JP5714217B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents
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Description
このような構造の車輪用軸受装置においては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、フランジ付き軸部材(ハブホイール)が円筒管を母材として冷間鍛造により整形されると共に、この冷間鍛造した母材の一方の軸端部の円周方向複数箇所が径方向外向きに切り起こされることにより、複数のフランジ部(切り起こし片)が形成される。さらに、母材の一方の軸端部には、複数のフランジ部の間に軸方向に沿った形状で残存する複数の舌片よりなる嵌合軸部(車輪が嵌込まれて位置決めされる)が設けられる。
これによって、車輪用軸受装置(主にフランジ付き軸部材)の重量軽減を図ることが可能となる。
しかしながら、前記従来の車輪用軸受装置においては、冷間鍛造により鍛造品を製作した後、鍛造品の一方の軸端部を折り曲げ加工によって切り起こし片よりなる複数のフランジ部を形成しなければならず、折り曲げ加工に伴い製造コストが高くなる。
また、嵌合軸部側に構成されるフランジ部の面は、ブレーキロータを支持する面である。このブレーキロータを安定よく取り付けるためにより大きなフランジ面でブレーキロータを支持することが望まれている。上記した従来のフランジ付き軸部材では、フランジ部として切り起こされる母材の軸端部の寸法によってフランジ部の大きさが決まってしまい、フランジ部の面積を大きくすることが困難であった。
先ず、第1の発明に係る車輪用軸受装置は、転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置であって、前記フランジ部は、冷間鍛造によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部が形成される際の側方押出加工によって形成され、前記フランジ部の側方押出方向端部の最外径形状は、前記嵌合軸部側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面側の端部位置の外径が、該ロータ支持面の反対側面に構成され前記車輪を締め付けるハブボルトを配置するためのボルト座面側の端部位置の外径よりも大きい又は同一の形状に形成されることを特徴とする。
先ず、上記第1の発明の車輪用軸受装置によれば、冷間鍛造の側方押出加工によって軸部と嵌合軸部との間に位置する外周面に複数のフランジ部を放射状に形成することによって、重量軽減を図りながら製造コストの低減を図ることができる。
また、フランジ部の側方押出方向端部の最外径形状は、前記嵌合軸部側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面側の端部位置の外径が、このロータ支持面の反対側面に構成され前記車輪を締め付けるハブボルトを配置するためのボルト座面側の端部位置の外径よりも大きい又は同一の形状に形成されている。これにより、ローター支持面側の面積は、ボルト座面側の面積より大きい又は同一の面積で形成されるため剛性を確保することができる。そのため、ブレーキロータは、より大きなフランジ面で支持されることになりブレーキロータをより一層、安定よく取り付けることができる。
図1に示すように、車輪用軸受装置としての車輪用ハブユニットは、フランジ付き軸部材(ハブホイール)1と、転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41とを一体状に有してユニット化されている。
フランジ付き軸部材1は、外周面に転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41が組み付けられる軸部10と、この軸部10の一端側に形成されかつ軸部10よりも大径で車輪(図示しない)の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部30と、軸部10と嵌合軸部30との間に位置するフランジ基部20aと、このフランジ基部20aの外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ車輪を締め付けるハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔24が先端寄り部分に貫設された複数のフランジ部21とを一体に有する。
また、嵌合軸部30には、フランジ部21側にブレーキロータ用嵌合部31が形成され、先端側にブレーキロータ用嵌合部31よりも若干小径の車輪用嵌合部32が形成されている。
また、この実施例1においては、フランジ付き軸部材1の軸部10は、フランジ部21側が大径で先端側が小径に形成された段軸状に形成され、軸部10の大径部11の外周面に一方の軌道面43が形成されている。
また、軸部10の小径部12の外周面には内輪体42が嵌め込まれ、この内輪体42の外周面に他方の軌道面44が形成されている。
さらに、軸部10の先端部には、小径部12と同径の端軸部15が延出されている。この端軸部15の端面中心部には軸端凹部16が形成され、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
さらに、厚肉部23はフランジ部21の根元部(基部)側から同フランジ部21のボルト孔24側に向かって漸次減少する傾斜状に形成されている。この厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度(フランジ付き軸部材1の回転中心線Sと直交する円環状平坦面23cに対する角度)θ1は、冷間鍛造時の材料流れや成形後の脱型を考慮すると、20°≦θ1≦45°の関係に設定されることが望ましい。
