JP6107205B2 - ハブ輪の製造方法および車両用軸受装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハブ輪の製造方法および車両用軸受装置の製造方法に関する。
従来の車両用軸受装置は、ハブ輪を有する。ハブ輪は、フランジ部を有する。フランジ部は、ボルト孔およびアウタ面を有する。ボルト孔は、ブレーキロータと固定するためのボルトが圧入されている。アウタ面は、車軸方向において車外側の面として形成されている。アウタ面は、ブレーキロータと接触する。なお、特許文献1は、従来の車両用軸受装置の一例を開示している。
特開平11−182538号公報
従来の車両用軸受装置は、ボルト孔にボルトが圧入されている。このため、アウタ面は、圧入により歪んでいることがある。このため、フランジ振れが生じるおそれがある。
本発明は、以上の背景をもとに創作されたものであり、フランジ振れを抑制することができるハブ輪の製造方法および車両用軸受装置の製造方法を提供することを目的とする。
本手段は、「ハブ輪の製造方法であって、前記ハブ輪の製造方法により製造された前記ハブ輪は、フランジ部および軸体部、およびシール対向面を有し、前記軸体部は、段差面を有し、前記フランジ部は、ボルト孔、アウタ面、およびボルトを有し、前記軸体部の外周に形成され、前記ボルトは、前記ボルト孔に圧入され、前記アウタ面は、前記フランジ部において車軸方向の車外側の面を形成し、前記ハブ輪の製造方法は、ボルト圧入工程、基準面加工工程、およびアウタ面加工工程を有し、前記ボルト圧入工程は、前記ボルトを前記ボルト孔に圧入し、前記基準面加工工程は、前記シール対向面から前記段差面までの部分に研磨加工を施すことにより、前記車軸方向と直交または平行する基準面を前記軸体部に形成し、前記アウタ面加工工程は、前記軸体部が回転装置により車体側から支持されると共に、前記フランジ部が旋削装置と前記車体側から前記回転装置よりも前記フランジ部に近い前記シール対向面に突き当てられるバックアップ装置とで挟みこまれた状態で、前記ボルト圧入工程の後に前記基準面を基準として前記旋削装置が前記アウタ面に機械加工を施すハブ輪の製造方法」を含む。
本手段は、「車両用軸受装置の製造方法であって、前記車両用軸受装置の製造方法により製造された前記車両用軸受装置は、ハブ輪、内輪体、外輪部材、転動体、およびシール部材を有し、前記ハブ輪は、フランジ部、軸体部、段差面、およびシール対向面を有し、前記フランジ部は、ボルト孔、アウタ面、およびボルトを有し、前記軸体部の外周に形成され、前記アウタ面は、前記フランジ部において車軸方向の車外側の面を形成し、前記車両用軸受装置の製造方法は、ハブ輪製造工程、および部品組立工程を有し、前記ハブ輪製造工程は、ボルト圧入工程、基準面加工工程、およびアウタ面加工工程を有し、前記ボルト圧入工程は、前記ボルトを前記ボルト孔に圧入し、前記基準面加工工程は、前記シール対向面から前記段差面までの部分に研磨加工を施すことにより、前記車軸方向と直交する基準面を前記軸体部に形成し、前記アウタ面加工工程は、前記軸体部が回転装置により車体側から支持されると共に、前記フランジ部が旋削装置と前記車体側から前記回転装置よりも前記フランジ部に近い前記シール対向面に突き当てられるバックアップ装置とで挟みこまれた状態で、前記ボルト圧入工程の後に前記基準面を基準として前記旋削装置が前記アウタ面に機械加工を施し、前記部品組立工程は、前記ハブ輪製造工程により製造されたハブ輪の前記段差面に前記内輪体を前記車軸方向から突き当て、前記シール対向面と対向する部分に前記シール部材を配置し、前記転動体および前記外輪部材を前記内輪体および前記軸体部の外周に配置する車両用軸受装置の製造方法」を含む。
本ハブ輪の製造方法および車両用軸受装置の製造方法は、フランジ振れを抑制することができる。
