JP5050446B2 - 軸受ユニット - Google Patents

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本発明は、冷間鍛造により成形された軸受ユニットに関し、当該軸受ユニットは、例えば自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するために用いられる。
従来、自動車の車輪(例えば、ディスクホイール)を車体(例えば、懸架装置(サスペンション))に対して回転自在に支持するための各種の軸受ユニットが知られている(特許文献1参照)。例えば図1(a)には駆動輪用の軸受ユニットが示されており、当該軸受ユニットは、車体側に固定されて常時非回転状態に維持される静止輪(外輪)2と、静止輪2の内側に対向して設けられ且つ車輪側に接続されて車輪と共に回転する回転輪(内輪)4と、静止輪2と回転輪4との間に複列(例えば2列)で回転可能に組み込まれた複数の転動体6,8とを備えている。
この場合、静止輪2は中空円筒状を成しており、回転輪4の外周を覆うように配置されており、静止輪2と回転輪4との間には、軸受ユニット内部を密封するためのシール部材(車輪側のリップシール10a、車体側のパックシール10b)が設けられている。なお、リップシール10aは、静止輪2の車輪側の固定面2n-1に固定され、回転輪4の摺動面4n-1に対して摺動自在に位置決めされており、一方、パックシール10bは、静止輪2の車体側の固定面2n-2に固定され、後述する回転輪構成体16に対して摺動自在に位置決めされている。また、転動体6,8として図面では、玉を例示しているが、軸受ユニットの構成や種類に応じて、コロが適用される場合もある。
静止輪(外輪)2には、その外周側から外方に向って突出した固定フランジ2aが一体成形されており、固定フランジ2aの固定孔2bに固定用ボルト(図示しない)を挿入し、これを車体側に締結することで、静止輪2を図示しない懸架装置(ナックル)に固定する(取り付ける)ことができる。また、回転輪(内輪)4には、例えば自動車のディスクホイール(図示しない)を支持しつつ共に回転する略円筒形状のハブ12が設けられており、ハブ12には、ディスクホイールが固定される(取り付けられる)ハブフランジ12aが突設されている。
ハブフランジ12aは、静止輪(外輪)2を越えて外方(ハブ12の半径方向外側)に向って延出しており、その延出縁付近には、周方向に沿って所定間隔で配置された複数のハブボルト14が設けられている。この場合、複数のハブボルト14をディスクホイールに形成されたボルト孔(図示しない)に差し込んでハブナット(図示しない)で締付けることにより、当該ディスクホイールをハブフランジ12aに対して位置決めして固定することができる。このとき、ハブ12の車輪側に突設されたパイロット部12dによって車輪の径方向の位置決めが成される。
また、ハブ12(回転輪4)には、その車体側の嵌合面4n-2に環状の回転輪構成体16(ハブ12と共に回転輪4を構成する部材)が嵌合(外嵌)されるようになっている。この場合、例えば静止輪2と回転輪4との間に各転動体6,8を保持器18で保持した状態で、回転輪構成体16を嵌合面4n-2に形成された段部12bまで嵌合(外嵌)した後、ハブ12の車体側端部の加締め領域12cを塑性変形させて、当該加締め領域12cを回転輪構成体16の周端部16sに沿って加締める(密着させる)ことで、当該回転輪構成体16を回転輪4(ハブ12)に固定することができる。
このとき、軸受ユニットには所定の予圧が付与された状態となり、この状態において、各転動体6,8は、互いに所定の接触角を成して静止輪2と回転輪4の軌道面(静止軌道面2s、回転軌道面4s)にそれぞれ接触して回転可能に組み込まれる。この場合、2つの接触点を結んだ作用線(図示しない)は、各軌道面2s,4sに直交し且つ各転動体6,8の中心を通り、軸受ユニットの中心線上の1点(作用点)で交わる。これにより背面組合せ形(DB)軸受が構成される。
