JP5228343B2 - 車輪支持用複列転がり軸受ユニット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
その後、この第一中間素材14を、受型と押型とを備えた金型内で塑性変形させる型成形加工を施す事により、(C)に示す様な第二中間素材15とする。この第二中間素材15は、中央部に上記ハブ本体3の軸方向中間部乃至内端部となる柱状部16を、この柱状部16の軸方向端部に、前記フランジ7を含む、上記ハブ本体3の軸方向外端部となる円板部17を、それぞれ有する。
上述の様な第二中間素材15には、更に別の受型と押型とを備えた金型内で塑性変形させる型成形加工を施す事により、(D)に示す様な第三中間素材18とする。この第三中間素材18は、上記フランジ7等、上記ハブ本体3の基本的な形状を備えたものであるが、このフランジ7の外周縁にはバリ19が形成されている。
そこで、このバリ19を除去する為のトリミングや、各部の寸法精度及び形状精度を向上させる為の機械加工を施して、上記ハブ本体3として完成する。
先ず、軽量化の面からは、上記ハブ本体3の軸方向中間部に存在する、余分な肉が問題となる。即ち、上記ハブ本体3の軸方向外端寄り部分は外径が大きくなっており、この部分の重量が嵩む。特に、図6〜7に示す様な、外側列の転動体6、6aのピッチ円直径を内側列の転動体6、6bのピッチ円直径よりも大きくする構造の場合に、この傾向が著しい。即ち、図5に示した構造と図6〜7に示した構造とを比較した場合、両構造は、内側列の転動体6、6bのピッチ円直径は互いに等しい。そして、外側列の転動体6、6aのピッチ円直径は、図6〜7に示した構造が図5に示した構造よりも大きくなっている。又、上記両構造を比較した場合、パイロット部11の外径は、同一寸法のホイールを外嵌支持する必要上、互いに等しい。この為、上記図6〜7に示した構造の場合には、上記ハブ本体3の軸方向外端寄り部分の重量が徒に嵩む程度が著しくなる。
これらの事を考慮すれば、上記フランジ7の根本部分の強度を、この根本部分の厚さを大きくする事なく確保する事が望まれる。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定される。
又、上記ハブは、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持固定する為のフランジを、同じく軸方向中間部及び軸方向内端部に複列の内輪軌道を、このフランジよりも軸方向外方に突出した軸方向外端部に円筒状のパイロット部を、それぞれ有し、使用時に上記車輪と共に回転する。
更に、上記各転動体は、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
この様な請求項1に記載した発明を実施する場合、請求項2に記載した発明の様に、軸方向外側の列の転動体のピッチ円直径が、軸方向内側の転動体のピッチ円直径よりも大きい構造で実施する。
又、上述の様な請求項1〜2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項3に記載した様に、上記フランジの径方向内側部分を含む部分が、その内径が塑性加工により広げられたものとする。
或いは、上述の様な請求項1〜3に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、上記パイロット部の軸方向外端開口部を、蓋体により塞ぐ。
その後、上記凹孔のうちでこのパイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内周面に、上記パイロット部の内径よりも小さな内径を有する押圧ローラの外周面を押し付け、この押圧ローラを自転させつつ、この押圧ローラの自転軸を上記凹孔に対し、相対的に公転させる事により、この凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内径を上記パイロット部の内径よりも大きくすると共に、このパイロット部の内径よりも内径が大きくなった部分のうちで最も内径が大きい部分を上記フランジの径方向内側部分に形成する。
この様な請求項7に記載した発明を実施する場合に、例えば、請求項8に記載した様に、上記径方向外側に塑性変形させるべき部分の軸方向に関する幅よりも、外周面の軸方向に関する幅が小さい押圧ローラを使用する。そして、この押圧ローラを自転及び公転させつつ軸方向及び径方向に移動させる事で、上記部分を軸方向全体に亙り径方向外側に塑性変形させる。
或いは、請求項9に記載した様に、外周面の軸方向に関する幅が、上記径方向外側に塑性変形させるべき部分の軸方向に関する幅と一致する押圧ローラを使用する。そして、この押圧ローラを軸方向に移動させる事なく自転及び公転させつつ径方向に移動させる事で、上記部分を軸方向全体に亙り径方向外側に塑性変形させる。
更には、車輪を支持固定する為のフランジの根本部分の強度及び剛性の確保と軽量化とを両立させる事ができる。即ち、ハブの軸方向外端面に開口した凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った奥部の内径をこのパイロット部の軸方向外端開口部の内径よりも大きくする分、上記ハブの容積を低減してこのハブの軽量化を図れる。又、上記凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った奥部の内径を押圧ローラの押し付けによる塑性加工(ローリング加工)により拡げれば、この奥部の周囲に存在する、上記フランジ部の根本部分の硬度が高くなり、上記フランジの根本部分の強度及び剛性の確保を図れる。