また、図3に示すように、各フランジ部21の先端面は、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31(図1参照)の直径寸法の約半分の半径をもつ円弧面21aに形成されている。すなわち、ブレーキロータ用嵌合部31(図1参照)の直径寸法をφPとし、フランジ部21の先端の円弧面21aの半径寸法をrQとしたときに、φP/2≒rQに形成されることが望ましい。
また、フランジ部21の側方押出方向端部の最外径形状は、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径φKが、このロータ支持面22の反対側面に構成され車輪を締め付けるハブボルト27を配置するためのボルト座面21c側の端部位置の外径φJよりも大きい又は同一の形状に形成されている。これにより、ローター支持面22側の面積は、ボルト座面21c側の面積より大きい又は同一の面積で形成されるため剛性を確保することができる。そのため、ブレーキロータは、より大きなフランジ面で支持されることになりブレーキロータをより一層、安定よく取り付けることができる。
また、図4に示すように、フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eがR面取り形状に形成されることによって、冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部21が形成される際、図7に示すように、フランジ部21の横断面形状に対応して角部80b、81bがR面に形成されたフランジ成形部(後述する)78を有する成形型(後述する第1、第2成形型71、72)を用いてフランジ部21を形成することができる。
このため、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bに冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
また、図2に示すように、フランジ部21の根元部近傍の一側に厚肉部23を形成することによって、フランジ部21の根元部近傍の強度を良好に高めることができ、耐久性に優れる。
図5に示すように、構造用炭素鋼(例えば、S45C、S50C、S55C等の炭素量0.5%前後の炭素鋼が望ましい)の丸棒材を所要長さに切断して軸状素材60を形成する。
次ぎに、軸状素材60を、例えば800℃前後に加熱した後、冷却し焼鈍する。
その後、冷間鍛造の前方押出加工の鍛造型装置(図示しない)を用いて軸状素材60を前方押出加工し、これによって、軸部(大径部11、小径部12及び端軸部(この状態では軸端凹部16が形成されていない)15を含む)10と、中間軸部20と、嵌合軸部(この状態では鍛造凹部33やブレーキロータ用嵌合部31が形成されていない)30を形成し、冷間鍛造の前方押出加工による一次成形品61を製作する。
このフランジ成形部78は、第1、第2の両成形型71、72にそれぞれ形成された成型溝部76、77によって構成されている。
すなわち、図6と図7に示すように、第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の上下両壁面の案内面80、81の対向間隔がフランジ部21の板厚寸法と同等の大きさに設定され、左右両側壁面の案内面80a、81aの対向間隔がフランジ部21の幅寸法と同等の大きさに設定されている。そして、フランジ成形部78の長手方向に直交する横断面形状は、フランジ部21の横断面形状と同じ形状に形成され、角部80b、81bがR面(例えば、半径3mmのR面)に形成されている。
一方、この実施例1において、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側を形成する第1成形型71の成型溝部76の案内面80は、逃がし部がない型構造に形成されている。
また、厚肉部成形用溝部82底面の傾斜面82aの傾斜角度θ2は、フランジ部21の圧肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1と同じ、すなわち「20°≦θ2≦45°」の関係に設定される。ことが望ましい。
この拘束面781は、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径φKが、ロータ支持面の反対側面に構成され車輪を締め付けるハブボルトを配置するためのボルト座面側の端部位置の外径φJよりも大きい又は同一の形状に形成される傾斜面を有している。
詳しくは、第2の成形型72に構成される成型溝部77の側方押出方向端部は、フランジ面に垂直な垂直端面771で形成されている。これは、フランジ付き軸部材1の二次成形品62の離型を可能とするために垂直端面771が形成されている。また、第1の成形型71に構成される成型溝部76の側方押出方向端部は、ボルト孔24側に向かって傾斜する傾斜面761が形成されている。
これにより、冷間鍛造の鍛造型装置70の側方押出形成によって形成されるフランジ部21の側方押出方向端部は、この垂直端面771、傾斜面761によって、側方押出寸法が拘束されることによって、ローター支持面22側の端部位置の外径φKと、ボルト座面側の端部位置の外径φJに形成される。
なお、上記した垂直端面771、傾斜面761で構成される拘束面781の周方向の形状は、フランジ部21の先端形状の円弧面21a形状に対応して形成されている。
