JP2013023086A - 車輪支持用ハブユニット及び車輪支持用ハブユニットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外輪2と、ハブ本体7aと内輪8から構成されるハブ3とを備え、ハブ本体7aは軸方向外端寄り部分の外周面に車輪を支持固定する為の回転フランジ10aを直接形成したものであり、前記回転フランジ10aが冷間での側方押し出しによって前記ハブ本体7aと一体成形されていて、前記ハブ本体7aの外周面のうちで、軸方向中間部分から軸方向内端寄り部分に掛けての部分のみに焼入れ硬化層17aを設けている。
【選択図】図2
Description
尚、前記境界部18とは、焼入れ硬化層17から他の部分に向かうにつれて、硬度が次第に低下してHV500となる点を言う。
また、高周波焼入れにより焼入れ硬化層17を形成する場合、回転フランジ10とハブ本体7の軸部とが交わる隅R部23では、加熱コイルの設置スペースの関係から加熱がしにくいため、隅R部23の近傍部分(特に、回転フランジ10の基端部から境界部18に掛けての部分)と比較して焼入れ深さが浅い状態で硬化層が形成されている。そして、この焼入れ硬化層17が形成された部分では、所謂マルテンサイト変体による体積膨張を生じる事が知られており、焼入れ深さ(焼入れされた体積)の違いにより、このマルテンサイト変態による体積の膨張率は、隅R部23より、境界部18の近傍側の方が大きくなる。従って、隅R部23の焼き入れ硬化層17は、ハブ本体7の軸部と回転フランジ10の交角が鋭角となる変形を発生させ、回転フランジ10の車輪取付面19が中凸の円錐形状となる(図9の矢印Aに示すように、回転フランジ10の外径側が軸方向内側に傾斜する)可能性がある。回転フランジ10が変形すると、車輪取付面19の平面度悪化、スタッドボルト20の傾斜等により、車輪側部材であるホイール及びブレーキロータの組み付けが困難になったり、車輪の回転振れが発生するなどの問題があった。
このうちの、外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、前記ハブは、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するもので、ハブ本体と内輪とを結合固定して成る。このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の回転フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成している。又、前記回転フランジには前記車輪への取付ボルトを固定するためのボルト固定穴が形成されている。又、前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、前記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に外嵌固定されている。
又、前記転動体は、前記両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。
更に、前記回転フランジは冷間での側方押し出しによって前記ハブ本体と一体成形されている。
即ち、高周波焼入れ等によりハブ本体に熱処理を施す際、ハブ本体の焼入れ硬化層を、ハブ本体の外周面のうちで、軸方向中間部分から軸方向内端寄り部分に掛けての部分のみに形成することにより、熱処理の影響が回転フランジに及ぶことを抑制している。
また、冷間鍛造での側方押し出し加工において、回転フランジの軸方向外側面が中凹の円錐形状となるように予め成形した後、前記ハブ本体の外周面に焼入れ硬化層を設けることにより、前記回転フランジの軸方向外側面を回転軸に対して垂直な平面とすることができる。
更に、前記ボルト座面を回転軸に対して垂直な平面とすることにより、スタッドボルトの姿勢及び位置精度が向上して、車輪側部材であるホイール及びブレーキロータの組み付けを容易にすることができる。
図1及び2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本発明の車輪支持用ハブユニット1aの特徴は、ハブを構成するハブ本体7aの外周面に形成する焼入れ硬化層17aの位置関係を工夫した点にある。この特徴部分以外の構造は、前記図8,9に示した構造を含め、従来から知られている車輪支持用ハブユニットの構造とほぼ同様である。又、前記ハブ本体7aの製造方法は、図10を用いて説明した従来から考えられている製造方法と同様である。この為、従来と同様に構成する部分に就いては、図示並びに説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
即ち、本例の場合には、焼入れ硬化層17aが形成された部分と他の部分との境界部18aを、回転フランジ10aの軸方向内側面の基端部分と内輪軌道9aとの間に配置している。この為、焼入れ硬化層17aを形成する際の熱により焼鈍されて硬度低下が生じた層を、回転フランジ10aの軸方向内側面の基端部分と内輪軌道9aとの間に配置している。言い換えれば、硬度低下した層が、回転フランジ10aのうちで変形し易い(外部からのモーメント荷重が大きい)、回転フランジ10aの基端部に存在しない。さらに、隅R部23の硬化層形成に伴う熱処理変形の発生を回避して、前記回転フランジ10aに熱処理変形の影響が及ぶ事を抑えられる。この様な構造をとる事により、境界部18aによる硬度低下を考慮せずに回転フランジ10aに必要な強度及び剛性を確保する設計ができるので、回転フランジ10aの断面積を小さくする(ハブ本体7aの軽量化)と共に、熱処理後の車輪取付面19の平面度を良好に保つ事ができる。
