすることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。触媒の活性の点からシリカ−アルミナ中のSi/Alの原子比は1〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、4〜6がさらに好ましい。
シリカ−アルミナを使用するにあたっては、そのまま用いても良いが、水分が吸着している場合には水分を除くために100℃以上、好ましくは120〜400℃の温度において、0.5〜24時間空気中または減圧下で加熱処理すると良い。シリカ−アルミナに水分が吸着していると、吸着水とアルコキシチタンが反応してアルコキシチタンが加水分解される可能性がある。
シリカ−アルミナ担体の細孔内にアルコキシチタンが担持され、さらに原料不飽和カルボン酸エステルや原料アルコールが細孔内に入りやすくするため、担体の平均細孔径は1nm以上であることが好ましい。細孔内で原料不飽和カルボン酸エステルや原料アルコールがより自由に移動できることから、平均細孔径は2nm以上がより好ましい。また、細孔直径が大きくなりすぎると担体の強度が著しく低下するおそれがあることから、平均細孔径は30nm以下であることが好ましく、15nm以下がより好ましい。
本発明で使用するアルコキシチタンのアルコキシ基の炭素数に特に制限はないが、炭素数1〜10が好ましい。アルコキシチタンのアルコキシ基は、全て同じものでも、二種以上のものが存在していてもよい。アルコキシチタンとしては、溶媒への溶解性、シリカ−アルミナとの結合の強さから、テトラエトキシチタン、テトライソプロピルオキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンが好ましく、テトラ−n−ブトキシチタンが特に好ましい。
アルコキシチタンの量はシリカ−アルミナに対し、0.1〜30質量%が好ましく、触媒の活性の点から、シリカ−アルミナに対し5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。アルコキシチタンの担持効率や細孔の閉塞を防止する点から、アルコキシチタンの量はシリカ−アルミナに対し25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
触媒調製の際に用いる溶媒は有機溶媒であれば特に制限はないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n一ブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、n−アミルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、n−へキシルアルコ−ル、n−へプチルアルコ−ル、n一オクチルアルコ−ル、n一ノニルアルコ−ル、n−デシルアルコ−ル、ラウリルアルコ−ル、セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、ベンジルアルコ−ル、トリフェニルカルビノ−ル、エチレングリコ−ル、1,2−プロパンジオ−ル、1,3一プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、クレゾール、フェノール、キシレノール等のアルコール系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒が好ましい。これら中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒がより好ましい。これらの溶媒は二種以上を混合しても使用してもよい。
触媒を調製する際の溶媒量は、多すぎると担持反応の進行が遅くなる傾向にあり、少なすぎると反応制御が難しくなる傾向にあるので、アルコキシチタンに対し1〜100質量倍が好ましく、より好ましくは2〜20質量倍である。
触媒の調製は、まずアルコキシチタン、シリカ−アルミナならびに溶媒または溶媒および水の混合を混合する。この際の混合の手順は特に限定されないが、アルコキシチタン、シリカ−アルミナならびに溶媒または溶媒および水を一度に仕込んで加熱してもよいし、先に溶媒または溶媒および水にアルコキシチタンを溶解させた後に、シリカ−アルミナを添加しても良く、先に溶媒または溶媒および水にシリカ−アルミナを分散させた後にアルコキシチタンを溶解させても良い。
次いで、前記混合物を加熱することにより、アルコキシチタンをシリカ−アルミナの表面上に分散させ、担持する。
加熱温度は、低すぎると担持反応が完結しなくなる傾向にあり、高すぎると触媒活性が低下する傾向にあるので、20〜150℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、50〜100℃がさらに好ましい。
加熱時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜3時間がより好ましい。
その後、溶媒を除去する。溶媒の除去の方法はろ過でも減圧で濃縮しても良い。
さらに、100〜150℃の範囲で常圧または減圧下で1〜24時間乾燥することにより、アルコキシチタンのほとんどがシリカ−アルミナと反応させ、担持を完成させることが好ましい。担持に要する時間を短くする点から、乾燥温度は120℃以上が好ましく、アルコキシチタンの変性を抑制する点から、乾燥温度は140℃以下が好ましい。