ここで、フランジ部21の外径をφK、フランジ部21の根元のフランジ基部20aの外径をφB、フランジ部21の周方向の幅をC、フランジ部21の数をNとし、フランジ部21及びフランジ基部20aの軸方向から見た面積(フランジ投影部の面積)をSf、フランジ部21の外径円の面積をSaとすると、
Sf=N×C×(1/2)×(φK−φB)+(φB/2)×(φB/2)×π
Sa=(φK/2)×(φK/2)×π
と表すことができ、実施例1では、二次成形品62のSf/Saが0.53〜0.56の範囲とされている。
このSf/Saが大きいほど、フランジ投影部の比率が大きくなるため鋼材の流動面積が大きくなり、押出加工による鋼材の流動性が良くなるため成形性が向上する。一方、Sf/Saが大きいほど、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が小さくなり狭い面積で型圧を支えることが必要となるため型に対する負荷が増大する。
また、Sf/Saが小さいほど、フランジ投影部の割合が小さくなるため鋼材の流動面積が狭くなり、押出加工による鋼材の流動性が悪くなるため成形性が低下する。一方、Sf/Saが小さいほど、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が大きくなるため広い面積で型圧を支えればよいので型に対する負荷が減少する。
なお、Sf/Saが異なる構成について試験した結果、Sf/Saが0.6より大きい場合は、金型の接触面積が狭く、狭い面積で型圧を支えることが必要となり型が割れやすくなることがわかった。また、Sf/Saが0.5より小さい場合は、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなり、フランジ部が予定した形状に成形されにくくなることがわかった。よって、Sf/Saは0.5以上かつ0.6以下のとすることが好ましい。
Ss=Sa−Sf
と表すことができる。そして、実施例1では、Ssは5000平方ミリメートル以上かつ、6500平方ミリメートル以下となるように構成されている。なお、この値は1.5リットルクラスの自動車用の車輪用軸受装置の値である。
そして、Ssが5000平方ミリメートルよりも小さくなると、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が小さくなり型が割れやすくなる。また、Ssが6500平方ミリメートルよりも大きくなると、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなる。
その後、図6と図8に示すように、パンチ73を一次成形品61の嵌合軸部30の中心部端面に向けて下降し、パンチ73の先端部74によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながら一次成形品61の軸部10と嵌合軸部30との間に位置する中間軸部20の外周面を、第1、第2の両成形型71、72に形成されたキャビティ75のフランジ成形部78に側方押出することによって複数のフランジ部21を形成する。これと同時に、フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eをR面取り形状に形成する。
さらに、前記した側方押出加工によって、フランジ部21の根元部近傍の一側に厚肉部23を形成し、これによって側方押出加工による二次成形品62を製作する。
なお、中間軸部20は、冷間鍛造の変形によってフランジ基部20a及び嵌合軸部30の一部をなす。
その後、二次成形品62を焼き入れした後、軸部10の大径部11の軌道面43やフランジ部21のローター支持面22等を旋削加工又は研磨加工することで完成品となるフランジ付き軸部材1を製作する。
すなわち、フランジ部21のボルト孔24に、ハブボルト27のセレーション軸部(軸部29の根元部に形成される)29aを圧入した後の状態において、面取り部の深さ寸法が大きい側にフランジ部21が微量ではあるがそり変形する特性をもつ。
このため、仮に、側方押出加工によってフランジ部21の厚肉部23側へ向かって「そり」が発生したとしも、フランジ部21のボルト孔24にハブボルト27が圧入されることで、前記したフランジ部21の厚肉部23側への「そり」が軽減される。
さらに、ボルト座面21cの領域を越えかつフランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの境界R面23b又は、境界R面23b及び傾斜面23aにわたる範囲(図2のコイニング加工範囲W)にわたってコイニング加工によって表面仕上げすることでフランジ部21の強度をより一層高めことが望ましい。
また、コイニング加工による表面硬さはHRC25以上、表面粗さがRa6.3以下に仕上げられることが望ましい。
そして、軸部10の小径部12の外周面に内輪体42が嵌め込まれた後、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
また、フランジ付き軸部材1の軸部10の外周面にアンギュラ玉軸受41が組み付けられる前、又は後において、フランジ部21のボルト孔24の第1面取り部25側からハブボルト27の軸部29が挿入され、軸部29のセレーション軸部29aがボルト孔24に圧入されることによってフランジ部21にハブボルト27が固定される。
これをもって車輪用軸受装置が製造される。
この拘束面781は、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径φKが、ロータ支持面の反対側面に構成され車輪を締め付けるハブボルトを配置するためのボルト座面側の端部位置の外径φJよりも大きい又は同一の形状に形成される傾斜面を有している。