なお、望ましくは、ドリルによるボルト固定穴30の穿孔を、ハブ本体7aへの焼入れ硬化層17aの形成後に行う。これにより、ボルト固定穴30及びスタッドボルト20の位置精度をさらに良好とすることができる。
図3〜5は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本発明の車輪支持用ハブユニット1bの特徴は、ハブ本体7bの製造方法に関して、図10を用いて説明した従来から考えられている製造方法とほぼ同様であるが、回転フランジ10bの側方押し出し加工(図10(E)参照)を工夫した点にある。この特徴部分以外の構造は、前記図8,9に示した構造を含め、従来から知られている車輪支持用ハブユニットの構造とほぼ同様である。この為、従来と同様に構成する部分に就いては、図示並びに説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
なお、冷間側方押し出し加工により成形される車輪取付面19bの傾斜量は、5〜8/1000程度の微小な傾斜であるため、側方押出し口を傾けた金型により成形しても、押し出される素材全ての傾斜を同一、且つ均一にすることは困難である。そこで、図5に示す本実施例の冷間鍛造加工装置50のように、回転フランジ10bの冷間押し出し加工における側方押出し口は、ハブ本体7bの回転中心軸に垂直な方向に向かって放射状に設けられ、回転フランジ10bの車輪取付面19b(図5の上側)と押出し口である上金型52とが接触する長さを、回転フランジ10bの軸方向内側面(図5の下側)と押し出し口である下金型51とが接触する長さよりも長くしている。
上記した冷間鍛造加工装置50による側方押し出し成形は、図10(D)の第三中間素材16を、冷間鍛造加工装置50の内に配置した後、下金型51及び上金型52を閉じた状態において、第三中間素材16の軸方向上端部をリングパンチ53及び押圧パンチ54で上方から押し潰すことにより、第三中間素材16をフランジ成形用キャビティ59に流動させる。即ち、第三中間素材16は、フランジ成形用キャビティ56に押し出される。この結果、回転フランジ10bがハブ本体7bと一体に成形される。
この回転フランジ10bの成形過程に於いて、その軸方向外側面である車輪取付面19b(図5の上側)と上金型52とが接触する長さは、軸方向内側面(図5の下側)と下金型51とが接触する長さよりも長いので、金型と素材との間の摩擦抵抗の差により、軸方向内側の素材の流動が軸方向外側より早くなるので、回転フランジ10bが軸方向外側に反ることにより、車輪取付面19bが中凹の円錐形状となる。
以上のように、フランジ傾斜量の調整は、素材と金型との接触長の調整により可能であり、個々の側方押し出し口の微小な傾斜調整よりもはるかに実施が容易であり、しかも、個々のフランジの傾斜量のばらつきを抑えることができる。
即ち、回転フランジ10bを冷間押し出し加工する際に、回転フランジ10bの車輪取付面19bが予め中凹の円錐形状(回転フランジ10bの外径側が軸方向外側に傾斜)となる様に成形加工を行い、その後、高周波焼入れなどの熱処理により焼入れ硬化層17を形成する。焼入れ硬化層17の部分とその他の部分との境界部18(焼鈍状態の部分)が回転フランジ10bの基端部に掛かることによるフランジの変形(回転フランジ10bの外径側が軸方向内側に傾斜)が生じるが、その変形は成形加工において予め車輪取付面19bに施した形状を打ち消す変形(逆方向の変形)であり、結果的に熱処理後の状態において車輪取付面19bを回転軸に対して鉛直となる平面としている。
なお、望ましくは、ドリルによるボルト固定穴30の穿孔を、ハブ本体7bへの焼入れ硬化層17の形成後に行う。これにより、ボルト固定穴30及びスタッドボルト20の位置精度をさらに良好とすることができる。
図6及び7は、本発明の実施の形態の第3例を示している。本発明の車輪支持用ハブユニットの特徴は、ハブを構成するハブ本体7cに一体成形された回転フランジ10cの軸方向内側に形成するボルト座面31cの形状、及びこのボルト座面31cとハブ本体7cの回転軸との位置関係を工夫した点にある。この特徴部分以外の構造は、前記図8,9に示した構造を含め、従来から知られている車輪支持用ハブユニットの構造とほぼ同様である。又、前記ハブ本体7cの製造方法は、図10を用いて説明した従来から考えられている製造方法と同様である。この為、従来と同様に構成する部分に就いては、図示並びに説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
