JP2003190819A - エステル交換触媒の回収方法 - Google Patents

エステル交換触媒の回収方法

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JP2003190819A
JP2003190819A JP2002282888A JP2002282888A JP2003190819A JP 2003190819 A JP2003190819 A JP 2003190819A JP 2002282888 A JP2002282888 A JP 2002282888A JP 2002282888 A JP2002282888 A JP 2002282888A JP 2003190819 A JP2003190819 A JP 2003190819A
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ユウ・ジン
Yanshia Shuu
シュウ・ヤンシア
Masayuki Moriwaki
雅幸 森脇
Hidetomo Kai
英知 甲斐
Sansan Uu
ウー・サンサン
Fenchii Chin
チン・フェンチイ
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒を失活させることなく回収、再利用を可
能にする、エステル交換反応における触媒の回収方法を
提供する。 【解決手段】 トリチロールプロパンとアクリル酸エチ
ルとを、ClSn(CH32OSn(CH32OSn
(CH32Clに代表される錫系触媒の存在下にエステ
ル交換反応させ、次いで得られた反応粗生成物に、30
〜80℃の温水を混合して水相中に該ポリスタノキサン
(a)を抽出、回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和カルボン酸
エステル類又はポリエーテル系ポリエステルなどのエス
テル化合物をエステル交換反応により製造する際に、粗
反応生成物からエステル交換触媒を回収する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】エステル化合物は、塗料樹脂、印刷イン
キ、UV硬化性樹脂、成形樹脂、フィルム、接着剤等の
技術分野において有用な不飽和カルボン酸エステル類、
または、ポリエステル系可塑剤などの用途において有用
なポリエーテル系ポリエステルとして工業的に使用され
ている。
【0003】かかるエステル化合物は、通常、無機酸の
存在下、カルボン酸とポリオールとの直接エステル化法
にて製造されている。しかし、かかる直接エステル化法
による場合は、副反応が生じやすく、製品純度も低くな
ることが避けられないものであり、更に、過剰のカルボ
ン酸、酸触媒を使用するため反応終了後の後処理が煩雑
になるという問題があった。そこで、このような問題を
回避するためエステル交換法によるエステル化合物の製
造が検討され、近年、触媒活性に優れたエステル交換反
応触媒として有機錫化合物が注目されている。このよう
な有機錫化合物をエステル交換反応触媒として用いた技
術としては、例えば、特開平7−8277号公報には、
触媒として二塩化ジメチル錫と酸化ジアルキル錫とを併
用し、反応終了後にアルカリ又は酸で処理することによ
り、エステル交換生成物中に有害な有機錫化合物の混入
を防ぐ技術が開示され、また、特開平9−183751
号公報には、炭素原子数4以下のアルキル基を置換基と
して有するポリスタノキサン化合物を触媒として用い、
かつ、反応終了後にアルカリ又は酸で処理することによ
り、エステル交換生成物中に有害な有機錫化合物の混入
を防ぎ、工業的規模での生産を可能にする技術が開示さ
れている。
【0004】しかしながら、上記特開平7−8277号
公報や特開平9−183751号公報に開示された技術
は、粗反応生成物をアルカリ又は酸で処理する工程を要
し、これにより触媒を完全に分解させて反応生成物中へ
の有機錫化合物の混入を防止するものであって、触媒の
回収は全く不可能であり生産コストの増大を招いてい
た。即ち、エステル交換反応において触媒活性に優れる
錫系触媒を用いた場合、使用済触媒を回収する手段はこ
れまで全くないのが現状であった。
【0005】
【特許文献1】特開平7−8277号公報
【特許文献2】特開平9−183751号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明が解決し
ようとする課題は、触媒活性に優れたエステル交換触媒
を用いながらも、触媒活性を失活させることなく前記エ
ステル交換触媒を回収できるエステル交換触媒の回収方
法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エステル交換反応に
おいて特定構造のポリスタノキサン化合物をエステル交
換触媒として用い、かつ、反応終了後において、粗反応
生成物から該エステル交換触媒を水で抽出することによ
り、触媒活性を失活させることなくかつ良好な回収率で
該エステル交換触媒を回収できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、下記一般式(1)