なお、このような構成において、自動車走行中に車輪に作用した力は、全てディスクホイールから軸受ユニットを通じて懸架装置に伝達されることになり、その際、軸受ユニットには、各種の荷重(ラジアル荷重、アキシアル荷重、モーメント荷重など)が作用する。しかし、軸受ユニットは、上述したような背面組合せ形(DB)軸受となっているため、各種の荷重に対して高い剛性が維持される。
また、かかる軸受ユニットには、図示しない等速ジョイント(CVJ)が連結されるようになっている。具体的に説明すると、等速ジョイントと軸受ユニットとは、等速ジョイントの外輪(図示しない)を軸受ユニットの回転輪4(ハブ12の加締め領域12c)に当接すると共に、等速ジョイントのスプライン軸(図示しない)を回転輪4(ハブ12)のスプライン孔12hに嵌入し、その嵌入先端をパイロット部12dに対してナット(図示しない)で固定することで互いに連結されている。この構成において、例えばドライブシャフトの角度の変化に対応して当該等速ジョイントが自由に角度変化することで、所定トルクの駆動力が軸受ユニットを介してディスクホイールに円滑に伝達されることになる。
一方、例えば図1(b)には従動輪用の軸受ユニットが示されており、当該軸受ユニットにおいて、軸受ユニット内部を密封するためのシール部材として、車体側にはパックシールの代わりにカバー10cが設けられている。カバー10cは、車体側における軸受内部を軸受外部から密封するような円板形状を成しており、その基端は静止輪(外輪)2の固定面2n-2に固定されている。なお、他の構成は上述した駆動輪用の軸受ユニット(図1(a))と同一であるため、図1(b)上において同一符号を付して、その説明を省略する。
ところで、上述した図1(a),(b)の軸受ユニットにおいて、回転輪(内輪)4を構成するハブ12は、図2(a),(b)に示すように、車輪側にパイロット部12dが突設されていると共に、当該ハブ12の外周面4mに、ハブフランジ12aやリップシール10aの摺動面4n-1、回転軌道面4sや段部12b、回転輪構成体16の嵌合面4n-2などが一体化された複雑な形状を成している。一方、静止輪(外輪)2は、その外周面2mに固定フランジ2aが一体化され、且つその内周面2nにリップシール10aの固定面2n-1や複列の静止軌道面2s、シール部材(図1(a)ではパックシール10b、図1(b)ではカバー10c)の固定面2n-2が一体化された複雑な形状を成している。また、特に図1(a)の駆動輪用軸受ユニットでは、ハブ12の内周面4nにスプライン孔12hが一体化されている。
このため、従来のハブ12(回転輪(内輪)4)は、熱間鍛造によって形成するのが一般的であった。また、静止輪(外輪)2は、中空形状を成しており、当該静止輪(外輪)2を形成するための素材の中央を打ち抜く中抜き加工が別途必要となる。この場合、加工コストが上昇してしまうため、やはり従来の静止輪(外輪)2は、熱間鍛造によって形成するのが一般的であった。
熱間鍛造では、外内輪2,4を形成するための素材に対する据え込み加工から打抜き(トリミング)加工に至るまでに数工程を経て最終形状を得ることが一般的であるが、最終工程終了時までA3変態点(約800℃)以上の温度を保てるように、素材は第1工程前に約1100℃まで加熱される。また、最終工程終了後においては、続いて行われる機械加工を考慮して、当該素材の硬さが上がらないように徐々に除冷される。この場合、素材の表面に対する酸化や脱炭が発生するため、当該素材に対する高い寸法精度や強度が要求される部分に機械加工が施される。
しかしながら、素材に対する機械加工では、酸化や脱炭して荒れた素材表面がチャッキング(素材を爪でつかんだ状態で加工)されるため、機械加工が施された素材表面と熱間鍛造が施された素材表面との間で芯ズレが発生し、例えば回転輪である内輪4(ハブ12)の回転バランスが崩れてしまう場合がある。この場合、軸受ユニットの回転性能を長期に亘って一定に維持することが困難になってしまう虞がある。