又、上記フランジと上記パイロット部とが交差している上記根本部分には、使用時に圧縮応力が加わるが、上記奥部の厚さを小さくする事で、この根本部分に加わる圧縮応力を緩和できる。
図1〜2は、請求項1〜4、6〜8に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、ハブ2aを構成するハブ本体3aに設けたパイロット部11よりも奥部の内周面から、このハブ本体3aの軸方向外半中心部に形成した円形凹部20の内周面に掛けての部分を径方向外方に凹ませる事により、当該部分に環状凹部21を全周に亙って設けると共に、上記パイロット部11の開口部を蓋体26により塞いでいる点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図6に示した従来構造の第2例と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
図3は、請求項1〜4、6、7、9に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、中間素材23の軸方向中間部乃至外端寄り部分を径方向外方に塑性変形させる為の押圧ローラ22aとして、軸方向寸法が大きなものを使用している。この押圧ローラ22aの外周面の母線形状は、加工すべき環状凹部21の母線形状に合致している。この様な押圧ローラ22aにより、上記中間素材23の軸方向中間部乃至外端寄り部分を径方向外方に塑性変形させつつ、上記環状凹部21を形成するには、上記押圧ローラ22aを軸方向に移動させる事なく自転及び公転させつつ、上記中間素材23の径方向に移動させる事で、上記中間素材23の軸方向中間部乃至外端寄り部分を軸方向全体に亙り径方向外側に塑性変形させる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明は省略する。
図4は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例は、本発明を駆動輪の為の車輪支持用複列転がり軸受ユニットに適用する場合に就いて示している。即ち、ハブ2bの外周面に設けたフランジ7に支持固定する車輪が駆動輪(FR車、MR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全車輪)であって、上記ハブ2bを構成するハブ本体3bの中心部に、等速ジョイント27の駆動軸28をスプライン係合させる為のスプライン孔29が設けられている。この様な構造の場合には、上記駆動軸28の先端部との干渉を防止する必要上、前述の図1に示した、実施の形態の第1例の構造に組み込んだ様な蓋体26を設ける事は難しい。但し、何らの対策も施さない場合には、パイロット部11aにより囲まれた円形凹部20aの奥部内周面に形成した環状凹部21aに、泥水等の異物が溜まり、上記ハブ2bの防錆を図りにくくなる。尚、本例の構造の様なハブ2bは、炭素(C)を0.3〜0.6重量%含む中炭素鋼、或いは、炭素を0.6重量%以上含む高炭素鋼により造る。又、上記環状凹部21aは、切削加工により造る。
(1) 上記円形凹部20aの奥端部内周面に設けた上記環状凹部21a内に異物が溜まる事を防止し、この異物によって上記ハブ本体3bが錆びる事を防止できる。そして、このハブ本体3bが錆びる事に伴う、耐久性低下や、異音、振動等の発生防止を図れる。
即ち、このナット32の座面が軟らかい場合には、この座面が塑性変形し、この座面とナット32との突き合わせ面の当接圧が低下して、このナットが緩む可能性がある。この様な原因でのナット32の緩み止めを図る為に、上記奥端面31を焼き入れ硬化する事も考えられる。但し、この奥端面31部分の硬化層と、外側列の内輪軌道8a部分に形成した硬化層とが繋がると、上記ハブ本体3bの靱性を確保する事が難しくなる。上記奥端面31部分の硬化層を、ショット・ピーニングにより形成すれば、この奥端面31部分の硬化層と上記内輪軌道8a部分に形成した硬化層とが繋がる事を防止できるが、この奥端面31部分の硬化層の形成作業が面倒になる。
これに対して、本例の構造に組み込む上記座板30として、硬度が高いものを使用すれば、上記奥端面31部分に硬化層を形成しなくても、上述の様な原因でのナット32の緩み止めを図れるので、低コストで、しかも、上記ハブ本体3bの靱性を十分に確保できる構造を実現できる。
2、2a、2b ハブ
3、3a、3b ハブ本体
4 内輪
5 外輪
6、6a、6b 転動体
7 フランジ
8a、8b 内輪軌道
9 小径段部
10 かしめ部
11、11a パイロット部
12a、12b 外輪軌道
13 素材
14 第一中間素材
15 第二中間素材
16 柱状部
17 円板部
18 第三中間素材
19 バリ
20、20a 円形凹部
21、21a 環状凹部
22、22a 押圧ローラ
23 中間素材
24 受型
25 抑え型
26 蓋体
27 等速ジョイント
28 駆動軸
29 スプライン孔
30 座板
31 奥端面
32 ナット
Claims (9)