第1実施形態の車両用軸受装置の断面図。 第1実施形態のハブ輪の平面図。 第1実施形態の車両用軸受装置の一部を拡大して示す断面図。 第1実施形態のボルト圧入工程に関する図であり、車軸方向において破断されたハブ輪の断面図。 第1実施形態の基準面加工工程に関する図であり、車軸方向において破断されたハブ輪の断面図。 第1実施形態のアウタ面加工工程に関する図であり、車軸方向において破断されたハブ輪の断面図。 仮想の第2製造方法のアウタ面加工工程に関する図であり、車軸方向において破断されたハブ輪の断面図。 第2実施形態の車両用軸受装置の断面図。 第2実施形態の基準面加工工程に関する図であり、車軸方向において破断されたハブ輪の断面図。 その他の実施形態のハブ輪の平面図。
(第1実施形態)
図1〜図3を参照して、車両用軸受装置1の構成について説明する。
図1に示されるように、車両用軸受装置1は、ハブ輪10、内輪体40、外輪部材50、転動体60、第1シール部材71、および第2シール部材72を有する。なお、ハブ輪10および内輪体40は、内輪部材を構成している。
ハブ輪10は、シール対向面11、ボルト12、軸体部20、インナ側穴25、アウタ側穴26、インロー部27、およびフランジ部30を有する。なお、シール対向面11は、「径変化面」に相当する。
軸体部20は、フランジ部30よりも車軸方向Xの車体側に突出する部分として形成されている。軸体部20は、外周面21、大径部22、小径部23、および段差面24を有する。軸体部20は、円柱形状を有する。なお、車軸方向Xは、ハブ輪10の軸方向と一致する。車軸方向Xにおける車外側は、車両用軸受装置1にブレーキロータが取り付けられる側を示す。車軸方向Xにおける車体側は、車両用軸受装置1が車両に取り付けられるとき、車両に近い側を示す。
大径部22は、フランジ部30よりも車軸方向Xの車体側に形成されている。大径部22の外周面21は、転動体60の軌道面を形成している。小径部23は、大径部22よりも車軸方向Xの車体側に形成されている。段差面24は、大径部22と小径部23との境界を形成している。段差面24は、車軸方向Xと直交している。
インナ側穴25は、軸体部20において車軸方向Xの車体側の端部に形成されている。アウタ側穴26は、軸体部20において車軸方向Xの車外側の端部に形成されている。インロー部27は、フランジ部30よりも車軸方向Xの車外側に突出する部分として形成されている。
図2に示されるように、フランジ部30は、肉厚部31、肉薄部34、ボルト孔37、および周溝38を有する。
ボルト孔37は、車軸方向Xにおいてフランジ部30を貫通している。ボルト12は、ボルト孔37に圧入されている。
周溝38は、フランジ部30の車軸方向Xの車外側の面に形成されている。周溝38は、フランジ部30の径方向において、ボルト孔37と一致する位置に形成されている。周溝38の幅は、ボルト孔37の径よりも大きい。このため、ボルト孔37の全体は、周溝38の内部に形成されている。周溝38の外周は、ボルト孔37よりも外周側に形成されている。周溝38の内周は、ボルト孔37よりも内周側に形成されている。
図3に示されるように、肉厚部31は、肉厚部アウタ面32および肉厚部インナ面33を有する。肉厚部31は、フランジ部30のうちのボルト孔37および周溝38よりも径方向の外側の部分に形成されている。肉厚部アウタ面32は、肉厚部31において車軸方向Xの車外側の面を形成している。肉厚部インナ面33は、肉厚部31において車軸方向Xの車体側の面を形成している。
肉薄部34は、肉薄部アウタ面35および肉薄部インナ面36を有する。肉薄部34は、フランジ部30のうちの肉厚部31および周溝38よりも径方向の内側の部分に形成されている。肉薄部34は、肉厚部31よりも車軸方向Xの厚さが薄い。肉薄部アウタ面35は、肉薄部34において車軸方向Xの車外側の面を形成している。肉薄部インナ面36は、肉薄部34において車軸方向Xの車体側の面を形成している。
肉厚部アウタ面32は、肉薄部アウタ面35よりも車軸方向Xの車外側に形成されている。肉厚部アウタ面32は、車両用軸受装置1がブレーキロータ(図示略)に取り付けられたとき、ブレーキロータに接触する。肉薄部アウタ面35は、車両用軸受装置1がブレーキロータに取り付けられたとき、ブレーキロータと隙間を介して対向する。
周溝38の底面から肉厚部アウタ面32までの距離HAは、周溝38の底面から肉薄部アウタ面35までの距離HBよりも大きい。距離HAおよび距離HAの差分は、例えば0.1mmに設定される。