一方、静止輪である外輪2については、芯ズレの影響を受けない程度に素材を肉厚化させる提案もされているが、そうすると肉厚化させた分だけ素材コストが上昇してしまうだけで無く、外輪2の重量が増えることで、軸受ユニット全体の軽量化を図ることが困難になってしまう。また、素材を肉厚化させると、当該素材に対する機械加工時の取代が増大し、これにより加工時間が長くなると共に、加工コストも上昇してしまう。この結果、外輪2に対する製造コストが上昇してしまう。
更に、熱間鍛造後の除冷では、機械加工の効率を考慮して、素材がある程度軟らかい状態に維持されるが、この場合、静止輪(外輪)2の固定フランジ2aや回転輪(内輪)4のハブフランジ12aの根元部分(硬い方が良い部分)も軟らかくなってしまう。この状態で機械加工が行われると、当該機械加工時の圧力によって固定フランジ2aやハブフランジ12aが変形したり傾斜する場合がある。この場合、固定フランジ2aに対して懸架装置(ナックル)を、そしてハブフランジ12aに対してディスクホイールを正確に且つ堅牢に固定することができなくなり、その結果、自動車の車輪を懸架装置に対して安定して支持することが困難になってしまう虞がある。
これを回避するためには、固定フランジ2aやハブフランジ12aの根元部分の肉厚を上げて補強すれば良いが、そうすると、軸受ユニット全体の重量が増加してしまう。軸受ユニットはバネ下荷重であり、車輪を直接支持する軸受であるため、上述したような回転バランスの崩れや軸受の重量増は、車輪の走行安定性や操作性の低下に繋がる虞がある。
特開2005−256897号公報
本発明は、このような問題を解決するためになされており、その目的は、自動車の車輪を懸架装置に対して安定して支持することで、長期に亘って一定の回転性能を維持することが可能な走行安定性や操作性に優れた低コストの軸受ユニットを提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、車体に取り付けられる一方の軌道輪と、当該一方の軌道輪に対向して配置され且つ車輪に取り付けられる他方の軌道輪と、双方の軌道輪のそれぞれの対向面に周方向に沿って連続して形成された軌道面間に回転可能に組込まれた複数の転動体とを備え、双方の軌道輪のうち少なくとも一方は、車体或いは車輪に取り付けるためのフランジを有する軸受ユニットであって、一方或いは他方の軌道輪の少なくともいずれか一方は、フランジの表面に機械加工が施されること無く、その全体が冷間密閉鍛造により形成されていると共に、少なくとも軌道面には、電磁誘導方式による焼入れ・焼戻し処理及び研削が施されており、他方の軌道輪には、車輪の径方向の位置決めを行うパイロット部が周方向に沿って連続して一体的に設けられていると共に、パイロット部は、その表面に機械加工が施されること無く、冷間密閉鍛造により形成されており、他方の軌道輪において、フランジ及びパイロット部、並びに、車輪を固定するためのボルトを着座させるためのフランジのボルト座面は、球状化焼鈍された円柱形状の素材に対して冷間密閉鍛造により側方押出し加工を施すことで一体成形されていると共に、外周面、回転輪構成体の嵌合面、外周面と嵌合面との間の段部は、円柱形状の素材に対して冷間密閉鍛造により絞り加工を施すことで一体成形され、ボルト座面には、機械加工が施されることは無い。
本発明によれば、自動車の車輪を懸架装置に対して安定して支持することで、長期に亘って一定の回転性能を維持することが可能な走行安定性や操作性に優れた低コストの軸受ユニットを実現することができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る軸受ユニットについて、添付図面を参照して説明する。なお、本実施の形態の軸受ユニットは、図1(a),(b)に示された軸受ユニットの改良であるため、以下では、同一構成についての説明は省略し、相違する構成についての説明にとどめる。