詳しくは、第2の成形型72に構成される成型溝部77の側方押出方向端部は、フランジ面に垂直な垂直端面771で形成されている。これは、フランジ付き軸部材1の二次成形品62の離型を可能とするために垂直端面771が形成されている。また、第1の成形型71に構成される成型溝部76の側方押出方向端部は、ボルト孔24側に向かって傾斜する傾斜面761が形成されている。なお、上記した垂直端面771、傾斜面761で構成される拘束面781の周方向の形状は、フランジ部21の先端形状の円弧面21a形状に対応して形成されている。
一般的な側方押出加工では、肉厚の厚い厚肉部23の方に金属材料の肉流れが生じ、フランジ付き軸部材1の嵌合軸部30側に構成されたブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側が大きく形成できないおそれがあった。しかしながら、この発明の実施例1に係る車輪用軸受装置の製造方法によって製作された車輪用軸受装置のフランジ部21は、この問題を解消することができる。
これにより、この車輪用軸受装置の製造方法によって成形された車輪用軸受装置のフランジ部21は、フランジ部21の側方押出方向端部の最外径形状は、嵌合軸部30側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面22側の端部位置の外径φKが、このロータ支持面22の反対側面に構成され車輪を締め付けるハブボルト27を配置するためのボルト座面21c側の端部位置の外径φJよりも大きい又は同一の形状に形成されている。これにより、ローター支持面22側の面積は、ボルト座面21c側の面積より大きい又は同一の面積で形成されるため剛性を確保することができる。そのため、ブレーキロータは、より大きなフランジ面で支持されることになりブレーキロータをより一層、安定よく取り付けることができる。
また、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bがR面に形成されるため、冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
すなわち、冷間鍛造においては、ファイバーフローに沿う材料流動性によってフランジ部21に、厚肉部23側へ向かうそりが発生しやすくなる特性がある。このフランジ部21の厚肉部23側へ向かうそりによって、例えば、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工することが困難となる恐れがある。フランジ部21のローター支持面22の全面が平坦面に仕上げ加工されていない場合、例えば、ブレーキロータ55の取り付けが不安定となることが想定される。しかしながら、前述したようにフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「そり」の発生を抑制することで、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工すること容易となり、ブレーキロータ55を安定よく取り付けることが可能となる。
なお、上記実施例1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。以後の各実施例も同様とする。
図10に示すように、この実施例2においても、フランジ付き軸部材101の複数のフランジ部121は、冷間鍛造によって嵌合軸部130の中心部端面に鍛造凹部133が形成される際の側方押出加工によって形成される。
図11に示すように、この実施例2においては、フランジ部121の長手方向に直交する横断面形状が幅方向中央部121fよりも両側部121gが薄肉に形成されている。また、フランジ部121の横断面形状の角部121eがR面取り形状に形成されている。
この実施例2のその他の構成は実施例1と同様に構成されるため、その説明は省略する。
言い換えると、フランジ部121の幅方向中央部121fを所要とする板厚に形成し、当該部分にボルト孔124を貫設してハブボルトに対する圧入長さを確保しながら、重量軽減を良好に図ることができる。
図12に示すように、この実施例2においては、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置70の第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77によって、フランジ成形部78が形成されている。このフランジ成形部78の横断面形状が前記したフランジ部121の横断面形状に対応して幅方向中央部177aよりも両側部177bが小さく形成されている。
さらに、フランジ成形部78の横断面形状の角部180b、181bがR面に形成されている。
この実施例2に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
また、フランジ成形部78の横断面形状の角部180b、181bがR面に形成されるため、冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部180b、181bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
図13に示すように、この実施例3においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S1、S2を保持する逃がし部83、84がそれぞれ形成されている。
また、図13に示すように、第1成形型71の逃がし部83の隙間S1をなす成型溝部76底面とフランジ部21の一側面との隙間寸法をAとし、第2成形型72の逃がし部84の隙間S2をなす成型溝部77の底面とフランジ部21の他側面との隙間寸法をBとしたときに、「0.5mm>A≦B<0.5mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉部23側に向かうそりの発生を抑制することが望ましい。