【化2】
【0009】(式中、Rはメチル基又はエチル基、X
は、それぞれ独立的に、Snと結合する原子上に孤立電
子対を有する電子吸引性基を、nは1〜8の整数を表
す。)で表されるポリスタノキサンをエステル交換触媒
として用いて、アルコールとカルボン酸エステルとをエ
ステル交換反応させた後、得られた粗反応生成物から前
記ポリスタノキサンを水で抽出することにより回収する
ことを特徴とするエステル交換触媒の回収方法に関す
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いるエステル交換触媒
は、下記一般式(1)
【化3】
【0011】(式中、Rはメチル基又はエチル基、Xは
それぞれ独立的にSnと結合する原子上に孤立電子対を
有す電子吸引性基を、nは1〜8の整数を表す。)で表
されるポリスタノキサンであり、優れた触媒活性を発現
するものである。本発明では、かかるポリスタノキサン
を用いることにより、エステル交換反応における収率が
良好になると共に、優れた触媒活性を保持したまま前記
エステル交換触媒の回収が可能となる。更に、該エステ
ル交換触媒を粗反応生成物から回収する際、水で容易に
抽出できる他、回収効率も優れたものとなる。
【0012】尚、前記一般式(1)中の、Snと結合す
る原子上に孤立電子対を有す電子吸引性基としては、塩
素原子、臭素原子又はフッ素原子から選択されるハロゲ
ン原子、炭素原子数1〜4のアシルオキシ基、水酸基、
チオール基、チオシアン酸基等が挙げられる。
【0013】このような一般式(1)で示されるポリス
タノキサンの中でも特に一般式(1)中n=1又は2の
ものが、抽出時の水への溶解性が良好となる点から好ま
しく、また、同様に水への溶解性に優れる点からRがメ
チル基であることが好ましい。
【0014】更に、一般式(1)中、触媒活性に優れる
点から、Xは、ハロゲン原子、アシルオキシ基、又はチ
オシアン酸基であることが好ましい。
【0015】従って、本発明で用いるポリスタノキサン
としては、一般式(1)中Rがメチル基であり、かつ、
Xがハロゲン原子、アシルオキシ基、又はチオシアン酸
基であるジスタノキサン化合物、又はトリスタノキサン
が好ましい。
【0016】かかるジスタノキサン化合物としては、C
l(CH32SnOSn(CH32Cl、Cl(C
32SnOSn(CH32OCOCH3、Cl(C
32SnOSn(CH32OCH3、CH3OCO(C
32SnOSn(CH32OCOCH3、Cl(C
32SnOSn(CH32OCOCH2CH3Cl(C
32SnOSn(CH32SCN、NCS(CH32
SnOSn(CH32SCNが挙げられ、トリスタノキ
サン化合物としては、Cl(Sn(CH32O)2Sn
(CH32Cl、Cl(Sn(CH32O)2Sn(C
32OCOCH3、Cl(Sn(CH32O)2Sn
(CH32OCH3、CH3OCO(Sn(CH32O)
2Sn(CH32OCOCH3、Cl(Sn(CH3
2O)2Sn(CH32OCOCH2CH3Cl(Sn(C
32O)2Sn(CH32SCN、NCS(Sn(C
32O)2Sn(CH32SCN、が挙げられる。
【0017】また、ジスタノキサン化合物よりもトリス
タノキサン化合物の方が、水中での安定性が良好であり
水中で加水分解され難くなる他、生成物中の残存有機錫
化合物量を低減でき、更に触媒の回収率が高まる点から
好ましい。
【0018】更に、前記トリスタノキサン化合物は、エ
ステル交換反応を行う際、下記一般式(2)
【0019】
【化4】 (Rはメチル基又はエチル基、Xは、それぞれ独立的
に、Snと結合する原子上に孤立電子対を有す電子吸引
性基を表す。)で示される錫化合物と、アルカリとを仕
込み、エステル交換反応時にその場でトリスタノキサン
化合物を形成するように使用してもよい。
【0020】かかる一般式(2)で示される錫化合物と
しては、具体的には、Cl2Sn(CH32、Br2Sn
(CH32、I2Sn(CH32、ClSn(CH32
OH、ClSn(CH32SH、Cl2Sn(C
252、Cl(CH3OCO)Sn(CH32、Cl
(CH3CH3OCO)Sn(CH32、Cl(NCS)
Sn(CH32、で示されるものが好ましく、また、ア
ルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化カルシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土
類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、カリウムメ
トキシド、カルシウムメトキシド等のアルカリ金属若し
くはアルカリ土類金属のアルコキシド、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム等の炭酸塩が挙げられる。
【0021】次に、エステル交換反応に用いるアルコー
ルとしては、目的とするエステル化合物の用途に応じ適
宜選択すればよく、脂肪族アルコール、脂環族アルコー
ル、芳香族アルコール又はポリオールなどが挙げられ
る。また、これらのアルコールは飽和であっても不飽和
であっても良く、該アルコールを構成する炭素原子数