本実施の形態の軸受ユニットは、静止輪(外輪)2とハブ12(回転輪(内輪)4を構成する部品)とが冷間鍛造により形成されている。ここで、ハブ12を冷間鍛造により形成するプロセスについて、図3を参照して説明する。
まず、図3(a)に示すように、ハブ12を形成するための素材として、当該素材が球状化焼鈍された機械構造用炭素鋼から成る円柱形状のビレット20を用意する。なお、ここでは、従動輪用のハブ12(図2(b))を想定しているため、ビレット20は中実材となっているが、駆動輪用の場合(図2(a))には、中空のビレット(図示しない)を用意すれば良い。
次に、図3(b),(c)に示すように、ビレット20に対して冷間密閉鍛造により例えば絞り加工を施すことにより、ハブ12の外周面4mとなる部位20mと、回転輪構成体16の嵌合面4n-2となる部位20n-2とを一体成形する。このとき、双方の部位20m,20n-2の間には、段部12bとなる部位20bも同時に一体成形するようにしても良い。
続いて、図3(d)に示すように、ビレット20に対して冷間密閉鍛造により側方押出し加工を施すことにより、回転軌道面4sとなる部位20sと、リップシール10aの摺動面4n-1となる部位20n-1と、ハブフランジ12aとなる部位20aを一体成形する。このとき、ハブフランジ12aとなる部位20aと同時に、パイロット部12dとなる部位20dも周方向に沿って連続して一体成形される。
そして、図3(e)に示すように、冷間密閉鍛造による側方押出し加工が終了することにより、図2(b)のハブ12と同一形状を成す製品を高精度に完成させることができる。この場合、側方押出しされたハブフランジ12aを含めたハブ12全体の形状は、スターシェイプとなる。
この場合、ハブフランジ12aの表面(ハブボルト14を着座させるためのボルト座面14mを含む)、パイロット部12dに対して機械加工が施されることは無く、そのまま供用することができる。このため、従来のように芯ズレが発生し、例えば回転輪である内輪4(ハブ12)の回転バランスが崩れてしまうといったような事態が生じることは無い。これにより、軸受ユニットの回転性能を長期に亘って一定に維持することができる。
また、ハブフランジ12aを側方押出し加工で成形することにより、周方向に連続したパイロット部12dを簡単且つ短時間に一体成形することができる。これにより、ハブ12の製造効率を向上させることができるため、製造コストの低減を図ることができる。
更に、冷間密閉鍛造では、素材に対する加工硬化を生じさせることができるため、例えばハブフランジ12aの根元部分の強度を向上させることができる。この場合、ハブフランジ12aの根元部分の薄肉化を図ることができるため、薄肉化した分だけハブ12の軽量化を実現することができる。これにより、バネ下荷重を軽減することができるため、車輪の走行安定性や操作性を向上させることができる。
ところで、図3(e)に示す完成品(ハブ12)において、リップシール10aの摺動面4n-1や回転軌道面4s、回転輪構成体16の嵌合面4n-2には、熱処理や研削処理が施される。この場合、摺動面4n-1から回転軌道面4sを介して外周面4mの段部12bから回転輪構成体16の嵌合面4n-2に至る領域には、電磁誘導方式による焼入れ・焼戻し処理が施される。
ここで、電磁誘導方式による熱処理では、例えば完成品(ハブ12)をコイル中に配置した状態で、当該コイルに高周波電流を流し、コイル周りに高周波磁束を発生させると、そのときの誘導作用により完成品(ハブ12)を加熱することができる。このとき、加熱された部分を冷却剤(例えば、水など)で急冷することで焼入れが施される。続いて、再び加熱した後に冷却することで焼戻しが施される。
このような電磁誘導方式による焼入れ・焼戻し処理では、完成品(ハブ12)を均一に焼入れ硬化させることができる。特に中空のビレット(図示しない)で成形された駆動輪用のハブ12(図2(a))では、当該ハブ12の各部の肉厚の差が比較的小さくなるため、各部の熱容量が一定になる。このため、焼入れ硬化される深さが安定し、ハブ12全体に亘って均一な強度を確保することができる。