図1に示されるように、シール対向面11は、軸体部20に形成されている。シール対向面11は、フランジ部30と大径部22との間に形成されている。シール対向面11は、第1シール部材71と対向している。
内輪体40は、外周面41およびアウタ側接触面42を有する。内輪体40は、小径部23に圧入されている。内輪体40は、段差面24に突き当てられている。アウタ側接触面42は、車軸方向Xと直交している。アウタ側接触面42は、段差面24と接触している。
外輪部材50は、外周面50A、内周面50B、円筒部51、およびフランジ部52を有する。外輪部材50は、円筒形状を有する。円筒部51の内周面50Bは、転動体60の軌道面を形成している。フランジ部52は、円筒部51の外側に突出している。
転動体60は、車外側の列、および車体側の列を形成している。車外側の転動体60の列は、大径部22の外周面21と、外輪部材50の内周面50Bとの間に配置されている。車体側の転動体60の列は、内輪体40の外周面41と、外輪部材50の内周面50Bとの間に配置されている。
第1シール部材71は、外輪部材50の内周面50Bと、軸体部20の外周面21との間に配置されている。第1シール部材71は、フランジ部30よりも車軸方向Xの車体側に配置されている。第1シール部材71は、シール対向面11と対向している。
第2シール部材72は、外輪部材50の内周面50Bと、内輪体40の外周面41との間に配置されている。第2シール部材72は、第1シール部材71よりも車軸方向Xの車体側に配置されている。
図4〜図6を参照して、車両用軸受装置1の製造方法について説明する。
車両用軸受装置1の製造方法は、部品製造工程、ハブ輪製造工程、および部品組立工程を有する。内輪体40、外輪部材50、転動体60、第1シール部材71、および第2シール部材72は、部品製造工程において個別に製造される。ハブ輪10の中間製造体200は、中間製造体製造工程により製造される。ハブ輪製造工程は、中間製造体製造工程、ボルト圧入工程、基準面加工工程、アウタ面加工工程、および焼入れ工程を有する。
中間製造体製造工程は、中間製造体200を製造する。図4は、中間製造体200の一例を示している。中間製造体200は、鍛造によりシール対向面11、軸体部20、およびフランジ部30が形成されている。中間製造体200は、旋削等により、フランジ部30に肉薄部アウタ面35および周溝38が形成されている。
ボルト圧入工程は、図4に示される作業状態を有する。ボルト12は、ボルト孔37に圧入される。このとき、肉厚部アウタ面32および肉薄部アウタ面35は、ボルト12の圧入により歪むことがある。
基準面加工工程は、図5に示される作業状態を有する。シール対向面11および外周面21は、研磨加工される。中間製造体200は、支持装置82がインロー部27に嵌めこまれて、車軸方向Xの車外側から支持される。中間製造体200は、インナ側穴25に回転装置83が突き当てられる。中間製造体200は、外周面21のうちのシール対向面11から段差面24までの部分に砥石81が当てられる。砥石は、外周面21のうちのシール対向面11から段差面24までの部分と対応する形状を有する。中間製造体200は、支持装置82により支持され、砥石81に接触した状態で、回転装置83により回転する。これにより、中間製造体200は、研磨加工される。シール対向面11は、研磨加工が施されることにより、車軸方向Xに直交する。
アウタ面加工工程は、図6に示される作業状態を有する。肉厚部アウタ面32は、旋削加工される。中間製造体200は、インナ側穴25に回転装置83が突き当てられる。中間製造体200は、バックアップ装置84の複数の棒状部材84Aが車軸方向Xの車体側からシール対向面11に突き当てられる。各棒状部材84Aの先端部は、車軸方向Xと直交する仮想面C上に配置されている。このため、中間製造体200は、バックアップ装置84により、シール対向面11が車軸方向Xと直交した状態が維持される。中間製造体200は、肉厚部アウタ面32に旋削装置90の旋削面91が当てられる。旋削装置90は、シール対向面11を基準面として肉厚部アウタ面32に旋削加工を施す。旋削装置90の旋削面91は、車軸方向Xと直交している。このとき、中間製造体200は、旋削面91および棒状部材84Aにより車軸方向Xの両側から挟みこまれている。中間製造体200は、回転装置83により回転する。このとき、中間製造体200は、旋削装置90により旋削加工される。肉厚部アウタ面32は、旋削加工が施されることにより、基準面との平行度が高まる。なお、旋削加工は、「機械加工」に相当する。