この実施例3のその他の構成は、実施例1と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
また、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側に位置する第1成形型71の案内面80の外径寸法φCとし、反対側の第2成形型72の案内面81の外径寸法φDとしたときに、「φC>φD」の関係となるように設定することによって、冷間鍛造の材料流動性によるフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「そり」の発生を抑制することができる。
図14に示すように、この実施例4においては、フランジ成形部78を構成する第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の両案内面80、81の材料流入側近傍を除く奥側に、フランジ部21との間に隙間S3、S4を保持する逃がし部183、184がそれぞれ形成されている。
両逃がし部183、184は、フランジ成形部78の材料流入側が広く、半径方向外方の奥側へ向かってしだいに狭くなるテーパ状に形成され、先端部分は平行面をなしている。
さらに、「1.0mm>E≦G<1.0mm」、及び「0.3mm>F≦H<0.3mm」の関係に設定してフランジ部21の厚肉側に向かう「そり」の発生を抑制することがより望ましい。
この実施例4のその他の構成は、実施例1と同様に形成されるため、同一構成部分に対し同一符号を付記してその説明は省略する。
例えば、前記実施例1においては、鍛造型装置70の第2成形型72の成型溝部77と、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側と反対側部分との間に隙間S2を保持する逃がし部84が形成される場合を例示したが、逃がし部84がない型構造としてもこの発明を実施可能である。
10 軸部
11 大径部
12 小径部
15 端軸部
16 軸端凹部
17 かしめ部
20 中間軸部
20a フランジ基部
21 フランジ部
21a 円弧面
21b 湾曲面
21c ボルト座面
21e 角部
22 ローター支持面
23 厚肉部
23a 外側傾斜面
23b 境界R面
23c 円環状平坦面
24 ボルト孔
25 第1面取り部
26 第2面取り部
27 ハブボルト
28 頭部
29 軸部
29a セレーション軸部
30 嵌合軸部
31 ブレーキロータ用嵌合部
32 車輪用嵌合部
33 鍛造凹部
41 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
42 内輪体
43 軌道面
44 軌道面
45 外輪部材
46 軌道面
47 軌道面
48 車体側フランジ
50 玉
51 玉
52 保持器
53 保持器
55 ブレーキロータ
60 軸状素材
61 一次成形品
62 二次成形品
70 鍛造型装置
71 第1成形型
72 第2成形型
73 パンチ
74 先端部
75 キャビティ
76 成形溝部
77 成形溝部
78 フランジ成形部
80 案内面
80a 案内面
80b 角部
81 案内面
81a 案内面
81b 角部
82 圧肉部成形用溝部
82a 傾斜面
83 逃がし部
84 逃がし部
90 速度センサ
91 カバー部材
92 蓋板部
95 被検出部
96 パルサーリング
101 フランジ付き軸部材
121 フランジ部
121e 角部
121g 両側部
124 ボルト孔
130 嵌合軸部
133 鍛造凹部
162 二次成形品
177a 幅方向中央部
177b 両側部
180b 角部
181b 角部
761 傾斜面
771 垂直端面
781 拘束面
Claims (1)
- 転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置であって、
前記フランジ部は、冷間鍛造によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部が形成される際の側方押出加工によって、前記嵌合軸部側に構成されてブレーキロータを支持する面となるローター支持面と、該ローター支持面の反対側面に構成され前記車輪を締め付けるハブボルトを配置するためのボルト座面が形成され、
前記ボルト座面側のフランジ部の根元部には、該根元部側からボルト孔側に向かって漸次減少する傾斜状の厚肉部が形成されており、
前記フランジ部の側方押出方向端部の最外径形状は、冷間鍛造の鍛造型装置が備える成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の側方押出方向端部が、前記フランジ部の先端部と当接して前記フランジ部の側方押出寸法を拘束する拘束面によって形成されており、
前記拘束面は、前記ローター支持面側の端部位置の外径が、前記ボルト座面側の端部位置の外径よりも大きい形状に形成される傾斜面を有しており、
前記拘束面は、前記ローター支持面に垂直な垂直端面と、前記ボルト座面のボルト孔側に向かって傾斜する傾斜面とが連続して形成されており、
前記拘束面は、前記フランジ部の先端部のうち、前記側方押出加工によって前記厚肉部が形成されているボルト座面部側の先端部の方に流れる金属材料の肉流れを拘束し、
前記フランジ部の側方押出方向端部の最外径形状は、前記ローター支持面側の端部位置の外径が、前記ボルト座面側の端部位置の外径よりも大きい形状に形成されることを特徴とする車輪用軸受装置。
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