このような電磁誘導方式による熱処理が終了した後、完成品(ハブ12)には研削処理が施される。例えばハブフランジ12aの表面(冷間鍛造面)をバッキングプレートでマグネットチャック(磁気吸着保持)すると共に、鍛造後に熱処理された面(ハブ12の回転軌道面4s側の外周面4mの一部:図2(b))をシュー(受け部材)で支持した状態で、少なくともリップシール10aの摺動面4n-1や回転軌道面4s、回転輪構成体16の嵌合面4n-2及びシューの支持面(図示しない)に研削処理が施される。
この場合、研削処理では、例えばダイヤモンドホイールで成形した砥石が用いられる。また、マグネットチャックでは、スターシェイプ形のハブフランジ12aの表面(冷間鍛造面)を部分的にチャックする(爪で掴む)状態となるため、バッキングプレートは、その外径側と内径側が反磁性体を挟んで互いに異なる磁極となる周方向に連続したものを適用する。
次に、静止輪(外輪)2を冷間鍛造により形成するプロセスについて、図4を参照して説明する。なお、同図には、長手方向に半断面した構成が示されている。
まず、図4(a)に示すように、静止輪(外輪)2を形成するための素材として、当該素材が球状化焼鈍された機械構造用炭素鋼から成る中空形状のビレット22を用意する。この場合、静止輪(外輪)2は中空の環状を成しているため、ビレット22は中空材となっている。
次に、図4(b)に示すように、ビレット22に対して冷間密閉鍛造により前方押出し加工を施すことにより、静止輪(外輪)2の外周面2mとなる部位22mを一体成形する。この場合、部位22mは、車輪側に向う外周面2mとなる部位である。
続いて、図4(c)に示すように、ビレット22に対して冷間密閉鍛造により後方押出し加工を施すことにより、パックシール10bを固定するための固定面2n-2となる環状の部位22n-2を一体成形する。このとき、当該部位22n-2の根元には、転動体8(図1)が転動する静止軌道面2sとなる部位22sも同時に一体成形される。なお、部位22n-2の端部22cは、ハブ12の車体側端部の加締め領域12c(図1)として構成されている。
この後、図4(d)に示すように、ビレット22に対して冷間密閉鍛造によりしごき加工を施すことにより、転動体6(図1)が転動する静止軌道面2sとなる部位22sを一体成形する。
そして、図4(e)に示すように、ビレット22に対して冷間密閉鍛造により側方押出し加工を施して、固定フランジ2aを一体成形することにより、図2(b)の静止輪(外輪)2と同一形状を成す製品を高精度に完成させることができる。
この場合、固定フランジ2aの表面や静止輪(外輪)2の外周面2m及び内周面2nに対して機械加工が施されることは無く、そのまま供用することができる。このため、従来のように芯ズレが発生し、軸受の回転バランスが崩れてしまうといったような事態が生じることは無い。これにより、軸受の回転性能を長期に亘って一定に維持することができる。
また、固定フランジ2aを側方押出し加工で成形することにより、素材に対する加工硬化を生じさせることができるため、例えば固定フランジ2aの根元部分の強度を向上させることができる。この場合、固定フランジ2aの根元部分の薄肉化を図ることができるため、薄肉化した分だけ静止輪(外輪)2の軽量化を実現することができる。これにより、バネ下荷重を軽減することができるため、車輪の走行安定性や操作性を向上させることができる。
ところで、図4(e)に示す完成品(静止輪(外輪)2)に対して熱処理や研削処理が施されることになる。この場合、静止軌道面2sに対する研削処理では、冷間鍛造面である外周面2mをそのまま基準面として供用される。このため、静止軌道面2sに対する研削処理を高精度に行うことができる。これにより、外周面2mと静止軌道面2sとの間の芯ズレを最小に抑えることができる。