焼入れ工程は、中間製造体200の外周面21に高周波焼入れ加工が施される。焼入れ工程により、ハブ輪10が製造される。
部品組立工程は、ハブ輪10に内輪体40、外輪部材50、転動体60、第1シール部材71、および第2シール部材72が取り付けられる。内輪体40は、車軸方向Xの車体側から小径部23に圧入され、ハブ輪10の段差面24に突き当てられる。第1シール部材71は、シール対向面11と対向する部分に配置される。転動体60および外輪部材50を内輪体40および軸体部20の外周に配置する。ハブ輪10は、内輪体40が小径部23に圧入された後、車軸方向Xの車体側の端部がかしめられる。これにより、ハブ輪10の車体側の端部が図1に示される形状に変形する。部品組立工程を通じて、図1に示される車両用軸受装置1が製造される。
車両用軸受装置1の作用について説明する。
肉厚部アウタ面32は、ボルト12の圧入により歪みが生じることがある。一方、肉厚部加工工程は、ボルト圧入工程の後に行われる。このため、ボルト12の圧入により生じた肉厚部アウタ面32の歪みが小さくなる。
車両用軸受装置1およびその製造方法は、以下の効果を奏する。
(1)ハブ輪10の製造方法は、ボルト圧入工程の後にアウタ面加工工程が行われる。このため、ボルト12の圧入による肉厚部アウタ面32の歪みが小さくなる。このため、フランジ振れが抑制される。
(2)ハブ輪10の製造方法は、仮想の第1製造方法と比較して有利な効果を奏する。仮想の第1製造方法は、次の点において車両用軸受装置1の製造方法と相違し、その他の点において車両用軸受装置1の製造方法と同じ内容を有する。仮想の第1製造方法は、研磨加工による基準面加工工程が行われないシール対向面11を基準面として肉厚部アウタ面32に旋削加工が施される。旋削加工を行うとき、シール対向面11における棒状部材84Aの先端部の接触箇所は、中間製造体200の回転により変化する。研磨加工が施されていないシール対向面11を基準面とする仮想の第1製造方法においては、シール対向面11の凹凸が大きい。このため、回転による中間製造体200の車軸方向Xへの移動、および車軸方向Xに対する傾斜が生じやすい。
一方、ハブ輪10の製造方法は、研磨加工が施されたシール対向面11を基準面として肉厚部アウタ面32に旋削加工が施される。シール対向面11は、研磨加工により車軸方向Xと直交する面に対する平行度が向上している。換言すれば、研磨加工により、シール対向面11の凹凸が低減している。このため、ハブ輪10の製造方法は、仮想の第1製造方法と比較して、回転による中間製造体200が車軸方向Xへの移動、および車軸方向Xに対する傾斜が生じ難い。このため、ハブ輪10の製造方法は、仮想の第1製造方法と比較して、肉厚部アウタ面32の車軸方向Xと直交する面に対する平行度を高くすることができる。このため、フランジ振れをより抑制することができる。
(3)肉厚部31は、フランジ部30においてボルト孔37よりも外側の部分に形成されている。このため、旋削装置90による旋削加工が施しやすい。
(4)肉厚部アウタ面32は、車軸方向Xと直交するシール対向面11を基準面として機械加工が施される。このため、肉厚部アウタ面32の加工精度が向上する。