は、通常、1〜30である。
【0022】更に、前記アルコールは、前記した通り目
的に併せて適宜選択し得るが、工業的には1価〜4価又
は6価のアルコールを用いることができる。
【0023】1価アルコールとしては、例えば下記構造
式 HO−(R2O)n−R3 (式中、R2は炭素数2〜8のアルキレン基、R3は炭素
数1〜18のアルキル基又はアリール基、nは1〜30
の整数である。)で示されるアルキレングリコールモノ
アルキルエーテル、及びフルフリルアルコール、テトラ
ヒドロフリルアルコール、ベンジルアルコール、2−フ
ェノキシエタノール、シクロヘキサノール、アリルアル
コール、キシロース等、またヒドロキシルアミン類など
の含窒素アルコール、及びヒドロキシアルキルピリジ
ン、N−(ヒドロキシアルキル)ピペリジン、N−(ヒ
ドロキシアルキル)ピペラジン等の窒素複素環含有ヒド
ロキシアルキル化合物が挙げられる。
【0024】2価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、ブタンジオール、ペンタ
ンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デ
カンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオー
ル、ヘキサデカンジオール、オクタデカンジオール、シ
クロヘキサンジオール、シクロデカンジオール、トリシ
クロデカンジオール、ブチンジオール、ブテンジオー
ル、ヘキセンジオール、オクテンジオール、デセンジオ
ール、ポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0025】3価アルコールとしては、ヘキサントリオ
ール、オクタントリオール、デカントリオール、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、エチルオキ
シルトリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、
グリセリンが挙げられる。
【0026】4価アルコールは、ペンタエリスリトー
ル、ジトリメチロールプロパン、ヘキシトール、ソルビ
トール、マンニトール等が挙げられる。
【0027】6価のアルコールとしては、ジペンタエリ
スリトールが挙げられる。
【0028】これらのなかでも、2価〜4価又は6価の
アルコールが多官能モノマー原料としてとりわけ有用で
ある。即ち、このような多価のアルコールを、(メタ)
アクリレートのような不飽和カルボン酸エステルとエス
テル交換反応させて得られるエステル化合物は、ポリマ
ー架橋に有効な多官能モノマーとして極めて有用であ
る。更に、前記ポリスタノキサンは、かかるエステル交
換反応において優れた活性を示し、目的物が高い収率、
純度で得られる、という特徴を有する。また、本発明に
おいてはこのような多価のアルコールと不飽和カルボン
酸エステルとエステル交換反応させても殆どゲル化を生
ずることがないことは特筆すべき点である。
【0029】次に、エステル交換反応において前記アル
コールと反応させるカルボン酸アルキルエステルは、各
種の飽和又は不飽和のカルボン酸エステルを用いること
ができるが、多官能モノマーの原料として有効である点
から(メタ)アクリレートが好ましい。かかる(メタ)
アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート
が挙げられる。本発明の工程(I)においては、前記し
た通りこれらの(メタ)アクリレートを用いてもエステ
ル交換反応時において(メタ)アクリレート同士の重合
が殆ど生じないという特徴を有する。
【0030】本発明におけるエステル交換反応は、溶媒
の存在下或いは非存在下でも行うことができるが、エス
テル交換反応は、可逆反応ゆえにに生成アルコールを系
外に除去することが望ましく、そのため生成アルコール
と共沸可能な有機溶媒を用いることが好ましい。
【0031】かかる溶媒の使用量は、特に制限されるも
のではないが、エステル交換反応の反応物に影響を与え
ない範囲、具体的には、出発原料の約5〜50質量%、
なかでも10〜30質量%なる範囲が好ましい。
【0032】ここで用いる有機溶媒は炭素原子数4〜1
0の脂肪族若しくは脂環式の炭化水素、又はその混合物
が挙げられる。具体的には、n−ペンタン、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメンなどが
挙げられる。これらの炭化水素系溶媒の中でも、n−ヘ
キサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエンなど
が好ましい。これらの炭化水素系溶剤は共沸により回収
され、さらに水でアルコールを抽出することにより回収
できる。
【0033】また、上記補助溶媒を使用するのみなら
ず、不活性で且つ高沸点の溶媒を添加することにより反
応速度を高めることができる。
【0034】エステル交換反応においては、前記した通
り不飽和カルボン酸アルキルエステル、又は不飽和アル
コールを用いる場合であっても、単量体の自己重合を生