即ち、本例の場合、スタンピングにより回転フランジ10cにボルト座面31cを成形する際に、ボルト座面31cの環状平面部が外径側に向かうに伴って軸方向外側に傾斜する形状に予め成形加工を行い、その後、高周波焼入れなどの熱処理により焼入れ硬化層17を形成する。焼入れ硬化層17の部分とその他の部分との境界部18(焼鈍状態の部分)が回転フランジ10cの基端部に掛かることによるフランジの変形(回転フランジ10cの外径側が軸方向内側に傾斜、図7の破線は熱処理前のフランジ)が生じるが、その変形は成形加工において予めボルト座面31cに施した形状を打ち消す変形(逆方向の変形)であり、結果的に熱処理後の状態においてボルト座面31cの環状平面部を回転軸に対して垂直となる平面としている。スタッドボルト20の頭部21が着座するボルト座面31cの傾斜を矯正することにより、スタッドボルト20の取付位置精度を高精度に保つことができる。
なお、ドリルによるボルト固定穴30の穿孔を、ハブ本体7cへの焼入れ硬化層17の形成後に行うことにより、ボルト固定穴30及びスタッドボルト20の位置精度をさらに良好とすることができる。又、前述したボルト固定穴30の穿孔用センタ穴をボルト座面31cに設けた場合、加工硬化によりドリルの歯が立ちにくくなったボルト座面31cに、ボルト固定穴30を位置精度よく穿孔することが可能となる。
2 外輪
3.3a,3b ハブ
4 転動体
5 外輪軌道
6 取付部
7、7a、7b、7c ハブ本体
8 内輪
9a、9b 内輪軌道
10、10a、10b、10c 回転フランジ
11 小径段部
12 かしめ部
13 素材
14 第一中間素材
15 第二中間素材
16 第三中間素材
17,17a 焼入れ硬化層
18、18a 境界部
19,19b,19c 車輪取付面
20 スタッドボルト
21 頭部
22、22a、22b シール部材
23 隅R部
30 ボルト固定穴
31、31c ボルト座面
50 冷間鍛造加工装置
51 下金型
52 上金型
53 リングパンチ
54 押圧パンチ
55 押し出しパンチ
56 フランジ形成キャビティ
Claims (3)
- 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備え、
前記ハブは、ハブ本体と内輪とを結合固定して成るものであって、
このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の回転フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成したものであり、
前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、前記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に外嵌固定されており、
前記回転フランジが冷間での側方押し出しによって前記ハブ本体と一体成形されている車輪支持用ハブユニットに於いて、
前記ハブ本体の外周面のうちで、軸方向中間部分から軸方向内端寄り部分に掛けての部分に焼入れ硬化層を形成していることを特徴とする車輪支持用ハブユニット。 - 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備え、
前記ハブは、ハブ本体と内輪とを結合固定して成るものであって、
このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の回転フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成したものであり、
前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、前記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に外嵌固定されており、
前記回転フランジが冷間での側方押し出しによって前記ハブ本体と一体成形されている車輪支持用ハブユニットに於いて、
前記冷間での側方押し出し加工により回転フランジの軸方向外側面が中凹の円錐形状となるように予め成形した後、前記ハブ本体の外周面に焼入れ硬化層を形成して、前記回転フランジの軸方向外側面が回転軸に対して垂直な平面とすることを特徴とする車輪支持用ハブユニットの製造方法。 - 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転するハブと、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間に、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備え、
前記ハブは、ハブ本体と内輪とを結合固定して成るものであって、
このうちのハブ本体は、軸方向外端寄り部分の外周面に前記車輪を支持固定する為の回転フランジを、軸方向中間部外周面に軸方向外側の内輪軌道を、それぞれ直接形成したものであり、前記回転フランジには前記車輪への取付ボルトを固定するためのボルト固定穴が形成されると共に、取付ボルトの頭部が当接するボルト座面が設けられており、
前記内輪は、外周面に軸方向内側の内輪軌道を形成したもので、前記ハブ本体の軸方向内端寄り部分に外嵌固定されており、
前記回転フランジが冷間での側方押し出しによって前記ハブ本体と一体成形されている車輪支持用ハブユニットに於いて、
前記ハブ本体の外周面に焼入れ硬化層を形成し、前記ボルト座面が回転軸に対して垂直な平面であることを特徴とする車輪支持用ハブユニット。
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