ハブ輪10の製造方法は、仮想の第2製造方法と比較して有利な効果を奏する。仮想の第2製造方法は、次の点において車両用軸受装置1の製造方法と相違し、その他の点において車両用軸受装置1の製造方法と同じ内容を有する。図7に示されるように、仮想の第2製造方法のアウタ面の加工工程は、支持装置184により中間製造体200をアウタ側穴26の内周面から把持する。仮想の第2製造方法のアウタ面の加工工程は、支持装置184により把持されたアウタ側穴26の内周面を基準面として肉厚部アウタ面32に旋削加工を施す。このとき、支持装置184の外径とアウタ側穴26の内周面の内径とに差がある場合、支持装置184の外周面とアウタ側穴26の内周面との間に隙間が生じる。このため、図7に示すように、軸体部20は、旋削加工において傾斜するおそれがある。肉厚部アウタ面32は、軸体部20が傾斜した状態において旋削加工が施された場合、車軸方向Xに対して傾斜する。このため、フランジ振れを抑制する効果が低減するおそれがある。なお、仮想の第2製造方法の支持装置184は、アウタ側穴26の内周面を把持したが、外周面21およびインナ側穴25の内周面を把持する構成においても同様の問題が生じると考えられる。
一方、車両用軸受装置1の製造方法は、アウタ面加工工程において、棒状部材84Aにより中間製造体200のシール対向面11を支持し、旋削面91により中間製造体200の肉厚部アウタ面32に旋削加工を施す。このように、中間製造体200は、シール対向面11および肉厚部アウタ面32が車軸方向Xの両側から支持された状態において旋削加工が施される。このため、車両用軸受装置1の製造方法は、仮想の第2製造方法とは異なり、アウタ面加工工程における軸体部20の傾斜を生じにくい。このため、肉厚部アウタ面32の加工精度が向上する。
(5)ボルト12の圧入による歪みは、ボルト孔37に近い部分ほど大きい。ハブ輪10は、周溝38を有する。周溝38の外周は、ボルト孔37よりも外周側に形成されている。このため、ボルト12の圧入により肉厚部アウタ面32の歪みを小さくすることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の車両用軸受装置1は、第1実施形態の車両用軸受装置1と比較して、以下の部分において異なる構成を有し、その他の部分において同一の構成を有する。なお、第2実施形態の車両用軸受装置1の説明は、第1実施形態の車両用軸受装置1と共通する構成に対して、第1実施形態の車両用軸受装置1と同一の符号を付している。
図8に示されるように、第2実施形態の車両用軸受装置100は、ハブ輪110、内輪体140、外輪部材50、転動体60、第1シール部材71、および第2シール部材72を有する。
ハブ輪110は、内輪対向面111、ボルト12、軸体部120、およびフランジ部30を有する。軸体部120は、外周面121を有する。軸体部120は、円柱形状を有する。内輪対向面111は、第1シール部材71および内輪体140と対向する。なお、内輪対向面111は、「径変化面」、「段差面」、および「シール対向面」に相当する。
内輪体140は、外周面141およびアウタ側接触面142を有する。内輪体140は、軸体部20に圧入されている。内輪体140は、内輪対向面111に突き当てられている。アウタ側接触面142は、車軸方向Xと直交している。アウタ側接触面142は、内輪対向面111と接触している。
車外側の転動体60の列および車体側の転動体60の列は、内輪体140の外周面141と、外輪部材50の内周面50Bとの間に配置されている。第1シール部材71は、外輪部材50の内周面50Bと、内輪体140の外周面141との間に配置されている。第1シール部材71は、内輪対向面111と対向している。第2シール部材72は、外輪部材50の内周面50Bと、内輪体140の外周面141との間に配置されている。
図9を参照して、車両用軸受装置1の製造方法について説明する。
基準面加工工程は、図9に示される作業状態を形成する。内輪対向面111は、砥石381、支持装置82、および回転装置83により研磨加工される。砥石381は、中間製造体300の内輪対向面111および外周面122のうちの内輪対向面111よりも車軸方向Xの車体側の部分と対応する。内輪対向面111は、研磨加工が施されることにより、車軸方向Xに直交する。
肉厚部アウタ面32は、アウタ面加工工程において、旋削装置90(図9参照)により旋削加工が施される。各棒状部材84A(図8参照)は、基準面加工工程により車軸方向Xに直交した内輪対向面111に車軸方向Xの車体側から突き当てられる。肉厚部アウタ面32は、内輪対向面111を基準面として旋削加工が施される。肉厚部アウタ面32は、旋削加工が施されることにより、基準面に平行し、車軸方向Xに直交する。