じ難いという特徴を有するが、該重合を完全に抑制する
ため重合禁止剤を併用してもよい。
【0035】ここで用いる重合禁止剤は、例えばベンゾ
キノン、ハイドロキノン、カテコール、ジフェニルベン
ゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ナフト
キノン、t−ブチルカテコール、t−ブチルフェノー
ル、ジメチル−t−ブチルフェノール、t−ブチルクレ
ゾール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0036】重合禁止剤の使用量は、反応生成物たるエ
ステル化合物や、原料成分の量に依存するが、反応生成
物に対して、通常、質量基準で5〜10000ppm、
特に20〜7000ppmなる範囲であることが好まし
い。
【0037】上記エステル交換反応は、大気圧で行うこ
とができる。また、反応温度条件は用いる原料や反応溶
媒によって適宜選択できるが、20〜150℃であるこ
とが好ましい。即ち、20℃以上の温度条件下ではエス
テル交換反応における反応速度が飛躍的に向上し、ま
た、150℃以下の温度条件下では副反応を抑制でき
る。但し、原料として(メタ)アクリレートを用いる場
合には不飽和基の重合を抑制する点から70〜120℃
であることが好ましい。
【0038】また、前記カルボン酸アルキルエステルと
して(メタ)アクリレートを用いる場合には、エステル
交換反応を、酸素含有気体雰囲気下で、或いは反応液面
又は反応液中に酸素含有気体を連続的に導入しながら行
うことが、(メタ)アクリレートの重合を良好に抑制で
きる点から好ましい。ここで、酸素含有気体は、空気で
あっても構わないが、容積基準で酸素含有率が高くなる
と引火爆発の虞が生じる他、生成物の着色を招く虞も生
じるため、酸素含有率5〜13体積%の気体であること
が好ましい。かかる酸素含有率5〜13体積%の気体
は、例えば、空気又は酸素と、不活性ガスとを当該条件
を満たすような割合で混合することにより調整できる。
ここで、不活性ガスとしては窒素、アルゴン等が挙げら
れる。
【0039】反応液面又は反応液中に酸素含有気体を連
続的に導入する際の流量は、原料(メタ)アクリレート
1モルに対して0.1〜30mL/分である。
【0040】また、反応液中に酸素含有気体を連続的に
導入する場合は、反応液中になるべく微細な気泡となる
ように吹き込むと重合防止効果の効率が高くなる点で好
ましい。
【0041】更に、原料として(メタ)アクリレートを
用いる場合は、生成物の着色防止の観点から反応系内に
着色防止剤を加え、エステル交換反応を行うことが望ま
しい。かかる着色防止剤としては、トリメチルホスフェ
ート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェー
トなどのトリアルキルエステル、ジブチルブチルホスホ
ネートなどのホスホン酸有機エステル、ジブチル水素ホ
スファイトなどの亜リン酸の有機エステル、亜リン酸、
ポリリン酸などの無機リン化合物、トリフェニルホスフ
ァイトが挙げられる。これらの中でも特に着色防止効果
に優れる点から亜リン酸、又は亜リン酸の有機エステル
が好ましい。
【0042】かかる着色防止剤の使用量としては、エス
テル交換反応の目的物たるエステル化合物100質量部
に対して0.01〜3質量部となる割合であることが望
ましい。
【0043】また、エステル交換反応において、アルコ
ールとカルボン酸エステルとの使用割合は、特に制限さ
れるものではないが、カルボン酸エステルのアルコール
に対するモル比として、通常1以上であり、なかでも、
カルボン酸エステルのアルコール類の水酸基に対するモ
ル比で1.1:1から10:1の範囲であることが好ま
しい。
【0044】本発明における前記エステル交換反応は、
具体的には以下の方法により行うことができる。
【0045】即ち、先ず所定量のアルコールとカルボン
酸エステルとを温度計、攪拌機、分留管及び乾燥空気の
導入管を備えた反応器に仕込み、次に、適切な量の触
媒、重合禁止剤、並びに必要に応じて溶媒及び着色防止
剤を反応混合物中に添加し、反応混合物を攪拌しなが
ら、上記した適切な温度範囲で、通常は反応系の還流温
度まで加熱する方法が挙げられる。ここで、反応混合物
を攪拌しながら、反応を完結させる為に、反応中にエス
テル交換反応により生じるアルコールを過剰のカルボン
酸エステル又は反応溶媒との共沸物として、分留管によ
り除去することが望ましい。
【0046】また、前記カルボン酸エステルとして(メ
タ)アクリレートを用いる場合には、(メタ)アクリレ
ートを系内に加えながら反応を行うことが重合防止の点
から好ましい。
【0047】エステル交換反応中は、反応混合物中の目
的生成物の含量をガスクロマトグラフィー分析等により
追跡し、目的物たるエステル化合物の含有率が90質量
%以上になるまで反応を続けることが望ましい。反応時
間は、特に制限されないが、通常6〜40時間である。
【0048】反応終了後、該反応液を粗反応生成物とし
て次の水で抽出する工程に供してもよいし、また、過剰
の原料カルボン酸エステル又は反応溶媒を反応器内から
留去後、その残渣を粗反応生成物としてもよい。或い