その後、担持されているアルコキシチタンのアルコキシ基と炭素数の異なるアルコールを加えて上記と同様に加熱処理することにより、アルコキシ基を変換して活性を高めることもできる。
本発明の触媒の構造はアルコキシチタンの少なくともひとつ以上のアルコキシ基が無機固体担体との酸素結合に置き換わった構造と推測される。
上記のような触媒を用いた本発明の方法は、触媒の活性が高いため短時間の反応により目的のエステルが得られることから、重合性の高い不飽和カルボン酸エステルの製造に適している。特に工業的に安価かつ容易に入手可能なメタクリル酸メチルやアクリル酸メチル等のα、β−不飽和カルボン酸エステルを原料として、エチルアルコール、ブチルアルコールや2−エチルヘキシルアルコール等のアルコールとの間でエステル交換反応を行わせ、目的とするメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルを製造するのに適している。
原料不飽和カルボン酸エステルは、特に限定されないが、例えばメタクリル酸メチルやアクリル酸メチル、メタクリル酸エチルやアクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルやアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステルが挙げられる。
原料アルコールの例として、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等のアルキルアルコール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−ブタノール等のアルコキシアルキルアルコール類、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のフェノキシアルキルアルコール類、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等のシクロアルキルアルコール類、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール等のハロアルキルアルコール類、エタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等のアミノアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、グリセロール等の多価アルコール類、ベンジルアルコール等があげられる。エステル交換反応性の点から、中でも炭素数が2〜18のものが好ましい。
本発明において、エステル交換反応は、懸濁式や流動床式などの回分反応のように、バッチごとに触媒を分離して繰り返し行う方法でもよいし、固定床式で連続して行う方法等適宜選択できる。反応装置は系外からの水分の浸入を防止する措置をすることが好ましい。
反応は液相反応、気相反応、気液混合反応のいずれでもよい。
エステル交換反応における原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールの仕込み比率は特に限定されないが、1モルの原料アルコールに対する原料不飽和カルボン酸エステル使用量は0.05〜20モルが好ましく、収率と生産性の兼ね合いから0.1〜10モルがより好ましい。
触媒の使用量は、触媒の活性、製造プロセス、生産量等から適宜決めることが出来るが、担持されたチタンのモル数が、原料アルコールに対して0.000001〜1倍モルとなる量が好ましく、コストと反応性の兼ね合いから0.00001〜0.5倍モルとなる量が好ましい。
原料不飽和カルボン酸エステルとして、重合反応を起こすエステル類、例えばメタクリル酸エステルやアクリル酸エステル等を用いる場合には、反応系内に重合防止剤を存在させることが好ましい。使用できる重合防止剤は目的の機能を有するものならば、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル系化合物等があげられる。これらの重合防止剤は1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
エステル交換反応の際は、溶媒を添加してもよい。添加することのできる溶媒としては、特に制限はないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒等があげられる。以上の溶媒は二種以上を混合しても用いてもよい。
これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、少なすぎると脱水効果がなくなるおそれがあり、多すぎると生産性が低下するおそれがあるため、原料総容量に対して0〜100倍容量が好ましく、0〜20倍容量がさらに好ましい。
エステル交換反応の少なくとも反応開始時の反応液の水分量は、触媒の活性の点から180ppm以下とすることが好ましい。
エステル交換反応の反応温度は、95〜200℃とするのが好ましい。反応速度の点から100℃以上で反応することがより好ましく、105℃以上で反応することがさらに好ましい。触媒の活性部位の安定性および副反応抑制の点から170℃以下で反応することがより好ましく、150℃以下で反応することがさらに好ましい。反応の初期または途中で95℃よりも低い温度となることがあってもよいが、95℃を下回ると活性が大きく低下するおそれがあるので、反応の間、上記温度範囲に維持することが好ましい。