第2実施形態の車両用軸受装置1は、第1実施形態の車両用軸受装置1が奏する(1)の効果、すなわちフランジ振れが抑制される旨の効果、および(2)〜(5)の効果と実質的に同じ効果を奏する。
(その他の実施形態)
本車両用軸受装置の製造方法は、上記各実施形態以外の実施形態を含む。以下、本車両用軸受装置の製造方法のその他の実施形態としての上記各実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることができる。
・第1実施形態の肉厚部アウタ面32は、シール対向面11を基準面として旋削加工が施される。ただし、肉厚部アウタ面32の加工方法は、第1実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の肉厚部アウタ面32は、段差面24を基準面として旋削加工が施される。この段差面24は、基準面加工工程において研磨加工が施されていることにより、車軸方向Xに直交している。
・第2実施形態の車両用軸受装置1は、1つの内輪体140を有する。ただし、内輪体140の構成は、第2実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の車両用軸受装置1の内輪体140は、別体の第1部分および第2部分を有する。第1部分は、転動体60の車外側の列の軌道面を有する。第2部分は、車体側の列の軌道面を有する。
・各実施形態の肉厚部アウタ面32は、車軸方向Xと直交する面を基準面として旋削加工が施される。ただし、肉厚部アウタ面32の加工方法は、各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の肉厚部アウタ面32は、車軸方向Xと平行な面を基準面として旋削加工が施される。車軸方向Xと平行な面としては、例えば軸体部20,120の外周面21,121が用いられる。軸体部20,120の外周面21,121は、基準面加工工程において研磨加工が施されていることにより、車軸方向Xに平行している。
・各実施形態の肉厚部アウタ面32は、アウタ面加工工程において旋削加工が施される。ただし、肉厚部アウタ面32の加工方法は、各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の肉厚部アウタ面32は、アウタ面加工工程において研磨加工が施される。要するに、肉厚部アウタ面32の歪みを小さくすることが可能な機械加工であれば、肉厚部アウタ面32の加工方法として任意の加工方法を用いることができる。
・各実施形態の車両用軸受装置1の製造方法は、支持装置82がインロー部27に嵌めこまれ、回転装置83は、インナ側穴25に挿入される。ただし、車両用軸受装置1の製造方法は、これに限られない。例えば、変形例の車両用軸受装置1の製造方法は、支持装置82がインナ側穴25に挿入され、回転装置83は、インロー部27に嵌めこまれる。要するに、中間製造体200,300を支持および回転させることができる構成であれば、支持装置82および回転装置83の構成は、適宜変更することができる。
・各実施形態のフランジ部30は、円形状を有する。ただし、フランジ部30の形状は、各実施形態に例示された内容に限られない。例えば、図10に示される変形例のフランジ部30は、肉抜き部を有する。肉抜き部は、フランジ部30の周上において隣り合うボルト孔37の間の部分に形成されている。
1…車両用軸受装置、10…ハブ輪、11…シール対向面、12…ボルト、20…軸体部、21…外周面、22…大径部、23…小径部、24…段差面、25…インナ側穴、26…アウタ側穴、27…インロー部、30…フランジ部、31…肉厚部、32…肉厚部アウタ面、33…肉厚部インナ面、34…肉薄部、35…肉薄部アウタ面、36…肉薄部インナ面、37…ボルト孔、38…周溝、40…内輪体、41…外周面、42…アウタ側接触面、50…外輪部材、50A…外周面、50B…内周面、51…円筒部、52…フランジ部、60…転動体、71…第1シール部材、72…第2シール部材。