は、過剰の原料カルボン酸エステル又は反応溶媒を反応
器内から留去した後、少量の不活性な溶剤、例えばトル
エンやヘプタンを加えて粗反応生成物としてもよい。
【0049】このようにして得られた粗反応生成物か
ら、前記ポリスタノキサンを水で抽出する方法は、前記
粗反応生成物に所定量の水を混合し、水層中に前記ポリ
スタノキサンを移行させ、該水層から前記ポリスタノキ
サンを回収する工程である。ここで用いる水は、30〜
80℃の温水であることが、良好に水層中にポリスタノ
キサンを移行させることができ、抽出効率が良好となる
点から好ましい。
【0050】水を粗反応生成物に混合する抽出作業は、
該反応生成物に対して1回のみ行ってもよいが、複数回
の抽出作業を行ってもよい。ここで用いる水の使用量は
特に制限されるものではないが、1回の抽出に使用する
量としては、質量基準で、ポリスタノキサンに対して4
0〜80倍量であることが抽出効率に優れる点から好ま
しい。また、抽出回数を増やすほど触媒の回収率は高く
なるが、本発明では、良好に反応生成物中から触媒を水
層に移行させることができるため、例えば、3〜10回
の抽出で70〜90質量%の回収率となる。
【0051】また、抽出作業は、具体的には分液漏斗や
抜き出し口を備えた反応容器等により行うことができ
る。抽出時間は、作業を行うスケールにより異なるが、
効率的に抽出作業を行うには、5〜30分間で混合を行
い、その後10〜40分間静置することが好ましい。ま
た、抽出効率を高めるために、系内の温度を30〜80
℃の温度範囲に維持することが好ましい。
【0052】また、原料モノマーとして(メタ)アクリ
ルレートを用いる場合には、モノマー重合防止の観点か
ら加熱時、混合液に空気或いは酸素気体を導入すること
が好ましい。
【0053】次いで、水層のみを分離し、かかる水層中
から前記ポリスタノキサンを単離することで目的とする
エステル交換触媒が回収される。具体的な単離方法は、
分離した水層を加熱濃縮して固形分10質量%以上の水
溶液とした後、水と共沸可能な有機溶媒を加え、水分を
共沸により除去することにより、目的とする触媒を得る
方法が挙げられる。ここで、使用し得る有機溶媒は、へ
キサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素やベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙
げられる。
【0054】また、共沸による水分の除去はデカント脱
水により行うことが望ましい。特に、原料モノマーとし
て(メタ)アクリルレートを用いる場合には、系内、或
いはデカンター内の有機溶媒に前記した重合禁止剤を加
えることが、未反応の原料(メタ)アクリルレートや、
エステル交換反応生成物たる(メタ)アクリル酸エステ
ルの重合を抑制できる点から好ましい。ここで加える重
合禁止剤の量は、前記した加熱濃縮して得られた固形分
10質量%以上の水溶液の質量に対して質量基準で1〜
100ppmである。
【0055】更に、この脱水時の温度条件及び圧力条件
は、エステル交換反応の原料成分により適宜選択すれば
よいが、原料モノマーとして(メタ)アクリルレートを
用い、かつ、上記デカント脱水を行う場合には、脱水効
率と未反応モノマーの重合抑制の点から50〜70℃、
1〜35kPaであることが好ましい。
【0056】このようにして回収されたエステル交換触
媒は、殆ど触媒活性を失活することなく優れた活性を保
持しており、再度、エステル交換反応の触媒として利用
することができる。このような回収されたエステル交換
触媒を用いてアルコールとカルボン酸エステルとをエス
テル交換反応させた場合であっても、目的物であるエス
テル化合物を収率よく得ることができる。また、回収さ
れたエステル交換触媒を用いて2価〜4価のアルコール
類と、(メタ)アクリレートとを反応させた場合にも優
れた収率および選択率で、目的とするエステル化合物が
得られる。本発明では、エステル交換触媒の回収効率が
良好であることから、エステル交換触媒の回収、再利用
により3回以上のエステル交換反応を行っても良好な収
率及び選択率で目的とするエステル化合物が得られる。
【0057】一方、水を粗反応生成物に混合した際に形
成される有機層には、生成物たるエステル化合物が含ま
れる。このようにして得られたエステル化合物中は、有
機錫化合物の含有量が充分低減されている。しかしなが
ら、該有機層から有機錫化合物を完全に除去するために
は、該有機層をアルカリで処理することが好ましい。こ
こで使用し得るアルカリは、例えば水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属若
しくはアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキ
シド、カリウムメトキシド、カルシウムメトキシド等の
アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシ
ド、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩などが
挙げられる。処理を行う方法は、特に制限されないが、