また、冷間鍛造により静止輪(外輪)2を一体成形することで、静止輪(外輪)2について芯ズレの影響を受けない程度に肉厚化させる必要が無いため、当該静止輪(外輪)2の軽量化と共に、軸受ユニット全体の軽量化を図ることができる。なお、静止輪(外輪)2について更なる真円度が要求される場合には、冷間鍛造後又は熱処理後に例えばプレス機を使ってシェイビング加工を施して、外周面2mを薄く削り取れば良い。
また、静止輪(外輪)2に対する熱処理では、リップシール10a(図1)の固定面2n-1から内周面2nの各静止軌道面2sを介してカバー10c(図1)の固定面2n-2に至る領域に、上述した電磁誘導方式による焼入れ・焼戻し処理を施せば良い。静止輪(外輪)2は中空のビレット22で成形されるため、各部の肉厚の差を比較的小さくできる。これにより、各部の熱容量を一定することができるため、焼入れ硬化される深さが安定し、静止輪(外輪)2全体に亘って均一な強度を確保することができる。
なお、静止輪(外輪)2及びハブ12を冷間鍛造するための素材としては、機械構造用炭素鋼から成るビレット材以外に、例えばパイプ材や板材を適用しても良い。
また、上述した実施の形態において、フランジ(固定フランジ2a、ハブフランジ12a)は、側方押出し加工により一体成形したが、これに限定されることは無く、段階的に径方向にフランジを延出させていく成形法を適用しても良い。例えば素材のフランジとなる部分に据え込み加工を施し、当該部分に対して後方押出し加工を行った後、更に据え込み加工を施すことで、フランジを径方向に段階的に延出させても良い。
(a)は、駆動輪用の軸受ユニットの構成を示す断面図、(b)は、従動輪用の軸受ユニットの構成を示す断面図。 (a)は、駆動輪用のハブと外輪とを分解して示す断面図、(b)は、従動輪用のハブと外輪とを分解して示す断面図。 従動輪用のハブを冷間鍛造するプロセスを示す図であって、(a)はビレットを用意する工程、(b),(c)は絞り加工工程、(d)は側方押出し加工工程、(e)は側方押出し加工終了工程。 静止輪(外輪)を冷間鍛造するプロセスを示す図であって、(a)はビレットを用意する工程、(b)は前方押出し加工工程、(c)は後方押出し加工工程、(d)はしごき加工工程、(e)は側方押出し加工工程。
符号の説明
2 静止輪(外輪)
2a 固定フランジ
2s 静止軌道面
4 回転輪(内輪)
4s 回転軌道面
6,8 転動体
12a ハブフランジ

Claims (1)

  1. 車体に取り付けられる一方の軌道輪と、当該一方の軌道輪に対向して配置され且つ車輪に取り付けられる他方の軌道輪と、双方の軌道輪のそれぞれの対向面に周方向に沿って連続して形成された軌道面間に回転可能に組込まれた複数の転動体とを備え、双方の軌道輪のうち少なくとも一方は、車体或いは車輪に取り付けるためのフランジを有する軸受ユニットであって、
    一方或いは他方の軌道輪の少なくともいずれか一方は、フランジの表面に機械加工が施されること無く、その全体が冷間密閉鍛造により形成されていると共に、少なくとも軌道面には、電磁誘導方式による焼入れ・焼戻し処理及び研削が施されており、
    他方の軌道輪には、車輪の径方向の位置決めを行うパイロット部が周方向に沿って連続して一体的に設けられていると共に、パイロット部は、その表面に機械加工が施されること無く、冷間密閉鍛造により形成されており、
    他方の軌道輪において、フランジ及びパイロット部、並びに、車輪を固定するためのボルトを着座させるためのフランジのボルト座面は、球状化焼鈍された円柱形状の素材に対して冷間密閉鍛造により側方押出し加工を施すことで一体成形されていると共に、外周面、回転輪構成体の嵌合面、外周面と嵌合面との間の段部は、円柱形状の素材に対して冷間密閉鍛造により絞り加工を施すことで一体成形され、
    ボルト座面には、機械加工が施されることは無いことを特徴とする軸受ユニット。
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