エステル交換反応の反応時間は、原料や触媒の活性等の条件により異なるが、回分式の反応であれば0.1〜50時間が好ましく、操作上の観点から、0.5時間以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。生産性の観点から、反応時間は30時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。
流通式等の連続反応を行う場合は、接触時間(単位時間の流量に対する触媒の質量)は0.000001〜0.1秒・g/mlとすることが好ましく、操作上の観点から、接触時間は0.00001秒・g/ml以上とするのがより好ましく、0.0001秒・g/ml以上とするのがさらに好ましい。生産性の観点から接触時間は0.01秒・g/ml以下とするのがより好ましく、0.005秒・g/ml以下とするのがさらに好ましい。
連続式の反応装置で行う反応時間は、活性を十分向上させるためには3時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましく、10時間以上が特に好ましい。
圧力はいずれの圧力でも可能であるが、原料や溶媒の還流温度が上記温度範囲となるような圧力に調製することが好ましい。
エステル交換反応時に、副生する原料カルボン酸エステル由来のアルコールを反応系から除去することが、逆反応を抑制し、反応時間を短縮できることから好ましい。
その後、反応液の温度を下げ、反応を停止する。触媒を再使用する場合は触媒を回収し、そのまま、または乾燥して用いる。
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。実施例において比表面積はBET法で測定した。水の含有量の分析はカールフィッシャー水分計を使用した。反応液の分析はガスクロマトグラフィーを使用して行った。エステル交換反応の原料アルコールの転化率は次式により算出した。
はない。実施例において比表面積はBET法で測定した。水の含有量の分析はカールフィッシャー水分計を使用した。反応液の分析はガスクロマトグラフィーを使用して行った。エステル交換反応の原料アルコールの転化率は次式により算出した。
転化率(%)=[原料アルコールのモル数/(原料アルコールのモル数+生成エステル
のモル数)]×100
<実施例1>
触媒調製工程
テトラ−n−ブチルチタネート8.36g(24.6mmol)を水0.06g(3.3mmol:アルコキシチタンに対し0.14倍モル)を含むトルエン121gに溶解し、この中に150℃で12時間真空乾燥した粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比5.5、平均細孔直径4.4nm、比表面積430m2)42gを攪拌しながら少しずつ入れた。このスラリーを60℃に加熱して、2時間攪拌した後、溶媒を溜去し、130℃で12時間真空処理して触媒を得た。
のモル数)]×100
<実施例1>
触媒調製工程
テトラ−n−ブチルチタネート8.36g(24.6mmol)を水0.06g(3.3mmol:アルコキシチタンに対し0.14倍モル)を含むトルエン121gに溶解し、この中に150℃で12時間真空乾燥した粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比5.5、平均細孔直径4.4nm、比表面積430m2)42gを攪拌しながら少しずつ入れた。このスラリーを60℃に加熱して、2時間攪拌した後、溶媒を溜去し、130℃で12時間真空処理して触媒を得た。
脱水工程
20段オールダーショウとディーンスターク、触媒を保持する100meshのSUS製の網でできた容器を備え付けた2Lガラス製四つ口フラスコに、モレキュラーシーブを使用して脱水処理したメタクリル酸メチル(以下、MMAという)902g(9.0モル)と同様に脱水処理したn−ブタノール370g(5.0モル)、重合防止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトアミノピペリジン−N−オキシル0.15gを入れ、油浴で加熱して、MMAと水を共沸させ、ディーンスタークで水を除去して脱水を行った。除去したMMAとブタノールを補充しながら水分量を分析し、液中の水分量が30ppmになったところで、この操作を終了した。
20段オールダーショウとディーンスターク、触媒を保持する100meshのSUS製の網でできた容器を備え付けた2Lガラス製四つ口フラスコに、モレキュラーシーブを使用して脱水処理したメタクリル酸メチル(以下、MMAという)902g(9.0モル)と同様に脱水処理したn−ブタノール370g(5.0モル)、重合防止剤として2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトアミノピペリジン−N−オキシル0.15gを入れ、油浴で加熱して、MMAと水を共沸させ、ディーンスタークで水を除去して脱水を行った。除去したMMAとブタノールを補充しながら水分量を分析し、液中の水分量が30ppmになったところで、この操作を終了した。