質量基準で前記有機層の0.5〜2倍量の5〜25質量
%水溶液を前記有機層に加え、充分に攪拌した後、水層
を分離することにより行うことができる。
【0058】次に、かかる有機層から生成物たるエステ
ル化合物を単離する方法は、例えば有機溶媒を留去する
方法が好ましい。また、前記カルボン酸アルキルエステ
ルとして(メタ)アクリルレートを用いる場合は、生成
物の重合反応を抑制するため、通常減圧下、重合防止剤
を添加して実施することが好ましく、この際、酸素含有
率5〜13体積%の不活性ガス雰囲気下で行うことが好
ましい。
【0059】ここで用いる重合防止剤は、前記したもの
が何れも使用できるが、変性着色が無い点においてメト
キノンが特に好ましく用いられる。その添加量は、得ら
れた(メタ)アクリル酸エステルの種類にもよるが、通
常有機層を構成する溶液に対して質量基準で5〜500
0ppm、好ましくは50〜2500ppmである。
【0060】反応生成物であるエステル化合物は、特に
前記カルボン酸アルキルエステルとして(メタ)アクリ
レートを用いた場合には、α,β−不飽和結合を有する
脂肪族、脂環式族のエステル化合物となる。かかるエス
テル化合物は活性エネルギー線、熱、ラジカル重合開始
剤などにより重合する、所謂、反応性モノマーとして有
用であり、よって本発明はこのような反応性モノマーの
製造に適用することがとりわけ好ましい。
【0061】また、本発明のエステル交換触媒の回収方
法は、反応性モノマーの製造のみならず、例えば、塗料
樹脂、印刷インキ、UV硬化性樹脂、成形樹脂、フィル
ム、接着剤等の技術分野において有用な不飽和カルボン
酸エステル類の製造、また、ポリエステル系可塑剤など
の用途において有用なポリエーテル系ポリエステルの製
造にも適用できる。
【0062】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0063】尚、以下の実施例及び比較例において用い
た、ガスクロマトグラフィーによる純度分析法は以下の
通りである。 [ガスクロマトグラフィー装置:バリアン社製3800
型GC,又はヒューレットパッカード社製6890型ガ
スクロマトグラフィー装置 GCカラム:30mDB−1(メチルシリコンキャピラ
リカラム)、 注入部温度:300℃、 カラム温度:150〜300℃(昇温速度:15℃/
分)、 検出器:水素炎イオン化検出器、 検出部温度:300℃、キャリアガス:N2ガス1.8
mL/分。]
【0064】実施例1 へキシルアルコールの10g、アクリル酸メチルの40
mL、触媒として「工業化学雑誌、第73巻、1010
〜1013ページ(1970年)」に記載の通り合成後
元素分析値により同定したClSn(CH32OSn
(CH32OSn(CH32Clの0.3g、重合禁止
剤としてp−メトキシフェノールの0.4gを用い、こ
れらを攪拌機と空気導入管と温度計と分留カラム付けの
フラスコに加え、空気導入速度は25mL/分とし、攪
拌速度を300rpmにし、80℃の反応温度で反応させ
た。反応の進行はGCにより追跡した。反応開始から2
時間後アクリル酸ヘキシルの含量は96.5%となっ
た。
【0065】反応終了後、過剰なアクリル酸メチルを減
圧蒸留により除去し、残査に30mLの温水(70〜8
0℃)を加え、10分間攪拌した後、混合物を分液漏斗
に移し、20分静置した後、有機層と水層を分離した。
【0066】この有機層を再度分液漏斗に戻して、同様
にして抽出操作を行った。この抽出操作を5回行った
後、抽出に用いた水層を纏め、80℃で減圧蒸留により
水を除去し、少量のトルエンを加え、共沸蒸留にて脱水
して白い固体の触媒を回収した。
【0067】回収した触媒を用い、同様の操作にてエス
テル交換反応(第2回目の反応)を行った。次いで同様
にして白色固体の触媒を回収し、この回収した触媒を用
いて再度エステル交換反応(第3回目の反応)を行っ
た。各反応における反応時間及び反応生成物中の目的物
含有量を下記表に示した。
【0068】
【表1】
【0069】実施例2 トリチロールプロパン(TMP)の403g、アクリル
酸エチルの1800g、触媒としてCl(CH32Sn
OSn(CH32Clの6.03g、p−メトキシフェ
ノールの2.2gを用い、これらを攪拌機と気体導入管
と温度計及び分留カラム付きの3Lフラスコに加え、空
気の流量を60mL/分とし、攪拌速度は300rpmに
し、100℃の反応温度で反応させ、2時間間隔で反応
を追跡した。12時間後、系内のトリチロールプロパン
トリアクリレート(TMPTA)の含有量が89.8%
となった。また、この際、分留カラム管に触媒の分解物
である錫を含有する白色固体が少量付着していた。
【0070】反応終了後、過剰のアクリル酸エチルを減
圧蒸留により除去し、残渣に100gのヘプタンを加
え、次いで、70〜80℃の温水300gを加え、10
分間、80℃で攪拌した。この混合液を分液漏斗に移
し、20分間静置した後、有機層と水層とを分離した。
この有機層を再度分液漏斗に戻して、同様にして抽出操
作を行った。この抽出操作を5回行った後、洗浄に用い
た水層を纏めた。デカンターを備えた3Lの反応容器に
この水溶液を移し、更にp−メトキシフェノール14.