- 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定される外輪と、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持固定する為のフランジを、同じく軸方向中間部及び軸方向内端部に複列の内輪軌道を、このフランジよりも軸方向外方に突出した軸方向外端部に円筒状のパイロット部を、それぞれ有し、使用時に上記車輪と共に回転するハブと、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備えた車輪支持用複列転がり軸受ユニットに於いて、
上記ハブの軸方向外端面に開口した凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内径が、上記パイロット部の内径よりも大きくなっており、このパイロット部の内径よりも内径が大きくなった部分のうちで最も内径が大きい部分が、上記フランジの径方向内側部分に設けられている
車輪支持用複列転がり軸受ユニット。 - 軸方向外側の列の転動体のピッチ円直径が、軸方向内側の列の転動体のピッチ円直径よりも大きい、請求項1に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニット。
- フランジの径方向内側部分を含む部分の内径が塑性加工により広げられている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニット。
- パイロット部の軸方向外端開口部が、蓋体により塞がれている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニット。
- フランジに支持固定する車輪が駆動輪であって、ハブの中心部に等速ジョイントの駆動軸をスプライン係合させる為のスプライン孔が設けられており、凹孔のうちのパイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分で、内径が上記パイロット部の内径よりも大きくなっている部分の、このパイロット側の開口が、上記凹孔の奥部に嵌合された円輪状の座板により塞がれている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
- 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時に懸架装置に支持固定される外輪と、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持固定する為のフランジを、同じく軸方向中間部及び軸方向内端部に複列の内輪軌道を、このフランジよりも軸方向外方に突出した軸方向外端部に円筒状のパイロット部を、それぞれ有し、使用時に上記車輪と共に回転するハブと、上記両外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備え、上記ハブの軸方向外端面に開口した凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内径が、上記パイロット部の内径よりも大きくなっており、このパイロット部の内径よりも内径が大きくなった部分のうちで最も内径が大きい部分が、上記フランジの径方向内側部分に設けられている車輪支持用複列転がり軸受ユニットの製造方法であって、
金属製の素材に鍛造加工を施して、鍛造用の金型を抜き取り可能な形状のパイロット部及び凹孔を設けた中間素材とした後、この凹孔のうちでこのパイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内周面に、上記パイロット部の内径よりも小さな内径を有する押圧ローラの外周面を押し付け、この押圧ローラを自転させつつ、この押圧ローラの自転軸を上記凹孔に対し、相対的に公転させる事により、この凹孔のうちで上記パイロット部よりも軸方向内側に寄った部分のうち上記フランジの径方向内側部分を含む部分の内径を上記パイロット部の内径よりも大きくすると共に、このパイロット部の内径よりも内径が大きくなった部分のうちで最も内径が大きい部分を上記フランジの径方向内側部分に形成する、車輪支持用複列転がり軸受ユニットの製造方法。 - 中間素材の軸方向外端部に、パイロット部の内側と連続する状態でこの中間素材の軸方向外端面に開口し、軸方向外側の内輪軌道の内径側に迄達する、奥部に向う程内径が小さくなる円形凹部を設け、押圧ローラにより、上記パイロット部よりも奥部の内周面からこの円形凹部の内周面で上記軸方向外側の内輪軌道の内径側に至る迄の部分を径方向外側に塑性変形させてこの部分の内径を大きくする、請求項6に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニットの製造方法。
- 径方向外側に塑性変形させるべき部分の軸方向に関する幅よりも、外周面の軸方向に関する幅が小さい押圧ローラを使用し、この押圧ローラを自転及び公転させつつ軸方向及び径方向に移動させる事で、上記部分を軸方向全体に亙り径方向外側に塑性変形させる、請求項7に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニットの製造方法。
- 外周面の軸方向に関する幅が、径方向外側に塑性変形させるべき部分の軸方向に関する幅と一致する押圧ローラを使用し、この押圧ローラを軸方向に移動させる事なく自転及び公転させつつ径方向に移動させる事で、上記部分を軸方向全体に亙り径方向外側に塑性変形させる、請求項7に記載した車輪支持用複列転がり軸受ユニットの製造方法。
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