エステル交換工程
前記工程で得られた触媒を保持用器に入れ、反応開始時の水分量を測定した。油浴で加熱して、副生するメタノールを抜き出しながら釜内温103〜135℃でエステル交換反応を行った。1時間30分後のn−ブタノール転化率を測定し、140分後にn−ブタノールの転化率が99%に達したので反応を終了し、反応液を冷却後、触媒を回収し、デシケータ中で一時間減圧し、真空のまま一晩乾燥した。(反応回数1)。
前記工程で得られた触媒を保持用器に入れ、反応開始時の水分量を測定した。油浴で加熱して、副生するメタノールを抜き出しながら釜内温103〜135℃でエステル交換反応を行った。1時間30分後のn−ブタノール転化率を測定し、140分後にn−ブタノールの転化率が99%に達したので反応を終了し、反応液を冷却後、触媒を回収し、デシケータ中で一時間減圧し、真空のまま一晩乾燥した。(反応回数1)。
粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比2.2、平均細孔直径5.6nm、比表面積350m2)を使用した以外は、実施例1と同様にして調整した触媒を用いて、実施例1と同様にして脱水、エステル交換を行った。反応開始1時間30分後の転化率を表2に示す。
<実施例3>
粒径1mmのシリカ−アルミナ(Si/Al原子比0.13、平均細孔直径4.7nm、比表面積460m2)を使用した以外は、実施例1と同様にして調整した触媒を用いて、実施例1と同様にして脱水、エステル交換を行った。反応開始1時間30分後の転化率を表3に示す。
<比較例1>
粒径1mmのシリカ(平均細孔直径5nm、比表面積370m2)を使用した以外は、実施例1と同様にして調整した触媒を用いて、実施例1と同様にして脱水、エステル交換を行った。反応開始1時間30分後の転化率を表4に示す。
<比較例2>
粒径1mmのアルミナ(平均細孔直径4.3nm、比表面積380m2)を使用した以外は、実施例1と同様にして調整した触媒を用いて、実施例1と同様にして脱水、エステル交換を行った。反応開始1時間30分後の転化率を表5に示す。
本発明の製造方法(実施例1〜3)は触媒の活性が高く、経時変化しなかった。これに対し、比較例1,2では触媒の活性が低かった。
本発明の製造方法により、触媒の再使用が可能となり、低コストで目的の不飽和カルボン酸エステルが製造できた。
Claims (2)
- アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる触媒を用いて、原料不飽和カルボン酸エステルと原料アルコールとの間でエステル交換反応を行わせる不飽和カルボン酸エステルの製造方法。
- アルコキシチタン、アルコキシチタンのモル数に対して0.5倍モル未満の水、シリカ−アルミナおよび溶媒を混合して得られる不飽和カルボン酸エステル製造用触媒。
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JP2005174059A JP2006347919A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 不飽和カルボン酸エステルの製造方法 |
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JP2005174059A JP2006347919A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 不飽和カルボン酸エステルの製造方法 |
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JP2005174059A Pending JP2006347919A (ja) | 2005-06-14 | 2005-06-14 | 不飽和カルボン酸エステルの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104667991A (zh) * | 2013-11-29 | 2015-06-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 催化湿式氧化催化剂载体的制法 |
CN104667989A (zh) * | 2013-11-29 | 2015-06-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 湿式氧化催化剂载体的制备方法 |
-
2005
- 2005-06-14 JP JP2005174059A patent/JP2006347919A/ja active Pending
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CN104667991A (zh) * | 2013-11-29 | 2015-06-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 催化湿式氧化催化剂载体的制法 |
CN104667989A (zh) * | 2013-11-29 | 2015-06-03 | 中国石油化工股份有限公司 | 湿式氧化催化剂载体的制备方法 |
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