8mgを添加し、50〜55℃で減圧蒸留により130
0gの水を留去した。その後、フラスコ内に300gの
トルエンを添加し、デカント脱水により、残りの水およ
びトルエンを55〜70℃で減圧にて留去し、白色固体
の触媒を回収した。
【0071】一方、分離した有機層に、60℃の10%
水酸化ナトリウム水溶液300gを加え、分液漏斗中で
10分間振とうし、20分間静置した後、有機層と水層
とを分離した。残った有機層にあらたに、60℃の10
%水酸化ナトリウム水溶液300gを加え、同様にして
洗浄操作を行った。次に、分離した有機層に、60℃の
10%硫酸ナトリウム水溶液300gを加え、分液漏斗
中で10分間振とうし、20分間静置した後、有機層と
水層とを分離した。残った有機層にあらたに、60℃の
10%硫酸ナトリウム水溶液300gを加え、同様にし
て洗浄操作を行った。得られた有機層にp−メトキシフ
ェノール0.08gを加え、濃縮してエステル化合物を
得た。該エステル化合物に残存する錫の濃度を測定した
ところ、178ppmであった。該エステル化合物中の
トリメチロールプロパントリアクリレートの純度、及
び、原料トリメチロールの質量を基準にしたトリメチロ
ールプロパントリアクリレートの収率を下記表に示す。
【0072】回収した触媒を用い、同様の操作にてエス
テル交換反応(第2回目の反応)を行った。次いで同様
にして白色固体の触媒を回収し、この回収した触媒を用
いて再度エステル交換反応(第3回目の反応)を行っ
た。各反応における反応時間及びエステル化合物のGC
分析結果、トリメチロールプロパントリアクリレートの
収率を下記表に示す。
【0073】
【表2】
【0074】実施例3 トリチロールプロパン(TMP)の20g、アクリル酸
エチルの80mL、触媒として(CH32SnCl2
1.0g、NaOMeの0.5g、p−メトキシフェノ
ールの0.4gを用い、これらを攪拌機と気体導入管と
温度計及び分留カラム付けの250mLフラスコに加
え、空気を流量25mL/分で系内に導入しながら、攪
拌速度300rpm、100℃の反応温度で反応させた。
反応中、2時間間隔で反応を追跡した。8時間後、系内
のトリチロールプロパントリアクリレート(TMPT
A)の含有量が95.9質量%となり、反応を終了させ
た。
【0075】反応終了後、過剰のアクリル酸エチルを減
圧蒸留により除去し、残渣に50mLのヘプタンを加
え、次いで、70〜80℃の温水50mLを加え、10
分間攪拌した。この混合液を分液漏斗に移し、20分間
静置した後、有機層と水層とを分離した。この有機層を
再度分液漏斗に戻して、同様にして抽出操作を行った。
この抽出操作を5回行った後、洗浄に用いた水層を纏
め、80℃で減圧蒸留により水分を留去した。その後、
少量のトルエンを加え、共沸蒸留により脱水して白色固
体の触媒を回収した。
【0076】一方、分離した有機層に、60℃の10%
水酸化ナトリウム水溶液20gを加え、分液漏斗中で1
0分間振とうし、20分間静置した後、有機層と水層と
を分離した。残った有機層にあらたに、60℃の10%
水酸化ナトリウム水溶液20gを加え、同様にして洗浄
操作を行った。次に、分離した有機層に、60℃の10
%硫酸ナトリウム水溶液20gを加え、分液漏斗中で1
0分間振とうし、20分間静置した後、有機層と水層と
を分離した。残った有機層にあらたに、60℃の10%
硫酸ナトリウム水溶液20gを加え、同様にして洗浄操
作を行った。得られた有機層にp−メトキシフェノール
4mgを加え、濃縮してエステル化合物を得た。該エス
テル化合物中のトリメチロールプロパントリアクリレー
トの純度を下記表に示す。
【0077】回収した触媒を用い、同様の操作にてエス
テル交換反応(第2回目の反応)を行った。次いで同様
にして白色固体の触媒を回収し、この回収した触媒を用
いて再度エステル交換反応(第3回目の反応)を行っ
た。各反応における反応時間及びエステル化合物中のG
C分析結果を下記表に示した。
【0078】
【表3】
【0079】実施例4 トリチロールプロパン(TMP)の402g、アクリル
酸エチルの1800g、触媒として実施例1と同様にし
て製造したClSn(CH32OSn(CH32OSn
(CH32Clの6.03g、p−メトキシフェノール
の7.4gを用い、これらを攪拌機と乾燥空気導入管と
温度計及び分留カラム付けの3Lフラスコに加え、空気
を流量60mL/分で系内に導入しながら、攪拌速度3
00rpm、100〜110℃の反応温度で反応させた。
反応中、2時間間隔で反応を追跡した。8時間後、系内
のトリチロールプロパントリアクリレート(TMPT
A)の含有量が91.7質量%となり、反応を終了させ
た。
【0080】反応終了後、過剰のアクリル酸エチルを減
圧蒸留により除去し、残渣に100gのヘプタンを加
え、次いで、70〜80℃の温水300gを加え、10
分間、80℃で撹拌した。20分間静置した後、分離し
た水層をフラスコ底部より取り出し、残った有機層にあ
らたに70〜80℃の温水300gを加え、同様にして
抽出操作を行った。この抽出操作を5回行った後、洗浄
に用いた水層を纏めた。このときの水溶液の質量は14
80gであった。デカンターを備えた3Lの反応容器に
この水溶液を移し、更にp−メトキシフェノール14.