Claims (4)

  1. ハブ輪の製造方法であって、
    前記ハブ輪の製造方法により製造された前記ハブ輪は、フランジ部軸体部、段差面、およびシール対向面を有し、
    前記フランジ部は、ボルト孔、アウタ面、およびボルトを有し、前記軸体部の外周に形成され、
    前記ボルトは、前記ボルト孔に圧入され、
    前記アウタ面は、前記フランジ部において車軸方向の車外側の面を形成し、
    前記ハブ輪の製造方法は、ボルト圧入工程、基準面加工工程、およびアウタ面加工工程を有し、
    前記ボルト圧入工程は、前記ボルトを前記ボルト孔に圧入し、
    前記基準面加工工程は、前記シール対向面から前記軸体部の段差面までの部分に研磨加工を施すことにより、前記車軸方向と直交または平行する基準面を前記軸体部に形成し、
    前記アウタ面加工工程は、前記軸体部が回転装置により車体側から支持されると共に、前記フランジ部が旋削装置と前記車体側から前記回転装置よりも前記フランジ部に近い前記シール対向面に突き当てられるバックアップ装置とで挟みこまれた状態で、前記ボルト圧入工程の後に前記基準面を基準として前記旋削装置が前記アウタ面に機械加工を施す
    ハブ輪の製造方法。
  2. 前記ハブ輪の製造方法により製造された前記ハブ輪は、前記フランジ部よりも前記車軸方向の車体側において外径が小さくなる径変化面を有し、
    前記基準面加工工程は、前記径変化面に前記研磨加工を施すことにより、前記車軸方向と直交する前記基準面を形成する
    請求項1に記載のハブ輪の製造方法。
  3. 前記フランジ部は、肉厚部および肉薄部を有し、
    前記アウタ面は、肉厚部アウタ面および肉薄部アウタ面を有し、
    前記肉厚部は、前記フランジ部のうちの前記ボルト孔よりも外側の部分に形成され、
    前記肉薄部は、前記フランジ部のうちの前記肉厚部よりも内側の部分に形成され、前記肉厚部よりも車軸方向の厚さが薄く、
    前記肉部アウタ面は、前記肉厚部において前記車軸方向の車外側の面を形成し、
    前記肉部アウタ面は、前記肉薄部において前記車軸方向の車外側の面を形成し、
    前記アウタ面加工工程は、前記ボルト圧入工程の後に前記基準面を基準として前記肉厚部アウタ面に機械加工を施す
    請求項1または2に記載のハブ輪の製造方法。
  4. 車両用軸受装置の製造方法であって、
    前記車両用軸受装置の製造方法により製造された前記車両用軸受装置は、ハブ輪、内輪体、外輪部材、転動体、およびシール部材を有し、
    前記ハブ輪は、フランジ部、軸体部、段差面、およびシール対向面を有し、
    前記フランジ部は、ボルト孔、アウタ面、およびボルトを有し、前記軸体部の外周に形成され、
    前記アウタ面は、前記フランジ部において車軸方向の車外側の面を形成し、
    前記車両用軸受装置の製造方法は、ハブ輪製造工程、および部品組立工程を有し、
    前記ハブ輪製造工程は、ボルト圧入工程、基準面加工工程、およびアウタ面加工工程を有し、
    前記ボルト圧入工程は、前記ボルトを前記ボルト孔に圧入し、
    前記基準面加工工程は、前記シール対向面から前記段差面までの部分に研磨加工を施すことにより、前記車軸方向と直交する基準面を前記軸体部に形成し、
    前記アウタ面加工工程は、前記軸体部が回転装置により車体側から支持されると共に、前記フランジ部が旋削装置と前記車体側から前記回転装置よりも前記フランジ部に近い前記シール対向面に突き当てられるバックアップ装置とで挟みこまれた状態で、前記ボルト圧入工程の後に前記基準面を基準として前記旋削装置が前記アウタ面に機械加工を施し、
    前記部品組立工程は、前記ハブ輪製造工程により製造されたハブ輪の前記段差面に前記内輪体を前記車軸方向から突き当て、前記シール対向面と対向する部分に前記シール部材を配置し、前記転動体および前記外輪部材を前記内輪体および前記軸体部の外周に配置する
    車両用軸受装置の製造方法。
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