8mgを添加し、50〜55℃で減圧蒸留により130
0gの水を留去した。その後、フラスコ内に300gの
トルエンを添加し、デカント脱水により、残りの水およ
びトルエンを55〜70℃で減圧にて留去し、白色固体
の触媒を回収した。
【0081】一方、分離した有機層に、10%水酸化ナ
トリウム水溶液300gを加え、60℃で10分間撹拌
したのち20分間静置した。分離した水層をフラスコ底
部より取り出し、残った有機層にあらたに10%水酸化
ナトリウム水溶液300gを加え、同様にして洗浄操作
を行った。次に、有機層に10%硫酸ナトリウム水溶液
300gを加え、60℃で10分間撹拌したのち20分
間静置した。分離した水層をフラスコ底部より取り出
し、残った有機層にあらたに10%硫酸ナトリウム水溶
液300gを加え、同様にして洗浄操作を行った。得ら
れた有機層にp−メトキシフェノール0.08gを加
え、濃縮してエステル化合物を得た。該エステル化合物
に残存する錫の濃度を測定したところ、3.7ppmで
あった。該エステル化合物中のトリメチロールプロパン
トリアクリレートの純度、及び、原料トリメチロールの
質量を基準にしたトリメチロールプロパントリアクリレ
ートの収率を下記表に示す。
【0082】回収した触媒を用い、同様の操作にてエス
テル交換反応(第2回目の反応)を行った。次いで同様
にして白色固体の触媒を回収し、この回収した触媒を用
いて再度エステル交換反応(第3回目の反応)を行っ
た。各反応における反応時間及びエステル化合物中のG
C分析結果、トリメチロールプロパントリアクリレート
の収率を下記表に示した。
【0083】
【表4】
【0084】実施例2及び4では、実施例1及び3に比
べ大幅スケールアップしたにも拘わらず回収触媒の活性
低下は認められず、また、粗反応生成物中の純度は、1
回〜3回の何れも90%以上であり、収率も良好であっ
た。
【0085】比較例1 実施例3と同様の操作にてエステル交換反応を行った。
反応終了後、過剰のアクリル酸エチルを減圧蒸留により
除去し、残渣に50mLのヘプタンを加え、次いで、こ
の溶液を10%の水酸化ナトリウム水溶液20gで反応
溶液を2回洗浄した。その後、実施例3と同様の操作に
て、有機層からの触媒の温水抽出を試みたが、触媒の回
収はできなかった。
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、触媒活性に優れたエス
テル交換触媒を用いながらも、触媒活性を失活させるこ
となく前記エステル交換触媒を回収できるエステル交換
触媒の回収方法を提供できる。
【0087】また、本発明の回収方法で回収されるエス
テル交換触媒は、不飽和カルボン酸エステルの製造にお
いて単量体の重合を抑制できるという特徴を有するた
め、本発明の回収方法は、塗料樹脂、印刷インキ、UV
硬化性樹脂、成形樹脂、フィルム、接着剤等の技術分野
において有用な不飽和カルボン酸エステルの製造に好ま
しく適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 甲斐 英知 ドイツ連邦共和国 ベルリン市 ヘッベル シュトラッセ 2 10585 (72)発明者 ウー・サンサン 中華人民共和国山東省青島市ドングアン路 2号301 (72)発明者 チン・フェンチイ 中華人民共和国山東省青島市北区ヤンジョ ウ路12 Fターム(参考) 4G069 AA06 AA10 BA27B BC22A BC22B BD12A BD12B BE01B BE46B CB25 CB61 DA02 GA09 4H006 AA02 AC48 BA11 BA67 BD36 KA03 4H039 CA66 CD90 CE90

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rはメチル基又はエチル基、Xはそれぞれ独立
    的にSnと結合する原子上に孤立電子対を有する電子吸
    引性基を、nは1〜8の整数を表す。)で表されるポリ
    スタノキサンをエステル交換触媒として用いて、アルコ
    ールとカルボン酸エステルとをエステル交換反応させた
    後、 得られた粗反応生成物から前記ポリスタノキサンを水で
    抽出することにより回収することを特徴とするエステル
    交換触媒の回収方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリスタノキサンが、一般式(1)
    中、Rがメチル基であり、かつ、nが1又は2の整数で
    ある化合物である請求項1記載の回収方法。
  3. 【請求項3】 前記アルコールが2価〜4価のアルコー
    ル類であって、かつ、前記カルボン酸エステルが(メ
    タ)アクリレートである請求項1又は2記載のエステル
    交換触媒の回収方法。
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